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再入荷しました! ~オリジナルロゴマーク入り トートバック~H29.10..15
【ショップコーナーより】一昨年あっという間に完売してしまいました記念館オリジナルロゴマーク入りトートバック、 遂に再入荷いたしました!
スタッフK
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ギャラリートーク開催のお知らせH29.5.27
来年5月まで続く(!)連動展の情報満載な年間チラシなるものを作成したために、細かなイベント情報を記載することができなくなってしまった今回の企画展。無事初日もあけ、何となく先のスケジュールも見えてきたところで、ギャラリートーク等のミニイベントの開催日などはその都度発信させていただく予定です。![]() 当日は金沢百万石まつりの協賛事業として毎年恒例の加賀友禅燈ろう流しの日。あちらは19時からの開始ですので、当館をご観覧後、ちょっとどこかでお茶を飲んでからでも十分間に合います。 鏡花の母鈴が埋葬された卯辰山のふもとを流れる浅野川をほのかに照らす幻想的な風景と合わせておたのしみいただけましたら幸いです。事前申し込み不要、入館料のみいただきます。イベント紹介ページをご確認の上、ご参集ください ←浅野川界隈が幻想的な非日常空間と化す加賀友禅燈ろう流し (写真提供:金沢市) 学芸員
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講座「KYOKA 1907―怪談の親玉となる日まで―」H29.5.27
さて、昨日より無事開幕したしました企画展「1907―明治40年の鏡花」。関連講座も予定されており、今月30日(火)からはその第1弾である怪談専門誌「幽」編集顧問の東雅夫氏による講座の申し込み受付が始まります。これに先立ち、東さんから講座のご紹介を兼ねた特別寄稿をいただきました! 「明日のために──怪談の親玉となる日まで」 明治40年(1907)は、鏡花にとって散々な一年だった。元日から開始した長篇「婦系図」の連載に疲弊して体調を崩し、「中央公論」への寄稿をドタキャンする為体【ていたらく】。職人気質の鏡花にしては珍しい。そもそも逗子に滞在していたこと自体、静養のためだったのだから、無理が祟ったのだろう。東京では不粋で田舎臭い自然主義が、文壇を席巻していた。盟友の登張竹風と共訳した「沈鐘」は長谷川天渓から、これまた不粋な難癖をつけられる始末。柳川春葉夫人の病気見舞に添えた「萩桔梗枕あげさせたまへかし」の句は、鏡花自身の心境でもあったと忖度される。 とはいえ、次なるステージ、反転攻勢への準備は着々と調いつつあった。 何よりこの年には、前年冬の「春昼」「春昼後刻」に続いて「草迷宮」の構想・執筆が進められていた(翌41年の元日に春陽堂から書き下ろし刊行)。まさに苦衷と逼塞のさなか、鏡花幻想譚の二大傑作が生まれ出たわけで、ここには文芸という営みの秘鑰が垣間見られる気がしてならない。鏡花自身、並々ならぬ手応えを内心感じていたのであろう、逗子に来訪した中村武羅夫に対して、一種の幻想作家宣言というべき記念碑的談話「おばけずきの謂れ少々と処女作」(平凡社ライブラリー版『おばけずき』巻頭に収録)を熱く語っている。ちなみに鏡花はこのあと「たそがれの味」「ロマンチックと自然主義」「予の態度」「怪異と表現法」「旧文学と怪談」など、みずからの文学観・創作観・怪談観を表明した談話やエッセイを相次ぎ発表、これらは後世、幻想と怪奇の文学に志す人々の得がたき指針となってゆく。 鏡花の心酔者は同時代にもいた。鏡花に憧れ岩手の遠野から上京した文学青年・佐々木喜善は、この年、鏡石という雅号を用いた幻想譚「長靴」を発表、上田敏に激賞される。そして前年の秋に出会って「おばけずき」で意気投合した水野葉舟とともに、同世代の文学青年たちを巻きこみ、盛んに怪談会に興じることとなる。翌41年(1908)春にかれらは「怪談研究会」を旗揚げ(と推測)、余勢を駆って両人は柳田國男に接近、同年11月に柳田邸で遠野の怪談話を披露し、それが柳田による怪談実話本『遠野物語』に結実するのは、すでに有名な話だろう(拙著『遠野物語と怪談の時代』参照)。 同じ41年の7月、鏡花は新派劇の盟友・喜多村緑郎らと向島で、その名も「化物会」を開催する。以後、毎年のように盛大に開催されることとなる、鏡花一党による怪談会の嚆矢である(ちくま文庫版『鏡花百物語集』参照)。時期を同じくして、柳田國男は宮崎の秘境・椎葉村を探訪して土俗の神秘を体感、また夏目漱石は「東京朝日新聞」に文学的百物語の試みともいうべき連作「夢十夜」の連載を開始した……。 史上空前の「おばけずき」黄金時代が、ここに幕を開けようとしていたのである。 大正8年(1919)夏、「都新聞」に連載されたコラム「怪談の会と人」(無署名だが平山蘆江による記事と推測)において、鏡花は「怪談の親玉」と呼ばれている。鏡花先生、苦笑しつつ、まんざらでもなかったろうと、忖度する次第である。 東雅夫(平成29年5月10日) ![]() (←喜多村と逗子で夜通し怪談に興じたことを記した鏡花の書簡。明治40年4月20日付 泉豊春宛) 怪談史という、既存の文学研究とは異なる視点からの鏡花文学へのアプローチを長い年月をかけて積み上げてこられた東さんならではの、興味深いお話が伺えそうな90分です。 開催日時は6月17日(土)13時半から15時まで。お申し込み等はイベント紹介ページにてご確認ください♪ 学芸員
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新企画展「1907―明治40年の鏡花」開幕です!H29.5.26
本日より平成29年度の新企画展「1907―明治40年の鏡花」が開幕いたしました!「1917―大正6年の鏡花」(9/30-12/3 ※10/31-11/2一部展示替えのため休館)、「1927―昭和2年の鏡花」(12/9-5/13)と、向こう一年掛けて開催する連動企画の第1期展の始まりでもあります。 明治36年の尾崎紅葉の死、そして明治38年の最愛の祖母の死を経て、心身の不調に陥った鏡花は38年夏から逗子に移住、明治42年までの約4年を過ごします。自然主義文学隆盛期にもあたり、文壇的には逆境といえる鏡花でしたが、この時間が自己の文学と向き合い、深化させる重要なひとときであったことは、この期に発表された「春昼」「春昼後刻」、そして「草迷宮」といった作品にも明らか。苦境に立たされるほどに前人未踏の境地に分け入っていくのが鏡花です。 そんな逗子時代を中心に、明治40年の前後5年ほどを俯瞰する「1907」展は会期中無休ですが、前後半で入れ替わる資料がありますので、ちょっとご案内。まず5月26日(金)から7月23日(日)までの限定展示の岡田三郎助画「草迷宮」口絵原画、そして7月24日(月)から9月24日(日)まで展示予定の「雨声会寄書扇面軸」(徳田秋聲記念館蔵)です。 ![]() (←他館さんの収蔵品のため画像サイズ控えめです) 寄せ書きの面々は国木田独歩、幸田露伴、田山花袋、島崎藤村、そして徳田秋聲、泉鏡花など、かなり豪華。巖谷小波の箱書があることなどから小波の旧蔵品であることが推測されますが、現在は〝川向こうさん〟こと徳田秋聲記念館で大切に保管されているこの資料。今回の「1907」展にふさわしい展示品として、期間限定でご出品いただくことになりました! 折角ですから秋聲ファンの方々は7月24日からの後半展示にご来館いただくと良いかもしれません。 その他の展示品につきましては、当館公式FBなどでもご紹介しておりますので、ぜひこちらでご覧ください。 なお、8月5日(土)には、秋聲館の前学芸員であり、現在は山梨大学で秋聲研究を続ける大木志門氏による講座「1907年の秋聲と鏡花―〝文学〟の二筋道」を開催。お申し込み等はイベント紹介ページをご確認ください。 たくさんのご来館&お申込み、お待ちしております! 学芸員
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泉鏡花記念館図録「鏡花」改訂増刷版発行です!H29.3.20
昨年5月から完売による品切れが続いておりました当館図録「鏡花」の改訂増刷版をようやく発行、本日からミュージアムショップにて販売を開始しました!![]() モチロン、主要参考文献ページも更新! 鏡花研イチの目録作成の鬼・田中励儀同志社大学教授による単行本・雑誌特集・図録等の参考文献目録を収録。最新刊はなんと!平成29年3月2日発行書。ギリギリまでねばりました。 なお、通信販売の受付は21日(火)からとなっております。詳しくはショップ紹介ページをご覧ください。 学芸員
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泉鏡花記念館文庫『爪びき・道陸神の戯』発刊です!H29.2.24
作品の知名度にこだわらず、鏡花短篇の佳作を紹介することを旨に泉鏡花記念館オリジナル編集でお届けする文庫〝いつか読んでみたい一冊〟第3集『爪びき・道陸神の戯(どうろくじんのたわむれ)』を発行しました! 平成24年に発行した第2集の完売を受け、旧版の増刷か、あるいは新刊発行か悩むところでしたが、知られざる佳品に触れていただくため、新刊を世に送り出す方に舵を切りました!第1集『化鳥・夫人利生記』、第2集『絵本の春・寸情風土記』ともに、鏡花の郷里金沢を中心に北陸三県を舞台とする作品を重点的に選んできましたが、第3集は視点を変え、〝芸術の使徒〟として、〝現実を現実としてのみ描きたくは無い、現実を通して更に最う一層大きな力に到りたいのだ〟と、論を得意としないながらも自己の文学的姿勢について鏡花なりの言葉で表明した「予の態度」を巻頭に、その作風をよく体現した佳品6篇を収録しました。 ![]() 明治32年(1899)1月1日、「雪の山家」のタイトルで「読売新聞」に発表後、明治34年12月の『短篇奇談勢揃ひ』(晴光館)収録の際に現行の如く改題された「立春」は、郷里金沢の父母の墓を訪れる様子を描いた〈墓参小説〉と称される作品群の一つであり、作中の地名を辿るまでもなく、舞台は鏡花9歳の時に死去した母鈴が埋葬されたという卯辰山を想起させます。世俗から取り残されたように旧暦にしたがい日々を営んできた集落にまで近代化の波が及ぶのを惜しみつつ、それでも変わることのない滝の音に耳を傾ける末尾の一文が印象的な作品です。 収録作中、最長篇となった「爪びき」は、明治44年(1911)12月、「文芸倶楽部」(博文館)第17巻第16号に発表されました。明治42年2月に逗子から東京に戻り、翌43年5月に終の棲家となる麹町区下六番町の家に転居した頃を写した作品。逗子移住前―師尾崎紅葉に隠れてすゞと同棲していた神楽坂時代から逗子滞在期を経て、麹町区土手三番町、そして同区下六番町と居を移した鏡花の実生活と、帰京の遠因ともされるすゞの大病を背景とし、当時の鏡花夫妻を支えた〝鏡花先生の小説を愛読する人々の集(あつま)り〟である〝鏡花会〟の面々を思わせる人々が登場するなど、生身の鏡花に接近した作品でありながらも、夫妻の知人として登場する三味線の名手の女性をめぐる、まるで〝音楽の神様〟に見込まれたかのような不思議を描いた、鏡花幻想譚と世話物双方の魅力をあわせ持つ佳編といえるでしょう。 大正14年(1925)1月、「サンデー毎日」(大坂毎日新聞社)第4年第1号に発表された「道陸神の戯」は、鏡花の初恋の相手として知られる2歳年上の幼なじみ湯浅しげを思わせる女性への主人公の尽きせぬ思慕をコミカルに描いた作品。従来ならば母恋いに重ね合わせ、情感豊かに描き出すことが多かったモチーフを、諧謔味(かいぎゃくみ)あふれる短篇に仕上げてみせたところに、齢五十を過ぎた鏡花の筆の円熟が感じられます。 母鈴亡き後の泉家と幼少時の鏡花を彷彿(ほうふつ)とさせる「霰ふる」は、大正元年(1912)11月、「太陽」第18年第15号に発表されました。これに先立つ同年5月、「新文壇」(日本文章学院)第7巻第2号に「幼い頃の記憶―人から受けた印象―」として掲載された小品とともに、鏡花幻想の原風景的な作品として注目度が高く、他の四篇とは異なりこれまでにも文庫収録歴がみられますが、鏡花の創作の原動力を〝みつめなおす〟意味で、本書を締めくくるにふさわしい必読の二作として敢えて巻末に据えています。 世に言う〝代表作〟のみで作家を語ることはできません。知られざる優品を通して鏡花のあらたな魅力に触れていただければ幸いです。 ※販売は当館ミュージアムショップ限定。通信販売は3月1日からスタートの予定です。 学芸員
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企画展「酉TORI/卯USAGI―錦絵で愉しむ向かい干支」H28.12.11
久々にブログを更新しようと開いたら、何と!前回のタイトルは「謹賀新年」。とんだ筆不精ぶりをさらすこととなり、前回記事の「あけましておめでとうございます!」の文字が疲れ目に突き刺さります……。来る成立百年を記念し、開催いたしました特別展「宇野亞喜良×山本タカト『天守物語』」は先ほど無事終了いたしました。たくさんのご来館、ありがとうございました! 東京展でスタートし、鏡花のふるさと・金沢に里帰り巡回しました同展は、明くる1月5日より作品の舞台・姫路城のお膝元である姫路文学館にて開幕! ある意味、故郷に錦を飾ります。姫路文学館の展示室面積は当館の5倍近く、最も大規模な展示会場となります。ぜひ足をお運びください。 さて、富姫一行を泣く泣く?姫路へと送り出した当館の次なる企画展は、「酉TORI/卯USAGI―錦絵で愉しむ向かい干支」。来る酉年、鏡花が年男であることにちなんだ展覧会です。 ![]() 折しも平成29年(2017)は鏡花生誕から数えて13回目の酉年。本展では主に名月氏が後年蒐集した貴重な錦絵に、鏡花遺愛の兎グッズを交え、泉家二代にわたって愛好された向かい干支の世界をおたのしみいただきます。 会期は前期展が12月17日(土)から2月28日(火)まで、そして後期展が3月3日(金)から5月14日(日)まで。前後期で錦絵は総入れ替えとなります。12月12日(月)から16日(金)までと3月1日(水)2日(木)は展示替えのため休館となりますのでご注意ください。 それでは次回企画展もたくさんのご来館、お待ちしております♪ 学芸員
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謹賀新年H28.1.6
あけましておめでとうございます! 館内整理に追われて出遅れましたが、スタッフ一同、元気に新年を迎えています。さて、本日もたくさんのご来館をお待ちしております!……と言いたいところですが、当館は2月5日(金)まで空調工事のため休館中です。平成11年の開館から毎日、休まずフル稼働してきた空調設備もさすがに限界に達し、昨年から今年にかけ二回に分けて総取り替えを行っております。長期休館でご迷惑をおかけしますが、今しばらくお待ちください。 ![]() 休館中ではありますが、日々の情報は公式FB等で発信中です。こちらもぜひチェックしてみてください。 記念館はしばらくお休みですが、周辺には鏡花ゆかりの地がいっぱい! この冬はお天気に恵まれたせいか、午前中早い時間からそぞろ歩きを楽しまれる方もたくさんいらっしゃるようです。通常の観光では気づかない、金沢の隠れた名所の発見があるかもしれません。 それでは本年も泉鏡花記念館をよろしくお願い申し上げます♪ 学芸員
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特別展「怪異の泉―鏡花 幻影の本棚」第3期まもなく終了です!H27.12.22
9月19日(土)から開催中の特別展「怪異の泉―鏡花 幻影の本棚」も残すところあと5日。あっという間の三箇月が過ぎ去ろうとしています。昭和20年5月の空襲でかろうじて難を逃れた鏡花の現存蔵書をすべて展示してみたい!……という思いではじまった今回の特別展。戦後70年の節目の時にこのような企画を思い立ったのも、何かの因縁かも知れませんが、 時には〝前近代〟と批判された鏡花の物語世界の源泉である草双紙の数々を目にするたび、よくぞ焼け残ってくれました!と彼らの強運に感謝せざるを得ません。 ![]() まずご注目いただきたいのは、愛用の机。螺鈿で源氏香図の意匠が施されていますが、図案は〝紅葉賀〟ではなく〝花宴〟。他にもこの机に用いたと思われる布(多分ホコリ除け)には〝蓬生〟が使われていたことがすでに確認済みです。二十代の若き日から黒紋付きには家紋代わりに〝紅葉賀〟を用いていた鏡花。師紅葉を敬いつつ、愛読した「偐紫田舎源氏」において装幀や挿絵に源氏香図が多用されていることを実生活でもなぞらえて、このような意匠を施したと思われます。 ![]() ![]() 当館は27日(日)の最終日以降、2月5日(金)まで年末年始&空調工事のため長期休館いたします。明日23日は今年最後の祝日。今回が初公開となった鏡花蔵書の見納めに、みなさまぜひ足をお運びください♪ 学芸員
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シンポジウム&特別展第2期終了のご報告H27.11.27
金沢は昨夜から〝霰ふる〟天候となり、冬の到来をひしひしと感じさせる一日となっています。開催中の特別展「怪異の泉―鏡花 幻影の本棚」は大盛況のうちに第2期も無事終了し、昨日からは最終の第3期に突入しております。後の祭りで大変恐縮ですが、10月18日(日)に開催したシンポジウムと合わせて、遅まきながらご報告させていただきます! さて、10月18日のこの日は、金沢市内の至る所で大型イベントが開催されるという特異日。石川県民であれば、県内のほぼすべての文化施設に無料で入館できる「県民文化の日」ということもあり、当館でも関連する催しが被るなど、はっきり言って非常事態。そんななか、SNS等で広報にご協力いただいた多くの方々のご厚意のおかげをもちまして、たくさんの方にご来場いただくことができました。 イベントタイトルは特別展と同じく「怪異の泉―鏡花 幻影の本棚」。鏡花が描いた〝怪異〟について、鏡花の旧蔵書をはじめとする素材―源泉にジャンルを越えて迫ってみましょう!ということで、近世怪談研究から堤邦彦氏(京都精華大教授)、主に錦絵を中心とする日本美術史研究から藤澤紫氏(國學院大教授)、国内外の幻想文学及び怪談史研究から東雅夫氏(怪談専門誌「幽」編集顧問)、そして和本書誌研究から纐纈くり氏(大屋書房四代目)が一堂に会するという、稀有の事態です。 ![]() (左から堤邦彦氏、藤澤紫氏、東雅夫氏、纐纈くり氏。) 神田神保町の歴史に始まり、和書の見どころ、そして明治大正期の古書店番付をもとに鏡花が足を運んだ可能性のある店舗を推定するなど、まさに鏡花の現存蔵書をほぼ全点公開する今回の特別展のど真ん中を行くご講演。お話の一つ一つが展示内容ともリンクして、客席からの注目度も俄然高まります。 ![]() そして、いよいよ鏡花が描いた〝怪異〟の内容について、影響を及ぼしたと思われる近世怪談との関わりをお話し下さった堤先生。鏡花の蔵書目録の中からピックアップしつつ、可能性の高い作品に言及していく中、ご披露いただいたのは慶應義塾御出身の堤先生が同学の大学院生であった頃、実は改修工事に備えて慶應義塾図書館旧館の通称〝鏡花室〟から蔵書の草双紙を他所へ移動する作業にあたったという驚きのエピソード! 実は多忙を極めてシンポジウム当日に直接会場入りし、まだ特別展をご覧になれていなかった堤先生。「あのとき、草双紙に藁がたくさん挟まっていたのが印象的で……。」と語った先生を、シンポジウム終了後に記念館にご案内し、〝藁談義〟でひとしきり盛り上がったことはいうまでもありません。 ![]() お客様の後押しを受けて、東さんがラストスパート! 大正12年8月に東京・井の頭公園の翠紅亭で行われた怪談会に取材した鏡花の「露萩」を取り上げ、その背景に迫る平山蘆江の新資料をご紹介いただくなど、長年の怪談研究のご研鑽あってのご発表で、シンポジウムを締めくくってくださいました。 終了時刻ではなく、会場撤収予定時刻の17時まであと10分というところまで、ねばりにねばった今回のシンポジウム。残念ながらディスカッションの時間は取れず、しかしこれ以上長くてはお客様の方が……と反省しきりでいたところ、「時間が短すぎて残念! 次は倍の時間でもいいよ。」と、ありがたいご要望が続々と! また機会がありましたら再度スペシャルメンバーで、今度は蜷川幸雄演出の舞台さながら半日がかりでやらせていただきます。 ![]() 遅れ遅れの事後報告でまことに申し訳ありませんが、前述の通り特別展はすでに第3期に突入。鏡花の初期の名作「化鳥」の素材として知られる「釈迦八相倭文庫」をはじめ、所狭しと並んだ草双紙は会期中最大数です! ぜひ足をお運びください♪ 学芸員
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特別展開幕&シンポジウム開催のご案内H27.9.26
みなさま、今年二回目の大型連休〝シルバーウィークは〟いかがお過ごしでしたでしょうか? 北陸新幹線開業から半年、金沢の街はゴールデンウィーク以上の賑わいを見せたところもあったようです。さて、9月19日(土)から開幕いたしました特別展「怪異の泉―鏡花 幻影の本棚」。当館としては平成20年冬の「幽霊と怪談の展覧会」、そして翌平成21年冬の「幽霊と怪談の展覧会Ⅱ」に続いて三度目の〝鏡花〟と〝怪異〟をテーマとする展覧会です。鏡花の怪異小説を広くご紹介した初回、そして前期を「湯宿の怪」、後期を「金沢奇譚」と題して、〝怪異〟を生み出す〝場〟に注目した第二回とは異なり、今回は鏡花が描く〝怪異〟の源泉ともいうべき蔵書―つまり読書体験に焦点をあてた展覧会です。 昭和14年9月7日、65歳で冥界に旅立った鏡花。自筆原稿や愛用品など、その遺品の多くは昭和16年と17年の2回に分けて鏡花の盟友・水上滝太郎の出身校である慶應義塾大学の図書館に寄贈され、特別展示室が設置される予定でしたが、戦況の悪化によって叶わず、また昭和20年5月の空襲で寄贈された蔵書の大半が焼失するなどの苦難が続きました。それでも蔵書以外の貴重な資料はその後も大切に守られ、現在も同館で保存されています。 戦火を免れ、鏡花世界の様相を今に伝える遺品類のうち、これまであまり光をあてられることのなかった鏡花の蔵書―幻影の本棚。今回の特別展では焼け残った現存蔵書を3期に分けて全点展示、鏡花の〝想像〟と〝創作〟の〝泉〟を目前でご覧いただけます。 ![]() ![]() ![]() ![]() なお、第1期の最終日である10月18日(日)にはシンポジウムを開催。近世文学、日本美術史、怪談実話、和本書誌研究の各界のエースをパネラーに迎え、約2時間〝鏡花〟と〝怪異〟をテーマに語りつくします(要申込/参加費無料)。詳しくはイベント情報ページ、または記念館公式FB等でご確認の上、お電話でお申込み下さい。 まもなく10月。世間は〝西洋おばけ〟で活気づく季節ですが、〝和製おばけ〟もまだまだ元気です! 展覧会&シンポジウムともにたくさんのご来場をお待ちしております♪ 学芸員
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新商品のご案内 ~オリジナルロゴマーク入り トートバック~H27.7.31
【ショップコーナーより】このたび泉鏡花記念館オリジナルロゴマーク入りトートバックが完成しました!
スタッフK
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新企画展&関連講座のご案内H27.6.24
たいへんご無沙汰しております。前回の更新から2ヶ月も経ってしまいましたが、記念館スタッフ一同、みな元気です。 3月7日のリニューアル開館、3月14日の北陸新幹線開業、ゴールデンウィーク、百万石まつり……と、たくさんのご来館にうれしい悲鳴を上げるなか、リニューアル開館記念特別展「龍の国から吹く風―澁澤龍彦展」も無事終了し、6月20日からは新企画展「鏡花と〝旅〟する金沢・石川―明治・大正・昭和を辿る」が開幕、鏡花ファン&郷土史マニアの方にご来館いただき、ようやく落ち着きを取り戻した記念館です。 ![]() ▲手前のステッキの柄は象牙のうさぎ。 その可愛らしさは展示室でご確認ください♪ 一見、点数が多い写真パネルが目を引く展覧会ですが、展示中の自筆資料のなかには一昨年の泉家旧蔵遺品展で新発見・初公開された貴重資料(「卯辰新地」自筆原稿/「山海評判記」草稿)も! 鏡花愛用の可愛いうさぎのステッキも展示中です。きっと、鏡花と一緒に〝てくてく〟したくなりますよ。 今回は関連講座も充実! すでにご予約を開始しているものもあります。イベント情報ページでご確認の上、お電話でお申し込みください♪ 学芸員
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朗読イベントのご案内H27.4.11
例年よりも1週間ほど早く開花を迎えた金沢の桜でしたが、さいわい?にも文字通りの〝花冷え〟の日々が続き、今年はいつもよりゆっくりと満開の花を楽しむことができました。3月7日(土)のリニューアル開館からはや一ヶ月が過ぎ、開催中の特別展「龍の国から吹く風―澁澤龍彦展」にもたくさんの方にご来場いただいております。もともとのキャパが小さいためでもありますが、おかげをもちまして当初から予定していた関連イベントもすべて定員に達し、リニューアル記念展にふさわしい展覧会となっております。 とはいえ、せっかくお申し込みのお電話をいただいたにも関わらず、満席でお入りいただけないお客さまも多いため、急遽、各種朗読イベントを企画しましたので、ご案内いたします! ![]() まず、この空間での初公演をかざるのは、4月18日18時からのMROアナウンサー朗読ライブ「義血俠血」。アナウンサーさんたちが自ら研鑽を積むため、これまでにも各会場で行われてきたこの朗読ライブ。今回はリニューアルを記念して当館での開催となりました!朗読は長田哲也さん、川瀬裕子さん、白崎あゆみさん、福島彩乃さん、そして望月太満衛さんの鳴物でお届けします。なお、朗読は後日、ラジオ番組で放送されるとか。リスナーのみなさん、必見&必聴ですよ! こちらはすでに予約受付が始まっておりますので、お早めにお申し込みください。 そして5月からは開催中の澁澤龍彦展の関連イベントとして朗読会「澁澤龍彦訳で楽しむペロー童話」を3回にわたって開催します! 第1回は5月9日(土)18時から。作品はみなさまよく御存じの「赤頭巾ちゃん」、朗読は7色の声による一人語りでおなじみの野上裕章さんです! 野上さんといえば、妖艶な女形をイメージしますが、ご存じの通りこの作品の登場人物は女の子とオオカミ。あの野上さんがこの二役をどう演じ分けるのか、とても楽しみですね♪ 実は野上さんが外語大学出身ということもあって、この日はフランス語原文朗読の特典付き! 初回にふさわしい華やかなイベントとなりそうです。 続く第2回は5月31日(日)18時から。かの有名な「サンドリヨンあるいは小さなガラスの上靴」(シンデレラ)を当館初登場の研聲舎・林恒宏さんに朗読していただきます! 朗々とした声が魅力の林さん、テレビCMのナレーションや「平家物語」などの文学作品の朗読で近年ますますご活躍ですが、今回はあの「サンドリヨン」。林さんの知られざる新たな魅力に出会えるかも? 乞うご期待です! そして、第3回は6月5日(金)18時から。トリを飾るのは、浅野川倶楽部代表・髙輪眞知子さん。鏡花作品の朗読では超ベテランの髙輪さんにお願いするのは、上記2作品に比べればマイナー作品といえる「驢馬の皮」です。「驢馬の皮」は王妃を亡くした王様が、王妃よりも美しい実の娘である姫君を新たな奥方に迎えようとする物語。実の父の想いに戸惑い、城を去ったお姫様の行く末は? 人間の心の機微に迫る難作にあえて挑んでいただきます! 朗読会「澁澤龍彦訳で楽しむペロー童話」はそれぞれ予約受付開始日が異なります。イベント情報ページでご確認の上、お電話でお申し込みください♪ ※なお、朗読ライブ・朗読会ともに参加費は無料ですがイベントのみの開催であり、展示室の観覧はできません。 あらかじめご了承ください。 学芸員
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鏡花ゆかりの山陰の地をめぐるH27.3.29
春休みのご旅行でしょうか、記念館周辺の浅野川・東山界隈も連日多くの方がそぞろ歩きを楽しんでおられます。3月も終わりに近づき、日ごとに春が近づくような、と思うと不意に遠のくような、不安定なお天気が続きていますが、3月某日、陽気に誘われたが如く、山陰の鏡花ゆかりの地めぐりに出かけてまいりました! 昭和女子大に事務局を置く泉鏡花研究会恒例の春の合宿として行われた今回の旅。大正13年5月に鏡花がすず夫人を伴って挙行した山陰旅行をなぞらえるもので、まず訪れたのは兵庫県の城崎温泉。志賀直哉「城の崎にて」で知られる当地ですが、鏡花も上記の旅で大阪経由で城崎、そして島根県の玉造温泉・出雲大社などを訪れ、その旅の様子を紀行文「玉造日記」や「城崎を憶ふ」などに記しています。 ![]() 大正13年の旅行時に鏡花が宿泊した宿は不明ですが、7つの外湯めぐりを楽しめる、若い方たちにも人気のスポットです♪ ![]() 鉄道ファンにひそかに人気の秘境駅を下りると、ホームの向こう側には美しい海が。〈この鎧駅に汽車の留った時、旅客は石の火の見櫓の最上層に立つ思いがしよう。〉と記したように、約90年前に鏡花も目にした鎧の〈幽僻なる絶海の漁村〉の風景に思わず息をのみました。 ![]() 車掌さんに「本当にここで下りるんですか?」と何度も念押しされた鎧駅。くれぐれも季節を選んで、時刻表をご確認の上、ご探訪下さい。 ![]() ![]() 城崎、鎧、余部ともに〝てくてく〟で行ける場所ではありませんが、番外編としてご旅行兼ねていかがでしょうか? 学芸員
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ミニアチュール・ドラコニアH27.3.24
ようやく春めいてきたと思っていたら、昨日は雪が舞い飛ぶお天気となり、今朝は3月初旬に逆戻りしたような肌寒い一日となっています。特別展「龍の国から吹く風―澁澤龍彦展」には、県内外からたくさんの方にご来館いただき、意外と知られていない澁澤氏と金沢とのゆかりなどに驚かれる方も少なくないようです。 過去に各地で行われた澁澤展のように、決して大規模なものではありませんが、泉鏡花記念館で行われる澁澤龍彦展に意義を見出して足を運んでくださる方も多く、本当にうれしいかぎりです。 2年後には没後30年を迎えるにもかかわらず、世代を超えて新たなファンが生まれ続けている澁澤龍彦氏。記念館ではこのたびの展覧会の記念に澁澤邸内部やコレクション、旅の思い出の写真を絵はがきにしたポストカードセットを販売しています! ![]() ▲12枚セット/1,296円(税込) なお、右手前のお写真は1974年のヨーロッパ旅行の際、イタリアのサン・ジミニャーノで龍子夫人が撮影した、澁澤氏お気に入りの一枚。北鎌倉の澁澤邸の書斎では、今も大きなパネルに仕立てて、まさに目の前で澁澤氏がポーズをとっているかのように飾られています。 現金書留での対応のみとなりますが、通販も可能ですので、ご購入を希望される方は記念館までお問い合わせください。 それでは本日もたくさんのご来館、お待ちしております! 学芸員
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特別展「龍の国から吹く風―澁澤龍彦展」開幕いたしました!H27.3.18
みなさま、本当にごぶさたしております。 ご報告が遅くなり、たいへん恐縮ですが、おかげをもちまして3月7日に無事リニューアル開館&特別展開幕の時を迎えることができました! オープニング記念プレミア内覧会&ギャラリートークでは、澁澤龍彦氏の友人で、今も北鎌倉の〝ドラコニア・ワールド〟の客人でいらっしゃる人形作家・四谷シモン氏をお迎えし、在りし日の澁澤氏との思い出や、その後も続くご友人のみなさまとのご交流のことなど、近しくお付き合いされた方ならではのお話を伺い、シモン先生にとっては宝もののような、大切な記憶を参加者の皆さんと共有することができました。お忙しい中、金沢にお越しくださったシモン先生、そしてお集まりいただいた皆さまに心より御礼申し上げます! ![]() ▲「龍の国から吹く風―澁澤龍彦展」 左から四谷シモン作「機械仕掛の少女」 金子國義画「エロティシズム」 なお、澁澤氏の著書の装幀挿画を手掛けられ、四谷シモン氏を澁澤氏にご紹介されたことでも知られる金子國義先生が、昨日3月17日未明、急な病で急逝されたとのお知らせをいただきました。このたびの作品展示に関わるご厚情に感謝いたしますとともに、心よりご冥福をお祈り申し上げます。 ちいさな会場ではありますが、展覧会開催に際し、さまざまにご高配を賜りました皆さまのよき思い出となるよう、努めていきたいと思います。 昨日から電話申込受付を開始いたしました4月25日開催の記念講演会「澁澤龍彦―小説の旅」も、残席わずかとなっております。講師はやはり澁澤氏のご友人で、同じフランス文学者として、そして文筆家としてお仕事のパートナーでもあられた巖谷國士先生です。参加希望の方はイベント情報ページをご確認の上、お電話にてお早めにお申し込みください。※定員に達しました。以降はキャンセル待ちにて受付中です。(3/20) それでは本日もたくさんのご来館、お待ちしております! 学芸員
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~北陸新幹線開業記念 図録3点セット~好評発売中!H27.3.16
![]() みなさま こんにちは^^ 大変ごぶさたしております。 リニューアル開館以来たくさんのみなさまがご来館くださり 本当にありがとうございます!! 【ショップコーナーより】 「鏡花」(泉鏡花記念館図録) 「泉名月氏旧蔵 泉鏡花遺品展」(図録)
泉鏡花入門セットとしてはじめてご来館されるお客様はもちろん、いつもご来館くださるお客様もこの機会にぜひお買い求めください。通信販売も対応させていただきます。 図録セットのほかに新たなオリジナル商品としてクリアファイルも完成いたしました。 スタッフK
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泉鏡花記念館
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