金沢蓄音器館

館長ブログ ほっと物語

2015年8月

その191「往年の大スターと蓄音器館」

 
平成17108日、往年の大スター池部良さんが亡くなった。未亡人はご主人の残した生前の映画資料、衣料、雑貨などを1人で整理するのに3年余りを費やした。
その中に邦楽の一流の演奏者を録音したSPの貴重盤があった。五世芳村孝次郎(改め松永和風)「越後獅子」、芳村伊十郎「勧進帳」、吉住小三郎「京鹿子娘道成寺」などの名盤だった。
平成25年初頭、そのレコードをどうすれば良いか親交のあった後藤眞吉さんに相談した。

後藤さんは、地元北国新聞社主催のエッセイコンペで「金沢蓄音器館のこと」と題した作品で赤羽萬次郎賞を受賞した人だ。

 後藤さんはいろいろ調べ、「金沢蓄音器館がいい」と助言した。
その理由は、無条件に引き取ってくれること、寄贈された方の名前が館内に表示されていること、金沢という文化の香る街に思い出の盤が残ることは故人にとっても嬉しいことではないかーということで当館に寄贈されることになった。

 平成254月に送られてきたSP盤は綺麗な装丁だったが、製造以来7080年もたっておりカビにまみれていた。そのカビを落として、磨くとピカピカになり新品に戻った。盤を大切にしていた池部さんの想いが伝わってくるのだ。

 
同じ盤もたくさんあるので当館が所有していない盤だけ寄贈受けたら? という声もある。そうではない。送られてくるカビだらけの盤に、前の持ち主の想いが込められている。盤は割れたり、針で削られるので音溝は減ってしまう。複数枚あってもよい。CDとは違うのだ。そして、埃まみれに中にたいへんな貴重盤、珍盤があるかもしれない。

 
東京在住の後藤さんは、「TVで金沢の魅力を知るたびに今までにない親しみを感じる、東京駅で北陸新幹線の雄姿を見るたびに期待感が高まる」と喜んでいる。

 



池部良夫人の寄贈レコードの一部
保管状態が良好で、綺麗な装丁だ



「清元・隅田川」の盤と解説書
五世清元延寿太夫、四世清元栄寿太夫



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