2月18日


      大雪です。。。。。。


 今年は全国的に厳しい寒さと雪が多いようです。金沢でも例年より雪は多く、雪かきに追われる毎日です。昨日は昼間は太陽が顔をみせていたのですが、夕方より雪が強く降り出し、視界も悪くなるほどの吹雪になりました。
 今朝出勤して庭を見てみると、池の水が凍っていました。寒いわけです。
 犀星が愛した九重塔はすっぽりと雪帽子をかぶっています。左の灯籠は、小人が帽子をかぶっているようです。
 今年最後の寒気と言われています。雪は金沢の風物詩のひとつですが、さすがに連日ですと、おひさまが恋しくなります。早く長靴でない靴を履きたいです。

      ずり雪の川に落ちたる響哉  

  この俳句は、雪が毎夜降り積もり、雨宝院の本堂の屋根の雪は支えきれなくなり、犀川の川原に大きな音をたてて落下したのだろう。幼い犀星は、夜、その物音を無気味にきいた、おそろしい思いですごしたのではないか。
                 室生朝子著『父 犀星の俳景』より
 
 
 


2月12日


              室生家のお雛様
      
 毎年二月二十五日がすぎると、風もなくからりと晴れた日を選んで、母は私やお手伝いを指図して、半日がかりで離れにお雛様を飾るのである。ひとりびとり柔らかい紙の包みから出して、ほこりを払い、黒塗りの台座にのせる。
 この雛達のなかには、一家族の人形達があった。首がぬけやすくなっているものや、若奥様風の人形は、橙色に黒い小紋の縮緬で、ところどころに虫喰いの穴のある着物を着ている。
 私は友達の家で見るような、硝子のケースにはいっている、小さくとも新しい雛がほしかった。私は母にねだって叱られたことを覚えている。
 「このお雛様は、お父様のお母さんが、朝子の初節句にくださったものよ。そして毎年お父様が何かしら一体ずつ買い足してくださったから、こんなに沢山になったのよ。古いお人形達だけど、今どきのお雛様とはお顔がちがいます。ずっと美人ですよ。わがままをいわずに、大事になさいね」と、やさしくたしなめられた。

 私と弟は母が買ってきたお雛様のお菓子をすぐにでも食べたかった。だが、母は三月四日にならないと決して食べさせてはくれなかった。透き通ったセロハン紙の上から、鯛の尻尾をそっとなでてみたり、指先で椿の花びらを数えてみたりして、四日のお八つの時間が待ち遠しかった。毎年毎年同じお菓子であっても、雛のお菓子というものは、忘れ難い甘さと懐かしさがいつもあった。
 母が、
 「お雛様は一年のうちに七日ほどしか陽に当らないのですよ。ご馳走は三日が過ぎて、お雛様が充分に召しあがったあと、私達が食べるのですよ」とまじめな顔をしていうと、小さい弟がそばから、
 「人形がどうしてお菓子を食べるのよう」と、母の顔を睨んでいった。

室生朝子著『父 犀星の俳景』より



古雛を膝にならべて眺めてゐる