金沢蓄音器館

館長ブログ ほっと物語

2018年1月

その2597㎜の差がきめて!

 
蓄音器の全面に貼ってある布(サランネット)が大きく破れているコロムビア卓上型蓄音器NO.451が寄贈されてきた。

 
昭和89年あたりに作られた中位クラスの蓄音器だ。この時期にNO.450、NO.452が作られた。
この2台を比較したブログを先に書いた(ブログ130)が、NO.451でちょうど3機種そろう。

NO.451は昭和811月、45円で発売された(コロムビア50年誌より)。3機種とも同じころの商品で同価格だった。

 

NO.451の大きさを測ってみると横幅42、高さ34、奥行き40㎝だった。3機種ともあまり変わらない大きさだ。

内部のラッパは木製のエキスポーネンシャルホーンだ。

アームの形状も、回転スピードを一定に保つ役目のガバナーと呼ばれる部品も、ゼンマイもよく似ている。

ただ、音の入り口であるサウンドボックスはNO,452だけが直径7㎝の「NO.9」と呼ばれるものだ。
NO.450,NO.451は直径が6.3㎜で7㎜の差がある。あとは外観のデザインがちょっと違うだけだ。

 

両方に同じレコード盤、ペギー葉山の「ケ・セラ・セラ」をかけ比較してみると明らかに音色が違う。

「NO.9」の口径の大きいサウンドボックスがついているNO.452の方がいい。高音の伸びがずいぶん違う。

 

そんなわけかNO.450,NO.451は昭和9年まではカタログに掲載されているが翌年には載っていない。
NO.452だけが昭和13年まで掲載されている。集約されたのだろうか。

もっとも価格は45円から翌年には50円、昭和11年は55円、昭和12年は60円と33%のインフレ基調?で値上げされている。

 たかが7㎜、されど7㎜。

 

 


ネットが破れたコロムビアNO.451


NO.450,NO.451のサウンドボックス

NO.451のラッパ

NO.452のサウンドボックスNO.9

NO.452のラッパ NO.451と変わらない
その25840%も値上げの"?"

 





送られてきたそのポータブル蓄音器はちょっと小ぶりだった。

 採寸すると幅29、高さ15、奥行39cmだった。蓋を開けてみるとコロムビアマークの下に「NO.56」と書かれていた。

1936(昭和11)年のコロムビアの蓄音器カタログには当時の発売蓄音器のなかで一番安い普及型のポータブル蓄音器として載っている。
外観の暗い青色のレーザークロスもきれいですこぶる保存状態はいいが、レコード盤に乗せるサウンド・ボックスはビクター社製がついていた。
本来この蓄音器にはコロムビアの20号のサウンド・ボックスがついているのだが、持ち主の方が取り換えたと思われる。

内側5か所のネジ止めを外してゼンマイの状況、78回転スピードを一定に保つガバナーの模様などを確認した。とてもいい状態だった。
きっとオイルをきちんとさしながら大切に使っていたのだろう。

 

この「NO.56」は昭和10年に価格25円で発売された。
それまではレコード盤に税金がかからず、10インチ(25㎝)のSP盤は普通160銭だったが、昭和12年からは戦費調達のため物品税が20%かかることになった。

NO.56」は、昭和11年には20%値上がりし30円に、12年にはさらに10%値上がりし33円に、13年にはさらに6%アップし35円になった。
昭和10年から3年で40%も価格が上がったことになる。
ほかの蓄音器もだいたい同じように値上がりした。

さらに昭和13年には蓄音器に鉄を使うことが禁止された。

なぜか。

鉄は軍事物資だったためだ。

NO.56」の普及型蓄音器もこのため生産を止めた。

そればかりか昭和14年になると非鉄金属使用禁止令によって銅、真鍮までも使えなくなった(ブログ83に詳しい)。

そんな様々な制約があったにもかかわらず数多くのヒット曲が生まれていった。
戦争の時代にでも求められ、支持される曲はあるのだ。

 

 


コロムビアポータブル蓄音器 NO,56
サウンドボックスは米国ビクター製

NO,56のプレート

ラッパは短い。ゼンマイは1重のシングル

昭和10年発売価格 25円

昭和11年 価格は30円に

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