金沢蓄音器館

館長ブログ ほっと物語

2011年5月

その67「大隈重信の演説レコード」



大隈重信(1838~1922)の肉声が録音された
「憲政における輿論の勢力」
のSPレコードが金沢蓄音器館にある。
大正4年3月2日に早稲田の大隈邸で機材を運び込み録音されたものである。

大正4年3月25日に第12回総選挙が実施されたが、大隈はその時、レコードを利用したのであろう。
当時、選挙人は満25歳以上の男子で国税を10円以上納付するものに限られていた。レコードを購入できる裕福な層を狙った作戦だったのだろう。

「帝国議会は解散されました」で始まる大隈の演説は実に力強く、政治の大局を語っている。
「~であるんであります」
「~ならんと思いますんである」
など彼の個性的なキャラクターにふれることが出来るものだ。

録音はニッポノフォン(後のコロムビア)技師ゼーラビットが担当し、大隈は早稲田の学長、教授陣、マスコミなど60名の前でフロック姿で威儀を正して録音したという。
彼は「相手がいないのに演説したのは初めてで、どうも戸板に向かって話をしている気がして張り合いがなかった」という。

当時の録音技師は外国人に限られていた。それが随分と威張っており、工場の中の便所も日本人と別。しかも水洗だったという。

このレコードはとにかく良く売れたという。
先に発売された尾崎行雄が1,000枚に対し、大隈のレコードは2,000枚売れたとコロムビア50年誌の座談会で元社長の武藤与市は語っている。
今の政治家ではたしてレコード・CDが売れるだろうか。
ニッポノフォンは、7年後の大正11年に保存盤の秘蔵レコードとして再発売している。

昭和21年ラジオ、昭和44年テレビが政見放送をスタートさせたが、レコードは随分早くからだったともいえる。

金沢蓄音器館では大隈以外にも犬養毅、若槻礼次郎、田中義一など様々な政治家のレコードも所蔵している。(大隈の声は、YouTube の金沢蓄音器館をクリックすると聴ける)


大隈重信「憲政における輿論の勢力」

犬養毅「新内閣の責務」

若槻礼次郎
「総選挙に臨み国民にうったう」

大隈の録音風景
その66「金沢のご当地ソング」



金沢では毎年6月になると前田利家の金沢入城を記念して「百万石まつり」が開催される。
これは戦前の産業復興まつりであった「商工パレード」を昭和28年、金沢市と商工会議所が中心となって復活させた祭りで、メインストリートを鎧兜の武者たちがねり歩く。

昭和3年「道頓堀行進曲」、同4年「東京行進曲」などのヒットによって町のイメージアップ・観光促進に音楽が大きな力を持っていることが証明された。
このことで全国各地に新しいご当地ソングが作られるようになった。金沢も多くの曲が作られた町である。
金沢蓄音器館にあるSPレコードの中からその曲を見てみる。

(曲名)   (歌手)  メーカー、レコード番号) (発売時)

金沢小唄   根本美津子  ビクター  51421    昭和5年

金沢小唄   梅若     ビクター  51421   昭和5年
加賀小唄   赤坂小梅   コロムビア 27952   昭和9年
金沢音頭   藤本二三吉  コロムビア  27952   昭和9年
加賀音頭   小芳     コロムビア 26621   昭和6年
百万石行進曲 久竜     コロムビア 26621   昭和6年
大金沢行進曲 松平晃    コロムビア  28728   昭和11年
金沢をどり  豆千代    コロムビア  28728   昭和11年
四季の金沢 金沢北廓芸妓  タイヘイ  昭和11年  金沢蓄音器商組合

石川県民の歌 菅原都々子  テイチク  20005   昭和22,3年

金沢市民の歌     マーキュリー白盤 昭和23年? 市制60周年記念盤

ニュー金沢情緒小唄 音丸  コロムビア PR144    昭和23年
金沢タンゴ  秩父 章   コロムビア PR144   昭和23年

湯の国むすめ 榎本美佐江  ビクター V40692   昭和24年
百万石ぶし  藤島桓夫   タイヘイ  M570  昭和28年
加賀ばやし  有島通男   タイヘイ  M570  昭和28年
百万石音頭  伊藤久男   コロムビア A2008   昭和29年

金沢小唄   久保幸江   コロムビア A2008  昭和29年

湯の国だより青木光一・島倉千代子コロムビアA240 昭和32年
第九師団讃歌        ビクター  V54615

誉の九師団         ビクター  V54615
船玉節           タイヘイ  M851  金沢市金石

大木遣り          タイヘイ  M851  金沢市金石

など実に多いことがわかる。さらに石川県でみるともっと増える。

この中で、金沢市観光協会の依頼で作られた「百万石ぶし」「加賀ばやし」は、今でも百万石まつりにかかせない曲になっている。

金沢蓄音器館では、上記の曲に加え「百万石音頭」「野々市じょんがら」の入ったCDを求めることが出来る。


昭和3年、「道頓堀行進曲」榊原清子

昭和4年、「東京行進曲」佐藤千夜子

昭和11年、「大金沢行進曲」松平晃

昭和11年、「四季の金沢」金沢北廓連中

「船玉節」金石の民謡

昭和5年、「金沢小唄」梅若

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