寸々語

寸々語(すんすんご)とは、秋聲の随筆のタイトルで、「ちょっとした話」を意味します。
秋聲記念館でのできごとをお伝えしていきます。





北海道の旅
  2018.4.23

 先日展示解説をさせていただいたお客さま、北海道からお越しとのことで、ご遠方よりありがとうございました! 「北海道といえば秋聲先生も晩年に行ってますね!」「わぁそうなんですか!」「ええ、ご長男の一穂さんにくっついてゆきましてね」「へぇ~仲良しですね~」「だけどそのあと体調をくずされまして、ね…」「あっ…なんか、すみません…」と、これみよがしに暗い目をしてまったく罪の無いお客さまに要らぬ罪の意識を感じさせて帰すという乱暴な解説となりましたこと、この場を借りてお詫び申し上げます。
 その後なんやらかんやらののち寝込んでしまった秋聲を見舞ってくれたのが小寺菊子、林芙美子、川端康成のみなみなさま。秋聲の病床に見事な薔薇をもってきてくれた小寺さん、魔法壜いっぱいのリプトンの紅茶をふるまってくれた芙美子さん、そして島崎藤村や佐藤春夫らのいる大磯への疎開を勧めてくれた康成さん…彼らの心遣いのひとつひとつを秋聲は絶筆「病床より」にこまごまと書き付けています(書き付けて、といっても病体により口述筆記であったそう)。
 秋聲没後、そのテキストなどを収めて刊行された随筆集は『寒の薔薇』と名づけられました。上述、小寺さんの薔薇エピソードにちなんでのこと。現在のめぐる展ではひとりひとりに割けるスペースが小さく、こうしたいろいろなエピソードがぼたぼたと零れ落ちてしまってなんとももったいないことです。

 「ちなみにご旅行は冬ですか? 北海道の冬は厳しいから…!」「いや…あれは夏のことでしたね、昭和17年の…」と、気にかけてくださるお客さまに遠い目をして語りましてございます。ご本人死してなお、お心遣いに感謝申し上げます。

←登別にて、三女・百子さんと一穂さんと。





 

思わぬ配慮
  2018.4.21

   すんごくお久しぶりの東山名物ほっこりポスト→

 こちらで報じさえしなかったものの相変わらずのよいお仕事ぶりです。さいきんでは「ほっこりポストってどこにあるんですか?」とお客さまから訊かれることもあり、その名称がじわじわと浸透してまいりましたことを嬉しく思います(注:当館が勝手にそう呼んでいるだけで正式名称ではございません)。

 じわじわ浸透といえば、先日とある機会に犀星記念館さん館内設置の「思い出ノート」を拝見することがあり、その中のお客さまによる書き込みで「K花記念館さん」云々とあるのを発見してオゥッフ! となりました。こ、これは当寸々語にて当館がかたくなに川向こうの兄弟子をば「某K花」さん、そしてその館をば「某K記念館」としるすルールに則ってくださっての…!? いや、「鏡」の画数が多いからめんどうくさくてこんなことになっているのであれば話はべつですが(すみません)、もしや当館の独自ルールを金沢の伝統かのように思われてしまってはさすがに申し訳ないのでここらで釈明をしなければなりません。
 いつからでしたか当館が某K記念館さんを「K」とイニシャルで呼びますのは秋聲作の短編「和解」に基づいてのこと。なかで鏡花さんをモデルにした登場人物を、秋聲をモデルとした主人公が「K」と呼ぶ――ただそれに由来するのみであって、決して伝統的な呼称でも、その因縁でもって敢えて伏せ字にしているわけでもございません。ましてや当館でなく犀星記念館さんにおかれましてはちょっと画数多くてたいへんですが堂々「鏡花記念館さん」と書いてくだすって大丈夫なのですよ…! 
 また他の短編「喰はれた芸術」では紅葉先生(K先生)も、鏡花さん(K・I)も菊池寛(K氏)もみんなみんな「K」で出てきてややこしいので、万が一そのあたりの誤解を避けるためご本人のみをお呼びする場合は「K花」さんとお花つきで表記することとしております。すなわちここに当館の「つれなさ」等々ネガティブな感情はとくに発揮されておらず、むしろかたくなに名前を呼んでくれないのは某K記念館さんのほうであって、あちらさまにおける当館の呼び名はもはやイニシャルですらない「川向こう」であるからしてイヤ川向こうって! ただの地理的とくちょう!!



 


「浅野川河畔のいいとこ」
 2018.4.20

 みなさま~~今月の「金澤」さまは買いですよ~~~! 本日発売、コラム「第三の男、秋聲を嗜む。」記念すべき第10回を掲載する月刊誌「金澤」5月号、お送りいただきました! 毎度ありがとうございます!
 今号はとくに浅野川河畔特集ということで、浅野川沿いに建つ当館も学ぶところの多い内容となっております。近隣のお食事スポットやお茶屋さんのこと、すてきな工芸品を扱うお店などなどをしるした近隣散策マップまでついてお客さまにご案内するのにお役立ちの一冊です。
 また、この川を語るときにわすれてならないわれらが秋聲と某K花さんのこともきっちり押さえてくださっており、標題、特集タイトル下に列記されているスタッフさんひとりひとりに握手を求め、お礼を言ってまわりたい心持ちです。浅野川なくして秋聲なし、逆もまたしかり! そうそう「浅野川鯉ながし」、今年は5月4日(金・祝)だそうですよ!
 今回の秋聲コラムは5月の「子どもの日」にちなみ秋聲と子どもたちをテーマに書かせていただいたのですが、あれよあれよと薄ら暗いお話に…アレッ青空のもと元気いっぱい子どもさんとキャッキャウフフ、お庭を走りまわる秋聲先生のお話(※イメージ)を書くつもりがいつのまにかどんよりしてしまったぞ…? と、まったく鯉のぼりにも爽やかな5月号にもそぐわない感じになりました。しかしそこに愛はありますのでご安心ください。
 実のお子さんにも一歩ひいた感じで接する秋聲先生…今号にも書きましたようになんとなくそんな印象のつよいお方ですが、この原稿を提出したのち徳田家にて秋聲先生のお子さんへの深い愛情がわかる資料の存在が新たに確認され、オットト先の原稿すこし訂正せねばならぬかも!? となったりしております。うまく行けば、次回企画展で初披露させていただきますので、その日をお待ちいただけましたら幸いです。
 この話題を無理くり今の企画展につなげようとするならば、秋聲の次女・喜代子さんの夫が作家の寺崎浩、その師匠が横光利一、仲人は菊池寛。ワォ豪華~~。



 


続々・孤立する秋聲
    2018.4.17

 今朝ほど、今月のMROラジオさん「あさダッシュ!」に出演してまいりました。今月の? そう、すなわち先月も…来月も…。前回お邪魔した際、ディレクターさんから「コレ毎月とかって厳しいですか??」と尋ねられ「厳しくないです、ぜひともに…!!」とガッチリ食いついたはよいものの、そうはいっても4月までかな…5月はないかな…とひとり寂しく微笑んでおりましたところ、本日うかがいましたら「で、来月の日程は~~」とさっそくお尋ねくだすったもんですから、アッうそじゃなかった! 夢じゃなかった…! とたいそう感動をいたしております。来月はなにごともなければ15日(火)10時頃から生出演させていただきます。今月はめぐる展から芥川龍之介編、来月は川端康成編をこっそり考えておりますので、ご試聴いただけるエリアの方、何卒よろしくお願いいたします。
 さて、そんなめぐる展から14日付けの記事で、井伏鱒二氏がシンプルに秋聲先生の不器用により孤立してしまった件、ご報告を申し上げました。そこにくっつけました「あらくれ」誌の写真、開きで写っているのが「わたくしごと小感」掲載誌、かつまた開いてあるページが室生犀星「徳田さんと僕」。まったく内容を読ませる気のないケース配置で恐縮ながら、せめて雰囲気雰囲気! と言い聞かせてお出ししております。この号、徳田秋聲印象記の特集号で、上掲ほか秋聲会所属のさまざまな作家が秋聲についてのテキストを寄せており、前回ご紹介した「新潮」誌上での秋聲「文芸雑感」は、実はそれぞれへのアンサー。その最後はこう結ばれています。

「その他室生氏のものなど、私は各氏の印象記を見て、自身の修業になつたことを嬉しく思ふのだが、私の性格が、持ちあげられすぎてゐるのか何か知らないが、周囲の人とほんたうに親しくなれないことを心寂しく思ふ。それとも各人はみな孤独なのだらうか。」

……この先生ってば繊細にできていらっしゃいますから、みなさま持ち上げすぎないで!! 距離、とりすぎないで!!

       みんなで熱海遠足とかしちゃう→






続・孤立する鱒二
   2018.4.14

 去る3月9日、当寸々語にて井伏鱒二氏をすっかり孤立させておいて、その後のフォローをスコンとわすれておりました。翌日にでも書~こう、と思っていながら生きているとは毎日なにかしら起こるもので、横入りしてきたそれらをつらつらしたためているうち一ヶ月が経ってしまいました。その間、井伏氏には居たたまれない席でぼんやり時間を過ごさせていたかと思うと申し訳のないことです。

 現在展示中の氏の原稿「わたくしごと小感」は秋聲会機関誌「あらくれ」昭和9年12月号に掲載されました。と、当然それを秋聲が目にしているわけで、それに対して翌月「新潮」誌上でこんなことを述べています。
        「あらくれ」何冊か展示中です→

「井伏氏の私の印象記に書かれてゐることは、少し私の気持とちがふところもあるが、成程芸術家だと感心する点もある。(中略)たゞ婦人を紹介しないといふのは、それは氏に対して余り無愛想だといふことの同意語ならわかるが、私には少し擽つたいことでもあり、氏のやうな芸術的にユニイクな地位を占めてゐる人にしては、聊(いささ)か思ひがけなかつた事である。私は何もかも解つてゐる積りだつたのである。それにしても井伏氏に来てもらつたのは、井伏氏の希望ではなくて、私の要望だつたので、井伏氏に取つて或は迷惑でなかつたかとも思はれるのだから、私の礼儀を失してゐたことは更めて詫びておくのが至当だと思ふが、私が頗る話題に乏しい人間だといふことも、諒解してもらひたい」
 
 真ん中のあたりは、秋聲会には女性作家が多く、井伏氏が「会員のみんなを紹介してほしいけど女性だから紹介してほしい、と思ってると思われたら嫌だからー!」と書いていることへの感想。そして注目すべきは後半です。
 井伏氏! この会へお呼ばれしたのは秋聲先生のご要望ですって!!(榊山潤が仲介) だけど話題が豊富なほうじゃなくてごめんねって、気がきかなくてごめんねって!! 仰ってますよ…!!(ご本人に直接言ったげて…!) 





お父さんスイッチ
  2018.4.13

 児童文学作家の山部京子先生が、雑誌「児童文芸」4・5月号にて当館をご紹介くださったうえ、その掲載誌をお送りくださいました! 
 えっ児童ジャンルに秋聲を?? と思われた方、同様のことを当館がいちばん強く感じております。先日もとあるところから秋聲作品で子どもに読ませられるものは~…とのお問い合わせを受け、「…基本、ないですね!」とバッサリお答えしてしまったのです。ええ、基本、ないのです。しかしながら秋聲が若かりし日に執筆した子ども向け作品ばかりを集めた『秋聲少年少女小説集』、いわば自然主義文学の大家・徳田秋聲にとっての〝余計なお世話本〟をちゃべちゃべと刊行したりなんかしております当館、いささか乱暴ながら同書をご紹介していったんよしとさせていただきました。
 山部先生もまた、この本を出すきっかけとなった企画展「徳田秋聲らしからぬ! ~しゅうせいとこどもむけよみもの~」のご観覧を機に秋聲にご興味をおもちになり、そしてこのたび「児童文学散歩」とのコーナーにて、当館のご紹介をくださるにいたったとのこと。当館の催事がこうしてどなたかのお心にすこしでも引っかかったのだと思うと励みになります。山部先生、ありがとうございました。まさかかのハリー・○ッターと肩をならべる日がこようとは…!!(2ページ後に載ってます) 
 秋聲先生はご自分の書かれたものをはじめ、とくに大人の人生の暗さを描いたような作品をあまりお子さんたちに読ませたくないと思っていたよう。「そういふことは自分で知ることがあたりまへ」、「馬鹿でないかぎりは年と共に知つて行く」と「女性改造」大正13年3月号の座談会「家庭に於ける文芸書の選択に就いて」にて語っています。これはなかなか刺さるお言葉…
 またこの座談会、芥川龍之介、与謝野晶子なんかが出席しており、子どもはなんでも乱読するがよろし、と語る晶子に、いやいやある程度親が制限しないと子どもがその本質を考えることなしに作家を志しだしたりしちゃうでしょ~? とやんわり反論。おおお~~おとうさんの顔~~! では何ならよいか? 「夏目さんのものなら無条件でいいと思ひます。武者小路君のものなぞも毒にはならないからいゝでせう」。世のおとうさんおかあさん、ご参考までに。





ナイスポジショニング
 2018.4.11

 きのうお客さまより「5月19日いくね!!」と言われ、「?? なんかありましたっけ??」とポカン顔でお答えしてしまいましたその日、尾張町商店街 歴史と伝統文化講演会の第1回講座に当館学芸員が出講いたします。
 あらあらうっかりすっかりそらっとぼけた感じになりましてすみません! なんだかんだ今年で3回目になります。毎度お招きありがとうございます。ご近所の尾張町老舗交流館にて開催されております全10回の講座にて、改めまして当館の出番は5月19日(土)13時半~15時、受講は無料、各回約20名さまの申し込み制となっておりますので、ご興味おありの方、ぜひぜひご参加のほどよろしくお願いいたします。

    当館にも設置している応募用紙を兼ねたチラシ→

 おととしは「金沢の三文豪」をテーマに掲げながらほぼ8割を秋聲についてしゃべりたおし、去年は金沢ゆかりの詩人「中原中也」を掲げながら、3割くらい無関係の秋聲をはさみたおし、今年こそ「秋聲文学とのつきあい方 ~金沢三文豪入門~」と掲げながら、たぶん残りの二文豪には触れないのでしょう。いや、ササッと掠めるかもしれませんけれども「三文豪入門」とはすでに言いすぎた感が出ています。仕方がありません、当館職員計6名、秋聲のしゅの字をこの世界に撒き散らすため存在しているパーティーですので「三文豪」の名で3人分のファンを釣っておいて、結果秋聲のお話しかしなくったってそれはもう姑息な手段というより自然のことわり、この世の摂理。何卒ご容赦ください。
 また、秋聲記念館さんたらお茶会のあとイベント関係しずかだね…と思ってくださる有難いお客さま、もしやいらっしゃるかもしれません。ちょいと5月に外部の講座が集中いたしまして、17・19・21・23・25と飛び石に出講する予定になっているのを発見した瞬間、自主イベントは諦めました。先に決まっていた17・21・23・25日。その後尾張町さまからお声がけいただいた19日にホイホーイ! オッケーセンキュー!! と軽快にお返事してから手帳をみて、アッあっぶな…!! となったことはここだけの秘密です。





香り談義
 2018.4.10

 秋聲の代表作『あらくれ』の表紙に苺があしらわれていることから、さいきんゲームのほうの「秋声くん」にまつわるグッズとして野苺の香りのするエアーフレッシュナーなるものが発売されたとのニュースをはたと思い出し、うわーい一緒一緒!! とにわかにはしゃいでおります秋聲記念館でございます(昨日記事参照)。しゅうせい=野苺、と聞くとまずあの渋めのご本人のお顔を思い浮かべてしまう記念館一味といたしましては、……へぇ~~秋聲先生、意外と甘いかおりがするんですね~~…などと妙ちきりんなことを思ってしまうのですが、きのういただいた苺、箱からだした瞬間に甘い香りがいったいに漂い、思わず名誉館長に「すっごく甘い香りがします!!」とご報告申し上げてしまったくらいですので、案外召し上がったすぐあとくらいは甘い香り、するのかもしれません(いや、ちがいましたね、甘いのは秋声くんですね。野苺だとちょっと酸っぱいんでしょうかね)。
 当館の事務職員が「わたし果物では苺がいちばん好きです~」となんともかわいいことを言うのに、名誉館長が「かわいいから似合っていいわよね~~わたしが言ったら、えっ苺ってガラじゃないでしょザボンでしょ?って言われちゃうわ~~」と絶妙におもしろいことを仰るのでついつい笑ってしまいました。いやザボンを下に見ているわけではないのですが、ザボン、その響き…! 思えば東京の徳田家お向かいにたわわに生っている黄色いのはザボンではなかったでしょうか?
 またその商品の件について先日お客さまともお話ししていたおり「ちなみに菊池寛は真珠の香りです」と衝撃の事実をご教示いただき驚愕したことを思い出します。真珠って、においするのかな…? 
 貝くささ? 磯の香り? 秋聲のしゅの字がつくものには目がない当館ですが、ある意味で野苺よりも気になってしまう一品です。
 そして匂いで言えば現在展示中の秋聲会機関誌「あらくれ」の同人原稿中、時事新報社にいた榊山潤が、同会合で隣にいた井伏鱒二に「君の愛用する『暁』(煙草でしょうか)は香水みたいなへんな匂いがするね」といって「へへ」と笑われたことを書きとめ、「井伏君の笑い方はどうもよくない」と記しているものがございます。あ、原稿はその一文で終了です。
 
 
 


苺の季節のおもてなし
  2018.4.9

 おとといの記事に書きました、白鳥による〝『縮図』は秋草〟発言は、彼の代表的な評論『自然主義文学盛衰史』中にあるものです。このタイトルをとって、鎌倉文学館さんにて6月16日(土)14時~15時半、当館初代学芸員・現山梨大学准教授の大木志門先生が「自然主義文学盛衰史―藤村・花袋・秋聲・白鳥を中心に」なる文学講座の講師に立たれるとのこと! なんとなんと、これは当館のめぐる展あるいは文壇星座観測展的にとってど真ん中の講座でございます。一瞬、おや、うちの主催かな? との脳内に混乱を生ぜしめるほどのありがたき企画! ぜひ鎌倉さまHPおよびチラシ裏面をご確認ください。
 4月21日から始まる特別展「明治、BUNGAKUクリエーターズ 高橋源一郎『日本文学盛衰史』より」に引っかけられた講座なのですね。会期中、高橋氏による講演、鷗外にまつわる講座、漱石・独歩らをめぐる文学散歩など、いまの当館こそ参加すべきイベントが盛りだくさんです。
 またそれに先立ち西は神戸文学館さんにて、5月12日(土)14時~15時半、講師に帝塚山大学文学部日本文化学科准教授・西尾元伸先生をお迎えし、文学講座「大正期の阪神・神戸~徳田秋声『蒼白い月』を読む」が開催されるもよう。各地での秋聲にまつわるご講義、なんとも有難いことです。
 こちらのテーマとなっている「蒼白い月」は大正9年、秋聲が仕事で大阪へ行ったついでに兄夫婦の子らに連れられ神戸をウロチョロした体験を描いた短編小説です。その中身のご解説は本場・神戸での講座におまかせすることといたしまして、秋聲記念館的みどころは主人公たちが食事するシーンでのこの一節。

「紅い血のしたゝるやうな莓(いちご)が、終りに運ばれた。私はそんな莓を味わつたことがなかつた」

 ……彼ら、苺をたべていますね…?
 
 なんとわれわれ記念館一味もいただきました、名誉館長が近江町市場で調達のうえ差し入れてくださった苺をまさにきのう今日…! うわーい一緒一緒!!






第8回 桜の季節のおもてなし
  2018.4.8

 昨日7日は当館の開館13周年記念日でございました! お客さまみなさまに「ここは新しい館?」「あ~もう丸13年になりますね~」「えっもうそんな?きれいねぇ~!」と言っていただける明るく綺麗な館内が自慢です(お掃除の方ありがとうございます!)。館としては若いほうだといえるのでしょう、しかし言ってももう14年目、〝秋聲記念館ここにあり!〟といった存在感をどんどこ示してゆかねばなりません。 

 さてそんな昨日、毎年恒例の呈茶会「桜の季節のおもてなし」を開催いたしました。5周年記念にはじめて開催してから大好評につき7周年に復活、今年で8回目を数えます。ご近所の茶道裏千家 井奈宗孝社中さんをはじめ、東山ファミリーの米沢茶店さん、吉はし菓子店さんのご協力にて開催をさせていただいております。

 しかしおとといの夜からきのう当日の午前中までビュービュー吹く風と大雨! ここまでくるともうイヤガラセかな!? なんとしてでも桜を散らせてやろうという謎の意気込みかな!? と鬱々していたものですが、秋聲令孫・名誉館長のご来沢とともにパァァーーーと晴れ間が…おぉ…もうプレッシャーになるから言うまいとは思うのですがまた言ってしまう…われわれの太陽、名誉館長のおかげさまで…。
 終わりがけには雷鳴轟き、霰さえちらつく変なお天気となりましたが、ちょうどイベントを挟む形でお足元のわるいなかご参加くださったみなみなさまと社中のみなさまに厚くお礼を申し上げます。
 そして井奈先生により会場にしつらえられた大傘と、それを飾るお花(井奈先生宅のお庭より)をご覧になるお客さまを見つけては、その上に添えられている秋聲自筆短冊についてたのまれてもいない解説をしかけにゆく学芸員…「コレね…秋聲の自筆なんですよ…」とポソッと囁きにゆき、「えっあっそうなんですね…」と優しさをみせてくださったならば最後、「秋聲の字ってね…」と訊かれてもないことを長々としゃべりだします。なぜならば当催事、お茶会のためのお茶会でなく、花とお茶と団子とに引き寄せられた方々を秋聲の館へ引きずり込むための罠、そのよそゆきの顔としてのお茶会であるのです。そう、ただでは帰しません。
 




トリプルで地味
   2018.4.7

 館報「夢香山」第10号が発行となりました! 
 今号は徳田章子名誉館長のご寄稿から始まり、名誉館長の父であり秋聲長男・一穂さんの企画展にちなみ開催した榎本隆司先生によるご講演録(抄)、そして昨年度を最も賑わせたゲーム「文豪とアルケミスト」プロデューサー・谷口晃平氏より特別寄稿をいただきました。
 あらためて紙面を熟読しながら、オオ3名さまとものテキストに「(秋聲は)地味」って書いてあるなぁ~ということを発見いたしましてフッフフフ。ほかでもないお孫さんに率先してそう言わせてしまうのもなんだか恐縮ながら、しかしその「地味」歴史はここ10年20年の話でなく、もっともっと根が深いものであるのです(展示中の正宗白鳥による秋聲追悼文原稿にも〝地味〟ってかかれてますね…)。そしてそれとともに再度強調したいのは「地味」=悪ではない、ということ。当館は展示施設ですから「地味」=展示映えしない、という意味でネガティブについ使ってしまいがちですが、「地味」それ自体には語義通りの意味しかなく、地味だから○○といったこの○○部分にこそ、ネガティブ要素が入り込んでくるのです。秋聲という作家、あるいは作品のもつ地味さはその特徴(あるいは一面)に過ぎず短所ではない、ということをあわせて主張してゆかねばならぬのですが、ついつい言葉足らずに…。
 ちなみにかの川端康成は、昭和22年の秋聲をテーマとした「プロメテ」誌上座談会にて「『縮図』といふのはなかなか派手です」と述べています。おお、『縮図』は派手! と驚いたそばからやはりかの白鳥が、谷崎潤一郎の『細雪』は「咲きほこった春の花の如く」、『縮図』は「淡白な秋草の如きか」と著書のなかで述べており、その比較でいえばああやっぱり地味なのかも…! と一瞬「派手」寄りになったメーターがぐいっと「地味」方向へと引き戻され…いやいや二元論でもないのです…!
 館報最新号、当館ほか近隣の公共施設にて無料配布する予定です。間もなく当HPにもPDF版をアップいたしますので、ご遠方の方もう少々お待ちください。



 


マライアあらためラフカディオ
   2018.4.5

 きのうマライ○・キャリーと記しましたところ、文学館であるからにはラフカディオ・ハーンと書くべきだったかな…と満開の桜のもと、帰りのみちみち思いました(あっ満開のうえ強風でーす!→)。
 ハーンすなわち小泉八雲、事故で左目を失明されたのち右側からしか写真を撮らなくなったとはよく聞きますがほんとのところはどうなのでしょうか。写りよくないから右サイドNG! とか言う秋聲先生とはちょっと事情が異なりますね(※ご本人はそんなこと言っておりません。想像です。)
 地縁で申し上げますと、八雲の蔵書が「ヘルン文庫」(「ハーン」からの「ヘルン」)としてお隣・富山県の富山大学附属中央図書館さんに収蔵されています。八雲没後、大正12年の関東大震災を経て、蔵書の保管を第一に考えた遺族により同館にその管理が委託されたのだとか(八雲と富山はとくに繋がりはないそうです。タイミングによるもの。タイミング大事)。日を決めて一般公開されているようですので、ご興味おありの方は是非ご確認のうえお運びください。

 八雲に言及のある秋聲のエッセイ「冬日数題」では、金沢と東京の冬のありようについて語られています。「日本の文化といふものは、自然と極めて密接な関係があると考へられる。亡くなつた小泉八雲なぞもやはり、かう言ふ意味のことを言つてゐた。」「しかし近代の日本文明はさうでないやうに感じられる。」…とここから秋聲による文明批評が始まります。これが書かれたのが大正13年、関東大震災の翌年にあたり、復興の途にある東京の街が以前より美しくもけばけばしく、そして粗雑になってゆくこと。しかしその底に何か新しい力が根を張ろうとするたしかな感触があること。そういったものを複雑な気持ちで眺めながら、まだまだ粗筋に過ぎないこの復興計画に、自分なぞはその完成を見ることが出来まい…といった感慨などを記している秋聲54歳。ここから約20年を生きることになった秋聲は、その完成を見届けられたのでしょうか(ちなみに八雲は秋聲より21歳上。明治37年没です)。





ナの字もない
  2018.4.4

 今週末はお天気が荒れるとも聞き、すっかり桜の話題がトラウマになりつつある当館です。きれいな桜吹雪がみられるといいですね…傘とか傘とか、お持ちくださいませね…。
 そんな、桜をまっすぐに見られない当館の屈折した心に、きのう真っ直ぐ凜とした水仙の花がとどきました。嬉しいことに以前にご来館をくださったお客さまよりそのご感想のお手紙にくわえ、ぺしゃんと同封されてきたソレ。チョチョイと組み立てましたら立派な鉢植えのようになりました。これは素敵! 枯れない散らない奇跡の鉢植え!!
 傷心のわれわれを救済してくださるかのようなグッドタイミングでございました。きっと大切にいたします。
 水仙を見れば思い出す、かのナルキッソスの伝説…。

 と、ここでいつかの似顔絵展でもご紹介した秋聲先生のご自身のお顔に対する評価をみてみましょう。

「私は自分の顔を余り好きだと思はないことは、自分の文章や字などが好きでないのと略(ほぼ)類似した意味に於てゞあるが、好むと好まざるとに拘はらず、因縁の遠いものだから自愛しない訳には行かない。(中略)顔の右が左より低下してゐる。生際もよくないし目尻も下つてゐる。(中略)兎に角右側から写真を取ると、余程変な顔になるのは、骨格がいびつに出来てゐる証拠だ。其(それ)にしても醜い顔は高齢に達するといくらか胡麻化(ごまか)しが効くやうである。」
                                           (「右顔」昭和15年1月)


 て、手厳しい…! ナルシシズムとはほど遠いこの辛辣さです。しかしそういう目でみれば左側から撮られているお写真が多いかも…? えっ気のせい…? まさかカメラマンにご指示を…!? うわぁマライ○・キャリーみたぁい…(書き手の世代が割れましょうか)。
 余談ながらいつぞや文アルさんタイアップ企画に取材されたローカルニュースにて、書斎の秋聲先生肖像写真を前に「イケメンキャラクターと比べて実物はどうですか??」と、思わずこちらの手に汗握るインタビューがありました。「あ、でも実物も好みです」とお答えくださったあのときのお客さま、記念館一味、テレビのまえで「ありがとーう!!!」と今年いちばんおっきな声がでましたことを、ここにご報告申し上げます。


      


続「モチーフがアレ」
  2018.4.3

 先日お客さまから秋聲のしゅの字どころか「徳田秋聲」とその完全体がクレジットされたお菓子が存在するのだということを教えていただきました。京都のお菓子で「文豪マカロン」と題されたシリーズのもと「徳田秋聲 あらくれ」「泉鏡花 高野聖」「室生犀星 抒情小曲集」とそのパッケージに記されておりました。
 最初に秋聲だけ見て、お名前の横に柿のイラストが用いられているのに(ややっ!? もしや「柿も青いうちは鴉も突き申さず候」のアレ!? 紅葉先生名言集より!? いや高度…ッ!!)と思ったりなんかしたのですが、次に犀星・K花さんを見ましたら、いわゆる猫と兎だったので(ややっ!? さては秋聲だけモチーフに困っての柿かな!? 秋聲だから?? 秋らしさの演出!?)と、その判断にちょっと迷ってしまいました。
 当館も図録や展示パネルなどで地味に秋聲のイメージフルーツとして柿を押しているものですから(とくに公式ということでもないです。気持ちの問題です)、それを汲んでくださってのことなのか、あるいはシンプルに「秋=柿」! といったことなのか、いずれにせよ、アッモチーフないですよね、むずかしいですよね、わかります~~~との深い共感を得たパッケージでございました。ちなみにお味はオレンジ。召し上がるときには脳にようようお伝えください。でないと脳と舌とがケンカします。

 秋聲の柿の記述につきましては『あらくれ』の第1章からさっそくしれっと出てきますし、最初期の日記「秋聲録」(石川近代文学館蔵)にもちろっと出てまいります。「雨風を推して庭面をみれば、柿の葉すでに赤し。青々して、何時までか夏の心地してあらむわれ。」このとき秋聲23歳。その前年の初めての上京で紅葉宅を訪れ「お前のような未熟な青柿は入門にはまだ早い」と紅葉先生に断られてしまったのち、にっちもさっちも行かず金沢に帰ってきたころのもの。ここに記した柿の様子、その心境とに紅葉先生の言葉が響いているかどうかはわかりませんが(葉っぱの話ですし)、秋聲といえば石川産の林檎にくわえ、ふんわり柿押しでまいりたい記念館でございます(とくに公式ということでは以下略)。





桜はまだ咲いていない
  2018.4.2

 4月の1日、新年度初日を華麗にスルーいたしまして本日2日。相も変わらずな様相でお届けしてまいります寸々語です。
 なにがなにやらの一ヶ月を経まして、この3月をもちまして当館職員がまたひとり卒業をいたしました。あまりに非日常であった3月のおかげさまで、あぁ、もうすぐ卒業なんだ…との感慨もなんとなく生まれぬまま、出勤してみたらもういない、といった感覚の今日です。それでなくとも去り際の美しい職員さんでした。6年間ほんとうにおつかれさまでした。
 新年度にはまた新たな仲間を迎えまして、新生徳田秋聲記念館でまいります。「秋聲のみち」沿いの桜も満開です。満開…? 

 いいえ咲いていません、見えません。まだ2日なのに満開のはずがありません。今朝ほども館長から「桜、満開だねえ…これは週末まで…無理だねえ…」とのご発言がポソリと洩れいでましたので、「いえ、まだ満開ではないです」「えっでももう落ちてきてるよ??」「いえ、落ちてませんし。まだですし。毎年一週間くらいもちますし」「えっほんとう??」といったやりとりを展開いたしました。館長はおやさしいので怒りませんが、剛情な部下で心底申し訳なく思っております。ああ! 今年ははやかった…!
 毎年この時期には書かざるを得ない、催事と花とどちらが早いか、桜並木のみなさまとの腹の探りあいの話題です。あの花というのは一個咲くと早いんですねぇ! 朝五分だと思ったら夕方にはすっかり満開なのですからなんともやりきれません。いえ、まだ満開ではありません。なんか赤いのがちらほら見えていますので、あれはこれから咲くのです。
 そんなわけでして4月7日(土)、今年も「桜の季節のおもてなし」なる呈茶会を開催いたします。お申し込み受付中です。挨拶まわりやらで4月の頭に来館されたい、と仰る方々には全員にこの7日をおすすめしている記念館です。どうせ来るなら「YOU、お茶飲んじゃいなよ!」とお声がけをして回っておりますので、みなさま7日に大集合!(名誉館長もご参加の予定です) 13回目の開館記念日でもある当日、花より団子で館内が賑わうことを願います。今の今、今年のお菓子の名が決まりました。


 


閉幕のご挨拶
 2018.3.31

 本日をもちまして、金沢市主催・DMMさんおよび三館企画協力によるゲーム「文豪とアルケミスト」とのタイアップ企画が終了いたしました。この一ヶ月弱、本企画をきっかけにご来館くださったほんとうにたくさんのみなみなさまに心よりお礼を申し上げます。
 館の方針により館内にキャラクターパネルも限定グッズも置かないなか、それでも列をついてご来館をくださり、展示を熱心にご覧くださったみなみなさまの背中、わすれません。ガイドペーパーの補充に館内を回り「シアター、満席なんですけど…!」と驚愕のうえ事務室で報告したら、「満席? いいえ、〝立ち見〟です…!!」と劇画タッチで他の職員から教えてもらったこともありました。次々と新しい現象に出会い、たくさんの初めての感動をいただきました。
 しかしながら館としての本当の勝負はあしたから。もちろんこれまでも手抜きで運営してきたわけではございませんが(不行き届きは多々ありますが…すみません…)、この予想外の〝特需〟を経て、当館の新たな戦いは明日から始まるのだと職員一同、深く心得ております。キャラクターとしての「秋声くん」にはずいぶんと助けられました。しかしいつまでも彼のちいさな体躯におんぶに抱っこではいけないのです。「秋声くん」が開いてくれた重い扉のさきに何があるのか、それがどんなに魅力的なものであるか、過去でなく今に繋がる、そして未来に残すべき財産なのだと、ひとりでも多くの方々に伝えてゆくのがわれわれ記念館の使命です。

 「秋声くん」たちと同じ「文学を守る」との大きな目的のもと、これからも記念館職員一同、全力を尽くしてまいります。みなさま方より頂戴したあたたかいご声援(とお菓子)を糧に、今後とも魅力ある企画を打ち立ててゆけるよう、精一杯がんばります。これをご縁といたしまして、徳田秋聲および徳田秋聲記念館を、末永くよろしくお願い申し上げます。
 
 こっそり学芸員デスクにいる彼ら(→)。テンションがあがって自ら購入してしまったもの(右)とお客さまから頂戴したもの(左)。
 




おやつが命
   2018.3.29

 おかげさまで連日たくさんのご来館を賜り、館内設置のガイドペーパーがじゃんじゃんはけてゆきます。恥ずかしながらあれもこれも手作りなもので、事務室は毎日刷ったり折ったりの大忙しです。
 ちなみにこんなところから申し訳ございません。企画展ガイドペーパーの漱石先生の生年、西暦の9と6を間違えており(漱石展開催したばかりなのに…!)館内のものはただちに直しましたがお手持ちの数字「1897」とあるものをお持ちの方、「1867」にご修正願います。紅露と同年、秋聲の4歳上です。たび重なる誤植、心よりお詫び申し上げます。またご指摘くださった方、ありがとうございました。そしてついでのご連絡となり恐縮ながら、以前にお知らせをいたしました誤植のあった企画展チラシ、なんとか改訂版を刷りましておととい納品となりました。この件につきましても繰り返しお詫びを申し上げます。
 それからこのチラシに散らしてある作家名フォントについてお尋ねくださったお客さま、モリサワの「解ミン 宙(そら) Std M」というものだそうです。デザイナーさんに教えていただきました。ついでに紙の種類をお尋ねくださったお客さま、「エスプリ」というそうです。もの知らずでお恥ずかしいのですが、発注する際にも「次のイメージは白いテッカテカでいきたいのです。字はヌルッした明朝体で!」といったような注文の仕方をしております。だいたいいつもそんな感じです。勉強します。
 後者のチラシは印刷会社さんにお願いしておりますが、前者のガイドペーパーは事務室でこそこそつくっておりますもので今年は紙の減りが尋常でなく、慌てて大量に注文して届いたのがこちら↓
 紙というのは束になると恐ろしく重たいものですね…! とてもポイポイ運べず「閉館したら台車だしますのでとりあえずここ寄せといてもいいですか!?」と他の職員さんに尋ねましたら「いいですけど、アッ冷蔵庫…冷蔵庫は避けてください、紅茶ださなくっちゃいけないから…!」との返答につい笑って力が抜け、この重たい箱をそれ以上動かすことができなくなりました。

 どんなときでもお三時だけは死守する…これぞ秋聲記念館一味のあるべき姿。



 

『田舎教師』からの悠々
   2018.3.28

 先日ご案内いたしました岩波文庫における花袋さんの新刊『田舎教師』、なんと新版の解説を担当された尾形明子先生が同書をご恵贈くださいました! 尾形先生、岩波文庫さんありがとうございます!!
 ちなみに岩波文庫のおなじみの表紙(カバーをとったところ)、その装丁を手がけているのが画家の平福百穂さん。その百穂が描いてくれた秋聲肖像画が、今回のスタンプラリー企画に用いているスタンプの絵柄です。犀星さんはあんず、某K花さんは兎のぴょんこ、秋聲さんはまさかまさかのご本人。秋聲さんはホラとかくモチーフがアレなもんですから、ね? お察しください。

 さて本題に戻しまして、そのご解説をさっそく拝読いたしましたところ、同作の登場人物のモデルとして桐生悠々の名が記されておりました。悠々、現在のめぐる展でも展示がございます。若き秋聲とともに学校をやめ、作家を目指しともに尾崎紅葉を訪れた〝文学の相棒〟です。のちに作家でなく新聞記者となって各社をわたり歩き、「信濃毎日新聞」「新愛知」の主筆を歴任。出版社「博文館」では花袋と繋がり、また「朝日新聞」では漱石とも繋がる悠々さん。作家とジャーナリスト、進む道と住む場所こそ違えましたが、秋聲とは生涯を通じて交流をもちました(前回ダンス展でご紹介いたしましたとおり、秋聲がスランプになったとき、悠々さんが秋聲の背中を押し「信毎」にダンサーをヒロインに据えた長編小説「赤い花」を書くことになりました)。
 そんな悠々について、去る25日深夜、北陸朝日放送さんにて「防空演習を『嗤つた』男―新聞人・桐生悠々の警鐘―もの言えぬ時代の抵抗の記録」の放送がありました。過去にこんなえらいひとがいました~といったご紹介でなく、全国規模の密な調査と現代社会に繋がる構成とでたいへん見ごたえがありました。正直なところ秋聲のしゅの字が出ることを期待してしまったおれたち秋聲記念館ですが、ディレクターさんより「構成上、泣いて馬謖を斬りました」とご丁寧にもお詫びのご連絡があり、いやいやこれは仕方がない、今回は喜んで斬られましょう、との納得のゆく一時間。
 当時「常設にしたい」と願いさえした当館の悠々展はすっかり過去のものですが、金沢ふるさと偉人館さんに悠々コーナーございますのでご興味わかれた方、ぜひ同館へお運びください。



 

放送各種
  2018.3.26

 今朝ほどMROラジオさんの生放送に学芸員が出演させていただきました! コーナー冒頭で、前回の出演に対するリスナーの方からの嬉しいメールをご紹介くださり、舞い上がりに舞い上がって今回のタイアップ企画についてお話ししながら「スタンプラリー」という言葉をついぞ使わず、三館をめぐるいったい何!? といったモヤモヤを発生させる数分間になってしまったことを申し訳なく思います(最終的にパーソナリティの角野さんからフォローが…ありがとうございます…)。メールくださった方もありがとうございます! おかげさまで元気がでます!
 と、きのうはきのうでテレビ金沢さんにて「五木寛之の新金沢百景 金沢古書店めぐり」の放送がありました(事後でほんとに…!)。こちらは作家・五木寛之先生を囲み、金沢の古書店の店主さん4名による稀覯本のご紹介といった内容で、当館ご近所のあうん堂さんほか、前回のダンス展企画協力者である髙橋麻帆書店さんらがご出演。こちらの公開収録の際、髙橋さんから「秋聲さんを無理やりねじこんでおきましたが映るかどうかはわからない!!」とご連絡をいただいており、あんまり期待しないでおこう…と言い聞かせながら拝見いたしましたところ、秋聲のしゅの字(というか「あらくれ」のあらの字)…しっかり映っているではありませんか! 

 ドイツのレクラム文庫を参考にデザインされたのではないかという日本の春陽堂文庫(そっくり)、髙橋さんが持参された両者の片方こそ春陽堂文庫版 徳田秋聲『あらくれ』…!!(参考/写真右) さらにさらに、レクラム文庫を模範にしてつくったという岩波文庫(写真左)も、そこに映るのはやはり『あらくれ』…!(残念ながら現在は品切れ・増刷未定。写真は徳田家本です)

 「で、でたーーーあらくれーーー!」
 「で、でたーーー徳田秋聲ーーー!!」

 とまるでプロレスでも観ているかのような、しかし極端に語彙に乏しい実況つきで拝見いたしましたこと、ご報告申し上げます。とくにテロップが入ったわけでなし、べつに秋聲じゃなくてもいいところに敢えて秋聲をもってきてくださった髙橋麻帆書店さんのお心遣いに強く胸うたれました。





花は見る用、鳥は食用
  2018.3.25

 昨日、お客さまから秋聲先生と職員に、ときれいなお花束をいただきました。これまた新しい経験で、ウワァ~ウワァ~となってしまいました。ご遠方からお持ちくださったその道中をおもうと胸が熱くなります。お心遣いありがとうございました。
 閉館後、いったん書斎の秋聲先生にご報告ののち、ロビーに飾らんと包装をむいて、茎のしたのほうをくるんでいた緑のウェットシートみたいなのをむいて、手のひらでギュッとしぼった感じがなにかに似ている…アッほうれんそうじゃない!? これ茹でたほうれんそうじゃない!!? とひとりテンションがあがってしまい、おかげさまで200名超の入館料およびグッズ売り上げレジをしめるのに忙しい職員さんをとっつかまえて、「ねえねえコレほうれんそうっぽくないですか?? ほうれんそうですよねえ!!」と鼻息も荒めに言い募ったこと、ちょっとだけわるかったな…と今は反省しています。あまつさえお皿にまで置いてみてしまったこと(しかもいい感じのお皿がないな、とさえ思っていたこと)…きっと受付職員に相当イラッとされていたことでしょう…しかし基本優しさでできている当館職員はそんな顔ひとつ見せず「あ、ほんと。ほうれんそうですねえ」と穏やかにお付き合いしてくれるのです。ありがたいことです。
 
         写真でみるとそうでもないですね→

 ついでにこれも先日、お客さまとお話ししていたおり「秋聲さんって自分でお料理とかしてたんですか?」と訊かれ、「あっハイ、たまにしますよォ!」とお答えしたら「げんざいしんこうけい…(笑)」とちょっと笑われてしまったことを思い出します。まるで、身近な誰かの現在のようにお話ししてしまい、おっとよく考えれば75年前に亡くなってましたっけ! いっけね! と舌をだす少年のように照れてしまったのです。

 有名なところでは短編「鶫(つぐみ)の羹(あつもの)」のなかで、好物である金沢の郷土料理「治部煮(じぶに)」(=「鶫の羹」)を自ら調理する場面がございます(同テーマの随筆にも)。そんなわけで実は冒頭のお花のお客さま、「本当ならば鶫を差し入れたかったんですが…」とも言い添えてくださっていたのですが、いまは禁鳥だもんですからね! お気持ちだけで!!
 




「名だたる作家」って書かれています。名だたる!!
  2018.3.24

 昨日の読売新聞「編集手帳」欄に秋聲のしゅの字を発見して小躍りをいたしました秋聲記念館です。昭和9年、文芸懇話会の発足式にて、文芸の統制を目的として立ち上げられた同会に対し、秋聲が「日本の文学は庶民階級のもの、政府がいらぬ口出しをするな」といった趣旨の発言をした…とのご紹介でした。
 現在、編集中の館報「夢香山」第10号に掲載を予定しております昨年5月の榎本隆司氏による講演会「『一穂いるか―』―父子相伝―」の講演要旨の中にもそのくだりのご紹介がございます。

 秋聲のこの発言を書き留めたのが広津和郎。昭和22年3月、雑誌「プロメテ」秋聲特集号で「徳田さんの印象」として上記のエピソードが語られました。広津によるとその発言は決して求められたものでなく、主宰者の挨拶に対し、いきなり秋聲が割って入ったもののよう。そんな秋聲の姿勢を「何も武装しないでのこのこ歩いて行きながら、何かにぶつかると閃きのように、身構へるそしてそれを過ぎると又のこのこと身構へを解いて歩いて行く」と表現しています。
 いっぽうで、同会で機関誌をだすということになったとき、島崎藤村がこれまた「編集には口だしせずお金だけ出して」との旨を、独特の格調高い言い回しで発言したことをも書き留め、「この簡単な言葉を云ふまでに、島崎さんは前以て幾日も考へ、云ふ時機と、それの効果とを、すつかり計算した上で云つたといふ感じがする」、すなわち「徳田さんの相手にぶつつかつて(ぶっつかって)直感的に閃めくかの如くズバリと物を云ふのとは違ひ、何日も何日も用意周到に考慮を重ねた事を、島崎さんは一番簡潔な言葉でポツリと云ふといふ感じである」と、両者の違いを語っています。これは面白い人物評! そしてまた、次回「秋聲の戦争」展(仮題)への良い橋渡しをいただきました。
 えっ? アッ…3月もう終わります…!? やらねばやらねば…!!
 




解説の件でお詫び
 2018.3.22

 トップページのお知らせにそっと出してございます館内解説の件、ご覧のとおり、3月中はお休みをいただいております。通常でしたら随時おひとりさまからでも無料でお申し込み可で、学芸員がおれば対応しますし、解説ボランティアさんにご活躍いただくこともございます。ただ、この3月はタイアップ企画の影響により館内が混みに混みあっているため(←じわっと行列ができたときのソレ)、一時お受け付けを休止することといたしました。そのお知らせを出す際にも、とかいってガランガランだったらどうします…? 恥ずかしいですよね…とずいぶんと迷いもしつつ、しかし蓋を開ければ解説要員さえもちょっと観覧の邪魔! と言われかねない混み具合となりましたので、この機会に…とご計画くださった方にはたいへん申し訳ないのですが、お客さまのご観覧環境を第一に考えました結果のこと…なにとぞご理解くださいませ(お知らせをだす前にお申し込みをいただいた分には対応させていただきました。小声・早口・巻きも巻きですみませんでした…!!)。
 と、本日も一件お申し込みのお電話をいただき、うっかりしたといいましょうかついいつもの癖でツルッとお受けして受話器を置いてからアッいかん!! となり、慌てて折り返しのお電話をいたしました。その節はぼんやりしており本当に申し訳ございませんでした。4月以降は通常通りの体制に戻ります。ご都合にあわせてご活用いただけましたら幸いです。
 とは言いながらこれ以前にもすでに急増しておりました展示解説のお申し込み、失礼ながらこれまでよりずっと予備知識をお持ちになってご来館くださる方が多く「…ってあたりのお話ご存じです…??」と解説の中で変な前置きをすることが増えました。「あっご存じですね、そうそうそれです、飛ばしまーす」との展開も多々。限りあるお時間のなか、知っていることをくどくどと説明されても…というお気持ちはわかりますので、どうぞご遠慮なく遮ってください。「それ、知ってます」とご申告ください。……いえ、クールに言われるとちょっと傷つくので「あっこれきのう勉強したやつ…!」とテスト中に呟くみたいなポジティブなテンションで言ってみていただけると助かります。
 

 


文学館星座観測
  2018.3.21

 先日、大阪府茨木市の川端康成文学館さんが当館をおたずねくださいました。いつぞやの康成展ではたいへんお世話になりました! 
 また同館には康成の再現書斎があり、そちらで秋聲没後、長男一穂から贈られた秋聲遺品のペン皿についてご紹介をいただいております(館では現在、横光展を開催中!→)。
現物は鎌倉の康成邸に。当館の康成展ではその実物と、ペン皿ありがとう、と恭しく記された約2mに及ぶ康成筆一穂宛書簡(徳田家蔵)とをセットで展示させていただきました。

 秋聲が(わりとその没後)とても良くしていただいたほかならぬ康成のとこの文学館さんなので、当館といたしましても「あらっ川端さんとこの…! まぁ~その節はどうも~!」と一気に破顔のうえ秋聲にとっての謎ポジションからご挨拶を申し上げてしまうのです。お忙しいところありがとうございました。今後とも末永くお付き合いのほど、何卒よろしくお願いいたします。
 作家の交友関係がそのまま記念館の交友関係になるというのが、まぁ自然なことながらしかし面白いところでもあり、当館が何かと田山花袋記念文学館さんやら菊池寛記念館さん、こおりやま文学の森資料館さん(久米正雄氏のホーム)のお世話になってしまうのも、ふんわり作家本人たちの関係性を反映しているようでふふふとなったりいたします(いつもすみません…)。
 とは言いながら、秋聲令孫にあたる名誉館長が康成のことを「川端さん」、広津和郎のことを「広津さん」とお呼びになるとき、それはわれわれが時に先人としてなんとなく敬称をつけて呼んでみるのとまったく異なる意味をもち、身近な人としてそこに像を結べる人のソレ、ということにも毎回ハッとするのです。





20周年、おめでとうございます!
  2018.3.20

 本日発売、月刊誌「金澤」さんの4月号が届きました! そろそろお花見の季節ということで今回はお花と秋聲について書かせていただきました連載コラムの第9回、巻末のほうに載ってございます。ご購読いただけましたら幸いです。と、今号は創刊20週年記念号だそうな! おめでとうございます!!
 そうと知っておりましたらもっと景気の良いネタにいたしましたものを、毎度毎度最後に後ろから膝かっくんされる系のペーソス漂う感じにて申し訳のないことです。景気の…景気の良い話……あっ当館今年の4月7日で開館13周年です!! ありがとうございます!!(同日、お花見茶会もあります!受付中です!) いや、それはそれでお祝い気分の横どりですね。当館のことはさて置き、先日届きました新潮社記念文学館さんの企画展チラシ「新潮社の装幀展」を見ておりましたら右肩になんと「佐藤義亮生誕140年記念企画展」との冠があるのを発見いたしました。おお、新潮社創業者・佐藤氏の生誕記念イヤーでありましたか、これはおめでたい!! 
 佐藤氏と秋聲とは交流深く、昨年12月12日付記事に書きました新潮社創立40周年の祝賀会で秋聲が祝辞を述べていたりもいたしますし、思えば『黴』『足迹』『爛』の袖珍本3冊セットも代表作『あらくれ』も新潮社さん刊ですね。秋聲に言及があるかはわかりませんが、ご興味おありの方、4月8日~7月8日、秋田県仙北市角館の同館へ出かけてみてはいかがでしょうか(佐藤氏が角館生まれ)。昨年刊行された新潮社刊『「文豪とアルケミスト」文学全集』のご紹介もチラシの裏にありました。こちらには秋聲の短編小説「和解」と随筆「亡鏡花君を語る」が収録されています。そしてそして、後者に関しましては当館のめぐる展にてその初出雑誌を展示中!

 結局自分とこの宣伝となりまして恐縮です。アッついでに病を得た国木田独歩を励ますため花袋と小栗風葉とで編集して秋聲を含む28人が作品を寄せた『二十八人集』も新潮社さん刊ですね! しかも当館でその秋聲旧蔵本をまさかの展示中ですね! これはめぐる展をもめぐるしかないですね!!
 




当館の引き
  2018.3.19

 出張に出かけましたまさにその17日(土)、来館者数実に300人超えという最高記録を叩き出したのだということを聞き、恐れおののいております(一般のお客さまを含みます)。のんきに外出なんぞいたしまして…! ここへ来ての初日超え、春休みに突入された方が多いのでしょうか。なんにせよご来館ありがとうございました。
 なお、このタイアップ企画の景品交換場所となっている「金澤文豪カフェあんずさん」では、現在文アルさんとのコラボレーション企画が展開されています(念のため、こちらは当市主催のタイアップ企画とは別個です。お問い合わせ等はあんずさんまでお願いいたします)。
 今更ながらのご紹介にて恐縮ながら、同店では三文豪にちなんだランチやデザートが注文でき、そのコラボメニュー1点につき、キャラクターをあしらった限定コースターがもらえるそう(秋声、鏡花、犀星、三文豪の全4種類ランダム)。

 これが連日盛況にて満席になることも多く、このたび三文豪にちなんだ3種のドリンクのみテイクアウト可にされたとのこと聞きつけました。お客さまのお邪魔をしては申し訳ないけれどもやはり気になる…といったわけで、出張前にそっと忍び込み、「秋声くん」色の新橋色ノンアルコールカクテルを注文してみました。と、コースターも引ける!(抽選箱のような感じで手をつっこんで1枚ひけます)とのことで、ちゃっかり1枚。「これで鏡花さんだったらアレですね~(笑)」などと店員さんに言われながら引きましたところバッチリ某K花さんではないですか! こんにちは!!! 
 店員さんとともに「アッ…!?」となったあの瞬間…まるでコントのようでした。

 もともとどれを引いてもお返しするつもりだったのですが(無駄に手垢だけつけてすみません…)某K花さんは人気者ですから、某K花さんが欲しいという方たくさんいらっしゃるでしょうから、べつにべつだん某K花さんだったからというわけではないのですが、そっと箱内にお帰りいただきました。いや、びっくり。





横光利一文学会に紛れ込む秋聲
  2018.3.18

 花袋vs横光の戦い…今回は横光利一文学会を選択してしまった秋聲記念館をお許しください。だって、表に秋聲のしゅの字が出ていたから…! おれたち秋聲記念館だから…!!(↓わかりにくいですが玄関に貼ってあったプログラム)
 そんなわけで17日(土)、日本近代文学館さんでおこなわれた横光利一文学会第17回大会に潜入してまいりました。会場はやれ椅子を足せ、やれ資料を刷り増せの大盛況でございました。日比嘉高先生、芳賀祥子先生のご発表につづき、大杉重男先生の口から秋聲記念館の名が出るたびポーカーフェイスを装いながら荒くなる鼻息だけは抑えきれなかったこと、近隣各所に深くお詫びを申し上げます。「文豪とアルケミスト」さんがリリースされたことにより、館の入館者数がじわっと増えてきていること、この3月はまたえらい数になっていることなどにも触れ、秋聲がはじめてキャラクター化された背景、それが秋聲文学の受容にどう繋がってきているか、今後の展望などなどについての分析がなされました。秋聲がゲームに登場したことをのっけからまず「異常事態」ときっぱり言われたときにはさすがに笑ってしまいましたけれども…! 文学会さん、ご案内ありがとうございました。

 その帰り道で以前に館内解説をさせていただき、この3月にもタイアップ初日にお越しくださっていたお若いお嬢さんが声をかけてくださり、東京駅までご一緒することに。そこで話題になったのは現在展示中の横光筆秋聲宛年賀状(徳田家蔵)のこと。「賀正 横光利一」と太い筆文字でドバスーン! と書かれただけのシンプルな年賀状…大きな展示ケースのすみっこにちょこんと入っているソレです。
 実は資料の借用をお願いする際、最後にねじこんだものでして、誤解を恐れずに言えば「(今回の企画展に限り)なくても成立するけど、あったら嬉しい」資料階級に属するもの。そしてこの「あったら嬉しい」層に反応してくださることがまた嬉しく、情報量としては「賀正」だけながらそれについてちょっとキャッキャしてしまったレアな丸ノ内線車内でございます。





ついでに秋聲にも帰ろう!
  2018.3.14

 今期めぐる展でも当然ご紹介しております秋聲と同い年の田山花袋さん。その記念文学館さんにて来る17日、田山花袋記念文学館開館30周年記念講演会「もう一度、田山花袋に帰ろう!―『田舎教師』の魅力をとことん味わう―」が開催されるそう! しかも講師は当館でもいつもたいへんお世話になっている尾形明子先生だというのですからこれはみなさま大いにご期待ください(と、わが館のことのように…)。先日館に届きましたご案内によりますと、この3月に岩波文庫から『田舎教師』が新版として刊行…その解説を書かれた尾形明子氏を講師にお迎えし、全国に先駆けた記念講演会をおこないます…とな…! 
 ご刊行およびご講演の開催に心よりお喜びを申し上げます(とても羨ましいので同い年ハッピーセットで秋聲新刊もいかがですか岩波文庫さん…!!)
 『田舎教師』といえば、以前の花袋展にて展示した花袋筆秋聲宛葉書(徳田家蔵)、「田舎教師」の舞台となった埼玉県羽生市「建福寺」より秋聲に出されたものがございました。また、「田舎教師」執筆中で忙しいんだよ~と書いたお手紙も(今回展では別の葉書2通を展示中)。
 3月17日(土)10時半~12時、お申し込みが必要なようですので、お祝いに駆けつけたい方はHPをご確認ねがいます。しかも会場で3月16日刊行、できたてホヤホヤの岩波文庫版『田舎教師』(760円+税)も購入できるそう。は~~うれしいことですね~~~!

 ただうれしいうれしい言っていられないのが思えば17日は12時半より、以前にお知らせした横光利一文学会が東京・日本近代文学館で開かれる日!(こちら演題に秋聲のしゅの字が…) 昭和13年、川端康成、片岡鉄兵とともに『田舎教師』遺跡巡礼の旅にも出かけた横光氏でございます。実際問題、館林から駒場へ…どうがんばっても2時間はかかる…早退・遅刻を抜きにして両立は困難…! さてどちらへ行かれるか、究極の選択です。

 
 
 


缶バッジ完売のお知らせ
 2018.3.13

 この週末が、文アルさんタイアップ企画の第二波でございました。初日以来ふたたび200人超のお客さまをお迎えし、開館前には梅ノ橋までじわっと列が…ふだんの当館の感じからしてあらゆるパターンの「こんなことってあるんですね」がすっかり全職員の口癖となりました。ご来館ありがとうございました。
 またその怒涛の週末のうちに新発売のオリジナル缶バッジが完売いたしました! な、なんという…こんなことってあるんですね…!! ちょっとしたおたのしみのつもりで制作したこちらが思いのほかの売れ行きで、2月末よりずっとその台紙づくりから袋づめに追われていた職員一同でございました(アッあれ内職です、手作り感いっぱいで恐縮です…!)  
 先日も台紙をプリントアウトしようとパソコンを繰っていた職員が「…ねえサンタの台紙ってここに入ってます??」と疑問符を盛大に飛ばしながら訊いてきたので「入ってますよ~ほらサンタってタブの~」「…えっサンタじゃないんですけど」「あっサンタ柄ではないです、仮装人物の…」「あっサンタ柄じゃないか!」「そうサンタ柄ではない、サンタにサンタじゃうるさいから!」とのやりとりが繰り広げられました。サンタバッジの台紙にはそのゆかりから『仮装人物』装丁を使っています。これまでにもう何度も内職を経験し、そんなことは百も承知の職員でしたがこの混乱のなか頭がとっちらかってしまったよう…サンタを乱用しがちな当館ながら、さすがに「サンタバッジの背景にサンタ柄を配してはうるさい」といった良識、あるいは自制心くらいはギリギリ持ち合わせているのです。

 いま慌てて追加分の発注をかけているところですが、混み合っている年度末のこと、納品はもしかすると最終週くらいになるかもしれません。いままでに経験のなかったことで、対応が行き届かず申し訳ございません。
 と、言いながらわれわれ記念館の本領は展示です。常設展、企画展をこそご覧いただけましたら幸いです。こちらもちょっとしたおたのしみに、と常設の秋聲先生のスーツのお隣に遺品のお帽子を蔵出ししてみました。パナマ帽しかなかったので季節的にはアレですが、3月にもなってサンタをゴリ押しする当館にそもそも季節感など…
 


 


孤立する鱒二
 2018.3.9

 きのうに引き続き、もうひとつ白鳥小話です。いま企画展でご紹介している秋聲を囲む「二日会」(のち「秋聲会」)、展示に登場する人々はそのほんの一部でございます。名前だけでほぼほぼ会に参加していない人々もいるようですが(久米正雄氏は会員だけれども出席した記録なし)、少なくとも会員名簿には60名弱のお名前が記載されています。
 白鳥さんは会員ではないけれども時々ゲスト参加したタイプ。厳密には「秋聲会」以降には名簿がないのでどこまでが会員かとの判断は難しいところながら、昭和10年頃、白鳥さんと秋聲会で一、二度同席したという若手の野口冨士男氏(『徳田秋聲傳』著者)がそのときのふたりの様子を伝えています。
 曰く、当時明らかに秋聲より収入のあった中村武羅夫(「新潮」編集者・常連)も参加していたけれどもレストランで催された会の支払いは秋聲がもっており、帰り際になると白鳥がパチンパチンと自分の分の勘定をテーブルに乗せ、秋聲はそれを伝票に乗っけて無言でレジまで歩いていく…
 このふたりの間の独特の空気感、とてもかっこいいのではないでしょうか…! 秋聲と白鳥の年の差8歳、このころ秋聲が65歳なら白鳥さんは57歳。ちょっと年の差があるように見えますが、会員の多くは後輩作家。みなおしなべて若いものですから(武羅夫で50歳、犀星さんなら47歳)ちょっとここには入ってゆけぬ空気感を醸していたかもしれません。
 そんなふたりの間に交わされた何気ないやりとりをまた記しているのが、展示中の会員・井伏鱒二(当時38歳)による原稿です。いま見られるのはそのやりとりが記された部分、いま見られないけれどもその前に記されているのが、会に出席しても遠慮して秋聲に話しかけられない鱒二…秋聲もまた鱒二にとくに話しかけず、ふつうの顔してもぐもぐごはんを食べている(他意はない)、そのうえ誰も紹介してくれない、隣は知らない人、お酒も出ない(主賓=秋聲がお酒飲まないから)……え~~! え~~! 居たたまれな~~…! との内容となっております。

 まぁおのおの秋聲の顔を見に集まる会だからいいんだけど…とも綴られておりますが、ちょっとコレ人見知りには地獄のような空間ですね!





白鳥座の話
  2018.3.8

 今朝、展示室でちょっと作業をするうちなんとなく正宗白鳥氏による秋聲追悼文原稿に見入ってしまい、モソモソ読みふけっておりましたら受付さんより「作業終わりましたか!? お客さん待ってるんですけど開館してよいですか!?」とのお声がかかりました。おかげさまでなんでもない木曜にも続々ご来館をいただいております。ありがとうございます。
 今回の企画展では上記原稿とともに、秋聲葬儀で友人代表として白鳥が読み上げた弔辞の原稿(徳田家蔵)を展示させていただいております。こんなの出てきた、と名誉館長からご連絡いただいたのがいまから4年前のこと。ちょうど「菊池寛賞と秋聲」展を開催していたおりでしたので、その会期中の秋聲忌(11月18日)に初公開をいたしました。おりよく白鳥展でこそなかったけれども(それはそれとして6年前に開催)、秋聲の葬儀委員長はほかでもない菊池寛(と中村武羅夫)。何かと繋がってくるのが文壇星座でございます。

 これら白鳥資料の見所はなんといってもその白鳥フォント…。先日ご紹介したいま石川近代文学館さんで長いお手紙展示中の中野重治氏の個性的な文字が、なにやら「しげ字」として注目されていると新聞に載っておりました。負けじと白鳥フォントもこれなかなかの味わいです。縦書きがだんだんと斜めになってゆく様子もあわせてお楽しみください(弔辞ですが…)。
 また当企画展は秋聲没後の昭和22年、文学碑としては日本で第一号と言われる秋聲文学碑建立の話題で結んでおり、この碑の副碑(秋聲年譜)の揮毫は、はじめ白鳥さんに依頼されたもよう。しかし「文字が拙いといはれた正宗さんは何となく気が重く」「固く辞退されたので私が代つた」とは実際に揮毫した室生犀星さんの言であり、ただ断る感じも仲良しだよね、いいよね、とも記されています(『誰が屋根の下』)。
 ちなみに弔辞のほうは、白鳥さんその葬儀のおり秋聲長男一穂さんに「こんな事は一生に一度だ」と言ったそう。だけれども19年後、犀星さんのお葬儀で弔辞を述べたのもまた白鳥さんであるという…(葬儀委員長は中野重治)。 
 しんみりした星座、できました。





50人ではたりなかった…
  2018.3.5

 きのうこのまま晴れればいいのに、と言ったそばからの雨です。なんだかすみません。本日、しとしと雨のなか、朝から途切れずお客さまがご来館くださっています。今日も今日とてありがとうございます。
 さて、スタンプ集めに街中をめぐりにめぐってくださっているラリー参加者のみなさま、もしもそのご行程に余裕がおありのようならぜひとも石川近代文学館さんにお立ち寄りください。現在開催中の学校展(~11日)にて、以前にこちらでもお知らせをいたしました川端康成自筆「文学の故郷」碑文、原本が展示されております。先日ダンス展資料返却のついでに(すみません)、ちゃっかり観覧させていただきました。で、デカ…!!
 金沢市立馬場小学校を卒業した秋聲、某K花さん、そして尾山篤二郎氏それぞれの作品の一節を揮毫したもの(碑は馬場小校庭にあります)。いつかの当館主催康成展でも借用を夢みながら諸事情により叶わなかったもの…こうして実物を拝見すると、諸事情もなにもそもそも当館の展示ケースにとても入らぬ大きさですね…!! 所有者である馬場小さんさえよければもう永遠にそちらで展示されては…? というくらいに石近文さんのおおきなケースにぴったりきている掛軸となっておりますので、どうかどうか寄り道のうえご覧になってくださいませ。当館で公開中の久米正雄筆秋聲宛書簡1m80cmの軽く倍をゆく噂の中野重治筆書簡4mもまた必見。ドデデーンと文字が大きくあるのかと思っておりましたら字ちっさ…!! この字のサイズで4m…受け取ったほう(北村喜八)もたいへんです。

 と、これで大拙さま、石川近代文学館とラリーに関係ないけれどもめぐらねばならぬポイントができたところでもうひとつご案内。県内白山市の呉竹文庫さんにて「郷土ゆかりの文士文人巡り展」が明日より開催されます。秋聲にゆかり深い島田清次郎氏がチラシに載っていましたよ!(清次郎も当館めぐる展にいれるべき人物でした…そんな方々がいっぱいいます、申し訳ない…) 
 チラシを受け取った職員さん、遠くから無言で見せてくるのはやめてください。(めぐる、かぶってますよ)と目で訴えてくるのはやめてください。
 




スタンプラリー開催!
  2018.3.4

 昨日3日、ゲーム「文豪とアルケミスト」さんと金沢市によるタイアップ企画、三文豪スタンプラリーがはじまりました! 開館前から30人ほどの方が館のまえに集ってくださり、土手へとのびるじわりとした行列に…! 金沢には珍しく快晴ながらまだまだ空気は冷たいなか、9時半の開館を静かにお待ちくださいました。整列にご協力をいただきありがとうございました。
 午前中いっぱいは途切れることなくお客さまがじゃんじゃんご来館、展示室はいまだかつてない混雑っぷりとなりました。じっくり見ないとなかなかその魅力の伝わりにくい文学資料のこと、お客さまにはすこし見づらい環境となってしまったかもしれません。職員としては嬉しい悲鳴であるとともに、すこし申し訳ない気持ちにもなりながら、ただそうとはいえこれだけたくさんの方が熱心に展示資料に見入るお姿にやはり感動もし…ついでに藤村カルタであそんでくださっているお嬢さん方を発見し、ニヤニヤしながら何度も無駄に展示室をうろつく職員でございます。みなみなさま、ご来館ありがとうございました。
 また3月1日から販売開始したガチャ仕様オリジナル缶バッジの売れ行きがものすごく、受付周りがなんとなく秩序立ったのちは、応援部隊のみなさまをもかりだし袋詰め、カプセル詰め作業におおわらわ! 事務室がさしづめ内職工場のようになりました。応援部隊のみなさまも「それ手伝いにきたんじゃないんですけど」だなんて言いません。「人がいるうちになんでも! なんでも!」と快く力を貸してくれました。なんともありがたいことです。
 初日は結局200名超の来館者をお迎えすることとなりました。そんな事態にテンションが迷子になってしまったのでしょうか、何にもしていないくせに途中で具合がわるくなり学芸員まさかの早退。混雑に、慣れていないにも、ほどがある…!(字余り) ちょっと意味のわからないことになりました。ほんとうにお疲れなのは寒いなか整理にあたってくれた応援部隊、昼過ぎまで立ちっぱなししゃべりっぱなしで応対をした受付職員、そして何より3館をみっちり大急ぎで巡られたお客さまです。
 3月いっぱい、できればこのお天気が続きますように…
 
 



お詫びと訂正
  2018.3.1

 本日、新企画展「秋聲をめぐる人々―文壇星座観測―」開幕をいたしました! 開催にあたりご協力くださった関係各位、たいへんな春の嵐に見舞われました初日というに、午前午後の展示解説に駆けつけてくださったお客さま、ご観覧くださったみなみなさまに心よりお礼を申し上げます。
 ただ、開幕はいたしましたが「無事に」とはまいりませんでした。今朝ほど当館のチラシビジュアルをご覧になった方からご指摘をいただき、下半分の中央あたりに記載しております「磯多」の「磯」の字、間違っていることに気が付きました。作家・嘉村礒多氏、正しくは「礒」の字です。あれだけメインビジュアルに使用していてもはやお詫びのしようもないのですが、関係者のみなさま、礒多ファンのみなさま、こちらの不注意により、ほんとうに申し訳ございませんでした。また、ご指摘ありがとうございました。

 本来ならば即座に回収して訂正版を提出すべきところ、恥ずかしながらチラシ・ポスターを刷りなおすほどの余裕がなく、まずはホームページでの周知(トップページと企画展ページにお知らせを載せました)と、関係各位への謝罪、そしてここからどこまでのことができるのかを検討してゆくばかりです。館内のパネルやタペストリーなど手の届く範囲のものは現在差し換えの手配をおこなっております(朝いちのガイドペーパー、修正が間に合わなかった分をお持ちの方には重ねてお詫び申し上げます)。
 チラシのデザインを褒めてくださった方、すてきなデザインをしてくださったデザイナーさん、印刷会社さんにもお詫びを申し上げねばなりません。人のお名前の間違いは絶対にあってはならないこと。こちらにどれだけ書き連ねてもどうしようもないのですが、まずは誤植があったことのお知らせと、ただただみなさまにお詫びを申し上げたく存じます。   

 

 


本来気軽に話しかけてはならぬ相手(久米筆書簡)
  2018.2.28

 展示替え最終日です。きのう悩みに悩んでいた善蔵問題、結局書簡を展示して、署名入り著書は後期に展示、前後期で入れ替えをおこなうことといたしました(写真はただただもてあまされてしまった人々→)。
 学芸員ひとり体制ではどうしたって年に3回の企画展が限界…(個人の能力の問題もあります。昨年特別展として漱石展1ヶ月半をねじ込みましたら脳内がおかしなことになりました…)。せめて3~4ヶ月は準備期間がほしい、それすなわち一企画展の展示会期、となってしまい、一般的な展覧会会期の2倍3倍、これは資料にとってあまりにも酷な長さ…。ゆえに照明の加減を調整したり、中でちょこちょこと資料を入れ替えたり、展示する箇所を変えたりとあまり負担がかからぬよう苦肉の策を講じたりするのです。何度も来られる方ばかりではありませんので一挙にお見せしたい気持ちもありながら、何度も来てくださる方にはちょっとしたお楽しみともなり。展示スペースの問題だけでなく、公開と資料保存との兼ね合いもまた難しいところです。

 そして何より今回は当館本気の展示資料の数々でございます。いやいつも本気ですが、今回の展示資料はどれも目玉! そりゃあそう、本来ならばどなたも主役級である作家たち一挙50名様を取り扱っているのですからどこも捨てる場所なし、脇役なし、展示場所取り合いっこの争奪戦!! きのうお伝えした久米氏の目立ちっぷりもさることながら、今回もっともご活躍なるは中村武羅夫氏でしょうか。おおよそ壁面に掲示したパネル内容に応じた場所に関連資料を陳列してゆくべきところ、武羅夫氏資料はだいぶんフライング気味に他のひとのスペースを喰ってかかっております。それでもいくつかは諦めました。そう、ご存じ「徳田秋聲後援会」にまつわる貴重な資料たち。
 徳田家蔵、初公開のものを多数含みます。徳田家より資料をお借りする際、ひときわ緊張をいたしました。ドキドキしながらこれだけの資料をお貸しねがいたいのです、とご連絡をすると、名誉館長からは「ぜんぶ準備できました~」との軽快なるお返事が。秋聲記念館の本気、しかしそれは徳田家の日常…! ありがたく、そして畏るべきことなのです。 
 
 
 
 


狭いし長いし小さい
 2018.2.27

 展示替えするたんびに言うておりますが今回もまた言わせてください。
 展示ケースがせまくってねえ…! いつか漱石先生のお手紙の長さに罰当たりにもブーブー言った記憶がございます。今回のお相手は久米正雄氏です。久米氏による秋聲宛お手紙がなんせ長くってねえ…! 1m80cmはゆうにあるでしょうか。こちらが書籍10冊分くらいの面積をどどーんと占めているのです。大きな館であればそれでも問題はないでしょう。しかしこちとらこぢんまりとした個人文学館。ちょっと…荷が重いっすわ…などとお相手の書簡にぼそぼそと語りかけつつ展示替え作業をすすめております。
 そんな文句を言っておいてアレですが、ただこちらのお手紙にはそれだけの価値がございます。本来ならば特別にケースをあつらえてもよいくらいの貴重資料です。その筆跡、翻刻がいるかな…? とすこし迷いもしましたが、翻刻を添えてそちらをばかり読まれてはたいへんにもったいないとの判断のうえあえて翻刻パネルは付しませんでした。グナグナ文字に慣れない方でも、ちょっと我慢して数行読めば次第にスンッと入ってくるくらいの崩し方。ぜひ原文・原資料でご鑑賞ください。
 そうして今回の展示資料中最大級の久米氏書簡を基軸に他の資料を入れてゆきましたらどうしても入らなかった葛西善蔵資料…残るスペースは何かしらひとつ分のみ。書簡をとるか書籍をとるか、普通であればその重要度から言って書簡であろう、しかし悲しいかな、善蔵氏による書簡の字がおちいさくってねえ…!! 

 自然ここと決まってしまったその場所に置いてはガラス越しではぜったいにその内容までは判読できまい、見せる気のない展示であれば見せないほうがマシであろうか、いや雰囲気だけでも価値があろうか、いやいやむしめがねを置いてはどうか、いやむしろ全体のバランスから言えば書籍のほうが座りがよかろうか! ととりあえず先に他のケースを埋めながらいままだ逡巡しております。ちなみにこの本、善蔵による秋聲宛献呈署名入り(秋聲旧蔵品)。そうした重要度でもって基本1点ものの書簡とだって互角に戦えるのです。 



 


雪の障壁
  2018.2.26

 展示替え作業とは中の資料入れ替えだけのお話ではございません。館内の表示やら館外のポスターやらも一切合切入れ替えをおこなわねばなりません。きのう、ひがし茶屋街の専用ポスターケースの貼り替えに行った職員が、「ちょっとコレえらいことになってました…」と写真を撮ってきてくれました

 コ、レ…!

 ポスター半分隠れてるうえにとても貼り替えができる状態でなし…! 「秋聲のみち」沿いの雪もすっかり溶けて石畳が見えてきていたこのごろでしたので完全に油断しておりました。すでに見慣れてしまって意識のうちに入りませんが、道の脇にはまだまだ積まれた雪がそびえたっているのです。そしてこのポスターケースへたどりつくにも、立ちはだかる強固な障壁…!
 しかし誰も責められません。そんな冬であったのです。

 とは言いながら、当館による長靴予報によれば、ふつうに道を歩く程度でしたらもうズックでも大丈夫でしょう。大雪のため休止していたレンタサイクル「まちのり」も、20日付けで再開されたもようです。ただ空気はまだまだ冷たいですのでしっかり防寒のうえお出かけください。
 再現書斎に置いた秋聲先生の火鉢も、3月いっぱいは残しておこうと思います。が、そちらで記念撮影ができるというサービスは2月末で終了いたしますので(そしてダンシングウィズ秋聲顔はめパネルも撤収)、次回開館時には館内で写真が撮れるスポットはなくなります。申し訳ありませんが、何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。なお、2階サロンから見える梅ノ橋などの風景は誰のものでもございませんので撮影可です。秋聲記念館館内より撮影、といった覚え書きで、当館の思い出残していただけましたら幸いです。
 

 


24分の1に選出
  2018.2.25

 昨日24日をもちまして「踊る文豪~秋聲とダンス!」展、無事会期を終了いたしました。終わってみればはやいもの…ご観覧くださった皆々様に厚くお礼申し上げます。
 本日より28日まで休館をいただき、もりもり展示替えをおこないます。次回「秋聲をめぐる人々―文壇星座観測―」展は3月1日(木)から。ふつうの平日にそっとオープンいたします。こちらもまたよろしくお願いいたします。

 先日「めぐる展」つながりで鈴木大拙館さま「大拙をめぐる人々」展に潜入してまいりました。奇しくも恐るべき企画展名丸かぶり事件を引き起こしてしまった今回、先にオープンされている先輩めぐる展さまにご挨拶をせねばなるまいよ…と、しかしあまりに合わせる顔がなくほっかむりをしてそっと忍び込んできたのです。すると大拙さまをめぐるさまざまな人々のなかに志賀直哉氏がいらしたり、棟方志功氏がいらしたりで、ほんのすこし秋聲とのめぐる要素を発見したはよいものの、おふたりとも次回めぐる展には登場いたしません。そのうえ、棟方志功装丁による秋聲の『土に癒ゆる』、逆にダンス展に出してしまっていて、次回めぐる展では引っ込めます。すこしでも繋がる要素あらば、うちのめぐるとおたくのめぐる、隣り合う波紋の重なりのように絡まってゆけたかもしれないのに…と、またもや至極一方的に、なんとか同テーマでともに開催している意義を見出せないかと考えてみたのですがダメでした。ア、大拙さまは秋聲の四高時代の先輩です。おやおやどちらもシコウつながりってね…!

 その後本屋さんを訪れまして、講談社文芸文庫さまの創刊30周年記念小冊子「24人の目利きが選ぶ講談社文芸文庫 私の1冊」(無料)を手に入れました! こちら、その名のとおり24人の現代作家さんによるおすすめの一冊についての書評が掲載されています。なんとわれらが秋聲作『黴 爛』の掲載があり、推薦人はご存じ古井由吉先生! は~ありがたや!! 間違いなくこちらも秋聲をめぐる人々にカウントすべき御方です(展示には登場しません! 何から何まですみません!!)本屋さんにて是非このオレンジの表紙、探してみてください。





秋聲のインスタ
 2018.2.22

 お菓子レポートを控えます、宣言からの一度その戒めを破ってからはわりとガバガバになっているその心の扉、先日いただいたお菓子がちょっとおもしろかったので例外からの例外です、すみません!
 先日解説をさせていただいたお客さまから、おずおずと手渡された紙袋。「すみません、おしるこなんです…」と申し訳なさげにお伝えくださったのは、当館さいきんの寸々語にておしるこおしるこ言っているからですね…! 「最中(もなか)かと思ったら、おしるこだったんです…でももうリボンかけられてしまって…言えなくて…」……といったわけで、名誉館長からのおしるこの底が見え始めた今日このごろ、無事おしるこが補充されましたよ!!(笑)
 お気遣いありがとうございました。まだまだ寒い日がつづきます。あたたかいおしるこによって生かされてゆく当館です。
 
 さて甘味。月刊「金澤」さんの3月号が届きました。今月の特集は「スイーツ満開!」。巻頭の美しいケーキ特集につづき、お弁当、コーヒー、そして肉…! 内容盛りだくさん!(たとえば事務室や受付でこれを真剣に読みふけっている職員がいたらどうでしょう? あッ仕事中になに読んでるんですか! と怒られますね? しかし慌てず騒がずスッと98ページを開くのです。そしてこう言う、「秋聲コラムの第8回を読んでたんですけど」。完璧です。もはや誰も責めることができません。そんなアリバイづくりに利用可能な情報誌は「金澤」さんだけ…!)。

 秋聲先生の食の好みにつきましては、その日記を読めばなんとなくつかめるところもございます。千疋屋でフルーツクリームを食べたり、ジャーマンベーカリーでチーズトーストを食べたり、ホテルでコーヒーをおごってもらった人に、でも「文学のことは少し低級」と内心で毒づいてみたり、スエヒロのビーフステーキやハンバーグステーキを食べにいったり、といった何気ない日々の記録。この秋聲日記の実物は現存せず、雑誌や何かに引用されたことで一部テキストが残されました。おおむね長男一穂によるものですが、昭和14年のものは秋聲を尊敬する武田麟太郎の発案で雑誌に掲載されたもの。
 ありがとう一穂さん、タケリン…(←ここふたりは交流深し)。ご本人はお嫌かもしれませんが、秋聲先生がビフテキをけっこうな頻度で食べにでかけていたこと、知れてよかったです。



 


タイアップ企画につきましてお願い
  2018.2.20

 今朝ほど金沢市の新聞広報欄に文アルさんとのタイアップ企画が比較的大きく載りました(いま公開されている情報以上のことはとくになしです)。それにともない、当館内にも広報チラシが設置され、3月3日からの開催に向けじんわりそのムードが高まってきております。先立って、イベント参加に必要なスタンプラリー台紙も納品されました。何度でも申し上げますが、こちらは当館受付でしか手に入らないもの。うっかり犀星さんや某K記念館さんへ行かれても、台紙は置いてございません。参加ご希望の方は必ずや当館を最初にご訪問ください。そしてこの台紙、失くされても再発行はいたしかねます。それ自体がけっこうレアになってくるものですから、ふつう秋聲関係の刷り物が発行された際には職員に一枚ずつ配りまわすのですが、こればっかりは手をつけることができませんでした。いたずらに手元に撒き散らかして万が一足りなくなったらどうしよう!? と今から怯えているのです(手元に置いたとて、館長1、副館長1、学芸員1、事務職員3、のたった6枚…たいへんミニマムな館なのです。しかし最後の6名様が泣くことになっては申し訳なく…)。とはいえ台紙、基本いっぱいあるので急がれずとも大丈夫です。いや、正直なところいかんせんシミュレーションが追いついていないのが実情です。

 そして恥ずかしながら申し上げますが、当館職員、生まれてこのかた館内が大混雑といった現象に慣れちゃございません!(ええ! お察しのとおり!!) 開催の初日、翌日あたりは念のため館外から応援部隊が来てくれることになっていますが、もしももしも、蓋を開けて大混雑になって梅ノ橋まで列が並んでしまった場合、職員一同3月のまだ肌寒い時期だというに汗かきベソかき頑張りますので、何卒あたたかい目でお見守りねがいます。それからできれば特別仕様1DAYパスポート用に510円を握り締めてご来館くださればなお喜びます。ご旅行中、最初の場所でおおきなお札をくずしたい、とのお気持ちは痛いほど理解しますが、なにせその日は土曜日曜…ぎ、ぎんこうさ~~ん!! と受付職員がさらに涙目になってしまいますので、始まる前から小うるさくて恐縮ですが、なにとぞ、なにとぞ…。



 


グッズ新発売!
 2018.2.19

 先日お知らせしておりました豆8個分のグッズ、無事納品されました! いつぞや記事に書きましたとおり、職員がその胸元につけ、これみよがしにアピールをしておりました缶バッジ(当時はイベント参加特典)、みなさまの羨望のまなざしをその32mmの耀くボディに集めに集め、いよいよモクモクと白い煙があがらんとしておりましたのでちょいとお代金こそ頂戴いたしますが、グッズとして新発売することにいたしました。

 デザインも新しくいたしまして、今回は黴・あらくれ・和解・縮図・もれなくサンタのお面・そしてシークレットの全6種類。それぞれ初版本や初出誌のタイトルカットのデザインなどを使用しております。
 そしてそしてこちらもおたのしみ、某K記念館さんの真似っこをいたしまして、なんとガチャガチャ方式なり! 何が出るやらわからないというスリルをも今回おまけにくっつけてのご提出です(よって通販不可です。申し訳ありません…)。アアン! あらくれがほしいのに黴しか出ない!! 某K花さんが怒っちゃう!! 和解、和解を早くださなくちゃ…!! などといった楽しみ方もできるとんだロシアンルーレット。一回150円のコイン式ですので、受付に何度もコインを購入に来なければならないといったハードルもありますが、受付さんはちょっとニヤニヤするくらいで「えっ何回目ですか!?」などと野暮なことは言いません。お昼ごはんを食いっぱぐれない程度に何度だってチャレンジしてください。そう、シークレットのアイツが出るまで…。3月1日より販売開始いたします。
 以前は「黴」バッジだけをそっと某K記念館に忍ばせてしこたま怒られたものですが、今回は「和解」とセットでお届けしようと思います。ほら中和中和! 秋聲記念館はおかげさまで日々成長をしているのです。

 実際の秋聲と某K花さんとの〝和解〟につきましてはなんと新聞記事にまでなりました。「(前略)むかし紅葉山人のところで机を並べてゐたときのやうに仲良くなつたといふ。めでたしめでたしである。」(「読売新聞」昭和8年6月3日) 当時としても、たいへんな事件であったもようです。



 


少し大きくしてもらったのは川崎長太郎星
 2018.2.18

 次回めぐる展準備で誰よりもがんばってくれているのはデザイナーさん(優秀)かと存じます。各館でやり方はそれぞれだと思いますが、少なくとも当館では展示用のパネルデザインはデザイナーさんに外注します。学芸員のお仕事はテキストを書き、写真を準備し、おおまかなレイアウトを決めるところまで。その素材をもとに、展示コンセプト、イメージカラー、書体などなどについて少なくともみっちり1時間をかけてデザイナーさんにお伝えのうえ、ようやく形にしていただきます。
 自分の脳内にあるイメージを(出力する技術がないので)デザイナーさんの腕を借りて具現化せんと勝手気ままを申します。今回は特に作家同士の相関図的なもの、しかも年齢差をその上下の高さで表現して作成しようと試みたため、提出されたデザイン案に、菊池寛頭二個分上! 久米は岡と芥川の間! 広津を1ミリ上げて、逆にタケリン(武田麟太郎)は1ミリ下! などと、最終的にはそれもうどっちでもよくない…?? レベルの細かな調整をかけていただくこととなりました。
 中でも苦労したのはオダサク…取り扱う50人中ひとり大正生まれで飛びぬけてお若いもんですから(秋聲との年齢差実に42歳!)…アレッ? これパネルの枠内に収まらないんじゃ…?? との問題が発生いたしましたが、結果、秋聲先生を枠外へ追い出すことでどうにか解決。おれたち秋聲記念館ですからいつだっていちばん贔屓にしたいのは秋聲先生であることに間違いはありませんが、それぞれどこかの館、そして誰かにとっての大事な作家さんですから、結局自分とこの秋聲先生にちょっと損な役回りを担っていただくこともあり…(このあたり、実際にご覧いただければご納得のことと存じます。ぜひ展示、見にきてやってくださいませ…)

 また、各人の取り扱いサイズも最後まで悩み、何度も修正していただいた結果、デザイナーさんサイドで「パネルA修正.zip」、「パネルA修正0214.zip」などデータフォルダの名づけがだんだんとややこしくなったものか、最後に届いたフォルダ名がこちら→

 「写真少し大きく.zip」。アッわっかりやすい…






二郎星、三郎星
   2018.2.16

 いつぞやのお話の続きにもなりますが、横光はやはり利一でなく横光と呼びたくなりますし、北原白秋は白秋と呼びたくなりますね。そうした意味で、今回のチラシに散りばめました50人の作家たちのお名前、フルネームで入れるかファーストネームだけ入れるかでずいぶんと迷いました。二案作っていただき、見比べること丸一日。何を悩んでいるかといえば、紅葉露伴逍遙鷗外などはよしとして、先日も言及した正雄や三郎がここだけ抽出してちゃんと伝わるかどうか問題…。
 最終的には星座っぽさのデザイン面から判断して、よし! ファーストネームだけバージョンにしーようっと! と心を決め館長に確認をお願いしたときに出たお言葉、

 「二郎と三郎って誰?」
 
 あっやっぱり…! そこひっかかりますよね…!! デザイン中、どうしたって気になってしまう左下のほうに並んだ二郎星、三郎星。結論から申し上げると安成二郎と岡田三郎です…。どちらも秋聲のお弟子さんです…。言われてみればの「あぁハイハイ」でしたが、やはりそこだけ見せられてはどこのお宅の二郎三郎やら!? となってしまうのは仕方のないこと。逆に「秋聲をめぐる人々」というヒントでもってして、安成! 岡田!! とピンとくる方はなかなかの秋聲ファンだといえるでしょう。また「浩」「勤」もけっこういい味を出しております。

 小キャプションもどうしたって「二郎は」「三郎の」とは書けず、「安成は」「岡田の」などとしており、そうすると自然引き出されてくるのはいま一生懸命「康成」呼びを定着させようとしている川端康成。すみません、ヤスナリちがいです。今は二郎の時間です、と丁重にお帰りいただくこと幾度か。
 
←幻のフルネームバージョン。

 お名前それ自体で画になるのが作家という生き物!



 


めぐる展総選挙
   2018.2.15

 めぐる展への出演を懸けた総選挙、「めぐる」という大ざっぱなくくりではなんとも絞りようがなくなってしまったため、ある程度を挙げてからは「全50人まで!」との枠を先に決めてかかることにいたしました。だいたい45人くらいまではマスト、と出来たリストを眺めたのち、その残り5枠をかけて脳内で熾烈な争いが繰り広げられ、それはただただ秋聲との関係性のみならず、既に登壇している他の人々との関係性をも含めての闘い…こっちを落とすかあっちを落とすか、かなり悩んだ挙句にようやく50人が選抜され、本日予定通り無事納品されたチラシに50人全員の名を綺羅星のごとく散りばめましてございます。
 
 そんな50人に入れさせていただきました横光利一氏。来月17日(土)12時30分~16時、東京は日本近代文学館にて「横光利一文学会 第17回大会」が開催されるもようです。「資源(コンテンツ)としての横光利一」との特集で、ふふ~ん横光氏ね~と油断して見ておりましたらアライヤダ! ここにわれらが秋聲先生がねじ込まれているではありませんか!! 『小説家の起源―徳田秋聲論』(講談社)の著者でもある大杉重男先生(首都大学東京教授)が「『文豪とアルケミスト』に「転生」した「文豪」たち―「徳田秋聲」と「横光利一」の比較から」と題してご発表のうえ、他の先生方との全体討議などがおこなわれるという…まさかまさかの横光文学会をかき回しにかかる秋聲先生…! 会員ならずとも参加可能のようですので気になる方は文学会HPをご覧ください。
 横光と秋聲、どこでつながるって寺崎浩。このあたりをさっくりご紹介するのが次回めぐる展でございます。横光と最後までその枠を争ったのは北原白秋。今回は横光氏に軍配があがりました。



 


降る雪はいつまで降るか
   2018.2.13

 まだまだ雪がやみません。11日は市民除雪デーといたしまして、金沢市民総出で雪かきをするというそんな一日を経て、きれいになった道路のうえにさらにまた雪が降る積もる…追い討ちとしか言いようがありません。「降る雪はいつまで降るか」、金沢にもゆかりある詩人・中原中也によるフレーズが何度も頭を行き来する今冬となりました。また高村光太郎さんの「道程」なんかもよく雪かきの詩じゃあるまいか!? と言われたりいたしますね。「僕の前に道はない/僕の後ろに道は出来る」、まさにまさに。大雪を押して先人たちが轍を築いていく様子が端的に言い表されております(光太郎ファンの方、お許しください。ほんの言葉あそび…出来心につき…)。
 このように何気ない瞬間におりてくるフレーズの力、そうした面で詩はやはり強いようです。秋聲先生の文章ったら一文がズルズルと長いもんですから、ここ! とバチコーンと抜き出してくるのはなかなか難しく…また前後が絶妙に繋がってもおり、力ずくでここ! とのフレーズを抜き出そうとした次の瞬間、いやいやこの前のところも…この後のところも効いているなァ…と結局ズルズルしてしまうのです。それは間違いなく作家作品のひとつの魅力ですけれども展示するにはちと不向き。ただそんなときに必ず頭をよぎるこちら、「人の知らない苦労をするよ」。秋聲が作中によく使うフレーズです。これはこれでまた強し。あるいは(ん??)とも思われるかもしれませんが、みなさま遅かれ早かれぜったいにこうとしか言いようのない人生の場面に遭遇されることがおありでしょう。すると、ふとおりてくる、これぞ先人の築いた轍。
  
 
 
 さて、そんな悪天候のなか名誉館長からのおしるこが無事届きまして、さっそく職員でムシャムシャいただきました! いつもありがとうございます!(配達屋さんもありがとう!)

←これをこうして↓お湯をこう↓↓↓!

 そんな枕をよそに次回企画展、「めぐる人々」選抜50人の枠に中也さんも光太郎さんも入ってはおりません。しかしあんこを見れば思い出す、そう「夫婦善哉」でおなじみ織田作之助はチロリと登場します!(ほんとに! チロリと!)



 
 


おしるこは出てこないが善哉はちらっと出てくる企画展
  2018.2.9

 お隣の職員さんとふたつのデスクの真ん中に置いてあるセロハンテープを共有しているのですが、いざ使おうとして手をのばしたら切れ目がギザギザの歯のところに乗っておらずスッキリ本体と同化してしまっていてまったく取り付く島のない状態になっており、ウヌヌ寒空のもと豆を取るまで帰ってくるなと言いつけた仕返しであるか…! とあまりに地味すぎるイヤガラセを受けました昨日です。かなり「アアン!!」とはなりますが、そこまで致命的でもないのでちょっとしたイヤガラセのバリエーションとしてみなさま今後ご活用ください。
 そんなセロハンテープ、本日は床にじかおきされておりました。足下にセロハンテープがぽつねんとある光景…なかなかに新鮮です。その脇にはダンボールがあり、次回企画展チラシの発送作業が着々と進められておりますのでその作業途中であったのでしょうか(ただし本日はその作業おこなわれておりません。おまえさんいつからここに?)。納品日、ゆめゆめ遅れてくださるな?? との無言の圧のようにも感じられます。いまはこちらの手を離れましたので印刷屋さんにがんばってもらうほかありません。いっちばんの大雪の日に印刷前の最終確認に来てくださった印刷屋さん…ではこちらで…と恭しく出されたものに「あ、ハーイこちらで~」といとも簡単にOKをだしてしまい逆に気まずくなってしまったかもしれないあの日。たいへんな悪天候をおして辿りついてものの1分で終了だなんて…かえって何かしらイチャモンをつけたほうが良い気さえいたしました。しかしあの日にOKを出すことが納品日に間に合う条件でしたもので、決して妥協をしたわけでもないのですが頭のうえに降りかかった雪の融ける間もなく印刷屋さんはふたたび大雪のなかを帰ってゆかれました。仕上がり、たのしみにしております。
 さて、そんな大雪でも当館は通常営業をしております。今朝ほどは東京の名誉館長より「寒中見舞いにおしるこおくるね!!」とのお電話をいただき、配達屋さんがくるたびにワクワクドキドキ待ち構えてしまうのです。パネルテキストを書きながら頭のなかはおしるこでいっぱい…「第三章 秋聲をめぐるおしるこ」とかかれておりましたら、ア、「人々」と書きたくてまちがえたんだな、とそっと脳内で読みかえてやってください。





精一杯の時事ネタ
 2018.2.8

 お客さまからいただいていちばん嬉しいお言葉は「読んでみたくなりました」、これが永久に不動の一位であろうと思っておりましたところ、これをも揺るがす嬉しいお言葉をきのうノートに発見いたしました。館内に設置しているご感想等をお客さまに自由に書いていただけるノートです。
 「ブログを読み長ぐつで来たので雪に負けずにすみました」…おお! なんと嬉しや…! 長靴アドバイスを聞き入れてくだすってありがとうございます! 長靴のおかげさまでどなたかのお足元が守られたとは無上の喜び…かえってこちらからお礼を申し上げたく…!
 とは言いながら、ここ数日の雪は長靴でもちょっと間に合わないくらいの量でした。長さが取り柄のその長靴の長さでもってしても太刀打ちできない深さがあるのだということを知りました今年の冬。レンコンをとるときなどに履くあのゴム製のつなぎのズボン…あれが必要な深さを誇り、そりゃ浅野川だって流氷みたいになるよね…と記録いたしましたのがこちら→

 流氷みたいになってる…!!

 そんななかでもご来館くださったお客さま、まことにありがとうございました。本日はくわえて路面凍結にもお気をつけください。意外にもウィンタースポーツにご関心のある秋聲先生、今年はスキーヤーもスケーターもすべりたい放題かもですよ…。ただ明日開幕する平昌オリンピックには雪が足らないようなことをニュースで聞きました。世界のバランスとは難しいものですね。
 現在展示している雑誌「街と店」(昭和12年)には、昭和15年夏季に開催が予定されていた東京オリンピックに向け、世界からたくさんの観客が来た場合、ダンスホールがいちばんの娯楽なんだからちょっとやり方考えなきゃねー、営業時間延ばしたいもんですよねー(当時は23時まで)、などと話し合うダンスホール経営者たちの座談会が掲載されています。結局このオリンピックは中止になりましたが、現在の日本と同じようなザワザワ加減、かつまた話題の中心にダンスホールがあったというのがなかなかに興味深い事柄です。



 


博物館実習生募集開始
 
 2018.2.5

 毎年8月頃に当館も所属する金沢文化振興財団にて受け入れをしております博物館実習。今年は持ち回りにて当館がその事務を担当することになりました。2月1日付で、財団HPに募集要項アップいたしましたので、学芸員の資格をとりたいという皆々様(資格をとる最後の関門なのです)、ご興味あらばぜひのぞいてみてください。
 当財団所属館に関しましてはどこも一人学芸員という体制で運営されているため5日~1週間を要する実習のすべてを単館で引き受けることは難しく、所属館全館の日替わりにてさまざまな実習を実施することとしております。歴史、文学、民俗、美術などの分野が揃いぶむという点でかえって人気をいただいているようで、応募してくださった全員が全員をお受けできないことも多々あり…。その場合いちおう選考のうえ、ということになりますので何卒お含みおき願います(なお書類不備はばっさりいかせていただきます! 投函のまえにくれぐれも中身のご確認を…!!)。

 一昨年でしたでしょうか、当館でも実習生の受け入れを担当した一日がございました。そのときには、収集したばかりの「太平洋」26冊について書誌をとっていただいた記憶がございます(博文館発行の田山花袋や桐生悠々が編集にあたった雑誌です)。ア、はい、自分でやるべき仕事を割り振りました! ありがとう若き力! げに得難きは人手なり!
 奥付をとり、状態と掲載内容の確認をし、秋聲のしゅの字があらば記録してゆく…地味にけっこう時間のかかる作業です。また、大掃除中の昔の新聞雑誌よろしく、妙なところを読み耽ってしまいあっという間に一日を無駄にするという罠も随所に仕掛けられておりますのでこれはたいへん助かりました(失礼ながら見直しはします、念のため…)。
 それこれ含め、学芸員の仕事とひとくちで言ってもいろいろございますもので、とくにコレとカリキュラムを設定せず、実習生を全館に振り分け影のように一日ただ密着してもらうというのもありかしら、などとも話しつつ、当館に関しては(このひと…む、無駄な動きが多い…!!)ということがバレてしまうな…とも怯えています(またこれを書いているときの間のもたなさ…)。 





豆ほしさにあらず
  2018.2.4

 おとといの記事タイトル、見返すたびオオ、元気いっぱいに「ケツ」と言うておるなぁとびっくりします。「宇多須神社の豆まき写真撮りにいく??」「誰かにお願いしたいです、ケツに火がついてるもんで!!」との会話がなされたことをもとにつけたタイトルなのですが、いまさらながら何故もうちょっと丁寧に「尻に火がついている」と言えなかったのだろう…と思ったりしております。気持ちに余裕がなかったのでしょう。ケツ、それ自体に罪はないですが、言葉でもって出来ている文学館ですからTPOに応じた言葉遣いを心がけたいものです。結果、お隣の職員さんが撮ってきてくれたお写真がこちら↓
 見事にまかれております。けれどもお隣の職員さんは「豆、とるまでは帰って来られないと思ったんですけど…豆、とれなくて…」と申し訳なさそうにしており、イヤイヤ豆、とれなくてもいいんだよ…! ただ近隣行事の記録撮影なのであって…「えっ豆は!?」だなんて言わないよ…そりゃとれたら「へぇよかったね!」って言うけども…逆になんだかごめんだよ…との気持ちになりました。来年はこの節分祭のそののちに館内でのお座敷あそびを開催いたしましょうか…芸妓さんに遅ればせの豆、まいてもらってもよいかもしれません。

 さて、そのケツの記事でさらりと書き込みました新グッズの件、豆より大きいが文庫よりも小さい何かを現在制作中です。毎年度、とくにひっかけたい時期がなければ秋聲先生の旧暦お誕生日12月23日に合わせて刊行しているオリジナル文庫、今年度は欠品となっていた『縮図』と『仮装人物』の増刷を優先させましたら新刊をつくる余裕がなくなり、残念なことに第11弾を出すことができませんでした。文庫をつくるほどの余裕はないけれどもこれっくらいなら出来るかな? とのほんの豆8個分くらいのサイズ感のグッズをちまちまと制作しております次第です。次回企画展開幕にあわせてお披露目予定ですのでお楽しみに…と言いながら、いかんせんどうしたってケツに火がついておりますので、開幕の日にも何の発表もなかったならば、ア、あの企画燃え尽きて灰になったんだな、とご理解ください。 





めぐりかぶり
 2018.2.3

 本日、節分です。宇多須神社での節分祭の真裏でおこないました展示解説、ご参加のみなさまにはいつも以上に厚くお礼を申し述べたく存じます。今後近隣の行事には重々気を配っていきたい、そんな秋聲記念館でございます。さて、解説だけで毎回50分はしゃべってしまうのですが、それでも洩れてしまったダンスにまつわるエピソードをばこちらにてご紹介。
 次回の企画展に登場予定の、雑誌「新潮」編集者であった楢﨑勤の回顧録『作家の舞台裏』に曰く「秋聲はダンスのおもしろいことを語り、わらくしにも習えといわれた」…でたでた、いつぞやの岡田三郎につづき秋聲にダンス勧誘を受けた人々の会! かつ「ステップの足型の書きこまれた紙を取り出しては、書斎でも、歩道でも、クイック、クイック、スローといったぐあいで、ステップの変化をおぼえようとしていた」…はぁはぁ現在展示中のあの紙ですね、胸ポケットに入れているというあの青い紙! そして同じく新潮社に在籍した中村武羅夫と「顔を合わせるたびに秋聲の近況を語りあい、そして中村に、『先生とダンス場通いをするのもいいが、ときには、小説をお願いしなさいよ。それがあなたのつとめですよ』といわれた」という…そのころ創作不振に陥っていた秋聲のことを、こうしてみんなが心配してくれていたようです(楢崎氏、結局秋聲のダンス場通いに付き合ってくれている…!)。

 間もなくダンス場から離れ、次回展「秋聲をめぐる人々―文壇星座観測―」では秋聲と周囲の人々との繋がりについてご紹介する予定です。そして近隣の行事に気を配りたいと言ったそばから、先ごろ同じ財団仲間の鈴木大拙館さまの企画展名が「大拙をめぐる人々」であることを発見していったん全身の血の気がひくという衝撃の事件がございました。それから数日、今はすっかり開き直る準備が整いまして、指の先、舌の先にまでも勢いよく血流がめぐっております(そう、前進するしかないのです)。

 へぇ南半球ではそんな星座展です?? 北半球ではこんな星座展ですけども~としれっとした顔で言えますし、同展ご観覧のついでにこちらの館までめぐってどうぞ~とも淀みなく言えます。





ケツに火がついている
  2018.2.2

 すっかり2月になってしまいました。先月最後の更新の翌日から出張に出かけ、徳田家より次回企画展で公開予定の超貴重な書簡20通等々をお借りして帰り、パネルのテキストもぜんぶ書けていないくせに設営業者さんとの打ち合わせを敢行し、チラシの校正、新グッズのデザインチェック、館報の編集、展示解説、タイアップ企画の打ち合わせ、またある日はラジオ局へと出かけてゆき、芸妓さん来てくれるんだもん! ほんとだもん! とメ○ちゃんばりにイベントの宣伝をさせていただき、そのお座敷あそびに使うお太鼓を2時半にとりにいきます~と女将さんに連絡したのち、4月のお茶会の打ち合わせに1時半にうかがいます~とお茶の先生に連絡してお電話を切った瞬間その打ち合わせ時間をスコンとわすれ、斜め向かいの職員さんにすみませんがいま何時と言っていましたか…? となんとも心配になるお尋ねをしたりなんかして、そうそう、お茶会の日どりを決めてまいりました。4月7日(土)、開館記念日です(また改めて告知をさせていただきます)。
 その後たしかに2時半にとりにうかがったお太鼓は31日、予定通り高く打ち鳴らされましてたいへん見事。叩き手は誰あろうひがし茶屋街の芸妓衆です。ええ、館内でです。嘘ではないです。芸妓さんが目の前を通られたあとに客席から思わず洩れた「いいにおい…!」との歓声には、ええ、まったくの同感です。いっときの夢のような空間であったお座敷あそびも無事に終了。それにあわせて東京から名誉館長(秋聲令孫)にもお越しいただき、さらにタイミングよく、その前日に青森から届きましたチョコレート。職員のみなさまでどうぞ、との奇跡のお心遣いにて、アラちょいと早めのバレンタインかしら…なんぞと盛り上がっていた夕方、ふと気がつきました。「いや、秋聲さんのお誕生日であったかもしれん…!!」事務室の中心で異を叫びましてございます。2月1日、新暦でいうところの秋聲さんへのお誕生日プレゼントだったかもしれません。当館は旧暦12月23日でお祝いをしてしまうので気がつくのが遅れてすみません。それもこれも違って、ただただ差し入れの甘味であったならなおすみません。なんだか職員で貪っては申し訳なく、せめてもと名誉館長に最初に召し上がっていただきました。
 そんなこんなのあれよあれよで早くも明日は節分です。ご近所の宇多須神社では芸妓衆による豆まきがありますので、ぜひ行かれてみてください。当館ギャラリートーク午後の部の真裏ですが、今回にかぎり気にしません。拗ねません。



 

「『キング』をひらく~ミリオンセラー雑誌の誕生~」
   2018.1.24

 いつもお世話になっております金沢大学の杉山欣也先生より、標題の講演会のお知らせをいただきました。明日でゴメン、と書き添えてくださっておりました昨日のメールですからなんと本日! 本日13時半~14時半、金沢大学中央図書館AV室にて、予約不要で学外からでも参加可とのことですので、大学はややゲレンデの様相かとも推察いたしますがぜひぜひみなさま今ならまだ間に合います…!!
 この講演会、大学附属図書館さんが雑誌「キング」を207冊受贈されたことをきっかけに企画されたもの。秋聲も一作だけ寄稿が認められたというこの大衆文芸雑誌全体の意義について杉山先生がお話しくださるのですが、「掲載された秋聲の作品、『キング』で読んでます」とも書き添えられたその一文で、ウホウ贅沢なこと! などとちょっと興奮をしてしまいました。八木書店版全集第15巻に収録されているほんの短い小説「物堅い事」。といってこの作品に関しては全集で読むか初出雑誌(大正15年2月号)で読むかの二択しかないほど、どこにも収録がなされませんでした。
 全集巻末の解説には「『キング』は講談社が「日本一おもしろい、日本一為になる、日本一安い雑誌」を標榜して前年一月に創刊した大衆娯楽雑誌」とあり、〝日本一おもしろい〟とのハードルの上げ方に感心もしてしまうのですが、そういった目線で読むとこの「物堅い事」、日本一おもしろい雑誌に載っている作品にしてはおもしろい…かな…!? とちょっとムズッとしてしまう(いつもながらの)仕上がり…。劇場に出かけたある夫婦の後日談で、附属の食堂で食事をした際、いただいた代金が多すぎたといって女給さんが返しにくるというお話です。筋としては以上です。おもしろい…かな…!?
 関東大震災後の劇場、食堂のクオリティも落ち、美味しくない食事にあたってしまうこともしばしば…いや基本食いしん坊だから一食の選択に失敗するとめっっちゃテンションさがるわー…! ←ハイ、こういうところ! これが「キング」的おもしろさと同義かどうか…ただ秋聲的〝おもしろさ〟とはこういうところかと考えますがいかがでしょうか。 


 
 


月刊「金澤」2月号発刊
  2018.1.21

 2月号は「チーズの世界」ですってよ、奥さん! 時にはチーズもおつまみに饗されたでしょうか、第7回「第三の男、秋聲を嗜む。」は「秋聲的音楽鑑賞法」といたしまして秋聲とレコード鑑賞会について書かせていただきました。ぜひご購読いただけましたら幸いです。
 秋聲愛用のレコードおよびご近所の金沢蓄音器館館長さんに修理していただいた蓄音器、今回のダンス展にて展示をしております。当館所蔵のものは「ゼニス スーペリア MSA」(昭和6年・日本製)、これで自宅で音楽をかけてダンスの練習をされていたよう。

 そういえば以前に三文豪をモチーフにしてスノードームを制作されたいというスノードームづくりの先生が来館されたことがあり、これぞ秋聲、というモチーフが見つからなくて…とのご相談でした(某K花さんはウサギ、犀星さんは火鉢猫ジイノだったかと記憶します)。わかりますわかります、秋聲ってばそういうのあんまりないんですねぇ…! とひどく共感をいたしまして、「秋聲の好きなもの…たとえば蓄音器とかァ…」と言ってみた後日に拝見したサンプル、ラッパ型の蓄音器を閉じ込めたその姿に「…どっちかってーと蓄音器館さんのグッズですね!!」と正直すぎる感想を漏らしてしまったことがふと思い出されます。「しかも秋聲のってラッパじゃないんですよね…!(あれはなんというんでしょうか、ラッパのついていないボックス型…)」、いやはやどこまでも絵面の弱い秋聲先生でございます。いや悪くはない、悪くはないけれども結果サンタを乱用するはめになるというただそれだけのこと!

 犬でもいい、鳥でもいい、何故なにかを熱狂的に可愛がっていてはくれなんだか…嘘でもいい、夢でもいい、うちでは昔からオカメインコを飼っていましてネ…などとどこかでポロリと言うてはおらぬか…今でもそんなことを考えつつ、申し訳なくてその後追及はいたしませんでしたがアァいっそのことダンスする秋聲先生を閉じこめてもらってもよかったかな…と夢想したりしております。舞う雪のなかでエターナルダンシング秋聲…ちょっと素敵です(でもたぶんすぐに風邪をひく)。
 




靴でも袴でも
 2018.1.19

 ここ3日、長靴も摩耗するのかどうかということばかり悶々と考えて暮しておりました。本日ようやく東山界隈、長靴の要らぬお天気事情、道路事情となりましたことをご報告いたします。
 足元に関しまして、秋聲のかの白靴も残り一ヶ月ほどの展示です。毎度口をすっぱくして申し上げておりますとおり、まだまだ、と思っていると意外とあっちゅう間に会期終了いたしますので、思い出したこのときにぜひご観覧ください。先日ラジオに出演させていただいた際、「なんと秋聲さんの靴も展示されてるんですね!!」と盛り上げてくださるパーソナリティの方に対し「あっハイ、みなさんご興味ないかもしれませんけど、秋聲の身についていた貴重なものなので…」と言ってしまった瞬間(おっと、要らんことを…!)と心臓に冷や汗がブワワッ! しかし時すでに遅し、われわれの身についているこの自虐…!! これは良くないはたらきをしてしまいました。館の気持ちとして著書や原稿など作品にまつわるものの価値を貶めることはありませんが(出来不出来や字の上手い下手くらいは言いますが)、作家本人にご興味があるかないかで遺品の価値とはけっこう人それぞれなものですから…いや記念館一味は手が震えるほどの大興奮であり、むしろ代えのきかない超貴重なものであるという認識を大前提に、そのあたり皆々様の需要と感触をなんとも読みきれず…パーソナリティの方の必死のフォローにただただ申し訳なくなりました。その節はありがとうございました。
 改めまして自信をもって申し上げます。かの白靴、今回の展示の目玉です。

 先日、テレビで人前で足を組むのがマナー違反かどうか、という紹介がありました。欧米の方はすぐに立ち上がれない=敵意はない、という意味で足を組んで座ることがよしとされていて、日本人はもともと袴に正座文化だから足を組む習慣がなく、スーツを着るようになってからも人前でそうするとお行儀が悪く見える、とかなんとか…

 組むよね~~袴でも組むよね~~!→ 
 
 秋聲先生のおかげでちょっと元気になりました。



 


世界的秋聲
  2018.1.15

 青空が覗いたはよいものの、おかげさまで雪の表面が融けて凍ってチュッルチュルのテッカテカ! あんなに全幅の信頼を寄せておりました長靴さまをもってしても派手にすっころびました今朝です。スパイク、スパイクのあるやつを…!
 膝も痛いし外にいくのが億劫だな…との気持ちで次回企画展資料(汚れていいやつ)を睨みつつ非常食のカップ麺をすすっておりましたら(他の職員から「受験生か!」と言われました。受験、がんばれ…!)、そんな姿で受け取ってはたいへんもったいのない、とんでもなく嬉しいお手紙がとどきました。

 差出人住所はなんと中国! 中国地方ではありません、海を越えたあの中国です!! 中国ご在住の秋聲ファンだという学生さんが、秋聲へのその熱いお気持ちを4枚もの便箋にしたためて、当館へとお手紙くださったのです。これをお読みになるのがどの職員さんかはわかりませんが、お時間を割いて読んでくださってありがとう…とたいへんたいへん美しい字で書いてきてくださった学生さん…カップ麺食べててごめんなさいね…!!(あとこんな日にご来館くださったお客さま、ありがとうございます!)

 代表作『縮図』に出会い(同作は中国語訳が刊行されています)、そこから秋聲文学にのめりこんだこと、アア、自分が日本語を母国語としていたなら、秋聲文学の真髄をより深く味わえるにちがいないのに…! と翻訳の壁にもどかしい思いをされていること、秋聲文学への興味が尽きず、当館の活動もHPでいつも微笑ましくご覧くださっていること…日本語ではうまく伝えられる自信がないから、とご丁寧にも謝罪のうえすべて英語で綴られており、そのお気遣いにも感動しながら、この単語なんて意味!? などヤイヤイ拝読させていただきました(受験生…)。
 寸々語もお読みくださっているとのことですので(しかも過去7年分!)、この場を借りて深く深くお礼を申し上げます。どうやら年末に書かれたらしく、届くまでに時間がかかるかも…とも書き添えてくださっておりましたので改めましてご報告をいたします。

 お手紙とお気持ち、本日しかと受け取りました…!!(と書きながら涙でた…)





金沢ブランド100
 2018.1.14

 博報堂・鈴木克彦氏より標題の展覧会のご案内をいただきました! 金沢の誇る100の「ブランド」をとりあげ、鈴木氏をはじめ金沢美術工芸大学ご出身の8名のデザイナーさんが、おのおのの視点からアート作品と文章とで紹介する企画です。1月23日(火)~28日(日)、金沢21世紀美術館 市民ギャラリーBにて。
 なんとわれらが秋聲先生もこの100のブランドのひとつとして選んでいただき、昨年よりいろいろとご取材をいただいておりました。文学畑ではないところから比較的お声のかかりにくい秋聲のこと(だいぶんソフトに言いました)、まずはそれ自体をたいへん嬉しく思います。

 この展覧会にあわせて出版された書籍も先日ご恵贈をたまわりました。その節はありがとうございました。他の華々しいブランドのみなみなさまにはご無礼ながら、何よりも秋聲先生のページをいのいちばんにバツーン! と開かせていただき、そこに掲載された鈴木氏による秋聲人物評、作品評を眺めたおしては幸せな気持ちになりました。多分野で活躍されるお方の書かれる秋聲関連テキストの夢のように有難いこと!  
 またその前には香箱ガニ、後ろには「二日会(秋聲会)」会員の犀星さんが載せられており、アラアラ先生、お好きなものに囲まれてよかったですねぇ! ともはや何目線であるのか、妙なほっこり感でもってかのページを愛でました。同じテキストでしょうか、同展覧会でもご紹介くださるとのことですので(予定)、ぜひ展覧会へお運びのうえ、100あるブランドのなかから見つけ出してやってください。そこに秋聲のしゅの字があるかないか、記念館一味にはわりとキュピーンとそこだけ色づいて見える特殊能力が備わっており、逆に秋聲のしゅの字がなければ一気に興味を失い、死んだ魚の目になったうえ対応もちょっと雑になる、というのがもはや自助努力ではどうにもならぬ本能です。



 


昨日記事につきましてお詫びと訂正
  2018.1.13

 きのうの記事、あまりに有能であった長靴からの足元にこだわりすぎてふつうに間違えてしまいました。「あらくれ」のお島さんが憧れたのはハイヒールでなく、自転車に乗る自分の姿でした。ハイヒールのくだりも出てまいりますが、この踵の高い靴(を含む洋服)だと今まで気後れしていかれなかったとこへでもズカズカ踏み込んでゆけるね!! という内容でした(秀逸)。お詫びして訂正いたします。

←映画『あらくれ』パンフレットより拝借

 改めまして、3月ならば自転車でのまちめぐりもおすすめします(ちょっとまだ寒いかな…?)。現在は大雪のためお休み中のようですが、市運営のレンタル自転車「まちのり」なども復活することと思われますので、雨天でさえなければぜひご活用ください。
 先日から宇野千代さん出ずっぱりで恐縮ですが、自転車といって思い出されるのが宇野千代創刊による日本ではじめてのファッション雑誌「スタイル」のこと。昨夏の宇野千代展ではスペースの関係上ご紹介できなかったのですが、「スタイル」創刊号には宇野千代自身による執筆記事にて「自転車に乗りませんか??」とのページがあったように記憶します。当時の女性たちに自転車に乗って出かけることを推奨した内容で、おぉ「あらくれ」だなァ…と思ったものでした。「あらくれ」の舞台は明治末期、「スタイル」は昭和11年創刊ですから、逆にいえば「あらくれ」の時代において自転車に乗り自ら洋服屋の営業に出かけたお島さんがいかに革新的であったかがわかります。そしてこれもご紹介しきれませんでしたが、宇野千代さんの生い立ちそれ自体、ちょっと「あらくれ」っぽいところもあり…
 3月1日より開催予定の次回企画展「秋聲をめぐる人々―文壇星座観測―」で取り戻したいところ、残念ながら宇野千代さんについては割愛する見通しです。〝めぐる人々〟との枠で誰を選抜したものか非常に迷いながら、宇野千代さんも参加してくれていた秋聲を囲む会「二日会」の枠内では出席率の高い人を優先してとりあげることにいたしました。そんなわけで現在ちまちまと「二日会」の出席簿を作成しております。出席率1位はあの男…なるほど、なるほど…


  
 
 

「文豪とアルケミスト」タイアップ企画情報解禁!
  2018.1.12

 若き人よ…長靴をお買いなされ…こんな日はズックじゃ無理です(方言でしょうか、スニーカー的な靴のことです)…ちょっと恥ずかしいかもしれないが、長靴を、長靴を買うのです…「あらくれ」のお島さんがハイヒールそのものでなくハイヒールを履く自分の姿に憧れたように…長靴でなく、長靴を履く自分の姿に耐えられないかもしれないが…少なくとも膝下までは守られます…
 そんな心配で頭がいっぱい、まるで堰を切ったかのような大雪に見舞われました金沢です。この週末、まだもうちょっと荒れ模様だそうですのでご来館および外出予定のみなさま、ぜひ長靴をはいておでかけください。
 
 ちなみに秋聲が愛したのはその少し先の雪解けの季節。3月にはきっとだんだんと外を歩きたくなるような、春めいた気候になっていることでしょう。
 であるからしてこの3月、金沢市の主催によりゲーム「文豪とアルケミスト」さんとのタイアップ企画が開催されることとなり、先日正式に発表がなされました。ご存じ、秋聲を含む「金沢の三文豪」がキャラクターとなって登場するこのゲーム、当館をスタートして各館をめぐると、ゲームにかかわる素敵なグッズがもらえるというもの。当館ののちは先にK花さんへ行かれても犀星さんへ行かれてもOKですが、順当にゆけば川向こうのK記念館へ行かれるのがスマートでしょうか。そう、当館スタートというのは必須です。えッ犀星さんから行きたいんですけど!! などなどそれぞれご要望はおありのこととお察ししますが、そこをなんとか、まずは当館へと会していただけましたら幸いです。
 えッ逆に「秋声くん」と出会ったことでみなみなさまの目の前にこの物語が展開されているのでは??(キャラとして最初に登場するのです) えッ当館を通らずして某K花さんとこへ行かれるとでも?? と内心ビクビクしながら秋聲先生ご本人同様、小柄で華奢な「秋声くん」の陰より強気に主張をしてまいる所存です(石を、石をなげないで…!) 
 イベントに関しまして順次詳細がアップされることと思われますので、今後も金沢市広報にご注目ください。
 
 
 


点と点を線に
 2018.1.10

 きのうとある用事で川端康成揮毫による秋聲作『光を追うて』の一節を含む「文学の故郷」碑について文章を書いておりましたらその直後、現在石川近代文学館さんで開催中の企画展「学校のある風景 学都金沢の青春小説」にてその碑文となった原稿が展示されている旨聞きつけヌォッ!? となりました。誰かがどこかで見ていらっしゃる…?? 
 チラシに秋聲のしゅの字が出ておりましたのでこれは、と思っていたところ、まさかの康成筆跡が出ているというのであれば何をさしおいてでも駆けつけねばなりません。

 この碑の建設にあたりウンジャラモンジャラした秋聲長男・一穂宛康成筆書簡(徳田家蔵)を一昨年の康成展で初公開させていただきました。
 いま準備中の次回企画展「秋聲をめぐる人々」にも当然康成は登場します。そこで、秋聲宛の書簡を展示しようかと考えていたのですが、石川近代文学館と内容的に重なるならばこちらの書簡をこそ再度お出しすべきかどうかと迷いだし…。他館さまとの内容重複は避けたいですが、内容的に連関する資料はぜひお出ししてゆきたいもの。狭いエリアにゴチョッとしているナントカ館同士ですからそれらをご観覧の際に複合的に、知っているものと知ったもの、見てきたものと見るものとが有機的に繋がってゆければより深みが増すのでは…と、まずは単館内でもそんなことがテーマとなって、秋聲と彼をめぐる文学者たちを繋いでゆこうとするのが当館次回企画展でもあるのです。
 そうして繋いでゆくさまがオヤまるで星座のようだね…といささかロウマンティックな心持ちで内部の企画書に「―文壇星座観測―」とサブサイトルを付しておりましたところ、昨日届いた北海道立文学館さんの企画展「有島武郎と未完の『星座』」チラシを見た職員から「いま星座はやってるんですか」と言われ、ま、ま、丸かぶりじゃー!!と悲痛な叫びをあげてしまいました。あの、連関…関係を…(残念ながらこちらの企画展に有島は出てきませんし、鷗外記念館さん前回展とも地味にタイトルのニュアンスがかぶっているのです、申し訳ない…)
  

 


名字で呼ぶか、名前で呼ぶか
   2018.1.9

 先日の「藤村いろは歌留多」の記事、どこにも「島崎」の姓を記さなかったことに気がつきました。藤村といえば「島崎藤村」、そうしたもしかしたらよそ様では通用しないかもしれない文学館界隈の思い込みを排し、一度目には必ずフルネームで、とつねに自戒していながらついついやってしまうのです。
 それで思い出されるのがいつかの宇野千代展。宇野千代さんの最初の夫は藤村忠といい「やがて藤村と結婚した千代」…と文中に登場二度目と思ってお名前を省略したら、たいへんややこしいことになりました。ここだけパッとみたら島崎藤村と結婚した感じに見えちゃう? というか書いてる自分でさえ毎度びっくりしちゃうな! との問題が発生したため、(ふりがないれるか…いやでも藤村に「ふじむら」ってルビうつの変じゃない? 藤村は普通「ふじむら」じゃない? とうそんにこそ「とうそん」じゃない?)などぐるぐるした結果、そのテキストは「藤村と結婚、藤村千代を名乗る。」とややまどろっこしい書き方になりました。まァお名前といたしましては圧倒的に「宇野千代」が有名ですからデビュー当初など「藤村千代」時代がありましたよ、とのアピールにもなってよかったのかもしれません。
 そんな問題とともに、いつもぐるぐるしてしまうのが、名字で呼ぶか名前で呼ぶか問題。秋聲が秋聲だから、全部お名前のほうで統一したいこちらの勝手な気持ちと裏腹に、そうは行かない人々がちらほらおられ…次回企画展の登場人物でいえば井伏鱒二や岡田三郎、久米正雄なんかもそうですね。ますじ? さぶろう? まさお…? 号でなく、どうもふつうのお名前っぽいとやりにくいようです。

           ちょっとカワイイ「トク田」印→

 次回のようにたくさん出てくるときにはマチマチでもまだなんとなく紛れるからよしとして、川端と秋聲、一対一の展示のときにはどうしても落着かず「康成、秋聲を読む。」展と題して是が非でも康成呼びを定着させようとしましたが、結果いまだ五分五分です。


 
 


さといものやまもり
  2018.1.6

 きのうお座敷あそびの記事を書きながらハッと思い出してしまったので、2階文学サロンに「藤村いろは歌留多」を設置しました(お座敷→畳→カルタ!)。

 いつか「日本の自然主義文学展」を開催したおり、秋聲・藤村・花袋を三期に分けてとりあげ、その藤村のターンでお出ししたのが初めてであったかと記憶します。馬籠の藤村記念館さんで購入したもの。それ以来のお披露目ですので、お正月気分にまかせ童心にかえってぜひ遊んでみてください。当時の寸々語でも何枚かご紹介いたしましたとおり、なかなか絵札が斬新(岡本一平画)なうえ、それをグーンと上回ってくる藤村作読み札の斬新な角度が主なたのしみどころです(2015年5~6月ごろの記事参照)。

 「誇る文豪」として花袋さんの出てくる上毛カルタも入手したい、とずっと思っておりながらまだ購入できてはいないのでした(「上毛」と「入手」って同じ種から発芽した感がありますね。太陽のあたり方がすこしちがったんでしょうね)。かつて秋聲カルタをつくってみようと文言を考えてみたことがあったのですが、「ほ」?…「ほんみょうはすえお」…? と思い浮かべたのち(何ソレしょうもな!!)と自身で激しくそう思ってしまったものですからいったんお蔵入りです。藤村先生のえげつない角度はやはり素人にはおいそれと真似できぬのです。
 カルタはないが百人一首はある!! ということで、書斎のお軸を企画展にあわせたダンスのもの(この画面左の画像です)から、「愛國百人一首」に採用された秋聲揮毫の万葉集和歌にかけ換えました。川端康成も秋聲に書いてもらって大事にしていたその同じ歌幅です。この資料の背景につきましては館報第8号4頁(収蔵経緯編)、および昨年2月10日記事(康成編)をご参照ください。
 そうそう、館報! そろそろ編集にかからねばならぬのでした。今年は何を載せましょうやら… 



 


オプション300円
  2018.1.5

 今朝凍結してつるつるの地面をよちよち歩いておりましたら、後ろから「すいません!」と声がかかり、「これ、落としましたよ」とハンカチを手渡し颯爽と自転車に乗って(そう、凍結した地面のうえを)去っていった男子高校生の後ろ姿にひどく感動をしております当館です。高校生だなんてトゥーシャイな生き物かと思いこんでおりましたがなんと親切なよき若者…手渡されたハンカチは運悪く水溜りだったものかビチャビチャでした。そんなビチャビチャのハンカチを躊躇なく拾い上げ声をかけてくれた若者よ…君に幸あれ…!!
 さて、そんな日々のときめきをお茶の間にお届けしてゆきたい当館プレゼンツ、今年も「秋聲とお座敷あそび」を開催いたします! ドンドンドンパフー! 早いもので第5回を数えますこの催し、当館ご近所のひがし茶屋街より芸妓さんをお招きし(3~5名さまほど。その年ごとに変わります)、館内でほんのすこしだけお座敷あそびなるものを体験してみようという試みです(今年はお太鼓があるかな!? ないかな!?)。
                  昨年のようす→ 

 1月31日(水)16時~16時半、ド平日で恐縮です。また、あわせてド平日で恐縮ながら23日(火)より電話受付開始となります。狭い館内だものですから座席は限定15名様先着順。その他申込不要で立ち見可とさせていただいておりますので、新春の金沢旅行のオプションとして楽しんでいただけましたら幸いです。
 




謹賀新年
  2018.1.4

 本日4日より、通常通り開館してまいります。徳田秋聲記念館、本年も何卒よろしくお願いいたします。

 今朝、年末年始に届いた大量の郵便物を確認しておりましたら、いつもお世話になっている石川県文化財保存修復工房さんよりミュージアムウィークのご案内がございました。見れば1月27日(土)10時~16時まで工房前で「寒糊炊き」が公開されるほか、2月11日(日)には「寒糊炊きと黴」との解説がおこなわれるとか…。おもわず二度見をしてしまいましたが、確かに「黴」。そうそう資料の修復に使う糊(のり)をつくる際にはそこに生える黴のはたらきが大事なのだそう…(昨年2月2日記事参照)。

「文化財や糊・黴に関して、実物や映像を用いて解説します」…と流麗な明朝体でさらりと記してあり、もはや当館へのダイレクトメッセージにしか見えませんでしたけれどもそうしたことでよろしいですか?? 当工房さんには、以前に当館イベントにもお招きした黴先生がおふたりもいらっしゃいますので、その方々が登壇されるのでしょうか。ご興味おありの方、10時~/14時~(各30分)を狙ってぜひお運びください。申込不要・無料、工房さんにて。石川県立美術館さんの並びにあるレトロな建物です。

 いやはや新年早々、黴でテンションがあがっちゃったな…とちょっと気恥ずかしくもなっておりましたところ、次なるご案内は和傘作家の山田ひろみ先生からのもの。こちらも恒例「和傘をめぐるOTOKOTACHI Part3」と題する、山田先生のお師匠さんや各分野の職人さんたちの技が間近に見られるイベント(1月7日~21日・10時~18時/於しいのき迎賓館)で、となるとお仲間にはもうひとりの黴先生こと森川先生がいらして、そのご紹介欄には「やっぱり黴(カビ)はいいね!」……新年早々、黴にまみれてしまった当館です。いい年になりそうです。



 

 

 

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