寸々語

寸々語(すんすんご)とは、秋聲の随筆のタイトルで、「ちょっとした話」を意味します。
秋聲記念館でのできごとをお伝えしていきます。





和傘をめぐるOTOKOTACHI Part2
  2017.1.19

 先日、標題の展示会を観覧してまいりました!以前の話題にもあげておりました企画展「ひがし茶屋街と秋聲」で、展示室のディスプレーにご協力をいただいた和傘作家の山田ひろみ先生と職人仲間五人衆による展示会です。
 そのおひとりとして以前の「黴を語る」イベントに講師としてお越しくださいました森川千春先生も生きた黴を出品されており、おかげさまで大好評をいただきました黴イベント第2弾のありやなしやを出先でこっそりとご相談…あ、ええ、生きた黴です。

 なら死んだ黴というのを見たことがあるかと言われるとちょっとモゴモゴしてしまいますが、森川先生の出品されている黴たるや、センチュウなる細長い生き物を捕食のためつかまえているまさにその場面を顕微鏡でお客さんに見せるといったこれぞまさに生きた展示…!旭○動物園的な・・・!!(ちなみに平成18年、八木書店『徳田秋聲全集』の完結に対し授与された第54回菊池寛賞の同時受賞は旭山動物園とご存じ「徹子の部屋」です。徹子さんは秋聲原作『縮図』の舞台にもご出演歴あり・・・)とにかく黴のもつそんなアグレッシブな一面を見せつけられてはあえて〝生きた黴〟と表現したくなるというものです(ビューンとは動きません。黴の仕掛けた罠にセンチュウがひっかかってウゴウゴしているさまが見えます)。
 アアアアつかまえていますね…!と思いがけず大きな声が出てしまい、優美な和傘に酔いしれている他の皆様方には申し訳のないことをいたしました。しかも森川先生はそんな黴ブースのいっぽう、手作り万華鏡コーナーをも左手に抱えていらっしゃるのだからちょっともう頭の整理がつきません。と言いながら黴と万華鏡だなんてまるで秋聲と某K花先生のようですね…実にうまいこと出来た世の中ですね…

 同展は22日(日)まで。10:00~18:00(最終日は16:00まで)、石川近代文学館さんお隣しいのき迎賓館にて入場無料です!





親心子心
 2017.1.15

 前回の記事中、「心馳せ」という言葉を変換しようとして「子転ばせ」と出てきたときには愕然といたしました。よりによっていたいけな子どもを…!非道というほかありません。
 当館で子どもといえばまずは秋聲ご長男・一穂さん。先日からこちらに何度もご登場いただいておりますこの方の生涯と業績を、次回3月からの企画展でご紹介する予定です。
 秋聲の出世作「黴」にその誕生前後の様子が描かれていることはよく知られたところですが、それがなかなかな書きざまでありますもので、大人になってご自身で読まれた際にはかなり複雑な思いを抱かれたようです。くわえて一穂さんも父と同じ小説家の道を志し、そうすると出てくるのはやはり二世問題…偉大なる父・秋聲の影があまりにも大きいことは想像に難くありません。
 秋聲没後はその家と作品と遺品を守り、そのご尽力のおかげさまで当記念館が建ちました。いかに偉大な人物でも、いかに顕彰したくっとも、なにせ資料がないことには記念館は建ちません。その点、秋聲本人が約40年を暮らした家自体がそのまま残されているだなんて、数多いる文豪のなかでも超のつくレアケース!そんな一穂さんの思いを継承し、今もその家屋にお住まいでいらっしゃる秋聲の子・一穂さんの子であるところの名誉館長に、いろいろと資料のご相談をさせていただきながら毎度の企画展が開催されているわけです。
 秋聲先生はああ見えて子煩悩でいらっしゃるので、出来るだけ子の転ぶことのないようアレやコレやと思いをめぐらせている様子が作品に溢れんばかりに描かれています。いや愛されていることはわかるけれども、そうして何でもかんでも書かれることで子としては一回転ばせられている部分もあるんじゃないかなどうかな!と外野はそう勝手なことを思ったりなんだりもいたしますが、結局のところ親子の愛は各ご家庭それぞれ。次回展示でその形、感じてみてください。



 


待ち合わせ好き
  2017.1.14

 きのう受付まわりで業者さんとお話ししておりましたら、受付さんからちらちらとものすごく視線を感じ、あらうるさかったかな…とちょっとシュンとしたりもしていたところ、業者さんがお帰りになったのち受付さんからチョチョイと呼ばれ、叱られることを覚悟しながら寄っていって「さっきね、若い女性おふたり連れが来てね、先に入ってらしてね、そのあと男性がおふたり来てね、待ち合わせだったんですよ。ここで、待ち合わせ」との報告を受けたときのこちらの心持ち、おわかりいただけるでしょうか?

 「ま、待ち合わせ…!!」
 
 この心を一言で表すならば「ズキューン!!」です。なんと素敵な響きでしょうか、待ち合わせ…!あとからいらした男性がお連れさまを探しているふうで、受付さんは我慢しきれず「待ち合わせですか!?」とやや興奮気味に訊いてしまったというから、当該のお客さまにはちょっと不審に思われたかもしれません。が、そのときの受付さんの目はきっとどこの受付さんよりキラキラしていたはず。
 待ち合わせ場所になれる喜び×文学館で待ち合わせる素敵さ=ズキューン!!です。それも、つねづね待ち合わせに使っていただけるような館でありたい、と周囲に洩らしていたところのそれをきちんと拾って懐に入れていてくれた受付さんの心馳せ×決して叱ろうと思って視線を送ってきていたわけでなく「すぐ言いたかったけどお話し中だったから…」との二段構えのお心馳せ…!
 
 もしかしてものすごく伝わりにくいお話をしているかもしれません。単純に当館職員が勝手にうれしいだけの出来事なのですが、騙されたと思ってぜひ今度記念館で待ち合わせをしてみてください。わくわくした目で受付さんがこっちを見てきます。
 
←待ち合わせに最適なロビーもありますゆえ!!





たぶんあと2回は行く
   2017.1.11

 年末にこの欄でご紹介した石川近代文学館さんの企画展「作家と石川近代文学館―文学館を支えた人たち―」を観覧してまいりました。
 いやいや圧巻!こちらが勝手な康成脳でうかがったせいもありますが、しょっぱなから秋聲生誕百年記念展を訪れている康成先生のお写真だなんて、そんな…!もうちょっと助走を!助走をください…!!
 この時点で早くも武者震いが止まりません。その後も惜しげもなく展示されている、秋聲のお軸に見入る康成、秋聲ご長男・一穂さんと談笑する康成、一穂さんご次女・章子さんといままさにテープカットをせんとする康成、とそれを後ろから見守る一穂さん…などなどめくるめく超貴重アルバムコーナーに、当方まったく川端家あるいは徳田家のお身内ではないながら目頭も胸もギュッと熱くなる思いがいたしました。防犯カメラに終始ブルブルぶれて映っている不審人物がおりましたならそれが秋聲記念館です。サーモグラフィでやけにカッと赤く映っている人物がおりましたならそれも秋聲記念館です。
 あまつさえ伊藤整日本近代文学館理事長とともに文学館設立について県知事に陳情中のお写真まであり、さすが日本で二番目に古い文学館の記録&保存魂はぬかりありません。当館などいつも終わってからアッ写真撮ればよかったぁ~となってばかりのうっかり魂で出来ておりますのでこれは見習わなければなりません。その一瞬は二度と帰ってこないのです。
 その他当館館長の若かりし頃のお写真にワッとなるなど、ちょっとローカルな楽しみ方をしてしまいましたがそうでなくともさすがの所蔵品、しかも初公開となる品々が多数お目見えしておりますので是非是非ご観覧くださいませ。新保千代子初代館長の熱意に突き動かされ、協力を惜しまなかった文学者たちの錚々たる顔ぶれ(自筆資料)がそこにあります。



 


受付終了
  2017.1.10

 本日朝9時、お座敷あそびの参加申込み受付を開始いたしました!と同時に終了いたしました!まさに怒涛の、といった表現が適当でしょうか、9時と同時にプルルルルの嵐…!!受話器を置いたら取る置いたら取るの繰り返しで息つく間もなく定員に達し「受付終了ですッ!!」との怒号が事務室内に響き渡りました。お申し込みくださった方、ありがとうございました。朝イチだったものですから発声の準備が間に合わず、カッスカスの声でご対応申し上げましたこと、何卒ご許しください。
 また先着に間に合わなかったみなさま、申込み不要で当日立ち見可です。ただ何せ狭い館内ですので万一混乱が予想される場合には、入館制限をかける可能性がございます。何卒ご了承ねがいます。
 そんなわけで午前中しばらくは先着15名様で締め切ったあとのコール音にたいそう怯えて暮らしていたわけですが、16名様目になろうかというお電話がかかってきた際、お断りせねばならないという申し訳なさにビクビクしながら出て相手が当館館長だったからといって「なんだ館長かぁ~~!」だなんて部下としてあまりに非礼なふるまい、電話も落ち着いた午後になってようやく反省しております。
 なに?なんかあった!?と、いつも優しい館長は今日も許してくれました(たぶん)。

 いつかの茶屋街展の際にもご紹介したような気がいたしますが、秋聲先生のひがし茶屋街での目撃談が井上雪さん『廓のおんな』なる書籍に書かれています。秋聲先生のお好みは、牡丹の花のような華やかな芸妓さんでなく、襖の陰に隠れているような幽霊みたいな芸妓さんであったそう。そんな女性の背後にあるストーリーに何より関心が向いたのかもしれません。
 現在のひがし茶屋街には14名の芸妓さんがいらっしゃいます。どなたがご出演になるかは当日のお楽しみ。

 お座敷にあってさえ基本ポーカーフェイスの秋聲先生はいっつもつまらなそうなお顔をしてらしたとのこと、記念館一味といたしましてはそんなシュウセイズムも継承したいところですがやはりそこばかりはとても真似できそうにありません!





左義長2017
  2017.1.9

 本日、ご近所の宇多須神社さんで左義長が行われました。地域により「どんど焼き」などとも呼ばれるそれ、金沢では「左義長(さぎちょう)」と呼ばれております。

 年末年始にかけ玄関先にかけておりました注連飾り(当館は亀/くらしの博物館2016年12月26日ブログ参照)をいちばんの新人職員に燃やしてきてもらいました。ただの使いっぱしりではありません。なかなか自分の住まう地域以外の左義長なんて見る機会もないでしょうから、との先輩職員による気遣いです。寒いからとかでは決してありません。

 さて、寒いといって、今年の金沢もスキーヤー達のために雪山の状況を心配する秋聲先生のお心持ちが意外すぎるでお馴染みの「雪のない春」(秋聲随筆題・昭和7年1月)でございます。毎年そんなことを言っているような気もしながら、いつかは雪のなかをさくさく宇多須神社まで歩いた記憶もございますので、そんな年ばかりではなかったのでしょう。毎年のことながら毎年わすれて2月に入ってドカンと大雪、毎年あたふたするのです。
 毎年のことといえば、ちまちまとお座敷あそびの準備を進めるなかで、アレ?畳は?何枚いるのだったかな?と過去の記録写真を見返したりなんかしております。毎年のことなのに覚えられない鳥あたま…酉年だけにね…フフ…(明日より受付開始です!)。ちなみに当館のお座敷こと秋聲先生の再現書斎は六畳間。芸妓さんをお招きするにはちと狭いがために簡易畳をサロンかどこかに設置予定です。それはそれとして新年を迎えましたので、この書斎のお軸をかけかえました。「元朝の心寂(すさ)びぬ午(ひる)さがり」、せっかくの秋聲自筆ですが極めて字が小さく肉眼での判読はまず不可能かと存じます。だったら見えるようにすべきところ、そのあたりが書斎床の間を縁側から覗き込むといういかんともその距離の埋めがたい展示構造の問題にして、結果狭いっちゃ狭い、広いっちゃ広い、伸縮自在の宇宙をはらむ六畳間です。





例年のくせに飛び込み
  2017.1.6

 各館のHPに生息する「展示日程の一覧(PDF)」ボタンの存在をお知らせしたそばからさっそくお詫びを申し上げねばなりません。当HPイベントページにいつのまにやら素知らぬ顔でアップされております「秋聲とお座敷あそび」、上記一覧に掲載されておらぬのでございます…!最終的にと言いながらぜんぜん最終的な情報でなかったこと、心よりお詫び申し上げます。

 何故載っていないか、単純に掲載締め切りまでに開催日の調整が間に合わなかったため…。いまスカッときれいに空欄になっているところへ「秋聲とお座敷あそび」飛び込んでまいりました。ただ、毎年のことながら座席は先着15名様限定という超狭き門となっておりますので、そもそもの情報の出し方が卑怯だったくせにその同じ口からまったく言えた義理ではないのですが「10日9時より電話受付開始」と、おのおの方お心に留め置いていただけましたら幸いです。またご遠方の方には重ねてお詫びを申し上げます。

 さて、お座敷あそび、ひがし茶屋街の芸妓さんをお招きして、ちょっと敷居の高く見えるそのあそびを気軽に体験してみよう!という催しです。ただの「お座敷あそび」ではお茶屋さんへ赴くのと変わりませんので「秋聲と」と無理くりタイトルにくっつけておりますが、とくに秋聲役の人とかはご用意しておりません。内容はいたってふつうのお座敷あそびながら、会場がお茶屋さんでなくまさかの秋聲記念館というところで、ひとえに秋聲先生と東の廓との海よりも深いご縁でもって実現している企画ですよ!秋聲先生の存在なくしてはいかにご近所だからとてお招きする義理のない、そうか!秋聲先生もかつて体験したところのそれであるか…!!とのアピールのための「秋聲と」です。もともと狭いサロンに畳をひいたりなんだりするせいで厳しい入場制限をかけておいてそのうえほんとうに申し訳ないのですが、もし当日16個目の座席あらばそんな気持ちでなにとぞ空けておいてくださいませ…。
 




あけまして
  2017.1.4

 おめでとうございます!

 長らくお休みいただいておりましたが、本日1月4日より秋聲記念館通常通り開館いたします。ちなみに定休日はございません。ふつう美術館博物館のたぐいは月曜休館がほとんどのところ、当館を含む金沢文化振興財団所属施設の多くは展示替えと年末年始のみのお休みとなっております(例外ございます、ご注意ください!)。
 そんなサイクルで生きていると、調べもののため元気に図書館いってきまーす!と出かけていって、まさかの玄関先で月曜休館の張り紙を喰らうといった悲しい現実に出会すことも多々ございます。ええ、つい先日の出来事です。そんなときには月曜休館かーい!!と思わず玄関先で叫びたくなってしまうのですが、自館の常識が世間のソレと思ってはいけませんね…他館さまのお休みを把握しておかなければなりません。

 とはいえご近所の文芸館さんですら張り切って電話をかけて、アレ?通じない…アッ火曜休館かーい!といまだに電話口で叫んだりなんかもしております。文芸館さんと江戸村さまは火曜が休館(村?)、大拙館は月曜休館、夢二と土佐と老舗と江戸村は年末年始もやっている…ここにプラス展示替え休館があったりなんだりしてもう最終的に各館HPのだいたい下のほうにひっそりとある「展示日程の一覧(PDF)」とのボタンを試しに押してやってくださいませ!月ごとの全館の休館ならびにイベント情報がざっとご覧いただけます。
        ↑コレ!!

 そんな便利なものもありながら、この欄では初めてご紹介申し上げた気がします。ただ各館のHPの雰囲気を壊さぬようにとほんとうに慎ましやかに生息しておりますので、薄グレーのボタン、大声をたてずにそっとさがしてみてください。

 と、そんなテンションで今年も活動してまいります。また一年、何卒よろしくお願い申し上げます。 




 

 

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