金沢蓄音器館

館長ブログ ほっと物語

2013年4月

その133「”ウミ”の思い出」

「海は広いな 大きいな 月がのぼるし 日が沈む

 海は大波 青い波 ゆれてどこまで 続くやら

 海にお船を浮かばせて 行ってみたいな よその国」

 (作詞・林柳波、作曲・井上武士)

この「ウミ」という歌が文部省の「ウタノホン
(上)」に載ったのは1941(昭和16)年のこと
だった。
作詞者、林柳波には軍部から「海国日本を象徴し、子供のときから海に憧れを抱くような歌をつくれ」と言われたという。
国民学校(小学校)の生徒が「少国民」と呼ばれた時代だ。
世に出た時期から見ても、この歌は戦争の歌だという意見もあるが、軍国時代でなくとも海の向こうに憧れを抱かせる夢ある歌だと思う。
だからこそ2006(平成18)年、親子で長く歌い継いでほしい童謡・唱歌や歌謡曲といった抒情・愛唱歌の歌、一般から募った895曲から選ばれた「日本の歌百選」の1つに選ばれているのではないだろうか。

さらに歌百選には1910(明治43)年「尋常小学読本唱歌」に発表された「われは海の子」も入っている。

小学校のとき、石川県では「夏休み帳」という夏休み中にせねばならぬドリルがあった。いわば宿題だ。
5年の時、小生がその表紙のモデル?になった。
金沢近郊の港に係留されている漁船の上で、友人と3人で手を振っている写真である。
50年も前のことだ。

海水パンツをはいたその姿を見ると、「ウミ」という唱歌が頭に浮かぶ。

さて、「ウミ」といえば

「海」(松原遠く 消ゆくところ~)

も心に残る名曲だ。


「ウミ」が入った「ウタノホン」のSP
(ビクター盤)

「ウタノホン」の解説歌詞カード
(ニッチク盤)

昭和37年小学校5年用夏休み帳
その132「お宝のサンプル盤(越路吹雪編)」

「サンプル盤」をご存知だろうか。

「サンプル盤」は、レーベルが白い紙でゴム印のレコード番号しか記載されなかったので、「白盤(しろばん)」とも呼ばれていた。

レコードメーカーが新しく商品を発売する際、販売特約店に事前に音を聞いてもらい多くの注文を取るため、ラジオ局などに渡して放送回数を増やしてもらうため、街頭宣伝のためなどに使われたレコード盤のことだ。

昭和の時代までレコードには物品税が課せられていたが、販売用でなかったためこのサンプル盤には税務署の印を押し、非課税品だった。

金沢蓄音器館に収蔵されているSPレコードの中には、多くのサンプル盤もあるが、歌が収録されただけでなく、歌手自らが挨拶をいれたり、曲紹介をした珍しい盤がある。

ひとつは、「愛の讃歌」「ろくでなし」などの代表曲を持つ越路吹雪のものだ。

越路吹雪は「ひとつの心」を1951(昭和26)年コロムビアから発売したが、そのサンプル盤の冒頭部に

「わたくし、越路吹雪でございます。長い間の宝塚生活とお別れして、この度東宝とコロムビアの専属として入社いたし、舞台、映画、レコードの新しい道を踏み出すことになりました。
この度の東宝映画「哀愁の夜」はそういうわけで新しい第1歩でございます。
幸い「哀愁の夜」の監督杉江先生と主題歌「ひとつの心」を作曲してくださった原先生はお二人とも東京の門からのお馴染みなので、楽しく、張りきってお仕事させていただいています。
何卒、越路吹雪を今後ともよろしくご指導くださいませ」

と、本人が挨拶を入れている。
声も随分と若いが、宝塚出身らしく凛々しさと新しい仕事への意気ごみを感じることが出来る。

お宝の1枚だが、他にも美空ひばりの盤もある。(つづく)


サンプル盤:越路吹雪「ひとつの心」
レコード番号SRは、本人の声、メーカー宣伝担当者のコメントが入った特別盤





「ひとつの心」の歌詞カード

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