金沢蓄音器館

館長ブログ ほっと物語

2014年1月

その152親子二代で書いた日経”文化”欄

 平成25924日付けの日経新聞朝刊「文化」欄に、「蓄音器、“生の声”奏でる」として小生の記事が掲載された。

当館誕生のいきさつから始まり、蓄音器やレコードにまつわる話、大隈重信、乃木希典の実声、ネズミ駆除薬「猫イラズ」の宣伝盤など珍盤、貴重盤などの紹介、また時代を彩った盤をCD化した話などを書いた。美空ひばりなどの宣伝用サンプルレコードを見つけたことも付け加えた。

 

美空ひばりのサンプル盤は、当館にしか所蔵されていないのではと推測される。
昭和24年、デビュー2作目の「悲しき口笛」のイントロのなかで「美空ひばりでございます」と名乗っている盤、昭和32年、「波止場小僧」のレコードでは自らが曲紹介をしているお宝の2枚だ。当館への寄贈されたカビだらけのレコードの中から、盤を綺麗に磨いている時に偶然見つけたもの。

このサンプル盤を見つけた話は、共同通信社を通じて日経、産経、読売、朝日、愛媛、室蘭、北日本、信濃毎日、沖縄タイムス、京都、日本海、南日本、山陽、福井、福島、北陸中日、北国新聞など全国紙および地方紙計32紙に大きく掲載された。注目を集めたことは確かである。

 

時代の流れに逆らえず淘汰された蓄音器だが、味わいある音は残すべき価値を持っている。
34分の短い再生時間しかなく、ノイズもある。高域は6000ヘルツしか出ない。しかし優しく、ホッとする、眼前で演奏しているかのようなリアル感ある音である。
そんな音が好きか嫌いかは聴く人の判断だが、ノイズのない綺麗な音色に慣れた若い人たちに、電気も使わないのにかつてこんな音があったことを知ってもらいたいと熱望している。

 

父である初代館長もこの日経「文化」欄に掲載された。親子二代に渡っての登場は名誉という他はない。ますます力を入れて蓄音器の素晴らしさを伝えていきたいと思っている。


平成25年9月24日付
日経新聞朝刊「文化」欄
「蓄音器、”生の声”奏でる」
八日市屋典之




平成13年5月14日付
日経新聞朝刊「文化」欄
「蓄音器の妙味を伝える」
八日市屋浩志

その151“空から謡が降ってくる”金沢がNHK全国放送に

 



平成256月初旬。山出保前金沢市長が上梓された「金沢の気骨」出版記念パーティーでのことだった。
横の席に座った吉野晴夫金沢能楽美術館長との話である。
吉野館長は能楽師であり、重要無形文化財総合指定の森田流笛方だ。

 

蓄音器館には、明治、大正、昭和初期の宝生流の盤が多くある。貴重な音源もあると思うのだが、詳しい吉野館長に収蔵するSPレコードを一度聴いてもらい、一緒に有効活用する方法が考えられないかと相談をした。

「それは面白い。一度蓄音器館に伺いましょう」ということになり、所蔵SPの中から選曲し、8月には金沢能楽会員の面々が当館を訪れ、実際の音を聴く会を開いた。

宝生(しん)、松本(ながし)、野口兼資(かねまさ)、宝生九郎(くろう)など、ハヤシ方では一噌又六郎(いっそうまたろくろう)(笛)、(こう)悟郎(小鼓)、川崎利吉(大鼓)、観世元業(もとなり)(太鼓)など今では聞けない人間国宝クラスの盤を聴いた。

お能では通常、ワキ方は謡わないものだが、そのワキ方が謡った盤もあり、一同感嘆の声を上げた。

 

こうして本年216日、39日の2回に分けて、金沢能楽美術館で吉野館長の解説付きで一般公開し、当時の蓄音器で聴く会を開くことになった。

 

おりしもNHKからは宝生九郎の「三井寺(みいでら)」のSP盤について問い合わせがあった。この盤を実際にかけたところNHKサイドは蓄音器の音の綺麗さに驚き、太田光と田中裕二のNHKテレビ「探検バクモン」で平成2618日、取り上げられることになり、この日総合テレビで全国放送された。





NHKで映されたビクター盤、
宝生九郎の「三井寺」

音が放送された東京レコード盤、
宝生九郎の「三井寺」、当館所蔵

松本長の「鶴亀」のコロムビア盤