化鳥

『絵本 化鳥』とは

 『絵本 化鳥』は、原作者・泉鏡花の生誕地である金沢市が1973年(昭和48)、鏡花生誕100年の年に
制定した泉鏡花文学賞が、2012年(平成24)に第40回の節目を迎えるにあたり、その記念プロジェクトとし
て企画・制作されました。
 明治・大正・昭和にわたり、〈鏡花世界〉と呼ばれる他の追随を許さない、独自の物語境を築いた稀有の作
家でありながら、その文体の特異性ゆえか、多くの現代人にとって遠い存在となりつつある彼の作品に生涯
に一度は触れて欲しい―そんな思いを、〈絵〉を架け橋とすることに託して生まれたのが本書です。
 〈鏡花世界〉の絵本化にあたり、その素材として選んだ原作の短篇小説「化鳥」は、全篇が少年の語りで
綴られているとはいえ、決してこども向けの、理解しやすい物語ではありません。そこで編集を担当した泉
鏡花記念館では、原作からエッセンスとなる文章を抜粋し再構成するという方法で本文を約5分の1に
短縮、鏡花の言葉を〈けずる〉のではなく〈とりだす〉ことで、年若い人にもその美しい言葉と独特の世界観
を味わっていただける書物とすることができました。
 この絵本がこどもたちにとって〈鏡花世界〉との出会いの1冊となり、そしていつか大人になった彼らが
古い本棚や抽き出しからふたたびこの本を手に取り、その人なりの受けとめ方で「化鳥」を記憶してもら
えたら、これに勝るよろこびはありません。
 一人でも多くの人々の手に、『絵本 化鳥』が届くことを願っています。

絵本 化鳥