金沢蓄音器館

館長ブログ ほっと物語

2018年2月

その260暖かい雪

 夕方6時過ぎ、玄関のインターホンが鳴った。「こんな時間に、はて?」と思い、出てみると三十歳前後の男性だった。

 彼は4,5日前、旧市街の裏路にある小生の自宅前で圧雪のためタイヤが空回りしていた乗用車を運転していた人だとすぐにわかった。

 そのスリップして動けない車の後ろには何台も並んでいた。近所の何人か、並んでいる車の運転手等も車から降りてきた。

スコップで雪に沈んだタイヤ前の雪をすかしたり、滑るタイヤの前後には段ボール、藁のむしろを引いたり、後ろから車を押したりして雪からの脱出を手伝った。
ようやく車は大きく揺れながらも動き出した。

 ゆっくりエンジンをふかして、細かく前進後進を繰り返したりする雪道ならではの運転方法を教えてもらったおかげですと感謝の言葉を語った。

名前は名乗らなかった。

彼は「受け取ってください」と菓子を差し出しながら言った。「こんな雪の日はお互いさまです。結構ですよ。自分もその先のところで同じ目に遭いましたから。お気持ちはありがたく頂戴します」と断ったが、彼は頑なに手を差し出した。

連日の雪透かしで歳のせいか体のふしぶしが痛くなる身に取って鎮痛湿布以上に暖かい出来事だった。

金沢にはまだこんな光景があった。  


偶然、新聞1面を飾った小生の車
皆さんの応援でようやく脱出できた




お礼にといただいた





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