寸々語

寸々語(すんすんご)とは、秋聲の随筆のタイトルで、「ちょっとした話」を意味します。
秋聲記念館でのできごとをお伝えしていきます。




第1期終了
 2013.12.28

 昨日をもちまして荘八展第1期、おかげさまで無事終了いたしました。ご来場くださったみなさまに心からの感謝を申し上げます。本日近隣他館より1日早く休館をいただき一部展示替えを敢行。先ほど第2期、挿絵第21番~40番へと衣替えをいたしまして、『爛』の世界も「混然たる黒」に変わりました。
 明日よりしばらく年末年始休館に入ります。次の開館は1月4日(土)、三が日をすぎたとはいえまだまだめでたい気分に片足をつっこみつつ「あけましておめでとうございまぁーす」と口々に来館し最初に見るのが真っ黒な『爛』…で、気分ドーン……時節丸無視の展示に今更ながら館としてのイマジネーションの欠如を実感しておりますが『爛』第2期のストーリー的には大晦日からの新年となっておりますので何卒ご寛恕ねがいます。4日にはさっそく11時~/14時~の2回、展示解説も行います。うかれ気分に敢えての鉄槌、正月早々気分ドーン、はぁ~こりゃずいぶんと爛れておりますなぁ…!そんな嘆息、ぜひご一緒にいかがでしょうか。

 さて、そんなこんなといろいろありつつ今年も大変お世話になりました。来年1月4日、真っ黒い『爛』とともにお目にかかりたいと存じます。みなみなさま、おのおのの炬燵でどうぞ良いお年をお迎えください。

←丸くなるのになんの炬燵が要ろうか、
 欄干さえあればよいのだ、なシャー営業部長2013
 







人気ランキング
   2013.12.27

 秋聲のサンタをさがせ!2013、早いもので本日までとなりました。景品のサンタ・黴バッジ、こうしてみるとその減り具合で人気の度合いがわかります。せっかくなので人気ランキングをここに大発表!

 第1位 雪印サンタ! →圧倒的な減り具合で一番さきに品切れました!
 
 第2位 以下同点!  →5種驚くほどの横並び!   

 というわけであえなく発表終了です。大発表というほどの展開にならず恐縮しておりますが、雪の結晶とともに中空に浮かびあがる、あるいは天上から舞い落ちるサンタの薄笑いがいちばん人気ということだけがやけにはっきりいたしました。作っておいてなんですが、よく見ると水色を背景とした黄色いおひげがシュールです。作っておいてなんですが、それをいちばんに選ばれたみなさまの感性もなかなかです。

               ニット帽につけるとこう→

 さて泣いても笑っても残り数時間、いっぽうのサンタは最後まで安定の薄笑いでお待ちしております。どうぞ全国のさがしんぼのみなさま、駆け込みサンタお急ぎください。
 あっ、荘八展第1期も本日最終日です!明日は展示替えにつき休館いたします!





血管に爛れこむ
  2013.12.25

 メリークリスマス、でございます。秋聲誕生日を過ぎ、本番クリスマスになると秋聲先生をもおしのけ主役に躍り出てくる『仮装人物』。そう、当館でしきりに訴えている「秋聲のサンタ」とやらが登場する作品です。
 クリスマスの仮装パーティーからはじまる本作、主人公・庸三がサンタのお面をかぶっていることと、秋聲先生遺品のサンタのお面とがリンクして「秋聲のサンタ」なるものが出来上がっているわけですが、実はサンタのお面はもうひとつ存在しているのです。顔も形も違いますが、秋聲の遺品として広坂の石川近代文学館さんに展示中。何故かサンタのお面ばかりをお持ちの秋聲先生、他の顔のお面は今のところみつかっておりません。 

 そんな広坂周辺、先日お邪魔したおりイルミネーションが始まっていたので写真を撮ってみました。あらロマンティック、と思って撮ったわけでなく、あの木の感じが『仮装人物』の一節を思い出させたのです。

――透き徹るような皮膚をしたしなやかな彼女の手、赤い花片に似た薄い受け唇、黒ダイヤのような美しい目と長い睫毛、それに頬から口元へかけての曲線の悩ましい媚、それらがすべて彼の干からびた血管に爛れこむと同時に、若い彼女の魂がすっかり彼の心に喰い入ってしまうのであった。

 ヒロイン・葉子の魅力にやられてしまっている庸三の心情ですが、根元から末枝末葉に到る電飾が、干からびた血管に生命力が爛れこむさまのように見えてしまうだなんてギリギリ微笑ましい域と言いはっている秋聲病を軽くとおりこして病!ただの病!という感じもいたしますが、オリジナル文庫『仮装人物』当館のみにて絶賛販売中です(通販できます)!




金沢ADC 2013 入選
 2013.12.24

 遅ればせながら当館の夏の企画展「徳田秋聲らしからぬ!~しゅうせいとこどもむけよみもの展~」のディスプレイが、上記選考会の「環境・空間部門」入選を果たしました!ので、しばらく待機させていたタコ兄さんやらカラスのベンジャミンやらを2階サロンに再登場させております。

 ちょいと展示室と勝手がちがいましたもので、3Dパネルたらしめている土台がむき出しで恐縮ですが、秋聲の子ども向け読み物のさわりだけそれぞれの背中で物語ってくれておりますのでご来館の際にはあわせてご鑑賞ください。そして優秀なデザイナーさんに心からの感謝と祝福を!

 改めて見れば、ああ、こんなにもカラフルだった夏…ととおく思いを馳せてしまうほどに当館らしからぬ色づかいのパネルたち。これまでたまにビビッドなイメージカラーがあってもあくまで単色づかい、赤・黄・青など複数が共存することはありませんでした。それもこれもなんとなく夏のテンションのなせるわざ…うってかわって冬季開催の『爛』、気が付けばすっかり白を基調にできあがっております展示室です。
 そういえばチラシは潔いほどのクリーム一色ですので、デザイナーさん(優秀)に当初「展示室、白でいいんですか?」と尋ねられたものでした。実はあのクリームに朱線デザインは『爛』装丁のイメージでして、それを生かすならば展示室にもクリーム色をあしらうべきでしたが外側でなく中味の部分、『爛』の世界観だけをつきつめていくと自然と白が基調となっておりました。いろいろあるけど知らぬが仏、をぐりぐり混ぜて色にすると白、いろいろある、だけをぐりぐり混ぜて色にすると黒。まもなく第1期が終わりまして年明け第2期がはじまります。第2期には「知らぬが」部分を一枚剥いで「混然たる白」が一転「混然たる黒」と化しますので、ますますもってえげつない『爛』展をどうぞお楽しみに。

 


秋聲誕生日
  2013.12.23

 本日12月23日は秋聲先生142歳のお誕生日です!おぼえやすい祝いやすい、カレンダーにも自動的に赤字で表示されるというおめでたい日付につき、是非みなさま来年のこの時期にもそっと思い出してやってくださいませ。
 去年と一昨年は、この日にあわせて制作したオリジナル文庫を先着20名様に差し上げておりました(『縮図』『仮装人物』は発行日を秋聲誕生日にあわせているのです!)。が、今年は企画展を優先して7月に『秋聲少年少女小説集』を出してしまったために更なる新刊をご用意できず…。

 いえ少年少女をそれとして差し上げてもよいのですが、今年も!と謳って万が一新刊を期待されてしまっては申し訳ないので大々的な先着20名システムはお休みにしてしまいました。
 そのかわり、といっては何ですが、ここ数年のお約束となりました秋聲令孫・徳田章子名誉館長からサブレのプレゼントがございます!これはおそらく入館者全員にお渡しできるのではないでしょうか。秋聲サンタをくっつけて、なんでサブレ?とちょっと笑われながら提供させていただいております。電車のなかで、おうちの炬燵で、ちょっとした待ち時間に、お菓子と小鳥が好きな秋聲先生のことをちらとだけ思い浮かべながらご賞味いただければ幸いです。
 お誕生日は覚えたけれど、ハテ生誕何年?とそっちをお忘れになりましたなら、その他お好きな著名人から足し算引き算などしてみてください。今年生誕140年の鏡花さんなら+2歳、同じく親友・桐生悠々さんでも+2、荘八さん(生誕120年)なら+22、犀星さんなら+18、大拙先輩なら-1、おもいきって寺島蔵人先輩なら-94…よかれと思いましたが、かえってわかりにくかったでしょうか?




We love KOTATSU!
  2013.12.18

 この季節にぴったりのすてきなエッセイを不定期連載にアップいたしました。その名も「炬燵(こたつ)」。明治28年、25歳で上京してから昭和18年、73歳で亡くなるまで東京に暮らした秋聲ですので、曰くともすると金沢の冬を忘れてしまいがちだけれど、その冬を思い出すと同時に思い出されるのは「我々のストーブ」こと炬燵の存在。「炬燵で育った」とまで言い切る秋聲先生、すてきです。
                  実際の愛用ストーブ→

 さすが自然主義文学の、というべきか、炬燵ひとつ語らせてもおそらく炬燵を知るすべての人々の共感を得られるであろう微に入り細にわたる見事な描写!そう、炬燵の引き揚げ時期から、炬燵による駄目人間製造のくだりなど膝をうつ思いがいたします。
 とくべつ機嫌よく書き流したものか、これが平常運転なのか判断つきかねますが、炬燵を片づけるタイミングを教えてくれているあたりに思わずにこにこ(にやにや?)とさせられるほっこり感とユーモア混入。いえ、秋聲のことですからこれもきっと至極真面目なお顔で真摯に書かれているのでしょう、外気がすっかりぽかついてきて炬燵になぞ入っていたら尻から芽が出そうだと…。ぽかつく、ぽかつかない、ぽかつくとき、もやしっ子、炬燵で発芽。
 みなさま、尻から芽が出そうになったらそれが炬燵を片付けるタイミングです。




映像化熱望 
  2013.12.15

 昨日、輪読会を開催いたしました!短編小説「リボン」、ざっくり言ってしまうと静枝さんがお気に入りのリボンをなくしてしまう、というただそれだけのお話ですが、ただそれだけの筋書きでもって人ひとりの自尊心を一閃のもと粉々に打ち砕いてしまう、こんな鮮やかな小説はそうないのではないでしょうか。
 これはもしかすると読み手の性別、年齢、環境を選ぶかもしれずその違いによっては結末すら異なってきますが、万一どストライクに入れば無惨というほかない、ちょっとしばらく立ち上がれないほどのかなしい結末にたどりつきます。悲しいというより哀しい結末。秋聲の非情さ炸裂。
 どなたかショートフィルム化などいかがでしょうか、深夜ザッピングの途中ふとあたってなんとなく最後まで見てしまう感満載、偶然見ただけなのに心がざわざわして眠れず、あれなんだったんだろうと翌朝ネット検索してしまうこと必至の作品となることをお約束いたします。
 輪読会も老若男女とりどりにご参加いただいておりますもので、これは感想が割れたようにも。みなさまのご意見をうかがうなかでなんでもないと思っていた小説に急に深い穴が見つかったり、深い穴があると思った作品を横からざくざく埋められてオッとなったりしますので、今回参加をためらわれた方、次回是非お越しください。もちろん誰が読んでも結末ひとつの小説もありますが、こんな風に多角的に読ませる作品の場合、急に360度視界が開けた気持ちになることもきっとございます。

 次回は2月22日(土)(一部15日と広報しているものもあるかもしれません!一週遅くなりました!)、リボンと青春にしがみついていた静枝(=お今ちゃん@「爛」)のその後があきらかに。

←途中で「リボン」の誰が「爛」の誰やらわからなくなり
 急遽図にするの図。




糵の節句 
 2013.12.14

 月に一度の学芸員会議に行って参りました。今回の会場は金沢市立中村記念美術館さん。今月28日まで「文様の百科事展」(典と展がかかって?おしゃれです)という展覧会が開催されており、会議前にすこし展示室を観覧させていただきました。花鳥風月や年中行事をモチーフにした器であったり掛け軸であったりのなかに、懐かしの菓子皿を発見!秋聲の甥っ子である加賀蒔絵師・太田抱逸(ほういつ)による「五節句蒔絵菓子盆」が展示されておりました。

 前々回の企画展「ひがし茶屋街と秋聲」でお借りしたもので、5枚の小皿に五節句にちなんだ下記のモチーフがそれぞれあしらわれています。

 人日(1月7日)=裏白〈うらじろ〉と譲葉〈ゆずりは〉
 上巳(3月3日)=蜆〈しじみ〉貝
 端午(5月5日)=菖蒲〈しょうぶ〉と蓬〈よもぎ〉
 七夕(7月7日)=梶の葉
 重陽(9月9日)=栗 

 その後本題である来年度学芸員実習やら年度末発行の研究紀要などについて話し合いながら、そんな大事なことを審議する頭の片隅で、節句につづきがあったとして、たとえば11月11日ならふさわしい植物は何であろうか…?とずっと気になっておりました。取りいそぎ日のゆかりを調べたところ、ゾロ目=双子=「ピーナッツの日」ともうひとつ「1111」=「もやしの日」となっておりました。も、もやしの日…!ゾロ目の見た目から…!4本のもやし…!!
 秋聲先生はもやしっ子。華奢・色白・不健康の3点セットで成り立っております。もし節句の続きが新設されましたなら、是非4本のもやしモチーフでお願いしたいところです(抱逸は故人ですのでどなたか…)。
 
 
 


おやつのたすき
   2013.12.13

 こちらでも何度かレポートをさせていただいておりますが、当館のおやつはほぼいただきもので賄われています。大きな箱から小さな箱へ、つめかえつめかえ、おっといよいよお菓子ひでりだ…!!というくらいにおやつボックスが極小になるとうまい具合に心優しいみなさまからの差し入れお菓子が届くというシステム、もといミラクル。そうしておやつのたすきが繋がっております。

 ここ最近もお菓子の底が見えはじめ…いただきものの良いお菓子が13日で賞味期限が切れるけれども14日の輪読会にお出ししてよかろうか…?いやダメダメ!お戻りあれ館の良心…!とひとり相撲をとっていたところに、またも心優しいお方からお菓子の差し入れをいただきました。なんと神様はみておられる…

 あわや聖なるサンタバッジを胸にしながら悪事に手を染めてしまうところでした。

 お菓子の待機場所に差し上げつつ、職員のつまみぐい無用!14日までゆめゆめ開封めされるな!!と事務室内をひとにらみ、でももし万が一にも余ったなら…そのときにはくだすった方のお顔をおもいうかべつつ有難くいただきましょう…と飢えた子羊たちを(都合の)よき方向へ先導したりしております。
 秋聲先生も甘いものがお好き。どうも小説を執筆する気が起きないというときには、銀座のカフェにでかけアイスクリームやらレモン茶とお菓子やらを優雅に召し上がったりしたことを「文士の生活」と称し新聞に書いたりされています。





ひとりかくれんぼ
  2013.12.12

 こどもさんは世界のどこへ消えたのやら?館内にはサンタさんがうじゃうじゃ隠れているにもかかわらず、いっこう探しにきていただけません。さがしんぼ不在のひとりかくれんぼ…それはもうただの「隅っこにいる人」…ひとりシーソーより駄目な感じが出ています。ええと何万秒数えるルールかな…?とサンタが不安な面持ちで時折こちらを見つめてくるのがなんともいたたまれず…。
 
 というわけで、サンタイベント、おおきいおともだちにも拡大することにいたしました!せっかく作ったサンタバッジ、黴バッジ、来年まで持ち越すわけには参りません。今年の汚れは今年のうちに、今年の黴も今年のうちに。上旬にご来館くださった大人の皆さまには心よりのお詫びを申し上げますがいかんせん不測の事態でございます。
 そうしてすこし頭を冷やしてみればクリスマス気分にまかせてうっかりうかれておりましたがそもそも当館、大人のシュウセイズムを推進力としているのでした。もしこどもさんを視野に入れるならば、大人の世界をドキドキしながらこどもさんが垣間見るというのが本来の醍醐味、あるべき提供の仕方。秋聲は基本的に大人のものだけれどちょっとだけ見せてあげてもいいよ!という強気の姿勢で、こども向けイベントと謳っていたことなど今となってはひた隠しつつ、ちょっとだけやらせてあげようではないかという上から目線にさりげなくシフトいたします。
 ゆえに、もし今後引率でのご来館を検討されている奇特な保護者の方がいらっしゃいましたらむしろ率先してご参加のうえ、え~ほんとは自分たちの遊びだけれどそんなにやりたいんだったら仕方がないね~、と小芝居をうったのち受付にそっと目配せいただけると当館泣いて喜びます。





ひとりシーソー
 2013.12.10

 展示替えのため鏡花記念館さん休館中です!
 
 それと同時に、当館サロンにいらした19人の鮟鱇博士も川向こうに帰っていかれました。いつも荘八展の展示解説をしながら、荘八さんが秋聲作品のキャラクターの平凡さに難儀したというくだりで鮟鱇博士を比較につかわせていただいておりました。『爛』には普通の男女しか出て来ない、美人も奇士も出て来ない、すなわち大変絵にしにくい!というところ。決してキャラクターの弱さを非難しているわけではなく、秋聲が描くものが常に「外面ではなく内面」「有形でなく無形のもの」であると分析したうえで、無形なるものを絵という形にする難題に挑んだことが表明されているのです。

 と、これではどうもわかりにくい…ではサロンにいる鮟鱇博士をご覧ください、鏡花作品のキャラクターなら塗り絵にまでなりますが、えっお増さんで塗り絵?いやいやいや!!というとみなさん成る程…と頷いてくださったものです。どこをとっても鏡花と秋聲、つくづく真逆な二人です。

           ショウハチブルー、青一色のお増さん→

 そんな鮟鱇博士がいなくなってしまい、当館アンバランスなシーソーの上でひとりバランスをとりつつ暮らす日々。鏡花さんブログで最近ちらほらとお見かけする「山海評判記」の雪岱挿絵、これだけでもキャラクターやら絵面の強さがプンプンしておりたいそう期待が高まります。
 14日(土)、オープンの暁にはいのいちばんに駆けつけて、鮟鱇博士に代わる強烈なキャラクターを仕入れて帰りたいところです。





お菓子の家っぽさ
   2013.12.9

 今週末の14日(土)14時~、今年5回目となる輪読会を開催する予定にしております。テーマは「リボン」という短編小説。「爛」に出て来るお今ちゃんを別角度から描いたちょっと切ないお話です。 
 その情報まで載せてみましたらあまりにもギュウギュウになって見苦しかったもので、今回企画展チラシの裏面には未掲載。すると急に得体の知れぬイベント感が増すのか、先日新聞の広報に掲載されてからちらほらと内容へのお問い合わせ電話をいただきます。
 秋聲の短編をみんなで音読したり感想を話しあったりわからないところを訊きあったりするんです~各回読み切りです~お菓子もでます~とゆるく見せかけてその声に逃すまいと必死すぎる感じが出てしまっているのでしょうか、かえってなにか危険な罠のにおいがするのでしょうか、「たのしそうですね~…ではまた~…」といって毎度お電話が切れてしまいます。「じゃ申し込みを…」までの道のりの遠いこと…!

 当館、決して捕って食ったりいたしません。ちょっとみんなでわいわい秋聲をよみたいだけ…ただ、それ、だけ…。また、音読が苦手な方はしなくても良いという学校ではまず考えられない画期的なシステムを採用しております。「わたし、音読、いやです!」と宣言するひとかけらの勇気さえご用意いただければ「りょうかいでーす!」と思いのほかポップにその席飛ばして参ります。入館料のみ頂戴いたしますが、テキストも無料配布中。秋聲よんでみたいけどどこから入ればいいのやら…という方、ぜひ右手に最大3枚の100円玉、左手に「音読いやです」分の勇気だけ握りしめてご来館ください。

 定員などあってないようなもの、当日飛び込みも可です!(みんなと違うお菓子でしたらそれだけごめんなさい!)
 




東山の時間泥棒
  2013.12.8

 昨日は当館にてギャラリートークを行いました。狙ってきてくださったお客さまあり、たまたまいらっしゃるところ背後からぬっと現れた何者かに「俺の話をきけぇ~」とばかりに連行されたお客さまあり。午前午後ともにたくさんの方にご参加いただきました。ありがとうございました。
 5分だけでもいい、どころか、先日きっかり30分で終わらせます宣言をしたにもかかわらずやはり15分ほどオーバーしてしまい、誘っておいてお見送りすらせず「ではそういうことで!」と余韻もなにもぶった切って石川近代文学館さんへ駆け込むという不躾をどうかお許しください。
 石川近代文学館さんでは例の「爛」朗読会があり、フリーアナウンサーの上原一美氏が冒頭から第9回までを朗読してくださいました。多くの上原ファンが詰めかけたようで、会場は椅子を追加するほどの超満員。過剰な演出を必要としない秋聲独特の冷たい熱に寄り添った、まさに身ひとつの深いお声を聴かせてくださいました。
 朗読後、余韻もなにもぶった切ってひょこひょこと皆さまの前に現れ「爛」の魅力についてお話をさせていただきましたが、またも5分ほど時間をオーバーした結果、昨日は全体で計20分ほどの約束違反…東山の時間泥棒、広坂にあらわる…。

 おそらくあの繰り返し部分を削ぎ落とせば時間内におさまったのでしょうけれど「大事なことなので2回いいました」の法則がそれを許してはくれませんでした。「爛」が大事なことに溢れすぎているがために、2回言う法則が8回くらい出て来て賞味5分…どうかお許しください。
 石川近文さんの粋なはからいによりイベント後、サンタの胴体型生菓子を優先的にいただきました。あっ首のほうは名札につけていつも持ち歩いております!
 
 
  


芸能界デビュー
 2013.12.7

 以前にこちらでご紹介したテレビ金沢さんの「五木寛之の新金沢百景#25 蓄音器の時代」、番組放送日のお知らせです!来る12月26日(木)16時~。去る11月18日のイベントの模様のほか、いろんな特典映像があるらしく先日改めて秋聲のレコードコレクションおよび蓄音器の撮影に来てくださいました。
 
 秋聲愛蔵の蓄音器ゼニスの再登場です。会議室でちゃかちゃかと進められる撮影準備…本格的な照明機材やら反射板などに囲まれるあの子を遠巻きに見守るその気分はさながらステージママのよう…。ゼニス、いよいよ芸能界デビューです。見知らぬ大人たちに囲まれ、やや緊張の面持ちでこちらをちらちらうかがっている気さえして参ります。

 「すいません、もうちょっと斜め向けてもらえますか?」とのお声がけにいそいそと歩み寄り「ほら元気出して、目線はカメラ!」と耳打ちしつつがんばるあの子(昭和6年生まれ・推定82歳)の晴れ姿をいちばん近くで見学させていただきました。
 番組中、何秒ほどいただけるのやらわかりませんが、秋聲の蓄音器ゼニスとその仲間たち(所蔵レコード)の勇姿、是非録画のうえリアルタイムでもご覧いただければ幸いです。




乗らない絵
 2013.12.4

  先日とある絵の専門家の方が挿絵原画展を見にきてくださり、専門の見地からのご感想などすこしおうかがいする機会に恵まれました。
 その方曰く、先月29日付記事でもご紹介した第7番の未完成度がとても気になるとのこと。遠近感がつかみにくく、他の挿絵と比べても「えっこれで終わり?」というふわふわした感じが残るそうです。たしかに、隣の第8番・件の昼寝をするお雪夫婦は、テーマこそだらしないですが、ぐりぐりと執拗に描き込まれている気がいたします。
 各回ごと順に付される一般的な連載小説の挿絵と異なり、「爛」の挿絵は全60回の完成された小説に後から付けられたもの。場面の選択も荘八さんに任されたようで、ストーリーの流れを重視して一章に一枚、という風にはしなかった、と語っています。そもそも本を制作した秋聲の長男・一穂さんが、章立ては新聞連載上の便宜的なものだから単行本化にあたってなくしてしまいたいとの意向を示し、かえってのびのびして良いかもしれないね、と荘八さんも同意したそう。

 自分で場面を選んでいるわけですから気が乗らなかったとは考えにくい…?こちらの欄ではちょこちょこと小出しにしておりますが、展示室ではバーンと20枚、しかも原画で並んでおりますので、当時の荘八さんのやる気・乗り気・心意気など生の感覚が得られるかと存じます。

      7番8番、きちんと下絵もあるのです→
      

 ちなみに昨日は寸々語史上初の挿絵なし記事だったんですよ、という史上最強にどうでもいい情報を一日越しにお伝えする勇気…一回一枚、必ずしも挿絵がつかないこともあるんですよ、とのショウハチズムを誰にも影響を与えぬこんなところで発揮してみる茶目気…





好奇心
  2013.12.3

 不定期連載「好奇心」完結いたしました。ずいぶんあっさりとした第5回、いかがだったでしょうか。どうなる?どうなる?とぐんぐんその先を求めて付き合ってきたはいいものの「だからってどうもならない」のが例のシュウセイズムでございます。
 〝あの女の現在〟を知ることが出来た今、当初の目的であるところの「好奇心」は満たされましたものでそれ以上の展開にはなり得ません。これがあの頃とまったく変わらない大根のような肌艶と春の星のような澄んだ瞳をもったお品さんであったならあるいはどうにかなったかもしれませんが、自分が年をとったのと同じように相手だって年をとる…がっかりして劣化のアレコレをつらつら書いておきながら、それでも「すでに自分の知っているお品ではなかった」でなく「お品はお品であった」と紡がれる人生のいろいろをわかっていすぎてかえって辛辣!容赦のない一文!がズキューンと胸を突き刺しませんか、そうですか!!
 後半に行くにつれ主人公・糅山がろくでもない坊ちゃん男子であることが発覚してゆきますが、しかし「爛」同様、糅山が決して特別に悪い人間というわけではないというのがミソかと思われます。冒頭のほうでしきりに、他人に疎まれるくらい仕事に対して潔白であることが主張されますが、そんな人間であっても昔の彼女がどうなっているか知りたい、と思うのは普通の心理・純粋なる「好奇心」であるということをそうは書かずに読ませるのが秋聲の恐ろしいところ。下世話な「好奇心」は咎められても、無印の「好奇心」を誰が咎められましょうか。○○な、と勝手に形容しそこに色をつけるのは所詮他人なのかもしれません。





コーンポタージュ
 2013.12.2

 いよいよ始まりました、秋聲のサンタをさがせ2013!実際にはいよいよという感じもなく、30日夕方から1日明け方にかけてするっとサンタが登場し、特にヨーイドンもなくふわっと開始しております。これから、これからです。
 1日、早速おこさまたちがサンタをさがしにやってきました。今年は荘八展にちなみ、館内に8人の正解サンタをご用意いたしました(あとちょっと人をイラッとさせるはずれサンタ3人と秋聲の豆知識サンタが8人います)。
 めでたく全問正解され、記念の缶バッジを選んでいただいたところ、なんと4人中3人までがサンタバッジでなく黴(かび)バッジを選択…!すえおそろしい…!!どう見ても年齢ひとけたのおこさまたち、黒黴2、赤黴1という渋すぎるチョイス!!そうなってくるとむしろ(えっかび…!?)と内心戸惑われたであろうおとうさんおかあさんの反応のほうが若干気になりつつ、いやいや代表作だもの、秋聲先生の代名詞だもの、と心のなかで深く頷くことにしております。

 出遅れたサンタバッジのほうは、想定より背景の黄色が淡く仕上がってしまい、サンタの顔さえ見慣れてしまえばややインパクトに欠けるかもしれません。見るたび(あ、淡…)と思うのですが(この色なにかの…あっコーンポタージュ…!!)と気が付いたときから急においしそうに見えてきました。


 秋聲先生は玉蜀黍(とうもろこし)のスープがお好き。きっとコーンポタージュもお好きなはず…そう「淡い黄色」でなくコーンポタージュ色のサンタと思っていただければ幸いです。
 




まちスタ530
  2013.11.29

 昨日、金沢ケーブルテレビさんの夕方の情報番組に出演させていただきました!またもや事後報告で…!
 今回の企画展のPRとともに解説や朗読会もあります~という流れで「作品を知ってから挿絵を見るのと、フラットな状態で見るのとどちらが良いですか?」というご質問をいただき、回らない頭で「両方です…知らずに見ても良いし、知ってからだとまた違って見えますのでぜひ2回3回…」といかにも優等生なお応えをしてしまいましたが、帰るみちみち、いやアレは完全に作品を知ってから見てください!と強く主張するところであったな…ともやもや。
 まえにもご紹介したとおり、チラシにいるお雪さんはノンキに煙草をふかしているように見せかけてヒロインである友人のお増さんにお金の無心をしているところですし、番組でご紹介したお増さんとお雪さんの一見のどかなツーショットは「こういう何でもない日常の一場面を描くのが秋聲であり荘八…」とふんわりご説明しておきながら、実はお金に困ったお雪さんがお増さんに古い掛け軸の購入を勧めている場面だったりするのです。これは作品を知らないととても想像できない状況です。

 単体でどれだけ完成度が高くあってもあくまで挿絵は挿絵ですから本文と絡めて見るべきもの…知ってみるとえげつないのが秋聲×荘八……ちょっと言葉は強いですが、そうご紹介するのがほんとうでした。ただ、だからといってそれが特別な場面に変わるわけでなく、そんな風景ですらやはり何でもない日常の一部、というところに「爛」の底力があるのです。
 

 


黴とサンタ
   2013.11.28

 いよいよ今年もクリスマスシーズンがやってきました。クリスマスといえばサンタ、サンタといえば秋聲。じわじわと浸透させてゆきたい秋聲サンタイベント「秋聲のサンタをさがせ!2013」今年も張り切って準備をすすめております。

 「黴」「爛」を日常的に口にしている当館職員、だんだん「黴」という字面が可愛らしくも見えてくる病にかかってしまえば一部できもちわるいと噂の秋聲のサンタクロースなどテディベア並みにポップでキャッチー、「kawaii」以外のなにものでもありません。そんなkawaiiサンタを活用しないでおく手はない、ということで今年の参加特典にはサンタ缶バッジを制作いたしました。
 
 去年はサンタメッセージカードでしたが、もしやもらって帰られた方がご家族ご友人に贈ってしまったあとに寂しい思いをされたのでは…?つねに傍においておけるものこそ…?そうだ身につけられれば…!!との間違った方向にぐいぐい進んでしまった結果の缶バッジです。
 おまけに、サンタ=秋聲、秋聲=「黴」、すなわち、サンタ=「黴」という謎の方程式に基づき、サンタ缶バッジ3種類+「黴」バッジまで3種類制作。いやだサンタなんてこどもっぽいわよ!というおませなおともだちにはちょっとシックに大人っぽく、しかしオトナカワイイ域にあると信じて疑わない「黴」バッジをおすすめします。赤カビ、青カビ、黒カビの三色展開、おみのがしなく。
 イベントは基本高校生以下対象ですが、是非ともに!!!とのお気持ちのあるおおきいおともだちは受付にその熱意をおつたえください。




難しい漢字
  2013.11.27

 先日、館によく来てくださるお客さまから国民的おつまみ「柿の○○」の空袋をいただきました。どう見てもカラ、食べきりサイズのぴらぴらした小袋…いっしゅん何らかのいやがらせか捨てておいてね、というメッセージかとおもいましたが「ちがうちがう、コレ見て!」と裏がえすとそこにはポリポリしている間ヒマであろう?との心遣いから難読漢字ミニクイズが掲載されておりました。

 最多で33画だという見るからにギュッと詰まって黒ずんでいる12個並んだ漢字たち。「さいしょ『鬱(うつ)』しか読めないと思ったけど、『黴(かび)』あったから!読めたから!」とうれしそうに報告してくださるその袋には、たしかに我らが「黴」の文字が…。「ここに来てないと読めなかったわぁ~」と感慨深げに仰るそのさまに胸打たれたのはむしろこちら、こちらでございます。

 あっカビだ!→知ってる!→秋聲の代表作!→秋聲記念館でみた!→秋聲記念館のひとにおしえてあげよう!→空袋をにぎりしめて来館…この思考回路、シナプスの働き、愛しさと切なさ以外のどんな感情で言い表せましょうか。包装済みといい、食品の裏に「黴」と記してしまうといういろいろなしがらみを超越したセンスにも脱帽です。好きです。
 ちなみに「黴」の両隣にあるのは「鑿(のみ)」と「蠻(「蛮」の旧字)」。その他、「齲(むしば)」「讎(「讐」の旧字)」など見渡して全体的にあまりいい意味のものはありません。「蠶(蚕)」、「鹽(塩)」などはフラットでしょうか。それも踏まえて第二弾には、単純に良い悪いで括れないちょうど中間をゆく「爛(ただれ)」を是非推薦したいところです。




10分の1
  2013.11.24

 「秋聲記念館って2階もあるんだってね!」と言われたらびっくりします。はい、ございます。何ならむしろ資料は2階に集合しております。
 先日ひがし茶屋街に荘八展チラシを配りにいった際、とある雑貨屋さんのご主人と交わしたやりとりです。名乗らずそっと来館され1階展示をご覧になったお帰り際に遭遇、ご案内しましたのに~!と言いつつお見送りをしたのが1週間前の出来事。まさか2階をご覧になっていなかったとは…。
 「どうりで全然本がないと思った~」と無邪気にご報告いただましたが、はい、ほとんどの本は2階に展示されております。是非またのお越しをお待ちしております。

 といいながら、今回の企画展に関して本の展示はだいぶん少なめ。文学館ですから基本展示資料は書籍や雑誌がメインになります。通常、ひとつの独立ケースに平均5冊×ケース4~5台+全面ガラスケースに15冊=40冊ほどを展示しておりますが、今回の荘八展でははらわたを引きちぎる思いで本はわずか4冊にとどめてみました。いつもの10分の1です。
 展示すべき本がなかったわけでなく、しようと思えばいくらでもケースは埋まったのですが、今回は挿絵原画にスポットをあてたい、というコンセプトに基づき本は各ケースに1冊のみという贅沢な使い方をしております。
 
 また、文字を文字で紹介するのが文学館…という型に「絵」という媒体をぶつけたとき、いつものように壁に文字パネルを並べるのは無粋であろうよ!とどこかしらから神のお告げが聞こえたもので、今回キャプション以外の文字情報はほとんど覗きケース内、すなわち本の隣におさめてしまいました。

 秋聲の「爛」本文は別格ですが、荘八の魂こもった「絵」をご覧いただくのに多くの文字は不要かと存じます。





創立143年記念たまみず集会
  2013.11.23

 秋聲の母校である馬場小学校さんの創立記念集会にお邪魔して参りました(馬場小さん、秋聲よりひとつ年上!)。というのも、この会で4年生が秋聲作品を元に寸劇を演じ、秋聲作品を歌詞に「秋聲の歌」をつくって披露してくださるというのですから行かないわけには参りません。事前にいろいろとご相談いただき、いよいよ発表の日となりました。
 寸劇のタイトルは「らしからぬ物語」。秋聲の子ども向け作品「えらがり鯛鮹」、翻訳「十二王子」をアレンジして、秋聲先生がお子さんに語り聴かせるという高度な入れ子型で展開して参ります。秋聲役の生徒さんが登場したときの感激といったら…!(最右、背広がバスローブのように見えるあの子)立ち上がってぶんぶん手を振りたいほどの衝動に見舞われましたがそこは何とかこらえました。

 最後に、馬場小さんの校庭にある「故郷の文学碑」にも刻まれた『光を追うて』の一節で合唱が行われた日には涙で前がみえません。ぐっと唇を引き結び、歌に聴き入るさまはさぞやどの子かの親御さんっぽい空気を醸していたことと思われますが、当方誰の親御さんでもございません。おそらくあの参観者のなかでいちばんの部外者です。しかし部外者ながらたいそう胸を熱くして帰りました。
 新聞社、テレビ局さんもいくつかいらっしゃいましたが、ちょっと涙目になって出て来るところ「お子さんの歌いかがでしたか?」なんてインタビューされたらどうしよう…「歌詞が沁みました…!」って言えばいいかな…?と無駄にドキドキしましたがまったくもってスルーでした。何にも阻まれず何だったら信号にも引っかからず、まっすぐ館に帰りました。
 馬場小学校さんありがとうございました!是非その歌、歌い継いでいただきたいと切に切に願っております。





朗読会「爛」
 2013.11.22

 12月7日(土)15時~、石川近代文学館さんで「爛」の朗読会が開催されます!
 読み手はフリーアナウンサーの上原一美氏。荘八さんの「爛」原画60枚中2枚が石川近代文学館さんのご所蔵ということもあり、せっかくですから今年成立100年を迎える「爛」で朗読を…という何とも有難い企画でございます。

 中編といいすべて読むには余りに長い作品ですので、当日は(抄)とのこと。さてどこを読まれるのやら今からたのしみでなりません。当館の展示でも、三期分それぞれ本文から抜粋してほんの一場面をご紹介しておりますが、あああ、この後もいい…前もいいのに…!という葛藤を飲みくだしてのわずか40行選抜でお送りしております。

 そして重ねて有難いことに、朗読のあとの貴重な数分間をいただき当館学芸員が作品の解説をさせていただけることになりました!すてきな朗読に耳を浸らせたまま帰りたいけども!!という方がほとんどかと思いますが、そのあたりぐっと堪えてお付き合いいただけましたら幸いです。「爛」の真骨頂、簡潔にお伝えできるよう今から猛特訓して参ります。参加費・申込不要ということですので是非ご参加くださいませ。
 ちなみにそれに先立つ当日14時からは当館でギャラリートークを行います。通常30分程度と謳っておりますが、結局いつも40~50分かかってしまうところ、この日だけはきっかり30分で終わらせます。「あそこいつも長いんだよ~30分じゃ済まないんだよ~」と不安に思われている方、この日にどうぞお越しください。きっかり30分で終わらせますし、もしあれでしたらご一緒に広坂までの集団移動いかがでしょうか。移動中、これ幸いと続きをしゃべりださないことを誓います(アッ公共交通機関ですすみません!)。
 



没後70年
 2013.11.21

 8絡みですこし触れましたが、去る18日はわれらが秋聲と木村荘八さんのダブル命日でございました。昭和18年11月18日に73歳で亡くなった秋聲は今年でちょうど没後70年。昭和33年11月18日、65歳で亡くなった荘八は今年で没後55年。荘八さん曰く、生前には一度しか面識がなかったという二人ですがそんな奇縁で結ばれております。
 忌日当日には、ご来館の方全員に二人の合作『爛』のオリジナルポストカードなどをプレゼントさせていただきました。事前告知をほとんどしなかったもので、知らずお見えになった方々ばかりだったようですが、多少なりとも印象に残していただければ幸いです。

 18日夜には、金沢市アートホールでテレビ金沢さん主催「五木寛之の新金沢百景」特別企画「蓄音器の時代」というイベントが行われました。金沢蓄音器館の八日市屋館長さんもご出演になり、7月に当館で行った秋聲の遺品SPレコード試聴会でご披露した「ボレロ」を会場を流してくださるという素敵すぎるコーナーも。これは大々的にお知らせすべき事柄でしたが、こちらでの告知が間に合わず恐縮しております。参加しそびれた方、12月にテレビ放送もあるとのことですので、放映前に必ずやこの欄でお知らせいたします。

 イベント前にレコードをお預けにうかがった蓄音器館さんでは案の定Nipper's winter collectionが始まっておりました。通り向きのみかと思いきや、ショップのマトリョーシカニッパーもやはり!最初はグレーのマフラーだけだったそうですが、来館者からピンクのニットのプレゼントがあったそうでみんなでぬくぬくしておりました。

 (許可を得て撮影させていただいております)→

 これから行かれる方、そんな素敵ショップを確認されたあとは是非ニッパーを模した傾き方で、貴重な蓄音器の音色をおたのしみください。




お詫びと訂正
 2013.11.20

 開幕して2週間弱、おかげさまで荘八展ちょこらちょこらとご感想を寄せていただいております。例によって展示室にはお持ち帰り自由のガイドペーパーを設置いたしまして、それに登場人物相関図やら全3期をご覧いただけない方のため60枚の挿絵をすべて掲載しております。いえ、「すべて」と言うと嘘になりました。第8番が足りないのです、ではなく実は初回発行分に47番が足りておりませんでした。

 先日当館の解説ボランティアさんより「47番と48番の挿絵どうちがうの?」と訊かれて心臓が一瞬活動を停止しました。よく見れば47番の欄にも48番が入っており、お今さんが何度も何度も自分を原因とするお増と浅井の痴話喧嘩の様子をうかがう感じになっていたのです。すぐに差し替えをいたしまして、現在配布中のものには第47番・入院した養女静子を見舞う浅井の図がきちんと入っています。前回分、お今の不安が2倍になっているガイドペーパーをお持ちになった方、心よりお詫び申し上げます。ご希望の方には改訂版をお送りいたしますので、ご面倒ですがご連絡いただけましたら幸いです。

 ちなみにさすが牛鍋店「いろは」創業者・木村荘平第8子の荘八さんだけあって、「8」に絡んだエピソードがついてまわります。原画がなくなったのも第8番、秋聲荘八さんのダブル命日も今月18日、今回重複していたのも第48番(これはただのうっかり)。
 もうひとつ、年末休館が12月の28日からで他館さまのおおよそ29日と横並びではないですよ、展示替えのためうちだけ一日はやいんですよ、と注意を喚起するつもりでチラシなどの日付の「8」のみ緋文字にしていたのを、いろいろな方からこれは「荘八」と「第8番」の「8」にかけてるんですよね?と嬉しそうにご指摘いただいたもので「あっハイそうです!」と思わずちょっと嘘をついてしまったこともついでにお詫び申し上げます。

 


坊っちゃん系男子
 2013.11.15

 不定期連載「好奇心」第3回アップいたしました。今回の読みどころは、主人公・糅山が良心の呵責に堪えかねお品との秘密の関係を奥さんに打ち明ける場面です。いや打ち明けるのはいい、打ち明けるのは…その後の処置を奥さんの判断に委ねるあたりが糅山の無邪気こずるいところ!!!これは是非とも男性女性それぞれにご感想をうかがいたい箇所でもございます。
 テキストを打ち込みながらこのあたりではらわたがもぞもぞと活動を始め、次の奥さんの反応で背筋が凍ると同時に腸が締め上げられる思いがしたのですが、皆さまいかがだったでしょうか?単にこずるい男であれば責めがいもあるというもの、しかし奥さんの薄氷一枚の反応に素直に感謝しているような無邪気こずるい坊ちゃん男子にいったいどんな文句が通用するというのか…。
 そんな糅山、次回いよいよ昔の彼女に会いに出かけます。十余年前には大根のような肌つやと春の星のような澄んだ目をしていたお品…おや?この表現はどこかで聴いたような…とおもえば、「挿話」のお絹さんにも同じような形容がありました。
 「曇りのない黒目がちの目が、春の宵の星のように柔らかに澄んでいた…」(「挿話」より)…しゅ、秋聲先生、口説き文句がかぶっております…!!

 ちょうど「挿話」を展示していた4月、「桜の季節のおもてなし」で提供する生菓子の銘を秋聲作品から探していたおり、「春宵星」実は候補に挙げていたフレーズです。もしかすると秋聲のなかで女性に対する無邪気な褒め言葉のひとつなのかもしれませんが、あっお品さんもそんな感じでした??とおもえば、結果「風の桜」が選ばれよかったような気もします。
       ↑
そういえば全貌をあきらかにしていなかった「風の桜」。御銘先行製作です!




秋聲忌
 2013.11.12

 なんだかんだで4月7日の開館記念日より季節のめぐりかわり、館の歩みを実感する秋聲忌、前倒しの9日につつがなく終了いたしました。

 おかげさまで今年はきれいな晴天に恵まれました。東京からお越しの名誉館長、記念講演講師からそれぞれに金沢ってコートいらないんだね!と感想をいただくほどのよいお天気。翌日から寒気極まるということで、秋聲・荘八のおふたりの力でもってなんとかもたせてくれたようです。新品同様の白壁を前に、静明寺さんご住職にお経をあげていただきました。

 その後、館に帰って記念講演のはじまりです。八木書店版『徳田秋聲全集』の装丁を担当された大貫伸樹先生に「絵で綴る文学 木村荘八の挿絵」と題してなんと当初予定を30分上回る二時間半!熱弁をふるっていただきました。荘八さんの描くリアリティの根拠、そして挿絵画家としてのプライド…展示ではほとんど触れられなかった荘八さんの「ひと」の部分を、その呼吸を伝えてくださいました。
 大貫先生、石川近代文学館さん、最後まで席を立つことなく「どうぞつづきを!」と熱視線を浴びせてくださった参加者のみなさま、ありがとうございました。(ビジュアル版『心の勝利』ぜひ実現を…!)

 その感動や受けた衝撃の数々、この欄ではとてもご紹介しきれませんが、あっ荘八さんロダンも翻訳されてるんですね…!という点のみお伝えしておきます。


  


企画展オープン!
  2013.11.9

 「木村荘八『爛』挿絵原画展~欠落した第8番・お雪の家で昼寝する夫婦(仮)~」本日、オープンです!

 昨日、展示替え最終日。最後の最後まで手間取ったのは、下述のひだの再現です。こんなのありかな?というお試しのひだひだ実験を終え、よし!良いひだだ!という状態を写真におさめていったんタペストリーをフラットな状態に戻し、資料を入れつつ再度写真にしたがってひだを作り直そうとしましたら、思うようにきれいに出てくれません。

 ああ、ひだとは指と重力とのつくりだす偶然の産物であったか…と無常観にひたりつつ、つまんでは流しつまんでは流し、もっとも「爛」らしい爛れたひだを何度も何度もつくり直してようやく満足する出来に仕上がったと思えば、あっちの合格したひだにかかとがぶつかり自ら台無しにして絶望するその姿が何か似ている…と思ったらロダンの「考える人」でした。ひだひだ地獄の門前です。
 そんなこんなを何とか乗り越え、今日めでたく第一期開幕の日を迎えることが出来ました。今回は59枚ある挿絵をおよそ20枚ずつ三期に分けて展示します。第一期は12月27日(金)まで(近隣のよその館はおおむね29日より年末休館に入りますが、当館展示替えのため28日からお休みいただきます!ご了承ください!)。
 その間展示物は変わりませんが、ひだだけは常に動いてるかもしれません。




ブライダル感
 2013.11.7

 だんだんとゴールが見えて参りました荘八展設営。休憩中、展示室に掛けた大きなタペストリーに写る荘八さんが事務室にある監視カメラ越しにずっとこちらを見ています。誰もいないはずの展示室に猫を懐に抱いていつまでも居残る荘八さん…(生誕120年)。はやくみなさんにご紹介したい気持ちをおさえて、残り一日最終調整に入ります。
 ずっと展示室にこもっていると、感覚がだんだん麻痺しだしてきてどれが素敵なのかどれが妙ちきりんのかがわからなくなってきます。なんだか違う気がするけれどかといってどこがどうと説明もできないもやもやが胸にたまってきましたら、他の職員を呼び出して率直な感想をお願いしたりするのですが、今回いただいた感想「………法事みたいです」。えっ法事………言い得て妙!!!
 その瞬間、胸のつかえがおりました。そう、胸にくすぶる「なんだか違う」はこの法事感だったのです。へんなこといってすみません、と恐縮する職員さんに「へんなどころか!そう!これは法事です!!法事ですよ!!!!」と握手を求めたいくらいのしっくり具合でした。

 冠婚葬祭のうち『爛』に登場するのは「婚」すなわち結婚式です。法事を改めケースの中にブライダル感を…!!ということで急ぎ修正いたしまして、どうにか法事感が薄らぎました。
 秋聲が、荘八が『爛』に描いたのは形あるものでなく心の陰影、心の襞(ひだ)。ブライダル感を足しつつ、ひだ…ひだなんですよ…ウフフ…とケース内を演出していくさまはとてもお客さまにお見せできるものではありません。




楽屋訪問
 2013.11.6

 3ヶ月にわたるアルバイトを終え、控え室で一息ついている諸先輩方。なんとなく話が合うのか鳥類は鳥類で集ってしまうご様子(にわとり、カナリヤ、カラスと、謎の「赤い鳥」親子がいます)。
 展示解説の際、白熱のあまり腕が激突、タコ兄さんの足がもげそうになって内心ギョエーッとなったこと、しずく姉さんの位置に急に違和感が湧き気づかぬふりをしようとしたけれどやっぱり無理!となって開催前日にブリッと剥ぎ取り打ちつけ直したこと、あんなことやこんなことが今や笑い話となって控え室を賑わします。らしからぬキャストのみなさん、長期間おつかれさまでございました(もうしばらく館で次回の出番待機!)。

 昨日の記事でお伝えしている本型パネルも何とはなしに重ねてみましたら本当にめくってゆける一冊の書籍のようになりました。右下の黒い物体は靴。サイズ比較のため入れてみました。
 テレビや映画や音楽とちがって、本は自分から開くという能動的な行為が必要とされるもの。さて、開く!読む!という作業はなかなかに覚悟と集中力を要し、ひとつひとつ文字を追うのも大変なのに加えて文字を文字でご紹介するという文学館の悲しき性…。せめて、あら何が書いてあるのやら?と思っていただける作りを心掛けたいという所信表明のようなパネルたちでした。こちらは廃棄をまえにちょっぴりおセンチ…。
 
 さて、気持ちを切り替え、次回荘八展では、は?パネル?それはたべものですか??という一周回って妙な展示になる予定ですのでご期待ください。

 
 


展示替え休館
 2013.11.5

 本日より4日ほどお休みをいただきまして、次回企画展の設営作業に入ります。これまで手ずから本を開かずとも訪れる人すべてに等しく自らページを開いてくれていた明治の雑誌っぽいつくりのパネルたちともいよいよお別れ。

 基本、展示していたパネル類はすべて廃棄しますが、今回のタコやらチョウチョやらの立体パネルはどうしようか…捨てるにはしのびない…かといって保管にはかさばる…と残り1日、拙者は熟々(つくづく)思案にくれおる次第でござる(©鮹@「えらがり鯛鮹」)。

←影にご注目!3Dなのです!

 と、こんな口調で喋っていられるのももう間もなく、明日には鯛鮹ののさばっていた全面ケースは秋聲代表作『爛』の独壇場と変じます。これまで子ども向け読み物という可愛らしくもある意味凶暴なパステルカラーに封じこめられていた大人のシュウセイズムが、我ようやく時を得たりと大暴れいたしますのでご期待ください(ほんとうに大人向けも大人向け、ぱっと見でいかがわしいものこそございませんが、いかんせん『爛(ただれ)』ですから今度はお子様禁制かもしれません…)。

 展示替えは8日まで。9日、イベント「秋聲忌」とともに「木村荘八『爛』挿絵原画展~欠落した第8番・お雪の家で昼寝する夫婦(仮)」第1期の開幕です!
 
 


そう、柿色なのです
   2013.11.4

 金沢湯涌江戸村さん2日付のブログに何気なくお邪魔しております秋聲記念館、後日もなにも!そう柿色は当館のイメージカラーでございます。
 若かりし頃、弟子入りを志願する秋聲に「柿も青いうちは烏も突つき申さず候」とだいぶかっこよく言い放ち追い返した紅葉先生(実際にはお手紙ですが)…紅葉亡きあと、いつしか自然主義文学の大家と呼ばれるようになり、いつかの青柿もすっかり熟しましたよ先生…!という意味があるのかないのか完全なる後づけですのでわかりませんが、当館柿色を積極的に推しております。このHPにも柿色の点やら線やらさりげなく!

 江戸村さまの軒先に柿色鮮やかな柿がたくさんぶら下がっているそのさまは、柿色推しの当館といたしましてもついむずむずしてしまう光景です。しかし干し柿ということは、すなわちそのままでは食べられないということ…見た目に騙されてはいけません。いかに柿色鮮やかであっても、まだ渋いうちは烏も突つき申さず候、といったところでしょうか。

 今度橋場町のベンジャミンと一緒にうかがいます。暫定カラスのベンジャミン王子、干し柿はきっと初体験となることでしょう。
 もしベンジャミン王子も突つきませんでしたら、吊されているうちのいくつかに秋聲先生の渋面を描いて帰りますので、鯛の落書きとあわせて江戸村さんご注意ください。(だんだんしわしわになっていく秋聲先生…)
 
 


仮でない(仮)
  2013.11.3

 早いもので、昨日をもってらしからぬ展最後の展示解説となりました。7月からのロングラン、会期中いろいろの奇跡を起こしてくれた生キューピッド(原画)もいよいよ見納めです。
 ご参集くださった皆さま、最後までありがとうございました。展示自体はあと1日、明日17時までとなっております。

 展示解説後、次回企画展資料の借用に毎度石川近代文学館さんにお邪魔して参りました。全60枚あるはずの荘八さんの「爛(ただれ)」挿絵原画のうち47枚が当館の所蔵、10枚が徳田家からこのたび新発見、そして2枚が石川近代文学館さんのご所蔵となっており、すっかり59枚揃っているつもりでうかうかと日々を過ごしておりましたが、はっと気づけば当館には現状57枚しか保管されていないのでした。
 というわけで、その2枚(第20番・第52番)を無事お借りして帰りまして、おかげさまで現在当館に59枚が揃ってございます。ん?揃って?と言ってはいけないのかもしれません。全60枚あるはずの挿絵原画、そうまだ1枚足りないのです。そのあたりが次回企画展正式タイトル「木村荘八『爛』挿絵原画展~欠落した第8番・お雪の家で昼寝する夫婦(仮)~」に集約されているのですが欠落の経緯はおいおいご説明するとして、とりあえず正式タイトルは上記のとおり。表記に七面倒くさい場合にはひとつめの「~」以下省略していただいていっこう構いません。いやいやそこはフル表記で!という場合にはふたつめの「~」以前、ややこしくも(仮)すら正式タイトルの一部ですので何卒ご注意くださいませ。
 



今日の失策
 2013.11.2

 31日、映画上映2回目も無事終了いたしました!デコちゃん版お島さん、その日も元気いっぱいホースで水をぶちまけておられました。

 今回は舞台上からもお客さまがその手に手にクリーム色の荘八展チラシをお持ちのようすがわかり、ニヤニヤしながらご挨拶をさせていただきました。これは上映前々日に張り切って持参した甲斐があるというものです。シネモンドさん、お手数な折り込み作業ありがとうございました。

(チラシにいるお雪さん→、実はずるりとお金の無心ににじり寄っているところなのです恐ろしい…!)

 あのひと得意げにニヤニヤしてるくせにやっぱりしどろもどろ…!というパラドクスを孕んだご挨拶のことは棚に上げ、荘八さんの描くお雪さんが数時間後には各ご家庭にずるりと入り込んでいるさまを想像して満足した結果、気がゆるんだものか暗い袖に引っ込んだ瞬間左頭部が壁に激突。ゴインッという鈍い音とともに上映が始まりました。あれだけは…己の失策であったよ…。
 なんと便利なこのセリフ、さまざまな場面で使える魔法の言葉であることが発覚いたしました。先日、あれだけは、と思っていた己の失策、今日は今日とてまた新たな失策が生まれているではありませんか。とかく他人のせいにしたいこと、暗闇のせい、壁のせいにしたいことなどに囲まれた世知辛い現代社会ではございますが、ひとさまに倍返しするまえにまず自らを顧みるべしという秋聲先生からのご訓告でしょうか。一日一失策、己を責め、悔いるべき選択の瞬間が必ず見つかるはず。それを直視することは辛い作業ではありますが、そんなときにこの魔法の言葉「あれだけは、己の失策であったよ。」を唱えると、ちょこっとだけずるい浅井のせいにして気持ちが楽になったり、ならなかったり。

 


すべりこみ
  2013.10.31

 だいたい月に一作は~…という心持ちで、しかし心持ちは心持ちとして現状月に一作アップしたりしなかったりしております身勝手な不定期連載、10月分すべりこみセーフでした!とはいえ10月分と言ってはアレなほどに全5回と長期分載されそうなこの作品。先日のナイトミュージアムで朗読していただいた「好奇心」の登場です。
 冒頭から3通の手紙だなんてありそうでなさそうな、若干くさい感じの始まり方をしておりますが、この次に起こるであろう展開を期待させるには充分な小道具たち。別にやましいことなんてないんだからね!手紙、読まれたって平気なんだからね!と虚勢をはりつつ、けれどもだからってできればそれに触るんじゃないよ子どもたち…!!という目線ビシバシなお父さんの姿は大なり小なり何かしら後ろ暗い部分を抱えた我ら人間、共感できる部分なのではないでしょうか。
 下記記事の『爛』中、浅井が〝失策〟と言っているのは現在の妻・お柳さんとの結婚のことですが、こちらの主人公の男も〝失策〟とまで言わないまでも、目の前の家庭の醸す生活臭からちょっと逃避したい気持ちになっているもよう。タイミングよく通りすがる飛行機に助けられ、びくびくからのホッで第1回は無事終了しましたが、これは無事では済まない予感、きっとやらかしてしまう感満載です。

 次回、そういや彼女、いまどうしてるかな?
アイツと出会ったのは東北での寒い雪夜のことだった…の巻。おたのしみに。



最近さぼりがちのシャー営業部長もあと4日ではずされる運命にあるタペストリーとの2ショット、すべりこみセーフ!!


 


己の失策
 2013.10.29

 昨日、三文豪月間映画祭、秋聲「あらくれ」上映第1回目が行われました!上映前、香林坊109の4階が何らかの立食パーティーのようにお客さまで賑わっておりました結果、映画「あらくれ」の風俗考証に木村荘八さんがお名前を連ねているというただそれだけの関連性でもって次回荘八展の宣伝をさせていただーこう!とできたてのチラシを持参のうえ支配人にちょっとこれも置いていただきたいんですが…とえへえへお願いいたしましたら「あ、だったらお客さまにおくばり…するほどはないですね!」「そうですね!」という残念なやりとりをするはめに。
 何故、30枚しか、もってゆかなかったのか。名作「あらくれ」を、主演女優・高峰秀子氏を、名匠・成瀬巳喜男監督を、ひいては秋聲先生を、軽んじた結果ではないのか。月曜日でも、人は、わりと、動く…!!と、「整理番号50番までの方~」という軽やかなアナウンスを聞き留めるその胸中で何者かがぐさりぐさりと容赦なく心の臓を傷つけていくのがわかりました。とんだ失策です。

 しどろもどろと舞台挨拶を終え、その後の解説依頼のため映画を見ずに退出し、帰館するまでの30分の間に何度も脳内を駆け巡った言葉、『あれだけは、己(おれ)の失策だったよ』(©浅井@『爛』)。これ以上にそのときの気持ちを代弁してくれる台詞が他にあるでしょうか?否、至言に認定!今年の流行語大賞です。
          くやしさの余り左手に握りしめた新品のチラシがよれよれに…↑
 
 次回、31日(木)14時45分~、第2回上映の折には劇場のキャパシティ以上に持参してまいります。




橋場町のベンジャミン
 2013.10.28

 らしからぬ展も間もなく終幕…という頃合いで、いろいろな場所でらしからぬキャラクターたちを見つけてしまっている本日にてちょうど残り一週間となりました。たとえば金沢湯涌江戸村さんには下の記事にもある「えらがり鯛鮹(たいたこ)」が生息していること、ご存じでしょうか?

 旧山川家の壁面にディスプレイしてある凧に描かれた大鮹です。御機嫌なようすで波に乗っています。秋聲の「えらがり鯛鮹」には、海底に飽きたわい、と言って陸上を目指す鯛と鮹が描かれており、アッこれはまさしく…!?と勇んで相棒であるところの鯛をさがしてみましたが、海底にいたのは今年が旬の大王イカ(菊池寛賞受賞)でした。凧に鮹、紙鳶に烏賊、ね…!と納得しつつ(金沢をはじめ主に関西地方で凧は「紙鳶(イカ)」と昔呼ばれていたそうです)、今度こっそり鯛を書き足しておこうと目論んでおりますので江戸村さんご注意ください。

 そして、橋場町交差点では「十二王子」のひとりを発見!→
これは末の兄ベンジャミンでしょうか?
 グリム原作・秋聲翻訳「十二王子」には、その名のとおり12人の王子さまが登場します。ある日、末っ子で13人目のお姫さまが、兄を喜ばせたいとお庭に生えた12本の白百合を摘んだ途端、何故か王子たちが12羽のカラスに変身して飛び去ってしまうというちょっと不思議な物語。

 ベンジャミンはその性格にすこし不徹底なところがありますので、カラスになる際ちょっと白百合要素がしっぽに残ってしまったようです。妹姫が7年沈黙を守り続ければ人間の姿に戻れるそうですので、橋場町をうろつくベンジャミン王子を見かけましたら「なーに7年の辛抱ですよ!アッ東京オリンピックの年ですね!」などとお気軽に声をかけてさしあげてください。




後輩さんいらっしゃい
 2013.10.27

 先日、秋聲の後輩たち・馬場小学校の3年生20名様が元気に来館してくれました!というのも先日のナイトミュージアムイベントでもお世話になった朗読小屋 浅野川倶楽部代表・女優の髙輪眞知子氏が、馬場小さんで秋聲の「えらがり鯛鮹」を生徒さんと一緒に朗読されるとのこと。その事前指導の一環として、当館の企画展示室に描かれた鯛と鮹に会いに来てくれたのでした。
 館オリジナル編集の文庫本『秋聲少年少女小説集』では読みやすさを考慮し新仮名を採用しておりますが、展示室のパネルには当時の空気をだすため本文を敢えて旧仮名で表記しております。小学校ではまずお目にかかることのない繰り返し記号=踊り字なども登場しますが、事前にだいぶん読み込んでいるらしい子どもたちはすらすらと読んでいきます。自然に始まった大合唱に胸うたれることしばし…!
 また、基本擬人化などいう手法を忌避する秋聲は~…と解説する当館のいっぽう、「ほら、鮹さんのお顔みてごらん?どんな表情してる?」と子どもたちに問いかける髙輪さん。「困ってる!」「元気なさそう!」と思い思いの返答が飛び交います。

 『子どもは書きにくい』とは秋聲先生のお言葉ですが『子どもに話しにくい』とは当館の感想…というより完全なる技術不足。子どもさんの目線に立った髙輪さんのお話を横からうかがいつつ、かえってこちらが勉強をさせていただきました。ご来館ありがとうございました。さてどんな鯛鮹になるのでしょうか。朗読の仕上がりがたのしみです。
         ↑
    『立っては書きにくい』の図




496496…
 2013.10.24

 次回企画展への展示替えがそろそろと迫ってきております。中では鋭意パネル制作の追い込み作業中。追い込みと言いながら、今更ながらに展示室によちよち赴き、壁やらケースやらのサイズをはかったりしています。それは最初に済ませておくべき作業です。
 496とは当館企画展示室のとある場所の壁面のサイズ(cm)。文学館すなわち、職員もごりごりの文系ですので(勝手な思い込みであってなかには隠れ理系もいるかもしれません)どうがんばってもとにかく数字が覚えられません。ちょっとはかりにくい高いところの壁を椅子など使ってよいせと計って496と頭に刻んでトンッと椅子から地上に降りた瞬間、その衝撃で4…?69?86?と数字が勝手にミクスチャー。自由行動開始。
 ゆえに496496…と終始小声で呟きながら椅子を降りるというその一連の動作はまるで多くの人のイメージするカバディ競技か、決して見てはならない秘密の儀式のようです。
 一体全体メモをとるという基礎作業ができないのは何系と呼ぶのでしょうか。泥棒捕らえて縄を綯う系、あるいは己の記憶力に対する根拠のない自信系、もしくは宿敵「数字」への無謀なるチャレンジ系…。

 秋聲先生とて四高時代には算術56点をマークしており(ちなみにその時の最高点は英語綴り方の98点、最低点は習字の55点です)早いところ数字に対する負けを認め、椅子にのぼる前にメモを用意すること、なんならパネルデザインにとりかかる前にサイズをはかっておくこと、ついでに校正指示は極力きれいな字で書くこと、今後胆に命じて作業にあたりたいとおもいます。 
            もうちょっと多方面でダメな感じが出ているサイズ変更指示↑




 葉山修平氏講演会
   2013.10.23

 20日、三文豪月間のメインイベント、犀星記念館さん主催の左記講演会にお邪魔して参りました。葉山氏は作家であり、室生犀星学会会長であり、何より晩年の犀星さんと実際に交流をもたれたお方。犀星さんの素顔が垣間見られるレアエピソードたちがこれでもか、と溢れでてきてファンにとってはたまらない、また秋聲ファンにとってもまったく油断のならぬ一時間半でございました。
 中でも当館として特にオッとなったのは、秋聲の盟友・正宗白鳥さんとのお話です。

 葉山氏が犀星さんと一緒に歩いていると、犀星さんがさくさく自分の前を歩こうとするので何故?と尋ねたら「正宗白鳥さんがそうだった」との返答。若い者の後は歩かん!という意志の表れだったようです。なんといかにも白鳥らしい…!そしてそれを継承する犀星さん!!(年上の秋聲とだったら後ろを歩かれるのでしょうか…!?)
 また、著書は誰でも彼でもに簡単にあげるな、というのも犀星さんの教えだそう。自分の著作物を進呈するのは知己にこそ、というその言葉を今でも大切にされているそうです(知己=自分のことをよく理解してくれている人)。秋聲先生は犀星さんからしばしば著書をもらって、庭仕事の合間に読んだりしています。ちきにこそ…!ちきにこそ…!!
…頭の中でエコーがかかって聞こえました。 
 何せ犀星エピソードが尽きないもので、副題となった「鏡花と秋聲にも触れて」の出番がなかなか回ってきません。葉山氏自らそれを詫びつつ「最後に1分だけ」と鏡花さんと秋聲のお話を聴かせてくださいました。
 とはいえたとえその1分が無くとも、タイトルに嘘偽りなし!との感慨に浸りつつ当館帰館したことでしょう。前述のとおり、葉山氏の語る生きた犀星さんとの距離感、まとう空気が、かつての秋聲との距離感をもまた想像させてくれたのです。




小立野公民館文化祭記念講演会
  2013.10.22

 バザーにおびえていた上記講演会、無事終了いたしました。あれからその怯えっぷりをこの欄で見てくださったらしい件のお客さまが、わざわざプログラム表を持参のうえ「バザーは別日よ!!」と教えてくださいました。ご親切にありがとうございました。とんだチキンハートで恐縮しております。
 そんなこんなでやや安心して出かけた当日でしたが、小立野三丁目でバスを降りるとなんだかわちゃわちゃと同じ方向へ歩く人々が…。あれっこれはみな文化祭に向かわれる人かしら??と一瞬うかれるも、その行く先には若さ溢れる「金商デパート」のカラフルな文字が。人波のただ中で、たたかうべきはバザーでなくデパートだったことを思い知らされた瞬間でした。

 しかし果敢にクイッと独りその道を違え、公民館にたどりつきましたらかわいい感じのウェルカムボードを発見。
 手づくりのお花に囲まれているのは「金沢の士(さむらい)、徳田秋聲」という渋めのタイトル。なんだかすみません。
 

 入り口で心いやされたばかりか中にはたくさんの方がすでに集まってくださっており、おそらくはこのあとのデパートに向けたそわそわを微塵も見せず熱心に耳を傾けてくださいました。
 あっちへフラフラ、こっちへフラフラと頼りないお話でしたが、時折頷いてくださる姿に随分と励まされました。ご静聴、またお招きに心より感謝申し上げます。
 帰って午後は輪読会。らしからぬ展にまつわる第2回、〈翻訳童話編〉を開催いたしました。秋聲の翻訳した「土耳其(トルコ)王の所望」の原作であるナサニエル・ホーソーンの「マイダス王」、おそらく直訳に近い異訳をみんなで鑑賞しましたが、秋聲版よりかなりシビアで痺れました。

 


Nipper's autumn collection 2013
 2013.10.20

 毎度ひそかにたのしみにしている金沢蓄音器館さんの看板犬・ビクター犬ことニッパーの衣替えのさまを発見いたしましたのですぐさまご報告です!

……と思っていたのですが、ここ最近イベントの報告続きですでに発見から一週間が経過してしまいました。


 昨年はどうでしょうか、10月のこの頃にはすでにニットをお召しになっていたようですがどうでしょうか。今年は10月でも上旬は夏並みに暑かったこの異常気象に対応して、なんとも軽快な装い。素肌に赤い羽根という斬新さです。

 紅葉の赤、秋星リンゴの赤…まさに一点豪華主義とも言うべき、あまりゴチャゴチャとアクセサリーをつけず持ち前の白い毛皮を活かして赤ワンポイントのみというのもにくい演出。ファッションとは引き算、そんなどなたかだかの名言が思い出されます。
 とはいえ今週から急激に気温もさがり、われらがファッションリーダー・ニッパー先輩はそろそろマフラーの準備などを始められるはず…。実はもうすでに赤い羽根仕様でなくなっているかもしれません。秋は短し、ぼんやりしているとすぐにもwinter collection 2013の開幕です。




おやつレポート その12
 2013.10.19

 今年最後となるナイトミュージアムで長丁場だった館に、うれしい差し入れが届きました!毎度お世話になっております東山ファミリー茶道裏千家 井奈先生より美しい季節の和菓子です。こちらも毎度お馴染み、名店「吉はし」さんによる「山の秋」。青山の頭のほうだけ紅く色づいてきているさまが表現されています。
 館内に缶詰めでいるとなかなか季節を肌で感じることが出来ませんが、気が付けば着実に秋はやってきているようです。

 そして秋といえばリンゴの「秋星」。先日NHKさんでも「秋星」の案内役として秋聲先生がご登場されていましたが、当館にもやって参りました!名誉館長が金沢滞在の間に自ら購入され、館にもってきてくださったのです。
 
 ご覧ください、この見事なフォルム。すでにたべものの粋を超え、芸術品としての鑑賞にすら堪える美しさです。

 ※パッケージはうれしくなった秋聲記念館の仕業。

 しばらく受付にて光を放っておりますので、ご来館の折には是非お手にとって白雪姫ごっこなどされてみてください。白雪姫役の方、次のお客さまのため、どうかかじる真似だけでご勘弁ください。季節に敏感な心優しいみなさまのおかげさまで、秋の声、ひとつひとつ届いております。


 

「徳田秋聲を味覚と聴覚で体験するってどーゆーこと?」
 2013.10.16

 12日、タテマチ大学さんの出張授業「秋の夜長に楽しむ金沢文学とコーヒーの朗読会」が当館サロンにて開催されました。夕方、会場設営のころ予報にもなかった突然の大雨に見舞われ、あああ新内のしわ寄せが~…!とびっしゃびしゃ大粒の雨に容赦なく打たれている浅野川をハラハラしながら見守りました。が、開催前にはなんとか上がり、いつもの梅ノ橋の実力をお見せすることができました。

 かの大雨、ちょうどお家を出る頃だったであろうにそれにも負けず会場は満席!秋聲も通った現存する銀座の喫茶店「パウリスタ」から取り寄せたコーヒーをいただきつつ、朗読小屋 浅野川倶楽部代表・髙輪眞知子氏による「好奇心」の深い深い朗読を鑑賞します。

←見事に見えませんがみなさんコーヒー片手に。

 チョイスの段階でコーヒーの出て来る作品にすればよかったのですが、それをも振り切って館で選ばせていただいたこの短編小説。家庭の様子、恋愛模様、繊細に揺れ動く人間の心理、と矛盾なく共存するいっそ不敵ですらある神経の太さ、善悪を超えた無邪気さなど、当日語りきれなかったシュウセイズムに溢れているのです。と、マイクをぶんどり熱弁を振るった揚げ句、おそらくあの会場でただひとり、コーヒーをいただき忘れたのは一生の不覚…。(開始前にちゃんとスタッフの方にすすめていただきました!が、緊張で胸がつかえ後にします~と言ったきり興奮さめやらず…)銀座8丁目「カフェ パウリスタ」、足を運びたいとおもいます(ネット通販もできます!)。
 前日までいらした名誉館長と直前までかの喫茶店を「プランタン」「プランタン」と言い間違えていたのも一生の不覚。なんなら当日のみ特別展示しようと徳田家から事前にお借りしていた秋聲宛ての年賀状も「カフェ プランタン」からのものだったことはここだけの秘密です。
 タテマチ大学さん、髙輪さんありがとうございました!ぜひ二時限目を!




バンザーイ!
 2013.10.15

 おかげさまで新内流し、無事両日終了いたしました!
 2日目に東京から駆けつけてくださった秋聲令孫・徳田章子名誉館長のお力でしょうか。朝からの大雨がピタリとやんで、両日ともに梅ノ橋対岸からの流しが実現いたしました。さすが当館の太陽、いつも笑顔がまぶしい大切な存在です。

       あたらしい世界を生まれてはじめて垣間見、
              おもわず立ち尽くすわんこ→


 予告でもご紹介いたしましたとおり、今回は「戦時風景」という一風変わった演目でした。当日、脚色された紋弥さんからもご説明がありましたが、戦争によって引き裂かれる男女…という結局のところ二人の切なくやりきれない心情が新内の世界観に通じるということで、相変わらず艶のあるお声と音色にてしっとりたっぷりと聴かせてくださいました(2日目にはおまけの上演あり!)。
 男主人公・巳之吉の出征が決まり、最後にバンザーイ!バンザーイ!との歓声に見送られる場面では、千弥さんのお声も加わり、威勢よく館内に響きわたるその感じが逆に何とも言われず…。身ごもりつつ残される朗子と、否応もなく送り出される巳之吉の最後の苦い呟きが余韻となっていつまでも残る、そんな今年の新内流しでございました。
 紋弥さん、千弥さんありがとうございました。来年もこの時期ですか?と尋ねてくださったお客さまがありました。来年もまた是非、よろしくお願いいたします。

 


右ブッキー、左ブッキー
  2013.10.12

 昨日、金沢湯涌江戸村にて学芸員会議が開催されました。前回当館で開催してからもう一ヶ月が経ったとは、まさに光陰矢の如し…。そうそう、デスクに鎮座ましますキューピッドがいつも手ずから示してくれておりました。7月の段階からその矢の先は秋を差しているのです。

 さて、江戸村さんにお伺いすると、いつもつい山!空!緑!!と眼前の大自然に興奮して肝心の目的をわすれますが、この日は会議もさながら、噂のブッキーに会いにきたのでした(と思ったら鏡花記念館さんブログにてそのテンション、ばらされています。さ、先を越され…!!)。

←当館は左サイドから。

 あらゆる角度からブッキーを撮影し、その据わった目とは対照的に意外とふさふさすくすく妙に可愛らしく生えている頭髪に気づいた瞬間無意味にズームアップ、大満足で踵を返さんとしたまさにそのとき、ほらここにお花フレームが…との鏡花さんの魔の囁きにくるりと向き直り再度激写。

 朝顔とブッキー!これぞ江戸村!!
(ちゃんと会議も行いました。)






 会議後、夢二館さんに向かい、特別展「山名文夫と夢二」を拝見して参りました。毎度、絵画・デザイン画など「絵」のものは百聞は一見に如かずというほかありませんが、文学館として受けたいちばんの衝撃は新潮文庫のブドウのマークがアヤオデザインだったこと。当館同様、恥ずかしながら知らなかったわ!という方、お手持ちの新潮文庫、改めて繙いてみてください。


 


晴れのち雨
  2013.10.10

 台風の影響で昨日は市内も微妙に荒れておりましたが、うってかわって今日はたいへん好いお天気になりました。今日明日までは気温も夏並みとのことですが、ついでに夏並みの好天となってくれればよいものを、そうはいかぬよとばかりに明日は午後から雨との予報。
 いよいよ秋の風物詩、新内流しが今日明日と開催されます。どうやら今日は万々歳で梅ノ橋から流してきていただけそうですが、明日はちょいと厳しいもよう…?昨年もなんだかんだ直前までぐずぐずして、開始5分前に行ける!との判断がくだされました。

←去年のようす。なんたる曇天!
 
だったらその時期をはずしては?と今さら詮無い考えがよぎったりもいたしますが、お天気ばかりはそう思うようにいかぬもの。ずらせば追い、寄り添えば逃げてゆく、変わりやすいと噂の秋空のみならず、春夏秋冬とおして無力なこちらは翻弄されてばかりです。

 もうひとつ秋といえばの「秋星りんご」も台風の影響で収穫を早めたとのこと。まもなく店頭にてお目見えすることでしょう。そういえば前に金沢の台所・近江町市場の八百屋さんが展示を見にきてくださったことがありました。そうと知れた瞬間に「アッいつもお世話になっております!」という気持ちになりましたが、厳密にお世話になっているのは秋星であって秋聲でなし…いえ、そこはもう一緒くたで良い気がします。秋星がお世話になるすなわち秋聲もお世話になる。秋星が食べ頃、すなわち秋聲も食べ頃。是非召し上がっていただきたいものです。 

 


対バザー
 2013.10.9

 来週土曜、小立野公民館さんの文化祭にお呼ばれしています。秋聲に関する1時間半ほどの講演です。先月くらいに団体さんで館にも見学に来てくださった上、なお出前でも秋聲を学ぼうとしてくださっている何故か今年やけに秋聲に熱い小立野地区。何故か、と言ってはいけません。非常に有難いご依頼です。
 そんなわけでちょこちょこと資料を用意しつつ、どんなお話がよろしかろうか?とたまたま個人的に来館してくださった文化祭参加予定のお客さまに「文化祭ってほかに何をされるんですか??」とたずねたところ「バザーとか?」というお答え。えっバザー!?バザーの裏で秋聲を…!?これは映画の前の舞台挨拶並みのプレッシャーです。バザーだバザーだ!とわくわくそわそわしていらっしゃるみなさまの前にひょっこり現れ、それでは聞いてください、徳田秋聲で「黴」…というこの落差…!は~これは強敵です!

 実際にどんなタイムスケジュールで行われるのやら把握しておりませんが、バザーにも負けない強烈なシュウセイズムを発揮して来なくてはなりません。いろいろとヒントをいただき、お話する内容もなんとなく固まって参りました。地元にはこういった地域の歴史や文化に熱心な方が多く、他所で行った講演などにも顔を出してくださったりしていますので、毎度同じ話は出来ません。秋聲先生70年の引きだしをもって、バザーに喧嘩を売りに行ってきます。
 
     あと悠々と順太郎さんの力もお借りします…!→
  
 


愛のかたち
 2013.10.8

 6日、石川近代文学館さんで「金沢の三文豪小品集」と題された朗読会が開催されました。劇団110SHOWの方々が、三文豪の作品を二編ずつ朗読されます。朗読、というにはドラマチックな演出に、それぞれちょっと不思議な作品の内容も相俟ってなんだかドキドキの空間でした。動物を心から愛せない秋聲…それを自覚する秋聲…切ないかぎりです。

 7日、徳田家菩提寺・静明寺さんにある秋聲墓碑の塀の塗り替えに行かれるということで、しつこくも連日にわたり同行させていただきました。井上靖揮毫の碑文にしっかりとビニールをかけ、ちょこちょこと繊細に塗り直してゆきます。

 記録係と称し決して刷毛は握らずにわずかな休憩中の石川近文さん一味をも巻き込んで境内を探し歩いたハート形の石。ご住職さんにもお断りして、おそなえしてみました→

 動物は愛せない秋聲を、それをも含めて愛す人間たち…人間愛、双方向で成立です。

 こちらが石探しに夢中になっている間に、すっかり新しい白壁となり美しく生まれ変わりました。ちょっと目を離すとすぐに爛れたり黴たりしがちな秋聲ですが、碑文にもあるような一途さにはやはりこの清冽な白が似合います。刷毛を握ったすべての方に心からの感謝を。来月の秋聲忌をさわやかに迎えられそうです。

before


  
after
 




…写真ではちょっとアレですが、ぴっかぴかなのです!




《今日の梅ノ橋⑬》
 2013.10.5

 昨日閉館後の18時頃、梅ノ橋たもとから下流側を望んだ空です。まるで絵画のようなこの色合い。

 先日タテマチ大学さんと当館では最後となる12日のナイトミュージアムイベントの打ち合わせをしつつ「梅ノ橋越しの夕景はたまりませんね~!」「でも毎日見てると麻痺するんですよね~」「ほんとですか~??」などと軽口を叩いていたのがお耳に入ってしまったのでしょうか、ちょっとやりすぎなほどに本気をだしてきました。

 館を出る前に、マイデジカメは…重いし明日も出勤だから要らないや。何にも起こるまいよ、と置き去りにした日に限って案の定始まるのがこの天然シアター。うっかり置き忘れたほうがまだマシでした。迷った分、後悔も一入です。取り急ぎ携帯カメラで撮影してもこのクオリティおそるべし…!

 12日、ご参加の方ぜひお早めにおいでください。開場時の18時半ではおそらくもう真っ暗。18時頃が狙い目です。
 
 そして最近ニュースでちらほら聞く「金沢だいこん」出荷の話題。肌つやがきれい、ともっぱらの噂ですが、そのフレーズを聞くにつけ思い出すのは秋聲作品「好奇心」の一節です。

 実はこちら、12日イベントで朗読していただく予定のもので、そのなかに「皮膚が肌理(きめ)の好い大根のような艶々しさ」を持ったヒロインが登場するのです。最初読んだときには(大根て!!)と内心くすくすしましたが、なるほど金沢だいこんのような肌つやの女性のようです。その肌つやが後半では如何ともしがたいことに…。
 当日、女優・髙輪眞知子氏の声艶でもってその顛末おたしかめください。

 



主役あらそい
 2013.10.4

 鮟鱇博士とたわむれてばかりと見せかけて、次回企画展のパネル打ち合わせやらチラシ校正やらを鋭意すすめております。次は木村荘八さんの挿絵原画展ということで、もちろん超貴重な挿絵原画たちが主役であることは言うまでもないのですが、そもそも秋聲の文章ありきの挿絵、であるからして先生やっぱり文章を主役にするべきでは?いやいや、挿絵原画展と謳っておいて挿絵を脇役にするおつもり?といったそれぞれの架空のモンスターペアレンツたちが脳内でうちの子をうちの子を、とまったくの舞台袖で熾烈な主役争いを繰り広げている今日この頃でございます。
 あっちを立てたりこっちを立てたりと大わらわ…となっているのは手前勝手な館のみで、秋聲の文章も荘八さんの挿絵もまったくでしゃばったりはせず仲良しこよし。本人同士は仲良しなのに、どこから湧いたとも知れぬ架空の親同士が喧嘩をしているこのありさま…。

 2案いただいたチラシも、荘八さんを主役にしたいんだか秋聲を主役にしたいんだかという迷いがアリアリと滲み出ていてウッとなったり気づかぬふりをしてみたり。パネル案とて、基本荘八さんを主役に構成しながら、第4幕は秋聲のでばーん!と急に不思議な力が働いていることにウッとなったりそれで良しとしてみたり。

 ねじれているなぁと感じながらもねじれた結果より強固なひとつになれれば結果オーライかもしれません、と自らフォローしてみたりしています(あっ二色のねじり飴のイメージです!あれは限界までねじり切ったら混じり合う新たな一色になるのでしょうか?)。
 
 
  


こちらへも増殖
  2013.10.2

 鮟鱇博士も意外と胞子で殖えるのかもしれません。きのう浅野川を越えて当館へもやって参りました、19人の鮟鱇博士です。

 以前に親玉博士が鏡花記念館さんエントランスにいらしたときには、秋聲も一家であそびにゆきました。あの蝙蝠傘の下で一緒に写真を撮ってもらったのはちょうど一年前の今日、良い思い出です。
 今回、ぬりえとなった子博士たちがやってくるにあたり、自然主義文学の大家のサロンにそんなファンタジーな生き物を?と一瞬まよいもしましたが、いやこの夏さんざんキューピッドを全面に押し出しておいてどの口が?と当の秋聲先生に脳内で冷笑されましたのでウフフそうでしたそうでした今わりと何でもアリでした!といそいそ虫ピンを用意しに席を立ちました。

 大人からこどもさんまでそうくるかね!?といったカラーバリエーション満載。そして地域バリエーションも満載らしく、鏡花記念館さんと展示作業をしながら「これはねぇ大津のひとの作品だよ~」「へぇ金沢の大津…」「いや、滋賀のね…」という呆けたやりとりをば。あの胞子は東京・神奈川、西は滋賀まで、いやきっともっとどこまででも飛んでゆける強いヤツでした。

 有料ゾーンにはなりますが、当館にキューピッドがうろうろしているうちに是非とも。


 
 

広義の「たのしむ」
  2013.10.1

 そういえばさりげなく新内流しの上演も決まっていたのでした。トップページの「お知らせ」にもあげておりますが、すでに例年秋のおたのしみとなっているこちらのイベント。今年も今月10日(木)・11日(金)で開催いたします。申込不要、入館料のみとなっております(おひねりは是非!)。

 今回の演目は秋聲短編小説傑作集Ⅱの中から「戦時風景」。昭和12年、盧溝橋事件をきっかけとして不穏な空気漂う銃後の日本の風景を描く作品です。しかしどちらかというと、主人公である長唄の若師匠とそのまた師匠とその奥さんと愛人の芸者をめぐる複雑な恋愛模様がメインとなっており、そこに戦時風景がどう絡むのやら…といった構造。昨年、傑作集を出演者のお二人に差し上げたところ、先月くらいに「今年はこれでいこうと思いますよ」との連絡をいただきました。すなわち新作、これまでにない試みの一本となっております。
 
 ちなみにいつもは「新内でたのしむ『爛』」とか「新内でたのしむ『あらくれ』」とか宣伝しておりますが、今回ばかりはちょっとどうかと思われ、イベントタイトル自体をふわっと座りの悪い感じにさせております。お察しください。
 とかいいつつ「新内でたのしむ『爛(ただれ)』」もずいぶんであることに気づけないくらいには麻痺してきている記念館。「クリスマスには『爛(ただれ)』をプレゼントしましょっか?誕生日には『黴(かび)』ですかねー??」といった会話、いたって日常風景です。
 
 


映画「あらくれ」上映決定!
 2013.9.29

 先日、団体さんが来館され、当館の誇る解説ボランティアさんお二人に出動していただきました。館内をめぐる集団の最後尾にはひときわお若い方の姿が…実はその方、解説ボランティア募集に応募してくだった現役の学生さんなのです。活動するにあたって、勉強のため先輩ボランティアさんの解説を一緒に聴きに来てくれたのでした。しかも秋聲代表作「あらくれ」を研究されているというから嬉しさも一入。解説終了後、先輩ボランティアさんも交えて「あらくれ」の魅力について語り合いました。
 いろいろな見方があるなかで、主人公「お島」に注がれる秋聲のまなざしの温度がよく問題とされるようです。どう考えても新しいタイプの女性、お島さんを描く秋聲はどんな表情をしているのか?あたたかく見守っているのか、冷たく突き放しているのか、単純におもしろがって転がしているだけなのか、何かしらの救いを用意しているのか。
 そんな問題について考える視座のひとつとして、映画「あらくれ」は非常に良い角度。名匠・成瀬巳喜男監督が二十年来あたためてきたという貴重な一本です。どれが正解というよりも、誰かの視点から描かれたその作品を見ることで、自分の解釈に気づくというパターンはわりとよくあることのよう。学生さんにもこの一本をおすすめして、おすすめするだけでさてどこで見られるのやら?では余りに無責任ですから、上映日もあわせてご案内いたしました。

 そう、来る10月28日・31日、香林坊109内シネモンドさんでなんと「あらくれ」上映が決定!両日14時45分~、1,000円也。これはなかなか他で見られない作品です。「デコちゃん」版お島さん、お見逃しなきよう!

←昭和32年、封切り時の新聞記事。
 ドライ女とは…?

 

 

適正温度は83℃
 2013.9.28

 昨日、ナイトミュージアムのイベント「コーヒー学入門2013」にお邪魔して参りました。金沢21世紀美術館にて、コーヒー博士・廣瀬幸雄先生の講演とバッハ「コーヒー・カンタータ」の演奏に加え、特製コーヒーをいただけるという超充実のお得イベント(しかも無料!)。来月12日に当館でもコーヒーをすこしかじるイベントを行いますので、お湯の適正温度などを学びにこっそりまぎれこんだ次第です(実際に淹れるのは別の方…)。

 館を出て21美に向かうのには例によって橋場町交番前をとおる周遊バスを利用しますが、昨日迎えにきてくれたのはまるで見たことのないお色味の車体でした。赤い縁取りに淡い水色…?
 いつもなら緑の秋聲号、赤い鏡花号、青い犀星号の3色展開ですが、この水色の車体ははじめてです。

 そう、これは最近仲間入りした北鉄創立70周年記念復刻ボンネットバスなのでした。昭和53年に引退したモデルで、新聞やらニュースやらで見聞きしてはおりましたが、このたびはじめてお目にかかりました。
 はっとしてアッこれが噂の…!とちょっとドキドキしながら乗り込みましたら、運転席の左には燦然たる「犀星号」の文字が。中に入るまでわからないまさかの覆面犀星号でございました。
 12日の当館イベントへも是非周遊バスなどご利用のうえおいでください。繰り返しますが、今月より緑が秋聲号、赤が鏡花号、青が犀星号、水色が覆面犀星号の4色展開です(ルートは同じ、どれに乗っても大丈夫ですが、あとはどれに乗りたいかという気持ちの問題それひとつ)。昨日夕方より受付開始、お手数ですがお申込はタテマチ大学さんwebのみにて!
 



ポスターの神様
 2013.9.27

 当館のホームページが人知れずスマホ対応になりました。逐次すすめている財団所属館ページのスマホ化、秋聲の出番でございます。
 昨日、最終データをいただき、さてこちらでアップ!と意気揚々と更新ボタンを押しても見たことのない妙な画面になるばかり。何度繰り返しても同じです。あああ、いま誰も見てくださいますな~…!と祈りつつ、業者さんにしつこくお電話をして打開策を探ります。

 いわゆるカスタマーセンターの要領で電話の指示にしたがいつつお目当てのフォルダを探しますが、いっこうに見つかりません。あまりに「ちょっと待ってくださいね………」からの沈黙の長さに神経が耐えきれず「こっちで探してみます!またお電話します!」と唯一の命綱を自ら断ち切っておいて格闘することさらに数分…。受付さんに「お客さまからお問い合わせです~」と呼ばれてよろよろと一旦席を立ちました。
 開催中のらしからぬ展ポスターについてのお問い合わせで、梶田半古についてちょこちょことご説明して興味をもってくださったことにほくほくしながら戻ってくると、なんと探していたフォルダが目の前に表示されているではありませんか…!
 なにこれ、神様??と、ポスターについて問い合わせてくださったお客人の背中を探してしまった瞬間でした。もし万が一にも、いま手が放せませんから!などと居留守を使ってしまったなら、きっと永遠に見つからなかったであろうフォルダです。ポスターの神様がちょちょいと引っ張り出してくださったのでしょう。感謝しつつ今度こそ無事更新ができました。さすがはキューピッド、神様までの距離が近いというこんなミラクル。




柿色×浅野川ブルー
  2013.9.26

 5月に開催いたしました金沢和傘実演会、その際に急遽制作してくださることになった徳田家家紋入り和傘が完成したとのこと!和傘制作ユニット「明兎(みんと)」の山田ひろみ先生がわざわざ届けてくださいました。
 実演会の当日には途中経過しか拝見できなかったもので、何色になるのかすらも知りませんでしたが、館にやってきたそれは深い青。浅野川の流れをイメージした淡い水色の装飾も施され、まさに浅野川ブルーを体現した仕上がりでした。また家紋の部分はイメージカラーの柿色で鮮やかに。そういえばあの日お二人との会話のなかで何とはなしに秋聲のイメージカラーを聞き出された記憶がございます。さすが職人、やることが粋でございます。
 館内で見る傘と外光のもとで見る傘はまったく表情が異なります。陽光に透かすとこんな感じ→
 また、差した中から見る顔と外から見る顔もちがうというのが面白いところです。日傘でもよし、だそうで、光が透けて中からはウフフちょっと鮮やかすぎるかしら…?と照れくさくなっても、外から見ると落ちついたお色味に見え、洋服で差しても違和感なくたのしめます。

 茶屋街におつかいに行くときなんかにいいんじゃない~とキャッキャしながら取り急ぎ梅ノ橋を意味もなくわたってみる二人…。

 いい感じですいい感じです。むしろ白シャツが目立ちすぎていて恐縮です。あんまり古いものとして捉えてほしくないという山田先生。かしこまらず普段づかいで良いのだそうです。
 「あ、雨ですね。ちょっと傘を…」といって普通にこれが出て来たらどうでしょう?秋聲記念館かっこよすぎるのではないでしょうか?





「黴」のちから
  2013.9.23

 わかめちゃんの頭にカビが生えました。先日、というには随分前の出張みやげであった人形焼き、最後の一個を食べようとおやつボックスを開くとわかめちゃんの頭が見慣れぬかたちにふかふかしておりました。
 白カビのなかに一部黒カビ。日本人らしくいわゆる「ラスイチ」には手をつけかねたものか、「遠慮のかたまり」と化し確実に本来の消費期限を過ぎていたうえ保存の仕方がわるかったのでしょう。おいしいたのしいおやつだったのにがっかり千万、しかしたいそう面白い映像です。

 ちょうど秋聲絡みの文章を書いていた折のブレイクで、秋聲の魅力とは地味ながらその代表作「黴」のようにじわじわと心の中を侵蝕し果ては二度と除去しきれない…と記していたところでした。こんなところをまで侵蝕するだなんて秋聲先生の筆力おそるべしです。三文豪チラシに描かれているなにやらほわほわしたものを胞子かしら?秋聲のテリトリーかしら?と一瞬思ってしまったこと、それすなわち職業病、あるいは秋聲記念館という極狭いコミュニティあるあるです。

 ほらほら、カビですよ!とテンションがあがって事務室中にふれまわると、職員からひとこと「なみへいさんならよかったですね。」…いやいや!そういうことでは!!
 たしかに髪毛のようにのびてゆくならちょっと育ててみたい気もしますが、ほかに移っては困りますので泣く泣く早急に処分いたしました。いや、頭からはじまっていつか全身を…?その根深さたるや、いちど「黴」の魅力に侵されてしまったならもう手遅れです。


 

ファイヤ・ガン
  2013.9.22

 昨日、今年度第1回となる秋聲入門講座を開催いたしました。例年5月から奇数月に開催しているこの講座、今年は4月~7月にかけて、企画展「ひがし茶屋街と秋聲」にからめた茶屋街を学ぶ連続講座を開講したため、前半期はおやすみをしておりました。9月を皮切りに1月3月、全3回の入門講座としてスタートです。

 初回を飾るのは、実践女子短期大学の小林修先生による「ファイヤ・ガン」。大正12年11月、関東大震災直後の混乱のなかで、町中で発見された最新式の消火器を爆弾と見紛って起こる騒動をコミカルに描く短編小説です。
 おそらくは初めて耳にするという方がほとんどであろう「ファイヤ・ガン」とは「消火銃」すなわち「消火器」のこと。作中に描かれた消火器の形状など画像で紹介してくださいました。なるほど、爆弾っぽい不穏なかたち…。

 また、参加者の方からの質問をきっかけに、これが単なる喜劇でなく、混迷のなかにおかれては知識層も貧困層も特権層も「一体同じ」であること、混迷によって人は簡単に不条理にも、恐ろしいまでに残虐にもなれることが作品の根底にあると改めて確認され、小林先生の静かな語り口でそう紡がれた日には、かえって背筋がヒヤッとするのでした。それを大仰にかかげるわけでなく、さらっと書いてしまうこれぞシュウセイズム。おそろしい作家です。
 そして迂闊にも三連休の初日にぶつけてしまったため参加者こそ振るいませんでしたが、これは少数で聞くにはもったいない、ホールレベルだ…!!というのがいつもながらの小林先生講義後の会場の空気にほかなりません。




三文豪月間スタート!
  2013.9.21

 今年も「秋は三文豪」の季節がやって参りました。きれいなイチョウ色のチラシにはちゃんと両頬杖をついた秋聲先生も隠れていらっしゃいます。薄笑いをうかべるサンタのほうが異様に目立っているような気もいたしますが、秋聲といえばサンタ、サンタといえば秋聲、そう彼らは一心同体ですから何ら問題ありません。
 三連休を見据えて本日より若干フライング気味で始まった三文豪月間は11月末日まで。その間に映画やら講演会やら新内流しやらスタンプラリーやらが目白押しです。三文豪館をはじめ、石川近代文学館、金沢文芸館をめぐって各所で三文豪に触れていただければ幸いです(それぞれ休館日もございますのでご注意ください!)。
 チラシにちりばめられているモチーフのなかで、ほかに秋聲の匂いのするものお分かりでしょうか?うさぎは鏡花さん、あんずは犀星さん…とひとつひとつ消していくと、えっコレ何!?というものはだいたい秋聲先生のお手回り品であることに愕然とします。その頂点に君臨する、犀星さんのエリアにどーんと鎮座まします何やらヒトの顔らしきもののついたちょっと気持ちのわるいアレは秋聲の再現書斎にその実物がございます。

 こ、こんなでしたかね…と改めて実物をよく観察すれば、ちゃんとこんなでした。アレをよく観察して緻密に再現してくださったデザイナーさんに陳謝です。さすがに恐れ多くて鳴らしたことはありませんが、人を呼ぶのに鈴(りん)を鳴らしていると見せかけて、翼さえあるっぽいあの顔のヒトがチン!と元気に鳴いているのかとおもうとさらに鳴らせなくなりました。


 

挿絵画家の心構え
  2013.9.20

 18日付夢二館さんのブログに秋聲先生がお邪魔しております!正確には秋聲先生とお子さんたちが揃ってお邪魔しております!こちらでもご紹介した夢二×秋聲のコラボ本『めぐりあひ』についてですが、夢二さんサイドからの視点が非常に興味深い記事につき、是非みなさまもこぞっておでかけください。

 そう、夢二さんによるシュール過ぎる口絵、衝撃のあまり当館企画展示室メインケース壁面の3分の1、サイズにしてざっとH140×W100cmくらいを使って大きくご紹介させていただいております。
 
   ちいさく見えますが、 
      実はテンションが振りきれすぎなおよそ7倍→
       

 第三者たる読者でさえ表紙を開いてアッ…!となるものを、アールヌーヴォー調のねぎ坊主だかキノコだかにあんなに高く持ちあげられてしまっている秋聲先生ご一家のお心持ちを思うとなんとも居たたまれません。基本自分の作品は大人向けなため子どもに読ませたくないと語る秋聲先生。子ども向けに書いた最初で最後のこれなら安全!であるはずのところのそれを開いた瞬間、そろそろものごころのつき始めてきているご長男あたりに「おとうさん、ぼくたちこんなに高く持ちあげられています!この植物のようなのは何ですか??」などと無邪気に尋ねられているかと思うと不謹慎にもつい笑いが…それはH140×W100にも拡大してしまうというもの。徳田家をももろとも持ちあげるさすがの夢二クオリティです。
 また、作中に散りばめられた夢二さんの挿絵に彼自身の「感傷の記憶」が溶かし込まれているならば、次回企画展にてご紹介する木村荘八氏の挿絵には「淡々、水の如き姿勢」が秘められています。挿絵画家の心構えそれぞれ、決して「小説や詩歌の補助」と簡単に切って棄てられないのです。


 

OTAFUKU!
  2013.9.18

 このたび刊行いたしました『秋聲少年少女小説集』には英語が堪能だった秋聲による外国の子ども向け作品の翻訳が3編収められています。ホーソーン原作「土耳其(トルコ)王の所望」、グリム童話「十二王子」、そして原作者不詳の「目なし児(ご)」です。
 昨日、「目なし児」を読んだよ~という職員の感想のなかに、「お多福!」って罵声が出て来たけれども原書にはなんて書いてあるのかね??というものがあり、改めてはっとしました。えっそんな言葉でてきましたっけ…?とあわてて確認すると、お母さんと引き離された盲目の少年・ジャッケイさんを慰める優しい娘・メメさんに対して、意地悪な女主人が「彼方(あっち)へ行きやがれっ此のお多福!」と…「此のお多福!」と…。そんな珍妙な言葉でたしかに叱りつけておりました。
 残念ながら翻訳であることのほか、原作・作者不明なものですぐに原典にあたることができません。どういう英単語が(舞台はニューヨーク)「お多福」になるのだか、言われてみればたいへん気になるところです。原作にピンと来た方、是非ともご教示ねがいます。

←「お多福」といえばこんな感じ…?
 秋聲訳・グリム童話の挿絵、〈世に希(めずら)しい気高い美女〉設定のお姫様。

 ちなみに「目なし児」の主人公・ジャッケイさんは天使のような男の子で、彼をキューピッドになぞらえて肖像画を描く、という場面があるがゆえに、本企画展のチラシはキューピッドなのだという裏話(※小説と半古作絵画の直接の因果関係は明らかでありません)。


 


吾輩は営業部長である
 2013.9.17

 第4回学芸員会議を当館にて開催しました~などと暢気に報告している場合でなく、金沢ふるさと偉人館さんの16日付「偉人館雑報」にて「吾輩は猫である」公募写真展の報告があがっています!なんということでしょう、当館とんでもなくうっかりしておりました!猫といえばわが館の誇るシャー営業部長の勇姿を応募しようと目論んでおりながら…!!
 残念至極、とっくに〆切を過ぎ、応募作品の展示がはじまってしまったようです。シャー営業部長のお姿こそありませんが、猫好き漱石好きの方は是非偉人館へお運びください(ねこ展示は12月1日まで)。

←静かにお怒りのもよう…
(わすれたで済むと思うてか…)

 そういえば先日、金沢の不思議な話を集めてまして…ととある雑誌社の取材を受けました。不思議な話…?秋聲先生なけなしの天狗の話…!といそいそ天狗の引きだしをちょっとだけ開けて待ち構えておりましたら「シャー営業部長のご就任はいつですか?」あっ…そっち…!?というカウンターをくらったことを思い出しました。ねこ営業部長、金沢の不思議な話にはちがいありません。掲載の暁には、追ってご報告させていただきますのでおたのしみに。

 そして今度こそ猫であり秋聲でありな告知をひとつ。石川近代文学館さんで10月6日(日)16:00~、金沢の三文豪小品集の朗読会(朗読:高田伸一ほか/劇団110SHOW)が開催されます。鏡花さん「くさびら」、犀星さん「蜂やトンボは心中しない」などとともに、秋聲作品からは「猫」「屋上の怪音 赤い木の実を頬張って」。まさに猫と天狗のそれ!まだまだ来月…と思っているととんでもなくうっかりします。「今、今」!!




「能の絵」
 2013.9.13

 金沢能楽美術館さんで開催中の夏季特別展「河鍋暁斎の能・狂言画」を拝見して参りました。秋聲とお能…歌舞伎好きは公言している秋聲ですが、お能については〈全くの門外漢〉だと語っています(9月2日掲載のチャンプ本『郷里金沢』にて!)。しかし門外漢と言いながら、同書で結局そのあとに色々うんちくを披露されている感じがまさに秋聲。こだわりがあるならあると言えばいいのに、言わない感じがシュウセイズム。
 秋聲曰くこだわりこそないけれども、作品の中にお能が出て来る短編、その名も「能の絵」を不定期連載にアップしました。やや「性に目覚める頃」臭が漂い、朗読にはあまり向かない作品です。
 この中に「猩々(しょうじょう)」が登場しますが、能美さんの企画展にも暁斎の描いた「猩々」がたくさん展示されておりました。赤い髪毛が特徴の、お酒好きなハッピーな生き物だそうで、舞台で使われる長い赤い髪毛も実物が見られます。

 そしてもうひとつの秋聲的収穫といたしましては、狂言「末広がり」を題材にした掛軸のあったこと。現在当館で開催中のらしからぬ展にて、秋聲作として児童雑誌「赤い鳥」に掲載されましたよとご紹介している「唐傘」が、まさにこの「末広がり」を元として制作されております。厳密にお伝えすれば、秋聲作とは名ばかり、〆切を守らなかった秋聲の代わりに編集担当であった小島政二郎が制作したものということがはっきりしていて非常に複雑な事情となってはおりますが、妙なところで当企画展と繋がった瞬間でした。

 能美さんの夏季特別展は今月23日(月・祝)まで。なお定期休館もございますのでご注意ください。
 
 


出張という名の誘拐
  2013.9.8

 次回企画展のため、毎度おなじみ東京の徳田家へ資料の借用に伺いました。

 そんな往路の電車内にて突然の飛蚊症発症、もとい、読んでいる本の上を一匹のありんこが歩いています。
 実は金沢駅へ向かうバスのなかですでにこのありんことは出会っておりました。どこでついたかシャツの上をちょこまかと歩くその人を、しかしバスのシートに放すのも躊躇われ、よし降りたら花壇にでも…と思って降りたら忘れました。
 
 そして電車に乗り込み、文庫を開いてまさかの再会。まだついてきていただなんて…!
これならバスのシートに放してあげたほうがはるかにマシでした。期せずして越後湯沢までの長距離誘拐事件発生です。ご家族には謝っても謝りきれません。
 ちなみに読んでいたのは『黴』姉妹編で当館オリジナル文庫第3弾の『足迹』。甲斐性のない父親につれられて、東京へ出稼ぎにゆく少女、お庄の物語。それならせめて、この子には自由に生きる選択肢を与えてやろう…と急にこのちいさな節足動物の不甲斐ない父親気分で、本から腕を歩き始めたありんこをまたも好きにさせておくことにしました。
 どこで降りるもお前次第…。 そう、越後湯沢でも東京でも。




ボランティア大学校講座
 2013.9.7

 標題の講座にて、大雨のなか受講生31名様にご来館いただきました!
 「秋聲の世界」と題して小一時間ほどお話しさせていただき、その後館内をご案内。全部あわせるとけっこうな長丁場になりましたもので、常設展示室をご覧になったあと、もし余力があれば企画展示室もどうぞ~もしご入り用なら解説もいたしますけども~くらいのテンションで一旦リリースしたつもりでおりましたら、たくさんの方が企画展示室までお運びくださり、急遽そちらでも展示解説の運びと相成りました。
 だんだんとこちらの舌ももつれ、しゅうせいとしょうねんとしょうせつが三位一体となるなどお聞き苦しい場面も多々ございましたが、みなさま最後まで熱心に聴いてくださいました。本当にありがとうございました。

 そして講座の中でご紹介させていただいた岩波文庫『黴』、なんと当館ショップで完売に!これはいけません、慌てて取り寄せなど手配いたしますので、どうかいましばらくお時間くださいませ。姉妹編『足迹』読んでからの『黴』もアリかと存じます。あるいは時代の流れに沿って『秋聲少年少女小説集』読んでからの『黴』もアリかと存じます。その場合、ギャップ!そのギャップ!!という、当の秋聲にとっては嫌がらせのような楽しみ方も出来るのです。 


 

踏んですらいない罠
 2013.9.3

 不定期連載「痛み」、完結いたしました。何とも後味のもぞもぞする完全なる大人向けの作品でございました。おつきあいありがとうございました。
 理不尽極まりない夫の暴力に対する妻の逆襲、なかなかスリリングな場面もございましたがいかがだったでしょうか。このテキスト、底本を元にパチパチと打ち込みながらちょっとした事件が発生いたしました。松枝が夫と一緒に街を歩く場面、

 松枝は良人の陰について、顔もあげずに歩いていた。
 男は暗いところで立ち止まって、目に角を立てて怒り出した。
 松枝は喫驚(びっくり)して飛び退った。

…んっ?これは理不尽も理不尽、後ろをうつむいて歩いているだけで怒り出すだなんてご主人情緒不安定にもほどがあるぞ…!と読み直してこちらもびっくり。そりゃ松枝さん飛び退りもしますねぇ!と改めて底本を確認すると、
 
 如何(どう)かすると、足が男の裾に縺れ合った。
 『おい、何だって己の足なんか踏むのだ。』


という、一行目のあとに入るべき上記のくだりをうっかり見落としておりました。ああハイハイ足が絡まったのね、なるほどなるほど!と納得しかけて、えっ?いや、それだけ??やっぱり理不尽…!!と思い返した罠。もう少しであやうく説き伏せられてしまうところでした。
 匿名での脅迫ののち、しばらくはしめしめうひひな松枝ですが、さてその後はどうなることやら…?




秋聲、ビブリオバトルを制す
  2013.9.2

 正確には、制されたのは秋聲本をプレゼンしてくだすった出場者のお方…。鏡花記念館さんブログでもご紹介いただきましたが、東京の千代田図書館さんで開催中のパネル展「鏡花生誕140年 泉鏡花―その生涯と作品」(~20日まで)関連イベント「泉鏡花deビブリオバトル」にて、当館のみでお取り扱いしております徳田秋聲 金沢シリーズ『郷里金沢』(能登印刷出版刊)がチャンプ本に選ばれたそうです!とんだ朗報です! 
 『郷里金沢』は鏡花記念館の秋山館長さんと当館小林前館長の監修により編まれた、秋聲が金沢を描いた作品ばかりを収録する随筆集。昨年の企画展タイトルともなった「泉鏡花といふ男」も収められています。 
 鏡花さん及びその関連図書というくくりでエントリーさせていただいたようですが、まずはこの本で戦おうと思い立ち、5分という時間を熱く語り尽くしてくださった出場者の方に海よりも深い感謝を申し上げます。そして戦う場所を設けてくださった主催者の方、「朗報!」とビックリマーク付きですぐさま知らせてくださった鏡花記念館さんにもありったけの感謝をば…!

 『郷里金沢』735円で販売中でございます。通販もご利用いただけますのでこのチャンプ本、気になってしまわれた方はどしどしメール、FAX、お電話くださいませ。今日からしばらくは通称「チャンプ本」で通じます。




『島田清次郎 誰にも愛されなかった男』
  2013.8.30

 精神科医・風野春樹先生の上記ご著書出版記念講演会「『天才と狂人』の呪縛」に出かけて参りました。秋聲から遅れること28年、石川県石川郡美川町(現・白山市)に生まれた清次郎。小説『地上』の大ベストセラーにより一躍時代の寵児となりましたが、清次郎のファンであった海軍少将令嬢の誘拐監禁容疑により凋落の一途をたどり、31歳の若さで肺結核により亡くなった伝説的な作家です。

 秋聲との絡みでいえば、事件の際に同郷の先輩作家として秋聲がともに謝罪に赴くなどしたことで知られており、そのあたりの経緯もこの本では丁寧に描き出されています。かつて直木賞を受賞した島清伝としてあまりにも有名な杉本久英氏の著書『天才と狂人の間』を受けて、清次郎は天才であったか狂人であったか、ということへのご回答が非常に印象的な講演会でした。
 
 上記書籍は当日なんと編集長さんもお越しの「本の雑誌社」さん発行にて先週より販売開始。2,500円(税抜)なり。

 また、イベントでは石川近代文学館・学芸員さんによる『地上』の朗読もあり、濃厚かつ非常に贅沢な時間となりました。ご案内くださった主催で東山ファミリーのカフェ兼古書店「あうん堂」さんにも深くお礼申し上げます(現在、サイン本の販売もされているご様子!)。


 

ほっこり増殖中
 2013.8.28

 閉館後、駐車場の車止めを上げていたら「今の展示は何かい?」と声をかけられました。ふと見るとデッキでどなたかと待ち合わせをしていたらしい一人のおじさま。「タペストリーのこのキューピッドがいいね」と褒めてくださいました。そんな話の流れから「そうそうこの間行ったとこにもキューピッドの絵が描いてあったよ」とおもむろにスマートフォンを取り出し、今見せてあげるね、と写真をしゃっしゃかスライドさせてゆきます。

 なかなか出てこないなァ…と呟きながらその写真コレクションを遡るおじさまの隣から一緒に画面を眺めていると、赤い残像ゾーンに入ってきました。このどこかで見覚えのある赤は…お馴染み茶屋街のほっこりポストです→
 先日手紙を投函しに行って同時にしっかりカメラに収めていたまさにその写真がおじさまの携帯の中にもありました。ですよねーと急にブラザー感覚。

 噂のほっこりポスト、現在はトマトとバッタのコラボレーションです。このバッタは何かワラのような竹のようなもので非常に精巧に作られている非生物なのですが、実はこのお写真すこし前のものでして、先日大雨の日に再び投函に参りましたら、バッタが4匹に増殖しておりました。大雨でへっちゃりしていた4匹のバッタ、残念ながらカメラを忘れて収めることが出来ませんでしたが、現在は何匹に増えているのかちょっとだけ気になっています。




ふせん栽培
  2013.8.25

 次回企画展のため『爛』を読み込んでいます。次回は木村荘八作『爛』挿絵原画展ということで、どこにどれだけ挿絵が入るのやら、文庫本にふせんを付けていってみるとこんなにわさわさになりました。全長が2センチほど伸び、もう向こうが見えません。
 
 残念ながらこの文庫自体には挿絵が入っておりませんので、入っている本と照らし合わせてははぁこの場面に入るのだなァ…と覚えて想像で補うほかありません。あるいは逆に挿絵だけ抽出してみて、ははぁあの場面が描かれているのだなァ…?と推測するパターンも。だいたいが鼻にあたるひょろりとした棒が一本と黒ゴマみっつで構成される人物の顔、正直なところ挿絵だけ見ると誰が誰やらですが(そして顔それ自体省略されることもしばしばですが)、顔でなく着物やら佇まいやらでその違いが描き分けられているのです。そして何より背景の緻密さ!近代風俗画の天才・木村荘八の神髄ここにあり!

 秋聲と命日(11月18日)を同じくするため、毎年、年に最低5回ほどは必ずそのお名前を口にさせていただいておりますが、11月からの企画展ではずずいと肉筆作品にてご鑑賞いただけるよう準備中です。そして早いもので気が付けば東京をはじめとして3都市を巡回した生誕120年記念企画展、本日小杉放菴記念日光美術館さん最終日となりました。




雨夜の月
 2013.8.24

 二三日前が満月でしたか、昨日今日は大雨により月もなにも見えない宵。けれどもナイトミュージアム、行いました。どんよりなお天気のなか、お絹さんの決して大きくはないのに気持ちよく通る声だけが唯一の清涼剤、「秋聲旅日記」の上映も予定通り行いました。ご参集くださったみなさまに心からお礼申し上げます。
 これにて8月の夜間開館、当館担当分は終了です。次は10月、いよいよきれいな月の宵にて開催できると素敵です。と、冒頭より月が月がとうるさく言っておりますのは、←この横の秋聲先生自筆俳句がなにとはなしに気になっているため。現在これの実物掛け軸を企画展にて展示しております。
 内容的に手放しに子ども向け…とは言い難いですが、何より「人魚」という文字がひときわ異彩を放つこの一句。半古作キューピッドともども、架空の生きものが秋聲周りをウロチョロしていることそれだけでも充分にらしからぬと言わざるを得ないのです。そんな文脈にて展示室のメイン中のメインの場所に鎮座されておりますので、是非ご注目ください。
 人魚だなんて…!の衝撃の次にくるのは人魚とワルツだなんて…!ですが、これは今後「瓢箪から駒」と同義として使ってよいものでしょうか。あり得ないことのたとえとして流通させてよいものでしょうか。

 いやいやそれを言うなら秋聲先生の口から人魚が飛び出した時点で「瓢箪から駒!」「人魚とワルツ!!」と叫びたいところですが、それをらしからぬらしからぬと騒ぎ立てるのが実のところ早計で、案外そういった面もお持ちながら滅多に見せぬだけという可能性…すなわち「雨夜の月」、なのかもしれません。
 
←遺品の一冊。ワルツだけはがちんこな秋聲先生




『媾曳』から「痛み」
  2013.8.23

 シュウセイズムを継承する館といたしましては、いつまでもちょうちょと一緒にお花畠であそんでいるわけには参りません。これぞ秋聲!という対大人の読者様限定の作品を不定期連載にアップいたしました。
 その名も「痛み」。ああもうこれはタイトルからしてすでにお子様禁制です。派手に転んでお膝が痛いや!くらいの痛みならばかわいいものですが、秋聲の描く痛みは脳から心臓にまで達します。いわば精神的致命傷です。
 太郎、花太郎が排除され、主人公のその名は「松枝」。ああもうこれはなんだか読み手に覚悟を要します。確実にお花畠では遊ばない女盛りの二十五歳です。
 「三ちゃん、四ちゃん」に変わるお友達の名は「水島」。そのニヤニヤが勘に障る悪い男で、そんな水島の所業に煮えくりかえるはらわたを素手で無理矢理押さえつけ、つとめて何でもない顔でもって髪を結う松枝…。第1回からなかなかヘビーな内容で恐縮ですが、第3回まで続く予定にしております。これを秋聲らしさ、というにはやや極端な例にはなりますが、らしからぬ展の逆説的な意図におつきあいいただければ幸いです。

 不定期連載の連載開始のタイミングはひとえに館の衝動それのみ。連載候補であった短編小説「リボン」は「りぼん祭」も終えその衝動が喉元を過ぎてしまったため、次々回輪読会まで一旦寝かせておくことになりました。ちなみに「リボン」を収めた単行本は『出産』、「痛み」を収めた単行本は『媾曳(あいびき)』。タイトルからして、あーあーこりゃあもう!な大人向け具合です。

       と思ったら、まさかの表紙絵が羽のはえた少年少女→




ショウキイズム
  2013.8.21

 こちらでもたびたびご紹介しておりますが、現在のらしからぬ展チラシの主役・キューピッド像の作者は日本画家・梶田半古さん。秋聲とは公私ともに仲がよかったらしく、単行本口絵などでもよくセットでお見かけします。

 そんなわけで当館のグッズにも半古作品をあしらった一筆箋やらポストカードがありますが、今回のチラシとともにそれらをご遺族にお送りすると、なんと見事な半古作「鍾馗」さまの複製色紙がお礼にと送られて参りました。


 キューピッドからいわゆる秋聲作品を象徴するような悩める大人の女性像への振り幅にも驚かされますが、こちらもまた違った角度でさらにぐっと振り幅を広げるような力強い一枚です。 
 鍾馗(しょうき)、中国由来の魔除け、学業成就の神様だそうで、加賀百万石の祖・かの前田利家もその旗に愛用していたと言われる縁起もの。これは前回の企画展「ひがし茶屋街と秋聲」をご縁に宇多須神社さんからいただいたカーフ絵馬とともに館の守り神がまたひとつ増えました。鍾馗さまに魔を除けていただきつつ、この企画展無事に終了することを祈ります。
 また朱で描いた鍾馗さまは疱瘡除けにもなるとのことですが、ご本人だったかどなただったか、秋聲先生のお顔には疱瘡の跡があり…と書かれていたような。残念、墨です。もっぱら学業成就です。
 
 


シュウセイズム
   2013.8.20

 17日記事でご紹介した緑の浅野川、やはり暑さによる藻の異常繁殖だったとのこと。大きく新聞記事になっていたそうで、館のみならずやはり浅野川の〝らしからぬ〟さまは道ゆく人々みなの目に留まるようです。

 そんならしからぬ浅野川を横目に見つつ、17日、第3回輪読会を開催いたしました。こちらは秋聲のらしからぬ作品群を読んでいこうというもの。『秋聲少年少女小説集』から5編、音読ののち感想を語り合いました。いちばん盛り上がったのはやはり「えらがり鯛鮹」でしょうか。

 いえ、話の筋書き自体は盛り下がるいっぽう…そこにかえって盛り上がる大人たち。以前に出前授業でお邪魔した小学校4年生の担任の先生から「えらがり鯛鮹、子どもたちに読ませてみたんですが全然そのおもしろみがわからないようで…」と困ったようにご相談いただいたことを思い出します。子ども向けにがんばって書いてくださったようだけれど、結局それに引っかかるのは大人たち。それが秋聲。秋聲イズ大人。秋聲のオトナイズム。大人のシュウセイズム。シュウセイズム…!気に入りました。今後どしどし使っていこうと思います。
 次回は10月17日(土)、秋聲《翻訳童話編》~まさかグリムを!?~の巻です。おたのしみに。

 


《今日の梅ノ橋⑫》
  2013.8.17

 今後はマメに…と言ったそばから、2ヶ月ぶりの梅ノ橋です。というより、梅ノ橋からの、です。
 ちかごろの異常な暑さのせいなのかなにのせいなのかはわかりませんが、川の中が真緑になっていました。藻が繁殖しているのでしょうか。普段川床がこんなに緑に見えることはなく、文芸館さんからの帰り道に思わず撮影。手前のグリーンカーテンと相俟って、そのあたりがなんだかとても緑です。

 そんな昨日はナイトミュージアム企画第3弾、21時まで開館延長のうえ19時より映画「秋聲旅日記」を上映いたしました。その前座として、天然シアター(すなわち梅ノ橋越しの夕景)のはじまる18時頃はどうやらみなさんお食事にお出かけしているらしく、館内ががらんとしています。がらんとしていようがぎゅうぎゅうであろうが、お構いなしに日というのは暮れるもの。夜間にお見えになったお客さまにふるまおうと準備されたコーヒー・棒茶サービスセットを前にしてひとりぽつねんと眺める夕暮れ。この時間もいいんですけどねーとポットたちに語りかけつつ、来館者を待ちました。

 19時を前にすると続々とお見えになり、おかげさまでサロンは予想以上の満杯に!非常に鑑賞しにくいなかでの上映となりまして恐縮ですが、主人公として登場する秋聲が今もこの川原をぶらぶら歩いているんじゃないか、とつい窓の向こうを見下ろしたくなる異空間となりました。

 次回は23日(金)夜開いてます。上映します。
 



りぼん祭
   2013.8.16

 本日8月16日(金)、例の日めくりカレンダーの主な行事の欄に「りぼん祭」と書かれています。
 りぼん祭?そんなメルヘンなお祭りが…?と思ってよく見ると、「横手送りぼん祭」でした。「京都大文字送り火」ときて「箱根大文字焼き」と「三島大社例祭」との漢字の羅列に挟まれることにより、柔らかいひらがなですかすかの「りぼん」だけがやけに浮き立ってしまったようです。
 
 さて「りぼん」といえば秋聲作「リボン」。次回企画展でご紹介する代表作『爛』と関連した短編小説です。『爛』に登場する「お今ちゃん」を主人公とするこの作品、「リボン」が作中とてもいい働きをしています。

 成程バサバサした髪である。其の光沢のない黒い髪を、大きな束髪に結つて、瑠璃色のリボンを直(ぴた)りと挿してゐる。一生此(これ)で通すと主張(いいは)つて、リボンの色すら変えるのを嫌うのであつた。如何(どう)云ふ訳でか、水色は高尚な色だと、独(ひとり)で然(そ)う決めてゐた。

 かっこいい文章です。今後水色のリボンの翻るのを見るたび思い出してしまうようなしびれる一節です。短い小説なので、次回企画展の会期中に輪読会で鑑賞しーよう!と計画しながら、その前にこの「りぼん祭」をご縁として不定期連載してしまう?イヤ、そういえば「祭」という小説もあったな…とあちこちよそ見をしながら考え中です。ともあれ秋聲先生の守備範囲の広さに脱帽です。

    


旅する熱狂
  2013.8.15

 らしからぬ展の展示室全面ガラスケースにてメインビジュアルを勤めてくれているかわいらしい鯛と鮹(たこ)。描いてくださったイラストレーターさんにその原画をお返しすべく梱包し、お礼をしたためた『熱狂』ポストカードをはさみましたら、なんだか詩的な感じになりました。旅する飲んだくれです。

 こちらのポストカード、昨年の三文豪月間のスタンプラリーの景品として作成したもの。見本にお出ししていて館に残った一枚を使ってみました。
 こちらもまた秋聲らしからぬデザインですが(柿色がかろうじて秋聲色ですが)、秋聲初期の翻案小説『熱狂』の装丁をそのままポストカードにしております。装丁者は秋聲と仲良しこよしの小峰大羽(こみねたいう)。あしらわれているのは酒飲みで乱暴者のDV亭主・靴直し屋の鉄造です。そんなどうしようもない男をお礼に送りつけるというのも失礼な話ですが、物語としては非常におもしろいのです。
 この鉄造、近所の尺八吹きの男がコレラで亡くなったのを目の当たりにし、病院で働くことを決意します。耐えて殴られっぱなしであった妻・お増も看護師として働き始め、互いがこれまでの生活を見直すなかで、自立し目ざめてしまった妻による逆襲がはじまる…というドラマチックストーリー。ロシアの作家・ゴーリキー原作の翻案作品ではありますが、たいへん読み応えがあります。
 なんとらしからぬ展でもこの初版本を展示中。子ども…にはとても読ませられない小説ですが、どういった文脈で登場するのだかその目でご確認ください。旅する熱狂が各地で秋聲の火をつけてくれることを期待しつつ。




らしからぬ展篇
   2013.8.14

 例によって館内クイズラリーに企画展だけのバージョンを追加しています。らしからぬ展用はちょっといつもと趣向を変えて、チラシ裏面に載っている子ども向け作品の登場人物を展示室の中からさがしてもらうというもの。これで一ヶ月が経過しましたが、挑戦者の反応をみているとどうやらかなり難易度が高いもよう…?
 わかりやすくパネルでどーんと展示していればよいのですが、明治の雑誌の開いたページにある挿絵だったりするもので、展示資料をそれはもうよーくよく見ないとわかりません。そして、おそらく当初想像されているより対象物は小さく、だいぶん目を皿にしないと発見できないものが多いようです。

 つくっている側はどこに誰がどう棲息しているのか当然把握しておりますが、それがゆえに初めて見る方にとってどれくらい難しいものかが正直なところ掴めません。正答率やリアクションを見つつ、改良してゆこうかしら…?と思いながら、小さくも確かに存在する彼らを見つけてやって欲しいという気持ちもあり、もうすこしこっそり様子をうかがうことにいたします。ご来館の折には是非挑戦のうえ、ご感想をお聞かせください。

     最小は「太郎さん」(→)か「友吉・お清」兄妹?
   (だいたい原寸大です)


夏の日の2013
 
  2013.8.12

 今年も金沢燈涼会にあわせて9日、10日夜間開館を行いました。これと前後して期間中いろいろな施設や河川敷でイベントが行われ、東山ファミリーの各館をめぐるスタンプラリーなどもたいへん盛況だったようです。当館へもたくさんの方が足を運んでくださいました。

 当日、当館では特になにもイベントの開催はありませんでしたが、館内の様子を見になにとはなしに2階へあがると、思わずオッとなる光景。見なれているはずの館内が一瞬、別の場所に見えた夏のライトアップマジック。

 これぞ梅ノ橋のポテンシャルです。
 
 写真こそうっかりしましたが、実は夕方にもいちど似た感慨を抱きました。空が赤く染まり、だんだんと夕暮れに沈んでいく梅ノ橋…。もうこれをイベントと言ってしまってもよいのではないか、と思われるほどの贅沢な天然シアターでございました。

 ちなみにシアターの開場は17時~、18時くらいからの開演で、おそらく見どころといたしましては18時半~20時頃。今度「梅ノ橋越しの夕景をただただ眺める会」をこっそり開催してみようかと思いますので、その際には後になんにも予定をいれず荷物ももたずに身ひとつでふらりとあそびにきてください。1時間くらいぼんやりと空を眺めていても周囲に変に思われない空間のご提供をお約束いたします。
    



うわさの
  2013.8.9

 犀星記念館2日目の実習がおわりました。今回のテーマは、犀星記念館でできる子ども向けの企画を考えていただくというもの。4班に分かれ、それぞれ企画書を作成のうえ発表、みんなで講評をいたしました。
 こちらもまた途中から参加したためどのくらい全体で話し合いがもたれたのだかわかりませんが、見事に4班バラバラの企画案となりました。展示、イベント、体験コーナー、募集企画、それぞれ個性あるたいへん興味深い企画をプレゼンしていただき、こちらとしても非常に刺激となりました。
 さすが若さあふれる柔らかい頭から生み出される企画たちは違います。短い時間のなかでの勝負となりましたが、発想力だけでなく、犀星記念館ならではの企画ってなんだろう?という本質的なところを意識して丁寧に組み立てられている良い企画たちでした。いつか犀星記念館さんで実現する日が来るかもしれません。実習生のみなさま、おつかれさまでした。


←犀星記念館ならでは、といえば噂のコチラ。

 あっ…あんずジャムだ…!!!

 奇跡的にまだ残っていたというその一口をいただいてしまいました!

 杏の味がとてもしっかりしており、きゅっとした酸味がつかれた体に沁みわたります(きょう働いたのは実習生と犀星学芸員さん)。ふらりと途中から現れ好き勝手に講評し杏ジャムをむしゃむしゃ食べておつかれさまでした~と大満足で帰る秋聲記念館。秋、秋聲の季節になりましたらお返しに秋星ジャムをば。

 


ストレスフリー
 2013.8.8

 今年も学芸員実習の季節がやって参りました。県内外を問わず14名もの学生さんが、今週いっぱい各館でいろいろな実習を行っています。昨日と今日は犀星記念館にて書籍のクリーニングや書誌情報のとり方などを学びます。当館遅れてうかがって、犀星さんの講座室のドアを開けた瞬間、コの字型に長机を並べてその空白の中央部分に雑誌のホコリを刷毛でサッサカ飛ばし集めている14人の学生さんと対峙。14人もの刷毛使い…なかなかに壮観でした。
 そんな実習を見守りつつ、犀星さんのところで使っているオリジナルの演示具などを一緒になって見せていただきました。雑誌にいかに負担をかけずに、見せたい場所を効果的に見せるか、実際の経験からすばらしく計算された演示具に感動です。これは室生式ストレスフリーマガジンスタンドなどと命名してもよいのではないでしょうか。
 いつもその子のいちばんいいところを見せて自慢してやりたい気持ちと、しかしそれほどタフでない資料への愛情との間で葛藤しておりますが、そんな葛藤のなかから生まれたあたらしいカタチへと渾身のバースデーソングを贈りたい気持ちです。




月2回の罠
   2013.8.7

 企画展開催初日とだいたい毎月第1土曜日に実施している展示解説、らしからぬ展になってはや2回が終了しました。3日(土)、その時間を狙ってご来館くださったおじさまはどこかで見たお顔…とおもえば、前回の展示解説にもご参加いただいた方でした。「今日なんかあるって?」「あ~展示解説をしますが、おおよそ前回と同じ話になります…」「あっそうなんかい!」「すみません、他にどなたもいらっしゃらなければ常設展の解説でも…」とのやりとりを経て、定時になると他にも数人お客さまがご参集くださっておりました。
 和紙人形シアターをご覧になっていたそのおじさまに「すみません予定通り企画展解説を行います。おんなじですけど…よろしければぜひ…」と念のためお声がけすると「せっかく来たから…」とついて上がってくださいました。

 30分程度の解説を終え「や~8割方一緒でしたねえ…」と恐縮していると「全然ちがうじゃない!!」とおじさまからけっこうな勢いでツッコミが。よくお話をうかがうと、前回解説したのは(しかも他にお客さんがなくマンツーマンで)ひとつ前の企画展「ひがし茶屋街と秋聲」の最終回だったとのこと。

 最終回が7月7日、らしからぬ展開催初日の第1回が7月13日という一週間差…この間の記憶をごっちゃにしておりましてたいへん失礼をいたしました。

 暑いなかお越しいただいた上、新しいお話ができよかったです。次回は9月7日(土)、今日からちょうど一ヶ月後となりますよ…と、日めくりカレンダーをふと見ると本日「立秋」でございました。立て、立つんだ秋聲…!!の日です。




龍頭観世音菩薩
 2013.8.4

 月がかわりましたので、秋聲の書斎掛け軸をかけかえました。例年7月は秋聲先生自筆俳句「生きのびて また夏草の 目に沁みる」に決めているのですが、8月はちょっと目新しいところで、秋聲旧蔵品・玉手菊洲画「龍頭観世音菩薩」をお出ししてみました。文学館ですからどちらかというと秋聲をはじめとする文学者自筆の俳句軸やらが多いのですが、こちらはどどーんと龍に乗った観音さまの大きな画軸です。
 おそらく当館所蔵掛け軸のなかでもいちばん大きなものになるのではないでしょうか。かけてみて床の間の縦横ギリギリいっぱい…バランスはちょっとアレですが、モノそれ自体はたいへんに見応えがあります。

 というわけで今月は書斎が秋聲の遺品だらけになりました(俳句軸などは館が独自に収集したものが多いのです)。
 机や違い棚、屑籠にいたるまで秋聲先生の愛用品。そういえば先日秋聲令孫・徳田章子名誉館長がお見えになった際、徳田家から寄贈を受け展示してあるお座蒲団を見て「コレ晩年におじいちゃまが血を吐いたやつだったかしら?血のあとが…ないわね。これじゃなかったわね。」という衝撃の吐血跡チェックが入ったことを思い出します。

 さすがお身内…館で資料確認をしても、まさか吐血の跡までは思い至りません。指紋…くらいなら必死でさがせば出てくるかもしれません。
 



小杉放菴記念日光美術館より
   2013.8.3

 次回企画展調査のため、東京の徳田家と日光の小杉放菴記念日光美術館さんにお邪魔してきました。らしからぬ展の次はまたぐっと雰囲気がかわりまして、今年生誕120年を迎える洋画家・木村荘八による秋聲の代表作『爛(ただれ)』挿絵原画展を予定しています。基本文字資料の多い文学館ですが、この展示では徳田家に遺された挿絵原画を一同に公開予定。今度は文学館らしからぬ様相でお届けできるよう準備中です。

 生誕120年の節目ということで、3月、東京駅ステーションギャラリーを皮切りに、記念企画展「木村荘八展」が全国を巡回しています。豊橋市美術博物館をまわり、現在は上記美術館で開催中。『爛』の挿絵のほうをもっぱら見なれている当館の感覚からすると「洋画家」の名のもとに展示される油彩画のほうに違和感がありますが、ご存じ永井荷風原作『墨東奇譚』の挿絵原画の展示もあり、そうそうこの感じ…とくいいるように鑑賞して参りました。

 小杉放菴記念日光美術館さんは、そもそも日光出身の画家・小杉放菴(ほうあん)を顕彰する美術館です。秋聲周りでいうと、「小杉未醒(みせい)」との別名のほうが同じ雑誌などでよくお見かけするでしょうか。
 日光駅から歩いても20分ほど。世界遺産・神橋を横目に見ながら少し山をのぼった静かな場所にございます。8月25日(日)までの開催となっておりますので、日光に行かれた際には是非とも。

 


夏のよそおい
  2013.7.31

 先日のレコード鑑賞会をうけ、残務処理もろもろにしつこくも金沢蓄音器館さんにやって参りました。蓄音器館さん入ってすぐのところのショップでは、オリジナルのCDが販売されています。レコード鑑賞会当日開場後、開演まえのBGMとして使わせていただいたリムスキー「シェヘラザード」はじめ、秋聲が好きだと語る曲目が収録されたものもいくつかあり、はは~チャイコフスキー「アンダンテ・カンタービレ」(『仮装人物』に出て来ます!)、エルマンのヴァイオリン曲もありますね~とちょいと物色。と、そのショップ棚の右奥にいたマトリョーシカ状態のニッパーが、夏のよそおいになっていることに気がつきました!

 通り沿いのビクター犬ことニッパーが夏仕様になっている件はこの欄でもお伝えしたことがありましたが、まさかショップ棚のニッパーまでそんなことになっているとは…。揃ってかしげた小首にのっかる麦藁帽子の愛らしいこと!
 実はこの大中小ニッパーの左隣にはまだまださらにちいさくなっていくニッパー達がおり、現在販売されているのは最小ニッパーのみで、写真の大中小ニッパーは非売犬だそうです。

 蓄音器さんに行かれた際にはあんなニッパーこんなニッパーそんなニッパーに是非ご注目ください(ストラップニッパーもありますよ!)。
 



カモ騒動
  2013.7.30

  昨日の大雨、館としての被害とてありませんでしたが、北陸地方でたいへんな騒ぎとなりました。館の目の前の浅野川も水位を増してごうごうたる濁流に。2階のサロンから窓の外を滝のように流れ落ちる雨を眺めていると、その先になんと川岸を走るカモのご一家がいるではありませんか!

   おわかりいただけるでしょうか、 
 茶色のごろごろしたものもの→





 叩きつける大雨のなか、梅ノ橋から天神橋に向けて一家全員全速力で駆け抜けてゆきます。あーあー橋の下で雨宿りしてればいいのにぃ~と歯がゆい思いで見つめるうちようやく天神橋まで辿りつき、よしよしそこで休憩…っと思いきや、今度は梅ノ橋のほうへ全速力で引き返してきます。何故!!!?
 ビッタリ窓にはりついて、行方を見守る職員ふたりとお掃除の方。そのうち、お父さんだかお母さんだかお兄ちゃんだかが濁流のなかに身を投げるという暴挙に!!何故!!!?
 どんぶら容赦なく下流に流れてゆくお父さんだかお母さんだかお兄ちゃんだかを追いかけて、怖くて飛び込めない弟妹たち3羽が岸を走って追いかけます。



←上とは逆の進行方向にご注目。





 すると、やっぱりこの流れは無理だわ…!と判断したものか、上の子たちが再び岸へと避難するタイミングでもって、決心を固めた残りの3羽が流れにダイブ!その決心、遅いんだか早いんだか…!!!と歯噛みしながら窓ガラスにべったり付けてしまった指紋を横からお掃除の方にきゅきゅっと拭かれている間に彼らは見えなくなってしまいました。

 本日、いつものところで元気に集合していたとの報告を受け一安心。浅野川も元の穏やかな女川に戻りつつあります。




よみがえり
  2013.7.29

 みなさまがたのご周知、ご協力のおかげさまで、レコード鑑賞会「秋聲の聴いた音楽~愛蔵の蓄音器・レコードの音初公開~」大盛況となりました! 

 金沢蓄音器館の八日市屋館長さんの軽快かつ深いお話を踏まえたうえで、秋聲の使った蓄音器から流れる秋聲の愛したレコードの音に耳を傾ける参加者のみなさま。空間を共有するとはこういうことなのでしょうか。

←まだ明るいですが、終わる頃には真っ暗。に雷。

 通常文学館で展示するような資料は、いかに秋聲が使った、手にしたといえど基本的に過去のもの。秋聲が生きていた!という歴史を証明することになっても、同じ空気を味わうことはなかなか難しくもあります。その点、音楽の不思議な力――空間そのものを秋聲の当時にもっていくような魔力でもって、あの日は文学サロンごとそこにいた全員をごっそりタイムスリップさせてくれました。
 当日特別ゲストとして東京からお越しくださった秋聲令孫・徳田章子名誉館長もたいへん感激された様子で、最後にお礼を述べられたなかに「こうして祖父の使った蓄音器やレコードをよみがえらせていただいて…」とのお言葉がありましたが、まさにあの瞬間秋聲を取り巻くすべてがよみがえったような感覚におちいりました。それすなわち「おかえりなさい」というより「お邪魔します」という心持ち…秋聲先生宅の応接間にどやどやとたいへん失礼いたしました。といいつつ音楽がかかると急に饒舌になる秋聲先生、きっと一緒に楽しんでいただけたのではないでしょうか。
 八日市屋館長さん、参加者のみなさま、本当にありがとうございました。ナイトミュージアム企画、いよいよ開幕です!
 
 


夏の思い出
  2013.7.26

 そういえば、特に予告も報告もなく無言のまま「不定期連載」を更新しておるのでした。企画展からも文庫本からも泣く泣く洩れてしまった前回の子ども向け作品「初奉公」から一転、今回の作品はご自身の夭折した息子さんを回想する随筆「夏の思い出―十八歳でなくなった三男を憶う―」です。

                初出誌「婦人之友」→  注)正式タイトルは「夏の思出」。
   読みやすさを考慮し「思い出」表記にしています。

 秋聲は計7人のお子さんのうち長女と三男を早くに病気で亡くしています。ぽつりぽつりとその時のことを小説に書いたり随筆に書いたりしているうちの一作品。これも実は企画展でご紹介するつもりだったのですが、スペースの関係上洩れてしまったものなのでした。
 
 子ども向けにも、子どもそのものをも作品に描くことが苦手だという秋聲。大勢いる子どもの一人をも書いたことがない、と述べています。三男の三作さんもカリエスで随分苦しむさまを傍で見ていたけれど、結局その心持ちは自分にはわからないのだ、と我が子といえど距離を置いた見方、書き方をしているのです。
 らしからぬ展開催中は子ども向け作品を中心に連載してゆくつもりでおりましたが、秋聲の慣れぬ子ども向け作品に浸りすぎたここ数ヶ月の反動でしょうか、急にあの秋聲独特の一切の熱をもたぬ刃でえぐり取られるような文章に触れたくなってしまい衝動的に掲載、更新。まったくもって館の生理的事情で恐縮ですが、〝秋聲と子ども〟を広く捉えるうえでの参考となれば幸いです。




めぐりあい
 2013.7.25

 昨日犀星記念館さんにて学芸員会議が開催され、会議の隙間に企画展「犀星の本づくり」を拝見いたしました。80点にもおよぶ犀星さんこだわりの自装本やらご存じ恩地孝四郎をはじめとする錚々たる装丁家たちによる他装本やら、息子さんに書かせた題字やらがこれはちょっと永遠に終わらないんじゃないかくらいの宇宙をはらむ勢いで整列する姿はとにかく圧巻!本込み…本込みですよ文学は…と呟きながら貴重なテイクフリーパンフレットをシュッと頂戴して参りました。
 犀星さんこだわりの本づくりに対し、われらが秋聲先生は装丁にとりたててご興味のない様子。言及は極めて少なく、わりあい出版社まかせ、装丁家まかせ、といったパターンが多いようです。それがかえって当時の流行やら世相を反映しているとも言えるのですが、開催中の企画展にからめていえば、かの竹久夢二による装丁本『めぐりあひ』の出来には大満足されたらしいことが伝えられています。友吉・お清の幼い兄妹を主人公とするこのお話、装丁から挿画からすべて夢二が手掛けており、基本めったに笑わない秋聲が、その完成品を見て珍しくにっこりしたと、編集を担当した有本芳水が語っています。

 今回刊行した『秋聲少年少女小説集』にはその挿画もほぼ収録いたしました。残念ながら懲りに凝った装丁・シュールすぎる口絵・斬新な扉絵までは再現できませんでしたが、そちらは是非展示室にて実物をご覧ください。まるでそこだけスポットが当たっているかのような異色具合、輝き具合でさすがの「イラストラシオン・ド・ユメヂ」です。

追伸。会議の功名、鏡花記念館さんブログにレコード演奏会の記   事を載せていただきました!フー! 




心臓に直結
  2013.7.24

 いよいよあさって金曜のレコード鑑賞会の打ち合わせに、こちらもまた東山ファミリー・金沢蓄音器館さんにお邪魔して参りました。

 当日は秋聲旧蔵のレコードからいくつかと、蓄音器館さん蔵で、秋聲が好きだと語っているレコードをいくつかご披露する予定ですが、その選定を行うのに「聴いてみて決める?」と候補をすべて蓄音器で聴かせていただけるという恩恵に!
 その針から館長さんの手が離れ、秋聲旧蔵のレコードの音が鳴った瞬間、心臓がどくんと脈打ちました。

 無言でその音色を堪能することおよそ4分。秋聲が手に取り、蓄音器にかけ、そしてこうして黙って音色を楽しんだのか……と感慨無量の海に沈みかけるいっぽうで、そういえばフランス文学者の河盛好蔵がコロンビア・レコード主催の鑑賞会にいつも顔を出していた秋聲が、音楽をBGMにしてしゃべるのをやめてくれない!と嘆いていたな、ということを思い出しました。音楽に集中したいのにさせてくれない秋聲に腹が立ち「だまってきいて下さい…!」といよいよ言おうかと思ったそうですが、今おもえば逆にあれがしゃてれたな…と結んでいます。
 そうか、秋聲は黙って聴かない人なのか…と意識が若干それた頃合いにして「で、どう?」「当確です。」といったやりとりを繰り返し、計9枚が当選いたしました。

 26日、もうすこしお席に余裕がございますが、そんな実体験を元にあらかじめ申し上げます。「音楽は静かにお聴きください」といった類の野暮でなく、蓄音器の音色は本当に人の心臓をどくんとさせますので、心臓の弱い方くれぐれもご注意ください。




お宅訪問
 2013.7.22

 出来たばかりのオリジナル文庫『秋聲少年少女小説集』を携えて、ちょこちょこ東山ファミリーの各館訪問を行っています。
 まず金沢文芸館へ出かけ、文庫をお渡しするついでに展示拝見。写真展「KANAZAWA今昔物語」ということで、昭和10年~60年代の金沢と現在との写真が比較できるようになっておりました。昭和18年まで生き、何かにつけ金沢に帰省していた秋聲もきっと見た風景。あまりの変わりっぷりに、へぇ~っ!となること請け合いです。

 そしてその後、鏡花記念館さんへ。キューピッドの表紙を手渡しつつ、噂の白雪姫とご対面。すると折良く始まった展示解説にするりと交じり込み、ちゃっかり学芸員さんの解説をうかがった揚げ句、オリジナルポストカードまで購入…気が付けば「ついで」のほうが充実してしまいました。

 いいえ?何も交じり込んでなどいません。異界しばりです。

 新企画展「『夜叉ヶ池』―泉鏡花と演劇の時代」はさすがの鏡花クオリティで、ホゥッ…!となること請け合いです。
 



ころもがえ
   2013.7.21

 朝一番、記念館前のチェーンをはずしつつ発見しました。今年いちばんの蝉の抜け殻!真っ白い企画展タペストリー脇の壁にしがみついておりました。


                     コレ→


 そういえば昨年の今頃、加能作次郎展の展示替えのときにも事務室入り口のところで発見したことを思い出します。初夏の風物詩である衣替えの様子に展示替えを重ねたのもはや一昨年のこと…。その後、桐生悠々、あらくれ、横山家、正宗白鳥、鏡花さん、ひがし茶屋街と、少ないながらにいろいろな展示をしてきたなぁ…と茶色いちいさな一点を見つめながらもの思いに耽る…逆にその背中の割れ目から過去の思い出のいろいろをギュウギュウ詰めこんでみたりしている早いもので文月も下旬でございます。
 衣替えといえば、われらが父か母・金沢文化振興財団のホームページがリニューアルされました!ひらいた瞬間スタイリッシュ!スタイリッシュ!
 それぞれのイメージカラーの反映されたバナーとともに移り変わってゆく各館の画像。ついつい秋聲先生のお出ましを待ってしまう数秒間。よしよし、相変わらず今日もしかつめらしい顔で執筆されていらっしゃる、とその姿を確認したら安心して各館のページに飛んでゆけます。
 そして飛んでいった先のふるさと偉人館やらくらしの博物館やらのブログで出会うのは季節柄やはり蝉の話題ですが、抜け殻でキャッキャしているどころでない偉人館さんのまさかの現役写真に脱帽です。蝉を撮るとはああいうことです。

 


わかき人
  2013.7.20

 「『豊島園』ってあの『としまえん』ですか?」と受付でたずねてくださったうら若き女性がありました。「そうです、あの『としまえん』です。」と返答したそんなやりとりのきっかけには、現在開催中のらしからぬ展で展示している秋聲遺品「豊島園 御家族優待入園券」の存在がございます。 

 「私の地元なのでちょっとびっくりして」とはにかみつつ告げてくだすったその学生さんは、金沢ぶらりひとり旅中。三文豪館をまわるその一か所めに立ち寄ってくださいました。なんと秋聲も読まれているという奇特さにつき、どうでしたか…?とおそるおそるうかがうと「こんなこと言って失礼ですけど自分と似たところがあると思いました。」……感動です。うら若き女性の口からいまだかつてそんな秋聲寄りのご感想をいただいたことがあったでしょうか。深い感動のあまり、それはよほど豊かな人生を歩まれている証拠だとおもいます、と初対面の方にこちらこそ僭越なご返答、何卒おご容赦ねがいます。
 鏡花さんが休館で残念でしたが(新しい企画展は本日から!)、やり残したことすなわち再訪ののりしろですからまた是非金沢へあそびにいらしてください。

 例の「豊島園 御家族優待入園券」は「徳田秋声」名義になっており、秋聲先生もご家族で遊びに行ったのかしらウフフ…と思わせる資料ですが、いかんせん昭和18年頃のもの。秋聲の没年にあたり、この頃御年73歳(数え年)!名義だけで、実際には息子さんご一家が使っていたのかもしれません。





コンセプトやいかに
 2013.7.18

 新しい企画展のチラシを配りに先日からちょこちょこひがし茶屋街に出入りしています。前回茶屋街展チラシやらポスターを貼ってくださったお店にお礼を述べつつ、次回もよろしくおねがいします~とごあいさつ。企画展のコンセプトとして茶屋街と直接の関係はなくなりましたが、そもそもの秋聲が茶屋街とゆかり深いことをアピールしての今回ですからそのへんは大丈夫です。秋聲である限り、どうにかよろしくお願いいたします。
 そして茶屋街に出入りしたということはアレをチェックしないわけにはいきません。
そう、茶屋街の誇るほっこりポストです。
 
 どーん!  ばーん!!  ばばーん!!!
   

 さすが、期待を裏切らないこのクオリティー!なんでしょうかモアイでしょうか?奥歯でしょうか?なんだかよくわかりませんが、とりあえず通りかかるひとについカメラを構えさせてしまうそのインパクトだけはバツグンです。うっかり肝心の投函をわすれてしまうくらいの威力です。
 すでに風物詩でもなんでもなくなってしまったようですが、もし仮にモアイだとすれば→島→海→夏!かつがつクリア!

 あるいはモアイでなかった場合にコンセプトやいかに?

                  しつこくも全体像はこちら→
       なんとなく投函するのに彼らの許可が要りそうです。



レコード鑑賞会のお知らせ
  2013.7.14

 金沢蓄音器館館長さんのブログ「ほっと物語」に秋聲の記事を載せていただきました!秋聲の遺品として当館に収蔵するレコードと蓄音器について解説してくださっています。
 というのも、来る今月26日(金)19時~当館にて「秋聲が聴いた音楽~秋聲愛蔵の蓄音器・レコードの音初公開」というイベントを予定しており、その講師として蓄音器館の八日市屋館長においでいただくことになりました。5月末くらいから打ち合わせをしつつ、秋聲の蓄音器やらレコードコレクションやらを実際に見ていただき、その音が聴けるようにとなんとメンテナンスまでしてくださるというご厚情!そんなやりとりのなかで今回の記事をご執筆いただいたわけです。
                            「あらくれ」展でご登場↓
 イベント当日はナイトミュージアムということで、21時まで開館を延長します(入館は20時半まで)。17時以降入場無料、参加費無料。秋聲令孫・徳田章子名誉館長も東京からご来館の予定です(注・確定ではありません)。相当数ある秋聲のレコードコレクションの数枚は過去のイベントでも流したことがありますが、その他の楽曲、また遺品の蓄音器の音は初公開となります。16日(火)より電話受付開始いたしますのでこの機会に是非とも。                      




企画展オープン!
  2013.7.13

 おかげさまで本日13日、新しい企画展「徳田秋聲らしからぬ!~しゅうせいとこどもむけよみもの~」が開幕いたしました!

 そんなこちらのテンションとは裏腹に、明け方からの大雨で開館時には嘘のようにぽっかりした記念館…。初日…なのに…と心にも雨が降り始めましたが11時の展示解説に合わせてみるみる参加者が集ってくださり、息を切らせながら「間に合いました~!」と駆けつけてくれたその一言に完全に報われた初日となりました。


 そしてこの初日にもうひとつ重大発表。企画展をご覧になり、うわぁ秋聲のらしからぬ子ども向け作品を読んでみたいわぁ~とちらとでも思われた方のため、当館オリジナル文庫第7弾となる『秋聲少年少女小説集』本日より販売開始です!
 この日に向けこっそりコツコツと校正を重ね制作をすすめてきたこの短編集、オリジナル文庫初の挿絵入りで全14編を収録しています。中にはかの竹久夢二挿画のものもあり。そんな贅沢ぶりで税込840円でございます。

 展示解説後、めでたく第一号のご購入者さまのご購入のさまに立ち会い、レジに初めて浮かぶ「少年少女小説」の文字に感動のあまり思わずパチリ。これからもっと見る機会、言う機会が増えてくるはず、との期待をこめて「しゅうせいしょうねんしょうじょしょうせつしゅう」×3、毎朝礼にて発声練習しておきます。
  
 


鬼の目に涙
   2013.7.12

 らしからぬ展、パネルの設置が完了しました。壁いっぱいにタコやら鳥やらパンやらお花やらがくっついています。しかもちょっと飛び出しています。なかなかに壮観です。
 そしていよいよケースに資料を入れていく段階。作業にレベルをつけてはいけませんが、実際に資料を取り扱うこの時がやはりいちばん緊張します。慎重に資料を箱から取り出しケースへ移動、全体を見てバランスをとりつつひとつふたつ丁寧に配置しながらようやくひとケースを埋めてフウ…やりきった…!と心地よい疲労感と達成感に満たされた次の瞬間、「アッ!!!」とおそらく今年度一番の大声が展示室に響きわたりました。
 資料の下に毛氈を敷くのをわすれました。

 展示ケースの中、茶屋街では白い生地のまま、プレーンの状態の展示台を使用していましたが、次回企画展では色のついた毛氈をしーこう!と思っていたのでした。それに気が付いてしまった瞬間の絶望感たるや…もう、このままで、いいや…と何度心が揺らいだことでしょう。資料にとっても無駄な出し入れは負担にしかなりません。
 しかしそこは鬼と化し、当初のプランを遂行せんがため自らのお尻をビチリと打擲。泣いた赤鬼と化し、涙目ながらに資料をもういちど取り出すことにいたしました。
 だいぶん新しい水に慣れ、ケースの中で呼吸を始めた「少年文集」や「少年世界」たちに申し訳ないきもちでいっぱいです。




おくりもの?
  2013.7.10

 茶屋街展、展示資料の撤去が完了しました。ケースが空になったこの際とばかり、ちょっと寄り道をしてケースの置き場所シミュレーションをしてみています。いつも壁に添わせてばかりではなんとなく面白みに欠ける…とあらゆる位置関係の可能性を試行錯誤してみますが、いかんせん狭い展示室のこと。こう置くと通路が狭い、か…こう置くとせっかくの壁が死ぬ、か…となかなか制約もたくさんです。いやいやさすがにそれはないよ!というもっとも激しい形態のときに展示設営業者さんが到着し「いや、これはちょっと…ものは試しで…」とえへえへ言い訳したい衝動が全身を貫きましたが、業者さんのほうもそこは大人の対応、見て見ぬ振りでそっとしておいてくれました。
 次回らしからぬ展では割合オーソドックスな配置になりますが、次々回以降、何か新しいフォーメーションに挑戦したいところです。

 さて、今日からいよいよパネルの設置に入ります。パネルが続々搬入されるなか、展示室の片隅に青いリボンのかかったかわいいピンクのものがぽつり。

             なんだかとても愛らしいたたずまい→

 まるでプレゼント然としたこれが何になるのだか、シミュレーション通りに設置できるのかどうなのか…ケースがオーソドックスな分、パネルやら小物は新たな領域に斬り込んでみていますので乞うご期待。


茶屋街展終幕
   2013.7.8

 昨日連続講座最終回、金沢星稜大学教授・本康先生による「茶屋街からみた近代金沢」が終了いたしました。江戸時代から始まった茶屋町の歴史が近代にどう繋がってきているか、丁寧に言葉を選びつつ実証的にお話しいただき、参加者からもたくさんの質問が出るなど活発な講座となりました。
 ありがとうございました。

 これにて全4回にわたり開催してきた連続講座がすべて終了、それとともに企画展「ひがし茶屋街と秋聲」も会期終了となります。ご協力、ご観覧いただいたすべての皆さまに感謝申し上げます。

 本日より5日間ほどお休みをいただきまして、次回企画展「徳田秋聲らしからぬ!~しゅうせいとこどもむけよみもの~」の設営作業に入ります。設営と同時に館内燻蒸作業も行いますので、本日8日午後から9日全日電話が不通となります。10日から電話は繋がりますが、12日まで全面休館とさせていただきますのでご了承ください。
 
 新たな装いで無事お目にかかれるよう、中ではごそごそと作業をすすめております。茶屋街展からまったく違った姿で戻って参りますので、開幕の折にはまたよろしくお願い申し上げます!
 



たなぼた(おやつレポート その11)
  2013.7.7

 七夕飾りをわすれて落ち込む当館に、たったいま毎度お馴染みご近所の茶道裏千家 井奈先生より七夕菓子が届きました!名店「吉はし」さん御製、その名も「願い文」。
 「今日じゃないと意味がないですからね。」と笑顔で届けてくださったこの一大イベントを報告もせずに黙って食べられましょうか。否、否!

 今日じゃないと意味がないですから寸々語史上初の1日2回更新でお送りしております。
 
 いつの間にやら雨もすっかり上がったようです。
 


たなばた
 2013.7.7

 本日7月7日、朝から大雨の七夕となりました。毎年当館でも玄関先と館内の笹ディスプレイに七夕飾りをしていたのですが、今年はすっかりうっかり忘れてしまいました。やりましょうねえー…やりましょうねえー…のこの空白の「…」部分がいけないようです。この隙間にスルリと別の用事が入り込み、秋聲先生が「今、今!」と何度も促してくださったにもかかわらずつい後回しにして機を逃してしまいました。立派に飾り付けておられる石川近代文学館さまを見てアッ!金沢湯涌江戸村さまを見てアッ!と思っても後のまつり…。七夕気分を盛り上げることが許される期間は他の季節イベントと比べて短めなのではないでしょうか。
 すっかりうっかりといえば、次回企画展のチラシ発送準備を進めながら展示協力者にお礼の一筆を添えるのに当館オリジナルグッズのいつもの一筆箋を使ってしまいました。ここは完全に夢二館さんで販売している夢二画の七夕一筆箋をつかうべきところでした。何故に秋聲記念館で夢二画の一筆箋を…?

←短冊を前にもの思いに耽るこの女性が、秋聲の女弟子・山田順子さんをモデルとしたと言われているため。

 今でしょ!と秋聲先生にかるくつっこまれながらも既に封入済み、半分発送済み。後のまつりです。
 
 とはいえ、使用したオリジナル一筆箋には梶田半古画があしらわれており、今回のチラシのキューピッドを描いたまさにその方ですから良いこととします。もし受け取られた方、この美人画を書いた作者のキューピッドねえ!とのギャップをどうかお楽しみください。
 



結ぶ仲間
    2013.7.6

 昨日から金沢市民芸術村アート工房にて、水引教室「結」作品展「結ぶ仲間」part3が開催中です。実はこのお教室、以前に和傘実演会でお世話になった和傘作家・明兎(みんと)の山田ひろみ先生が講師をつとめていらっしゃるのです。
 生徒さんによる水引作品の展示とともに、協賛として明兎による「蘇れ和傘」展も同会場にてコラボレーション→
 天上が高く壁も階段も真っ白い会場に、色とりどりの水引と和傘が不思議な空間を作り上げています。
 
 展示は明日7日まで。入場無料で本日6日は~20時、最終日は10時~17時となっております。ご興味のある方、ぜひ結び結ばれに行ってみてください。
 そして7日までといえば、当館の企画展「ひがし茶屋街と秋聲」もいよいよ明日が最終日となりました。長くメインビジュアルをつとめてきてくれた山田先生作あかい和傘もこれにて見納めとなります。ずっと開いて片面を地面につけて展示中のこの和傘、へんな癖がついてしまうので閉館時には閉じておくのですが、翌日開館時、紺色のタペストリーだけになっている光景を目にして「あっ傘がない!!」とドキーン!とするのも明日で最後です。


 

「徳」とくれば
   2013.7.5

 金沢市立小将町中学校1年生のグループが課外授業でご来館!郷土の偉人かつわが校の先輩・秋聲の偉業とは?ということを、展示や職員アンケートなどいろいろな角度から熱心に学んでいってくれました。

←そう、それはもうありとあらゆる角度から…

 実はこの日を迎える以前から生徒さんご自身により事前にアポの電話あり、質問事項のファックスがあり、という徹底ぶりで迎えた当日(来館予定時刻に「わたしたち今迷子です!」と電話があったのはご愛敬。ちゃんと連絡を入れるところが立派です)。
 さていよいよ用意してきた質問をぶつける段になり、ちょっと緊張の面持ちの生徒さんから衝撃の一言が発せられたこと、当館決して忘れません。

 「あのっ質問いいですか??」
 「ハイ、どうぞ」

 「徳川家康の偉業って…」

 「えっ…」
 「えっ…?」

 「アッ徳田秋聲の…!!」

 当館受付にて家康の偉業について質問されたのは初めてです。思いもしない角度から急に目の前に江戸幕府が開けましたが、すぐに明治新政の漸(ようやっ)と緒につきはじめた頃(@秋聲自伝小説『光を追うて』)に戻って参りました。「徳」とくれば「…川家康」、このあまりにも可愛い間違え方たるや。ビバ中学一年生です。




解ボさん研修中
  2013.7.3

 春に募集していた解説ボランティアさん、最終的に4名の方のご応募をいただきました。なかなか全員の日程は揃いませんが、そのなかを縫ってちょこらちょこらと研修を始めています。研修といってもまずは館内を一緒に回って解説を聞いていただいたり、秋聲記念館とは何ぞや、というガイドペーパーをお渡ししたりするくらいですが、その他にもそれぞれ自主的に来館のうえ、館の空気を掴もうとしてくださるのでたいへん助かっています。

 昨日も2名の新解ボさんが午前・午後とおいでになり、学芸員が来館者の方に解説して回る様子を一緒について見学していただきました。昨日のお客さまは小松市からのご来館だったため、秋聲の兄・順太郎が小松の尾小屋鉱山の鉱山所長をしていたことなどを交えて解説。

 要所要所はもちろんありますが、これが正解という決まった解説とて特になく、お客さまの状況に応じて、また対話のなかでいろいろな角度からお話しいただければ~ということを僭越ながら背中でお伝えしてみました。

 受付さんとともに解説さんは館の顔。展示内容だけでなく、そこでの対応いかんで館の印象の大きくが決まります。やる気いっぱいの人材に恵まれ、たいへん有難い限りです。



これはなにかに
 2013.7.2

  赤い鳥はじめ、黒い鳥、黄色い蝶、小麦色のパン、ピンクのお花、など現在いろいろな動植物が展示準備室に散乱しています。すべて次回企画展パネルのミニサンプル、全体のバランスの確認をとるためデザイナーさんが手作りしてくれたもので基本的にはてのひらサイズ。

 並べてみてハイ!バランスOKです!で本来用済みのアイテムですが、デザインといい造りといい、あまりに素敵な出来映えなのでせっかくですから「これはなにかに…」と考え中です。
 空箱しかり、包装紙しかり、これはなにかに…というパターンでもって結果その「なにか」とやらに上手に出会えたことはそう多くありません。これまでの前例で言うと、昨年の鏡花展のときに作成した「作家になるまで双六」のひとマス・通称「鏡花りんご」パネルがかわいかったのでとっておいたはいいものの、結局デスクにてあまり有効に活用されているとは言い難い状態に。いちおう中に磁石が仕込まれているので、なんとなく西暦早見表を貼ったりなどしています。
 
 とはいえ、そう思って捨てた翌日に「アッあれ…!!」と急に必要になるという謎の法則もたしかに存在しているもので、そしていちばん重要なところ何せ買い換えのきく既製品ではないもので、とりあえず会期がはじまり終了するまでは大事にとっておくことにいたします。いつか、なにかに…。
 
 
 

究極の選択
   2013.7.1

 「らしからぬ!」展のエクスクラメーションマーク、垂直か斜めか問題に決着がついたと思ったら、今度はピンクか緑かという究極の選択に迫られる羽目になりました。人生とは常にこうした二択の連続なのでしょうか。よしこれ!と決めるのはほんの一瞬、誤った!と頭でなく心が叫んでしまってからの苦渋の期間はまさに永遠。何の業やら、何に懺悔すればよいのやら、そんな思いを抱えながらその永遠を生きていかねばなりません。
 いつもの「いったん寝かせる大作戦」も通用しないタイトなスケジューリングにつき、さんざん迷った揚げ句「なんせ夏ですからね!!」というやんちゃな理由で緑を選ぶことにいたしました。
 もちろん全体のコンセプトも加味したうえで、ではありますが、もしこれが3月の出来事であったならきっとピンクになったのでしょうね…と伏し目がちなる事務室内での暗黙の了解。季節感、きっと大事です。
 何のことやら、と思われた方、13日に新企画展の幕が開ければことのすべてが明るみに…!いや~そこはピンクだったと思いますよ~!というセリフはどうか来年の春くらいまでとっておいてください。 
 
 


キューピッド降臨
  2013.6.28

 本日次回企画展チラシが納品となりました!今回は真っ白い背景にかわいらしいキューピッドがあしらわれたごくシンプルなデザインです。説明を一切省いたそのオモテ・・・なんの説明が要りましょうか、えっキューピッド?どこのチラシだって?と二度見のうえ驚愕していただければそれだけで十二分です。館の先鋒、チラシさんの先制攻撃としては大成功です。さらに、キュ、キューピッドだなんて・・・ああ、なるほど。らしからぬって書いてあるわ!と万一にも共感していただければこちらからもう何もつけ足すことはございません。

 前回の茶屋街展ポストカードが好評だったようなので、今回もまた作成してみました。これで茶屋街展、らしからぬ展、荘八展(注・これのみ荘八画の既製品ですが)の揃い踏み、当館だけの特製カレンダーがデスクの上に出来上がりました。
←気持ち出し惜しみの引きの画でお届け。

 ちなみにキューピッドハガキの右肩にとまっている赤い鳥はオプションで、通常配布されるポストカードにはついて来ません。なぜ赤い鳥がとまっているのか、次回企画展をご覧いただければ得心していただけるかと存じます。こちらはパネルデザイナーさんの渾身の作、人には青い鳥でなくとも見るたび幸せになれるパターンがあるようです。
(ついでにキューピッドの後ろから覗いている赤い三角帽は、われらが秋聲サンタです。)

 チラシが納品されてテンションが振り切れた結果、鏡花記念館さんを真似てブックカバーにしてみましたが、ちょっと変な感じになりました。ありといえばあり、なしといえばなし…。チラシにはデザイン的に出来るやつ、出来ないやつがあるようです。



パネル校了
  2013.6.27

 気が急いているのでしょうか、日めくりカレンダーをめくりすぎました。昨日朝いちど着席してビリリ、おそらくはお花の水替えに立ち再度着席してビリリ・・・?その後電話で新聞社さんと取材の日程調整をしながらめくりすぎていることに気がつきました。

 「めくりすぎたっていいじゃない、どうせめくるのだもの すえを」と開き直るわけにも行かず事務室内にとんだ混乱を生みかねないので取り急ぎ一瞬で亡きものにされた26日を作成してペタリ。そんな即席の26日を今朝ほどピリリ。本日正真正銘の6月27日、婚礼・棟上げ・旅行など万事に吉の木曜日でございます。
 いよいよ6月も終了カウントダウンが始まり、なんとかかんとか次回企画展のパネルデザインも校了となりました。晴れがましく「校了です!」と告げたあと、ごく稀にデザイナーさんから「校了のあとになんですけど、これってこれで大丈夫でしたか・・・?」とお電話いただくことがあり「あっそれはそれでいいんです!」と答えられれば何の問題もないのですが、「ややっほんとうですね!わーありがとうございます!!」という決してあってはならぬ展開を迎えることがありますので内心ではヒヤヒヤです。
 そんな誤植の発見も(当然あってはならぬのですが!)いっそのこと納品されてしまえば諦めもつくというもの、もう製作にかかっていて修正は間に合わないけれども完成されてもいない、というこの期間がおそらくいちばん心理的にいやな感じを醸しているのでしょう。だからこそ無意識にめくりすぎてしまうのでしょう。
 ちなみに明日は衣類裁断に「とてもよし」だそうですが、あさってになると急に「大凶」とのこと。衣類裁断をご検討の方、ぜひ明日のうちに。




入館者8万人達成!
  2013.6.26

 昨日、当館開館8周年にして8万人目の入館者の方をお迎えすることが出来ました!8万というその数字…日本人のDNAといたしましてはキリ良くめでたい感じもありますが、そこは十進法の跋扈するこの世界、10万人まで我慢しましょうか……ということで館内のみでひっそりと歓迎セレモニーを開催いたしました。8万人目となられたお客さまは地元の方。記念品をお渡しして目一杯の感謝の念を捧げました。暑いなかのご来館、本当にありがとうございました。
 それもまた十進法に則り、今回80,000ジャストの方のみを胴上げしておりますが、心の中では79,999人目も80,001人目も80,017人目の方にだっていつも同じだけの感謝の気持ちを捧げております。浅野川大橋から、ひがし茶屋街から、この先にほんとにあるのかしら…?とちょっと不安になる距離を押して訪ねてくださるご遠方の方々、普段のコースからは少し外れるけどちょっと寄っていこうかしら?とその爪先をわざわざ向けてくださる地元の方々、記念館のこと紹介しといたよ!といつもあたたかいお力添えをくださる方々、ほんとうは秋聲と館にまつわるすべての皆さまを胴上げしたい気持ちでいっぱいなのでございます。
 その感謝の念、展示やらイベントやらでお返しして参りますので今度ともどうか、よろしくお願い申し上げます。

←コチラ秋聲先生の「8」の字。

 ずーっと見ていると「なんじゃあこりゃあ…!」とゲシュタルト崩壊を起こしますのでご注意。

 
 


初奉公に出るお初
    2013.6.25

 不定期連載に新作「初奉公」をアップしました!こちらも秋聲の子ども向け作品のひとつです。発表媒体が「少女の友」ということで、読者層の少女たちを意識した登場人物、舞台設定、ストーリー展開となっています。そしてたいへん申し訳ないながら、次回の企画展で本作にまで手がまわりませんでしたので、こちらでのご紹介とさせていただきます。
 
 今回の読みどころは12歳くらいに見えるけれども実際にはまだやっと10歳だというお初ちゃんの心情が緊張と弛緩の間を行ったり来たりしているさま…であることは言うまでもありませんので、ちょっと重箱の隅をつついて秋聲独特の文字遣いという点にスポットをあててみます。
 パチパチとテキストを打ち込みながらいちばん引っかかったのは「愛す」と書いて「あやす」と読ませるその使い方。広辞苑をくっても「あやす」の漢字は出て来ません。さすが秋聲先生、こう書いたとき、そのあやし方に愛が満ちあふれているようすが目に浮かびますね!ご隠居さまの目尻は下がりっぱなしですね!と感心しかけてもう少し調べてみると、「あやす」の語源がそもそも「愛す」であったとの説発見。おっと秋聲独特ではなかったぞ…!とあわてて前言撤回しながらも、この時代のテキストにはまったく学ぶこと多しです。
 
 苦し紛れに、これは秋聲独特の文字遣い!と断言できるのは「頭脳」と書いて「あたま」と読ませるその方法。なにかと「あたま」の重い主人公の登場する秋聲作品には頻出です。
 


七夕区切り
    2013.6.23

 石川近代文学館さんに次回企画展の資料借用のお願いに行って参りました。
 門を入るとすぐ正面にドーンと勇壮な七夕飾りが!気が付けば当館の茶屋街展最終日かつ七夕の7月7日はもう目の前なのでした。

 来館者の方が書かれたのであろう短冊もすでにいくつか飾ってあります。
 秋聲さんもどうぞ!とおすすめいただいたので、せっかくですから一枚書かせていただくことにいたしました。受付で短冊の束を差し出され、いちばん上から取ればよいものを「すみません、オレンジ探していいですか…?」とそこに妙なこだわりを発揮。結果もうほとんど赤の域にある完熟柿色の短冊に秋聲先生の俳句を書いて吊させていただきました。

←下のほうでひときわテカっているそれ。

 さすがに石川近代文学館さんの玄関先に「秋聲記念館の入館者数が増えますように!」と掲げるのは憚られ、秋聲の作品をひとつでも多く、ひとりでも多くの方々に届けられますように、という願いを秋聲自身の言葉の上に乗せることにいたしました。正直なところ俳句はそれほどお得意でなかった秋聲ですが、まさか短冊に「黴」の本文をみっちり書くわけには参りませんので、すわりのよい俳句でひとつ…。この世界にまたひとつ、「秋聲」の文字を増やしてやったり!とほくそ笑みつつ、借用のお願いをしつつ、企画展「はじまりのものがたり 絵本の世界」の後期展「石川ゆかりの絵本作家たち」を観覧して帰って参りました。
 


チラシ校了
   2013.6.22

 梅ノ橋を観察する傍ら鋭意制作をすすめておりました次回企画展チラシ、おかげさまで無事校了となりました!いい加減しつこいですが、次回は「徳田秋聲らしからぬ!~しゅうせいとこどもむけよみもの展~」ということで、チラシのデザインもいつもの徳田秋聲記念館らしからぬことになっています。

 来月頭にはちょこらちょこらと随所でお目見えするかと存じますが、最後まで悩んだのは図案の位置でも色でも内容でもなく、エクスクラメーションマークをタテにするかナナメにするかというただその一点…。すなわち展示タイトル「らしからぬ!」の「!」を垂直にするのか斜め45度にするのか、というともすればどっちでもよさそうなその二択にたいへん悩まされました。

 まさかのそんな些細なところで、梅ノ橋を眺めながら「…ナナメだ!」、キャプションを書きながら「…真っ直ぐだ!」、パネル案を校正しながら「…いや、やっぱりナナメだ!」といった脳内蛇行を繰り返しておりました。結局どうなったのだか、実際にチラシをご覧のうえご確認いただければ幸いです。確認してどう、という展望は特にございませんし確認したからとて何の特典もございませんが、らしからぬ感じの表現としてどちらが適切であったか、ご意見お聞かせいただければ今後の参考とさせていただきます。
 と言いながら、展示がはじまる前から、ウ~逆であったか~…!!との悲痛な思いを抱える展開だけは心の底から避けたいところです。
  
 


《今日の梅ノ橋⑪》
   2013.6.20

 にごっていますにごっています。ようやく梅雨入りが発表されたかと思ったら、待ってましたとばかりに堰を切ったかのようなすさまじい豪雨。いやいやペース配分!!と思わず窘めたくなる降りっぷりです。
 そんなわけで梅ノ橋の下を流れる浅野川もごらんのとおりコーヒー色の濁流に。あまり見ることのない白い水しぶきをあげてドドドドドと勢いよく流れています。梅ノ橋もバッシバシ雨にうたれて焦げ茶色に。激しい雨に、けぶっていますけぶっています。
 
 そうしてふと気が付いてみれば、《今日の梅ノ橋⑩》のご報告から今回の⑪まで半年以上あいてしまっておりました。職員としてはあまりに見慣れすぎていて、今日も同じ明日も同じ、と毎日の微妙な変化を見逃してしまっているようです。
 この機にあらためて梅ノ橋を観察すると、なんと小さなハゲ発見…!   ↓
 
 一体いつのまにできたのやら、放っておかれたストレスでしょうか。本当はハゲでなく張り替えられてそこだけ新品なのですが、どちらにしろその変化に気づいてやれなかったことにたいそう胸が痛みます。川向こうの人々がひがし茶屋街への便利をよくするために架けたと言われる梅ノ橋。秋聲記念館の景観美に大きく寄与する梅ノ橋…。

 これからはもうすこしコマメに感謝と労いの意を伝え、そしてときどきにその日の姿、美しく年輪をかさねていくさまを写真におさめ、後世に伝えていくことにいたします。
 



もようがえ
  2013.6.19

 展示替えが近づくと平素以上にデスク周りに本が山積みになってくるので、マウスの可動域あるいは文字を書くためのスペースが極狭です。そして複写資料やらパネルのコピーやら紙資料が異常に増殖し、肝心の書類が見つからない事件が頻発。そんな「むむむ」が溜まりに溜まってある日爆発、校正用のペンを放り投げ、あわやお引っ越し並みの一掃作業が謎のタイミングで開始されます。その勢いたるや「転職ですか?」と問われるレベル。
 大事なものは綴じ、いらないものを捨て、使い終わったものを元に戻し、そのついでにちょっと模様替え。

↓毎度お世話になっている日めくりカレンダーを配置替えしてみました。
 いつもなら右側、マウスに横にあったものを、今度は左前、パソコンモニターのお隣に。パソコンに向かう感じで勝手に、しかし確実に視界に入る位置なのですが、習慣とはおそろしいもの、日付を確認したいときにはついフイッと右を向いてしまいます。視界の左端につねに入っているにもかかわらず、です。

 アッないや…と思うと同時に目に映るのは茶屋街展のポストカードと木村荘八氏のポストカード。現在の企画展と次の次の企画展関連。それはそれでカレンダー並みの威力を発揮してくれております。 


 


輪読会オプショナルツアー
   2013.6.16

 昨日、企画展にあわせた茶屋街にまつわる輪読会の第2回を開催いたしました。今回のテーマは短編小説「馴染(なじみ)の家」。東京で暮らす主人公夫婦が、その郷里である金沢に帰省し、幼少期からの馴染みの家すなわち茶屋街で芸妓屋を営む親戚宅を訪問する、というストーリーです。オヤ?どこかで見たような?と思えば第1回でとりあげた「挿話」に筋書がよく似ています。それもそのはず、「挿話」におけるヒロイン「お絹さん」と、本作における「お須美さん」は同一人物をモデルにしているのです。
 では、本作における主人公「脩吉」は「挿話」における主人公「道太」と同一人物?と思いきや、そこはちがうという複雑なつくり。「道太」はほぼ秋聲自身の投影でしたが、「脩吉」は秋聲と記憶の多くを共有する別人として描かれています。
 そしてさらにややこしいことにその「脩吉」の妻の名がなんと「お絹」。しかし「挿話」の「お絹さん」とは別人。何故なら「お絹さん」@「挿話」は「お須美さん」@「馴染の家」だから。と、非常に入り組んでおりますが、そこさえよく消化して読んでいただければなんとも収穫の多い作品となっています。

 東廓のたどった道、そこに生きる人々、金沢弁もそのままに描きだされた風景は、紛れもなく当時の茶屋町の姿なのでしょう。
 それらをざざっと踏まえた上でまたもや茶屋街に出かけ、モデルとなった現存する「馴染の家」を訪問させていただきました(通常非公開です!)。作品に描かれるまさにその場所に座って、脩吉ごっこ、道太ごっこ、ひいてはそれぞれの秋聲ごっこをみなさん心の中で楽しまれたのではないでしょうか。

 


はつ代ちゃん?
   2013.6.15

 第2回学芸員会議を金沢湯涌夢二館さんで開催いたしました。すっかり夏の日差しのもと、湯涌温泉郷の目にあざやかな山の緑。会議までの間に泉鏡花記念館・金沢湯涌夢二館連携事業特別展「鰭崎英朋―刹那の美を描く」を鑑賞させていただきました。鏡花さん絡みということもあり、展示室のなかで秋聲の名を発見!当館の中では、何千個何万個という勢いで「秋聲」という文字があふれかえっておりますが、こうして他館でお目にかかるとホゥッ!!と一気にテンションがあがり、何故かキョロキョロと周囲を見渡してしまいます。
 夢二館さんにおける「秋聲」の文字、展示室を4分の3くらいまで進んだところにございます。是非ご確認ください。

 夏の学芸員実習やら何やらについて話し合い、会議室を出ると小さな女の子に遭遇しました。夢二館のアイドル・はつ代ちゃんです。特別に許可をいただき撮影させていただきました。可憐な白いエプロン、右手にはお気に入りのお人形を持って、人目にちょっと恥じらいながら展示室へとそっと誘導する左手…。
 と、ほくほくしながら帰館いたしましてから、夢二館さんのブログを見返してみましたら、まさかのはつ代ちゃんじゃなかったかもしれない疑惑発生。気になってしまった方は、去年の10月20日記事をご参照ください。

 季節柄、衣替えはまぁありとして、お人形をもつ手が逆?髪、ちょっと伸びた…?あるいははつ代ちゃんのお友達、おねえさんか妹さんだったかもしれません。

 


6月12日頃
  2013.6.12

 北陸の例年の梅雨入り時期だそうです。本日まさに12日、金沢は真夏並みのかんかん照りです。
 そんな中、秋聲先生の書斎の掛け軸がやっとこさ先取り梅雨仕様にかわりました!「梅雨晴れの草ふめば草いきれ哉」、秋聲直筆俳句です。
 月ごとに替えております書斎の掛け軸、実は6月1日になってもあれやこれやでうっかりそのままにしておりまして、常連のお客さまから「あれ?かわってないね?」とご指摘をいただき慌てて掛け替えました次第です。ちゃんと気づいてくださる方がいる!と感動しつつ、以後、初心に返りきゅっと気を引き締めて参ります。

 この掛け軸、一般のお宅の書斎の床の間のまるでなんてことのない日常のようにふつうにお出ししているので、通常展示室でお披露目するようなガラス越しでこそありませんが、距離的に観覧場所からちょっと遠いのが難点といえば難点…。
 秋聲先生独特のヒョロヒョロ文字でちいちゃく書かれてしまった日には、文字情報までなかなか確認出来ません。いちおう脇に内容を記したキャプションを出してはいるのですが、それと照らし合わせつつ「ああ…春雨…って書いてあるっぽい…」と簡易視力検査のようなことになってしまいます。

 その点、6月の掛け軸は珍しく大きな文字で元気いっぱいに書かれているので、多少距離があってもその文字自体読むことができます。ただ、大きな文字を書くことに不慣れでいらっしゃるご様子。文豪の揮毫としてはとんでもないバランスがかえって愛おしい一品です。




お礼の川柳集
  2013.6.11

 先日出前授業にでかけた中央小学校さんからお礼が届きましたよ、と文芸館さんから館にあるお品をお持ちいただきました。
←中身はなんと生徒さんが作った川柳集!
 授業を聞いての感想が五七五、あるいは自由律で綴られています。

 中から数句ご紹介↓
 
・徳田はね ダンスはとくい しゅ味だよね
  そうだよね。とつい答えたくなるこの語尾、そして斬新なる「徳田」呼ばわり。
 
・犀星は 子ども心も ありますよ
  へぇそうなんですか!とつい答えたくなるこの語尾、そしてなかなかに深い洞察。

・鏡花さん ファンタスティックできれいすぎ けど秋聲さんとはなかわるいよね
  しょうがないよね。真逆だものね。けど晩年には和解したよね。

・金沢で ゆうめいなのはだれだろう 泉さんだよ なんでだろう
  この純粋な疑問たるや…!!思わず笑ってしまいました。

 生徒さんの発想力と言葉を紡ぎ出す力に吹き出したり感心しつつ、なるほどこういうところが印象に残っているのかぁ~と今後のためにも非常に参考になりました。
 みなさんとっても楽しいお礼をありがとうございました!

 


第3回 連続講座
   2013.6.10

 8日、茶屋街を学ぶ連続講座の第3回を開催いたしました。金沢湯涌江戸村の土屋村長さんにお越しいただき、「文政期 ひがし茶屋街の開発と茶屋建築」についてお話しいただきました。

 普通の町家とお茶屋さんの建物のちがい、みなさんご存じでしょうか?庇の長さや2階部分の高さ、階段の場所など、この講義を聞いてから建物を見ると、そのちがいが実感していただけるかと思います。パワーポイントで写真も交えつつご説明いただきながら、あれっもしかして文学紀行より先の開催のほうがよかったのでは…?とにわかに若干のもやもや発生……
 が、講義終了後、講師のご厚意で、百聞は一見に如かず!実際に茶屋街に行ってみましょうか??と希望者の方をお連れして茶屋街をちょっとお散歩することに→

 親切な解説とともに茶屋建築のなんたるかをその目で確認して参りました。土屋村長さん、ありがとうございました。

 さて、これをもちまして早いもので連続講座も4分の3が終了いたしました。次回はいよいよ最終回、7月7日(日)、金沢星稜大学教授の本康宏史先生をお招きして「茶屋街からみた近代金沢」をお送りいたします。
 今から約200年前、文政3〈1820〉年の茶屋街の興りからひもといて参りましたこの連続講座、いよいよ近代へと繋がります。
   



金沢和傘展示会 終了
  2013.6.8

 6日をもちまして、金沢和傘の特別展示会を終了いたしました。いろとりどりの和傘に彩られていたサロンはあっというまに元の通りのぽっかりとした空間に。山田先生ありがとうございました。和傘の魅力に加え、そのお人柄もあいまって、会期中おもいもかけないゲストをたくさんお迎えすることができました。おそらく秋聲一本では決して繋がらなかったであろうご縁です。和傘が展示されておらずとも、皆さん今後ともこのサロンにきっと集ってくださることでしょう。

 会場撤去にあたり、和傘の展示用に敷いていた畳を担いで壁に立てかけながら、今年度はなんだか畳づいているなぁとまだ思い返すほどもない脳内アルバムをめくります。4月のお座敷あそび…5月の茶屋街さんぽ…6月の和傘展示会…結局3枚しか見つかりませんでしたが、畳の目をそっと撫でつつ「サンキュー,Tatami…」と深い感謝を呟きました。

 あるいはサロンに敷きつめてみたらどうだろうか、落ち着くのではないだろうか、に始まって、はたまた企画展示室に畳を?靴を脱ぐ式にして?などと夢想したはよいものの、腰を落ち着かせてまったり観るには展示ケースが高すぎることに気が付き断念。そもそも靴を脱ぐ意味がありませんし、展示室の真ん中にちょこねんと座られても困る、か…と無意味な逡巡を軽く悔いつつ撤去完了。あえなく畳タイムも終了です。
 わびさびの代名詞・畳さんには、今後ともきっと何かにつけお世話になることと存じます。その際にはよろしくお願いいたします。

  


金沢市立中央小学校4年生 出前授業
 2013.6.6

 金沢文芸館さん主催の出前講座の一環で、中央小学校さんに派遣されて参りました!
 金沢の三文豪について、作風・人柄などをご紹介。事前の打ち合わせにて、生徒さんは三文豪の顔と名前が一致するかどうか…くらいの感じだとうかがっておりましたが、なかなかどうして、肖像写真を見せて「コレ誰だ??」と聞くとすぐに元気な答えが返ってきました。おかげさまでみなさんとのやりとりを楽しみながら進行することができました。
 
 最後の質問コーナーで、白鳥路の三文豪像の制作年を聞かれてウッ…!調べた記憶こそあるものの、ぱっとすぐには出て来ません。今度までに調べときます!答えは記念館にて!!と苦し紛れに言い残して参りましたが、正解は鏡花・犀星が昭和59年、秋聲が同60年だそうです。おかげさまでもう二度と忘れません。良い質問をありがとうございました。雪辱をはたすべく、かの少年のご来館をお待ちしております。
 
 授業がおわると女の子ふたり組から突然「先生、しょうわ?しょうわ?」と尋ねられました。ショウワ?とは?と一瞬首をひねりましたがなんのことはない、年齢を聞かれているのでした。
 平成っ子(9歳なので平成16年!)にとって秋聲らの生まれた明治はもうひとつ前時代。今は「みんなのおじいちゃんのおじいちゃんくらいの年代ですよー」とご紹介していますが、そのうち「おじいちゃんのおじいちゃんのおとうさんくらいですよー」になり、やがて「おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんくらいですよー」になる頃にはちょっと作戦変更です。




赤ペン青ペン
  2013.6.5

 まちがっているところを赤でペンッ、まちがっていたところが直ってきたところは青でペンッ、ただいま絶賛校正中です。
 4月7日の開館記念日を皮切りにして、怒濤の4月5月が終わりました。あまりに張り切っていろいろなイベントをぎゅうぎゅうに押し込んでしまったため、すこしほっかりした6月になってハテ何をしてよいのやら…?と若干呆け気味。しかし呆けて良いための6月ではなく、ぎゅうぎゅうに押し込めない事情がある6月につき、その事情とやらにそろそろ本腰を入れて取り組まなくてはなりません。
 先月まではイベント月間、そして今月はいろいろな分野で校正月間にあたっています。次回企画展のパネルやらガイドペーパーやら企画展にあわせた○○○やらでとにかく赤ペン青ペンが手放せません。

 筆圧がつよすぎるのか、赤ペン青ペンがくいこみすぎて手が悲鳴を上げ出すと今度は白手袋さまの登場です。普段資料を触るときに使用する白手袋をはめて再び赤ペン青ペンを握る日々。
 青青赤青赤青青くらいのなんともいえない割合で代わりばんこに登場するため、ペンを置く手間がなんだか惜しい…どうにか2本とも持ったまま効率的にペン先だけバトンタッチさせられないか…といろいろ試行錯誤してみましたが、結局手が無駄に疲れるだけで置いたほうが早い、という結論に達しました。試行錯誤の分、ちょっと損をした気分です。
 
 


加賀友禅燈ろう流し
  2013.6.3

 今年度初の夜間開館、無事終了いたしました。今年は昨年より水量が多かったようで、浅野川に浮かぶ燈ろうたちが次々と順調に流れてゆくさまがサロンから一望できました。中には変わり種の燈ろうもあり、暗い川を彩る優美な姿にいろいろもの思っていると、急にムー○ンやらアン○ンマン号やらの立体物がどんぶらこ。それはそれでひと盛り上がりいたしました。
                   黄昏時。いい具合のブレ加減で日本画のように↑

 当日は和傘作家の山田ひろみ先生が顔を出してくださり、サロンに展示中の作品解説が始まる場面も。普段はお手を触れないでください、にしていますが、この日だけ特別に傘を差し掛けていただくなどたいへん贅沢な夜になりました。全開のあかりの中で見る傘も綺麗ですが、光の差し加減で大きく表情を変えてくれますので夜の傘などこれまた素敵!浴衣でご来館くださった女性に持っていただくと、より物語が生まれて風情のある光景でした。山田先生、ご来館のみなさまありがとうございました。

 夜間開館はまたポチポチと行う予定です。決まり次第こちらでもお知らせいたします。
 
 
 

高砂大学校大学院 講座
    2013.5.31

 昨日、高砂大学校さんに呼んでいただき、文学美術科受講生108名の皆さまに「徳田秋聲の世界」と題するお話をさせていただきました!
 当館の人気コーナー・和紙人形シアターにいらっしゃる5人のヒロインたちにスポットを当て、秋聲の作風、描き方の特徴などについて1時間半みっちりと…。最後に質疑応答の時間を、と言われていたにもかかわらずそれはもうみっちりと…。あっちこっちする拙い話にも、受講生の皆さまはあたたかく右へ左へ機敏についてきてくださいました。ありがとうございました。また、当館へのお声がけにも、深く深く感謝申し上げます。
 来週には班別に各館見学も組み込まれている模様。配付資料では粗い画像で誰が誰やらだった和紙人形のヒロインたちが、予想以上の緻密なつくりにてお待ちしております。

←帰りに浅野川大橋の上からパチリ。

 鏡花記念館さんのほうにかかる中の橋が真新しくなっていました!今はなんだかフレッシュマン感満載ですが、そのうち人が渡り日に焼け風雨にさらされ、しっくりと街に溶け込んでゆくのでしょう。


 そういえば、早く大きくなってお家の立派な梁(はり)になりたい子松のお話「穉(おさな)き松」という子ども向けの作品も秋聲は書いているのでした。いいえ遠くなどありません、橋から梁、大丈夫です、語感も素材も似ていますしきっと同じ班。同じ班です。
 すべての道は秋聲に通ず。

 


サロン大活躍
   2013.5.29

 金沢和傘絶賛展示会期中の31日(金)には、館目の前の浅野川にて百万石まつり協賛事業「第39回加賀友禅燈ろう流し」が開催されます。よって通常17時のところ、21時まで特別に開館延長いたします!
 
 数日前まで晴天つづきですっかり川もカピカピでしたが、昨日からの恵みの雨、そろそろ整備もなされて当日には約1,200個の燈ろうが、どんぶらこっこと優雅に流れていくことでしょう。それを梅ノ橋に次ぐベストポジションで鑑賞できる当館サロン。なんなら梅ノ橋込みのベストショットでお届けできる当館サロンを是非ご活用ください。要入館料ではございますが、コーヒー一杯無料サービスいたします。
 昨年から始めた夜間開館ですので(写真は昨年のようす)、正直なところまだあまり浸透してはおりません。ゆえに穴場。あら、こんな良い場所があっただなんて、ときっと新たな発見をしていただけることと存じます。

 安全のため、和傘展示の一部は避難させる予定ですが、一部はそのままご覧いただけます。31日限定×(夜景×ライトアップ+燈ろう+和傘×ミュージアム-混雑+コーヒー)=秋聲記念館。よろしくどうぞ。

 


金沢和傘 展示中
  2013.5.28

  おかげさまで「金沢和傘 制作実演会」が無事終了いたしまして、現在2階サロンにて完成品および骨組みなどの材料を展示中です。
 実演会当日は9時半~17時まで絶えることない見学者に恵まれ、傘について延々と解説されながらの作業となりました。

←そして逆光…恐縮です… 

 また開館前の準備中、企画展示室前にかけてある徳田家家紋の入ったのれんをふとご覧になり、「…この家紋いれよっか」と急遽和傘に家紋「抱茗荷(だきみょうが)」をデザインしてくださることに!
 ひとえに抱茗荷といってもいろいろな抱茗荷がありますが、徳田家のそれは中でも比較的複雑なデザインとなっており、それを見事に再現してくださるザ・職人技アゲイン。完成は数ヶ月先になるとのことですが、世界にひとつだけの傘の誕生を御機嫌に歌いながら待つのもまた楽しみのひとつです。

 実演会終了後、職人おふたりにさぞお疲れになったことでしょう…とお声がけすると、ステキな場所で良い仕事をさせていただきました、と笑顔で返してくださるタフさ、懐の深さ…!着用さえありませんでしたが、見送る背中に「I love Wagasa」の文字が見えたような気がいたします。すべて対象への愛のなせる業、長時間本当にありがとうございました。

 館では1階のプレ展示からはじまって計10本の和傘を展示しています。こちらは6月6日(木)まで。和傘展示スペースのみ、記念撮影もOKです!




「思ったより」の威力
 2013.5.25

 「こんなこと言って失礼だとおもうけど…」と始まればおのずと背筋に緊張が走るもの。その一瞬で、あることないこと、これまでの無礼無作法無調法、怠慢皮相浅薄稚拙未熟その他もろもろ、館内におけるウィークポイントを自ら探して駆け巡り、しかし先んじて謝罪するには追跡の手が足りず取り急ぎぐっとお腹に力をいれて何が来ても崩れ落ちぬようにと構えてしまうもの。
 「こんなこと言って失礼だとおもうけど、思ってたより良かったわ~!」と続いた時の狂喜乱舞、またの名を嬉しい肩すかし。

 昨日受付にいただいたお客さまからのひとことです。もちろんマイナスがプラスになったということをつかまえて手放しで喜んでいてはよろしくないので、プラスをよりプラスでお返しするのが最良と心得てはおりますが、最初のドキーン!のあまりの大きさゆえ一時ふにゃりと気が緩んでしまいました。

 そして思う存分ふにゃりを満喫した後は、「思ったとおりよかったわ」「思った以上によかったわ」を目指して背筋を伸ばして日々精進するばかり。
 その重い体をぐんと後押ししてくださる和傘職人さんたち、現在(AM11:00)鋭意作業中です! 

        秋聲イメージの渋めの子も登場→

 

「金沢和傘 展示実演会」迫る
 2013.5.24

 イベントページにてすでにお知らせしておりますが、いよいよ明日25日(土)、当館にて和傘の制作実演会を開催いたします!企画展入り口に置いてあるあかい和傘の制作者・山田ひろみ氏とそのお師匠・田中富雄氏とが、なんと当館お馴染みのあのサロンで実際に和傘を制作されているさまを大公開。「えっあそこでですか!?」とは事前告知をさせていただいたお客さまの反応ですが、「ええ、まぁ…ちょいと畳をいれましてね…」とクールに返答させていただきました。

 とはいえ、こちらも初めての試みですので内心ではどうなることやら…!梅ノ橋を背景に優美な和傘を仕上げていく職人技を眺める、という脳内ではたいそう素敵に贅沢な絵面が出来上がっておりますが、それも見てくださるお客さまあってのもの。なかなか見られる光景ではございませんので、お散歩がてら是非お運びください。むしろ、ちょっと…気が散ります…と職人さんに言われてしまうくらいに職員のほうがぐいぐい見てしまうやもしれません。

←中はこうなっています。ザ・職人技!

 間もなく開催される百万石行列の「お松の方」を彩る大傘づくりにも携わっておられる講師陣。制作過程を知ったうえで行列を観覧されるとまた一興かと存じます。



「秋聲と茶屋街さんぽ」報告
   2013.5.23

 先ほど茶屋街展関連企画の文学紀行が無事終了いたしました!ほんとうにたくさんの方に集っていただき、暑いくらいの陽気のなか茶屋街を散策して参りました。

 今回は国指定重要文化財「志摩」さんに全面的なご協力をいただき、通常非公開のお茶屋「釣瓶や」さんから「お茶屋文化館」(旧「中や」)、そして「志摩」さんまでたいへん贅沢なお茶屋さんめぐりとなりました。普段なかなか見ることのできないあんなところや聞くことのできないこんな話まで大盤振る舞いでご提供くださいました「志摩」さんに心からお礼申し上げます。

 「釣瓶や」さんでは得能精畳工業の得能さんにもご解説いただきまして、カチカチの畳からふわふわの畳(それでも十分堅い!)の格のちがいなど興味深いお話をお聴きすることができました。
 貴重なお話をうかがいながら、ふと気になったのは背中のそれ→なんという畳愛…!
 撮影すべきは畳であり、壁であり、桟であり、と頭では理解しつつ「すみません、お背中ちょっといいですか…?」との失礼な申し出にも快くその背中を貸してくださった得能さん。「これは桜バージョンなんですけどね。」といろいろなバージョンがあることまで教えていただきました。ありがとうございました。

 「志摩」さんで自由解散とさせていただきましたが、なかなか帰る気配を見せない参加者のみなさま。エンジョイしていただけたようで一安心です。

 


第3回 連続講座予告
   2013.5.21

 やれやれ第2回が無事終了したねよかったね、とほわほわ一息ついておりましたら、早いものですでに第3回がじわじわと動き出しておりました。たとえるならばバトンを受け取るまえからちょっと走り出しているちょうどあの感じに似ています。
 内容は以前から決まって既に出回ってはいるのですが、本日の新聞広報に掲載があったおかげさまで朝からじゃんじゃんお申込のお電話がかかっております。広報掲載日がスコンと頭から抜け落ちていたがために「な、なぜ急に…!?」と無駄な混乱時間を過ごしたうえ、お電話を3、4件受けたところでハッと気がつくこのありさま。
 改めまして、茶屋街展記念企画 連続講座の第3回は、6月8日(土)14時~、「文政期 ひがし茶屋街の開発と茶屋建築」と題しまして当館2階サロンにて開催予定でございます。講師は金沢湯涌江戸村の土屋敦夫村長さん。まだすこしお席が余裕がございますので、ご興味のある方じゃんじゃんの隙間を縫ってお電話ください。
 お天気や人数などの条件次第では、館を飛び出て実際に茶屋街へ繰り出すことになるかもしれません。いつもなんとなく眺めているお茶屋さんの見方がきっと変わることでしょう。


 ←お茶屋さんは二階建て。






 ちなみに江戸村技師さんと町を歩くと、普段見ているようで見ていない素敵な建物が発見できてお得です。


 

第2回 連続講座
   2013.5.20

 18日、茶屋街を知る連続講座の第2回が無事終了いたしました。金沢学院大学の見瀬和雄教授にご解説いただき、ひがし茶屋街、にし茶屋街が何故あの場所にあるのか、何故一度廃止になったのか、当時の芸妓さんのシフトとは…格付とは…といったなかなかディープな内容にみなさま興味津々。見瀬先生、参加者のみなさまありがとうございました。

 当日講座のあと、金沢大学の杉山先生が金沢大学サテライト・プラザ主催ミニ講演「路地の記憶をたずねて ― 徳田秋聲×古井由吉」参加者の方とともにご来館くださいました。ちょうど当館の講座の真裏で開催された講演後の文学散歩の一環です。日時まるかぶりという事実を知ったときにはかなりのショックを受けざるを得ませんでしたが、多方面にお詫び申し上げつつ、館内見学を組み込んでくださった杉山先生に心からの感謝を献げます。
 当館講座の方々をお見送りしつつ、ご一行さまご案内しつつで最終的に誇張でなく本当にぜえぜえ息を切らせながら企画展をご紹介するはめになりたいへんお聞き苦しかったことと存じます。展示としては芸妓さんの演奏BGMに乗せていつの間にか時間を忘れ「やぁうっかりすっかり腰を落ち着けてしまったわい」というようなしっとりまったりした雰囲気を目指すものであり、そしてそれが秋聲の「挿話」の世界観の魅力なのであり、決して汗だくになって必死でご紹介するような内容ではないのです。本来あの展示に汗をかく要素などひとっつもないのですから、是非また改めて浸りに来ていただければ幸いです。



「花の精」後篇
  2013.5.17

 突如蝶々に変身させられ不安いっぱいで助けを呼ぶ太郎さんをひとりぼっちにしたまま2週間も放置してしまいました。たいへん申し訳ございません。「不定期連載」にてようやく「花の精」後篇をアップいたしました。
 太郎さんの悪ガキ具合もその因果応報具合もうまく描かれていますが、今回の読みどころは畑仕事をしているお百姓さんの不器用な優しさかと思われます。
 花のある場所を問いかける太郎さんに「間抜け」と言い放ち、「退かねえかよ」とむごい仕打ちで応対しているように見せかけて、理由はまさかの「羽が汚れるから」…「羽が汚れるから、退かねえかよ。」…そう、この人は酷い悪臭を放つ肥料を撒く作業中なのでした。まったく不器用に過ぎます。
       
 よく言えばアルカイックスマイル
           わるく言えばにやにやする太陽→

 茶々入れどころ満載の次の企画展でご紹介する秋聲の子ども向け作品、第一弾はこのような感じでお送りいたしました。これが29歳のときの作品。四苦八苦しながら子どもっぽさを演出する若き秋聲の姿が目に浮かぶようです。
 秋聲×ファンタジーというまったくもって「らしからぬ」姿も今後たくさんお見せ出来るかと存じます。        
 


「いるからね。」
   2013.5.16

 次回企画展調査のため、石川近代文学館さんにお邪魔して参りました。資料の閲覧・撮影を終え、ちょうど昨日が最終日だという企画展「はじまりのものがたり―絵本の世界―」の前期展「怪談えほん原画展」を拝見いたしました。担当学芸員さんの解説付きという幸甚に与り、裏話などをお聞きしながら怪談えほんの世界に浸ることが出来ました。

 感想をひとことでいえば「あっ…いる…!!」。この「いる」ことへの恐怖といったらありません。紹介されている絵本自体にも、その展示方法にも目にみえて体がびくっと震える恥ずかしいリアクションを頻発するはめになりました5月の夕べ…。絵本それだけで完成されているその怖さを、決して殺すことなく展示室全体を使って再構築するアイディアと手腕には脱帽です。そしてこだわり抜かれた原画やラフスケッチたちはもう眼福というほかなしの贅沢加減でございました。

 ごく個人的には折よく、しかしよく考えれば折悪しく、昨日が最終日ということでなんとももったいないことです。だっていたんですよ!そりゃあ怖いんですよ!と訴えたところで本日より展示替えです。
 18日より後期展「石川ゆかりの絵本作家たち」が始まりますので、そちらにご期待いただければ幸いです。外部の人間からまるで内部の人間のような顔をして失礼いたします。

 毎度、石川近代文学館さんお世話になります!ありがとうございました!



あわや清風荘
  2013.5.15

 本日、近世史料館さんに前期展示資料もろもろをご返却に上がりました。帰りに周遊バスに乗りましたら(今日は赤い鏡花号)、お向かいのおばあちゃま方の会話がふと耳に入りました。片方が何やら知り合いのお家の場所をもう片方に伝えんとしているご様子。
「ほら、梅ノ橋があるやろ?」「うんうん」「清風荘があるやろ?」「ん?うん…」
 突然のご近所フレーズにこちらは耳がぴーん!ですが、肝心のもうお一方にはあまりピンと来ていない模様。「ほら、梅ノ橋があってさ、清風荘の隣の隣の…」「うーん…」ほとんど同じ会話が繰り返されますが、このあたりでまったく関係のないこちらの胸にも若干のもやもや発生…
 そして三度目の正直、
 
 「梅ノ橋あって、清風荘の…ほら今徳田秋聲になっとるあそこの…」
 「ああハイハイ」

 ついに来ました。「清風荘」に代わるフレーズ「徳田秋聲」!心のなかでは拍手喝采、めでたくもやもや解消です。もう片方のおばあちゃまのみならず、お二人の人生にまったく関係のないところでまったく関係のないこちらのもやもやがすっきり解消されました。
 何を隠そう徳田秋聲記念館、料亭「清風荘」跡に建っております。市民のみなさまの新たなランドマークとなるべく、何なら待ち合わせに使っていただくべく今後とも精進いたします。
 
          「やぁ、よく来たね」的な秋聲先生67歳→


今、今
  2013.5.12

 5月に入りツバメがびゅんびゅん飛び回り、カラフルなジャージ姿の中高生やら街中歩きの団体さんやらが青天のもと楽しげに東山を闊歩しています。

 そんななか、季節はずれにも事務室のデスク脇のワゴンにて雪崩発生、との緊急報告が入りました。

 一部展示替えをしている合間に全集やら決裁済み書類やら全集やら複写資料やら全集やらの無造作に積まれた山が無残にも崩れ去ってしまったようです。

 片付ける片付けない、などというナンセンスな二元論はいったん忘れることとして、純然たる全集だけ積んでおく分にはその耐震性にさほど問題はありません。そこにひょっこり紙資料を挟み込むことによって急激に地盤がゆるゆるに…ましてや全集平積み2列分に曲げたくないA3資料を渡して置いておくなど言語道断です。
 そんな隙を見つけて入り込んできた小さなズルリが新たなズルリを呼んで、銘々では小兵に過ぎないズルリ同士が一致団結した結果、最強のバサバサドサリに変身を遂げてしまうというとんだSF…。何故ここまで放置を…2匹目のズルリを発見したくらいの段階でこの惨事は防げたのではないですか所長…ッ!?とBD対策本部内での侃々諤々をワゴン上に妄想する反対側の脳では結局片付ける片付けないの単純な二元論だときちんと理解しているのですが、だってすぐつかうんだもん!とまだ性懲りもなく右脳と左脳の境界線あたりで黄色い小人が叫び続けるというとんだファンタジー…。
 「今、今」と言いながらやらずにおいて大失敗するというイソップ物語のような秋聲童話も雪崩の一部を構成しています。次回企画展にて!



秋聲愛用トランク
  2013.5.11

 昨日、企画展の一部展示替えをいたしました。ぱっと見ではさほど変わっていないようですが、いじわるな間違い探しのように数点資料を差し替えています。そんななか、ぱっと見でもその変化がわかる箇所が1点…「旅日記」のコーナーに秋聲が愛用した籐製の立派なトランクをドデン!とお出ししてみました。

 これは以前に東京の徳田家にお邪魔した際に、次の企画展、秋聲の旅感(たびかん)がほしいんですよねぇと秋聲令孫・章子名誉館長に何気なくお話ししたところ「こんなのあるわよ!」と提供していただいた資料です。そしてまさにひとびとの旅するゴールデンウィークに当館へやってきまして、このたびの展示とあいなりました。


 徳田家で拝見したときにも、いつ頃使ってたんでしょうねえ?という話になり、これもまた何気なく中を開くと「昭和8年9月8日」付の新聞の挟み込みを発見!「昭和8年です!あきこさん!昭和8年ですよ!!」とギャアギャア盛り上がりました。
 秋聲が金沢に帰省した体験を描く「旅日記」が執筆されたのが昭和9年。まさにそれと近しい時期に使用されていた模様。これを提げて金沢の地に降り立った秋聲先生を想像して身震いです。



朗読で綴る文学の世界
  2013.5.10

 本日より始まりました「朗読小屋 浅野川倶楽部」さんの第15回定期公演「朗読で綴る文学の世界」。25日まで15日間19ステージ毎日13時半より(夕方の部もあり)、三文豪をはじめ夢二から向田邦子、唯川恵氏まで幅広く朗読が行われます。
 秋聲からは「おぼろ月」「絶望」「躯」の三編を取りあげてくださっております。「絶望」「躯」は当館オリジナル短編集に入っていますが、「おぼろ月」は全集でしか読めない一品。こういった作品のチョイスからこだわり抜かれているのです。

 ひとりで黙読しているときにはなんとなくわかった風になってそれなりに読み飛ばしていた単語や文脈も、朗読にあたって言葉のひとつひとつを丁寧に拾って噛み砕こうとする部員さんの姿勢により見直すきっかけをいただくこともしばしば。謎の単語に出会うとすぐに「誤字かな、どうせ脱字だな」で片付けようとする無精な悪い癖を反省するばかりです。

 たぶん自分が知っているとおもっている作品がまったく別のものに見えたりする不思議体験を味わうことができますので、ご興味のある方ぜひお運びください。
 
 ↑チラシもいつも素敵です。
 前回の燃えるような彼岸花とうってかわって、突き抜ける空。
 


「秋聲と茶屋街さんぽ」予告
  2013.5.8

 5月23日に開催を予定しております平成25年度文学紀行「秋聲と茶屋街さんぽ」、6日金沢市広報に掲載された途端に申込殺到で早々に20名の定員を満たすことができました。ありがとうございました。
 こちらのホームページに上げるまでもなく…というところでたいへん恐縮しつつ、ご参考までに行程を載せてみます↓

  13時半~ 秋聲記念館集合・企画展観覧
       (ひがし茶屋街へ徒歩移動)
  14時~  旧「釣瓶(つるべ)や」見学(通常非公開) 
  14時半~ お茶屋文化館(旧「中や」)見学
  15時~  「志摩」見学(お抹茶・生菓子付)
  15時半~ 現地解散 

 「秋聲とお座敷あそび」開催の折にも何人かの方からツッコミをいただきましたが「秋聲と」ってどういうオプション??という純粋な疑問に対して当館残念ながら何の受け身も取ることが出来ません。秋聲役のおじさまオーディションも行っておりませんし、着ぐるみの用意もございません。が、気持ちはいつでも秋聲とともに!秋聲なくして無い企画ですよ…!といった意気込みの表明なのでございます。
 もし当日点呼の際、館職員がナチュラルに21人カウントしていても、それはそういうもの、としてあたたかい目でお見守りのうえツッコミご無用に願います。
                    秋聲先生お出かけルック→


「二日会」へのおさそい
  2013.5.4

 昨日、新発見資料・秋聲筆犀星宛葉書が新聞各紙を賑わせておりました。関係者の方から犀星記念館に寄贈された資料のなかにひょっこり混じっていたそうです。差出人の署名こそありませんが、あの独特なヒョロヒョロ文字は紛れもなく秋聲のもの。秋聲を囲む会合「二日会」への招待状を自ら「幹事」となって犀星さんに送っています。結局当日犀星さんは欠席されたようですが、とても面白い資料が出てきたものです。

←こちらは当館蔵「二日会」記録冊子。
 犀星さんが出席した会、署名が見えます。

 少しまえに犀星記念館さんからそのお話をうかがって、画像を拝見いたしましたが、初めて見る内容に大興奮です。興奮のあまり受話器を鼻息でボーボーいわせてしまった自覚がございます。犀星さん、その節はたいへん失礼をいたしました。ご連絡に感謝申し上げます。

 来年3月の犀星記念館リニューアルにあわせて公開予定とのことですので乞うご期待。興奮のあまりガラスケースを鼻息でフーフー曇らせている人間がおりましたらそれが秋聲記念館一味です。「後ろ、つかえてますから…」とそっと促してやってください。



浅野川 鯉流し
  2013.5.3

 本日、梅ノ橋からやや下流で「鯉流し」が行われました。毎年この時季に開催されており、友禅流しの要領で川中にいろとりどりの鯉のぼりが流されます。
 梅ノ橋に無数に垂らされた鯉のぼりも、ようやく5月らしくなった薫風に乗り気持ちよさげに泳いでおりました。朝早くからぶらり見学に出かけたひとや、ベストショットを狙ってカメラを構えるひとたちに混じって、そんな情緒ある光景を目を細めながら眺めているように見せかけて、実は血眼になって金太郎を捜している光景…。残念ながらわれらが金太郎をみつけることはできませんでした。昨日すこし意地悪なことを言ったせいでへそをまげているのでしょうか。申し訳ないきもちでいっぱいです。

 この「鯉流し」はもともと子どもたちが水とたわむれてあそぶことを企図してはじまったイベントだそうです。すなわち子どもに限り、川に入って鯉をつかまえるという金太郎ごっこが許されるのやもしれません。そのうち浅野川からリアル金太郎が誕生しましたら、また追ってレポートさせていただきます。
 リアル金太郎を見逃さぬよう片目で浅野川を睨みつつ、館内ではもくもくと次回企画展の準備を進めております。金太郎は登場しませんが、一郎、太郎、花太郎が登場します。 
 


第1回 学芸員会議
 2013.5.2

 本日、金沢くらしの博物館で学芸員会議が行われました。5月とも思われぬ冷たい雨のなか、秋聲記念館からびちゃびちゃとあるいて伺いましたら、到着する頃には茶色の靴がすっかり焦げ茶色に。しかしくらしさんは基本的に土足禁止ですので、気持ちのよい乾いた茶色のスリッパで館内をぱたぱたと散策させていただきました。

 現在は企画展「懐かしの家電」とともに季節展示「端午の節句展」が開催中で、入館するとすでにたくさんの鯉のぼりがお出迎えしてくれます。会議を行った部屋にも鯉のぼりの滝。同館では4月から一部撮影可になり、こちらも「記念撮影スポット」と表示がありましたので遠慮なく撮らせていただきました。

 その大きさと迫力とは言うまでもなく、ひとえに鯉のぼりといってもさまざまな色・デザインがあり、「金太郎がしがみついてますね」といった夢二さんの一言にハッとして無意味にズームイン→
 
 こちらは金太郎が自分より大きな鯉を捕まえたという伝説に基づいているそうですが、この構図、果たして捕まえたといってよいものか…。どちらかというとロデオ感のほうが全面に押し出されてしまっているようにも思われますが、あんなに真っ赤になって口元をきつく結んで頑張っている金太郎が息を切らして「つかまえたよ…!!」と言うのなら、その言葉を信じることにいたします。
  


扇の日
 2013.5.1

 今年も元気いっぱいに愛用させていただいております日めくりカレンダーによりますと、本日5月1日は「扇の日」だそうです。「源氏物語」にてある女性が光源氏に扇を贈ったことから「5/1=こい(恋)の日」との語呂合わせにて制定されたそうな…わかったようなわからぬような、残念ながらそれ以上の説明材料を持ち合わせてはおりませんが、なんともロマンチックな一日です。

 扇といえば現在の茶屋街展でもゆかりの品を展示させていただいております。なんと秋聲の自筆俳句入り。

     右のほうに蟻の行列のごとく見えるのが秋聲の筆跡です→

 その揮毫「春雨の草履ぬらしぬ芝居茶屋」とは金沢での思い出を詠んだものと言われており、かつ秋聲自身気に入っていたものか、現在書斎の掛軸もこれ。「桜の季節のおもてなし」で特別展示した短冊もこれ。というように、割と残っている俳句のひとつです。

 しかし展示中の扇がちょっと特別なのはその出所がはっきりしているということ。この扇子は、秋聲が「挿話」に描いたひがし茶屋街にあったお茶屋さん・旧「岩津井」に伝わり、当館に寄贈を受けたものなのです。
 「挿話」中にも、世話になったお礼をしたいと言う主人公にお絹さんが「何のお礼をいに。阿呆らしい。芝居で沢山や。多勢短冊も書いてもらいましたし。」とザ・金沢弁で返す場面が出て来るなど、ああその流れで扇子にも一筆振る舞ったのかしら…と想像させる、金沢と秋聲を語るうえで非常に貴重な逸品です。



グリーンウォーク
  2013.4.29

 本日、金沢市主催のまちなか歩き企画「グリーンウォーク」が開催されました。「みどりの日」改め「昭和の日」に毎年行われている行事で、今年も好天に恵まれました。いくつかコースがあるうちの、秋聲記念館が混じっているのは「浅野川橋めぐりコース」ということで、金沢城を出発したひとびとが当館前の梅ノ橋を目指してぞくぞくと通りかかられます。
 「はぁ~ここにあるのかぁ~」「入ったことないわぁ~」といいながら、せっかくの機会ということで入館もぞくぞく。

 中に多くみかけたのは少年野球チームでしょうか、赤やら青やら揃いのユニフォームを着たちびっこ集団です。「ありがとうございましたぁ!」と元気いっぱいに挨拶をしながら館を出て、河川敷に降りる途中にあるデッキではしゃぐ様子がたいそう眩しゅうございました。
 5月3日の鯉流しに先んじて、ちょっと鯉のぼり集団にも見える鮮やかな光景でした。

 ルートは事前に教えていただいているにもかかわらずきちんと把握しておらず、一般の来館者の方から「どこがゴールなんですか?」と問われて「…金沢城だとおもいます!」と盛大なる当てずっぽうをお伝えしてしまいました。が、結果的に正解でした。金沢市民における金沢城への信頼、絶大です。




第1回 輪読会 
 2013.4.28

 昨日「あれっ今日輪読会じゃなかったっけ??」と遠くお隣の国・富山県からレギュラー参加者の方がお見えになりました。すみません、いつも偶数月の第3土曜日に開催しております輪読会、今回諸事情により26日金曜日にすでに終了してしまっておりました。平謝りのうえ、第2回「馴染の家」テキストのコピーをお渡しして次回日程6月15日(土)を執拗に強調させていただきました。
 というわけで、去るなんでもない金曜日に開催いたしました第1回輪読会、茶屋街展にちなみ短編小説「挿話」を読み込みました。秋聲の金沢ものの中でも代表格として知られるこの作品、当館比でみると若干手垢のついた感じもありますが、その実なかなかどうして、一度や二度読んだだけでわかった気になるとたいへん危険な作品です。企画展準備の段階で十二分に読み込んだつもりでおりましたが、輪読会前に念のためもういちど…と軽い気持ちで読んでみると、また違った印象がふつふつと湧いて生まれ、おおおこりゃいかん…!と文庫を持つ手が震えました。
 おかげさまで茶屋街の昨今をよく知る方がご参加くださったこともあり、皆さまのご意見をうかがいながらまた新しい「挿話」に出会えた気がいたします。
 余談ながらヒロイン「お絹」さんは二人姉妹か…いや三人か…えっ四人なの?アッ弟も…?とその家族構成に悩まされるのはいつものこと。「挿話」中にはさまれるいくつもの小さい「挿話」たちに翻弄されるのもいつものこと。

 文句言いつつ秋聲の思考回路をたどることが面白くなってきたらハマってきた証拠です。
  
 

『泉鏡花研究論考集成 水辺彷徨 鏡花「迷宮」への旅』
   2013.4.27

 今なおお世話になっております当館前館長・小林輝冶先生が、標題のご著書を刊行されました!刊行からすでに一ヶ月が経っており今更感満載で恐縮ですが(ちなみに刊行日は奥さまのお誕生日!)、その全人生を懸けて金沢の文学研究を牽引されてきた小林前館長渾身の一冊です。
 そしてそのへんは三文豪しばり、秋聲もしっかり登場します。著者自身による後記に「今鏡花は人気絶頂の作家(中略)秋聲の人気はそれほどではない。」えっアッちょっ…前館長…!?

 それほどではない…それほどではない…小林前館長独特のあのハスキーボイスが耳を谺しています。ちゃっかり鏡花さんの船に便乗して鼻歌まじりに水辺をたゆたっていたら、ふと渦につかまり地味に転覆した気分…。しかし転覆しながら脳裏をよぎったのは「言及愛」というあたらしい単語でした。「愛」の対義語が「無関心」であるならば、わざわざ言及していただいたところに深い愛情を嗅ぎとっても許されるのではないでしょうか。
 小林前館長の「言及愛」、しかと心に受け止めました。
 
 

「季刊文科」第59号
   2013.4.26

 いつもお世話になっております三島由紀夫文学館館長・松本徹先生が、標題の雑誌に〈名作発見〉として秋聲の「白い足袋の思出」を全文掲載してくださいました!
 いつかの入門講座でとりあげ、この欄で別名「黒い霜川の思出」と名づけてご紹介した旧友・三島霜川との交流を描いた短編小説です。「ずいぶん古いな」との感想を「今少し我慢して読んで頂きたい」と書き出される松本先生の読者の気持ちに添った解説も素晴らしく、そう、そうなんですよね!!とひどく生意気ながら膝を打つ思いで拝読いたしました。

 18日の「えらくなるぞ!」記事で書いたような、個性的な文学者たちとそれを放っておけない秋聲、という構図ともリンクする内容で非常におもしろいのです。
 また、秋聲独特の漢字の使い方にも言及されていて、こちらも19日の「蕈もあります」記事と微妙に連動?――無理がとおれば道理がひっこむといったポジティブシンキングで徳田秋聲記念館、勝手ながらご購読をお薦めさせていただきます。鳥影社発行「季刊文科」第59号、名作が載ってなんと1,050円です!



らしからぬ展
  2013.4.24

 現在デスクのうえに何故だか『コナン・ドイル全集』やら『ナサニエル・ホーソーン短編集』やらが並んでいます。『徳田秋聲全集』と特別仲がよくはなさそうなこれらを日々もくもくと読み漁っているのは決して現実逃避ではなく、むしろ現実をするどく睨みつけながらの次回企画展準備です。
 英語が得意な秋聲先生、下積み時代の少年向け読物のなかには、翻訳翻案も多く含まれています。名探偵シャーロック・ホームズでお馴染みのコナン・ドイル作品であったり(ホームズではありませんが)、「クリスマス・キャロル」でお馴染みチャールズ・ディケンズ作品であったり(クリスマス・キャロルではありませんが)、そのための事前調査なのでした。

 そんな次回企画展、ようやく正式タイトルが決まりました。「秋聲と少年向け読物(仮)」改め、「徳田秋聲らしからぬ!~しゅうせいとこどもむけよみもの~」展です。今やすでに少年もの、少年もの、との略称で呼ぶことに体が慣れすぎておりますが、今日からは「らしからぬ展」と意識的に呼び名をシフトしていかなくてはなりません。秋聲の少年向け読物をメインに取り扱うように見せかけて、その実、自然主義文学の大家・徳田秋聲の「らしからぬ」さまに茶々を入れていく企画展です。どうぞおたのしみに。
 


「秋聲とお座敷あそび」
 2013.4.23

 19日、おかげさまで初めての試み「秋聲とお座敷あそび」が無事終了いたしました。東料亭組合さんご協力のもと、当館サロンに「八しげ」さん所属の夢のように華やかなる芸妓・涼香(すずか)さん、かつ代さんと美人オーラ満開の地方さんにご登場いただき、いつもの秋聲記念館とはまったく異なる嘘のような異空間を提供していただきました。

とはいいつつ、背景の梅ノ橋とはベストマッチング。秋聲記念館でしか生まれぬ絶妙空間でもありました(あいにく後方は簾ですが右方はちゃんと梅ノ橋全開なのです…)。
 芸妓さんの誘いに応じてお座敷太鼓に参加されたお客さまはみなさんお上手!太鼓の音がお腹の底に心地よく響きます。

 素晴らしい舞台とお客さまの一方、会場設営や受付方法など行き届かぬ部分も多く、皆さまにはたいへんなご迷惑をおかけいたしました。この場を借りて陳謝いたします。もし来年も開催できればもっと上手に進行できるかと思われます。来年もお招きできるよう、秋聲記念館精進して参ります。

 何度も下見に足を運んでくださった女将さん、狭い会場で非常に踊りにくい・謡いにくい状況下にも嫌な顔ひとつせずプロの技を見せてくださったお三方に心からの感謝を献げます。心からの感謝を献げながら後片づけをしつつ、控え室の残り香に「いいかおり!いいかおりですよ!!」とはしゃいで申し訳ありません。
 東山、最高にいいところです。  



「蕈(きのこ)」という作品もあります
  2013.4.19

  町田市民文学館ことばらんどの学芸員さんから「滑稽とペーソス 田河水泡“のらくろ”一代記」展の図録その他を送っていただきました。有難いことに毎度お世話になっている全国津々浦々の文学館から日々、図録の類が館に到着いたします。たいていの場合にご笑覧ください、と慎ましく添えられておりますが、どうして笑ってなど見られましょうか。餅は餅屋とも言うべき各分野専門家による渾身の図録は、どの資料よりもギュッとまとまっており、そして何より制作陣の「この魅力をどうにかして伝えてやろう」との気概に溢れています。

 「のらくろ」展に秋聲は登場しませんが、とあるご縁により展示を観覧する機会に恵まれ、対象への深い理解と愛情に満ちた構成にたいへん感銘を受けました。作者・田河水泡と秋聲…ぱっとその交流の記録が出て来ませんが、田河水泡の弟子・杉浦茂氏が秋聲経営のアパート・フジハウスに寄宿していたことを自伝に書き残しています。

 町田と秋聲の可能性…町田さんの次回は明日より「漢字がCOOL!?-変容する文字デザイン-」展…秋聲の…「聲」の字…so cool……。夏の企画展は「「きのこ文学」ワンダー・ランド~きのこ文学の森へようこそ~」…秋聲…カビ…きのこ………思いきっていかがでしょうか。

                「黴」新聞連載時のカット。
               生えてきちゃってますけども→

 


「えらくなるぞ!えらくなるぞ!」©島清
   2013.4.18

 島清とはご存じ石川県美川町(現白山市)出身の小説家・島田清次郎の愛称です。現在の「ひがし茶屋街」展中、彼が幼少期を過ごした「にし茶屋街」との絡みでほんの少しだけご紹介させていただいております。
 『地上』という超ベストセラーを世に送り出しながら、スキャンダルのため凋落した天才作家。平成21年、生誕110年を記念して当館で企画展を開催したこともありました。

←当時のチラシ、男前です。

 その展示を見たんだけどね、と昨日ひとりのお客さまがお見えになり、今こそ島清再評価の機運なり!との熱弁とともに、スキャンダルから裁判沙汰になったときに弁護に奔走したのが他ならぬ秋聲ということで、前回の鏡花展も見たけど秋聲ってのは面倒見のいいひとだねえ…とのご感想をいただきました。ええ、どうもそうみたいです…と差し向かいに腰掛けつつ無意味に恥じらいながら同意させていただきました。 
 余談ですが、島清の天才っぷりに魅入られたのが金沢にもゆかりある詩人の中原中也。16歳で「犀川の 冬の流れを清二郎も 泣いてきゝしか僕の如くに」との短歌を地元新聞に発表していますが、おっと清次郎の次の字がまちがっています。そして翌月、中学校を落第します。ついでにもういくつ寝ると清次郎の命日であり、なんとびっくり中也の誕生日でもある4月29日です。



「浅の川園遊会 八尾おわら流し」
  2013.4.17

 ご報告が遅くなりましたが「桜の季節…」と同日夜、ひがし茶屋街のメインストリートで「浅の川園遊会 八尾おわら流し」が開催されました!日中から引き続きの好天により、今年も茶屋街はおおにぎわい。例によって群集の頭の隙間からカメラを差し入れ撮影してみましたが、予想通りの残念なできばえです→

 技術のことはいったん棚に上げまして、夜間に、しかもゆったりながら動いて歩く被写体を頭の隙間から撮影するのは非常に困難なのですが、実際に見る分には臨場感があって素敵でした。

 いちばん広いとはいえ、二番丁の広いというにはさして広くない通りを流れていきますので、たいそうな至近距離。お茶屋さんの二階から身を乗り出している観客からの「よっいい声だね!」といった掛け声もあいまっていい雰囲気です。
 踊りの最後には広見にて輪踊りになるのですが、幼少期の秋聲が茶屋街中にあった親類の家の二階から、〈大きな輪を描いて躍っている一群の男女を不思議そうに見ていたことがあったが、(中略)少年の胸に異常な衝動を与えた白粉の匂いをかいだのも其の時だった。〉(『光を追うて』より)と回想しているのもちょうどこんな感じだったのかもしれません。



「桜の季節のおもてなし」終了!
  2013.4.16

 近日稀にみる驚くほどの好天に恵まれまして、春の呈茶会無事終了いたしました。井奈宗孝社中さんはじめ、米沢茶店さん、吉はしさん、ご参加くださった皆々様、春の嵐に耐え咲き残ってくれた桜たち、そして開会前の換気後閉め忘れた窓をそっと閉めてくださったどなた様かに厚くお礼申し上げます。

 当日は老いも若きも美味しいお抹茶「秋聲の白」と銘菓「風の桜」に舌鼓。なんとくりくり頭の6歳の男の子から「おいしいね!」「デザインもすてき!」との有難くもかわいい讃辞をいただき、聞き留めた職員もほっこりさせていただきました。
 当日特別に展示した秋聲自筆短冊や、そこにそっと添えられた井奈家庭園ご出身の椿「ひな桜」、常磐碇草(トキワイカリソウ)、二輪草(ニリンソウ)も参加者の注目の的でした。「ときわ…ときわ…?」とその名前を何度きいても覚えられない駄目っぷりにも「ほら、形がイカリに似てるでしょ?」と優しく教えてくださる井奈先生。「職員のみなさんもお茶召し上がって?」と気遣ってくださる奥さま。こちらのマゴマゴにも決して怒らずさくさくそれぞれのお役目を果たされる井奈宗孝社中のみなさま。お茶をいただかずともたいへん心温まるイベントとなりました。それはそれとして、お茶もしっかりいただきました。
  
 追伸、下記のお便り事件、本日宛先のご本人さまよりお電話いただき、
    無事解決いたしました!本日付けで捜査本部は解散です。


茶屋街展ポストカード
 2013.4.13

 館に館宛てでない一枚のハガキが届きました。県外のどなたかにお便りを出したところすでに転居されていたものか宛先不明、そして親しい間柄なのでしょう、差し出し人のほうも名字だけが簡素に記され住所の記載がなかったためにしかるべきところに返せずやむなく記念館に…なぜ記念館に…?
 というのも、そのお便り、今回の「ひがし茶屋街と秋聲」展にあわせて特別に制作したポストカードが使用されているからなのでした。販売物ではなく、宣伝用として今回のチラシの両面をそのまま紺・柿渋2種類のポストカードとして館受付ほか、茶屋街のお店に置いていただいているフリーのものです。逆に言うと館か茶屋街の一部店舗でしか入手できないものなのですが、それを使ってお客さまが県外のお知り合いにお便りを出してくださったというわけです。
 いちおう制作主として館の連絡先など基礎情報のクレジットは入れておりますが、職員ならずとも広く使っていただきたいとの思いから、メッセージを書く面に記念館の名前は入れませんでした。お手にとられた方、どうかご遠慮なく使ってやってくださいませ。

←横の黒ペンはサイズ感演出のため…

 当のハガキはなんとかして宛名の方にお届けすべく事務局内に捜査本部をたちあげました。



おやつレポート その10
 2013.4.11

 旧ホームページの時代からよろよろと続けて参りましたおやつレポートも早いもので第10回を迎えました。自発的に調達したものは何ひとつとてなく、毎度みなさまからのあたたかいお心遣いにより成り立っております記念館のおやつの時間でございます。

 そして今回のおやつは厳密に我々のおやつのためのおやつではなく、いよいよあさって開催「桜の季節のおもてなし」でお出しする生菓子の試作品です。かの名店「吉はし」さんから届けていただきました。ただフライング厳禁!ということで、小賢しくも紗をかけてご覧にいれております→

 うすらぼんやりと写っているふたつのうちどちらかが当日登場いたします。銘は秋聲の俳句より「風の桜」と決まりました。ここ数日間心の支えとなってくれた魔法の呪文「花はさかりに…」精神が体現されたような落ち着いた雰囲気。

 実際のお色味やらお味やらのディティールは、当日是非その目でご鑑賞のうえ、ご賞味ください。若干中の若干ですが、もうすこしだけお席に余裕がございます。 



開館8周年の9年目
  2013.4.10

 去る4月7日、当館は開館8周年記念日をむかえました!
 当日は記念講演/連続講座第1回として、元金沢市史専門員の前田佐智子先生に「概説 ひがし茶屋街」と題してお話をいただきました。たいへんな悪天候のなか、なんとお申込みいただいたほとんどすべての方にご来館いただき、おかげさまで大盛況のうちに幕を閉じることができました。
 
 前田先生は『金沢市史』で茶屋街の項執筆を担当された第一人者。その成立の背景とともに、実際にご自分の足を使って掴んできた情報とその調査にまつわる裏話なども交え、濃密かつ軽快な前田節を披露してくださいました。途中、休憩を…との申し出にも、「いいえ、わたくし止まりませんよ!」とエンジン全開。サロンはご覧のとおり黒山の人だかり、外を吹き荒れる春の嵐にも負けない熱気と相成りました。
 前田先生、ご来館くださった皆々様、ありがとうございました。この勢いをもって、5月18日(土)第2回講座も絶賛受付中です!
 


「秋聲のみち」の桜
  2013.4.8
 本日から梅ノ橋と浅野川を見下ろす2階文学サロンに観桜席を設けました。

    今年も「秋聲のみち」に咲きほこる桜を是非見にいらしてください。
  ↑こちらが観桜席からの眺め
(の一部分です・・・。)


新館長就任!
  2013.4.6
 平成21年より当館館長をつとめておりました小林輝冶に代わりまして、このたび上田正行新館長が誕生いたしました!先月の入門講座「チビの魂」講師や一昨年の秋聲忌で秋聲の盟友・桐生悠々についてご講演いただいたことなどもあり、ああ、あの方!とおわかりになる方も多いのではないでしょうか。小林前館長とも親交が深く、秋聲悠々並みの盟友でいらっしゃいます。
 本日が初出勤となりまして、館の今後の方針もろもろ早速3時間半みっちり打ち合わせを行いました。秋聲令孫・徳田章子名誉館長も東京からお見えになりご挨拶。猫のシャー営業部長はお見えにならずご無礼をば。
 
 空はだんだんどんよりとして参りまして、秋聲のみち沿いのぼんぼりも見る間にはずされましたが春の嵐には負けません。秋聲記念館心機一転、いよいよ明日開館8周年をむかえます!新体制でよろしくお願いいたします!   



天気と気が合わない
  2013.4.5

 おかげさまで、8周年の開館記念日であります7日開催予定の連続講座第1回「概説 ひがし茶屋街」のお申込が定員に達しました!これからのご参加を検討されていた方、申し訳ありません。キャンセル待ち、あるいは立ち見であれば可能かと存じます。もしよろしければご来館ください。
 通常「キャンセル」という悲しい可能性はあまり視野に入れませんが、今回敢えて口にしてみましたのはどうやら週末に日本列島を襲うらしい爆弾低気圧とやらの噂のため…。よもや大荒れになった場合、お客さまをはじめ、最悪講師の先生も来館困難という事態が考えられます。今日の驚くほど綺麗な晴天からはとても想像できませんが、朝一番で「館外の企画展タペストリーいったん外しにいきましょうか?」と展示業者さんから電話がかかるなど、ちょっとずつ緊張感が増しています。

 よりによって開館記念日に~!!とは勝手な言い分ですが、何かとお天気と気の合わない今月。生憎の雨ですね~くらいでなんとか穏便に済ませてもらえないか、とにかく日頃の行いと言われないよう今は粛々と日常業務に励むばかりです。
 
 ↑日常業務の合間に粛々と差し入れのお花見団子をいただきました。


桜によるおもてなし
 2013.4.4

 13日に控えております当館イベント「桜の季節のおもてなし」が徐々に、しかし確実に嘘になりかけている今日この頃、みなさまいかがお過ごしでしょうか。「秋聲のみち」沿いの桜は今が全盛、みなさま方を全力でおもてなししているその見事な満開ぶりの後ろに、平家物語並みの無常観でもって兼好法師並みに早くも葉桜を透かし見ております徳田秋聲記念館でございます。
 花はさかりに、月はくまなきをのみ見るものかは…。折に触れブツブツと唱えることで、時季を見誤ったという深い傷をどうにかこうにか縫い合わせ、満開の桜のもと息を潜めてかろうじて生存しております。
 とはいえ花より団子、この機会に井奈宗孝社中によるお点前にて、東山の米沢茶店さんの銘茶、そして吉はしさんの銘菓をどうぞご賞味ください。お申込、まだまだ受付中です。

 そして本日、館常連のチビッ子たちから傷口に塩を塗る…もとい、本当の意味での「桜の季節のおもてなし」を受けました!「わたしたちがあつめました。どうぞ。」とたどたどしい丁寧口調で袋いっぱいに拾い集めた桜花を差し出してくれたかわいい3人組。おかげさまで館外館内ともに桜の花が満開です。
 


椿と三文豪
  2013.4.2

 とある心やさしきお方から「三文豪がかわいいことになっていましたよ!」とお写真を送っていただきました。

 あっかわいい…!

 白鳥路の三文豪像、画像が小さくて恐縮ですが、おのおの方その手に椿の花をもたされています。どなたか思考回路のたいそう可愛らしいお方が、落ちた椿をもたせてくれたもよう。今年度いちばん乗りのほっこり画像に認定です。

 本やら兎やらアイテムの少ない秋聲先生は軽く握った両手に椿をギュッ!シンプル!……いや、もしかして手品中?手からお花を出すマジック中?

 「ほら、お花。すごいだらう―?」

 自信満々にかちょっとドキドキしながらか、あの渋面からは読み取れませんが、その渋面の掌からよもやお花がでてくるだなどと誰が想像できるでしょうか。不器用そうな秋聲先生、きっと全然手際は良くないのでしょうが、そのギャップを加味してスタンディングオベーションを贈りたい気持ちです。
 帽子のなかにもいっぱい仕込まれていたらどうしよう…?覚えたての手品を会う人会う人に披露なさっていたらどうしよう?
 通りかかられた方、帽子の中は決して覗かないであげてください。



秋聲の嘘
   2013.4.1

 「このごろ読んだものの中に、徳田秋声氏の『あらくれ』がある。『あらくれ』はどこをつかまえてもうそらしくない。このうそらしくないのは、この人の作物を通じての特色だろうと思うが、世の中は苦しいとか、けがらわしいとか――けがらわしいではあたらないかもしれない、女学生などの用いることばに、「ずいぶんね」というのがある。わたくしはそのことばをここに引用するが、つまり世の中はずいぶんなものだというような意味で、どこからどこまでうそがない。
 もっとも、他の意味で「まこと」の書いてあるのとはちがう。したがって、読んでしまうと、「ごもっともです」というようなことばはすぐ出るが、「おかげさまで」ということばは出ない。」

 オッ!4月の1日か!との浮かれ気分で「秋聲 嘘」と脳内検索してみると、上記の言葉がヒットしました。かの文豪、夏目漱石の秋聲評「文壇のこのごろ」(大正4年10月11日『大阪朝日新聞』)です。秋聲の嘘についてなにかエピソードを…と思いきや、秋聲には「どこからどこまでうそがない」とのこと。企画倒れです。

 思いもかけず、エイプリルフールでした!チャッチャラ~!では終わらない深い問題を提起して、新年度が始まりました。この漱石先生の批判に対し、秋聲の「まこと」を追求する記念館、今年度もよろしくお願い申し上げます。



「不安のなかに」完結
  2013.3.31

 本日31日をもちまして、不定期連載「不安のなかに」が完結いたしました。関東における震災と金沢における姪の結婚、ふたつの騒動が同時進行するこの作品、読み方によっては結婚騒動のほうにより重きを置いているような主人公「十時」の様子がやけに安穏にも映ります。
 ある意味でパラレルな物語の展開ですが、一方の様子がまったく描かれないのはひとえに「わからない」から。そんななかで、見えないあっちは「A、大丈夫なのだろう」「B、大丈夫じゃないかもしれない」という思考の岐路に立たされたとき、ついAの方向を取りがちなのは単に楽観的だからではなく、おそらく秋聲のよく言うところの「無精」さゆえ。現実を見つめることの大儀さから逃れているのではないでしょうか。そして目の前で巻き起こる結婚騒動はその煙幕として最適です。

 ただ、無精さという性向を「十時」個人的なものとして置いておくにしろ、「わからない」ということは何にも勝る「不安」なのだと、この作品は痛切なほどに物語っています。

 完結と同時に、2階サロンでのミニ展示「『不安のなかに』―関東大震災と秋聲」も終了、資料もタペストリーも撤去し、いつも通りのサロンに戻りました。
 サロンから見える桜もちらほら咲きはじめ、ハクモクレンにいたってはひと足お先にすっかり満開です。
 


館報発行
 2013.3.30

 「夢香山」第5号、無事納品となりました!現在、鋭意発送作業中、間もなく市内主な公共施設でお手にとっていただけるかと存じます。館内では、一足先に配布開始。ロビーにてテイクフリーとなっておりますので、ご興味のある方は是非お運びください。
 今回も「チビの魂」でお馴染み國學院大學教授・上田正行先生の特別寄稿にくわえ、「横山家と秋聲」展でお世話になった旧横山家別荘「辻家庭園」ご当主・辻卓氏の講演録も掲載させていただき内容の濃いものとなりました。

 毎号、テーマカラーを変えていますが今回は落ち着いた紫。どこかで見たような…?と思えば、グッズ紹介のコーナーに登場するオリジナル文庫『仮装人物』の表紙の色でした。残念ながら掲載写真等々はモノクロですが、『仮装人物』の表紙の色を知りたい方は、ああ、こんなお色味か…と思っていただければだいたい間違いありません。 
 近々PDFで当ホームページでも公開いたしますので、ご遠方の方もうしばらくお待ちください。
 


「第3回 桜の季節のおもてなし」のお知らせ
 2013.3.28

 関東における満開の桜におびえつつ、今年も開催を予定しております「桜の季節のおもてなし」。昨年4月14日に開催した際にはうまい具合に満開ど真ん中、それにしたがい今年もその周辺13日(土)に設定いたしましたが実際のところどうなのでしょうか。それまで桜はもつのでしょうか。
 観桜席も8日(月)~14日(日)まで設置いたしますがどうなのでしょうか。観桜席だなどと謳って嘘の広告になりはしないでしょうか。

 そういえば去年はなかなか桜が咲かずにやきもきしたことを思い出します。そしてなかなか咲かなかったために観桜席を急遽21日まで延長したことが過去の寸々語に記されておりました。
 なにやら金沢での開花は1日との噂。なのにイベント申込受付は2日から…。しかしさすがにこればかりは頑張ってどうともならぬものと諦めて、せめて4月7日、開館記念日に満開となってくれれば有難いことと受け止めます。

←「秋聲のみち」の桜並木は準備万端…!



ポケットから『自然主義文学盛衰史』
 2013.3.27

 お家に帰ってみて、ポケットからうっかりどこぞかの鍵、しまい忘れた赤ペン、使い果たされたティシュー、などがポロリと出てくることはままありますが、昨日帰宅後、ズボンのポケットからうっかり正宗白鳥著『自然主義文学盛衰史』の文庫本が出てきたときには驚きました。

(※写真は再現です。)

 昨日来館された記者さんと茶屋街展きっかけで秋聲の芸者さんの描き方についてお話をしていて、白鳥さんが同書で「他の作家がいかにも芸者芸者している女性を描くのと違って、秋聲の描く芸者は普通の女が芸者を稼業としているだけのもの」という旨のことを言ってくれてます~と紹介したまま取り急ぎポケットにしまい、出し忘れてしまったようです。文庫サイズとはいえ、なかなかの容量。よくもまあお家までうっかりしたものです。

 白鳥さんの言うように、「芸者であっても、有るがままに、特別の色彩が施されないで出現」させるのが徳田秋聲の視点と感性、そして筆力。あくまでも「生地の人間」を描き続けた秋聲文学の本質を言い当てるものとして、ずっとポケットに入れておきたい一節です。 
 
 

資料調査の旅
  2013.3.25

 茶屋街展開幕から一週間、余韻に浸る間もなく次回企画展に向けて資料調査を開始しました。次回は「秋聲と少年向け読物」(仮)をテーマに、秋聲の描く童話(のようなもの)を中心にご紹介します。いかんせん仮称なもので、予告として出回っているタイトルには「読み物」だったり「読みもの」だったり「読物」だったり、うろちょろしておりましてたいへん恐縮です。正式タイトル決まり次第、またこちらでもお知らせいたします。

 さて、資料調査のため東京は永田町、国立国会図書館に行って参りました。明治期の新聞をカシャカシャマイクロフィルムで閲覧のうえ、ちょっと行かぬうちにすっかりハイテクになった印刷システムでお目当ての部分を複写。「複写サービスは6時で終了します…」とのアナウンスにバタバタと館内を駆け巡り、イレギュラーにもカウンターのお姉さんにしおり挟み作業(アナログも健在)を手伝っていただきつつなんとか時間内に調査を終了することが出来ました。そちらの成果は7月13日からの企画展にてご披露いたします。

↓ 結果こんなことをしている場合ではなかったとの反省にまみれた入館前の一枚。

 
 噂に違わず満開でした。
 



さくら&ハクモクレン
  2013.3.22

 すっきりと晴れわたり、昼間は4月のような暖かさの金沢でした。浅野川沿いの桜並木にはぼんぼりが取り付けられ桜の開花を待つばかりとなりました。

←つぼみがプクプク膨らみはじめました・・・。
 

 さて、昨年春にも紹介したハクモクレンですが、こちらもつぼみがずいぶん膨らんでいます。ここまで膨らむと、あと4、5日で満開になりそうです・・・。
            


第2回のゆくえ
  2013.3.20

 茶屋街展のチラシが一部物議を醸しているようで、こちらにてお詫びと釈明です。

 紺色の面の下のほうにまとめてあるイベントの告知欄。「連続講座」ときて「第1回」があって、その横に「第3回」の何やらがあって、そうするとアレ第2回は!?と疑問に思われた方からちらりほらりとお問い合わせをいただきます。

            ココ→



 たいへん申し訳のないことに「連続講座」と書きながら予告しているのは初回のみで、第2回以降はスペースの関係上省かせていただいております。その横にある「第3回」を数えますのは「桜の季節のおもてなし」。サロンでお抹茶と生菓子を提供するイベントで、五周年記念の年にはじまり今年で第3回目となりました。
 浅はかにも1と3とを無邪気に並べてしまったがゆえに、どうしても2を探させてしまうというたいへん不親切な書き方になってしまい申し訳ございません。
 「連続講座」の第2回以降は、コチラのようになっておりますのでご参照ください。各回受付につき、初回にまとめてお申込みいただく必要はございません。今のところ月に一回、全4回の予定です。「桜の季節」ともどもよろしくお願い申し上げます。
 


秋聲入門講座 最終回
   2013.3.19

 17日、今年度の入門講座の最終回を開催いたしました。
 國學院大學から上田正行先生をお招きして、傑作短編小説集Ⅰから「チビの魂」を解説していただきました。
(当初16日開催予定であったものが移動いたしました。お知らせが行き届かなかった皆さまには心よりお詫び申し上げます。)

 芸者置屋を営む圭子、子が欲しく猫の子でももらうようにひとりの女の子・咲子を引き取ります。しかし咲子はチビながらなかなか一筋縄ではいかない様子。あまり育ちの良いとはいえない咲子にその責任のすべてを押しつけて、もらったものの育てていく気を失った大人たちのエゴイズムがこれでもかと描き出されています。
 上田先生の熱のこもったお話に、参加者のみなさんは唸ったり頷いたり。徳田秋聲ここにありき、という鋭い筆の冴え渡る名品です。これは映画にどうですか?面白いんじゃないですか??とのお言葉に、ぐっとコブシを握りつつ(是非!どなたか是非…!!)と心の中で叫びました。上田先生ありがとうございました。

 さて、これにて今年度すべての事業が終了いたしました。次年度は入門講座を半期おやすみして、茶屋街にまつわる連続講座を開講いたします。広報、ホームページで随時お知らせして参りますので、ご参照のうえ是非ご参加ください。
 4月からもまた、よろしくお願い申し上げます。
 


茶屋街展オープン!
  2013.3.15

 おかげさまで本日無事あたらしい企画展「ひがし茶屋街と秋聲」開催となりました。ご協力くださったみなみなさま、ありがとうございました。

 初日にさっそく展示解説にご参集くださったみなさまにも厚くお礼申し上げます。さすが地元の方は茶屋街界隈のこともよくご存知で、逆にこちらがお話をうかがっていろいろと勉強をさせていただきました。またのご来館をお待ちしております。

 今回は茶屋街にあるお茶屋文化館さんや玉川図書館近世史料館さん、中村記念美術館さんのお力添えにより、普段の秋聲記念館にはあまり無い珍しい展示品が並びました。芸妓さん使用のかんざしなど秋聲には似合わぬ豪奢なよそおい。またただ絢爛豪華なのではなく、遊び心たっぷりな装飾がたのしい一品です。
 また、金沢蓄音器さんのご協力により、展示室には実際にひがしの茶屋街で録音された芸妓さんたちによる演奏をBGMとして流すことができました。今回のみ特別に設置した暖簾をくぐって展示室に入った瞬間から、すこしでも茶屋街の空気を感じていただければ幸いです。



わすれもの
 2013.3.14

 アラッ!?たいへん!和傘のデザインいれるのわすれてますよ!!!といった、本当にそうなら心臓が止まるくらいのショックを受けざるを得ない現在の館内タペストリーです。
 いつもチラシのデザインをすこし組み替え、企画展示室のまえにかけているタペストリー。展示案内のためのみならず、太陽の光が透けてとてもキレイね、とご好評をいただいておりますが、今回のものはチラシデザインそのままではございません。

 チラシでとても印象的な、深い紺に対しアクセントになっているあかい和傘。それがなく現在真っ紺。しかし心配ご無用、うっかり入れ忘れたのではなく、今回はわざと抜いております。
 何故そんなことをしたかといいますと、とあるご縁から和傘作家の山田ひろみ先生とお知り合いになり、秋聲記念館に、そして茶屋街展に和傘は似合いすぎるのではあるまいか!?というところから、作品を展示させていただけることになりました。
 というわけで、和傘のみ急に三次元。チラシのなかに、ひいては茶屋街のなかに飛び込んだ感覚が味わえます。それはそれはたいそう素敵ですので、是非タペストリーと和傘のコラボをその目でご覧くださいませ。



虫ピン林
 2013.3.12

 鏡花展撤去が完了しました。資料を片付け、パネルもすべて剥がし終え、すっかり何もなくなってしまった展示室です。

 そして鏡花と秋聲、小説家になるまですごろくのマスもひとつひとつ取り外したあとの壁がこう→

 画像ではとてもわかりにくいのですが、虫ピンが林立しています。まるでピンボールの台のようです。こんなに細かいパネルをちょこちょこと貼り付けることはあまりありませんので壮観です。

 ちなみに数えてみると100本ありました。100本もの虫ピンに支えられた二人の小説家までの道のり…これは早いところ名をあげないわけにはいきません。

 しかしそんな影の功労者をも一本一本ぶちぶちと引き抜きながら、明日からはひがし茶屋街の歴史絵巻にかわるんだよ、名残惜しいのはわかるけれどもはやく気持ちを切り替えなさいね、と壁に向かって語りかける展示替え2日目でございます。
   


怪談トーク報告および展示替え休館
  2013.3.11

 9日、石川近代文学館さんで開催されました「ふるさと怪談トークライブin金沢」大盛況のうちに幕を閉じました。さすが東雅夫氏、かまたきみこ氏、波津彬子氏の豪華揃い踏みということで、急遽椅子を追加しての超満員ぶり。ストーリーテラー三氏による軽妙なトークにお客さまは大満足だったのではないでしょうか。

 そんな中やぶからぼうに放り込んできたのは金沢時代、幼き秋聲が天狗に逢ったという体験談「屋上の怪音」。厳密には天狗にさらわれたかもしれない近所の子を秋聲兄たちが救助するお話ですが、身近に経験した不思議な話を「こういうのは本来鏡花の畠なんだけど…」と語っています。秋聲には珍しい怪異譚で全集未収録のお話ですので、ご興味のある方館までお問い合わせください。

諸先生方、石川近代文学館さんお招きありがとうございました。

←終演後、先に退場させていただき振り返ってパチリ。

 さて館のほうでは昨年11月より開催して参りました企画展「泉鏡花といふ男」が昨日無事会期終了と相成りました。お運びくださった皆々様に厚くお礼申し上げます。

 本日より4日間ほど休館をいただきまして、次回「ひがし茶屋街と秋聲」に向けて展示替えを行います。15日より開館となりますので乞うご期待です。
 


紙先行
 2013.3.9

 例によって企画展示用テイクフリーのガイドペーパーを作成中です。現行の鏡花展では、鏡花フェスティバル絡みということもあり、秋聲の鏡花論「泉鏡花といふ男」を抄録したちょっと立派な小冊子(おかげさまで会期終了を待たずに在庫なくなりました。ありがとうございました!)をガイドペーパーの代わりとさせていただいておりました。そしてその調子のまま今回のスケジュールからスコンと抜け落としておりましたが、次回茶屋街展では相変わらず手作り感満載のガイドペーパーをお持ち帰りいただけるよう慌てて準備中です。
 いつも企画展ごとのイメージカラーを反映させている用紙の方はすでに届いてしまった模様。届いたからとて、肝心の原稿がいまだ完成しておらず、縄はとっくに綯われているのに盗人なんかひとりもいないよ!というみょうちきりんな状態となっています。

 ちなみに今回の縄は柿渋をモチーフとしたお色味にいたしました。チラシ制作の折に、今回は紺と柿渋、どっちも主役!と宣言しておきながら、タペストリー、ポスターには両方紺を抜擢というあからさまなる依怙贔屓をしてしまったため、柿渋さんにはこちらでなんとかお許しねがいたいものです。
 


「ふるさと怪談トークライブin金沢」
 2013.3.8

 石川近代文学館さんで明日9日(土)開催の標記イベントに当館も呼んでいただけることになりました!文芸評論家の東雅夫氏、漫画家のかまたきみこ氏、波津彬子氏のメイントーク「取材迷宮」の前座として、地元学芸員座談会「石川の怪談文芸・芸能と歴史」にちょこっと出演させていただきます。
 へえ、怪談……に秋聲…?とそのミスマッチ感に誰しもが気づいてしまうこと受け合いですが、呼んでいただいたからには秋聲先生なけなしの怪談話をひねり出してお邪魔する所存でございます。

 ちょっと正夢の体験を書いただけで「秋聲に珍しく」と言われてしまう秋聲先生。あの鏡花さんにお化け書くのやめなよ~と言ってしまう秋聲先生。そんなリアリズムの鬼・徳田秋聲の語る怪談話、逆に気になってしまうのではないでしょうか。
 参加費無用、申込不要ということですので、明日16時はぜひとも石川近代文学館へ! 

 チラシイラストは波津先生書き下ろしだそうです→



ほっこりスポット・ひなまつりポスト
 2013.3.6

 ちょっと語感の似た感じのタイトルにて失礼いたします。すっかり春めいてきた好天のもと、国指定重要文化財・お茶屋の志摩さんご主人に茶屋街のいろいろを教えていただきつつ、ひがしの茶屋街を相変わらずうろちょろしておりました昨日です。そんななか、せっかく面白いのに残念ながら決して企画展示室ではご紹介できない茶屋街の見どころを代わりにこちらでご紹介。
 茶屋街随一のほっこりスポット・観音通りのポストがすっかりひなまつり仕様になっておりました!↓
 もともとお内裏様とお雛様のペアがしばらく飾ってあったそうですが、3月3日を過ぎてなお、もうワンペア増えるというこの強心臓ぶり。しかもヒトでなくウサギ!あわせてお花も二倍に!しかもお顔にあわせてピンク!

 ほっこり感も三割増しです。

 初めてご覧になる方に再度申し上げたいのは、こちらの床の赤いのが特に展示台などでなく、ふつうのポストだということ…。同じ道の大通り寄りには円筒フォルムのレトロポストもございまして、どうせならそちらに投函したい気持ちを横からぐぐっと揺さぶってくるコチラのほっこりポストを今後も見守っていきたいところです。
  



「第四回ふるさと文学を語るシンポジウム」
    2013.3.5

 3日、富山文学の会主催のシンポジウムが富山市の高志の国文学館で開催されました。
 当館の小寺菊子展の際にもたいへんお世話になった富山大学の金子幸代先生による発表「小寺菊子―徳田秋声と三島霜川」をはじめ、富山にかかわる作品群の発表があり、秋聲と聞いては!と勇んで参加して参りました。

 小寺菊子さんは女性にして秋聲の一番弟子として知られていますが、秋聲に作品をまともに読んでもらったことはなかったそう。また秋聲宅で、正宗白鳥さんから「女が小説なんて書いて、何が面白いんかね?」と、かの皮肉な調子で言われ、かなりの衝撃を受けたことなどを秋聲を中心とする「あらくれ会」機関誌、その名も「あらくれ」に書いています。秋聲はその後記にて、ああいう言い方は白鳥君のくせだから…として、あんまり重く受け止める必要はないよ~とフォローしています。自らガツガツ指導するタイプではなかったようですが、女性が文学を志すことに対してはとても温かな眼差しをもっていました。
 年齢も8つしか変わらず、また自身と同じく文壇で長く作品を書き続けた小寺さんの存在は、秋聲にとって弟子というより〝同志〟であったようです。
 小寺さん曰く、秋聲の第一印象は〈皮肉な叔父さん〉。皮肉屋代表・白鳥さんとともに、皮肉な叔父さんたちが大集合の秋聲宅です。



金魚の水が
    2013.3.2

 不定期連載にて、1日より件の短編小説「不安のなかに」の連載を開始いたしました。今回は秋聲自身による区切りそのままの全5回でお送りします。
 
 大正12年9月1日、関東大震災が発生した当時、秋聲は姪の結婚式のため金沢に帰省していました。そこで微弱な揺れを感じ、関東のほうで大きな地震があったことを知るのです。
 東京に残してきた家族のことを案じる秋聲。しかしなかなか情報は入ってきません。
 
 自分は東京に帰る者なのだという証明書を発行してもらい、10日ほど経ってようやく帰京が許されます。

 実際に、もてるすべてを破壊されるかのような衝撃を受けたわけでなく、主人公・十時が日常と非常(非日常ともすこし異なる)との間をさまざまな不安に複雑に揺さぶられながら行き来するさまがなんともリアルな作品です。
 ミニ展示を終える3月中にこちらの連載も完結させる予定ですので、あわせてご覧ください。

 
 


「不安のなかに」―関東大震災と秋聲
   2013.2.28

 全国文学館協議会の発声により、おおよそ明日から全国の加盟館中39ヵ所にて共同展示「文学と天災地変」が開催されます。3月11日を含むそれぞれの日程で、東日本大震災をはじめ、関東大震災、阪神淡路大震災等の天災を文学者たちがどのように描いてきたか、時代・地域を超えて一同にご紹介するものです。
 三文豪館ではそれぞれ下記の展示をすることになりました。

 泉鏡花記念館  『露宿』『十六夜』『間引菜』―関東大震災と鏡花〔~3月31日〕
 徳田秋聲記念館 『不安のなかに』―関東大震災と秋聲      〔~3月31日〕
 室生犀星記念館 関東大震災―その時犀星は           〔~5月10日〕

 大正12年9月1日、三人が同じく経験した関東大震災を三者三様の状況・立場・視点から描いた作品たちをご紹介します。規模で言うと当館ではほんのワンコーナーになりますが、ちいさなケースのなかにとても大きな秋聲の不安が詰まっています。
 
←本日閉館後、設営終了いたしました。

 

「三日」の価格変動
  2013.2.27

 「三日坊主」やら「三日天下」とは長続きしないことのたとえですが、いやいや3日もやったのやらたいしたものじゃないか、3日ってけっこう長いんじゃないのかな!といった方向に脳みそが無駄稼働してしまう3日間がほぼ毎年のようにやってきます。
すなわち今日を含む昨日と明日。
 つづけて29・30・31日があるものだと思ってスケジューリングを行うとたいそう痛い目に遭うのです。いえ無いものだとはわかっていますが、あとの11ヶ月という大多数に慣らされた頭と身体はつい存在しない2日ないし3日間を夢想してしまうもの…。
 そして、毎年のように、あっ今月って…!?と驚愕のうえ、あああ…あと…3日…あれば…と息も絶え絶えに最初から無かったものに対する愚かな無いものねだりをしてしまうという2月末日。
 昨日もデザイナーさんと電話にて「じゃあ29日に…」「あっ29日という日は…」「無かったですね!!」という軽妙なやりとりをなんだかんだで楽しみました。

 ちなみに秋聲先生における「三日坊主」はよくあるところの日記です。さすがに3日は言い過ぎですが、長男一穂さん曰く、ろくろく続かない日記が計27冊残されていたそうです。
                         中身は真っ白、0日坊主日記↑


「夢香山」制作中
  2013.2.26

 なんとも雅な「夢香山」とは当館館報の題名です。秋聲の愛した卯辰山の別称で「むこうやま」と読みます。秋聲の自伝小説『光の追うて』の主人公の名は「向山等」。この字を書いて、むこうやま、むかいやまと読むこともあります。

 さて、年刊の館報編集の時期がやって参りました。おおよそ3月に発行しているこの館報、次回で第5号となります。今年度の事業やら企画展やらのご報告とともに、特別寄稿やら講演録やらギュッと8ページに盛りだくさん。先日初校があがって現在全館をあげて鋭意校正中、発行までもうしばらくお待ちください。

 ちなみにこの館報「夢香山」は当ホームページからもPDFでご覧いただけます。そのまんま館報「夢香山」ボタンをポチッと押していただくとページが開きますが、そのページの左に輝く美しい薄明はまさに「夢香山」から見下ろす金沢の街並。厳密に「夢香山」の写真ではありませんが、その字の醸す「ゆめかおる山」感は満載です。

 ↑逆に日中はあまりゆめかおりません。


「お茶」リスペクト精神
 2013.2.24

 不定期連載中の「初冬の気分」、無事完結いたしました。おかげさまで小野家の住宅紛争にも蹴りがついたようです。ありがとうございました。
 さて、前回のまんじゅう対アップルパイ論争もなかなかのものでしたが、今回イチは主人公・小野の窃かなる「お茶」リスペクトの告白です。

 彼は「お茶」なしには、日本の住宅と庭を語ることは、殆ど不可能だと思っていた。

 そうでしょうか?ほんとうにそうでしょうか?家の劣化や弁護士への不審を書き連ねるついでに何気なく言及しているためつい見過ごしてしまいそうになりますが、これはスルーしておいての二度見レベルです。むしろ二度読みするべきこの哲学。
 おそらく「お茶」なしにも、日本の住宅と庭を語ることは十二分に可能だと思われますが、そこは譲歩のうえちょっとだけ目を閉じて「お茶」のある日本の住宅と庭をご想像いただければ不覚にもほっこりしてしまうことも間違いなし…というわけでここは渋々ながら釈放することにいたします。

 秋聲先生は淡々に秘して急に大胆なことをお書きになるのでまったく油断なりません。

                秋聲こだわりの鉄瓶→
   


パネル続々
 
  2013.2.23

 次回企画展、無事にチラシも校了となりましてほっと一息…ついていてはいけませんいけません。発送作業が着々と、そしてパネルのデザインが怒濤のごとく次々と届いています。
 パネル校正完了!→タペストリーデザイン到着!→校正完了!→キャプション到着!→校正…のネバーエンディング校正ストーリー。デザイナーさんの仕事の早さに脱帽です。
 よちよちと赤ペンを進めながらふと気が付けば、222の日にシャー営業部長の残した足迹ひとつふたつ…。あのふわふわの手を貸しにきてくださった営業部長のお出ましにも渾身の癒し顔にも目をくれぬまま、時すでに223の日です。
 受付さん曰く、営業部長の存在と無言の圧によって外一枚目の自動ドアが開くことはままあるそうですが、二枚目の内ドアは手でプッシュした上で開くシステムなのでお猫さま進入不可。シャー…おまえだったのか…(©新美南吉。アッ生誕100年没後70年ですね!)とつい呟きたくなるその置き土産=お手伝いの気持ちの足迹だけでも十分に癒されます。
 営業部長、大丈夫です。中はこちらで守りますので、お外で存分にご活躍ください。 

 


ねこの日
   2013.2.22


 
 「わたしの手を貸しに来ましたよ!」と
言いながら(?)足迹を残していくシャー営業部長。

 学芸員さんは次の企画展準備で大忙し。
「わたしのこの顔で疲れを癒してね!」
 
                    ( ↑ 暖かい季節の顔 )


ラジオ収録
   2013.2.20

 エフエム石川さんの番組でちょこっと次回企画展紹介をさせていただけることになり、昨日その収録を行いました。

 すこし打ち合わせをしてハイハイこの段取りで…からのワンツードーン!開始!終了!あっ終了…!?といった具合の手際のよさ、回転の速さ。前回もいたく感動いたしましたが、プロのアナウンサーさん、そしてスタッフさんというのは素晴らしい技術をお持ちです。
 収録を終えてみての感想といたしましては「いや秋聲はもっと面白いはずなのに…!」の一言に尽きますが、今はアレが精一杯…。秋聲の推薦人であるところの館としてあまりにも青柿にすぎるトークを激しく悔いつつ、収録後、資料に付すキャプション書きの作業にその後悔の念のすべてをぶつけました。

 あら、キャプションがいつもよりくどいわ、うすら熱いわ、とお思いになりましたら、アッあのときの後悔の念…!と察していただければ幸いです。

←桃の節句に徳田の秋聲を猛プッシュ。






第6回 輪読会
    2013.2.19

 16日、今年度最終回の輪読会を開催しました。今回のテーマは「喰はれた芸術」。秋聲が生前に発表した短編小説としては最後となる作品です。
 企画展にちなみ、K・Iなる泉鏡花、そしてK先生なる尾崎紅葉が続々ご登場(後半にはK氏なる菊池寛までも。K率の高さ、ややこしや…!)。

 紅葉没後の紅葉夫人との交流を描いた作品ですが、そことの関係性をとおしてすでに亡き鏡花と自身を引き比べてみたり、秋聲が実はずっと心のなかに抱えてきたのであろう複雑な思いがこれでもかと織り込まれており若干胸が苦しくなります。
 そして苦しくなるのはそんな切ない心情からばかりでなく、秋聲の描く係累の煩雑さにも…。「K・Iの弟Sの前の奥さんの子供」にはじまり、「K・Iの弟Sの前の奥さんの姉の夫」、「某Iさんの四番目の子」、「某Iさんの弟の奥さん」の職業にいたるまで。思わず、それ今要りますか!?とはげしく詰問したくなる細やかさです。
 「呑み込みのわるい彼にはちょっと聞いたくらいでははっきりしないほど親子兄弟関係がこぐらがっていた」という文中のその台詞、そっくりそのままお返しします。




徳田家のヤブコウジ
   2013.2.16

 いつかの夏、アスファルトをも突き破って生えんとしている徳田家のたけだけしい竹をご紹介しましたが、今回は徳田家のういういしいヤブコウジのご紹介です。

 先日、資料の借用・返却のため東京は本郷の徳田家にお邪魔して参りました。その玄関先でお出迎えしてくれたのが、こちらのヤブコウジ。秋聲のデビュー作「薮かうじ」にちなんで植えられたそうです。

 館の入り口にも3年前に植えられたものがありますが、いかんせん強すぎる西日との戦いに若干お疲れ気味…。いやいやそこをなんとか、秋聲だってここからの出発なんだ!紅葉先生にはちょっとケチをつけられたらしいけれども気にするな!ふんばれ!!と叱咤激励する毎日ですが、徳田家のヤブコウジは綺麗な赤い実をつけて青々としておりました。




まんじゅうvsアップルパイ
   2013.2.11

 不定期連載中の「初冬の気分」下の中、すなわち第4回をアップしました。おもいのほか(下)が長かったため、前中後の3つに分け、上下なんだか前中後なんだかとても入り組んだ訳のわからない区分になりまして申し訳ありません。次回が最後、下の後篇で完結するはずですので、どうぞ最後までお付き合いください。
 今回の読みどころは住宅紛争と見せかけて、そこにまんまと水を差す和洋お菓子対決です。不穏な裁判沙汰、慣れない上から目線、冬の京都にふと思う郷里…などなどあっちこっちしつつ大事なもろもろがギュッと詰まったその中に、まだなおビニールを伸ばしながらぐいぐい詰めてこようとするお菓子談義。この父子間におけるまんじゅう対アップルパイ論争を今回イチとさせていただきます。

 いやまんじゅうを馬鹿にするんじゃないよ、アップルパイも食べるけどね。おいしいけどね。でもまんじゅうのあの餡がね。と真面目に主張するお父さんを手をたたいてまで笑う子供たち…。そのすぐあとの「ところで」がこれ以上ないほど存分に「ところで」のもつアイデンティティ=場面転換役を全うしているのとあわせてとても面白いくだりですのでご注目ください。 
 

            たぶんいちばん笑ったのは秋聲先生の右にいるあの子↑


チラシ案
  2013.2.10

  いったい昨年の今頃は何をしていたのだろうか…とふと気になって昨年分の寸々語をみてみると、ちょうど去年の今頃、横山家展のチラシ案選択にもんもんしておりました。
 そして今年も茶屋街展のチラシ案選択にもんもんする時期がやってきたようです。結局今回は紺色と柿渋色がゴール前で死闘を繰り広げた末決着がつかず、どっちも1位でいいじゃないか…!そうだろう、なぁみんな!!というなあなあ加減で2色採用。俺が俺がのチラシ案となりました。
 そしてうっかり去年と同じ進行の程度に安心しかけましたが、よく考えれば去年の横山家展は3月23日から。今年は3月15日から。開催がちょうど1週間はやいので、進行の程度が去年と同じでは遅いのです。それにはっと気が付き俄に焦りだし平常心を失った揚げ句、文字も曜日も躍ってみえ…ろくに校正も出来ぬまま、ああ寸々語は備忘録として役に立つなぁと無意味に去年のチラシ校了の日をチェックしてみたりしています。




第7回 学芸員会議
  2013.2.8

 1月をとばして、本日年明け1回目となる学芸員会議が開催されました。先日もお邪魔して参りました金沢市立中村記念美術館さんが会場です。
 いつもの周遊バス(本日は赤い鏡花号)内で鏡花記念館学芸員さんと出会い、バスを下りると向こうからやってきた犀星記念館学芸員さんと出会い…本多町で三文豪館の邂逅です。ある日の三文豪それぞれの行動について語らいながら中村さんへ向かいました。
 
 中村さんでは3月末まで企画展「館蔵茶道美術名品展」を開催中。重要文化財をはじめとする貴重な品々が一同にお目見えです。会議前にすこし展示を拝見して、ハンサムなお茶碗や破天荒な筆跡を堪能して参りました。

 会議後外に出ると漫画のような音をたててたいそうな霰(あられ)が!
 すこし待っているとすぐに弱まりましたが来るときにつけた無粋な足跡は見事に消され。はは~これぞ雪辱…とうまいこと出来ている日本語に思いを馳せつつ、またも純白の地面をさくさく踏み荒らしながら帰館いたしました。
  


耳をそこに
  2013.2.7

 秋聲先生自筆署名入の随筆集『灰皿』初版本を手に入れました。鶴田久作宛てにペン書きで献呈署名が入っている貴重本です。これを秋聲もさわったか…と思うと自然持つ手に緊張が走ります。
 
 表紙をぺらりとめくったところの見返しにサインが入っています。ほうほう、たしかに秋聲先生の筆跡…と確認しながらその文字にちょっとした違和感。「秋聲」の「聲」の字、オリジナルすぎやしませんか→
 癖字で知られる秋聲ですが、そして「秋声」バージョンの場合の「声」が「色」に寄ったり自由な署名で知られる秋聲ですが、このパターンもなかなか斬新です。

 うっかり、あきナントカさんという別人の署名かと判断してしまいそうな「聲」の個性的なまとまりっぷりではありますが、このちょっと震えたような頼りないヒョロヒョロ文字は紛れもなく秋聲のもの。
 縦長にするよりバランスが取りやすかったのでしょうか。耳をそこにおさめることに関して一切迷いのない筆跡がとても興味深い一冊です。
 



プールサイドに集合
 2013.2.6

「もう先生に言われなくても、適宜自分たちで休憩時間をとれます僕たち。」あるいは、
「やっぱ囲まれてないと急流すぎてしんどいッスわ!」の光景。

 本日の外出目的は、石川県立歴史博物館での資料調査です。リニューアル工事のため3月から長期休館に入られる直前にすべりこんで参りました。毎度たいへんご迷惑をおかけしております。おかげさまで閲覧させていただきました貴重資料の情報は、何らかの形で展示に反映させていただくことと存じます。

 さて、リニューアルといえば、犀星記念館さんのHPが新しくなりました!

 当館のリンクからも飛べますが、一応URL↓

  http://www.kanazawa-museum.jp/saisei/

 これにて三文豪館HPが新しくなって揃い踏みです。三館あわせて今後ともよろしくお願いいたします。
 


節分祭
   2013.2.5

 3日、宇多須神社さんで節分祭が開催されました。今年は日曜と重なったこともあり、昨年以上の大賑わい。広い境内が参詣人でいっぱいになりました。
 
 ふるまい樽酒、節分祭、奉納踊りに引き続き、おまちかねの芸妓さんによる豆まきが始まります。先日宮司さんから今年は豆の量増やしたよ~と伺ってはおりましたが、これはなかなかの激戦です。優雅に豆をまいてくれる芸妓さんの一方、階段下では熾烈な争い。

 天高く両腕を差し上げ、我こそはと豆をとらんとするさまに、人間の原始の姿を見た思いすらいたしました。
 
  青天を舞うちいさな豆束…  に翻弄される腕々…

 残念ながら当館職員はアワアワするのみで今年もキャッチできませんでしたので、キャッチされた強運の方の豆をば、ちょいと撮影に拝借→
 参加できなかった皆さま方に、昨年以上に白熱した節分祭の雰囲気だけでもお伝えできれば本望です。



太田順太郎旧宅
  2013.2.2

 決して日々川ばかり眺めて過ごしているわけでなく、川にいたる外出の目的は次回企画展調査にあります。今回の外出先は「加賀銘菓舗たなべ」さん。浅野川大橋から大通りを安江金箔工芸館さんの方に、それをも越えてずーっとずーっと真っ直ぐ行った先の森山1丁目にございます。
 決して3時のおやつを調達しにうかがったわけでもなく、このお店の前身は、太田抱逸すなわち秋聲の甥・順太郎さんのご実家なのでした。順太郎により導かれる次回企画展、これは事前にご挨拶しないわけには参りません。
 というわけで、太田家の記載のある登記簿写しなどを拝見しつつ今度の企画展の主旨などを説明して、展示でご紹介する許可をいただいて参りました。

      季節ごとに絵柄のかわる「意匠せんべい」→
     (決しておやつを調達しに行ったわけでは…)

 昨日パネルの打ち合わせも行い、構想だけだったふわふわしたものがいよいよ形になりそうです。  



電撃解散
  2013.2.1

 浅野川中に昨日まであったはずの簡易プールがなくなっています!あんなに立派だったプールサイドが一晩ですっかり取り壊され、元のとおりの浅野川です。




←すっかり何もなくなってしまった川の真ん中に心許なく集合しているカモメたちがご覧いただけるでしょうか…戸惑いを隠しきれないその集合体。


 かつて無邪気に遊んでいた彼らのはじける笑顔や笑い声が走馬燈のように駆け巡り、今や仲間同士身を寄せ合うしかないその姿には外野ながら哀れさえ催します。

 とはいえ元の姿に戻ったわけですから、川にとっては良いことなのでしょう。工事は上流にさかのぼってきた様子。↑こちらは浅野川大橋から中の橋の間の光景ですが、浅野川大橋からわれらが梅ノ橋までは相変わらずがっつり工事中です。




調査で一服
 2013.1.31

 金沢市立中村記念美術館さんに資料調査に行って参りました。秋聲と中村さん?文学と美術?何の関係があるかといえば、だいぶん前にこの欄でもご紹介した加賀蒔絵師・太田抱逸で繋がっています。
 太田抱逸(ほういつ)、本名・太田順太郎。そう、秋聲がらみのふたりの順太郎のうちのひとりです。ひとりは言わずもがな秋聲次兄の正田順太郎、正田家に養子に入り、小松の尾小屋鉱山の鉱山所長をつとめた人物。もうひとりの順太郎=抱逸は秋聲の姉の子すなわち甥にあたります。といいつつ叔父甥の関係にしては11歳しか離れていないので、遊び仲間としてふたりはよく気があったようです。

 次回企画展でご紹介する「挿話」「旅日記」をはじめとする秋聲の〈金沢もの〉におけるキーパーソンであり、その抱逸の蒔絵作品を収蔵されているのが中村さん、というわけです。
 調査に!と勇んで伺っておきながら、肝心の調査の前にお茶とお菓子をいただいてほっこり。
雪の晴れ間に時間も調査もわすれてほっこり。
 
 

「金沢情報」デビュー!
   2013.1.30

 本日発行の「金沢情報」さんにわれらがオリジナル文庫『仮装人物』の紹介記事を載せていただきました!
 「金沢情報」は金沢人なら誰しもが知っている週刊のフリーマガジン。新グルメ「加賀の紅茶のお酒」と並んでスキャンダラスな『仮装人物』。ついでにつられてうっかり皆さまの目に留まることを祈ります。

←初版本とならぶ白紫の表紙。


 取材に来てくださったのは1月の中旬でした。うっかり他のお得情報たちにおされて結局誌面から押し出されてしまったらどうしよう、との卑屈な危惧から今まで黙っておりましたが大きく載せていただき有難い限りです。「金沢情報」さんありがとうございました。
 ちなみにお手元にある方、写真の左肩に見切れているのは、一輪挿しのお尻。紅葉先生の一輪挿し(※)、一部雑誌デビューです。
 
 ※昨年12月9日記事参照。尾崎紅葉先生ゆかりの品でもなんでもございません。

 

「揺籃」という名のかご猫
  2013.1.29

 次次回企画展のため、明治36年発行の雑誌「女学世界」を入手しました。この頃秋聲は32歳。雑誌にはデビュー作「薮こうじ」と姉妹編のような短編小説が掲載されています。それはよいのですが、女学生向けの雑誌だからでしょうか。口絵が異様にかわいいのです。
 写真タイトルは「揺籃(ようらん)」。ここもまた異様に難しいタイトルをつけたように見せかけて、要はゆりかご、現代にも流行した「かご猫」のさまです。
 ちいさい+ふわふわ=カワイイ→(ちいさい+ふわふわ)×密集=よりカワイイ!の方程式が軽く100年前から成り立っていたことに驚きです。これを手に取った女学生たちもきっと「なにコレぎゅうぎゅう!カワイイ!」とキャッキャしたことでしょう。「カワイイ」の間口がだいぶん広がってきたとはいえ、今も昔もその根幹は同じなのかもしれません。

 雑誌自体はいつか展示しますが、この口絵面をお出しするかどうか…?秋聲「撫子(なでしこ)の色」という小説が全面に押し出されていたら、アッこの雑誌の口絵、実はかご猫…!!と思っていただければ幸いです。
 

 

“不可測のサムシング”(©徳田秋聲)
  2013.1.28

  26日、石川県民大学校大学院主催の記念講演が本多の森庁舎で開催されました。当館の入門講座などでもいつもお世話になっております金沢学院大・秋山稔先生により、題目は「秋聲文学の魅力」。これはお邪魔せずにはいられません。

 「〈金沢もの〉を中心に」というサブタイトルのもと、秋聲が自分自身の家族を描いた作品群を主にご紹介くださいました。生まれたときから決められている「家族」という不思議なコミュニティ、そして決して「他人」にはなれない「家族」間ならではの心情の機微というものが、そこに描き出されています。

 秋聲は生きた人間のことしか描きませんが、「事実は小説より奇なり」ともいわれるように、人間が生きていることの裏には〝不可測のサムシング〟が蠢いてます。そんな〝見えぬ奥、わからぬ奥〟を隠し持った人生そのものをこそ、そのまま小説に描き出そうとする秋聲独特の創作態度についてお話しされる秋山先生の語り口の奥にもあたたかなサムシング!
 ご講演の最後には「秋聲記念館にも是非!」と心なしかひときわ大きな声で強調してくださった秋山先生に、感謝の二文字ではとても言い表せないサムシングを献げます。



おやつレポート その9
   2013.1.27

  先日いただいたお菓子です。

 ちっちゃい目玉おやじ!と思ってしまいましたが、「えくぼ」という祝菓子です。
 この一年を笑顔で過ごしたいという願いを込めていただくお菓子のようです。えくぼの中の小さな紅色の点はほお紅なのでしょうか・・・?


 さて、外出したくない寒い季節ですが、福を呼び込んで笑顔になりたい方へのおすすめ情報です。

 2月3日(日)、先日学芸員がお邪魔した宇多須神社さんで「節分祭」が行なわれます。
 こちらのポスターのように、芸妓さんが福豆をまいてくださいます。


 福豆拾いに初参加の当館一職員、いくつ手にすることができるのでしょうか・・・。期待していますよ!!!
 

      


カーフ絵馬
   2013.1.25

 次回企画展調査のため、宇多須神社さんにお邪魔して参りました。秋聲がひがし茶屋街周辺を描いた作品のなかに「毘沙門さん」としてしばしば登場するのが金沢五社のひとつ・宇多須神社。春秋の祭礼の様子をあれやこれやと書き留めており、宮司さんにお話を伺いながら秋聲が見た光景や、当時歩いた道筋をたどります。
 お伺いした社務所には主計町に長く暮らした版画家・クリフトンカーフ氏が今年の干支である蛇を描いたオリジナルの大きな絵馬が飾ってありました。いいですねぇ!斬新ですねぇ!と本筋をさて置きわぁわぁ言っていると、おみやげにと、復刻版絵馬(販売中)をなんとプレゼントしてくださいました!

 利家公をお祀りする宇多須神社の宮司さんはその「かぶき者」精神に則り、とても柔軟かつオープンマインドなお方。また何かあったらいつでもどうぞ~との温かいお言葉にほくほく帰館いたしました。

 絵馬様、とりあえずいちばん高いところに納めてみました→一皮も二皮も脱皮していくべく、これから毎日拝むことにいたします。



コミカライズ
  2013.1.24

 過去記事に折りたたんでしまいましたが、12月20日秋聲似顔絵ギャラリーに引き続き、お客さまから新たに作品を寄せていただきました!
 しかも今度は漫画です!↓

 企画展でご紹介している鏡花さんと秋聲のケンカにいたる過程をなんと6コマにもわたって描いてくださいました。鏡花さんの怒り方がすさまじいのと、秋聲の無神経さがかなりデフォルメされているのとで、お二人の名誉のため全コマの掲載は控えますが、秋聲がタコ殴りの上ボイコットされるさまが如実に…

 秋聲作品の漫画化といえば、過去の「あらくれ」展でご紹介した『あらくれ』(抄)しかすぐには思い当たりませんが(義父母の決めた結婚を泣きながら笑いながら我慢して受け容れようとするお島の表情にはぐっときます)、秋聲伝説のひとつとしてこういったエピソードの漫画化も面白いものですね。
 次の茶屋街展では、はじめて白粉の匂いを嗅いでどぎまぎする幼少期の秋聲(そんな時代もあったのです)、あるいははじめての芝居小屋に馴染めずぐずりだす幼少期の秋聲漫画を是非とも! 




休憩の時間
 2013.1.23

 たのしいプールの授業につきもの、それは休憩時間。プールの中でワァワァ我を忘れて遊んでいたら、ピピーッと笛が鳴って強制上陸させられるおよそ10分間。ちぇーはやく入りたいのになァと思いながら、プールサイドでぼんやり水面を眺めていたそんな遠い日の記憶が誰しもにあるのではないでしょうか。
 本日のお写真はちょっとしたノスタルジーに浸らせる一枚です。
待機→     ←こっちも待機

 ちょっとわかりにくいのですが、カモメたちが簡易足場プールの両岸でプール部分を見つめながら何故か待機している光景(1月10日記事のつづきです)。工事のおじさんの姿は見えませんでしたが、入水禁止ときつく言い渡されてあるのでしょう。みんないい子にしておとなしく待っておりました。
 ちなみにこのあと見事なカモメの群舞がありましたが、現れたおじさんたちはちらりとも目を上げません。毎日のこと、慣れっこのようです。




第4回 入門講座
 2013.1.20

 昨日、当館元館長・志賀紀雄氏を講師に秋聲入門講座を開催いたしました。テーマは短編小説「白い足袋の思出」。裏タイトルは「黒い霜川の思出」。白足袋のまぶしさと風呂嫌いな霜川の襟や袖口がどくどくに汚れたさまとが対照的な一編です。(余談ですが、秋聲のオノマトペはいつもなかなか秀逸です。)

 はやいものですでに3年前になりましょうか、当館で企画展「鬼才・三島霜川(みしまそうせん)」を開催したこともありますが、下積み時代に共同生活を営んだ〈蘇川〉こと霜川の容貌・性格・生活振りがつぶさに描き出されており、こんなに書かれちゃいやだね~!と参加者とともに談笑しながら読み進めていきました。

 いくら身なりが汚れようともお茶とタバコはいいものを、という霜川の心意気はとても真似できるものではありませんが、ある意味で非常に格好の良い、ザ・霜川スタイル。昨年高志の国文学館さんも開館され、霜川はじめ富山出身作家たちに今後も要注目です。
  



とうふ男
   
   2013.1.19

 インターネットでいろいろ調べ物をしていて、当館の企画展「泉鏡花といふ男」を紹介してくださっているページを発見しました。
 わぁ有難い!と感激した次の瞬間プフッと笑いが…。



 ←「泉鏡花とうふ男」

 

 とうふ男…「といふ男」が「とうふ男」になってしまいました。そして何より、鏡花さんと豆腐が遠くないだけにこれは笑いを催さずにはいられません。

 秋聲曰く、〈偏倚的な潔癖〉であるところの鏡花さんが、豆腐の「腐」の字を嫌って「豆府」と書いていたのは有名なお話。かといって「とうふ男」だなんて、ちょっとからかっただけにしても言っていいこととわるいことが…とかなんとか庇ってみせながらもやはりプフッと笑ってしまう、たいへんよく出来た誤植なのでした。
 ご紹介に感謝いたします!




盛冬の気分
  2013.1.15

 昨日、東山の宇多須神社で左義長が行われました。
 当館のお正月飾り(亀)もめらめら燃える炎のなかへ。雪の気配を感じさせる冷え込みの中、この一年にかけるいろいろな思いで炎を見守る人々。ただひとえに防災の思いで炎を見守る消防の人々。
  
 時節的にすでに初冬とは言えませんが、不定期連載に冬の金沢が描かれた小説「初冬の気分」第1回をアップしました。随所に金沢に対してたいへんな悪口を言ってくれているな、という感じもありますが、土地そのものがどうこうというよりも向こう側まで突き抜けそうな個人的な因縁の深さ・うらみつらみに圧倒されます。その一方で、秋聲53歳にして、その悪口と複雑に絡み合った懐古の念がひしひしと伝わる良作です。
 そして金沢を語り出すと止まらないのか、いつも以上に一文も一段落も長い…!ゆえに読みやすさを考慮し、適宜段落を追加させていただいております。ご了承ください。
 このあと舞台は京都のほうへ移っていきます。全4回ほどを予定しておりますので、是非お寒いうちにお付き合いください。




ありがとうジャム
 2013.1.14

 秋聲にあやかった「秋星りんご」のことはこの欄でもご紹介していますが、秋星りんごはジャム展開もしております。
 本日、約1年ほどお世話になっておりました当館のお掃除の方が館を離れることとなり、お餞別にと秋星りんごジャムをお贈りしました。パン食派だった秋聲にもちなみ、きっとトーストを召し上がるたび秋聲を思い出してくださることでしょう。1年間、たいへんお世話になりました。いつも館を綺麗にしてくださり有難うございました。
 如何せん急に決まったことだったので、いつもジャムを取り扱ってくださっているお店に念のため電話で有無を確認すると、あいにくの在庫なしとのお返事。たしかこちらにもあったはず!という果物屋さんに電話して、無事調達することができました。
 秋聲記念館と果物屋さん、あまり縁のなさそうな感じもありますが、「秋星りんごジャムありますか!?」と問えば、なるほど納得していただけるかもしれません。そういえば前に北鉄さんにお電話したときも若干どうされました感がありましたが、「秋声バスについて伺いたいんですけど…」といえば、「ああ!ハイハイ!」と成程納得風味のお返事をいただきました。




資料調査プラスアルファ
 2013.1.13

 次回茶屋街展のため、各所で資料調査をしています。資料からいろいろな情報を読み取るのはもちろんのこと、おそらくナントカ館あるあるとして、それそのものを目の前にするとつい展示映えのことも考えてしまうのではないでしょうか。

 文学館特有のビジュアル的に弱い部分を、展示したい資料の絵面が予想外にもカバーしてくれていたら一石二鳥。閲覧室にてヒャッホウ!です。もちろん地味でもモノクロでもその資料の価値をなんら下げるものではありませんが、文字ばかりの原稿用紙の隣に、ちょっと色目のあるちょっと装飾のある資料がいてくれると有難いものです。

 色、デザイン、題字のサイズ、署名の位置、その他もろもろ。普通の顔で資料に接し、クールに筆写しているようにみせかけても心の底では一喜一憂。もしどこかで「これは展示映えしますね~…!」という喜びのテンションを隠しきれない呟きを耳にされたら、発し主はおおかた学芸員という生きものです。
 
参考)展示映え度

  尾崎紅葉訳『鐘楼守』
☆☆☆
(さすがの紅葉先生) 
  徳田秋聲『黴(かび)』
☆☆
(赤はとても良いのに情報不足) 
  徳田秋聲編『尾崎紅葉読本』

(一周回って実は星みっつ並みのポテンシャル) 



白い表紙
 2013.1.12

 読書系・アート系フリーペーパー「Day Art」さんの第6号に、当館の鏡花展の紹介を載せていただきました!
 去年の第4号に犀星記念館さんの記事が掲載されており、そこに秋聲の名もちらと載せていただいたことから、秋聲記念館で大注目している東京の季刊冊子です。

 いつも斬新なデザインでおもしろいのですが、今回は敢えての真っ白い表紙。それはそれで逆に目をひくようで、館のロビーに置いておくと皆さんふと手にとられます。
 そしてそのタイミングで、「実は秋聲記念館載ってるんです」とニヤニヤしながらアナウンス。「えっどこにですか!?」という良いリアクションに、ニヤニヤを深めながら「ここ…1ページめに…」といそいそめくりに出ていくといううざったさ。こんなオシャレペーパーに当館を取り挙げていただき有難い限りです。

 そして外見がオシャレであるのみならず、辻まことやら嘉村礒多やら太宰治やら檀一雄やらクリムトやら内容も盛りだくさん。冊子が届いて「館が載ってますよ~」と事務室で配りまわして、ひとしきり感動した後みな無言。ほかのとこまで熟読モードです。
 

 

プールの時間
   2013.1.10

 以前にご紹介した河川中のパワーショベルは、浅野川の護床工事を行っているのだそうです。ここで話題に挙げたのは昨年10月28日、正宗白鳥さんの命日の頃でしたでしょうか。工事は現在も行われています。

 ↓こちらは浅野川大橋から下流を望んだ図。




←工事のおじさん


←白いつぶつぶはカモメ



 護床工事のため川床を盛り上げてつくられた足場に出来た簡易プールにたまるカモメたち。を、たまたま見守っているような立ち位置の工事のひと。が、まるで飼育員のようにも見える光景。

 決して朝のえさ遣りのほのぼのシーンではなく、カモメを横目に自らのすべきことを粛々と遂行されているだけなのでしょうが、あれっここの水はながれないね?ながされないね?と安息の地を見つけたかのようなカモメたちの姿に内心すこしばかりはほのぼのとされていることでしょう。
 一方、手前に控えるパワーショベル的にはまったくやりにくくてしょうがねえや!というお気持ちかもしれません。 
 



イメージカラー
   2013.1.9

 毎度企画展にもイメージカラーがございまして、現在の鏡花展はチラシそのままの緑です。3月15日からはじまる次の茶屋街展のイメージカラーはといえば紺か柿渋か浅黄色。この3色が抜きつ抜かれつ脳内デッドヒートを繰り広げている最中ですが、チラシ印刷の下準備さえ出来ていないのにそろそろ決着をつけていただかなくてはならないというその背景には、いともおそろしい3ヶ月スケジュールの存在があります。

 文字通り事務室の背景として、月が替わるごとに更新されてゆくそのスケジュール。鏡花展すなわち緑のラインが貫く1月2月…の先に3月がまだ貼られていないのは、三竦みの状態から誰かが不意に仕掛けるまでの執行猶予に他なりません。

 言い換えれば何色でもいいからそろそろ仕掛けてくださいよ、勝負の決め時ですよ、という無言のプレッシャー…。
 簡易スケジュールくらい適当に塗っておけばよさそうなものですが、最初が肝心!この色ひとつに2ヶ月を費やしさらに3ヶ月を懸けるのです。




表紙のこと
  2013.1.8

 一去年刊行したオリジナル文庫『縮図』の黄色い表紙は、昭和22年刊の初版本のデザインを元にしています。内田巌の装丁で、鮮やかな黄色が今なお新しいモダンな装い。

 今回刊行した『仮装人物』の装丁は完全なるオリジナルですが、『仮装人物』感に溢れた素敵なものとなりました。制作時の注文としては、作品のテーマともなっている仮装と実装の両面性を表現してください、という極めて乱暴なもの。しかしなるほど仮装と実装、表裏一体、だけれども一致しきらない微妙なズレの間に生じる自意識!ツートンカラーだけなら安直といえば安直ですが(デザイナーさんに陳謝)、なんといってもこのズレと色遣いが絶妙です。

 作品冒頭に書かれている〈これからここに敲き出そうとする、心の皺のなかの埃塗れの甘い夢や苦い汁の古滓〉――これを色で表現すると、まさにこの左の色になるのではないでしょうか。いやいやそこはむしろ緑だよ!いいやオレンジだよ!という方、再版時の検討材料といたしますので是非ご提言ください。




ほほ笑むへび
  2013.1.7

 本日、今年も近くの宇多須神社まで左義長の日時確認に行ってきました。そして、おみくじを引いてきました。昨年同様、干支のおみくじです。

 一年間パソコンの横で笑っていた辰ともお別れになります。
 今年は巳年・・・。へび~~~。
     
  まん丸で可愛いかも・・・!?  営業部長に似てる・・・?
 
    ごろん~       ひもを引っ張ると  →  末吉でした。
                           (秋聲さんは末雄・・・)

  みんなが平和な日々を送れますように。
  秋聲さんのファンが増えますように。
  たくさんの方々が来館されますように。
  シャー営業部長が元気にお仕事されますように。
  それから ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   
  今年も願い事多かったかしら・・・。

        (宇多須神社の左義長は、1月14日(月・祝)8:00~15:00です。)


ギャラリトーク
  2013.1.6

 新年早々、企画展の展示解説を行いました。
 けっこうな凍結路面にも負けず、狙ってきてくださったお客さまもあり。寒い寒いなかのご来館、誠に有難うございました。

 会話のとっかかりにと「秋聲がお好きなんですか?鏡花がお好きなんですか?」と何気なくお尋ねしたところ、「しゅ、秋聲です…」とちいさな声でお答えくださったお客さま。まったく他意はありませんでしたが、もしかすると妙な圧が出ていたのやもしれません。秋聲記念館で秋聲記念館学芸員から秋聲記念館主催イベントにてこの質問…。
 お客さまに気を遣わせてしまうなぞとんだデリカシーの無さでございました。悪気はないけれど、そんなデリカシーの無いところが秋聲先生の特徴でもございます。そして鏡花さんを激怒させる過程こそが今回の展示の目玉でございます。
 
 解説の最後には「実は秋聲読んだことないんです…」とこっそり教えてくださったお客さま。何の問題がありましょうか、遠慮なくそう言っていただけるようなカドのない館を目指しております。
 
←営業部長の一発芸「ボール」





小火(ぼや)と師弟愛
   2013.1.5
 
タバコとお膝が近いです、秋聲先生。

 





          
         タバコと植栽が近いです、秋聲先生。







タバコと雑誌が近いです、秋聲先生。


 どうやらヘビースモーカーらしい秋聲ですが、そういえば紅葉門下生時代、兄弟弟子たちとの共同生活・通称「十千万堂塾」で一度ぼやを出したことがありました。そのときは秋聲が火消壺の蓋をちゃんとしなかったことが原因らしいですが(小栗風葉氏がいちばんそういうところにやかましいそうです)、紅葉先生からはひとつもお小言をもらわなかったとのこと。それだけ親しくないってこと、か…と何でもないことのように書きながら、ちょっと寂しくなってしまっている秋聲の姿が垣間見えるエピソードです。
 その点鏡花さんは紅葉先生を激怒させていますから、それだけ愛情も深かったということなのでしょうか。ぼや騒動に見る師弟愛、なんとも複雑です。 




あけまして
  2013.1.4
  
 おめでとうございます!
 本日より通常開館いたします。
 本年もどうか、よろしくお願い申し上げます。

 さて平成17年にオープンした当館、今年4月で8周年、9年目を迎えます。入門講座、新内流し、朗読会等々、開館当時よりすっかり恒例となった事業にくわえ、輪読会、サンタイベントなど、ゆるっとしたニューフェイスのイベント類もおかげさまですこしずつ定着してきました。

 そしてもうひとつ、去年から始まった試み「不定期連載」に、新年一作目「新年の思出」をアップいたしました。現在の鏡花展や既出の「元日と未来」「折鞄」などとも繋がるエッセイ。そして昨年12月刊行『仮装人物』にも深くかかわるお話です。
 またもやそう華々しい結末ではありませんが、秋聲周りのオールスターが勢揃いのうえ、当時の風俗までもが伝わる好作。今後もいろいろな形で秋聲のいろいろな表情をどんどんご紹介して参ります。


 

 

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