金沢蓄音器館

館長ブログ ほっと物語

2016年3月

その208金沢が生んだ作詞作曲の名コンビ

 

毎年6月になると前田利家公金沢入城を祝って“百万石まつり”が開催される。産業復興の祭りとして戦後昭和28年より始まった。賑わいの踊りと音頭が求められ「百万石ぶし」、「加賀ばやし」が作られた。今も、祭りになると街中にこのメロディーが溢れる。

作詞・梅木勝吉(かつよし)、作曲・飯田景応(けいおう)が金沢市観光協会からの依頼で制作したものだ。この2人は当時全国的に知られた存在だった。地元市町村の歌、進駐軍の御用ホテルだった金沢・湯涌温泉の白雲楼(はくうんろう)のPRソング、全国向けでは東芝レコードから藤島桓夫(たけお)で「迷惑ぶし」など13曲をコンビで作っている。

 

飯田景応は金沢市立工業から東洋音楽学校へ進み、昭和13年7月にはポリドールから「波止場気質」(唄・上原敏)でヒットを飛ばした。戦後は、NHKラジオ「世界の音楽」、「三つの鐘」で編曲、新しい採音法などその才能をいかんなく発揮、テレビでもフジの「鶴田浩二シリ―ズ」で音楽を担当している。作曲では、昭和35年に藤島桓夫の「月の法善寺横丁」が大ヒットした。

 

梅木勝吉は本職が警察官だった。昭和29年、県警発足を記念した「石川県警察歌」に応募し129編のなかから当選歌になった。(館長ブログその150に詳しい)

昭和31年には報知新聞社の募集歌で優勝、「お相撲さん節」としてコロムビアより全国発売された。副賞は賞金5万円だったと当時の新聞は伝える。県内の津幡、七尾、鶴来、輪島などの市町村歌も作詞しており、「歌づくりのお巡りさん」として知られた存在だった。

 

平成283月5日、梅木さんの長男勲夫(いさお)氏、飯田さんをはじめ県内51人を15年かかって6冊に収録し研究している中田善次郎氏を当館にお呼びした。梅木、飯田の両氏がどうして知り合ったのか、どのようにして名曲が誕生したのかを探る会となった。
方言である金沢弁だらけの歌詞、どちらにしようかと当初2種類あった異なる旋律は甲乙つけがたく結局その2つとも採譜しそれぞれ1番、2番としたことなど、独創的な制作秘話を紹介。来館者一同は身を乗り出して聞き入っていた。

 

「金沢は歌になるまち」というが、“まち”がこの歌を生んだといえる。金沢人として大事にしていきたい。


作詞家:梅木勝吉氏


作曲家:飯田景応氏


中田善次郎氏(左)、梅木勲夫氏(右)



タイヘイレコード「加賀ばやし」
「来まっし、見まっし、寄るまっし」と
金沢弁の歌詞で唄われている
その207「蓄音器の修理、整備は時計屋で

SPレコードの持ち運びするために木製ケース(「サック」と呼ばれた)がある。

10インチ盤(25㎝)用が多いが、12インチ盤(30㎝)用もある。


10
インチ用は内寸5㎝位で20枚ほど入る。厚く幅のあるものは、内寸12㎝ほどで40枚くらい収められる。10インチ盤1枚で約200gの重量なので、8kg以上になり随分と重い。
表面は紙が貼ってあるものが多く、きゃしゃな取っ手では壊れてしまうのではと思ってしまう。

 

この木製レコードケースの中に「蓄音器およびレコードの取り扱い保存について」と注意書きが印刷されたものがあった。

「演奏上の注意」として、針は1面毎に新しいものをつかうこと、サウンドボックスの針孔の底まで針を入れること、回転のためのネジ(ゼンマイのこと)は十分に巻き演奏の途中で巻くのはよろしくないと書かれている(きつく巻くとゼンマイが切れる恐れがあるので、小生は目いっぱいに巻かないが)。
回転盤(ターンテーブル)に盤をのせ、針をレコードの溝の外側の平らな面に乗せれば内側の溝に滑り込む、とあり随分丁寧な説明だ。


「演奏後の注意」として、演奏後はゼンマイを全部ゆるめて、ゼンマイの老化を防ぐこと、メリヤスの柔らかい布にオイルを浸した艶ふきんで金属部やキャビネットをふくことと書かれている。

「蓄音器の保存と手入れ」では、回転むらのときは時計屋で分解掃除することと書かれている。時計も蓄音器もゼンマイで動くので、蓄音器が出始めたころの取り扱いは時計屋が多くあったからだ。
時計のSEIKO(精工舎)も「ミカサ」という蓄音器を作っている。

「レコードの保存と手入れ」では、湿気、日光の直射、ほこりをさけて必ず平らに置いて、盤を立てないこと。平らなら数枚重ねても構わない。(当館では1箱に8枚ほど重ねている)さらにカビが生えたら風通しのよい日陰で乾かし、レコードブラシでカビをきれいに落とすことが大切だとある。

 

持ち運び用のケースにも高価なレコードを大切に扱うよう案内がされていたわけだ。
さらにその注意書きには「蓄音機」ではなく「蓄音器」と書かれている。 

 

*精工舎、ミカサ

ポータブルと卓上型あり。ポータブルが主力。これはビクター横型ポータブル2-5をモデルにした。細部は凝っており半自動ストッパーがついている。卓上型は12種発売されたが音質はたいしたことはない。(「昔なつかし蓄音器」鈴木啓三著より)


10インチ(25cm)盤用レコードケース


蓋うらに書かれていた蓄音器とレコード盤
取り扱い注意書き


SEIKO(精工舎)製「ミカサ」
卓上型蓄音器



ミカサの扇子マーク

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