金沢蓄音器館

館長ブログ ほっと物語

2017年12月

その256黄門さまは歌手だった

 



コガ・ミュージアム講座「蓄音器とSPレコードで楽しむ日本の流行歌」が第5回目のゲストに里見浩太朗さんを迎えて開かれた。

1回は飯田久彦当館名誉館長と小生の2人で、翌年から毎年ゲストに菅原都々子さん、ペギー葉山さん、伊東ゆかりさんを迎え、今年は里見さんをお迎えした。

 

平成291123日(木、祝)14時から東京代々木上原にある古賀政男音楽博物館のけやきホールで開かれ、朝からの雨にもかかわらず満席の観客でうまった。

国民的テレビ番組の「水戸黄門」で助さん、格さん役を務め、その後水戸黄門役までの3役を1人でつとめた役者は里見さんしかいない。まぎれもない時代劇の第一人者だが、テレビの「リーガル・ハイ(主演・堺正人)」では服部さんという執事の役として出演。若者にも絶大な支持を得た。

 

イベントのSP盤を聴くコーナーでは美空ひばり「東京キッド」からスタート、岡晴夫「東京の花売り娘」、ジーン・ケリー「雨に唄えば」など里見さんが影響を受けた10曲あまりの曲をかけた。唄にまつわるいろんなエピソードに観客は熱心に耳を傾けた。

歌が好きでNHKラジオのど自慢に出演し鐘三つ鳴らしたという。

東映の映画スター候補生だったが、下積みを経験して昭和33年には「金獅子紋ゆくところ」で初主演。主題歌「金獅子紋道中唄」でポリドールレコードから歌手デビューを果たした。もちろんSP盤の時代だ。
その後「お江戸祭り唄」も発売された。

蓄音器は、ビクター社長室からお借りしたビクター8-30、通称「クレデンザ」を使った。里見さんも一緒に唄いながら「ずいぶん若い声だね!」と懐かしく当時を語った。
途中、曲の後半に演奏が急に止まる蓄音器ならではのハプニングに見舞われヒヤリとしたが、会場の笑いに救われた。

 

休憩の後、里見さんの生の歌声を聞いたが81歳とは思えぬ声量と音程の確かさ、うまさに観客一同の大きな拍手は鳴りやまなかった。

 

 



蓄音器はビクター8-30「クレデンザ」

デビュー盤「金獅子紋道中唄」

第2作の「お江戸祭り唄」

里見さん、熱唱!

飯田さん、里見さん、小生(左から)
その255「熱き想いが作った山中節のCD

平成29年11月25日にNHK総合テレビで放送されたことだが、それは平成26年6月5日に始まった。

この日、山中温泉在住の若手で山中節の愛好者の面々が来館し、金沢蓄音器館に収蔵されている山中節のSP盤への想いを語った。
レコード盤はいずれ消耗したり割れたりして音は消えていく。自分たちでもレコード盤を集めているが、当館にある貴重盤を調べて何とか音をデジタルで残していけないだろうかという。
口角泡を飛ばすその熱心さに圧倒され、協力を約束した。

こうして調べた200枚ほどの盤の中から重複した同じ盤を外したり、欠けたり割れたりしたものを除外して83曲をデジタル化することになった。
当時の盤を、当時の蓄音器で、再生する音をデジタル化するのが一番いい。SP録音経験が豊富な元コロムビアのエンジニア、渡辺義之氏にお願いしたところ"喜んで"協力していただいた。
蓄音器はビクターの高級卓上型1-90を選んだ。

本年、その曲の中からさらに23曲を選んで「山中節アンソロジー」とタイトルをつけた収録集を、著作権の問題などの越さねばならない山を越えてようやく11月に発売した。
大正、昭和の戦前戦後の山中節だけでなく山中甚句、山中音頭、山中夜曲、映画劇の山中小唄なども含まれ山中節のサウンドスケープといえる。
戦前にジャズ調にアレンジされたもの、戦後にアップテンポな曲調に編曲されたものなどの変遷も興味深い。
音源のみでなく歌詞、写真、解説の資料も24ページと充実させた。

CD完成直前、このCDに収録されている歌手、柳香(りゅうか)さんが東京浅草でお元気だとわかった。出来上がったCDを山中温泉の面々が届けに行くという。

山中節の愛好者、レコード会社、当館、と想いを持った人たちの集まりが、この「山中節アンソロジー」を生んだ。文化の輪の熱さを味わっている。

山中温泉山中座、当館などで2,000円(税込)で手に入る。



山中節アンソロジー 23曲入 2千円(込)

山中節アンソロジー チラシ

CD完成記念イベントがTVで放映

山中節 唄:柳香

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