寸々語

寸々語(すんすんご)とは、秋聲の随筆のタイトルで、「ちょっとした話」を意味します。
秋聲記念館でのできごとをお伝えしていきます。




密な12月
  2014.12.24

 イブにとなえても良いのでしたでしょうか?これももしかしたらフライング…?午後からならオーケイ…?すっかりメリークリスマス、と言っていいタイミングを見失っている秋聲記念館ですこんにちは。

 さて、毎日更新!という気概で始めた寸々語、それをここ数日随分とさぼっており、たまにやってきてはどこぞかへ行ってきた報告ばかりしていて、おや?この期間もしかして職員はお休みなのかい??というあらぬ疑いをみなみなさまに振りまいているということにようやく気づき始めた12月も下旬ですが、館内にふつうに職員はおり、ふつうに業務を行っております。工事と平行してお年賀状などを刷ったり、お客さまには決して見せられない倉庫の整理をしたり、新しくなる常設パネルのテキストを書いたり消したり、館報の編集を始めたり、次回企画展の開催要項をまとめたりして過ごしています。意外とわちゃわちゃです。
 随時ここがこうなって~というご報告が出来ればよいのですがなかなかそうもいかず、いかんせんお客さまと触れ合わないためステキなハプニングも起こりにくく、某K記念館さんもお休みなため仲良くケンカも出来ず、日々黙したまま名誉館長からいただいた3時のおやつをただ徒にむさむさと食しながら受付に出ない分なんだったら平素より密度の高い事務室にみんなして詰めてひっそりと生息しております。

           もうすぐさよなら、この風景。→

 密度といえば12月下旬のイベント密度の高いこと…秋聲生誕祭からのキリスト生誕祭からの大晦日…すなわち今年ももう終わりです。来年は未年だそうですね。「来年」と「未年」、字面が似ていますね。人知れず年男の秋聲先生を来年もどうかよろしくお願い申し上げます。

 



今日こそ
  2014.12.23

 昨日はちょいとフライングをしてしまいました。世間さまでは12月に入ったころからどうやらメリークリスマスを唱えていいことになっているようですが、当館に限り本日23日を過ぎるまではうかうかとメリークリスマス気分に浸ってはならぬのでした。といいますのは本日12月23日は秋聲先生のお誕生日。12月のメインイベントここにあり!

 秋聲先生、143歳おめでとうございます!!

 さて、これを終えてようやく粛々とクリスマス気分にシフトすることが許されるわけなのです。しかし今年は閉館中につきお客さまとともにお誕生日会をすることができません。もういっそ24日でいい、24日でいいからその買って帰ったケーキの半分を秋聲先生のお誕生日祝いとみなしてもらえないだろうか。そうしてメリークリスマス!ととなえてシャンメリーを開けるまえに、あ、そういえば徳田さんちの秋聲さんもお誕生日だったなぁ!とふと思い出してもらえないだろうか。なーに難しいことはない、お腹にはいればおんなじさ…と各ご家庭で秋聲先生のお誕生日をお祝いする方法を考えてみたりしております。

 たぶん苺も生クリームもお好きです。ココアもお好きです。チキン…はちょっとわかりませんですが、鴨がお好きだからたぶん好きということにしておきます。お酒はほどほどです。

←こちら秋聲ご令孫、われらが名誉館長よりおそらくおじいさま宛のプレゼントであるにもかかわらず職員がわれ先にと貪るであろう3時のおやつ!いつもありがとうございます!



 


[谷口吉郎・谷口吉生]展
 2014.12.22

 金沢市民芸術村で開催された上記展覧会に潜入して参りました!父・吉郎氏は日本の文学碑第1号といわれる卯辰山は秋聲文学碑の設計者であり、数年前に文学碑物語展を当館で開催した際、ご令息・吉生氏にもたいへんお世話になりました。
 ご丁寧に事前にご案内もいただいたため勇んで伺いましてこれはたくさんの方にご覧いただきたい…というたいへんに充実した展示ぶりだったわけですが、なんと驚きの会期が昨日まで…。毎度最終日にすべりこむ寸々語でございます。お知らせの遅いことに定評がございます。あっそうそう、今日は冬至だそうですよ!ゆずとかぼちゃのご準備をおはやめに…!

 そんなわけで、秋聲文学碑そして犀星文学碑、さいきんでは大拙館さま、県外では馬籠の藤村記念堂など、文学まわりでもご活躍な両氏でございまして、秋聲にもっとも近しい展示物として会場に藤村記念堂のあれは模型というのでしょうか、白い立体のものが展示されており、これはぜひ写真を…と係の方に撮影許可についてうかがいましたら「申請書にご記入いただければ結構ですよ」とのこと。そうですかそうですか、とペンをとりかけて「目的」の欄に目がとまり、(目下の)目的…寸々語にアップするため…いやいや!そんなこと!書けない…!!と急に弱気になり「すみません、やっぱりいいです…!」とフェードアウトしてしまいました。ゆえに展示スペースの外観です↓

 かわりといってはなんですが、出口でオフィシャルポストカードが販売されており、秋聲文学碑と犀星文学碑がセットであしらわれていたためはりきってそればかり5枚も買ってしまいました。
 もし犀星さんでお持ちでなければ差し上げようと思います。メリークリスマス。






キャンパスの地肌
 2014.12.17

 ふたたび金沢大学さんにお邪魔して秋聲文学の魅力についてお話しさせていただきました!今度は人文学類「日本文学史」の授業です。「黴」「爛」「あらくれ」「仮装人物」「縮図」、そして「折鞄」。秋聲の代表作といわれる5つの作品、と好きな作品。明治・大正・大正・昭和・昭和、と再び大正、まさに三代にわたってヒットを飛ばす秋聲のすごさ、その特徴について好きほうだいしゃべり倒して参りました。聴いてくださった学生さん、呼んでくださった先生、貴重な機会をありがとうございました。
 講義のあと、先生とすこしお話をさせていただいて印象深かったこと。

 先生「秋聲作品ってえげつないところを描いていてもなんだかきれいというか、さらりとしてますよね。いや、きれいではないですけど。きれいではないですけど」

 に、二回言った…!

 その後も飛び出しました「いや、きれいではないんですけど」。都合三回聞きました。どうにもいちどでは足りなかった模様、しかし全面的に同意です。
 そう決して「きれいではないですけど」、秋聲作品はべたべたしません。においはするかもしれません。しかしべとべとしません。にやにやもしません。いたって真顔。べたべたにやにやとまとわりついてはきません。そんなところを魅力のひとつとして伝えたいのですがどうにもこれでは伝わる気がしません。と思えばこうして表象につとめるよりずっと真実味にあふれていた、ご自身の発言を慌てて訂正にかかる「きれいではないですけど」。今年の流行語大賞に決定です(ちなみに去年は「あれだけは、己の失策であったよ。」です)。






ドナルド・キーン氏講演会
 2014.12.11

 昨日、金沢工業大学で開催された氏の講演会「私と金沢~若き人たちへ~」を聴講して参りました。これはまたとない機会と定員700が満席!事前にキーン氏から「若い人たちに読んでもらいたい本」というリストが配布され、さすがは大学コンソーシアム主催、大学生らしき姿が多かったため「若い人たち」がどのくらい若い人なのか、えっ十代限定?二十代前半までに…?と怯えておりましたが聴き手の堤伸輔氏(新潮社編集委員)より「あ、若い人というのはキーン先生より若い人です!キーン先生は現在92歳でいらっしゃるのでそれ以下の方です!」とアナウンスがあり、おそらく会場全員が一安心です。
 ちなみにそのリストのトップには「『源氏物語』(紫式部)の現代語訳」とあり、原文で読むことに必ずしもこだわらないキーン氏の古文漢文に対する柔軟な姿勢が語られたのでした。

 そして金沢の文学者の話題へと。
 「金沢の文学者をひとり、と言われたら誰を思い浮かべますか?」
 「泉鏡花です」
  (!)
 「なるほど。他に室生犀星、徳田秋聲など優れた文学者もいますが時間があまりない   
  ので鏡花にしぼっておうかがいします」
 (!!!)

 か、割愛された~~~!!!というのが正直な感想ですが、堤氏のたいそう良いお声で「秋聲」と言っていただけただけで満足です。そしてキーン氏の肉声を聴けたことでこれまでの活字の言葉を、その肉声でもって脳内再生することに成功です。キーン氏のご著書『日本語の美』より、

「『源氏物語』が王朝物語文学の最高峰であり、西鶴の小説が浮世草子という元禄時代を代表する文学の最高峰であったように、秋声の小説は自然主義文学を代表し、そのことによって、近代現代文学全般を代表していると考えられる。」
 




拒絶の背
 2014.12.10

 石川近代文学館さんに菊池寛賞展の資料を返却に行って参りました。以前にもすこしご紹介したとおり、石川近文さんからは秋聲が犀星さんに宛てたお手紙を2通お借りしておりました。先日菊池寛記念館さんにお返しに上がった菊池寛宛書簡とほぼ同時期、同内容のとある会合の案内状です。内容もさることながら展示してみて面白かったのはその見た目。
 当館所蔵の同時期同内容の久米正雄宛書簡とあわせて一同にケースに並べて初めて気が付きました、便箋と封筒がすべて同じものであるということに。ははあ秋聲先生、このときこれしかお持ちじゃなかったんですね…フフ…と、別々の人宛に出された同じ便箋・封筒が並ぶさまを微笑ましく眺めたものです。それもまた異なる三館から提供され集まったもの。こうしてわかることもあるのでした。
 相手によって便箋を変えていたらそれもまた興味深いお話ですが、同じは同じでその当時の机回りが想像されて愉快です。菊池寛記念館さん蔵のものは残念ながら封筒が欠けていましたが、やはり同じものをお使いになったのでしょう。何故なら他の便箋とほぼ同じ三つ折りのあと!

 さて、そんなロマンを提供してくださった石川近文さんの気になる企画展「闘う男の文学展」は7日をもって終了となりました。現在は何をされているのかしら?と廊下の先を見遣ると、あの看板の拒絶する背中っぷり…。拒絶っぷりというより、拒絶する背中っぷり…。来客と世界のすべてに背を向けて「ええ、残念とは思いますが生憎いまはなにもやっておりませんのでどうかお帰りを。」と促す意志に満ちあふれています(なにもやっていないというと語弊がありました。現在撤去作業中とのこと。常設展示室は見られます!)。

 わかりました。出直して来ます。


 


ゲレンデのごときキャンパスおとなえり
  2014.12.9

 昨日、金沢大学さんの講義にゲストスピーカーとしてお招きいただきました!人社学域共通科目「文学概論」の一コマ中、世界文学における秋聲、という大きなテーマでお話しさせていただきました。
 自然主義文学の大家、との名をほしいままにする秋聲ですが、そもそもフランスで発祥した自然主義文学。それに学んだ日本の文学者たちの受容の過程において、明治40年前後、藤村・花袋・秋聲らに始まるとされる〝日本の〟自然主義文学は、すでに御本家と別物とまでいわれています。そのあたりの流れから、秋聲文学の特徴までをたいへんな早口でまくしたてた結果、着地点を見失ってなお5分超過、というどこをとっても残念なことになってしまった昨日です。呼んでくださった先生、聴いてくださった学生さんに心よりお詫び申し上げます。
 そしてもうひとつお詫びせねばならないことに、講義前、金沢大学のバス停まで迎えにきてくだっていた学生さんとすれ違いになり、身ひとつでのこのこ講義室にあらわれるというこの大失態…!ご連絡いただいていたものを行き違いで確認できておらず、先日からの大雪のこの寒いなか30分以上もお待たせしてしまったなんて…!!
 と激しく悔いる心の一方で、あ、これ、秋聲にありそう…と真顔で考えてしまっている駄目な脳。不定期連載にアップしております「遠足」にすこしそんな件があったりします。
 ちょっとしたタイミングのずれで連絡が行き違い、それでも当初の予定通り行動すれば賄えたものを「でも雪でバスが遅れたりするかな?」とちょっとした心配性のためにすれ違っていくというこの感じ…秋聲ならこれで一篇書くでしょう。こんなささいな出来事すら(いや学生さんにとっては誰とも知れぬ人物を30分外で待つというとんだ苦行でしたでしょうけども!!)珠玉の作品に磨き上げるのが秋聲の秋聲たる由縁。
 学生さん、これが世界に誇るシュウセイズムです。



 

平成26年度石川県博物館協議会実務担当者会議
 2014.12.8

 5日、はじめて書いてみるととても長かったことに驚きと戸惑いを隠せない上記の会議に出席して参りました!県内の美術館博物館文学館など24館が加盟している協議会、いろいろな情報交換をさせていただいております。
 今回は県立美術館さんを会場に、石川県能登島ガラス美術館館長さんによる講演「特別展よもやま話」と現在リニューアル休館中の石川県立歴史博物館学芸員さんによるリニューアルにまつわるお話、そして実際にその工事現場を見学させていただけるという豪華ラインナップ。
 これはいままさにリニューアル休館中の当館、参加せぬわけには参りません。たとえ、いやもうそれ遅…とどこかしらからそんなまっとうな囁きが聞こえたとしても張り切って耳を塞ぎ、フムフムと説明をこそお聞きして参りました。

 こちら新しく建設される「ほっとサロン」。全面ガラス張りの小部屋で、なかで飲食をしたりちょっとまったりするのに自由に使っていいそうです。冷暖房完備。目の前にしだれ桜が鑑賞できます。

    手にされているのは拡声器でなくまさかのメガホン→
    意外に大きくなって聞こえます。


 それからこちらは正面玄関になる予定のお部屋…(だったと思いますがいかんせん県博さんはたいそう広く、回らせていただいている間にじゃっかんの迷子…蓋を開けて違っていたらすみません)
 もともと武器庫であったという歴史的な建物を今も支える柱の地下の構造を間近に見ることが出来るよう改修されています。
 
 リニューアルオープンは来春!ということで日付けが決まり次第また発表があるかと思われます。これはこの街の新たな観光名所になるうえ、これまでやや敷居の高いイメージのあった博物館がより身近に、地元のかたがたの憩いの場になる予感も満載…当館も負けていられません。

 

 

高松で金沢
 2014.12.5

 昨日、今回でみたびとなる高松市へ、お借りしていた菊池寛先生資料の返却に行って参りました!その前日前々日と全国的にお天気は大荒れで、強風により特急サンダーバードが止まったり、岡山と高松をつなぐマリンライナーが瀬戸大橋のうえで8時間止まったり(すなわち瀬戸内海のうえ、恐怖!)と聞いておりましたのでドキドキしつつ、途中2分の遅れのみで予定通り菊池寛記念館さんまで到着することができました。
 前回も台風と台風の谷間にうまいこと伺うことができ、今回もうまいことやれました~と自慢げにお話しすることの「日頃の行いが良いからですよ」を引き出したい感たるや…。案の定、優しい高松のかたがたはそう仰ってくださいましたが、なにせ今年発覚した天使の住む街・高松ですから、ひとえに菊池寛記念館さんはじめ高松のひとびとと菊池寛先生のエネルギーのおかげさまでございます。
 10月の講演会においでいただいた大西先生と館長さん、そして学芸員のかたがたに見守っていただきつつ無事資料を返却。その後お茶をいただきながら今回の企画についてお話ししていたおり、「金沢といえば~…」と館長さんが不意に身につけていらっしゃるネクタイをクイッと見せてくださいました。

 
 
 「23年前、金沢で入手したんです」と仰るそのしましまのネクタイ、よくみると黒地に無数に散らされた「金」の文字…こ、これは…「か、金沢市印…!」
 平成3年に石川県で国体が開催された際にお世話役として来沢され、件のネクタイは関係者に配られた記念品なのだそうです。なんときょう金沢から徳田秋聲記念館がやってくるというその日にあわせて締めてきてくだったというお心遣い、高松の「た」はたいそうやさしいの「た」…!
「か」は、館長さんかっこいいの「か」!(以下略)



←裏側には「金沢市 国体実行委員会」のタグ。

 そもそももろもろの発端は高松市と金沢市との文化・観光交流協定締結記念であった企画展、菊池寛記念館さんのあのお部屋において高松市と金沢市が邂逅いたしました。粋な結末の演出、心よりお礼申し上げます!


 
 

休館にはいりました。
 2014.12.1

 昨日今年最後の開館日を迎え、有難いことにたくさんのお客さまがリニューアル前の館の姿を目に焼き付けようとおいでくださいました。壁を壊したり大きな展示ケースを設置したりとそこそこ派手な工事になるとはいえ、大きな建物ですらある日更地にされると今まで何が建っていたかまるで思い出せないもの。閉館後、改めておよそ10年を走り続けてくれた館内の写真を撮りました。
 それと同時に菊池寛賞展も会期終了です。表のタペストリーがはずされ、明日には展示物の撤去作業を行います。12月がはじまると同時に休館してしまったわけですが、その予定がたった頃から、あー今年は秋聲先生のお誕生祝いができないなァーとふんわり思っておりました。12月23日、問答無用で祝日。
 いつも今年はなににしようかとイベントやらプレゼントやら考えかけて、アッちがう休館でした!となったりしておりました。そしてあわせてこっそり思いを馳せていたのが菊池寛先生のお誕生日。なんと秋聲の3日後、12月26日につき、合同お誕生会!…できないなァー残念~…ご命日は??3月6日!…含まれてるなァー無念~…の繰り返しです。
 当館3月6日までお休みいただき、3月7日(土)9時半からふたたび開館いたします。とはいえ、たとえ1日早く6日にリニューアルオープンだったにせよ、すでに菊池寛賞展は撤去済みですのでちょっと意味のわからないことになるところでした。明日!開館!とはずむ心のうちでそっと偲ばせていただくことにいたします。およそ2ヶ月間、たいへんお世話になりました。

 こちら職員が休憩の合間合間に読んでいる第1回菊池寛賞受賞作『仮装人物』を上からみた図。

 菊池寛賞展がはじまった頃合いより日々学芸員デスクからそっと消え(了承済みです)、そっと返されるこの本のちょっとずつふせんが進んでいくのを見るのがひそかな楽しみとなっておりましたがこれはもう!間もなく…!
 
 


 
 

図書資料修復研修
2014.11.30

 昨日、犀星記念館さんで行われた研修会に参加して参りました。講師はドイツの製本工房で製本と修復技術を習得されたという前多令子先生。各館から瀕死の書籍をもちより、実際に修復のさまを見せていただきながらその手法を学びました。

 使われるお道具は製本修復専用のものもありますが、前多先生がご自分の経験と感触とで辿り着かれたものも多く、これ手術用の~皮膚移植なんかするピンセットがはがすのにちょうどいいんですよね~などいいつつ実際に癒着したページとページをはがされるその手際がだんだんとオペに見えてくる不思議…
 そして実際に書籍が元気に復活していくのですから、やっぱこれオペなんですね!と納得する円座。そしてその円座のさまがやはり患者を取り囲む手術室のようであり、書籍の持ち主である犀星さんの「先生、お願いします…!」と見守るさまが患者さんのご家族のようであり、バインダーを手に熱心にメモをとるユメジ館さんが研修医のようであった件…。
 展示用なのか閲覧用なのかどこまでを目指して修復するのか、という最初の方針と決断が重要になるとのこと、なるほど自然な仕上がりと使用にも堪える補強とでは使う素材からして異なります。現状維持を最低条件としてついつい後回しにしがちな修復作業ですが、これを機にがっつりと大手術を敢行せねば…!と館で静かに寝ている資料たちを思うのでした。

 そして気がつけば本日菊池寛賞展最終日。あしたからリニューアル休館に入ります。間もなく開館10周年を迎える当館、ハード面でもいろいろなところに手術が必要となってきました。壁をガリゴリする一方、書籍ピリパリも同時進行してゆきたい所存…。
 鏡花記念館さんひとあしお先です!!
 
  

 


ひゃくまんさん行列
 2014.11.29

 桐生悠々関係資料があるよ、と金沢の公式観光ガイド・まいどさんからお呼ばれしましたので、ひがし茶屋街のまいどさん詰め所へお邪魔して参りました。記念館ホイホイ、まんまとです。しかしさすがは金沢マイスターのまいどさん、そして実際に歩いて繋がる種族のかたがた。予想もつかないネットワークであれこれ連携があり関係性があり、そこから貴重な資料が出てきたりそれにまつわる情報がざくざく出てきたりでちょっとまってください、悠々の奧さんの妹さんのご長女の旦那さんが同級生と仰いましたか?ご子息の?と振り切られないように追いすがるので精一杯です。こちらまた何らかの形でお披露目を…。

 さて今回のほっこりポストはいつもとひと味ちがいました。遠くからみたときにはなんだか華やかなるだるまのようなフォルム…早くもお正月仕様かしら?と近づいてみると、ひとりで盆と正月と石川県を背負ったかのような、もとい実際に背負ってご活躍の県公式キャラクター・ひゃくまんさんの行列でした。
 こちら地元の酒屋さんで販売している純米酒の限定ラベルだそう。これだけ展示替えをしているのにいまだその場面に遭遇したことがない、当館幻のシャー営業部長と並んで東山の七不思議のひとつと言われている謎の設置者の年齢層が若干割れたような気もいたしますが、アッこんなパターンもあるんですね…!とかえってその展示品の幅の広さ、鋭意新たな資料を収集していらっしゃる不断のご努力を見せつけられました。そしていくら可愛いとはいえただビンを並べたのではゴミと間違われてしまう可能性もありますが、そこはさすが設置者の設置者たる由縁、黒い台座によって貴重な展示物感を演出するという上級テクニック!
 当館で使うことはほとんどありませんが、思えば黒は某K記念館さんの色。そこはかとなく常に漂う高級感…。あっはい!菊池寛賞展では元気にレッドカーペットを敷いております!
 




木曳野小学校さんご来館
 
 2014.11.26

 昨日雨のなか、4年生総勢150名があそびに来てくれました!木曳野小さんといえば今年7月に出前授業にうかがった学校。このまえいったのおぼえてますか~など言いつつ館内をぐるっとご案内させていただきました。
 しかしながら何せ1組50名なものですから声がとどかず資料まで目もとどかずで申し訳ありませんでした。のこり5日、あるいは3月7日以降にまたおいでいただけましたら幸いです。

 万人には、とくにお子さんにはなかなか説明しにくくゴニョゴニョさせておきたい部分も多い秋聲の世界だもので、小学生さんには作品の内容よりも人柄重視でいつもお話しさせていただいております。そんななか、作家としてのプライドを守りとおした秋聲先生のかっこいいエピソードとして、その生涯最後の長編小説「縮図」が未完のまま秋聲が亡くなったことを説明していたおり、目の前にいた女の子がちいさな声でこちらに向かってなにやら囁くもので、ん?ん?と腰をかがめましたら「天国でつづき書いてる…?」

 ………イ、イノセント……!!!

 館に天使が舞い降りた結果、こちらの腰がくだけました。
 「書いてるよ~~!ぜったい書いてるよ~~!死んでも小説家だよ~!!」ときもちのわるいテンションで力説してすみません。実際に書いてるか書いてないかそんな気分だったかどうだかはわかりませんが、ここはもう秋聲先生書いてるということでひとつお願いします。
 そして書いてるのだとしたら逐次おろしていただけるとたすかります。「先生の釦(ボタン)、お花みたぁい……」から嘘のように復活した銀子さんのその後と冒頭の資生堂へのつながりどころ、みんな気にしています。
 
       天使のぬけがら、雨天バージョン→ 

 



霜田あゆ美個展 小さな秋の一葉
 2014.11.25

 23日、オヨヨ書林せせらぎ通り店さんで開催されていた上記の展覧会にお邪魔して参りました。タイトルの「一葉」とは樋口一葉。彼女の人となり、そして作品をモチーフにした絵画展です。ご案内くださった方曰く、6月に東京で「一葉と芙美子」と題された展覧会の片割れの巡回だそうで、「芙美子」といえば林芙美子!
 御両人とも秋聲とゆかり深い方々につき、残念ながらくぼあやこさん作芙美子サイドは来られなかったものの一葉がお好きだという霜田先生の一葉像を勇んで見にうかがいました。そしてまさかの昨日までの展示です。毎度ご案内が遅い寸々語!

 うかがった23日は一葉さんのご命日とのこと。18日の秋聲のご命日を過ぎうかうかしておりました。そういえばシンポの際にも尾形先生が11月は忌日が多いのよ~と仰っていました。そんなこともあり、この日は好きな小説作品で絵を描こう!というワークショップも開催され、そちらにもちゃっかり参加して参りました。霜田先生直々にアドバイスをくださる贅沢な時間です。ちゃっかりついでに作品はもちろん秋聲先生にさせていただいて、さいきん(勝手に)旬の『秋聲少年少女小説集』から「明朝の望(あしたののぞみ)」でイメージイラストを描いてみました。
 そちらはここにご紹介できるシロモノではございませんので割愛させていただきますが、霜田先生のゆるっとして見せかけたしかし適確かつ発展的なアドバイスはまさに明朝の望…。今ある作品を否定せず、下手ながら次も描きたくなるようなあたたかいお言葉をいただいたのでした。絵柄と同じあたたかな霜田先生、そしてオヨヨさん、ご案内くださった御方ありがとうございました。
 秋聲は一葉さんの作品のなかでも子どもの描き方を特に高く評価しています。子どもが苦手な秋聲先生の描く「明朝の望」のヒロイン「蝶ちゃん」は一葉さんにどう映るのでしょうか。
  


 

馬場小学校 創立144周年記念会
 2014.11.21

 秋聲の出身校、馬場小学校さんの創立記念集会にお招きいただきました!郷里の偉人教育にあたっている4年生が、秋聲で出し物をしてくださるとのこと。なんと、今夏、紙芝居にもなった子ども向けの物語「花の精」をお芝居にして演じてくれました!

 右にいるのがいたずらっ子の太郎さん、左にいるのが太郎さんを懲らしめるため現れた花の精。
 よく見ると太郎さんの背中には黄色い羽がついています。花の精によってちょうちょに変身させられてしまったのでした。




 こちらは恐ろしいヘビに追いかけられている太郎さん。
 疾走感がすごい。





 



 最後にみんなで整列して去年つくられた「秋聲の歌」を合唱。パノラマなのは、ピアノも生徒さんが弾かれているためそこをおさえたかったから(結果写ってはいない)。

 舞台の上も下もフルに使って臨場感あふれる演出のうえ、それぞれが己の役割をきちんと果たしとてもまとまりのある素敵なお芝居となっておりました。そもそもこういうことにぜひ使っていただきたいと制作した当館オリジナル文庫『秋聲少年少女小説集』ですが、そしてそれを元に脚色してくださっているわけですが、生徒さんの口からきちんとこれが秋聲の本領ではないこと、子ども向けに書くのを苦手としていたことなどが説明され、行き届いた構成に感謝しきりです!4年生のみなさんと担任の先生、感動の時間を有難うございました。お秋さんの笑顔、蜘蛛役の生徒さんが背中に背負った蜘蛛の巣のクオリティの高さ、冷風・温風役の彼らの勇姿、すべてわすれません。
 ついでにこの前に発表をした1年生の口から『光を追うて』の一節が朗々と語り出されたこと、3年生の口から「ににんびくにいろざんげ!」(尾崎紅葉『二人比丘尼色懺悔』)と叫び出されたことによる衝撃もわすれません。 

 

 


秋聲忌
 
 2014.11.18

 まるで朝からぼけっとしすぎておりましたが、本日こそまぎれもなく秋聲先生のご命日。ミッキーマウスのお誕生日。木村荘八さんのご命日。ミニーマウスのお誕生日。そしてようやく新しく生まれ変わりましたトップにもお知らせしております白鳥さん自筆の弔辞、そっと初公開。

 本日こそ本日なのに何故にぼけっとしてしまうのか…なにすべては16日が熱すぎたから…。浦島太郎とはこんな心持ちなのでしょうか。あれはすべて夢だったのではあるまいか、とうかされた熱の名残にぼんやりしながら残務処理にあたっております。

 ひとつひとつ片付けるにつけ、思い出されるみなさまがたのお顔…開場と同時にご入場くださった常連さん…まさかの満席に急遽椅子を足し講師のお顔すら見えない変な通路から最後までご観覧くださったお客さま…極度の潔癖をのりこえブログにて懐の深すぎる告知をしてくださったK記念館さん…われらは東、ならば向こうは西のイベント終わりに息せききって駆けつけてくださった犀星記念館さん…墓前祭をつつがなく執行し最後まで見守ってくださった石川近文さん…急な無茶ぶり、あるいは無言のスケジューリングにも臨機応変に対応し立ち回ってくれた優秀なスタッフ…お忙しいなかご参集くださったすべてのお客さま、そしてお客さま、お客さま…圧巻の2時間半、妥協のない激論をかわしお客さまを秋聲の世界に引きずり込んでくださったパネリストの先生方…おひとりおひとりのお顔が走馬燈のように流れてゆき、あれコレもしかして余命いくばくも…?「先生の釦(ボタン)お花みたぁい…」(※『縮図』の名場面)というくらいにいまだふわふわしておりますけれども今月いっぱい元気いっぱい開館します!残り数日よろしくおねがいします!!

 今回単なる生存報告となり恐縮です。このふわふわが収まった頃にご報告は改めて…。
 そういえば徳田章子名誉館長が金沢をお離れになった途端に空が曇りだし、土砂降りとなった昨日午後。当館の太陽が東の東へとお帰りです。





新内流せた1日目
 2014.11.15

 奇跡というには!
 手放しでは!
 喜べないけれども!

 なんとか晴れた!
 晴れたというには!
 どんよりだけれども!
        (記念館 心の詩 第二章)

 おかげさまで昨日の新内流し、かろうじて外での上演が実現いたしました。お天気が気を利かせてくれたというより、完全に演者のおふたりの心意気それのみに支えられた流しでしたが、今回ちょっとお外は無理なので階段下から~とお客さまには先にご案内申し上げておりましたものでこれはサプライズ!サプライズ過ぎてあたふたして撮影間にあわず…!
 命より大事な三味線を危険にさらしてお客さまを喜ばせてくださったおふたりに館からなにを献げてよいのやら…館にとって命より大事なものとはなんなのか…お客さま…?いや共有できても差し上げられぬ…自筆原稿?それは大事、差し上げられぬ…遺品とどっちが?なんの順位はつけられぬ…物でなくては?…三代ゆるがぬシュウセイズム…永代伝える心意気……思わぬところで館の在り方をかんがえだし謎の沼にはまった結果、差し上げられるものは心意気しかひねりだせませんでしたのでおふたりには秋聲文学を永代伝える心意気を感謝に包んで差し上げたいとおもいます。ちぐはぐのようでいてそれはもう誓いにも似たご恩返しと心得ます。
 今日も今日とて朝からの土砂降り!今月に設定したこちらの不手際は大きくふりかぶって棚に投げ上げておいての11月の金沢め!!
 

 


第6回 学芸員会議
  2014.11.14

 本日当館にて学芸員会議、開催いたしました。早いもので前回の紀要発行から一年…次号のことやら、来年度の事業のことやらガツガツと話し合いました。
 最後にせっかく各館の学芸員が一同に会する機会ですから、と現在の菊池寛賞展についてのご講評をいただきましたが、内容より何より話が集中したのはテーブルの上のコレ→

 たわしコロッケです。

 こちら企画展冒頭、菊池先生の代表作「真珠夫人」とセットでご紹介させていただいております。これこそ早いものですでに10年近く前になりましょうか、同作がお昼のドラマの原作となったおり、テレビオリジナルの演出としてお茶の間に登場した画期的なお夕食です。主人公・瑠璃子さんと秘かに思い合う直也さん、の妻・登美子がふたりの密会に気づき、嫌がらせのためコロッケに模したたわしを直也さんに供するという恐るべき一場面。当時一世を風靡した背筋も凍るメニュー「たわしコロッケ」の再現写真をパネルにしてみました。
 これはもしかすると当館のこれまでの多種多様にわたるお仕事のなかでもっとも我に返ってはいけないお仕事だったかもしれません。たわしを二つ買ってきて…キャベツを千切りにして…レモンを添えて…会議室のテーブルにそっと置いたその皿を…デザイナーさんの指示のもとカメラマンさんが三脚を立てて撮影されるというそのさま…。お願いしたはいいものの急に申し訳なくなり、なんかすみません…という気持ちで見守りつつ「いや、もうちょっと奥行きをもたせて!」「レモンの角度!」などキビキビ指示を出すデザイナーさんの横顔が真剣そのものだったためかえってこちらの中途半端な心持ちを恥じました。たわしコロッケ撮影、ごく真剣に行いました。

 
 


真っ赤に燃えた太陽だから
  2014.11.13

 11日、ケーブルテレビさんの夕方の情報番組にすこし出演させていただきました。菊池寛賞展のご紹介から、新内、そして墓前祭、シンポジウムのご案内まで7分間フルに使って詰め込ませていただきました。ケーブルテレビさんありがとうございました。
 明日から14・15・16が当館勝負の3日間。この3日をつつがなく終えることに現在全神経を注いでおり、館の総力をあげて天気予報を見守っております。

 ご覧ください、こちら↓
 うれしいやら!かなしいやら!

 欲ばりなのか!
 それくらいの望みは許されるのか!
 奇跡と言うには!
 手放しでは!
          (記念館 心の詩 第一章)

 というわけで、見事に16日だけ晴れマーク。まぶしい、まぶしい16日の赤さです。16日は午前中墓前祭のうえ、午後からシンポジウムとなっており、墓前祭が屋外で催されることにくわえシンポ会場である21世紀美術館までの移動を考えたりなんだりする上でどうしたって晴れてほしい一日であるわけですが、それをいうなら14・15の新内流しもほぼ当館の一部と言ってはばからない梅ノ橋の向こうから流してくるから新内流し、それが醍醐味であるからしてどうしたって晴れてほしい二日であるわけで、アッ晴れ…アッでも雨…!アッ…アッ…とまごまごしている本日です。
 6月の燈籠流しのときに活躍してくれたてるてる秋聲先生の出番でしょうか。しつこいようですがトップに赤く輝くnew!の点滅には(この3日晴れて…!)との祈りも暗に込められており、そういえば太陽を赤で書く習慣は何故なのか、どっちかっていうと黄色じゃないか、白地に黄色は目立たないな!ということまでぐるぐる考えだしております。





new!の限界に挑戦
 2014.11.7

 トップのお知らせ欄「new!」の点滅運動をいつ消すか、情報とはいつnew!でなくなるのか、出して何日ほどでnew!から旧!になるのか、次のお知らせが出たらなくなるのか、でもトップがうるさくなるから今のお知らせのものが終わったら次をだーそう、と思っている以上new!new!のままなのか、いや気持ちのうえでは永遠にnew!ですけどね!さほど新しかないけど力入れてるんですよ!との心意気のあらわれとしての赤字点滅、と言ってもみてもよいものか…などと寸々語の更新日を更新しながらいつも横目にみてはみぬふりをしている今日この頃、なんだかんだで来週に迫ってきているnew!のもろもろ、来週末金土日はイベント盛りだくさんです!

 まずは新内、今年も例年通り執り行います。演目は犀星さんの「あにいもうと」、新作の上演とあいなります。
 いつも館内のご案内などさせていただきながら、梅ノ橋を一望できる2階のサロンにあがってお客さまがその景観にホゥッとなった瞬間すかさず「春にはここでお抹茶をお出しするんですよ~秋にはあの橋の向こうからお三味線をひいてここまで流していただくんですよ~」とわざとらしくお伝えしてたいがいのお客さまがへぇっ!となってくださることにニヤニヤしているアレです。ついにアレの秋編が登場です。
↑徳田家のあにいもうと。

 先日演者の紋弥さんから脚本がとどき、お先に拝見したところアッ切ない…!となりました。これは今年も必見です。14(金)15(土)両日同演目となりますので、どちらかでもお越しいただけましたら幸いです。そして翌16(日)は墓前祭からのシンポジウム。こちらはタイムスケジュールがすこし厄介ですのでまた後日思いの丈をこちらにぶつけに参ります。





見るべきは羽
 2014.11.6

 先日今年4月からの受付さんに「上半身裸の男の子が四つん這いになってるなんか可愛い感じの絵っていま展示されてます??」と尋ねられました。エ?ナニヲオッシャッテイルノデス??と思わず二度聞きをいたしました。しかし二度聞いても確かにそれをお求めだそうで「いやっそういったものはちょっとないですけど…!」とお答えすると、お客さまがそんな絵の載っている当館のチラシを持って来館されたとのこと。去年の企画展のチラシで、かわいいからずっと持ってたのよ~と仰ってました…とそこまで聞いてもピンと来ず、イラスト?荘八?ユメジさん?四つん這いの…?と過去のチラシを見て行くとなるほど、これでしたかという1枚を発見→
 
  らしからぬ展チラシのことですね。

 たしかに上半身裸で男の子で四つん這いになっているっぽく見えて可愛い感じの絵ですが、ちょっと結びつきませんでした。シナプスのはたらきが鈍いと言われればそれもそう、思考回路が薄らよごれていると言われればそれもそうなのですが、なにせ四つん這いがいけません。彼、すなわちただの少年でなくキューピッドなわけなのですからはだかんぼうはやむなしとして四つん這いとは最も遠い存在、文字通り天地の差!
 どうやら三つ折りにされたチラシをチラとしか確認できなかったそうで、たしかに上から3分の1折ってあったら這ってるようにも見えますね…との結論に達しました。
 ちなみに彼は這うどころか上空からいままさに矢を射んと狙っているところ。こちら、以前にもご紹介したとおり秋聲と仲良しの画家・梶田半古氏の作品でして、現在は展示しておりませんが原画を当館で保管させていただいております。
 チラシをとっておいてくださったというお客さま、展示しておりませんで申し訳ございません。が、そのお気持ちと話題とにより事務室がちょっとあたたまりました。





劇的
 2014.11.5

  2日、金沢蓄音器館さんと朗読小屋 浅野川倶楽部さんのコラボ企画「朗読とSP盤で聴く金色夜叉」を拝聴して参りました。金色夜叉、すなわちわれらが秋聲の師・尾崎紅葉の代名詞とも言える作品です。秋聲と同じく紅葉の弟子で葉門の四天王とも呼ばれたひとり・小栗風葉の脚本で、6名の出演者たちにより、あの熱海の海岸における名場面が再現されました。
 「来年の今月今夜、僕の涙で必ずこの月を曇らして見せる!」との貫一の念によるものか、当日はお昼間から早くも土砂降りに見舞われ、会場となった蓄音器館と当館とはものの5分10分程度の距離ながらすこし躊躇われるほど…。いや、しかしこれを聞き逃しては一生の後悔…!と奮起し大雨の中びちゃびちゃと会場に到着すると、見事なまでに満場満席!雨ごときでひよるお客さまではありませんでした。さすがは紅葉…さすがは蓄音器館×浅野川倶楽部…。
 貫一お宮の間にダイヤの指輪をちらつかせてずずいと入り込んでくる富山唯継役が、先月当館の朗読会でのユメジさん役の方であったため、ご入場のさいには(あっユメジ!ユメジ!)と心の中で勝手な再会を喜んだものでしたが、いざ始まってみるとまったくの別人でおのれ富山…!!と貫一気分でギリギリと奥歯を噛みしめたものです。いえ、その矛先は富山、の向こうに輝くダイヤを選んだお宮さんに向けられるべきでしょうか。か細くむせび泣くお宮さんの切なさ、貫一の激情など、基本淡々とした秋聲作品とはちがい、噛みしめる用のハンカチを持参せねばならないさすがは紅葉先生の舞台でございました。

 朗読後、蓄音器館館長さんより、林長二郎(長谷川一夫)、田中絹代主演の映画劇「金色夜叉」のSPレコードを聴かせていただきました。同じ熱海の海岸なのですが、こちらは何故かくすくすと客席から笑いさえ起こる仕上がり…。長二郎版貫一さんが妙にコミカルで、お宮ちゃんお宮ちゃん!と跳ね回る様子がどうにも愛らしかったのです。

 ↑行きしの旧南陽堂書店さんに何故かキティちゃん大量発生。

 


秋田からの群馬
 2014.11.2

 先日、ユメジ展の資料をお返しに再び秋田へ行って参りました!美術品輸送の専用車に同乗のうえ、金沢から9時間の旅…なかなかに大荒れの日本海…。
 着いて寝て翌日返却を済ませ、これにて完全にユメジさんとのお別れとなりました。長い間お世話になりました。いつかまたお目にかかるその日まで。

 そして秋田から群馬へと移動し、次回企画展調査のため田山花袋記念文学館へ。いつぞやこの欄でご紹介した自然主義文学三人衆の最後のおひとりでございます。
 花袋館さんでは現在「藤村と花袋」展を開催中。なんとありがたや、三人衆のうちおふたりを同時に学ぶのに最適な企画展です。なかにふたりの比較年譜があり、おおお~こちらに秋聲も混ぜたい~混ざりたい~と身悶えながら観覧させていただきました。花袋さんと秋聲とは同年生まれで生い立ちなど似通った部分があり、比較でみると面白いことになりそうです。

 毎度どの館へ伺っても学芸員さんにびっちりご案内いただいたうえ、集合写真やら寄せ書きを見るにつけ「…これ秋聲いますかねえ?」とそればかり発しまして恐縮です。しかしながら「あぁいますよ!」とさすがはプロフェッショナル、把握していらっしゃる…!「いますか!へへえ!いますか!」と急にはしゃぎだして申し訳ありません。これすでに自らの力ではどうにも押さえられぬ症状でしてその後発見できる場合には「オァッ!?いるいる!えへへえ!」となり、展示されている箇所の関係で発見できぬ場合には「えへへえ、でもいるんだ、えへへえ!」と想像だけででれでれしてしまう可哀想な病気につき、あっ可哀想だな!と思ってそっとしておいていただければ幸いです。
 
  
 


歓迎!りんご部会御一行さま
 2014.11.1

 さいきんもっぱら秋星りんごに沸く当館に、その作り手でいらっしゃるJA金沢りんご部会ご一行さまがおいでくださいました!!ようこそようこそ!!
 秋星出荷の報道を見るにつけ気になっていた「りんご部会」なる団体…なかでも「りんご部会会長」なる人物…。これはこの会長さんにご挨拶せねばなるまいよ、とお手紙を書き、こちらが出向くべきところまこと失礼ながらまずは館への招待状をお送りしたところ、お仲間とともに早速おいでくださったのです!りんご部会会長さんが、当館に…!
 また、身ひとつでじゅうぶん嬉しいものを箱いっぱいの「秋星」をおみやげにとお持ちくださり、今まで勝手に購入して受付に設置したりなどしたことはございましたが、今回はじめて公式のかたちで秋聲館ミーツ秋星が実現いたしました!ありがとうございます!
 りんご部会会長さんはニコニコとしてりんごのようなまあるい空気を持った御方。りんご部会員のみなさまと館を見て回られ、ぜひ一緒に何かやりたいですね、ウフフ、と来年の10周年に向けてそんな種を蒔かせていただく会となりました。まだ土についてもおりませんが、せっかくのこの機会を是非とも次に繋げたく、リニューアル休館中せっせと土に馴染ませ水をやり大切に育みたい所存です。お忙しいなか本当にありがとうございました。
 そして秋星りんごの波はまだまだ止まりませんで、本日展示解説を行ったさい、お客さまより「秋星りんごバター」なる小瓶(写真中央)をいただきました!ジャムのみならずバターまで…!
 バターはバターのままで大丈夫だったでしょうか、大丈夫でした。おしゃれな小瓶のラベルにバターと書いてありました。まだしばらくはバターで通じそうです。
 ちなみにフランス語ではブールだそうで、コンフィチュールおじさんとブール子さん…ブール子さん!!どちらも気むずかしそうです。

 
 


そして梨も
 
 2014.10.26

 今年もまた新潟の秋聲ご令孫より、梨の「新高(にいたか)」送っていただきました!いつもありがとうございます!毎年この時期になると必ず届く超立派な梨。何年か前のいまごろ、ご両親がそれぞれ新潟と高知出身だから「新高」でーす!とこちらに書き込んだ覚えがございますが、そして今年も到着のおり、らしいですよ!と自慢げに職員に言いふらしましたが、いま改めて調べてみると「俗説」と書いてありました。なんと…俗説であったと…。実際には、梨をみて館長が最初に仰った「富士より高い新高山だね」が正解だとのこと。それをも遮って、いやご両親がですね…!とひけらかしたことをこちらにてこっそり謝罪いたします。その命名法、「秋星」の一番星と同じ類でありました。

 さて梨といえば二十世紀、二十世紀を経ての21世紀、さきほど金沢21世紀美術館さんにお邪魔して、来月16日のシンポジウムの打ち合わせを行って参りました。そしてその帰りに、広坂は能楽美術館さんお隣・金沢クラフト広坂さんで開催中の和傘展へもお邪魔して参りました。

 当館でもよくよくお世話になっている和傘明兎の山田ひろみ先生による作品展です(残念ながら本日16時まで!お知らせ遅くて恐縮です!)。

←会場が能美さんお隣ということもあり、謡(うたい)模様の和傘も展示されてございます。

 金沢は「空から謡が降ってくる街」と言われておりますが、降ってきた謡は秋聲の肩にはとまりませんで、秋聲の兄・順太郎さんの肩にとまった模様。順太郎さんご遺族よりご寄贈いただき、明治40年9月、順太郎さんが「宝生九郎」に入門した際の入門許可書が当館に保管されております。順太郎さんとの交流を描いた短編小説「丸薬」(明治44年発表)にも、〈兄はその頃から碁や謡を謳い覚えた。〉とあり、時期的にもおおよそ符合するのです。





さいきんではジャムといわないそうな
  2014.10.25

 今年もまたりんごの秋星が出回る季節となりました!秋聲にちなんで命名された石川県産のりんごです。それとともに各所からその秋星りんごを使ったジャムが寄せられる今日この頃、おそらくは各店頭でたまたま発見しアッ秋聲記念館にあーげよ!と思ってくださるそのお気持ちに乾杯です!そのお気持ちだけでわれわれは生きて行かれる、秋星りんごの恩恵これにあり…!!

  というわけでつい先日いただいたのがオシャンなこちら→

 あっちがいます自家製キムチじゃないですコンフィチュールです!
 あまりきちんと把握できておりませんが、これまでにパッケージ違い2種類の秋星ジャムあらためコンフィチュールを確認しておりこれで3種類目です。そしてパッケージのみならず、ジャムあらためコンフィチュール本体にもそれぞれ違いがありなるほどカットの具合やら煮詰め具合でちがってくるのだね、とふむふむ拝見しております。 

 あとの2つ、写真もなにもなく恐縮ですが、ひとつは細長めの壜にポップなラベル、本体はわりあい黄色っぽくよく漉されてのっぺりとろりとした仕様。もうひとつはどっしりとした壜にクラシカルなラベル、中身はすりおろしりんごのようにじゃみじゃみざらざらしています。
 そして今回のこちらは写真ではまるで再現されていないきれいなピンク色でなかに小さく角切りにされたりんごそのものの姿が確認され、きっと食べるとさくさくするぞ、そうだぞ、という期待感の高まる風貌。いつの日か秋星たちを大集合させて大試食会を開きたいものです。クラッカーでもパンでもヨーグルトでも、合わせたい食材は要持参です。
 


 

S営業部長、K営業課長
 2014.10.24

 
 
 
お久しぶりです、営業部長。さいきんめっきり営業部長らしい営業をしてくださらないシャー営業部長。ちょっと薄汚れた風采でふらりと現れては職員の安否だけ確認し「みな息災か、ならばよい。」とクールに去っていかれます。これでは営業部長というよりもはや伝説の猫、幻の猫の域。
 見ると幸せになれるらしいよ、とまことしやかに喧伝してゆこうかと裏広報戦略の次の手、考えております。
 実際のところ今日もサロンに巣くっている蜘蛛のやつのほうがよっぽど皆勤賞、というよりもうすっかり館で生活を…。むしろ営業部長に向いているのでは?営業部長にしちゃう?と、職員のうちにいささかの気の迷いなんかも生じております。

 とりあえず蜘蛛のほうの彼のあだ名を営業課長にしてみました。が、基本立ち退きを迫り迫られるというその関係性は変わっていません。館にずっといるクモ営業課長…外回りを…どうか外回りをおねがいします…。

 外回りといえば、昨日触れそびれましたが不定期連載「電柱」の後半、急に「短冊」との章立てがあり「私」が外回りに出かける話が始まります。そこで出会ったのは秋聲の師・尾崎紅葉先生の真筆?偽筆?と思われる短冊。紅葉先生の字ならわかるんぞ!!と普段わりあい先生と距離を置いて自身を語る秋聲には珍しく強い語調で書かれており、それに妙に刺激を受けていつもは月替わりのタイミングで掛け替えている書斎の掛け軸を秋聲自筆から紅葉先生のものに掛け替えました。不定期連載と不定期に書斎、謎の連動です。
 また、企画展示室でご紹介している秋聲の絶筆「喰はれた芸術」も、秋聲独特の師への不器用な愛情表現のひとつ。登場する「K先生」は紅葉先生、「K氏」は菊池寛氏。当館に張り付くのはK営業課長(暫定)。
 




クモノス
 2014.10.23

 20日が六の宮記念日(館内のみ共通)なら本日23日は電信電話記念日(日本共通・日めくりカレンダー談)ということで久方ぶりの不定期連載、「電柱」をアップいたしました!
 自分ちの前に勝手に電柱をたてんとする荒っぽい工夫と「私」との攻防を描いたこの作品、初出は大正14年菊池寛先生率いる雑誌「文芸春秋」です。電柱をめぐる〝些(ささや)かな事件〟を描くなかで、「私」が電柱の濫立する日本の将来を憂えるくだりや語られる哲学はまるで随筆であるかのような秋聲本人臭を大いに漂わせてもいます。あまりに見栄えがわるいから、いっそ地下にもぐらせてしまえば?地下に蜘蛛の巣をお張りなさいな、とするそのご提案は平成の世に実現されつつあり、当館のある東山界隈もひがし茶屋街を手始めとして無電柱化が進んでいるというおそろしさ。

 その代わりといってはなんですが、当館サロンの自慢の大窓にさいきん住み着いた大蜘蛛が見事な巣を張ってくれており、益虫といいつつ彼の巣越しに見る浅野川はさすがにちょっと…ということで日々是攻防です。まさに「電柱」でのやりとりのように「一応の断りもなしに、そんな事をしてもいいことになってるんですか!」「かまうもんか、張れ張れ!」と言い合いっこをしながら箒でもって余所へ遣り、遣ったと思えば次の日には微妙に位置をかえて新居を編んでいるというこのありさま。一度なりともカンダタ気分であの蜘蛛に悪いことをした…これでは地獄じゃ救われぬ…と落ち込んだ夜を返していただきたいところです。そんな夜中のうちとは卑怯です。
 ちなみに芥川龍之介の代表作「蜘蛛の糸」が発表されたのは大正7年「赤い鳥」創刊号。今号に秋聲も「手づま使」という作品を寄せていますが、実のところ小島政二郎の代作で、そうであることを記した小島『眼中の人』なる回顧録が下記『六の宮の姫君』に登場するなど文壇の蜘蛛の巣、どこまでも。





六の宮記念日
  2014.10.21

 とあるご縁から、作家の北村薫先生よりご著書『六の宮の姫君』(創元推理文庫)をお送りいただきました!本をもつ手が震えます!
 芥川龍之介の同題の作品にまつわる謎を主人公が解き明かしていく推理小説ですが、その謎のキーパーソンとなっているのが誰あろう当館現在の主人公・菊池寛先生!

 芥川と寛との関係性など当時の実際の資料に基づき検証されており、当館で話題にしている『近代日本文芸読本』騒動、別名「芥川が秋聲に謝りたおし秋聲がちょっと悪かったな…と心を痛めた騒動」のことまでも描かれております。そして秋聲の親友・正宗白鳥先生もご活躍で、当館といたしましては何故いまごろになってよちよちとご紹介しているのか、10月も20日過ぎ、企画展開催から10日も過ぎ、記念講演会も終わったいまごろになってまことアイタタタ!な事態ですが何ごとも遅すぎるということはない、当館に本書到着の昨日を六の宮記念日としてこののち全力をあげてご紹介して参る所存です。北村先生ありがとうございました。こちらでのお礼になり恐縮ながらたいへん感激しております!!
               
 ちなみに本書のキーパーソンが菊池寛先生なら、キーワードは「卒論」。芥川は大学生主人公の卒論のテーマとして登場するのです(そして作者の卒論も…)。そこから思い出されるのは川端康成の語るエピソード。川端曰く、彼の有名な秋聲讃「日本の小説は源氏にはじまって西鶴に飛び、西鶴から秋聲に飛ぶ。」は川端にとって恩人にあたる菊池寛が、弟子筋の小島政二郎が慶應で教えていたので、君の学校へ博士論文を提出しようと思うが「僕の史論は、源氏物語から西鶴に飛ぶ、それでもいいか」と言い、小島が文学部長に尋ねた(結局博士論文は提出されず)というエピソードに衝撃を受けたことによるといいます。そこに秋聲を付け加えたのが川端なりのアレンジで、この文言は卯辰山の秋聲文学碑に刻まれていますし、このエピソードは企画展示室パネルに刻まれています。
 
  
 


菊池寛ウィーク
 2014.10.18

 15日、第62回菊池寛賞が発表されました!
 阿川佐和子、白石加代子、毎日新聞特別報道グループ取材班「老いてさまよう」、タモリ、若田光一の諸氏に贈られることとなり、当館の企画展示室パネル、秋聲からはじまる「菊池寛賞受賞者一覧」にもだるまの目よろしく揮毫されました→
 盛大にはみだしたる装いにて申し訳のないことです。雑誌「文藝春秋」が廃刊しても、僕が死んでも、この賞を残したい、と願った菊池寛先生の意志を汲み、この狭い展示室などには到底おさまりきれぬほどに永劫続いていくことでしょうから、はみだすくらいでちょうどいい…良くいえばそんな心持ちでございます。

 そして本日、遠く高松市から菊池寛研究の第一人者・大西良生先生をお招きして記念講演会「菊池寛の残影」を開催いたしました!菊池寛記念館さんからも特別に学芸員さんにお越しいただき、本市において寛館ミーツ秋聲館が実現です!
 きのうの企画展視察の際、菊池寛記念館さんからお借りした遺品展示などを見つめながら「いつも見ている資料とちがって見えますね、こんなにしてもらってよかったねぇという気持ちです」と仰る寛館学芸員さんのお言葉には感慨無量。資料に対する愛情があふれすぎています。

 また本日のご講演では、菊池寛先生まさかのタカハシ姓時代から、噂のマント事件の裏話から文壇の大御所と呼ばれるようになったきっかけなどなどその生涯をずざっと追体験するかのような盛りだくさん振りで終了後受付さんから「今日のみなさんの満足度すごいですね!」と感想が洩れるほど。みなさん受付に何かしらの感想を残して帰られたようです。

 大西先生、菊池寛記念館さんありがとうございました。ご参加のみなさまにも心よりお礼申し上げます。今後も市同士館同士、寛と秋聲のようにつかず離れず、上品な距離感で末長くお付き合いいただけましたら幸いです。
 




「秋声が描いた女たち」
 2014.10.15

 今月輪読会やらないんですか?と訊いてくださった方がありました。はいすみません、毎月偶数月に開催しております輪読会、諸事情により今月はお休みさせていただきます。そしてリニューアルのため館を閉めてしまうので、12月も2月もお休みさせていただきます。4月に戻って参ります。
 しかしその穴を埋めるかのように、北國新聞文化センターさんが表題の講座を開講してくださることになりました!ありがたいことです!
 
 (クリックでPDF開きます) 
 10月から毎月当館上田館長が出前に赴き、3月までの6回講座で秋聲文学を語り尽くします。最近ちょこらちょこらとメディアさまに顔をだす秋聲に接し、あれ?意外とやってなかったかも?と企画してくださったとのこと、これを秋聲の波がきていると言わずして何と言いましょう?三文豪の穴場といってはなんですが、ダークホースといってはなんですが、今です!秋聲先生!出撃です!『黴』の底力を見せつけてやるのです…!!
 というわけで第1回は10月30日(木)13時半~15時、「『黴』の世界」にいってきます、とご家族に告げてお出かけください。要事前申し込みのうえ、会場は当館でなく
南町の北國新聞会館さん9階です。

 

 


三文豪月間ははじまっている
 2014.10.14

 某K記念館さん、犀星記念館さんから随分遅れまして当館ブログでもようやっと三文豪月間のお知らせです。始まってはや2週間…そして11日にすでに秋聲映画が一回終わっているというこの惨事…。トップのお知らせからチラシPDFに飛べるようになっておりますので、ぜひご参照ください。
 シネマ感シアター感を存分に押し出した今年のチラシ、幕間からこちらをのぞいていらっしゃる三文豪の先生方がなんともキュートでほくほくします。

 さて、映画祭です。今年は三文豪中われらが秋聲先生をちょっぴり贔屓していただいておりまして、11月大きなシンポジウムの開催とともに映画も他館さまより1回多く計3回上映していただくことになりました。前述のとおりすでに1回終わっておりなんとも申し訳ない次第ですが、あと本日と17日(金)12時~、香林坊109・4階シネモンドさんで「甘い秘密」上映されます。
 前回のユメジ展から今回の菊池寛賞展と、今年がどうしても『仮装人物』イヤーになってしまったもので、映画もそれに合わせていただきました。「仮装人物」→「熱い夜」→「甘い秘密」とタイトルが三段活用されているのでわかりにくいですが、紛れもなくその原作は第1回菊池寛賞受賞作『仮装人物』。秋聲ファンで知られる新藤兼人脚本でお届けしております。

 原作よりずっとずっとユメジさん(細川俊之)が出張ってきているこの作品、11日の舞台挨拶の折にもすこしそのあたり解説させていただきました。秋聲・順子・夢二の実際の関係性その背景を知らずに鑑賞するのがもしかしたら正解なのかもしれませんが(そして一度知ると知らない自分にはもう戻れないという怖ろしさ…)当館がそれを言うには今更すぎて…という感じもしておりどちらにせよしゃしゃりでてきて恐縮です。

←徳田家蔵「甘い秘密」スチール写真

 映画にとって原作未読既読の良し悪しもなかなかこうとは言えないところがありますが、映画鑑賞後の原作再読につきましては強くお薦めしたいところです。





金曜にはじまることもある
 2014.10.10

     昨日みてたのこのひとです!の図→
     (ほんとにすみません)

 あらため、こちらが文壇の大御所・菊池寛先生です!とご紹介しているの図。
 金沢市・高松市 文化観光交流記念特別展「菊池寛賞と秋聲」、本日無事開幕いたしました!ありがとうございます!

 開館し、11時の展示解説までまだ間があるわい、と10時からの学芸員会議にすこし顔をだそうかと会場である某K記念館さんに向かい到着した途端に館から連絡があり、取材のクルーが続々お見えになっているときき会場の準備をされていたK記念館さんに「来たけど帰ります!」と謎の宣言をして取って返し取材対応をさせていただきました。テレビ局さん、新聞社さんあわせ取材班3組が狭い企画展示室に入り乱されるさま、いつにない光景でたいへんうれしく目蓋の裏に焼き付けました。寝るまえに思い出してはニヤニヤすることにいたします。すばやい動き、ありがとうございました。
 午前午後の展示解説にもたくさんの方においでいただき、「菊池寛と秋聲」展でなく「菊池寛賞と秋聲」展である理由、そして寛と秋聲との決してべたべたしない高級な友情、菊池寛先生の先見の明などにつき平均50分をかけてご紹介させていただきました。
 チラシ裏イベント欄の展示解説予告に10月10日(土)と書いていたこと…いったいどっちなんだろうと惑わせる罠にもひっかからず、毎度初日でしょ?そうでしょ?と強く信じて来てくださったレギュラーのみなさまにはもはや感謝の言葉もございません。今後二度と同じ間違いをおかさぬ覚悟で心の両頬を強くひっぱたきましたが、夕方になってなお今日が土曜と信じて疑わないある意味一途な脳をもった当館のこと、万一また同じ過ちを繰り返してしまった際にはチラシでなくご自身を信じてください。基本イベントや会期中の展示解説は土曜さまにおもねりますが、初日だけはぶれません。それが金曜であれ月曜であれ、徳田秋聲記念館の展示解説第1回目は開催初日、初日です。





残影
  2014.10.9

 きのう皆既月食があることまで日めくりカレンダーさまは教えてくれませんでした。満月を見ようと空を見あげて月が欠けているのを発見したときの衝撃といったら…この世の終わりを疑いました。
 しかしこの世は終わりませんでしたので今日も粛々と展示替えをしております。毎度のごとく、全面ガラスケースに引きこもりちまちまと資料を入れている途中、人影を感じてびくり!と顔をあげましたら菊池寛先生にがっつり見られておりました→
 こちら、おわかりいただけるでしょうか。展示ケースの内側からの光景、背面のパネルからガラスに映り込む菊池寛先生…。この立ち位置といたしましてはお客さまの感じです。当方ケースの中におりますので、展示品よろしく覗かれている感じです。基本的に展示替え中はお客さまの立入厳禁。いるはずのないところに立たれたときの衝撃といったら…あの世の存在を疑いました。
 
 そんな菊池寛先生の影におびえる当館、企画展開催の暁には記念講演会を開催します。18日(土)、高松市より菊池寛研究の第一人者・大西良生先生をお招きし、狭い展示室から洩れに洩れた菊池寛先生のご業績・お人柄のもろもろをご紹介いただきます。地球の影に隠れると書いて月食、菊池先生の残した影と書いて残影(ざんよう)。無理矢理タイムリー!
 こちら受付開始しておりますので、ぜひお電話ください。 
 
 



今宵は満月
 2014.10.8

 ということですので、日暮れごろ外出予定のみなさまはぜひ空を見あげてみてください。毎度日めくりカレンダーさまは有益な情報をくださいます。満月なので狼男も出動でしょうか、そう気持ちはハロウィンです。

 展示替えの合間を縫って、茶屋街にチラシくばりに出かけております。もういい加減口がすっぱくなりそうですが、茶屋街に行く→ほっこりポストを確認する!!という館の鉄の掟、今回も遵守いたしました。

 み、みてる~!観音院からおりてくるひとびとを、すごくみてる~!!季節のお野菜から一転、ハロウィン仕様になっておりました。

←ちなみに(彼らの)正面はこう。
 み、みてくる~!すごくみてくる~!!

 この色…オレンジ色と紫…絶妙のとりあわせです。こちらもいい加減しつこいですが、オレンジは菊池寛色、紫は『仮装人物』色(館で勝手に決めました)ですので、すでに菊池寛賞第1回受賞作の感じを彼らふたりで体現してくれております。タイムリーです。

 もし文学史のテストでわからなくなったら彼らを思い出してください。この彼らの残像を…オレンジ×むらさき…アッ菊池寛×『仮装人物』!となること請け合いです。ただ展示を追っていきますと、菊池寛先生的に作品は『仮装人物』でなくともよかったんだな、ということに気が付きます。なにせ選考委員に入っておられませんし、発表ののち「あっ徳田さんになったの?いいんじゃない?」というくらいのテンションで語っておられます。

 そんな菊池寛賞にまつわるあれやこれやが展開される展示室もいよいよオレンジになってきました。





ユメジさんに愛と感謝を。
 2014.10.6

 おかげさまで、夢二生誕130年記念展「ユメジ・ミーツ・シュウセイ」無事会期を終了いたしました。全国のユメジ館さんをはじめ、ご観覧いただいたすべてのみなさまに心より感謝申し上げます。今会期中のお客さま、明らかにいつもの館の客層とは違っておりました。ユメジさん…愛されております…。そんなユメジさんに館からハートのトマトをふたつ献げます。

 こちらいつもお世話になっているとある方からいただいたトマトです。断面がもっとハート形になっているのですが、すみません写真を撮るまえにいただいてしまいました。そう、ユメジさんに献げるといいながら、むしゃむしゃ食べてしまいました。とてもおいしかったです。

 
 こっそり心で献げたふたつのハート、ユメジさんが装丁してくださった秋聲本『めぐりあひ』に散らされております。扉、そして裏表紙。ストーリーには一切かかわらないこれらのトランプ柄が妙に気になり、今回展示室のパネルもすべてトランプ仕様にしたのでした(本日すべて撤去されましたが↓)。

 ちなみにハートのクイーンはもちろん順子さん。ユメJIはスペードのジャック、そしてわれらがキングはダイヤの秋聲です。こちら…商品化…いかがでしょうか…(小声)。
 湯涌のユメジ館さん曰く、トランプ柄はユメジさんが好んだモチーフだそう。いつか企画展を観覧に出かけた際、展示品のユメジ画のお馬のまだら模様がトランプ柄であることを教えていただいたときには震えました。デザイナーとはやはり神に選ばれしいきもの…!
 たくさんお世話になりました。お名残惜しいところですが、本日より4日間休館をいただきまして、文壇の大御所・菊池寛先生にバトンタッチです。
 




ユメジ降臨
 2014.10.5

 昨夜、ナイトミュージアム「朗読会―徳田秋聲×山田順子×竹久夢二のすれちがう世界」を開催いたしました!それぞれの役に扮した三人の朗読者が、あのときこのときをかわるがわるに語ってゆきます。彼の描くあの日、彼女の描くあの日、すべてが繋がっていながら食い違っていくさま、そしてその食い違いがやがてそれぞれの別れにまで発展してくさまを表現していただきました。
 脚本を担当した当館はすでにわかりすぎていてアレですが、八千代が甚子が順子であり、道枝先生・徳永先生が秋聲であり、三太郎で草二が夢二であったこと、初めて聴かれるみなさん果たして整理がついたかどうか…。
 いえ、きっと杞憂です。なにせお三方が見事に演じてくださったのですから。
 狭い会場にたくさんの方においでいただき、あったふたすったもんだしながら無事終了することができました。ご参加のみなさま、浅野川倶楽部のみなさま、ほんとうにありがとうございました。

 今回はサロンのエレベータに画像を投影しながら進行するという演出プランにて画像出しを担当しておりました当館、朗読に聴き入るあまりぼんやりしてタイミングを多々逸してしまったことを深くお詫び申し上げます。アッアッと思った時には時すでに遅し、30秒出すはずの画像が2秒で終わり次の画像へと…なんのサブリミナルだか、例の本番でハメをはずすタイプのサンタ画像はその活躍の場もなく2秒で消えていきました。決してわざとではないのです…ちょっとうっかりしただけであってサンタの悪ノリを封じようとしたわけではないのです…。

↑さて本日ユメジ展最終日、昨日おそくにユメジさんが展示を見に来てくれました!
 

 
 


城南レディースセミナー
 2014.10.4

 2日、城南公民館でのセミナーに呼んでいただき「徳田秋聲の魅力」と題してお話をさせていただきました!こちら文学・歴史・伝統芸能など取り混ぜた全8回の講座だそうで、毎回話の前に歌を一曲うたわれるとのこと。
 15分ほど控え室でお待ちください~とご案内いただきましたがいやそれは是非見学させていただきたいのですけども!と無理をいって混ぜてもらいました。みなさんご存じの歌を合唱されるのかと思いきや、お歌の先生が楽譜を配ってくださり、はじめましての歌を一曲練習するのです。今回は都築益世作詞、芥川也寸志作詞の「ぶらんこ」という曲目でした。

 芥川也寸志氏といえば芥川龍之介のご三男。次回企画展で父・芥川龍之介がわけあって秋聲に謝りたおしているお手紙など展示いたしますので、なんとなく申し訳ない気持ちになりながら一緒に歌わせていただきました。知らぬ曲ながらお歌の先生のご指導が実に巧みで帰りにはそらで口ずさめるほどになりました。自分のなかに一曲増えるというのは素晴らしいことです。
 そうして頭の中で「ぶらんこ」をBGMとして流しながら、秋聲の魅力について語らせていただきました。内容はまったく個人的な見解で恐縮です。冒頭5分、背景に画像があるテイでお話ししてしまいましたが、プロジェクタが映っておりませんで恐縮です。
 終了後には「話のなかで出た作品はどこで読めますか??」など問い合わせいただくなど、嬉しさのあまり頭のなかのぶらんこがぶらんぶらん勢いよく揺れました。歌詞では「ゆらゆらゆらりん」、中原中也は「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」。



 


高松の宝
 2014.10.3

 つねづねあったらいいな、と思っていたコレ→ 
 渋谷駅にて自力でハチ公を探し出せたことがなくハチ公ってほんとにいつも同じ場所にいるのかしら?ときどき気分でいる場所をかえているんじゃないかしら?とあらぬ疑いを抱きつつ駅の床にハチ公の足跡型の動線をひいてくれたらいいのに…と思っていた理想のそれを新大阪駅で発見しました!
 これをたどるとしろくま号に乗れるそうです。どこ行きかはちょっとわかりませんが、しろくま号までは確実に行かれます。し、渋谷駅さん、こちらぜひとも…!

 さて、そんなしろくま号のあしあとを横目に見つつ、しらみつぶしの天使と菊池寛先生の住まう高松市へ伺いそして帰って参りました。菊池寛記念館さん以外では初公開となる例の書簡をはじめ貴重資料の数々を抱え、5時間の移動を経て館にたどりついたときの感慨といったら…!菊池寛記念館さん、重ね重ねありがとうございました。書簡、名刺、タバコケース、初出紙、そして瓦せんべい、すべて無事に館のほうへ搬入いたしました。はい、瓦せんべい一枚も割れることなくみなさん元気にしておられます。さっそく中を開けさせていただき、表面にいらっしゃる菊池寛先生とご対面。急に繰り出される菊池寛プレゼンツローカルクイズには反応できず、同郷でないことがばれました。
 
 こちら菊池寛記念館さんのご厚意で頂戴した館名物、菊池寛先生の焼き印の入った瓦せんべいです。瓦と名乗るだけあり随分と硬い素材で出来ておりよっぽど乱暴に扱わなければ割れる心配はなさそうですが、菊池寛記念館ひいては高松市と当館ひいては金沢市との交流の証・館長さんとの固いお約束の徴としてこちらの心持ちといたしましては秋聲書簡と同じお宝のひとつにしてすでに展示品の域にございます。そして実際に展示をさせていただきます。ゆえに職員は決して手をつけることまかりならぬ、しかし寛プレゼンツローカルクイズに答えられた人だけ特別に食べることを許可しようかと思っております。





オッドアイ
  2014.9.29

 明日ふたたび高松へかのお宝をお借りしにでかけるため、ばっさばさと身辺整理をしておりましたら(なんとなく立つ鳥のこころもちから…)、ピラリと赤いものが落ちました。サンタのメッセージカードです。秋聲の遺品中随一のビジュアルを誇るサンタのお面がモチーフとなっており、クリスマスイベントの参加特典として制作したもの。

 秋聲の代表作『仮装人物』を介し現行のユメジ展にも次回の菊池寛賞展にもかかわってくるこのサンタ、実物のほうのお面は常設展示室にて不断にお出ししているのですが、会期中特別に企画展示室に移そうか…と迷っているうちに忘れ、今も常設展示室にいます。そして次回のキャプション制作がすすむなか、彼のキャプションはつくられておりません。また忘れました。
 これほどのインパクトと強烈なビジュアルをもってして何故いのいちばんにキャプションをつくらないのかといえば、逆にその個性が強すぎて、企画展そのもののコンセプトが薄まってしまうのではないかという恐れからかもしれません。ユメジも出てくる『仮装人物』、あるいは菊池寛賞を受賞した『仮装人物』、とご紹介したいところ、この人が展示ケースにいることによってサンタのお面が登場する『仮装人物』そしてこれが実際に作中で描かれているお面かもよ…!?とのくだりはあまりに強すぎて「秋聲のサンタ」展になりかねないんじゃないか…と怯えているふしがございます。
 おまえさんの展示じゃないんだからね!あくまで〝作品にかかわる資料〟程度の役名すなわちエキストラなんだからね!との言いつけをぜったいに本番で覆してくる気がしてならないこの薄笑い。リハーサルではおとなしくしていたのにアイツめ…!!
 そんな勝手なシミュレーションのために今日も常設展示室にいます。よく見ると右目は黒で左目は赤。お面なので黒目の部分が穴になっており、左は後ろの赤い帽子部分が見えてしまっているのでした。2年前、これをつくったときには気づきませんでした。当館の文庫『仮装人物』装丁と同じ、右と左でちがう目をもつサンタ。ぜったいに本番でやらかすタイプです。





柿色ポスト
 2014.9.28

 ご覧ください、ひがし茶屋街のほっこりポストがすっかり秋色に!
 柿色に輝いているのは柿でなくパプリカでしょうか。パプリカと判明してしまうとなんだかその活躍の場は夏野菜カレーをはじめとするハツラツとした夏の食卓のような気もいたしますが、ぱっと見の威力はどうにも秋。茶より赤より、その柿色こそが秋感を醸すに一役買っているように見受けられます。

 そしてこのポストを利用して投函したのは次回企画展パネル案。実は中味もわりと柿色のデザインとなっており、柿色の校正紙を柿色のポストにのみこませて帰って参りました。恙無く配達のほどどうかよろしくお願いいたします。10日の企画展開幕に間に合うのか間に合わないのか、今はほっこりポストさまの働きひとつにすべてかかっているのです。見た目はほっこりでも、その中味は実にきびきびしていてほしいと願う今日この頃…。レターパックをいれるのにお前さんのお口すこしちいさいんだよ!と平素以上に強く感じてしまったとても急いでいる心持ちの今日…。ポテトチップを割らずにいただく際、口の両端がやられるあの感じと同じです。
 そしてパネル校正の傍らガイドペーパーづくりに勤しんでおります。特にたのまれてはいないけれども最初に8ページ綴りでつくってしまったがためになんとなく毎回8ページずつつくらなくてはならない感じになってしまっているんじゃないか疑惑にまみれたあのガイドペーパーです。ええ、特にたのまれてはいないのです。が、今更やめられないとまらない、かっぱえび○んをいただく際と同じです。と、かっぱえびせ○のかっぱとは何であるかが急に気になってしまい、チラシ発送作業にいそしむ他の職員をとっつかまえ訊いてみたところ「…カッパの主食がエビなんじゃないですか。」と適当も甚だしい回答をいただきました。なるほど、カッパの主食に模したエビをわれわれはいただいているんですね。なるほど、なるほど。すみません、働きます。 
 




浅野町小学校4年生来館
 2014.9.26

 ついさきほど上記生徒さん40名、当館での観覧を終え鏡花記念館さんへ向かわれました。その後犀星記念館さんへも行かれるとのこと、三文豪館コンプリートです。
     いいえ、誰もしゃがんでなどいません。
  ここは無人…あるじを待つ帽子と荷物たち…

 朝イチで当館へおいでくださった生徒さんたちに、解説ボランティアさんおふたりにご協力いただきつつ秋聲の生涯・作品・人柄について解説をさせていただきました。「三文豪って言える?」との問いに「さんぶんごう!!」と元気いっぱいにお答えいただいたのが本日のハイライト。わ~言えた~!言えてる~!…素直とはひとえにこういうこと、こちらの訊き方がわるうございました。「あっごめん、三文豪のなかのひと…!」と言い直すと、事前学習済みということでこちらもスムーズに三名様のお名前いただきました。ありがとうございます。
 10歳だか11歳だかという年齢層に向けて秋聲の解説はなかなか難しいところもあるのですが、いやしかし伏せることもあるまい…と尾崎紅葉って先生について学んで~などお話しして、最終的に持って回っていただいていた館内クイズラリー初級篇の答え合わせをする際、秋聲の先生誰だった?と投げかけて10歳だか11歳だかの口から「おざきこうよう!!」と飛び出る衝撃。たしかにつめこんだのはこちらですが、つめこんだ記憶はございますが、実際に飛び出てくるとちょっとオッとなってしまう不似合いさです。
 おうちへ帰って「尾崎紅葉って~」と話し出されたら親御さんはさぞびっくりしてしまうのではないでしょうか。「徳田秋聲」もそりゃしぶいにはしぶいのですが、「金沢の三文豪」というくくりで多少想像の範疇。しかし「尾崎紅葉」ともなってくると、その想像の直系ひとつ上と、距離的に近くはありますが急に範疇を超えてくる気もいたします。きっと鏡花記念館さんでもさらに上塗りされてお帰りになるのでしょう、われらが師「尾崎紅葉」その響き。





闘う男
 2014.9.25

 先日、次回企画展のため石川近代文学館さんに資料借用に出かけました。次回の目玉のひとつは菊池寛記念館さんからお借りする予定にしております秋聲筆菊池寛宛書簡ですが、それとほぼ同時期、同内容で秋聲が室生犀星さんに送ったお手紙が近文さんに遺されております。秋聲が旧制四高で同級生であった小倉正恒(住友財閥総帥)の、文士たちと交流を持ちたい!との要望にこたえ自ら幹事となって各所に送った召集状。無精だもんで連絡おそくなってごめんね!9月あいてる??みんなの予定どう??そんなお手紙です。L○NEって便利だな…と思わせる、そんなお手紙です。

 石川近代文学館では「闘う男の文学展」がはじまったばかり。前田利家公の勇壮なお姿が印象的なチラシに、さらに印象的なのは「夢はあるか。」とのキャッチコピー。ドキーン!です。一瞬ドキーンとしましたが、ちゃんとありました。夢といえば秋聲文学の普及、ただそれのみ…(アッ正田家の保存活用も!それも!!)。

 残念ながら今回は観覧なりませんでしたが12月まで開催されておりますので是非ゆっくり展示品を拝見したいところです。チラシの特別展示資料リストから拝察するに、秋聲館的見どころといたしましては「横山大膳長知手鏡」(個人蔵)です。徳田家の元上司である横山家…そこにおわすは横山家第二代当主・長知(ながちか)公とお見受けします!!というわけで先日の正田邸見学の余韻をいまだ引き摺っている当館です。横山家のために闘いつづけた男・順太郎…といいつつ、実のところ順太郎さんが婿養子に入った先の正田家は同じく加賀八家の一つ・長家の家臣であったことを先日のトークでお伝えしそびれました。秋聲の父・雲平さんが秋聲が四高時代に亡くなっていることもお伝えしそびれました。
 


 
 

秋分の日あらため秋聲の日
 2014.9.23

  9月23日、秋聲の日。秋聲の兄・順太郎さんのお宅見学会、さきほど無事終了いたしました!
 お宅見学の前に伺ったのは、同じ瓢箪町エリアにある右図・紙谷漁網店さんです。期間限定で町家カフェなど開かれているこちらで順太郎さんについてすこしお話をして、歩いて正田家へ移動します。

 「蕈」をはじめ、秋聲の小説にでてくる場所はどこなのか?「座敷」は?「兄の部屋」は?「広い厠」は?広すぎて下見のときにはまったくどこがどこやら分からなかったため、もういっそのことみなさんに調べてもらえ!!と頼まれてもいない乱暴な企画をたちあげました。秋聲の描く8つのお部屋の様子を書いた紙をみなさんにお渡しして、はーいミッションスタート!よろしくお願いしまーす!と元気に丸投げしたところ、専門家ひきいる正田邸探索班は次々とその場所を特定していきます。へえ!ここですか!へえ!とその成果だけをまるっと横取りし、古い建物つながりで今回のイベントのお世話をしてくださっている江戸村さまとともに秋聲ごっこ開始。順太郎さんのお部屋と特定された場所にて病床の順太郎さんに見立てた江戸村さまの枕元ににじり寄り、お加減いかがですか…と囁く短編「旅日記」ごっこです。
 今回は特別に正田家ご遺族の方もお立ち会いくださり、秋聲兄弟ごっこをしてキャッキャする当館と江戸村さまをよそに、かつての様子など貴重なお話を聴かせてくださいました。そして土蔵のなかまでも…!

 こんなにたのしいうれしい日はありません。秋聲の日を秋聲の日らしく過ごせました。金澤町家研究会さん、たてもの先生、ご参加のみなさん、そして正田家のご遺族さま、本当にありがとうございました。
 正田邸がよりよいかたちでのこされ、活用されますように。その未来が明るいものでありますように。
↑これは町家猫パン。250円。





神出鬼没
  2014.9.18

 とある方と電話で打ち合わせ中、なんとなく23日の正田邸見学のことが話題にのぼり、秋聲も帰省のおりには正田家に寝泊まりしてそのことを作品に書いていますね~というくだりでたとえばどんな作品がありますか、と訊かれ反射的に出て来たのは「きのこ」でした。「きのこ」っていう作品にお母さまが亡くなって帰省した秋聲が正田邸に滞在したときのことがわりとくわしく書かれてますねぇ、へぇ知らなかったです「きのこ」って漢字ですか?、ええひらがなバージョンもありますけど漢字一文字で「蕈(きのこ)」っていう…、きのこ、ですか…爛とか黴とか秋聲の漢字一文字シリーズ面白いですねぇ、そうですねぇ、じゃ本題のほうの書類あとでお送りします~、はーいよろしくお願いします~…と言って電話を切ったその後に送られてきた書類がこちら↓

 「徳田秋聲記念館 御中 茸」。…オットこれは相当におもしろい絵面です。電話中とりいそぎメモしたらしいメモがそのまま…!こうなるともう相手方に失礼とか失礼じゃないとかいう次元の問題でなく、電話の向こうが想像できすぎるがゆえのおもしろい出来事です。そうそう、筆記用具がなくて慌てて開いている画面に打ち込むことってありますよね、フフ…きのこってね…。

 ひとしきりニマニマさせていただきました。作品名を覚えようとしてくださるそのお気持ちがとてもうれしいのです。ただ「茸」でなく「蕈」なのです。ユメジさんとコラボしたかの「蕈」なのです。
 お返事には「○○○御中 蕈」と書いて返そうか…フフ、何の暗号かってね…。

 
 
 


正田邸見学
  2014.9.17

 来週23日(火・祝)は秋分の日、それすなわちもう秋聲の日でいいとおもう、だってニアイコール!ということで、記念に秋聲宅とニアイコール秋聲のお兄さん宅見学会を実施いたします!
 毎年すてきで愉快でハイセンスなイベント盛りだくさんの「金澤町家巡遊」、今年は金澤町家研究会さんが秋聲実兄・正田順太郎さんの旧宅を見学する会を企画してくださいました。
 金沢駅ほど近く、瓢箪町にある正田邸は長らく空き家になっていて、現在売り物件として不動産やさんHPでその情報を得ることができます。観光ナイズもされておらず通常非公開ですから、当館といたましても周りをうろちょろりとするだけでお向かいの保育園にお迎えにきたお母さん方に不審な目を向けられつつ外観を撮影するのがせいいっぱい…。

   アッちがいますちがいます!お子さんじゃないです
  ホラあれ、ひこうきぐも撮ってるっす…!のさま→

 しかしまぁ相当にいいお家でして、下見のため先日はじめて中に入れていただいた折には興奮絶頂血湧き肉躍りました。こちとら順太郎さんの匂いを嗅ぎ回り、ヒョーこの椅子!この畳!この扉!順太郎さんがいらした!秋聲も泊まった!!とキャッキャしてしまいましたが、順太郎さんのことをご存じなくとも広く歴史あるお家そのものがお好きな方はこの機を逃す手はありません。 
 といいつつせっかくですからどういった由来のお宅か知っていただきたい…とのことで、当館学芸員が見学前にすこしお話をさせていただくこととなっております。詳しくはコチラの町家猫さんが教えてくださいますのでお手数ですがお申込もそちらへお願いいたします。三連休も最終日(どこかで聞いたフレーズ…)、イベントリーフレットの21日にはお能、22日にはカラフルなお野菜、そして23日には順太郎さんのモノクロ写真があがっており、おっとお色味で負けてらぁ!と思ってしまったのは内緒ですが、こちらの話はどうあれ正田邸は負けていません。


 


HAPPY BIRTHDAY DEAR YUMEJI!
   2014.9.16

 本日こそユメジさんのお誕生日、おめでとうございます!今年はとくにお世話になっております!
 昨日前倒しでユメジさんのお誕生会=金沢湯涌夢二館さんより学芸員さんにお越しいただき、長すぎてもはや誰も使っていないけれども正式名称は「ユメジカン・ミーツ・シュウセイカン 特別ギャラリートーク」を開催いたしました。先日新聞さまにイベント情報を載せていただくにあたり「えっと、ユメジカン…」「あっ長いので夢二×秋聲 特別ギャラリートークでもいいです」「夢二かける…」「はい、夢二かける…」「………て、展示解説でもいいですか…?」「えっあっハイ、いいです…!」といった非常にヘルシアなやりとりを繰り広げたことを思い出します。余分なものをさくっと削ぎ落とされました。ほんとうはたった4文字で済むところ、気分でいろいろ盛ってしまったことを思い知らされた瞬間にして、はい、要は展示解説なのでした。

 ユメジカンさんの深いご考察に茶々をいれつつ、集まってくださったみなさまがたとユメジさんとシュウセイのミーツのさまに思いを馳せます。

←ファーストコンタクト『めぐりあひ』を見守るひとびと。

 言いながらアッこれはいやだろうな、と思ったのは「どうですか?」との質問です。何がなくても「どうですか?」どうもこうもないところにも「どうですか?」しかしさすがは専門家、決して動じずこちらが期待した以上のことを返してくださる堂に入りっぷりでケンカせずに済みました。ユメジ愛のひしひしと伝わるお話し振りはあたたかく、そして適確です。ユメジカンさんありがとうございました。三連休の最後の日においでくださったみなさまがたにもありがとうございました。
 ユメジさん130歳のお誕生日に心からの祝福を!





朝顔のこと
  2014.9.15

 朝顔は秋の季語!
 さて敬老の日、去年の今頃覚えたトリビアを大きな声でお伝えしてみましたが祝日の今日みなさまいかがお過ごしでしょうか。
 このごろ朝晩すっかり涼しくなって、ようやくお手紙などに「初秋の候」が使えるようになってきました。つい先日までは9月に入ったとはいえ初秋!?いやまだまだ暑いね!残暑だね!と頑なに8月のテリトリーであるところの「残暑の候」を使い続けておりました。「暦のうえでは~」という日本人のDNAと実際の体感とのせめぎあい…そろそろそのずれが埋めがたくなってきているんではないか、と思ってしまう平成も26年…。朝顔は秋の訪れを告げる花だそうですが、いつからかすっかり夏の季語だとおもいこんでいる平成も26年…。といいつつ秋聲先生の時代も朝顔は夏の象徴のようです。

 海も山も無論愉快には違いないが都会の朝夕もなかなか楽
 しいものです 晩方の町の散歩縁の端居も好いが朝目が醒めた時
 淡色に咲いた朝顔の花が夢のやうな静かさでかよわい蔓を力に
 さわやかな朝風にわなないてゐるなどは本当に日本の夏だと云う感
 がするのです  感想文の一節を録す  秋聲


 大正11年9月「朝顔の花」というエッセイのなかの一節です。に加えて、実は秋聲中かつて最長規模で掛け軸に揮毫された文言でもあります。現在ユメジ展で特別展示中の掛け軸は「爛」の一節が4行にわたって書かれており、これくらいの規模のものをどこかで見た…と思えば上記のお軸。そしてどこに所蔵があるかといえば当館でなく、かの横山家にございます。徳田家の元上司、加賀八家の一・横山家に伝わっているもの。早いものですでに2年前の「横山家と秋聲」展で展示をさせていただきました。俳句をちょろりと書いたお軸はよくお見かけしますが、散文をこれくらいの規模でしるすときにはやはり相応のプレゼント…ということでしょうか。秋聲先生の気合いのはいった207㎝の掛け軸、気がつけばあと20日で撤収です。





チラシ校正中 その2
 2014.9.14

 企画展チラシ校正のその裏で、三文豪月間チラシの校正もすすめております。毎年恒例〝秋は金沢三文豪〟でお馴染みの三文豪月間もめでたく今年10周年ということで、何の特別感こそ組み込んでやいませんが10年つづくってたいへんなことですね…としみじみチラシを眺めております。と、実はしみじみしている場合でなく、今年は10月1日~11月30日という会期ですので意外と開催が押し迫ってきているのです。
 当館の企画展会期は10月10日~、えへへウチのほうのチラシは間もなく三校ですから三文豪より若干リードしているね、などと一瞬しめしめしつつ、しかし気が付けば秋聲vs三文豪の構図でなく、秋聲含む三文豪ですので張り合う意味はまったくないのでした。責任が3分の1、という間違った認識のうえにちょっと油断しておりました。
 シミジミモセズ、シメシメモセズ、決シテ間違イノナイ校正作業ヲタダ粛々ト行ウ、サウイウモノニワタシハナリタイ…

 そういえば宮沢賢治さんも秋聲の住む本郷仲間。ユメジさんがいらした頃とも重なっていたでしょうか?なんせ豪華な本郷周辺、ユメジさんの滞在した菊坂ホテル跡を探しにいったときに見かけた某マンション入口にはゆかりの文学者たちの氏名ならびに名言が刻まれているなど、なんと住みたや…!
←ちょっとみにくいですが秋聲先生と賢治さんが並んでいました(右上から、樋口一葉・石川啄木・坪内逍遥・徳田秋声・宮沢賢治…)。
 そのよこにユメジさんも…と思ったら二葉亭四迷大先生がわりこんでおられる…!



 


チラシ校正中
 2014.9.12

 さて、次回企画展チラシのデザイン決めから校正をしております。思えば企画展作業段階のなかでもいちばんたのしい行程かもしれません。
 ここをもうちょいこう…ここをこうしてこう…緻密につくりこまれ提出されたものに対しこちとら何の計算もなくただフィーリングそれのみで好き勝手なことを言いたい放題言ったことがより良くなって返ってくるというこの楽しさ…デザイナーさんとは…神様に選ばれしいきもの…。食事のときも寝る前にもいつも心からの感謝と尊敬の念をささげております。
                      ↑前回からの落差、
                      他の二文豪との差異化も含めて検討中

 秋聲先生はデザインにあまり口うるさくないほう、ということで、その著作物のデザインに関しても比較的自由度は高いように感じられます。夢二×秋聲本も、挿絵を施した最初期の『めぐりあひ』こそしっかりその世界観が体現されておりますが(といいつつ表紙はそうでもない…)、そののちどんどん原作テキストのデザインへのしばりがゆるくなってきているような気もいたします。コラボ本5冊のうち今のところいちばん最後のものは『断崖』ですが、その表紙に断崖感はゼロです。なんとなくごま団子か桃饅頭を食べたくなる中華なふんわり具合。
 そんなことも展示室でお話ししながら、いつもオチに使わせていただくのが順子もの短編をおさめた『過ぎゆく日』の装丁です。な、なぜ…こんな…エジプトの壁画のような…!!との衝撃、装丁者は不明ながらユメジ本とあわせてお楽しみください。受け取ったときの秋聲先生、いったいどんなお顔をされたやら?(営業部長の渾身の真顔、スフィンクス感は暗に『過ぎゆく日』を指し、実のところ秋聲先生のものまねだったかもしれません。)  



 


サービス精神
 2014.9.10

 久しぶりにシャー営業部長がお見えになったので嬉しくなってしまい、なんかおもしろいことしてくださいよー、と無茶ぶりをしましたら

 渾身の真顔でスフィンクスのものまねを披露してくださいました。

 最高に似ています。



(不定期連載にこっそり「髪」最終回アップしました。)





ランプの灯
  2014.9.7

 昨日、当館サロンで「光を追うて~ピールアート行灯作り~」が開催されました!講師は果物の皮を使ってさまざまなアート作品として蘇らせるピールアートの創始者・才田春光先生。同日夜、館目の前の川縁で「女川祭」(女川に菜の花油を灯す会主催)が開催されたこともあり、可憐な浴衣姿の女性参加者が目立ちました(写真では目立っておりませんけども!)。

 オレンジなどの果物の皮にカッターやボールペンなどで好きな模様を切り出してゆきます。モノ自体は不格好になっても、そこに灯を入れるといろいろな模様が映し出されてきれいです。サロンはすっかり柑橘系の香りに満たされ、はからずしもいつもと違う雰囲気が演出されました。
 イベントのタイトルになった『光を追うて』はご存じ秋聲の自伝小説です。四高時代、浅野川大橋の上で先輩に小説家になることを勧められたことが秋聲のその後の選択に大きく影響を及ぼしたほか、秋聲は電気の明かりより優しいランプの灯のほうが好ましいと書き残しており、完成したピール行灯にあかりが灯され、秋聲文学を育んだ女川=浅野川べりに飾られた際にはきっとその美しさあたたかさに何かしら感じてくださったでしょう。
 またその裏で午前午後、いつも通りのギャラリートークも行いました。午前の部が終わり、お客さまと階段を下りてくると小団体さんに遭遇。アラッいまやってたの?残念だった~!と仰ってくださるもので、やりましょうやりましょう、正午の部やりましょう!と再び階段を駆け上がり、20分でいいというところ30分、いや35分、長いことお話ししてしまいました。お昼時にすみません…。
 午後の部には、先月来てくだったお客さまが、でも初公開の掛け軸の話聞きたいから、と再びご参加くださったりなど秋聲先生、今日は光に溢れた一日でしたよ…と夜の女川にご報告申し上げました。


 


たたきつける
 2014.9.6

 次々回企画展調査のため、長野県は小諸市・藤村記念館さんへ行って参りました!藤村といえば島崎藤村、島崎藤村といえば秋聲とともに自然主義文学の代表作家。長野はたいそう涼しく、記念館のある懐古園なる小諸城祉公園を散策するのにちょうど良いお日和でした。藤村記念館のみなさま、隅から隅までご案内いただき有難うございました。今はまだユメジさんと菊池先生の間で気持ちが揺れておりますが、間もなく藤村先生一直線に…いえ、もうひとり未調査の御大がおられました。秋聲・藤村とくれば○○。自然主義文学三人衆。結果、複雑な三角関係を逃れられない当館です。
 
 さて、出張から帰って参りましたら、かわいいお便りが届いておりました!先日お邪魔した額小学校4年生からお礼の文集です。なるほどこんなことを感じたんだね…と微笑ましく、かつ有意義な気持ちで拝見しながら一方でニヤニヤ。不謹慎にもニヤニヤしてしまう子どもたちの無邪気なハプニングが満載です。
 授業のなかで「しゅうせい」は「秋声」でも「秋聲」でも正解だけど、「秋聲」って書けたらかっこいいぞぉ~!とけしかけたせいか、大人でも難しいこの字をみんなバッチリ書いてきてくれています。
 
            そんななかこちら→
 
 よし!「聲」の字ばっちりばっちり…じゃなかったぁ~!かえって秋の字がぁ~!!
 「聲」に全力をそそぎすぎた結果の「秒聲」、かわいらしいことこの上なし!!

 もうひとつペンネームのくだりがみなさん印象に残ったようで、「ぼくはもう秋聲はすえお、鏡花は鏡太ろう、犀星は照道と頭にたたきつけました。」と元気に書いてくれているこのおともだちのインパクトがものすごいです。たたきつけたら痛いですから…!
 うれしいお手紙、本当にありがとうございました!





あしみろ
 2014.9.2

 秋聲先生の季節はいつでしょうか?そりゃ秋でしょうよ!と言いたいところですが、先日燃ゆる紅葉の写真に載せるよき文章ありますか??とのある雑誌社さんからのご依頼で意気揚々と全集を繰りましたら、まあ秋の記述の少ないこと!秋聲のくせに!!というわるい気持ちになりました。季節でいえば冬から春にかけてがもっともお好きなようで、夏は暑くて嫌いだけれども憎いあんちくしょう的なニュアンスでわりとよく語っていらっしゃいます。秋聲といえば秋、はーん秋聲だけにね!と思われるのが恥ずかしかったのでしょうか。読書の秋、スポーツの秋、食欲の秋、秋聲の秋、くらいにこちらとしてはプレゼンしたいのですが、残念な結果に終わりました。「秋聲といえばやっぱり雪融け時期ですよね~!」付加疑問文が使えません。

 さて、そんなモヤモヤを抱えながら、本日額小学校さんへ出前授業に行って参りました。文芸館さんからの派遣、最終回です。会場となったマルテへ向かう途中、壁に貼ってあったスローガン「あしみろを守ろう」。「あしみろ」…?とは…? 初めて聞く単語です。あしみろ…あしみろ…とまたもモヤモヤが心のなかに発生しそうになる寸前で解決しました。

 そういえば学校ルールのなかにあった気がいたします。館内を歩くときはどっち側だなどと考えたこともありませんでしたが、ふと秋聲先生の「どっち曲がる?」ゲームを思い出しました。「前を歩いているあの二人連れ、次の角でどっちに曲がると思う?」急に問いかける秋聲先生。「左じゃないですか。」「……正解。」そんなゲームです。はい、そんなゲームです。

 当館サロンで上映中の歌人・高松光代さん語るエピソード。
 「君、この一本の廊下はどっちを歩く?」「あしみろじゃないですか。」「……正解。」額小学校さんは断固あしみろです。
 
 



ユメジカン・ミーツ・シュウセイカン
  2014.9.1

 9月は夢二さんの月と心得ております。9月1日が夢二さん命日、そして16日がお誕生日!夢二さんと直接関係はないけれどもそれもこれもすべて裏では一本のライン上にあると信じて疑わない秋聲の新発見掛軸も無事公開されたことですから、1日をわっしょいして16日をわっしょいしないわけには参りません。片目だけに目薬をさしたら気持ちがわるいのと同じこと!
 というわけで、16日…はさすがに夢二館さんに申し訳ないので前倒しの15日(月・祝)15時~、当館なりに夢二さんのお誕生会を開催することにいたしました。その名も「ユメジカン・ミーツ・シュウセイカン」。夢二と秋聲がミーツしたなら夢二館と秋聲館だってミーツしたいよね!そうだよね!との当館の一方的な思い込みから、夢二館学芸員さんをお招きして特別展示解説をしていただきます!ハイ、他力ですみません!
 月一で開催しているギャラリートークは、あくまで秋聲サイドからしか物を言いません。夢二さんのこの装丁…らしいっす!とふがふがさせているあたりをええい夢二さんの専門家に訊いてしまえ!というこの目論見。もっと夢二さんの絵のお話を聞きたいのになぁという方、是非この日にお越しください。秋聲サイドはすこし黙って茶々を入れるに徹します。
 そして当日の参加者特典としてユメジカン・ミーツ・シュウセイカンバッジもといオリジナル缶バッジを鋭意制作中。へんな缶バッジをつくるのが大好きな秋聲館であるからして、サンタ・黴・爛につづく第4弾、こちらもどうぞおたのしみに。
 
実はほぼ同デザイン。数ミリ単位でちがうもの→





8月27日だった…
 2014.8.31

 8月は犀星さんの月と心得ております。8月1日が犀星さんのお誕生日、そして記念館の開館記念日。先日とある打ち合わせのため犀星記念館さんを訪れ、噂のひまわりを激写して参りました。お客さまを迎えうつ気満々…玄関は写真のまんなか奥のほうなもので、み、見られている…!すごく見られている!!という逆に入らなかったときに申し訳なくなる感じ満載です。
 犀星さんでは現在、企画展「犀星と映画」を開催中。ちょっと今回は見そびれてしまいましたが、そのチラシのお写真からしてこれはたとい展示すべき資料がひとっつもなかったとしても開催したい…いや、せねばなりませぬ!!と思わせる魅力にあふれております。秋聲先生も映画をよく見ていらっしゃいますが、これほど素晴らしい絵面は残されておりません。ビバ、証拠写真。そこにもう言葉はいらない、「あ、犀星さん映画みてる」感。

 証拠写真といえば、先日新聞にも載せていただきました秋聲先生の新しいお写真が発見されました!秋田の山田順子さんご遺族宅から自筆掛け軸とともに出て参りました。実はその他の貴重資料とあわせて6月の秋田行きの折すでにお借りしてきていましたがこっそり隠し持っており、口をむずむずさせつつ手が追いつかず、その後いろいろな調査を経て、明日いよいよ当館企画展示室にて初公開となります。
 ほんとうは8月27日、順子さんの命日にあわせて…と目論んでいたのですが、ここ数日寸々語すらさぼってしまうほどなんだかんだございましてちょっとだけずれこみました。ちょっとだけずれこんでしまった結果、9月1日、夢二さんの命日になりました。なんの因果かユメジのユの字も出て来ない写真と掛軸ですが、なんとなく記念碑的な公開に…。秋聲×順子×夢二がよりややこしく、山田家まで巻き込んだその交流の証拠物件、是非その目でご覧ください。
 




アンダンテ・カンタービレ
 2014.8.25

 秋聲と山田順子さんと竹久夢二さんの微妙な三角関係がふわりとどころかがっつり泥沼なのが10月4日、当館では最後となる夜間開館・朗読イベントです。
 「徳田秋聲×山田順子×竹久夢二のすれちがう世界」との副題で、この三角関係にいたる経緯から結末までを、朗読小屋浅野川倶楽部から三名の朗読者たちにそれぞれの役になって語っていただきます。
 がっつり泥沼、といいながら「すれちがう」ともいいますのは、三人の思うところが綺麗にかみ合ってはいないから。それぞれ作品のなかにあの同じ時間・同じ場面を描きながらその思うところはあっちこっち好きな方向へ向かっており、ある人の思う「相手の状況はいまこうであろう」という推測がまったく的外れであったりするのです。
 先日の輪読会でとりあげた「質物」は秋聲サイドからの当時の状況ですが、そのとき順子は、夢二は、といった三角形をかたちづくる他の二人の言い分も聞いてみようじゃないかというのが今回の試み。秋聲『仮装人物』、順子『女弟子』、夢二『出帆』など自伝小説から再編成して新たに脚本をつくりました。
 6月頃出演者の方に分厚い脚本をお渡しして読み込んでいただき、そろそろ読み合わせを…という頃合いにて昨日演出などについてすこし考えておりました。そういえば「BGMどうします?」と仰っていたな…といつかのレコード演奏会の折に金沢蓄音器さんから購入した秋聲愛聴リムスキーの「シェヘラザード」をなんとなくかけてみます。
うん!ドラマチック!にすぎたため、『仮装人物』を再度ぱらぱら眺め、アッこの曲は…?と思ったものを蓄音器館さんにお尋ねしましたら販売リストにちゃんとありました。さすがは蓄音器館、ひいては金沢。
 『ちょっと訊いたらそこにある。』今後金沢のキャッチコピーとしていかがでしょうか。 
 
    ニッパーたち海水浴にでかけるの巻→




さよなら、輪読会
  2014.8.24

 秋聲ブームが終わりを告げました。昨日開催した輪読会、いつになく申し込み多数で早々に定員が満たされたもので勇んで受付を締め切り、嬉々として「満員御礼」の文字をかかげ、お菓子…足りないかな?もうちょっと入れておくかな?と張り切ってお菓子カゴを満杯にして、満面の笑みで蓋を開けたらば申し込みの半分の参加者でした。

 ……この恨み、晴らさでおくべきか……!!

 というのは冗談ですが、開始時間の2時を過ぎてもしばらくは2階の吹き抜けから玄関の自動ドアを見つめていたことだけお伝えしておきます。いいんですよ!別に気にしてないんですよ!ここ数日秋聲ブームだと浮かれた罰だなんて思っていないんですよ!
 
 さて、今回は「質物」という短編をとりあげました。ユメジ展でもさわりだけご紹介していますが、秋聲と山田順子さんと竹久夢二さんの微妙な三角関係がふわりと出てくる作品です。ユメジさんは「美術家T――氏」という名前で登場し(タケヒサのT、か…)とすでに思わせぶり満載です。
 T氏と破局した栄子と、妻に先立たれた捨三。両者が一気にその距離を詰める様子が描かれており、その手法なんとも鮮やか!自分の分身、あるいは象徴であるところの花をまずは男の家の床の間に侵入させていく女の策略なのか無邪気さなのかもうなにだかわからないけれどもすごい!うまい!こわい!といつも以上にはしゃいでしまったのは冒頭の恨みのせいではありません。ええ、大丈夫なんですよ!なんとも思っていないんですよ!
 実はもろもろございまして今年度の輪読会はこれで最終回となります。来年4月に再開いたしますので、また是非よろしくお願いいたします。そう、最終回だったですけどいいんですよ…!
 
  



有難いの事
 2014.8.23

 「よかったね!」という言葉の有難いこと…。ひとの喜びにかけるためだけに生まれた言葉…。昨日文芸館の館長さんはじめ職員のみなさま方からいただいたお言葉です。すべておかげさま、即座に動いてくださった文芸館さんのおかげさまと心得ております。「お蔭様で」って言葉がないよね、秋聲文学には!と批判したのは漱石先生ですが、今回ばかりはすべてお蔭様で成り立ちすぎており、ありますけど山盛りですけど…!と反駁したい気持ちでいっぱいです。論点の齟齬はこの際気にいたしません。
 そういえば先日もそんな心もちになった出来事がありました。この夏ユメジ館さんの次にロックオンしている菊池寛記念館さんにお電話いたしましたら基本のご対応も親切極まりないのですが『あの…しらみつぶし、手伝いましょうか…?』とのご発声…。「えっ…」となってハッとして寸々語。数日前の、『菊池寛全集』から「秋聲」の文字をしらみつぶしに探していますよ!!との記事をご覧になったとのこと。『大変でしょうから…』…ねえさん事件です、高松には天使が住んでおりました。ご自分とてお忙しいなか、しらみを一心不乱に探すこちらの丸まった背中があまりに痛々しかったものかそんなお申し出を…!
 「いえっこれも勉強ですから…!」とお気持ちだけいただきましたが、機会があれば「そのしらみ、一緒につぶしましょうか?」キリッとして言ってみてください。この夏いちばんの胸キュンです。

 もうひとつそういえば、『菊池寛全集』内に次々見つかる秋聲先生にふせんをつけておきましたら職員から「それ全部、秋聲しらみ?」そうそう意外といましたねー!…など答えつつここではじめて気が付きました。秋聲先生をしらみ扱いしていたということに…。
 すみません、言葉の綾です。
           




赤いポロシャツ、青いTシャツ
 2014.8.22

 金沢文芸館さんで開催された「のまりんの紙芝居劇場」へお邪魔して参りました。どこへもここへも顔を出す神出鬼没の秋聲記念館、秋聲と名のつく場には必ずあらわれますのでお気をつけください。そう、のまりんが、あの世界ののまりんが秋聲作品で紙芝居を上演してくださったのです!

 実は昨年の夏から温めていたこの計画…らしからぬ展のメインビジュアルの「えらがり鯛鮹」イラストを描いてくださった絵描きさんにお願いして、秋聲の子ども向け作品「花の精」も数枚制作していただいておりました。絵本か紙芝居にしたいわい、と思っていながら秋聲記念館としてあまりに前例がなく、ガラにもなく、寝かせに寝かせてはやいちねん…(絵描きさんに心からごめんなさい)。
 今年になってのまりんの紙芝居が文芸館にやってくると聞きつけ、しゅ、秋聲のもお願いできませんか…!を無茶を申し上げれば素速い文芸館さん、すぐさま打診してくださりそして懐の深いのまりん、快くお引き受けくださったというとんとん拍子。さすが餅は餅屋であるよ!の法則がここへ来ても発動です。

 のまりんにご指導いただきつつ、有難いイラストたちに文をつけ紙芝居の形状に仕上げ、本日が初披露となりました。

 
 
 

 花の精があらわれ驚くのまりん…

   



   たのしそうなのまりん…

 
 
    ちょっともう目頭が熱い秋聲記念館…

 
 のまりんは最後にしっかり当館の宣伝までしてくださいました。ありがとうございます…!

 そしてその後も数編、力一杯の上演を見せてくださり、これにておしまい、拍手~というタイミングでもってスッと手をあげた青いTシャツの少年。「徳田秋聲の『花の精』がよかったです」。青いTシャツの少年…!!!
 涙がでました。





いろいろうっかりして、夏
 2014.8.20

 7月限定で展示させていただいておりましたユメジさんの「七夕」画を金沢湯涌夢二館にご返却にいって参りました。湯涌の青さが目に痛い…てな具合に青山青天夏まっさかりの湯涌地域です。まだちゃんと夏してないな…という方、湯涌にいくだけでじゅうぶん夏したことになりますので、ぜひお運びください。

 夢二館さんに入ると受付にバーンと当館のチラシを貼ってくだすっておりました。ありがたや…。そしてこのチラシをもって夢二館と秋聲館とをめぐると特製ポストカードがもらえます!!と、気が付けばこのホームページ上のどっこにも書いていない情報の告知までしてくだすっておりました。なんという怠慢、というより恒例のうっかり。

 そうなのです。当館のユメジ展会期中、当館のチラシに両館のハンコを押してもらいさえすればオリジナルポストカードがもらえるキャンペーンひそかにやってます…。うっかりの代償でしょうか、当館のポストカード動かざること山の如し…! 

 会期終了までまだ一ヶ月半ございますので、東山で夏、足りない場合には湯涌で夏、エンジョイしたうえポストカードもらってやってください。向こうさまでは柳川昇爾コレクション新収蔵記念展「南陽堂書店」主人が愛した夢二展を開催中!当館から歩いて10分のところにあった南陽堂書店さんです。惜しくも閉店されてしまいましたが、ご店主の本に対する心意気、夢二館さんで存分に味わっていただけます。
        夢二さんが日本代表のようであった件→



 

加賀万歳
 2014.8.17

 ひがし茶屋街の茶屋休憩館さんで行われた金沢の無形民俗文化財「加賀万歳」の公開練習をこっそりのぞいて参りました。10月までの第1、第3土曜日の午後3時から、どなたさまも自由に見学ができます。
 さすがお盆の真っ最中、どちらから?との演者さんの声かけに、客席から「東京!」「茨城!」と声があがります。謡いのなかにそうした地名も出てくるそうで「そりゃあみなさん運がいい、これをタダで見られるなんてネ!」とのウィットに富んだ進行ぶりはさすが現在の「漫才」の源流。通りすがりの人々もつい足を止めて見入っておりました。

 さていい加減しつこいですが、館には「茶屋街へ行く」=「ほっこりポストを確認する」という暗黙のルールがありますもので、そして休憩館さんと同じ通りにありますもので、昨日も張り切って確認して参りました。

     
 
 …加賀万歳ならぬカエル漫才のようなお二人組。ふたりはともだち。未だ健在。しかしよく見れば梅雨時にはなかった彩りが…。
 おふたりとも完熟プチトマトをくわえています。なんだまだ同じか!と見せかけて、そのじつ夏野菜バージョンなのでした。
 そして8月5日付で金沢くらしの博物館さんがレポートしてくださった写真と比べてみるとまた微妙に違っており、こいつは目が離せません。

 ふたつの、赤い、トマト…もしや加賀万歳で両脇のおふたりがお召しになっている赤い大黒ずきんにかぶせてきているのでしょうか。真ん中のひとになってくれるカエルがいなかったためのダミーの鉢植え…?だとしたら足許にゴロゴロしている野菜は観客…!さてはこのふたり、加賀万歳の練習中です!!





しらみつぶし
 2014.8.16

 高松市は菊池寛記念館さんで刊行されている『菊池寛全集』を読みあさっています。目的は「徳田」あるいは「秋聲」の四文字。読みあさるというよりも、「徳田」あるいは「秋聲」の四文字を目を皿にして探しているといったほうが正確かもしれません。読者の質としては悪いほうです。しかしその四文字をまさにしらみつぶしに探す日々です。
 『菊池寛全集』はビビッドなオレンジ色。秋聲のイメージカラーは渋めの柿色。色相では近しいふたり。そんなふたりをより近づけたいがためのしらみを潰す作業です。

 さてシラミといえば毛、毛といえば髪、しらみを潰す作業の合間に不定期連載に「髪」第3回をアップいたしました。回を重ねてもまったく衰えることを知らない秋聲先生の筆の勢い。まるで講談かなにかのようなテンポのよい掛け合いのなかにポイとほうりこまれる「毛性」のはたらき、その真実。〈「禿げるということは、何んな人でも辛いものと見えて、禿げてる人は一本の毛でも大切そうに撫でつけているからな。」〉やめてあげてください。それは言わないお約束です。
 〈そんな時はきっとお栄の頭へ、皆んなの目が移った。〉
目線が顔よりやや上め、本人さまには確実にわかります。ご注意ください。
 〈「西洋人なんか大抵毛が薄いけれど、好い顔をしてるから可笑しくないけれど、日本人は滑稽に見えるからな。」〉禿げとスキンヘッドは紙一重、なるほど納得の真実です。
 留まることを知らない禿げ談義に谷さんもとんだとばっちり。まだまだ続きます。





学芸員実習講評および秋聲ブーム
 2014.8.15

 さいきん巷では秋聲がブームらしいですよ!みなさまお盆休みいかがお過ごしでしょうか。
 去る10日、あいだ当館はほとんど関与しておりませんでしたが6日間にわたって実施されていた学芸員実習の最終日・実習の成果発表会が行われましたのでふるさと偉人館さんにお邪魔して参りました。われらが財団に属する複数館で実習を重ねた学生さんたちが、これら施設の魅力アップのための展示やイベントなどさまざまにプレゼンしてくださいました。柔軟な発想と若さ溢れる企画たちにはこちらが圧倒されるほど。に引き替え、すごくいいんだけど楽しそうなんだけど、お昼ゴハンどこで食べます?と何かにつけて食事の心配ばかりしてしまう生活臭にあふれた当館ですみません。学生さん、実習おつかれさまでした。追伸、秋聲先生もお庭いじりが趣味ですよ…!

 講評ののちその足で、金沢21世紀美術館へ向かいナイトミュージアムの「リーディングまとめ見1」をまとめ見て参りました。能美さんでの中島敦「山月記」、蓄音器館さんでの太宰治「畜犬談」、大拙館さんでの鈴木大拙「Laus Belli」、そして1日当館で上演された秋聲の「死後」の再演です。


 それぞれまったく毛色の異なる熱いパフォーマンスに笑ったりぐっときたりポカンとしたのち心臓がどうしようもなくざわざわしたりとたいそう忙しい2時間でした。シアターでの上演も空間として完成されていて素敵ですが、これが各館でどんな風に展開されたのだろう?と今となっては確認すべくもないそちらが気になっております。
 高田組、二度にわたりおつかれさまでした。こちらは逆に21美さまになったらどうなるんだろうね?と言ったりしておりましたが、場所を変えても最高の大トリでした!





秋聲in文芸館
 2014.8.9

 昨日は東山界隈で「金沢燈涼会」開催のため、周辺館すべて21時までの夜間開館を行いました。あいにくの大雨でしたが、そんななかでも館めぐりを敢行してくださった猛者のかたがたには、各館よりすてきなプレゼントをさせていただいております。本日も21時まで開館しておりますので、いまだあいにくの大雨ですがものともしないつわものどもをお待ちしております。
 そして昨日はなんといっても金沢文芸館さんで有難いイベントが行われたのでした。「朗読の夕べ~徳田秋聲が描いた女模様/三題~」…なんということでしょう…きのう秋聲先生お誕生日でしたでしょうか?それとも知らぬ間に巷に秋聲ブームが…?三題あって三題とも秋聲作品だなんて、ご存じ金沢の三文豪、三文豪で知られる金沢ですのに秋聲先生でひとりじめだなんてそんな贅沢な…!明日絶望的につらい何かに遭遇してしまうのかもしれません。いやそれでもいい…今この一瞬の幸せにひたりたい…そんな刹那を抱いて文芸館さんに潜入して参りました。

 「朗読小屋 浅野川倶楽部」さんからお三方、秋聲の「おぼろ月」「蟹」「女装」を情感たっぷりに朗読してくださっておりました。座席も満員!感無量!
 最後に実はこの日のために東京からお越しくださった当館名誉館長から出演者のみなさまに花束の贈呈があり、満面の笑みでそれを見守ることにうつつを抜かした揚げ句、館の使命を思い出したころにはいろいろ間に合わなかった写真がこちら→

 文芸館さん、浅野川倶楽部さん、いつもありがとうございます。明日には21美さまでも秋聲公演が行われることですし、巷では秋聲がブームみたいです、とニコニコ言いふらしていくことにいたします。





高松訪問 2日目
 2014.8.8

 翌日は高松市内をうろちょろしてみました。菊池寛記念館さんで開催しておられる「菊池寛ウォーク」をひとりで開催です。終始無言です。さびしい限りです。

 菊池寛先生がいらっしゃるという中央公園はたいそう広く、他にもいろいろな銅像が林立しています。これかな?ちがった…これ?あ、ちがう…と何度か騙されながらようやくそのお膝元にたどりつきました。なんと堂々たるご風貌…。

 はるばるやって参りました。これからよろしくお願いします、とご挨拶をして、その後もうひとつの碑をさがしてぐるりと「菊池寛通り」に入ってみましたが見つからず…じろじろと附近を執拗に観察しても見つからぬまま、菊池寛ウォーク用に記念館さんが作成してくださっているマップの印の位置からずいぶんと離れてしまいました。と、そこで、いや違うおろそかにしたところが一部あったぞ、とハッとなり引き返してもういちどじろじろと無遠慮に探してみましたらちゃんとありました。けっこう大きな碑が。

 何故おろそかにしたかといえば、その後ろが公衆トイレ、しかもわりとオープンマインドな男子トイレになっていたからです。行かれる予定のある方、使用されていないとき(男性の背中が見えないとき)をそっとお待ちになってください。道路を挟んでそのお向かいが生家跡(残念ながら面影なし)となっております。

 また、菊池寛通り沿いには名作戯曲『父帰る』の碑もございます。
 
  突然帰ってきた父を断固拒否する長男・賢一郎→




←悄然として出て行こうとする父、
         とめる次男・新二郎、
              泣き暮れる母。
 
 躍動感のあるよい像です。ちょっとこのご家族に混ざってみたかったですが、いかんせんひとりウォークなので諦めました。複数で行かれる方は是非ごっこを。
 




高松訪問 1日目
  2014.8.7

 次回企画展調査のため、香川県は高松市へ行って参りました!台風と台風の隙間を縫って、高松はなんとか晴れておりました。

←こちらは岡山発、マリンライナーより瀬戸内海。


 車中、おれ写真とーろう!と席を立つ旅行者らしき男子学生。恥ずかしいからやめろよ~と止める連れの学生。窓にはりついてすでにバッシャバシャ撮影している秋聲記念館。

 高松駅から電車で一駅、昭和町に着きましたら歩いて3分、菊池寛記念館へと向かいます。なんといってもここは菊池寛の生まれた土地、この立派な建物の3階フロアが記念館になっており、遺品から草稿から最近収蔵されたという創作ノートからたくさんの資料が展示されています。
 学芸員の方にご案内いただき、広い常設展示室と企画展示室までもれなく見て回りました。企画展示室では「怖くて不思議な文学展」を開催中、なんと鏡花さんと犀星さんのご紹介がなされており、おっと遠く四国へ来てまでも…秋聲先生のみご不在でありました。そう怪談と秋聲は馴染まぬ水…。
 次回企画展を開催することにより、おふたりの間に秋聲先生をねじこみたい所存です。寛先生と秋聲先生は比較的仲良しなのです。
 企画展の概要や秋聲関連資料のことなど、館長さまをはじめ学芸員のみなさまにいろいろとご相談をさせていただきました。一日中ありがとうございました。すみません、わりとまたすぐに参ります…!





「死後」
  2014.8.4

 ナイトミュージアム第1号、劇団110SHOW主宰・高田伸一さんによる朗読パフォーマンスが1日無事終了いたしました!
 高田さんのご発案で、当日はアロマセラピスト・Saikoさんによる空間演出があり、2階サロンにあがってゆく階段あたりからふわりと「死後」の世界に誘われます

(というと怪談的ですが、イメージ的には死者を悼み家族親戚が集うひとんちのお座敷の感じ、その匂いです)。そしてそのお座敷には、和傘をつくるひと、切り絵をする人、折り紙を折る人…。それぞれ当館ではお馴染み・和傘作家山田ひろみ先生と、木目込み人形作家の東政紫先生、紙・木工・ガラス・皮・手にてなすもの何でもこいの長原弘之さんにお願いしてもくもくと作業する不思議な人々を演じていただきました。
 そこへポロロンと流れて来るのはライアー(西洋竪琴)の音色。ライアー奏者・本倉晶子さんによる生演奏です。そんな超豪華なお膳立てのうえ、真打ち・高田さんが登場され、秋聲の描く「死後」を、時に熱く時に冷たく再現してくださいました。
 終演後、高田さんのご厚意でオマケに秋聲の子ども向け読み物のなかから「瘤佐市(こぶさいち)」を!オマケ感の一切ないご熱演を賜り心より感謝申し上げます!

 かたちにするのがなかなか難しいのではないかと思われる秋聲作品ですが、なんの縛りもなく自由な発想でもってすればこうまで膨らむものか、と終始感嘆しきりのステージでございました。高田さんをはじめ、ご協力いただいたみなさま、ご参加くださったみなさま、本当にありがとうございました。見逃された方、8月10日に再度チャンスがございます!
 
 



「黴」のちから vol.2
 2014.8.1

 某K記念館さんからお福分けをいただきました。
 メロンです。

 両館の不文律、瓜科しばりを守ってくださるあたり
さすがです。


 いつも川を挟んでバチバチと火花を散らしている両館ですが、ご覧のように決して仲良くないわけではないのです。仲良くケンカをしているのです。ト○とジ○リーなのです。先日どちらがト○でどちらがジェ○ーかでケンカをしました。きつねとたぬきであれば迷わず前者が鏡花さんで後者が秋聲、と答えるところですが、猫とねずみであればどうでしょう?鏡花さんはだいぶん背丈がお小さいとうかがっていますからねずみでしょうか?しかし鏡花さんから秋聲にちょっかいをかけることはまずありません。ちょっかいをかけにいくのは秋聲ですが、相手を痛い目にあわせて高笑い、という性格でもありません。どっちになりたいわけでもないのですが、結局答えが出ずにケンカしたまま終わっております。メロンをいただきながら考えます。

 と、へたのところに黴です。あーあーやっぱり。当館に来たるものすべて黴におかされてしまうのです。K記念館には決して言えません。せっかく歩み寄ろうとしてくださっている記念品に黴が生えただなんて。
 前回(昨年9月23日付記事参照)のこともあり、なんだい当館事務室の保存環境が劣悪なのかい、と不安になって一般事情を調べようと「メロン へた」で検索をかけましたら検索候補に「メロン へた カビ」と勝手に上がってきました。アッうちだけじゃなかった…!メロンのへたにあふるる糖度がそうさせてしまうのだそう。K記念館さん、そうさせてしまうのだそう。





リハーサル
 2014.7.31

 いよいよ明日に迫ったナイトミュージアムイベントの最終リハーサルを行いました。サロンに当館では使ったことのない立派な機材が設置され、普段とまったく違った空間に。へぇ…君にこんな顔あったんだねぇ…と夏の日のマジックもとい演劇人の知恵と技術を体感いたしました。

←なんだかメルヘンなサロン。メロン。

 セッティングが済み、読み合わせに入る頃にはそそくさと退散。お楽しみは当日にとっておきたい職務放棄です。
 今回、劇団110SHOW代表の高田さんに読んでいただくのは秋聲の「死後」という短編小説で、おそらくは秋聲自身の実際の父親の死をきっかけに、家に集う兄弟たちの姿を描いています。と聞くといかにもしんみりした薄ら暗い最後には啜り泣きの声すらそこここから洩れていそうな舞台に思われますが、安易にそうはさせないのが秋聲作品の恐ろしいところ。もしそういったものを期待して、あるいは覚悟して来場されたなら相当な肩すかしを食らうこと必至です。
 お出かけの際の持ち物としてハンカチは不要、お涙無用、しかし油断禁物。なんとも不可思議な世界観を目の当たりにしてハ~…となってお家に帰って扉をバタンと閉めた瞬間、急にこみ上げるものがあるかもしれません。ですからハンカチはお家に置いておいて大丈夫です(もし早い人で帰り道にこみ上げてしまったらすみません)。
 とかいいつつ、先ほども申し上げましたように原作は読みましたが、舞台自体は出演者・スタッフ以外、当館の職員ですらいまだ誰も見ておりません。明日まだお席に余裕があるもよう。当日直接おいでになってもお席のある限り受付可とのことですが、こちらの心の準備のためにもお申込(金沢芸術創造財団 TEL.076-223-9898)のうえご来館いただけましたら幸いです。17時以降入館は無料ですが、参加費500円です!





周辺的動物 訂正
 2014.7.30

 昨日こちらでお伝えしたヤモリの件、ヤモリでなくカナヘビでは??とのご指摘をいただきました。カナヘビ!どうりで!しっぽが長いはず…!カナヘビのなんたるか、その実態を恥ずかしながら存じ上げないうちに後半「ヘビ」との響きだけでなんだかハッといたしました。ぜんぜんこの家を守ってくれないやつでした。昨日アイツからどんなお気持ちを受け取ってしまったのやら…。ご指摘ありがとうございました。とんだ失策です。

 カナヘビについてすこし調べてみました。ヘビといいつつトカゲだそう。ものの辞書より…馴染み深い存在のためか地方や年代によりペロちゃん、カガミッチョ・カガメッチョ・カナゲッチョ・カナチョロ・カナメッチョ・カナンチョ・カネチョロ・カマゲッチョ・カラメッチョ・チョロカゲ・トカゲ・カランキョ・カベチョロ・カマチク・カマチコなど多くの呼称がある…という…。なんとなくかわいいのはわかりますが、ちょっと親しみを込めすぎではないでしょうか。いちばん最初の「ペロちゃん」にいたってはもうペット、ペットの域です。
 呼称のバリエーションのうち、途中だんだん近づいてきて遠ざかるゴール、それは「カメチョロ」。犀星さんの愛猫の名。カナチョロ→カナメッチョあたりでアッ惜しい!離れた!!→カネチョロ、いや近づいた!→カマゲッチョ、あああ!また離れたぁぁあッ!!となりました。もてあそばれました。

               今朝、館玄関にて→
 
       今度こそヤモリ…?
         いや、別のカナヘビ…!?

 見分けるのにもう少し時間がかかりそうです…





周辺的動物
   2014.7.29

 今日も今日とてひがし茶屋街をうろちょろしておりましたら二番丁すなわちメインストリートのある一ヵ所で何やら撮影大会が行われておりました。撮影隊の輪の中心にいたのはツバメ。巣のなかに仲良く四羽並んで口をぱくぱくさせています。
 茶屋街をはじめ、東山界隈はツバメ調査にもってこい地域です。ツバメに優しいおうちが多いのか、軒にツバメの巣も多く、そこいらをビュンビュン飛び回っているのをよく目にいたします。

  ちゃっかり撮影大会に参加した成果がこちら→

 わかりやすいかわかりにくいかでいえば非常にわかりにくい写真で恐縮です。ツバメの子、かわいいのです。

 そうして館に帰ってきましたら、館内でヤモリを発見。どこから入ってきたものやら、まだこどものようですがシッポが長い!恐竜のよう!
 ここへ来てもひとり撮影大会を開催いたしました。


 これはわかりやすいかわかりにくいかでいえばとてもわかりやすい写真で満足です。当館のキナリの床がその姿をよく引き立てています。

 その後心優しいしっかりものの受付さんの手により外へと放されました。共存したいのはやまやまですが、閉館後そのチョロチョロとした動きを感知して警報が鳴っては困ります。この家、守っちゃるけん!というそのお気持ちだけ有難く受け取っておくことにいたしました。 





人間的中心
  2014.7.26

 不定期連載に「髪」第2回をアップいたしました。おやお前禿げてきたね!アラやめてくださいよ!との軽妙な笑い話で済むかと思われたこの物語、第2回にして急速に深いテーマへと発展してゆきます。
 なかでも髪の毛の造作によって随分と持ちあげられていた彼女の容色…といったあたり。相変わらず「ちょっとそれは言わないであげて…!」と力一杯もぞもぞしてしまう、世間一般の(それも多くの人が隠しておきたい)真理を何でもない顔をしてヒョイッと軽々突いてくる秋聲先生の筆の鋭さといったら!困りもの!
 人は髪型次第で随分と良くもなり悪くもなり、前髪があれば幼く、あげれば大人っぽくなり、かわいく凝った髪型にすればちょっとばかりお顔のつくりが整っていなくたってそれなりに可愛く見える……だなんて、やはり指摘したところで誰も得をしない多くのひとたちが暗黙の了解としてこの世界に溶け込ませている法則なのですから是非その点に関しては突かないでいただきたい、そっとしておいていただきたい。なのに言ってしまうんですか秋聲先生!そうですか!といった悶えを生むくだりです。

←秋聲先生のご頭髪。美しい!


                  秋聲先生のご尊顔→
            頭髪抜きでもかっこよかった…!
 

 そうして持ちあげてくれていたものがその力を失いつつあることにより、彼女持ち前の短所があけすけと見えて来る、そんな彼女との将来のことを考える、種の保存のことまで考える。結果、髪が薄くなる=滅びゆく種族!ものすごい結論に達した祐吉です。
 彼女に「人間的中心」のないことが気にくわない祐吉、身の回りのことはテキパキと何でもしてくれるお栄ですが、それと「人間的中心」があるとはまた別のこと。ライトな禿げ談義から哲学的な方向に急旋回しており、まだまだ目が離せません。  
 

 


まちめぐりスタンプラリー
 2014.7.24

 去る19日より、東山界隈の6館をつなぐスタンプラリーが始まっております!(~8月31日)

 2年前にいちど開催したことがあり、橋場町の交差点を取り囲む泉鏡花記念館・金沢蓄音器館・金沢文芸館・金沢安江金箔工芸館・寺島蔵人邸・そして当館のうち4館をめぐって設置されたクイズに答えると記念品がもらえるというもの。
 クイズは初級・中級・上級コースがあり、当館でも3種類のクイズをつくってわくわくしながらお待ちしております。

 つくり手のほうはとかく感覚が麻痺するもので、これは上級のつもりでつくったけれど、いやいや案外初級かな?と不安になったりなどし、職員にこれ一体どのあたりでしょうか、と確認を求めましたら「…上級じゃないですか~」との反応をもらいましたので大満足です。上級ながら見方によれば非常にばかばかしい問題。秋聲先生への愛が試される問題。わりと界隈のうちでは遠めかもしれない当館ではございますが是非ご来館のうえご挑戦いただければ幸いです。
 そしてさいきんとみに誤字・誤植にびくつく当館、さきほど念のためこの文章を読み返してみましたら案の定大変な間違いをおかしておりました。「4館をめぐって設置されたクイズに答えると記念がもらえるというもの」…もらえませんもらえません。記念、とくれば「館」と打つよう手がすっかり教育されております。あわてて修正いたしましたが、しゅうせい、と打てば迷わず「秋聲」と出るよう当館のパソコンは教育されており、何かしら修正するたび二度手間です。





三文豪出前授業 その2
   2014.7.23

 今回も金沢文芸館さんのコーディネートで、鳴和中学校さんへ出前授業に行って参りました。1年生6クラスを2つずつに分け、金沢の偉人・民話・文豪の3講座を同時進行。それぞれ金沢ふるさと偉人館学芸員さん、金沢おはなしの会の神田洋子さん 、当館が担当しての50分授業です。
 どのクラスがどの授業にあたるかはランダムに振り分けられているため、え~あっちのほうがよかったなァ、って言われたらつらいねがんばろうね、と互いを鼓舞しつつそれぞれのお教室へ。
 文豪にあたった3、4組のみなさんは、静かにしっかり話を聴いてくださいました。出前授業に行くことの多い小学校4年生にくらべ、さすがに「これだーれだ?」「とくだしゅうせいー!」「ワー!せいかーい!!」というわけにはいきませんが「この人知ってます?」「…とくだ」「んっ?」「とくだしゅうせい…」「しゅうせい…」と多分に恥じらいを含んだ小さな声がぽつぽつとあがる様子にはそれはそれで何だか愛おしさがこみあげました。みなさんお付き合いいただきありがとうございました。今後のみなさんの人生のうち、なにかしらのひっかかりとなれば幸いです。
 また、秋聲についてはある程度お答えできますが、鏡花さん、犀星さんについてのくわしいことはちょっとわかりかねますので、それぞれの記念館さんへ行って聞いてみてください!としっかり丸投げもして参りましたので、それらしき恥じらいを含んだ生徒さんがたずねていった折には鏡花記念館さん犀星記念館さん、ご支援のほど何卒よろしくお願いいたします。

 



黴、カッパに敗れる
  2014.7.22

 過日、K記念館さんで行われた「泉鏡花deビブリオバトル」に素知らぬ顔をして紛れ込んで参りました。観覧者枠で?いいえ、出場者枠でです。発表まで誰にも見られぬよう、赤いえげつない表紙をした『黴』をお腹にかかえて門をくぐり、素知らぬ顔をして受付をすませ、出場者ジャンケンを勝ち抜き、いのいちばんに発表を…。鏡花さんにまつわるどんな本が紹介されるのかしら?と期待に満ちたキラキラとした目で待っている聴衆のまえに立ち、赤い表紙をドーンとご披露したときの潔癖な鏡花さんファンたちの驚愕の表情…わすれません。
 鏡花さんは秋聲についてほとんど何も書き残しておられませんが、秋聲はガツガツ書き残しています。『黴』をはじめ、作品にもガツガツ登場させたりします。その姿勢にならう当館、場所を選ばず勝手に鏡花さんを語ることは大得意にして5分間をしゃべくりたおし、どうしよう、正賞のウサギの文鎮をもらうことになってしまったらどうしよう、といらぬ心配をした揚げ句、普通に負けました。優勝は鏡花さん原作/石塚公昭さん写真によるビジュアルブック『貝の穴に河童の居る事』(風濤社)、他も紅葉先生の『金色夜叉』、鏡花賞を受賞した篠田正浩監督の『河原者ノススメ』といった強敵揃いでございました。
 しかしながら勝負は勝負と、『黴』を排斥することなく何なら行商まで黙認くださったK記念館の懐の深さといったらありません。一冊ください、と勇気をだしてお声がけくだすった方、「売り切るまで帰ってくるなって言われて…!!」と嘘泣きをしたら、最後は同情で買ってくださったお三方、ありがとうございました。
 『黴』の繁殖に当方手段は選びません。マッチ売り商法成功です。





熱い昼
 2014.7.20

 5・6・7月と開講してきた連続講座「女性の読む秋聲文学の〝今〟」最終回を昨日無事終了いたしました。ご聴講くださったみなさま、ありがとうございました。
 最終回は大東文化大学名誉教授の渡邊澄子先生による『仮装人物』。ユメジ展でもご紹介している作品で、当館内では「いま、『仮装人物』が、熱い!」とどこにだすでもないキャッチコピーがつけられそうな白熱具合です。また、過去の作品を熱くするのはひとえに現在を生きる読者によってであり、その点渡邊先生の手にかかれば厚く蔽い被さっている埃があれよあれよと取り払われ、あわや古典の域にすら入りつつある『仮装人物』が途端に血の通った生々しい姿に…。その熱にうかされたものか、熱い質問もたくさんいただき時間を大幅に超過しての熱い会となりました。ちなみに『仮装人物』映画化にあたり当初つけられたタイトルは「熱い夜」(ポスター展示中!)。それが封切り直前に「甘い秘密」と改題されました(スチール写真展示中!)。こちらはかえって〝埃塗れの甘い夢〟から揺り起こされ、熱い熱い昼間となった最終回です。そしてエアコンの不具合により実質暑いサロンで申し訳ありません!渡邊先生、ありがとうございました。
 ありのままの姿を見せているとはいえ、やはり秋聲をモデルとする主人公「庸三」の言い分で成り立っている『仮装人物』。同じく当事者である山田順子さん、そして竹久夢二さんの言い分もお聞きしようというのが10月4日(土)の朗読会です。ものの見事にすれ違っております! 
 

 
 

わかき人、再訪
 2014.7.19

  昨年の7月20日付で登場しているわかき人が、昨日ふたたび当館を訪れてくれました。「お久しぶりです」「……」「あの…としまえんの…」「!!」といったやりとりを経て、きれいに一年ぶりの再会です。ナントカ館にとってお客さまのふたたびのご来場ほどうれしいものはなく、まあまあ暑いのによう来んさったねえ!おおきくなったねえ!と一瞬そこが親戚のおうちかなにかのような手放しの喜びに満ちた受付まわりとなりました。 
 また身ひとつで十分うれしいものを差し入れまでいただいてしまい、ましてや中にお手紙まで封入されており、感謝のうえにも感謝でございます。
 わかき人の字のきれいなこと…!秋聲先生、わかき人の字がきれいですよ…!
 本当にありがとうございました。

 昨年ちょうど展示替え休館中だった鏡花記念館さんにも今回は行かれたとのことで、やり残したことすなわち再訪へののりしろ部分がこれで埋まってしまった形となりましたが、年にいちどのペースならば確実に各館違った企画展を開催し、違った一面を見せているかと存じます。そう、昨年は「徳田秋聲らしからぬ!」なるこども向けの企画展のころでしたね…だからこその豊島園でしたね…。おっとその時に展示していた『めぐりあひ』を今回のユメジ展でもお出ししているではないか!ちょっと重なってしまっているではないか!と、若干うしろぐらい部分に気づきもしつつ、あらあら一年越しの『めぐりあひ』だなんてうまいこと言ったもんですね!!とそこは強引に乗り切りたい所存です。
 
 



「髪」
 2014.7.18

 企画展準備に入ってしまうと、とりたてて伝えるべきことのない、ただただ本を繰るだけの日々になってしまいます。あーあ、最近変わったことないな…というそんなときに重宝するのがこの日何の日。秋聲にまつわるエピソードを引き出す何かしらのヒントになれば…と日めくりカレンダーを確認しましたらなんと本日18日。1(とう)8(はつ)の日!いつかこの欄で予告していた秋聲先生による禿げ談義、もとい短編小説「髪」をご紹介する日が来たようです。

 というわけで、不定期連載に「髪」第1回、アップいたしました!
 主人公は、おや、お前さんだんだん鬢に白いものが交じってきたよ、と気にするお年頃のお栄とそうだね白髪が…いやいやむしろお前の禿げが目立ってきたよ!ここ薄くなってきてるよ!禿げだよ!と気づいてしまう祐吉夫妻。お産をすると歯がやられる髪がやられる、というくだりは名作『黴』にも登場いたしまして、かえすがえすもカルシウムとたんぱく質不足にうるさい秋聲先生です。かつ、ご自身の性である男性のより、ずっとずっと女性のそのあたりの劣化を気にされ作品に書いてしまうという、しみしわを書かれるよりいやだわ!と思わせる女の敵っぷり。加齢にともなうしみしわについての指摘はある程度覚悟をしていても、えぇっ!?髪と歯…!?それはどうかご勘弁を!!と怯える女性は多いのではないでしょうか。

 逆に髪と歯のことはよく話題にのぼり、ある程度覚悟しているのが男性…?そのほかのところにむしろぜったい人には指摘されたくない秘密の劣化があるのかもしれません。女の秘密は〝女性を書かせたら神様〟であるところのこの作家に見つかってしまいました。
                 秋聲先生は白髪タイプ…→




ナイトミュージアム
 2014.7.17

 いよいよナイトミュージアム~夏秋編~がはじまります!ゴールデンウィークやら百万石まつりやらにひっかけて、これまでもぽつぽつと夜間開館を行って参りましたが、夏秋編はもっとも大がかり。明日より10月末にかけて、毎週末どこかしらの美術館・博物館で夜間開館のうえイベントを開催予定です。

 当館の第1号は8月1日(金)19時半から、劇団110SHOWの高田伸一さんに秋聲の短編小説「死後」を語っていただきます。先日開催予定時刻近くにシミュレーション兼打ち合わせをおこない、〝読む〟にとどまらないさまざまな演出の構想がその頭脳(あたま)から溢れでてくるさまを目のあたりにいたしました。
 こちらお申込は当館でなく、金沢芸術創造財団のほうですでに始まっておりますので、何卒よろしくお願いいたします。

 ナイトミュージアムは市内○○館が一丸となって盛り上げてゆく一大事業それすなわち、全国でも稀にみる文化施設密集地域である金沢市だからこそ可能な〝常にどこかしらがやってる感〟。当館はこの欄でもつねづね何かというと余所の館に全力でからみにゆき、さすが餅は餅屋であるよ!!と大きな声で叫びながらその専門のお力をお借りしているわけでありますが、先日より幾度となく夢二館にからみ、文芸館にからみ、蓄音器館にからみなどしている甲斐あって、このたび各館さまのステキブログに一斉に秋聲先生が登場するという幸甚にあずかりニヤニヤしております。
 秋聲先生こんどはどこへ出かけましょうか? 
 
 
 


お詫びと訂正
 2014.7.15

 いつも企画展にあわせて制作しておりますガイドペーパーにこのたび重大な誤りが発見されましたので、この場を借りてお詫びと訂正申し上げます。夢二さん装丁本としてご紹介しておりますNo.5『断崖』のキャプションに《菊池寛の依頼により「時事新報」に連載された…》と書かれておりますが、こちらNo.3『路傍の花』の解説が誤って入ってしまったものです。テイクフリーのため、どなたさまのお手元に渡ってしまったものやら今さら回収してお詫びのしようもございませんが、もしこの欄ご覧くださっておりましたらそっとご訂正くださいませ。
 ユメジ展開幕の余韻からぬけだし、次回企画展「菊池寛賞と秋聲」の準備をやわやわ始めた途端、なにやら近い過去に違和感…そしてハッとなりました。ち、ちがう…断崖じゃない…!!と気づいたときの断崖感たるや。一瞬にして切り立った崖のふちに立たされ、謝罪して言い訳する間もなく背中を強く蹴り落とされた心持ちとなりました。いえ、蹴り落とされてしかるべきミステイクでございます。心よりお詫び申し上げます。

 前回の悩める展と今回のユメジ展、松井須磨子で微妙につながっており、今回のユメジ展と次回の菊池寛展は『仮装人物』(第1回菊池寛賞授賞)ならびに『路傍の花』でつながっております。『路傍の花』、『断崖』でなく『路傍の花』です。ひそかに『真珠夫人』の後釜を狙っております。
 こちら何事もなければ10月10日からのスタート。今回ユメジさんに照準を合わせたがために出し惜しみをした『仮装人物』自筆原稿も展示する予定です。





特設コーナー
 2014.7.13

 ユメジ展開催から10日ほど経ち、あら普段あんまりお見かけしない層…という夢二さんファンの皆さまにも少しずつご来館をいただいております。いかんせん、ユメジあるいはyumeji表記…ニセモノ感が強いのか、えっほんとにあの夢二さん…?とお疑いの方も多いのかもしれません。ええ、ほんとにあの夢二さんの一級品、置いてございます。
 金沢湯涌夢二館さんブログでいつか触れていただいたとおり、当初は「ユメヂ展」なる名称を考えておりました(秋聲×夢二本『めぐりあひ』での署名が「YUMEDI」となっていたため。ユメディ?)。しかし余りにもバッタモノ感が強くなりすぎてしまうため、「ユメジ」に若干引き戻した経緯もございます。徳田秋聲記念館のくせに夢二展をやりますよ!嘘だかほんとだか見に来てみてね!というのりしろを残したカタカナ表記だったりもする、そんな裏話…。

 かように怪しげなる企画案にもかかわらず本展開催にあたり全国のユメジ館さんに多大なるご協力をいただきました。金沢湯涌夢二館さん、夢二の生誕地・岡山の夢二郷土美術館さん、そして秋聲の住まう本郷近く、東京文京区の竹久夢二美術館さん。ユメジ館は全国に複数ございますが、秋聲にかかわる資料所蔵の関係から展示室ではこちらの3館を特にご紹介中にして、各館からお送りいただいたチラシの減りの早いこと!
 あらたにお送りいただきました東京は竹久夢二美術館さんの「再発見!竹久夢二の世界」後期展ステキチラシは本日よりの設置です(金沢湯涌夢二館さんの彦乃展は本日まで!)
 


 


三文豪出前授業
  2014.7.12

 今年も金沢文芸館さんのコーディネートで、木曳野小学校さんへ出前授業に行って参りました。4年生5クラスを半分に分け、2時間引き続いての授業です。
 徳田秋聲の使ったものやら書いたものやらを展示して徳田秋聲をいろいろな角度から紹介する徳田秋聲記念館からやってきました!と自己紹介したうえでの三文豪顔写真クイズスタート。「これだーれだ?」と無邪気に投げかけているように見せかけて、そこはもう「とくだしゅうせい」とのみ答えざるを得ない雰囲気づくりに成功です。
 おかげさまで「とくだしゅうせい!」との元気な声があがり、「ハーイありがとうございまーす!」と何コレ感満載の出来レースを披露して参りましたがたいそう気持ちのよい瞬間でもございました。ありがとうございます。といいつつ先生方のはからいで、事前学習をしてくださっていたとのことで、つづく鏡花さん、犀星さんのターンにもスムーズに声があがりました。
 とても反応がよく、かつお行儀もよい生徒さんたちで(両立はなかなか稀少です)たいそう楽しく授業をさせていただきました。
 最後に「いちばんかっこいいのは誰かな?個人的には秋聲だと思うけど誰かな?」とこちらも誘導尋問をしかけましたら「とくだしゅうせい!」ありがとうございます。いずれ、アッわたしちがうかも…!と気が付く瞬間、期待しております。

          下段・夢二さんにつづき、頬杖シリーズ→
      秋聲先生渾身の決め顔です。やっぱりかっこいい!




七夕騒動
 2014.7.9

 朝からしっかり雨模様の七夕、いかがお過ごしでしたでしょうか。
 遅ればせながら七夕といえばのお話です。現在当館がロックオン中の金沢湯涌夢二館さんでは、期間限定で七夕のお軸が展示されているとのこと。何故ならもうひとつの七夕を当館が奪っているからです。

 「婦人グラフ」大正15年7月号の表紙絵です。この欄でも過去七夕になるとは登場するこちらの絵。これを見た瞬間、秋聲先生が「アッ夢二め、順子をモデルに書いているな!?」と言って憤慨したとのエピソード付きです。
 このころ、秋聲の女弟子・山田順子さんはその初めての本の装幀をしてくれた夢二さんとの短い恋が破れたのち、秋聲のもとに身を寄せておりました。秋聲はこの年の1月に奥さまを病で亡くし茫然自失。
 その心と家庭の穴を埋めてくれたのがこちらもまた傷心気味の順子さんだったのです。実際に夢二さんが彼女をモデルにこの絵を描いたかどうかは定かでないながら、このころの秋聲の眼にはそうとしか映らなかった模様。明らかに不機嫌になる秋聲をまぁまぁ先生…と取りなす順子さんとのやりとりが、その翌月号にツーショット写真とともに掲載されております(こちらもあわせて展示中)。
 夢二館さんからお借りしてきたこちらの表紙絵は7月いっぱいの展示です。8月9月はまた別の「アッ夢二め、順子をモデルに書いているな!?」を展示予定ですので、月に一度はお越しください。

 



エジソンに感謝した日
 2014.7.7

 昨日、悩める展でお借りしていたレコード類を金沢蓄音器館さんに返却にゆきました。するとちょうど蓄音器聴き比べの時間。企画展も開幕し、一段落ついたところでせっかくですからお客さまに交じって参加させていただくことにいたしました。
 まずはエジソンが発明したというレコード(茶筒、あるいはトイレットペーパーの芯のような形状)をかけていただきます。電気をつかわないというのに、おそらくは多くのひとが想像する以上に大きくクリアな音でびっくりします。しかも陽気なハワイアン。
 それから家一軒分の価値があるという大きな蓄音器やら携帯用のかわいい蓄音器(本体にもう取っ手がついています。そのまま運べて電源いらず!)やらをじゃんじゃん贅沢にかけてゆかれる八日市屋館長さん。
 黙って聞こう聞こうと思いながら、次々でてくる驚きのネタの数々に、へえ~…ほぉ~…と自然に感嘆の声が漏れます。黙って聞けない秋聲先生現象です。
 CDの音との聴き比べまで出来、なるほどなるほど蓄音器で聴くとやっぱりなんだか心臓に直接どくんとくるね、と再確認して帰りました。音楽を記録しようとしたその源流はエジソンにあり。年にいちどくらいはエジソンに感謝してもいいかもしれないですね、と仰る館長さんのお言葉に、まさにその昨日がエジソンに感謝を捧げる日となりました。
 この聞き比べと解説を一日三回(11時・14時・16時)毎日されるというのですから脱帽です(スタッフさんのときもあります)。秋聲先生をお連れしたらきっと5時間は出て来ないであろう金沢蓄音器館さん、当館がおすすめするまでもなくおすすめです。

入口で迎えてくれているビクター犬ことニッパーくん(特大)→
  …アレッ?ほんとにニッパーくん…?



←なんかお顔違…!

 首輪も違…!!

 ひとりだけ筋肉質… !!!






茅の輪くぐり
 2014.7.6

 ユメジ展、開幕してからやおらひがし茶屋街へチラシ配りにでかけております。チラシデザイン縮小版ハガキは当館と茶屋街限定で設置。置いてくださるお店には、感謝のしようもございません。
 その足でわれらが宇多須神社さんにもお寄りしましたら、茅の輪(ちのわ)が設置されておりました!ちょっと異次元にワープできそうな感じです!

 これを左から八の字にくぐるとその年の厄除けになるそうで、秋聲先生も幼きころにくぐったかしら…とチラシを抱えながらぐるりとしてみました。と、途中ハンカチが落ちているのが視界にはいり、アッ…これはくぐっている最中に拾ってもよいものか、いやそんな雑念を加えてはならぬものか(途中でなにかしてはならぬとは書いてありません)、でも無視したほうが罰当たりでは?いやくぐりおえてから拾ってもええじゃないか、えっそれってつまり後回し?後回しってよくないこと?う、うう~……ピョイッと抜けこころなしか素速く拾ってベンチにサッと置き軌道にもどりました。そのサッとした動作に意味があるのかないのか、八の字が若干ひとさまよりぐにゃっとした軌道を描いたけれども大丈夫なのか、なにこのプチ試練、葛藤の無駄遣い…!とさまざまな感情が心のなかを八の字にぐーるぐる…今年もよい年でありますように…。

 茅の輪の横に、1本抜いて輪っかにして玄関にかけると魔除けになるよ!と書いてあったので、茅の輪からずるりと拝借してヒラヒラさせながら帰館いたしました。

←こういうことで、よいのでしょうか…?


 


Yumeji met Shusei!
 2014.7.4

 おかげさまで無事めぐりあいました!本日、新しい企画展オープンとなりました。ありがとうございます。
 そして大きな展示替えにかまけてうっかりしておりましたが、書斎の掛け軸も掛け替えました。こちらも7月にあわせて小さく展示替えです。

 今朝さっそくケーブルテレビさんとラジオ金沢さんが取材にきてくださいました。展示解説にもたくさんの方に来ていただき、みんなで、おお~いちおうめぐりあってるねえ~でもそんなにつきあいはふかくないねえ~ということを確認いたしました。そう、重点はミーツ、一冊の本のうえにミーツ。むしろミーツの段階で終了しており、あとは主にすれ違いです。
 
 今日解説させていただきながら『仮装人物』のくだりで作品世界と現実とが一瞬にしてゴッチャになりました。庸三が、草葉が、順子が、葉子が、秋聲が、夢二が…現実に即した作品とはいえ決して一緒くたにはすまい、という心掛けが音をたてて崩れていくさまをおのれの体内で味わいました。そしてまた声にだしてみて初めてわかりましたが、ようぞう・そうよう・ようこ、秋聲先生「よう」使いすぎです。それもゴッチャになる要素・要因。さらにはユメジサイドにお葉さんもおりました。ややこしや、ややこしや…。
 次回展示解説は8月9日。ラジオさんで「だいたい第1土曜です」と申し上げておきながら、さっそく第2土曜です。
 
 
   


ユメンとショウセイ
 2014.7.3

 本日、展示替え最終日。資料入れも終え、残すところ補足パネルをつくったりガイドペーパーを修正したり(パネルの誤字にばんそうこうを貼ったり)などの微調整にあたっております。

 設営しながら発見してしまうパネルの誤字ほど悲しいものはなく、サイズを合わせてばんそうこうを作成する難しさに比べて校正時にちゃんと校正することの容易さに思いを馳せ、何故そんな簡単なことができないのかと己を罵っても後の祭り…校了祭の後…。あんなにはしゃいだ分、落ち込みも一入です。

 誤字とは文学館の天敵、決して生息させてならぬ生命体にちがいないのですが、さきほど発見した誤字にはすこし笑ってしまいました。

←「ユメン・ミーツ・ショウセイ」

 印刷会社から届いたチラシの包み紙です。なんということでしょう、いっこもあってない…!

 誰が誰に会ったって…?ユメン…?ショウセイ…?どっちも存じあげません。まるで外国でみる日本語のようなこのちぐはぐ感はなかなかのもの。
 ちょっと館では把握していないおふたりですが、そんなおふたりが何かがどうかしてめぐり会ったとのことでそれ自体はなんだか微笑ましい、祝うべき出来事のような気もいたします。ユメンさん、ショウセイさん、今後ともぜひ仲良くやってください。こちらでよく知るユメジさんとシュウセイさんはあんまり仲良くやれなかったもので。
  

 


資料選抜
  2014.7.2

 展示替え3日目です。パネル設営が終わり、今日は資料をケースにいれてゆく日です。本来あってはならぬことながら、実際に資料を並べてみるとスペース上入らなかったり、バランスがわるかったり、やっぱりこっちを入れよう、などなどいろいろな変更点が出て来ます。選抜から洩れひとり取り残された雑誌に、えっ今日デビューだって言ったじゃん…!と非難の目をむけられつつ(ごめん、秋に延期です…)と契約違反を詫びたりなどしております。

 そんな貴重資料をわさわさお出ししたりしているため、展示替え中は基本どんなことがあってもお客さまを館内に入れられません。昨日、小団体さんの入館申し込みがあり、誠に申し訳ないながらお断りのうえ館前のデッキですこし解説をさせていただきました。なんだか川向こうの鏡花さんとは~…のくだりがかえって解説しやすかったです。
 解説後、閉館中に無理いってすみません、と幹事さんが握手を求めてくださり、こちらこそ閉館中ですみません、と返す右手にほんのすこしの違和感…お見送りしてからふとみると、指の皮が一部ずる剥けておりました。さきほどまでペンチでがっつんがっつん釘やらピンやらを一心不乱にぬきつづけた結果のずる剥け…。グリップのラバーにもっていかれたようです。
 手自体が完全に麻痺しており気が付きませんでした。口ではお詫びしながらよくわからない汁をなすりつけてしまったことを重ねてお詫び申し上げます。

      こちらは昨日の画像選抜から洩れた紫色→




お色直し
 2014.7.1

 こちらが昨日ちら見えしていたひまわりです。暑中お見舞申し上げます。
 昨日悩める展の撤去を終え、本日よりユメジ展設営に入っております。なんとも形容しがたいアンニュイな水色を敷いておりました展示ケース、水色をすべて剥ぎとりまして、今度は通称「仮装人物」色=なんとも艶めかしい紫へとお色直しいたしました。
 悩める展から悩ましい展へ。まだまだ秋聲先生の悩みの種は尽きぬもよう…。
 
 「ピンクにします?」「いいですねー」
 「紫もあるよ?」「いいですねー」
 「灰色は?」「いいですねー」

 ユメジ展用クイズラリーの用紙決めでの会話です。のれんに腕押しとはまさにこのこと。ええい!だったら何でもいいんだね!?と最終的にお叱りを受けそうな糠床仕様のお返事を繰り返してしまいましたが、決して何でもよいわけでなく提案されるそのお色味がことごとく「それならいい」の範疇にあったものですから…。黄色は?と言われればダメー!とお返しできたのですが、ピンクならユメジ色、紫なら仮装人物色、灰色ならチラシ色という具合にどれも正解。展示室の雰囲気を壊さぬ色合い、ナイスチョイス。ナイスチョイスのなかからベストチョイスを当日お目にかけますのでおたのしみに。

   
 


なつだぜ
 2014.6.30

 昨日、開館準備中、玄関のロールカーテンを巻き上げているとちいさな虫がとまっているのを発見。かまきりです。思わず「おう なつだぜ!おれはげんきだぜ!」と口ずさんでしまうのは年代、地域ともにどのあたりにまで通じる習慣なのでしょうか(©工藤直子「のはらうた」より)。

 ユメジ式アリ図を体現したようなシルエットですが、
             ちゃんとあついカマお持ちです→

 そんな懐かしいひととおりの儀式を済ませたあとはお互いに一瞬見合って「……」。りゅうじさんに逃げる気配はなくこのままでは一緒になって巻き上げ最終的に巻き込んでしまうのにな…とあまりちかよるなオーラをだしている彼をしかたなく紙に乗せ退避させようとするもうまくいかず、しばらく攻防しているとプイッと急に手の甲に乗ってくるものだから「ギャッ!!!あああ~……」といいながらとりいそぎ表のヤブコウジのうえに放ちました。こちらが近寄るのはダメでも向こうからなら良いらしいです。でもりゅうじさん、そこは暗黙の了解で紙一重の距離を保ってほしかったための叫び声です。
 そんな夏全開、おうあついぜ!おれはがんばるぜ!気分で本日より展示替え開始です。だって今日から7月ですからね!と今朝、日めくりカレンダーを一枚めくりましたらまだ6月だったですね!どーんと堂々たる30なる文字が目に入り、その後ろに何やら夏突入を宣言するかのようなひまわりの絵柄が透けて見えています。
 心機一転、展示替え!という気持ちからすると何やら肩すかしの感もありますが、今日の日は悩める展撤去の日。撤去を終えるまでがモヤモヤ期間なのでありました。
 明日よりいよいよユメジ展設営!いざ7月とともに! 
  
 



「読書を楽しむための講座」
 2014.6.29

 昨日、石川県立図書館さん(18日述「『黴』ありがとうございました」事件の)による標題第2回講座が当館にて行われました。
←何かを見せておられる上田館長を講師に「子と母への思い―『犠牲者』と『感傷的の事』を中心に」というテーマでの講演です。

 秋聲が長女・瑞子さんをたった12歳で疫痢にて失った哀しみを描いたのが「犠牲者」、母・タケさんとその生前最後に会ったときの思い出を描いたのが「感傷的の事」。親子の縁など誰がどうしたって〝感傷的〟になるに決まっているのに、それすらも恥じたのか〝感傷的の事〟と敢えて名付けてしまう秋聲の心の働きにいつも驚かされます(悩める展で展示中の、動物に心が動かないエピソードを「無感動」と命名するテンションと同じです)。そういう態度を、ときに冷淡だと責められもしますが、これに関しては身近なひとを亡くした悲しみの尺度を誰がどうしてはかれましょうか。

 展示解説も込みで2時間とうかがっていたので、じゃ1時間くらいお話しするね~、と当初仰っていた館長が、しかしそんなことをお話しするにつれだんだんとヒートアップし「何時までだって!?」「解説込みで3時半です」「じゃまだ大丈夫だね!」と鏡花、藤村、漱石、藤岡作太郎、西田幾多郎をまで巻き込んで、結果しっかり1時間50分…たいへんな熱弁でございました。おかげさまで『黴』たくさんご購入いただきました(「感傷的の事」とあわせて秋聲母子の関係を語るうえでも必携です!)
 石川県立図書館さんありがとうございました。買うほどではな…という方、県図書館さんで是非お借りくださいませ。最近話題の「誰も借りてくれない本」に選出されませんように…!





秋田資料借用の旅
  2014.6.28

 次回ユメジ展のため、秋田を旅して参りました!といいつつ、現地に夜着き翌朝11時には「じゃ、そういうことで!」とすみやかに立ち去るというこのもったいなさ…帰り道の駅で休憩中、知らないおじさまから「秋田どうだい?」と話しかけられ「……意外と暑いですね!」としか答えられない会話の盛り上がらなさ…

 そうそう、これは衝撃でした。行きの特急いなほの座席にあったチケットホルダー(まん中の黄色いの)→
 これでチケットなくさない!切符拝見のときあたふたしない!気が利く~…!(これぐらいしかレポートすることがなく恐縮です!!)

 しかし心のなかは充実感でいっぱいなのです。夢二氏も訪れた山田順子さんの故郷にて、夢二筆・順子筆書簡など秋田県外では初公開となる貴重な資料をお借りするのが今回の旅の目的。おみやげにずんだのお菓子を買って帰ってそれ秋田じゃないですよね?とつっこみを入れられても平気です。「東北限定」って書いてあるし、何よりこっちには貴重資料があるのです。

←こちらも往路にて、秋田の車窓から。もしかしたらまだ新潟の車窓から、かもしれません。平気です、日本海はつながっているのです。
 早いもので本日悩める展最終日。明日30日より展示替え休館をいただきましていよいよ来月4日、ほんとうのおみやげの公開です。





秋聲の聴いた音楽vol.2
 2014.6.25

 さて、秋聲がレコードを聴かせてもらったその日からはや4日たち、100年前の本日6月25日は親子ゲンカの日。おそらくはその際のケンカの当事者・ご長男の一穂氏(当時11歳)にせがまれ秋聲は大正10年頃に蓄音器を購入していたりなどしており(一穂氏18歳)、秋聲と音楽を語るうえでこのご長男の存在は欠かせません。

 と、そんなご紹介もまじえつつ、去る21日、秋聲の聴いた音楽vol.2を開催いたしました!待ち時間に秋聲の好きだったレモン茶もふるまい(こちらは市販のレモンティー)、100年前に秋聲が聴いたレコードを金沢蓄音器館の八日市屋館長さんの解説で鑑賞しました。
←憎むべきは逆光…!

 いまは展示ケースのなかにふたたびおさまってしまいましたが、秋聲がとても好んだという女義太夫師・豊竹呂昇のなんと張りのある美しい声!これは実際にケースから出して鳴らしてみなくてはわかりません。秋聲もその魅力を言葉を尽くしてあれやこれやと説明してくれてはおりますが、なるほど「この声」を仰っておいでか!…とはじめて体のなかにすとんと入りました。
 あわせて当時跋扈したという海賊版も聴かせていただいたりなどいたしまして、本物との響きのちがいに客席からは思わず唸りにも似た声があがります。それから松井須磨子の震えるようなか細い高音、情感・色気たっぷりの山田五十鈴の「カチューシャの唄」などをじっくりと堪能し、おそらくみなさま、カチュゥ~シャか~わい~や、わかれ~のつ~らぁさ~♪(高音)とおのおの口ずさみながら大満足でお家へと帰られたのではないでしょうか。超ご多忙のなか自転車で駆けつけてくださった八日市屋館長さんありがとうございます!お客さま、八日市屋館長さんをも捲き込んだ100年前の秋聲ごっこ、大成功です!





お上り神事
  2014.6.24

 こうりょう!わっしょい!こうりょう!わっしょい…!
 なんと知らぬ間に湯涌のほうでも校了祭が催されていたもよう…おめでとうございます。ありがとうございます。おそらく早ければ今日当館に到着する興奮したアリの群、やがて湯涌の山へも闖入するかと存じます。彼らは「校了」という名のおさとうか何かを取り合ってもちあげて前に後ろに運んでいるのです。それはまるでみなが寄り合い大事な神輿をかついでいるかのよう…こうりょう!わっしょい!お上がりだぞーい…!

 というわけで、21日、宇多須神社さんのお上り神事にちょこねんと交じり込んで参りました。神社のほうで出発の儀式を済ませた御神輿をかつぎ、白装束のひとびとが「お上がりだぞーい!」と高らかに声をあげながらひがし茶屋街のなかを進んでいきます。そしてやがては卯辰山の奥宮へと…。残念ながらひがし茶屋街の広見あたりでフェードアウトし最後までは見届けておりませんが、6月20日付掲載・夢二画アリの上に見切れているやつくらいの距離感にてついてまわらせていただきました。
 
 「お上がりだぞーい!」の掛け声のなかにまじって「こうりょうだぞーい!」などいう浮かれた声が聞こえましたらばそれは当館の仕業です。厳かなる儀式に邪念を交えて申し訳ありません。
 校了祭の興奮が冷めかけた今は今で発送作業に勤しむ職員たちにプレッシャーをかける「のうひんだぞーい!」の掛け声の練習をしています。





6月の女
 2014.6.21

 さて、6月も残すところ10日、それとともに悩める文士の3.5ヶ月にわたるモヤモヤも終了します。3月1日を最後にぱたっと創作の筆が止まったかのように見えるこのころの記録、7月1日付でようやく小説の発表が確認され、ここから徐々にスランプのような時期を脱してゆきます。ここで発表された小説というのが「都の女」という若き日の自分自身を書いたものですが、同日付で、今の季節にぴったりのライトな談話も発見いたしましたので不定期連載にアップしてみました。
 「夏の旅・女・料理の味」と題し、それぞれについて思うところを語っておられます。が、とにかくネガティブ、ネガティブ全開。あれやこれや理論的に夏の旅の魅力を追求しているように見せかけて、は…?夏に旅行…?このくそ暑い時期に…?という気持ちがずっと前面に(そう背面でなく前面に)見えていて(そう見え隠れでなく完全に見えています…!)、訊いたほうもアッなんかすみません、もういいです…と途中で質問をひっこめたくなったであろうほどにぐいぐい後方へと突き進む舌鋒!すばらしいです。
 逆に女性の話になると気が乗ってきたのか事細かに語ります。6月の女がお好みだそうですよ!秋聲先生にアタックするならもう残り10日のうちですよ!

 最後にでました、好きな食べ物=キュウリ。瓜に変換するまでもなく、秋聲先生キュウリお好きでした。イメージ通りです。ありがとうございます。そしてこの時期、秋聲先生と食事にいくならフランス料理ですよ!いろんなものをちょこっとずつ召し上がりたいみたいですよ!スイーツは必須ですよ!

←「アクタス」さんの7月号に好きな食べ物特集載せていただきました!
 




校了 vol.2
 2014.6.20

 なんといい言葉でしょうか、校了。みんな大好き校了。一抹の不安も伴う校了。ほんとに了?うん!もう了…!!とのニュアンスを多分に含んだ校了…

 おや?どこかで聞いたような…?というよりも、ええ、使い回しで恐縮です!でお馴染みの寸々語、5月27日付けで『黴』校了を喜びましてからおよそ3週間を経て、こんどは次回ユメジ展のチラシ・ポスター・パネルがすべて校了となりました喜びをこちらにて吐き出したい所存です。みなさま祭の準備はできましたでしょうか、とりあえずその手にもっているコップや定規や書類をおいて、こうりょう!わっしょい!こうりょう!わっしょい!とともに歌い踊っていただきたい、そんな心持ちの今日の日です。右の絵はアリです。
                   
 さて、それはそれとして、vol.2といえば明日21日には「秋聲が聴いた音楽vol.2」が開催されます。さきほど金沢蓄音器館館長さんが、明日お使いになる蓄音器とレコードの搬入にいらっしゃいました。加えて、いま、まさに、お借りして展示中のレコードをひきあげての鑑賞会。やや乱暴ながら、ちょうど100年前の秋聲気分を味わっていただきたく強引に企画いたしました。

 昨年のvol.1のときにもすこしご紹介いたしましたが、レコードがかかると普段はわりと寡黙な秋聲、急にしゃべりだすタイプ…と、そこまでを再現したい気持ちはやまやまですが、当時の同席者・河盛好蔵氏のように「うるっさい!」と思う方がほとんどでしょうから自重しておきます。





ほっこりはつくれる
 2014.6.19

 いつも問答無用で手紙の投函にくるひとに少しのほっこりを提供してくれる茶屋街のほっこりポスト。現在は梅雨にあわせてかえるくんがふたりお出迎えをしてくれています。
 吹きっさらしにするにはけっこうな素材感、高級感ですが、台座のところに案の定こんな注意書きがありました。

 「このポストの上に居たいから、何処へも連れて行かないで下さい。カエル」

…なんということでしょう、おのれは雨にうたれながらそれでも無償の愛でひとびとにほっこりを提供してくれるほっこりキャストたちを連れ去るひとがいるというのです。これは一大事、窃盗罪・誘拐罪にくわえ、何より重大なるほっこり損壊罪!こうした注意書きがあることで無償のほっこりに翳りが生じてしまうのです。そうさせぬよう、注意書きにすらほっこり要素を入れまあるくまあるくしてくれている設置者の方のご心痛たるや…ほっこりは手放しであってこそほっこり…留保のある、ましてやひとりじめのほっこりなど…!
 先日来館されたおじさまもこのポストをたのしみにするほっこり仲間にして「見た?いまカッパだったね!」「そうそう梅雨だけにね!」と受付でちょっと盛り上がってお見送りしたのち受付さんに「…かえるじゃなかった?」「アッ…」となったりしたその空間もまたほっこりでした。ほっこりはそれを愛するひとびとみなの共通理解のもと生み出されるもの。秋聲の描くとりとめのなさも、すなわちそれをかたちづくる人間同士の関係性そのものを示唆するからこそ価値があるのです。
 




あらくれる黴
  2014.6.18

 おやおや、某K記念館さんに黴を大量に内包(500部刷りました!)する当館があらくれるとどうなることやら思い知らせてさしあげねばなりませんね。ましてや今は梅雨…タイムハズカム…われらが立ち上がれば東山橋場町尾張町下新町までをかるく捲き込むパンデミック勃発なりフハ、フハハ…!
 壮語にしてその実たいへんローカルに展開しております秋聲記念館でございます。ローカルながら、先日いつもお世話になっております県の図書館さんからご丁寧にも頂戴した『黴』納本に対するお礼状にすこし笑ってしまったりなどささやかな幸せを噛みしめておる秋聲記念館でございます。

 『黴』ありがとうございました。

 ひとさまに黴をさしあげてお礼を言われることなどあるでしょうか、否、否。「黴、つくったんですよ!」「黴、お送りしますね!」「黴、どうでした?」どうでした?じゃありません。己の発言をいま一度よく噛みしめてみるべきです。黴にどうもこうもありますものか…「えっちょっ…やめてよ!」その一言に尽きます。と思えばK記念館さんの反応のまっとうなこと…。
 黴とお礼のミスマッチングにちょっとしたダダイズムを感じているおり、先日いただいたとある方のお名刺には黴の胞子の顕微鏡写真が刷り込まれていたりなどして、アッはじめましてのご挨拶と黴っていうのもずいぶんなミスマッチですね!と世の中のまこと多岐なること、通常の価値観なるものを存分に揺さぶられております今日この頃です。黴の胞子、おもいのほかうつくしいのです。





あらくれ会 第1回集会
 2014.6.15

 先月の連続講座は「黴」決起集会でした。今回は連続講座としては第2回目ながら、平成の「あらくれ会」第1回目となりました。立教大学特任教授の林淑美先生による『あらくれ』を読む会、さすがに代表作とあってたくさんの参加者の方においでいただきました。
 まずは林先生ご作成によるお島さん年譜がたすかります。急に一年前に飛んだり戻ってきたり昨日の話をしたり戻って来たり時間軸が自由な秋聲作品、しばしば時空迷子になるところですが、こちらの年譜によりお島さんのたどった数年間の道のりがすっきり整理されました。そしてその行ったり来たりする時間の描き方がときにいい加減…つじつまがあわない…など評されたりもする見方に対し真っ向から反論、「驚くほど正確」と本文にそって証明してみせてくださる語り口の鮮やかなこと!毎日ぶつ切れに進行していく新聞連載で、ここまで整合性をとることは驚くべきことと再評価されました。

 またあるキーワードを拾っていくことによって、秋聲がヒロインお島さんの自立心を意図的に強調してみせていることなど一度読んだことがある『あらくれ』を再度読み返したくなった今回の講座。連続講座とは別途活動をはじめた「あらくれ会」、あらくれ会員(※)のみなさま果ては機関誌「あらくれ」を発行するところまで漕ぎ着けたいと当館目論んでおります。

 林先生、ご参加のみなさまありがとうございました。次回いよいよ最終回、ユメジ展に変わったところで7月19日(土)『仮装人物』の登場です!

 ※この記事中の「あらくれ会」とは架空の団体です。ご参加のみなさまを勝手に、
  そして陰ながら「会員」というニックネームで呼ばせていただきほっこりする
  というだけの罪のないあそびです。何卒ご理解のうえご了承ください。

 


チコちゃん
 2014.6.14

 学芸員会議のため金沢湯涌夢二館へ行って参りました!先日よりユメジ展だなんだとしつこく夢二館をロックオンしている当館、会議でまでもまた来ちゃったよ~とお邪魔するこのうざったさ…。なにとぞご寛恕いただけましたら幸いです。
 開催中の特別展 「夢二と笠井彦乃」では、次回当館のユメジ展でパネルにおける画像のみのご紹介に留めている現資料が惜しげもなく展示されており眼福です。当館のユメジ展開幕が7月4日~、彦乃展閉幕が13日まで。ちょうど10日間だけ重なりますのでユメジ展が無事開催され、なんだ画像のみの展示か…とがっかりされた資料に関しましてはぜひ夢二館へお運びください。両館ご観覧いただければほんのささやかながらちょっとだけいいことがあるといいな!と現在ひそかに準備中です。
 さて前回お邪魔したときには、展示室の入口ではつ代ちゃんがお人形あそびに興じておりましたが、今回はもっとちいさな少年が一心に絵入りの本を読んでおりました。 名前は「チコちゃん」というそうです。夢二さんのお子さん・不二彦さんの愛称で、ふじひこ→ふぢひこ→ちこ!ちょっと間すっとばした感もありますが、「夢二日記」にも夢二さんとケンカをして出て行った山田順子さんをチコが見送る…などチコ名でしばしばご登場のあのチコちゃんに由来しています。その姿に誰もが「いたいけなり…!」という気持ちになることは想像に難くないですが、寄り添って座っていいかどうかは念のため職員の方にご確認ください。実際のところ展示室の入口も入口、だいぶん晒し者になりますよ、ということだけお伝えしておきます。
 




紫陽花の窓
 2014.6.12

 先日東京よりお越しくださった名誉館長さん宅(すなわち秋聲旧宅)に出来たてほやほやの『黴』を送りつけましたらさっそくお礼のお電話をくださり、金沢からお帰りになってどうですか~?そちらも蒸し暑いですか~?などと投げかけましたら、でもね、風通しがいいから大丈夫よ、紫陽花がきれいに咲いてね~(書斎の窓を開け放せば秋聲の愛した中庭がスコーンと見え風が通ること通ること!書斎に未だクーラーが設置されていないというミラクル!)と仰るもので、さすがは秋聲先生時代からの日本家屋ですね~館の紫陽花は全然咲いてないみたいですよ~、そうなの?ウチの秋聲は天の邪鬼だから~、またまた~、などウフウフ談笑して電話を切りましてから事務室に向けて「ほんとにウチの紫陽花はどうしちゃったんですかねぇ?」と発しましたらぽかんとされました。
 いやいやだってさっき「紫陽花ってありましたよねぇ?」って会話してましたよね?と問えば「アッちがうちがう造花の話!」ということで書斎に毎月活け替えている造花の話を勝手にお庭の生花の話と思い込み、名誉館長に嘘の情報をお伝えしてしまったのでした。あーあ、嘘ついちゃった…と遅まきながらとぼとぼとお庭の紫陽花を実際に確認しにゆきましたらなんと咲いておらぬではありませんか…ひとっつも…。

 どうしたことでしょう、結果嘘にならなかったことは幸いですが、嘘をついてしまったというこちらの胸の痛みよりお庭の紫陽花が咲いていないということのほうが実際問題として重大です。そして、何故急に紫陽花の話をしはじめたかといえば犀星記念館さんの見事な紫陽花を見てハッと思い出したからで、世の紫陽花は咲いていることを鑑みた結果、名誉館長、天の邪鬼な秋聲先生はいま当館にいらっしゃるようです。
  

 


6月14日
 2014.6.11

 つめこみすぎといえば、21日を語るより先に今週土曜14日のことをお詫びしなければならないのでした。先月より始まりました連続講座、早いもので14日には第2回が行われます。と、その日程がかたまる前に悩める展のチラシ印刷をゴーしてしまったがために、出来上がってみれば14日…展示解説がはいっとるやないかーい!という事態とあいなりました。 
 基本展示解説は第1土曜の11時/14時~と決めており、けれども今月は百万石まつりにあわせて金沢和傘制作実演会をいれたいから一週ずらしましょうね…としていたところに連続講座がどーん!といいながら、もう一週ずらして21日に…とすると前述のとおりの大渋滞でそもそも無理、最後の砦28日なら…?いやいやいや県立図書館さんの講座が入っておりまする…じゃあもう7月ですね!!というやけっぱちなお話になってしまいますので、最終的に14日11時~のみの開催とさせていただくこととなりました。さすがは黴の季節…当館がいちばん潤い元気いっぱいに飛び跳ねる時期…四方八方とりかこまれどこにも逃げ場がございません。
 当日万一チラシをご覧になって14時の回においでいただいた方には心よりお詫び申し上げます。よければむしろ連続講座をご聴講いただけましたら幸いです。展示解説は毎月あまり変わり映えいたしませんが、それを押しのけてやってきた連続講座第2回「あらくれ」はきっとあらくれにあらくれてくれるはず。テキストは当館ショップでも販売しております講談社文芸文庫さんの『あらくれ』
事前に是非ご一読ください。

 蓄音器館さんで打ち合わせをして参りました→
 蒸し暑いこの頃のニッパーははだかんぼう!


6月21日
 2014.6.10

 本日より11日後のそれは夏至。冷蔵庫の日。整髪には吉だけれどもお葬儀には大凶の日。輪読会の日。レコード鑑賞会の日。お上り神事の日。
 さて、もりだくさんになって参りました6月21日。一年でいちばん日が長いからといって詰め込みすぎた感満載…。そもそも当館のイベントといたしましては、毎回偶数月の第3土曜に開催している輪読会をまずルーティーンとして定め、その後アレッ100年前のちょうどこの日に秋聲先生レコードを聴いていらっしゃる?と気づいてしまったがために輪読会の後に鑑賞会を入れ(とにかく「100年前の今日」ということにこだわりぬき、皆の衆これぞ今回の悩める展のコンセプトの象徴ではないか!秋聲先生ただいまそのお膝元へと参ります!よーし針を落とせ!今こそ時空を超えるのだ…!!と盛り上がってしまった結果です。輪読会の延期?ハイ、ちらとも思い浮かびませんでした!)、15時半に輪読会が終わって16時から鑑賞会だなんてちょっと無茶だったかな?お客さまも参加しづらいかな?どうかな?と思っていたところに、先日の夜間開館の日にご来館くださったお客さまから21日は19時頃から宇多須神社でお上り神事があるよ、と教えていただき、まさかの夜までスケジュール埋まるの巻。夏至をエンジョイしすぎな展開に。
 ちなみにお上り神事とは、ひがし茶屋街にある宇多須神社から、白装束のひとびとによって担がれた御神輿で毘沙門さんが卯辰山中腹の奥宮にお上がりになる行事。秋には反対にお下り神事が行われます。21日は昼からずっと東山だよ~東山にいるよ~と今のうちからご家族ご友人にご周知ください。
 
 
 


金沢和傘制作実演会
 2014.6.7

 6月6日に雨ザーザー、降ってきて~♪というお歌がありましたが、平成26年の6月6日は大丈夫でした!さすがは東京から名誉館長ご来館の日、ぐんと雲を追いやるパワーをお持ちでいらっしゃいます。ありがたやありがたや…。てるてる秋聲もサロンに活躍の場を移し、最後までがんばってくれました。

 というわけで、昨日無事に燈ろう流しを見送りまして(そう、館としましては燈ろうが流れてゆくのをただ見送るだけの簡単なお仕事です!)本日は朝から金沢和傘制作実演会をにこやかに見守っております(そう、館としましては職人さんが和傘を一から制作されているさまをただ見守るだけの簡単なお仕事です!)こちら17時まで制作過程を公開中(入館は16時半まで)。 
 百万石行列を見る前、そして見た後など二度三度おいでいただければ進み具合が確認できてなるほどこうして出来てゆくのか…というひとつ感動が得られるかと存じます。そして機械でなくそこはせっかくの職人さんですから、これはどうなっているのですか、と気軽にお声がけください。これはね~と気さくに答えてくれるはずです。

 そう、主催とえらそうに銘打っておきながら館としましてはそうして職人さんとみなさまがたとが対話し和傘のなんたるかが伝わってゆく様子をにこにこと見守る簡単なお仕事…!
 実演会とともに当館の和傘展示は撤収…ですがお二人の作品は石川県伝統産業工芸館さんの「金沢・岐阜ふたりのワガサシスト」展で、7月31日(木)までご堪能いただけます。
 

  


傘とてるてる秋聲
 2014.6.6

 昨日北陸の梅雨入りが発表されたそうです。おそらく多くの金沢市民がこの発表におののいたことでしょう。何故といって本日より8日まで百万石まつりが開催されるため…。よりによってこのタイミングで!?とかかわる多くの方々が衝撃を受けるなか、当館でも本日19時より開催される加賀友禅燈ろう流しに影響があるのかないのか朝から無意味に窓際をうろうろしてみたりしています。
 燈ろうが館の目の前の川を流れてゆくもので、21時まで開館延長のうえ、17時以降入館無料(の予定)。いまのところの空模様は青いも青い、18時から雨なんて嘘でしょう?という晴れっぷりですが、もし本当になったらなんにも流れてこないいつもの浅野川を眺めるだけの夜間開館になってしまうな…とまだ白い雲の流れを見遣る午前中です。そして雨が降りませんように、とてるてる坊主をつくってみた昨日です。

 気持ちお顔を秋聲先生に寄せてみました。秋聲先生は眼鏡をかけていたりいなかったり、おひげがあったりなかったり、和服だったり洋服だったりとイメージが固定していないもので再現に難儀いたします。そしてつるす場所がよりにもよって傘の前…晴れてほしいのだか降ってほしいのだかこちらの心持ちも安定しないパラドクスを含んだてるてる坊主となりました。
 何よりそもそもお顔を描いてはだめなんでしたか…。

 と、傘です。1日より、金沢和傘展示会を開催しております。サロンを飾る色とりどりの和傘、今年は男傘がメインとなっておりそれはそれは勇壮です。こちら燈ろう流しのタイミングで観覧スペース確保のため展示本数が半分になってしまいますので、ぜひお早めにおいでください。そして雨が降っても降らなくても7日は和傘制作実演会です!




『黴』決起集会開催報告
 2014.6.5

 してやったり、の『黴』大作戦がまたもや成功いたしました。発売当日朝、開館前の某K記念館に忍びこみ、開門と同時にまき散らして参りました当館の赤いカビ。いつもは1冊ですが今回は3冊…繁殖力も3倍、これはかの美しい畳がカビでいっぱいになるのも時間の問題です。根絶やしになどさせてなるものか…秋聲先生…ついにわれわれやってやりました…やってやりましたよ…!!!
 というわけで「合い言葉はカビ!エイエイオー!」でお馴染みのよからぬ決起集会、もとい連続講座第1回も無事終了いたしました!当日になんとか間に合ったオリジナル文庫『黴』もあぁ、ハイ今日使いますけど?とのなんともイヤラシイテキスト商法によりおかげさまで多くの方にお買い上げいただきました。ご参加のみなさま、お買い求めくださったみなさま、ありがとうございました。ウサギの護符をビラビラと巻き付け完全防備で潜入してくださった某K記念館さんにも感謝申し上げます。あ、でもそのお札の裏に…カビ、生えてますよ!
                         ↓秘密結社『黴』会員たち…
 さて、『黴』のちから――江種先生の飾らない解説により、まさかの『黴』を相手どってプークスクスとしてしまう場面が多々あったものですが、なかでもいちばん印象に残ったのが「なんのこっちゃ」というフレーズ。ケンカして仲直りしてまたケンカして「出て行け!」と怒鳴ったその口で「家を空けちゃこまるよ!」とも言ってみる、それひとことで言えばなんのこっちゃですよねー、とバッサリいく江種先生の潔さがたいそう心地よく、つねづね大家たる秋聲先生をつかまえて、いやちょっとそれ見逃せませんよお気づきじゃないかもしれませんが真面目なお顔で変なこと言ってらっしゃいますよ、とつっこみを入れてしまう不躾な館の姿勢と読みの姿勢が似通っているのじゃないかしら?と勝手に共感を覚えるお一言でございました。タクシーのなかで当館名誉館長と間違われたという江種先生、それも何かのご縁です。また今後ともよろしくお願い申し上げます。





涼しい家屋
  2014.5.31

 本日の連続講座講師、江種先生が昨日お昼過ぎに館に到着されたため、館長とともに茶屋街あたりの散策にお連れしました。秋聲記念館が茶屋街をめぐる、といえばはずせないのが茶屋街を描く短編小説「挿話」のお絹さん宅。今は個人の方のお住まいとなっており、ご厚意で中を見せていただくことに。5月の週末、二番丁のメイン通りはたくさんの観光客の方で賑わっていましたが、秋聲が滞在したという離れの二階はまるで現実世界と切り離されたかのようにぽっかり静かな空間でした。
 いちおう親戚のお家ながら、ちょっと滞在するのにええ~なんか悪いしやっぱりお宿をさがそうかな~などとぐずぐずしていた秋聲をモデルとする主人公が、しかしなんとなく腰を据えてしまった…と書かれているのも納得、まるで隠れたよいお宿に来たかのように寛ぎ過ぎる記念館一行のさまがはからずしも物語の通りとなりました。
 そのあと宇多須神社から近くの寺院群などをめぐり、5月のくせに30度を超す炎天下のもと、ねぇあの、もう帰りませんかオーラを誰も口には出さずただただ醸しながら歩きつづけ、しかしお絹さんのお家をはじめお堂などに入った瞬間、アッ涼し…!となって外の暑さをわすれ、結果けっこうめぐってしまったあとのアイスコーヒーのおいしいこと!昨日、秋聲先生をちょっとめんどうくさいと思ってしまったことを申し訳なく感じたりなど、若干苦くうしろめたいお味がいたしました。ともかく日本家屋の底力たるや。

←めぐるなかに、あぁこれは獲って喰われるやつですね、という看板を発見。いちおう喰われずに無事帰ってきておりますが、中にはすごいものがありました。
 




すきなたべもの
 2014.5.30

 瓜にはじまり、秋聲先生の好きな食べ物それは西瓜(すいか)、ミルクセーキ、紅茶、茄子の漬け物…ともするとバラバラに見えるこれらの共通点は暑い季節においしいもの、すなわち「涼しい飲食」と題されたエッセイ中に登場するものものです。夏は少し汗ばむほどの思いをして飲み食いをしたほうが涼しい、あの夏の暑い日に散歩から帰ってきて飲んだ紅茶の冷たさは忘れられないね!西瓜は冷蔵庫じゃなくて清冽な水で冷やしたもののがおいしいよね!などと後半共感できるながら若干のめんどくささをともなうこだわりを披露しておられます。
 昨日、秋聲の好きな食べ物に関して雑誌社さんの取材がありました。一般的なものとしては上記の食べ物が挙げられますがどうもパンチが弱い…「茄子の漬け物ですかね!」(シミュレーション中)…わるくはないがいまひとつ弱い…そんなところでやはり登場するのは「鶫の羹」。すでに秋聲の代名詞になっていると申し上げても過言ではないかもしれない郷土料理・治部煮(じぶに)の話題となりました。

 自分でも調理するし、奥さんに食べられてちょっと嫌な気持ちになるし、それで一編小説を書いてしまうくらいの好きっぷり。鶫はすでに禁鳥により鴨で代用されますが「鶫・フグ・鴨など」というエッセイすらございます(随筆集『灰皿』所収)。そのなかでいろいろな好き嫌いが述べられており「秋聲フグは苦手なんですよね」「見た目がえぐいからってね(笑)」と大家の好き嫌いについて談笑するちょっとほっこりとしたお時間となりました。

 掲載が決まりましたらまたお知らせいたします。ちなみに茄子の漬け物があればたいそうごはんが進むそうです。
 




拝啓 K記念館さま
 2014.5.29

 目を射る日差しのもとじめじめと肌にまとわりつく空気に梅雨の兆しを感じる今日この頃、いかがお過ごしでしょうか?貴館では最近カッパがブームだそうですね、川風に乗ってそんな便りがありました(そう、逆風です)。カッパといえば紅葉先生描くわれらが秋聲肖像の通称、のっぺりとした頭髪にカッパを見た2年前の企画展を思い出します。緑一色で誂えたチラシ「泉鏡花といふ男」がちょうど秋聲カッパとマッチしたものです。
 そしてキュウリ、キュウリといえば木瓜、瓜といえば秋聲。秋聲先生、瓜は好物でいらっしゃいます。そろそろ海が恋しい季節、少年時代金石の海へ向かう途中、井戸だか湧き水だかにぷかぷか浮いている瓜をとって皮を剥いて食べた、など回想したりしています。いいえ、おすそわけを期待するのではありません。ふと思い出しただけのちょっとした世間話です。
 そういえば最近ではめっきり当館の名前を呼んでくださらないK記念館さん。トリプルカッパーとしてあそこに混じりたい、と切に願っておりますところ、寂しい限りです。しかし間もなく、間もなくです。〝よからぬ本〟、間もなくお届けにあがります。そう、本格的な梅雨到来のそのまえに…。燈ろうにのせて、今度こそ順風にのせて、東山から下新町へと流します。ほおっておくと中の橋で回収されてしまいますのでしっかりつかまえてくださいね。 

 どうか楽しみになさっていてください。どんなに注意深く観察しても、知らぬ間に繁殖しているのが〝よからぬモノ〟の〝よからぬ〟由縁。ほおっておいて中の橋で回収されてしまっても、またいつの間にやら貴館の畳に…。フフ、フフフ。


 
 

校了
  2014.5.27

 なんといい言葉でしょうか、校了。みんな大好き校了。一抹の不安も伴う校了。ほんとに了?うん!もう了…!!とのニュアンスを多分に含んだ校了。

 おかげさまで『黴』校了いたしまして、ただいま鋭意印刷中でございます。5月31日(土)9時半、開館と同時に発売。赤に青緑の帯、そんなちょっとえげつない色合わせの表紙が目印です。ひともじ漢字くろぐろシリーズの『爛』とややこしいところですが『爛』はピンク、『黴』は赤い表紙、と覚えてご来館ください。

 とかなんとか浮かれている間に、『爛』残り5冊でーす!とポップでキッチュな報告が入りました。な、なんだって…!?『黴』にかまけている間に『爛』が品切れに…!?一難去ってまた一難とはまさにこのこと。しかし思い起こせば一心不乱に『黴』を校正しているあいだに「ただれ×××ですよ…」となにやら遠く微かに聞こえていた気がいたします。きちんと伝えてくれていたのに、耳に黴が詰まっていて心まで届きませんでした。申し訳のないこと……。
 というわけで『爛』残り5冊です!そう、改めて大きな声で申し上げただけで、事態としては一向変わっておりません。慌てて連続講座のテーマに『爛』が入っていたか確認したことは内緒です(次回以降『あらくれ』『仮装人物』でした、危ない危ない…)。





テレ金ちゃん!
   2014.5.23

 百万石まつりムードが高まって参りました。館の玄関にも大きなちょうちんが据え付けられ、お客さまをお出迎えしております。
 当館のまつりへのかかわりといえば、6月6日(金)毎年恒例、浅野川で行われる加賀友禅燈ろう流し(主催:加賀友禅燈ろう流し実行委員会)にあわせて夜間開館いたします!また、こちらは市内全館を巻き込んだナイトミュージアム事業の一環となりまして、17時~21時(入館は20時半まで)入館料も無料となります。当館のみならず、当日は鏡花記念館さん、安江金箔工芸館さんも開館延長、鏡花さんでは17時半~イベントも行われますので燈ろうが流れ始める前に幽玄のきもちを高めるのに最適です。
 本日はそんな夜間開館のうえどんなサロンから燈ろうが眺められるのやら?とテレビ金沢さんが取材にきてくださいました!ありがとうございます!
 いちおう「ここです~」と自慢の同会場をご紹介させていただきましたが、その実、昼のサロンと夜のサロンではまったくの別物に変じます。また、6月1日より、昨年ご好評をいただいた金沢和傘の展示会も行っておりますので、また新鮮な雰囲気となってお楽しみいただけるかと存じます。
 テレ金ちゃんの放送日程は下記のとおり。お時間あえばご視聴よろしくおねがいいたします。

 5月26日(月)15:53~19:00 
 「暮らしニュース」コーナー内 10分程度




祝・三文豪コーナー新設
  2014.5.22

 金沢ふるさと偉人館さんに金沢の三文豪コーナーが新設されたとうかがってやって参りました!おお、他館でみるとますますもって男前です秋聲先生…!
 ちょっと写真がアレで申し訳ありませんが、顎にそえた左手には熊モチーフのパイプをお持ちになっており、そのパイプそのものが当館に収蔵、展示されております。現在再現書斎前展示ケースにございますので、ぜひあわせてご覧ください。
 偉人館さんケース内に展示されているあの赤いのは『黴』、茶色いのは『あらくれ』です。やはり比較しておもしろいのが三文豪、人柄や作品世界だけでなく、本の装丁からして三人三様でそれぞれのカラーがよく出ています。秋聲をひとことで言うととにかくシンプル。『黴』など黴らしからず真っ赤なのに、『あらくれ』など野イチゴ模様でかわいいのに、やはり秋聲カラーが強く真っ赤な野イチゴにさえ蔽い被さって結局シンプル。に見えてしまうシュウセイズム。隣り合った三人展示をご覧のうえ、もっと深く知りたくなってしまった方はぜひ三文豪各館へお運びいただけましたら幸いです。
 偉人館さんでは現在、「近代水産業のパイオニア 関沢明清」展を開催中。まるで削る前のカツオブシのようなマッコウクジラの歯(全長18cm)が展示されておりました!クジラって歯があるんですね!タテにしょわしょわ、あのシャワーみたいになっているのだけかと思っておりました。下顎にだけ生えているそうです。噛み合わせはいかに…?
 24日(土)には、13時半~15時、吉道悦子氏(金沢工業大学教授)による記念講演会「関沢明清 若き加賀藩士、夜明けの海へ」も開催されるそうですのでこちらもぜひ。


 
 

蟹のかまぼこの話
  2014.5.21

 「今日あしこへ行きましょうね。蟹がたべたいの。」
 「そう!」
 「それに貴方に是非話さなきゃならないこともあるのよ。」
 「そう!心配なこと?」          (徳田秋聲「蟹」より)

 そう、心配なことです。残り10日となりました連続講座へ向けて『黴』まだまだ校正中です。えっまだ印刷にかかってないの!?と思われた方、はい、まだ印刷にかかっていないのです。残り四つ…修正点残り四つで終了です。それさえ直れば早速印刷にかかれるのです。しかしほんとうは四つで済まないのです。きっと完成!納品!やったね!となって開いたその瞬間、五つ目をみつけてしまうのです。しかし31日に遅れる訳には参りません。ほんとうなら遅くともせめて一週間前には発売し、それを読んでいただいたうえで講座にご参加いただくのがベストだったはずが、なんと当日の発売(それもちょっと危うい)…たいへんたいへん申し訳ありませんが、講座にはお手持ちの文庫、全集・選集のたぐい、図書館さんなどに赴かれて是非物語をご一読のうえご参加ください。未読の場合とお話の理解度がおそらく天と地…こちらの不手際を棚に上げておいてのお願いです。何卒、何卒ご理解のほど…!!

 さて、何故冒頭に蟹の話をもってきたかといえば、先日いつもお世話になっている朗読小屋 浅野川倶楽部さんから今度秋聲先生の短編「蟹」を読もうかと思っているのよ!とご報告を受けたことが記憶に新しいところに、こちら…→
 『黴』校正に使っている付箋のこの感じが蟹のかまぼこに見えだすという末期症状にみまわれているからです。お腹がすいているのでしょうか。カビからのカニ。なんだかとてもおいしそう。
 

 


ゼラニウムが不死身な話
 2014.5.19

 3月にはシャー営業部長の体毛と同じ茶色にひなびていたヤブコウジがなんだか復活しています。初夏らしく若々しい緑に…さすが秋聲先生のデビュー作、館の初心、時に下火になることがあってもふたたび息を吹きかえさんとする不屈の精神が宿っているもよう。冬にはまた赤いきれいな実をたくさんつけてクリスマスらしい装いに一役かってくれるのでしょう。

 そんな不屈のヤブコウジのいっぽう、悩める展の開幕すなわち3月21日にお花盛りで当館へやってきたゼラニウムがまったくもって衰えません。毎日毎日かわらず紅白ともにお元気なこと!たまに一房茶色くなってきたな…と思っているとまたすぐに新たな房が開花し入れ替わり立ち替わり永遠に生きつづける…えっ、ゼラニウムって不死身なんです…?
←今は剪定して(これでも)はげぼうず気味… 
 100年前に秋聲がお庭で栽培し、その鉢がカラカラになっていることを発見し手ずからお水をやったりされているというゆかりのゼラニウム…どうやら暑さと湿気には弱いそうで、今はまだ元気ですがこの夏が勝負なのかもしれません。

 企画展の終了が6月29日(日)ですからぎりぎり保ってくれるでしょうか。そしてその時点でいったんお役御免になっても、ヤブコウジ同様またすぐに復活するという強いお花だそうですから秋聲の愛したお花、当館のトレードマークとしていつまでも頑張ってほしいところです。 





クリアポケットファイルが便利な話
 2014.5.18

 基本いろいろな項目に分けて使用されるクリアファイル。連続講座一件、和傘実演会一件、レコード鑑賞会一件、企画展一件…単発のイベントなどは書類量もクリアファイル程度でまかなえますが、企画展一件ともなると開催日が近づいてくるにつれ、それはもう書類キャパ20枚程度のクリアファイルさんには荷が重いよ!!というくらいにパンパンになってきて、持ち運ぶのはもう不可能、なかからお目当ての書類を探すのも一苦労、という作業効率のたいへん悪いわけのわからない状態になってきて、これはなんとかならないものか…アックリアポケットファイルさんがあるじゃないか!!とこれを機にお引っ越しをしました。

 ひとつのファイルに無数につらなったその名のとおり透明なクリアポケットに個別に書類を入れることが可能!探すのもラクチン!取り出しもカンタン!なんと素晴らしいお道具でしょうかクリアポケットファイル、ビバ、文明の利器!


 だいぶん前後不覚になってきておりますが、クリアポケットファイルは過去にも当然のように使用しており、たまに見返してはああ展示によって薄いときとずいぶん厚いときがあるな…最厚は「横山家と秋聲」だな…と思ったりなんかしております。



 企画展の開催を主な役割とするわれら文学館、をも含む博物館、本日5月18日は国際博物館の日ということで、先着20名様にオリジナル文庫をプレゼントさせていただきました。


 


「わななき」連載終了
 2014.5.17

 さきほど不定期連載に「わななき」最終回をアップいたしました。全8回とたいそう長きにわたり、しかも間何日も休載をはさみ、読者のかたがたにはたいへんご迷惑をおかけいたしました。最初から不定期であることを居丈高に表明し、ハードルを下げての身勝手なコーナーですので休載もなにもあったものではありませんが、連載もののときには少なくとも週に1回ペースで…という特に表明されてもいない門外不出、館内だけに流通する館なりの心持ちをこっそりしかし大きく裏切ったかたちになりましたもので、4月12日から更新が滞っていたこと、それすなわち実質4週間分の休載といっても過言ではありません。次回企画展に備えてこの後しばらく新連載は控えるかもしれませんが、ふと思いたった瞬間に読み切りくらいはアップしていきたい…そんなぐにゃぐにゃした心持ちだけお天気のよい5月中旬の昼下がり、館内に浮かんでは消えしていることだけお伝えしておきます。今後ともよろしくお願いいたします。

 シャー営業部長も平身低頭の上ごめんと睨みを…→

 さて、「わななき」最終回。いろいろあって、というより案外あっさりと離縁されてしまった田鶴子、これまでの彼女のがんばり、忍耐、些細な反撃、それらすべてがまるでなかったことにされたようなあっけなさです。しかしながら汽車の窓から寂しい笑顔を覗かせていた田鶴子を忘れられないと言い、田鶴子の再縁、そして我が子の行く先が決まったという知らせに何かしらのショックを受けている安井の心持ちほど複雑なものはなく、この期に及んで何を「頼みの細綱」だと思っていたのか、それなら君はいったいどうしたかったんだい、という言葉を投げかけたくなる最終話…途切れ途切れにお届けしてきましたが、是非再度通読してみていただければ幸いです。





第49期 金沢市高砂大学校大学院
 2014.5.16

 昨日、標題の講座にて、秋聲文学の魅力についてお話しさせていただきました!しばしば書きっぱなしと称されるように起承転結に欠ける秋聲作品がなぜそうなのか、しかしプロの作家連に神技、名人とも賞される秋聲匠の技巧についてどのへんがそうなのか、もしかするとたいそう偏った見方になっているかもしれませんが、1時間半みっちりと語らせていただいた次第です。

 開講前に、指導員の先生より休憩と質問の時間を設けてくださいね~とご連絡いただき、10時から話し始めて11時になってはっと気づいて「では休憩を…」とおずおず申し述べれば指導員の先生より「…そうですね…残り30分しかありませんので、ここは休憩7分で…!!」と絶妙な時間設定でご対応いただき、ふたたび話し始めてぐんぐん時間が迫っているのにはっと気づいて「で、ではこのへんで!(あと2分残しました!残しましたよ!!)」とドヤ顔で振り返りましたら「…そうですね…あんまり時間もありませんので質疑応答はぜひ秋聲記念館まで…!!」とこれぞ臨機応変、お帰りの都合もあろう、次のご予定もあろう、となんとしても時間を超過させまいとする見事なご対応をいただきました。本当に申し訳ありません。

 こちらの不手際をカバーするのみならず、あれは記念館にひとりでも多くの方に足を運んでもらえたらいいですね!という指導員さんの優しさにほかなりません。
 高砂大学校のみなさま、受講生のみなさま、今年もお世話になりました。





君の言うことは、まるで菎蒻(こんにゃく)
  2014.5.13

 本日はやけにモダンなタイトルにて失礼いたします。現代のシュールさも漂わせつつ、その実大正9年、まぎれもなく秋聲先生の作物のなかより引用させていただいております。竹久夢二装丁・徳田秋聲作長篇小説『路傍の花』より。
 発信者はヒロイン①がしぶしぶ嫁いだ先の資産家の男で、いやなやつなのかな?という空気もさせつつ実はさばさばしたわりといいやつ・板倉文吉。受信者は、ヒロイン②が恋い焦がれる煮え切らない若い男、ああだこうだ理由をつけて君といっしょにはなれないんだ…!と逃げてゆく見栄えはきれいな梅島です。すったもんだございまして、ヒロイン②が窮地におちいり、あれやこれやの絡みから梅島が板倉に金銭的な助けを求めるのですが、その求め方が非常にまわりくどく、板倉の口から飛び出したのが上記のセリフです。まさにその瞬間、読者とてともに膝を打つ、よう言ってくれた感。

 秋聲はこの頃、大衆向けにがつがつ作品を書いており、その筋はとてもドラマチックで、まさかこことここがこうして繋がる!?いやだ、うそ、もうやめてちょうだい、運命のいたずら…!!!とハンカチを噛みしめてしまう展開がやまほど襲い来て、いやむしろ秋聲先生に面白期が到来です。かたやまだ手放せていない「黴」などに比べ派手も派手、そのかわりにご都合主義満載で陳腐といえば陳腐、しかし登場人物たちの言っていることは非常に現実に即し的を射ているそんな大正中期作品。これはこれでおすすめです。
 



一部展示替え
  2014.5.11

 悩める展も折り返しです。昨日自筆資料の一部入れ替えを行いました。
 小宮豊隆氏の読売新聞入社に関する一悶着が描かれた長いお手紙、そして長谷川天溪氏からの明日の会合には行かれないよ~、とのお断りのおハガキがひきあげられまして、現在は秋田

(←ここのケースです。)

雨雀、そして田山花袋両氏からのおハガキに。

 内容もさることながら、その筆跡や使っている筆記用具など(花袋氏につきましては水色の色鉛筆とお見受けします)文士の性格や当時の状況があらわれていてこれぞ自筆資料の魅力!と誰よりもはやくまじまじと鑑賞させていただきました。
 それから、ちょうど100年前の6月下旬の暮らしぶりを書き留めた秋聲先生のエッセイ「文士の生活」も、前半部から後半部に展示替え。ここもここも面白いのになぁ~と悩みながら、複数枚を狭い展示ケースのなかで最大限に並べております。一部重なっている部分もあったりで恐縮ですが、くそまじめな語調で描き出されるいい大人のダラダラ、あるいはお子さんとのケンカ、に端を発する人生のもやもや、ぜひ100年前の文士の筆跡そのままにご鑑賞ください。
 これらは会期終了の6月29日(日)まで入れ替えなくご覧いただけます。そうして折り返しです~、とポップにお伝えしながら現在の企画展が折り返してくるということは、そろそろ次回企画展がウォーミングアップに立ち上がらなければならぬ頃合い。いえ、今頃立ち上がっているようでは監督に「おいお前やる気をだしなさい」と怒られてもやむを得ないペース配分。
 




第1回 学芸員会議
  2014.5.10

 昨日今年度初の学芸員会議が開催されました。会場は犀星記念館さん、会議時間よりちょいと早めにうかがって、館内をうろちょろしながらリニューアルのビフォアアフターを改めて確認させていただきました。犀星記念館さんのイメージカラーは青…なので壁面も青…当館のイメージカラーは柿色…なので壁面を柿色にしてみたら…?落ち着かない落ち着かない、目がちらちらして仕方がありません。お茶屋さんなんかに赤い壁のお部屋もあったりしますが、展示室ではさすがにインパクトが強すぎるでしょうか。展示品が喰われて負けてしまいそうです。

 いいなぁここいいなぁとあちこち覗いてまわり、会議に臨みました。タペストリーは黄色…タペストリーくらいなら柿色でも…?
 会議では主に今年度の学芸員実習について話し合いました。応募してくれた学生さんの専攻などによりカリキュラムを決めてゆきます。今年は当館の出番はあまりなさそうな雰囲気ですが、共通点相違点を比較するための複数館実習ですからちらと見に来ていただければ幸いです。
 柿色の壁はいかがなものか、かえって学生さんの若いセンスに問いかけたいところです。





おしばな
 2014.5.6

 次回企画展のため入手した昭和14年4月発行の雑誌に押し花がはさんでありました。それも秋聲先生のページにです。おっと気が合いますね!と誰とも知れぬ前の持ち主のかたと急速に距離が縮まった瞬間でした。
 以前にもこちらで雑誌に押し花の話題を提供させていただいた記憶がございますが(確認してみれば2年前の8月…季節が流れる…城塞が見える…)そのときのお花は水分をぜんぶ紙にもっていかれ、紙が茶色くシミになって汚れていて愕然としたのでした。それも秋聲先生のページ…。
 今回のはどうも桜のように見受けられ、ドキドキしながらそっとつまみましたらなんと紙のほうは無傷でした。桜は水分が少ないのかある程度干してから挟んだのか?なんにせよほっとした次第です。 
 あるいはこれが昭和14年のお花ならば、「発行当時の持ち主がはさんだ押し花」として一緒に展示するのもアリかな…と思いつつ、この干され具合から素人が時代鑑定できるはずもなく、意外と3年前の押し花だったらあんまり画にならないな…と展示は諦めました。
 
 秋聲蔵書のなかから未だ押し花が見つかったことはありません。もし、いつかぴらりと出て来たら、「秋聲がはさんだ押し花」として一緒に展示されることでしょう(あれっご長男の一穂さんかな?ご令孫の章子さんかな…?)。


 


鯉流し
  2014.5.5

 ながれましたながれました。お天気にめぐまれた3日、浅野川に鯉のぼりが流されました。お昼にもなると気温もあがり、半袖でよいくらいの陽気のもと気持ちよさげに泳いでいます。ゴールデンウィークも中盤、みなさまいかがお過ごしでしょうか。館は今日もいぶし銀にシックに開館しております。

 さて本日はこどもの日。秋聲先生と7人のこどものうち、4人は男の子ですからきっと徳田家でも鯉のぼりやらかぶとやら柏餅やらでお祝いしたのではないかと想像されます。が、昨夏の企画展でもご紹介したとおり「こども」に絡むものはとかく苦手な秋聲ですので(もちろんお子さんには深い愛情を注いでおられます!)わかりやすい形でのこどもの日らしい企画はやりにくいのが秋聲記念館…と思っていたら今年も大活躍の日めくりカレンダーの「主な行事」の欄、大きく朱書きの「こどもの日」の下の下の下のほうにこっそり「薬の日」とも書いてありました。
 薬!秋聲先生は薬好き!これならば何かできそうです。
 人間おそらく大別して薬・病院好きのほう、その類は大嫌いのほう、の2種類にわけられ、秋聲はすこしでもどこか悪いと思うとすぐにかかりつけ医をおとない薬を処方してもらって満足する前者のタイプ。現在編集中の「黴」にもそんな描写があるほか、悩める展でも遺品の薬箱を展示しています。

 というわけで本日5日はこどもの日であり、実はその裏でひそやかに呼吸するひ弱な大人の日でもありました。 




グリーンウォーク流し
 2014.4.30

 みどりの日改め昭和の日という祝日であった昨日、毎年恒例みなれた市内に新たな発見を求めるべく城から川から館から山までを練り歩くグリーンウォークが開催されました。
 雨催いの空でしたがたくさんの方においでいただき、その後みなさん秋聲の愛した卯辰山(別名「夢香山」)に吸い込まれてゆかれました。たいへんおつかれさまでございました。市内の方こそ、こういう機会でもなければなかなか足を運ばなくてね、というパターンも多く、良いきっかけをいただいておる…と毎年有難く存じております。とはいえウォークがメイン、館観覧はそのおまけにはちがいありませんので、是非今後またじっくりと見に来ていただけましたら幸いです。
 そうそう、1館で1ポイントもらえるカルチャーポイントサービスを自分なりのスタンプラリーととらえ市内の館を数珠つなぎにあるいてみれば、単なるウォークにチェックポイントという目的ができるうえあわよくば5ポイントから素敵なグッズに交換できるというお得っぷり。各館受付でおすすめさせていただいておりますのでこちらも是非ご利用ください。

 グリーンウォークにあわせてか、昨日から梅ノ橋に鯉のぼりもかかりました。3日、川の中を泳ぐ鯉流しが開催されるとのこと。
 気持ちよさげに風にふかれる鯉たちを見たお客さまに「あれは雨の日はどうなるの?」ときかれ「ぺそっとなりますね」とお答えしたことを今更ながらに恥じ入っております。

 雨の日でも基本撤去されずにあのままですよ、とお答えすべきところでした。

 
 


にやにやの事
 2014.4.29

 3月1日記事にて「ただいま編集中です!」とお伝えしてからはや二ヶ月…そのちょうど真ん中3月31日付でさりげなく発行を果たしておりますのが当館館報「夢香山(むこうやま)」。こちらのホーム-ページからでもデータで見られるようになっております。それすらお知らせせずにさりげなくアップされておりますのが「夢香山」第6号。現在の企画展イメージカラーにも似た明るいピンクで館内を飾ってくれております。

 さて、発行の暁には館内のみならず、主要図書館や公共施設、報道関係などにもお送りしてより広く知っていただこうとこっそり発送作業も行ったわけですが、このたび東京のアート誌「DayArt(デイ・アート)」さん最新号にその紹介記事を載せていただきました!

 前にもいちどにど、企画展やら館の情報やら載せていただいたことがございます。今回は「夢香山」が晴れてデビュー!太宰特集に彩られたなかにちゃっかり紛れ込んでいるのを見るにつけにやにやが止まりません。にやにやで足りなければしめしめが二周目を走り出します。太宰治とジャック・カロに挟まれた「夢香山」、館内にも設置させていただいておりますので、是非お手にとってご覧ください。

       職員一同、うれしかったもので…→

 われらが館報はもちろんテイクフリーですが、デイ・アートさん表紙に燦然とかがやく「0」の文字…とんでもなく面白いのに、フルカラーなのにテイクフリー…!掲載がなくとも毎度送ってくださるもので、職員がまずたのしみにしております。デイ・アートさんありがとうございました!今後ともよろしくお願い申し上げます!





朗読小屋 浅野川倶楽部設立十周年記念講演会
  2014.4.28

 いつもお世話になっております鏡花記念館の秋山館長さんが、いつもお世話になっております浅野川倶楽部さんの節目の講演会に登壇なさると聞きつけましたもので昨日勇んで出かけて参りました。

 「郷土の文学を語る―三文豪のふるさと再発見―」と題して1時間30分と36秒、たいへんに熱いお話を聴かせていただきました。三文豪をそれぞれお話しなさるのですが、秋聲先生のターンで客席中誰よりもひときわぐいと前のめりになってしまうのは自然のなりゆき、脊髄反射、もう自らの意志ではどうにもならぬこと…。いぶし銀・秋聲の魅力を秋山節にのせて全身に浴び、たいそう心持ち好く大満足で帰って参りました。おさえるからにじみでる…人生の…まこと…おさえるから…かえりみち呪文のように反芻したお言葉です。

 また、お話しにもあったように、秋聲は「真実」という言葉をよく使います。現在絶賛校正中の『黴』にも頻出、それも重く述べるわけでなく、ふつうの会話中に「真実ですね…なんちゃらかんちゃら…」と書いて「ほんとうですね」と読ませます。これがどのくらい秋聲語なのか当時のオーソドックスなのかはわかりませんが、普通の生活のなかに溶け込む「真実」に、今度もちまちまとルビをふりながら毎回はっとさせられていたおり。
 「文学っておもしろいですよね!」と迷いなく力いっぱいに語る秋山館長さんに(ほんとですよね!!)と声なく力いっぱい同意し、何より主催者である浅野川倶楽部さんの今回にいたる10年の活動に祝意と謝意とを力いっぱいお伝えしたいあたたかな日曜日でした。
 

 


黴の力
  2014.4.27

 さて、なにごともなかったかのように一週間越しに更新いたします寸々語でございます。秋聲記念館、この空白の一週間にも朝9時半には開館し、夕方5時には閉館する平常運転でお送りしております。
 はて、朝9時半に開館して夕方5時に閉館するまでの間にいったい何ページ進んでいるのやら?5月31日開催の江種先生による連続講座「『黴』の力」までに現在品切れの『黴』当館にて急ピッチで復刊作業中! 

――笹村はいくら努力しても、厖大なその原稿の未だ手を入れない部分の少しも減っていかないのを見ると、筆を持つ腕が思わず渋った……

 ええ、まったくもってこっちのセリフです、秋聲先生…。
 秋聲先生のすごいところ、各作品に必ずこちらの状態と合致する場面、心情が出て来るところ。時代を経てもひとの本質は変わっていないのだな、と思わせる見事なあるあるぶりがまさかの『黴』のなかでも発揮されているところ。

 どんなに潔癖な各ご家庭でもしかしどこかしらに必ずやこっそり生息するカビのように、なるほどこれぞ『黴』の力…超強力なハイターが必要であるよ…とやや斜めに逃避しながら、校正用の赤ペン、青ペンをさっさと手にとり「私の手紫色……。」と折に触れつぶやいていたりします。 
 

 


第1回 輪読会
  2014.4.20

 意気揚々とごみ箱の画像をアップしたりなどせず、こういうお写真をこそ載せるべきだったでしょうか?
 こちらは12日の夜間開館の際、宇多須神社さんで行われたお琴の演奏会。そして例のごみ入れは当館夜間のみのコーヒーサービスで使用され、「コップ、捨てていいんですよ」と強調するための注意書きがそのままになっていたものでした。

 さて、昨日19日はトークの日ということで、当館でも参加者の自由なトークにより進行する第1回輪読会を開催いたしました。今回のテーマは短編小説「都の女」。今からちょうど100年前の7月1日に発表された作品で、企画展でも同作を標題とする短編集の単行本を展示しております。

 今回は何故か(といってはいけませんが)たくさんの方にご参集いただき、回し読みがたいそうな楽ちんなことになりました。初めての方もいらっしゃいまして、今後とも是非2回3回と偶数月の習慣にしていただければ幸いです。
 学校の授業などを思い出して緊張してしまうので基本当てたりすることは控えているのですが、初めましての方にどうにもご感想をうかがいたくいきなり指名してしまってすみません。現在の展示でも滲み出てしまっているとおり、決して都合のいいリップサービスというものをしなかったシュウセイズムにのっとり、わからなくても衝突しても正直な感想を言い合える会を目指しております。というわけで次回は6月21日。出席番号21番の人から時計回りです。

 
 


分疎(いいわけ)
 2014.4.19

 この頃秋聲先生が小説を発表しないおよそ3.5ヶ月のブラブラ期間を送っていらっしゃいますので、こちらも真似して寸々語3日分のブラブラ期間をおいてみました。ちなみにただいま正午、およそ3.5日分のブラブラです。
 
 さてこのブラブラの間、観桜席を撤去したり、西田幾多郎記念哲学館さんとお話ししたり、浅野川倶楽部さんのご公演にうかがったり、鏡花記念館さんの企画展「雪岱挿絵で読む『山海評判記』―特別編―」第三期にて「薄気味悪いですねえ!」(誉め言葉)を連呼したり、逆回りの長い周遊バスは鏡花さんの赤も「利家とまつ」号であることを発見したり、『夢二日記』なる他人様の日記を読みあさったり、すべてこの大事なブラブラ期間…これらがみな次回企画展の糧になるのだぞ…と、今回の悩める展のコンセプトにひっかけ、寸々語をさぼったことの言い訳をしたりしています。 

 この期間に随筆のようなものはわりと発表している秋聲先生。しかし一見して日々のつれづれ、内容の薄い印象は否めません。といいつつ実はその中に秋聲独特のスパイスがたくさん散りばめられており、そこに引っかかりだすとものすごく大事な、大事な文章、そして大事な日常生活のように見えてくる秋聲マジック。おかげで企画展をひとつ開催してしまったマジック。
 ゴミ入れでしかないと思っていたこの灰色の容器がもしかしてゴミ入れじゃなかったかもしれない可能性をかえって浮上させる、あたりまえで出来ている日常に一石を投じる事務室のこの注意書きマジック。  
 


 


《今日の梅ノ橋⑯》
  2014.4.15

 ラジオかなざわさんで悩める文士展、ご紹介いただけることになりました!昨日宮林アナが来館され、ともに展示室をまわりつつインタビュー形式で収録を行いました。前後編として今週と来週の土曜10時~の枠にて放送していただけるとのこと。いつもありがとうございます。
 収録後、宮林さんとロビーで雑談しておりましたら結婚式前撮りらしき初々しい新郎新婦が梅ノ橋やら当館デッキで撮影をしているのに遭遇しました。それ自体は普段からわりとよく見る光景なのですが、昨日いつもとすこし違ったのは、見ているあいだに二組三組つどってきて当館前が新郎新婦でわりと渋滞、まるで集団結婚式のように…壮観でした。
 それもそう、ちょっと蝋かなにかでかためられているんじゃあるまいかと思わせるほどここ一週間散らない満開の桜、しかし時折風に煽られて空間を彩る桜吹雪、そして快晴、安定の梅ノ橋…そんな好条件が揃いすぎたための出来事です。

 そんな良き撮影スポットでもある当館、閉館後、車止めを上げておりましたら、若い男性とお父上らしきお二人連れが通りすがりに梅ノ橋のほうをデジカメで撮影しているのに遭遇。「あんまり上手にとれないや」と仰るのを聞きとがめ、「おにいさん…対岸から…こっちを撮るといいんですよ…並木も厚いし…うちを背景にして、ね…」と何者とも知れぬ怪しいアドバイスをさせていただきましたが、館によく出入りされるカメラマンさんからの完全なる受け売り+αの宣伝です。
 
 あとすみません、やっぱり腕も必要でした。






 


謎の長いバス
  2014.4.14

  12日、金沢湯涌夢二館さんの夢二生誕130年・没後80年記念特別展「夢二と笠井彦乃」オープニングへお邪魔して参りました!夢二に最も愛され、そして愛しぬいた彦乃さんのご令妹・笠井千代さんとそのご令嬢・ご子息から寄贈されたという彦乃さんの作品、遺品のたぐいはそれはもう圧巻のひとこと。感謝状贈呈式と、彦乃さんの姪御さんにあたる坂原冨美代さんのご講演もあわせてうかがって参りましたが、これは身近にいらっしゃる方ならでは、という視点が非常に興味深く、当館次回夢二展へのよい刺激となりました。先日からお忙しいおりひょこひょことお邪魔ばかりしてすみません。

 そういえば行きしに橋場町の交差点、金沢文芸館さんの向かいあたりからバスに乗ろうと待っておりましたら、三文豪の名を冠することでお馴染みの、だけどすこし見慣れぬ周遊バスが反対車線をはしってゆくのに遭遇しました。あれっ…秋聲号のみどりだけど…みどりだけどなんかいつもより長……あっ…?「利家とまつ号」…!!?と混乱のうえ吃驚いたしました初めて見る長い車体の周遊バス。

   全然まにあってない
      「利家とまつ号」とやらのおしり→

 これはあれでしょうか、13日付鏡花さんブログにある反対まわりの新車両でしょうか?
 「利家とまつ号」…真相がわかりましたらまたご報告いたします。
 




夜間開館いたします。
   2014.4.12

 本日19~20時、ひがし茶屋街にて金沢・浅の川園遊会「越中八尾おわら流し」(主催:浅の川園遊会実行委員会)が開催されます!ということで、当館19時半まで開館し(入館は19時まで)なんとなく地元のイベントに参画しているふうを装っております!(きちんとチラシに刷り込む許可はいただいております…!)
 イベント開始までのお時間、へえ夜までやってんだ…と立ち寄っていただけましたら幸いです。秋聲のみち沿いの桜も満開、お天気もよし、梅ノ橋もライトアップ!夜桜ぶらぶら秋聲記念館に吸い込まれてみてください。入館料こそいただきますが、コーヒー一杯無料でサービスいたします。

 アレッ…OMOTENASHI今日でもよかったんじゃないか疑惑にまみれた本日の一枚↓









 そして職員にとっては長丁場な今日、長丁場だったものでだいぶ放置気味であった「わななき」第7回をぽちぽちとうちこみました。3月末に「いよいよ次回最終回!」と謳っておきながら実のところまだ終わりでなく、うちこみながらアッ…まだ8回がある…!!とわななきました。おそらく本作連載史上もっともモヤモヤする第7回。田鶴子を怯えさせたままこれで終わられてしまっては困ります。
 次回の長丁場は6月6日、加賀友禅燈ろう流しにあわせた開館延長の日ですが、さすがにそれまでのどこかではアップすることでしょう。次回6月6日になったら心からすみません。

  
 


第2回 秋聲とお座敷あそび
   2014.4.10

 4月のふたやまめを無事越えることができました。世界のすべてにありがとうと言ってまわりたい心持ちです。昨日、「第2回 秋聲とお座敷あそび」がたいそうな盛会のうちに終了いたしました。

 昨年はお茶屋「八しげ」さんより真砂美さん、涼香さん、かつ代さんにおいでいただきましたが、今年は「八の福」さんの仕切りのもと、福太郎さん、小梅さん、胡蝶さん、唐子さん(「山とみ」さんより助っ人)にお出ましいただきました。四名さまが到着された瞬間、眩しくて目がつぶれるかと思いました。

 2回目でもやはりぐだぐだな進行に相反し、さすがは一流の芸妓さん方、一言発するだけでもお客さまをぐっとつかんで離しません。お笛で舞う一舞一管ののち、3曲の小唄をご披露いただき、満開の桜と梅ノ橋を背景にしてまたもやサロンが別世界と化しました。
          そしてこの距離であります→

 その後、がらりとくだけて、とっくりの袴をタッチしたりしなかったりする「こんぴらふねふね」をしてあそんだりなどもいたしました。参加型のこのおあそび、最初は照れて目をそらしがちだったみなさまも、芸妓さんの手にかかればいつの間にやら舞台へと誘い出され…大盛り上がりのひとときでございました。そして実は超豪華な特別ゲストもあったのですが、舞い上がりすぎてご紹介すらいたしませんでたいへん失礼をいたしました。しかし当座ならまだしも、お座敷に来られたお客さまのお名前を後からべらべらしゃべるのも無粋ですからもう黙っておくことにいたします。
 ご出演のみなさま、ご参加のみなさま、本当にありがとうございました。来年もきっとまた。



 


not Bokko
  2014.4.9

 さて本日いよいよ「第2回 秋聲とお座敷あそび」開催でございます。
 それにあたり昨日午後4時、お客さまの途切れた隙をねらってサロンへ赴き、ちょこねんと椅子に腰かけて燃え尽きた某ボクサーかおじいちゃんのようになっているところに通りかかられた館長から「日なたぼっこ?」と訊かれました。半分正解です。
 決してのんきな「ぼっこ」ではなく、「日なたチェック」中でした。おかげさまでたいそう景観のいいサロンではございますが好天に恵まれた日唯一の難、それは西日…。せっかく桜が満開なので今回は舞台を梅ノ橋向きにかえてみようかな?西日がきついかな?とおのが体でチェックをしていたのでした。あちこちと場所を変え、意外と大丈夫かもしれない…とおのが皮膚と目で判断をくだし、今回舞台は梅ノ橋向きに設置いたしました。結果的に西日がきつかったらすみません…昨日と今日、地球の傾きがちがったんだと思ってお許しください…。
 残念ながら完全予約制、かつ15名限定というプレミアムな感じでお届けいたしますお座敷あそび、受付開始をしたその日にさっそく埋まってしまいましたので今からお席こそご用意できませんが、立ち見は自由です(要入館料)。そして4時から4時半というわずか30分間のプレミアムな感じでお届けいたしますので、周遊バスを一本乗り過ごすと半分終わります。ご注意ください。
 




花の精、あるいは蓄音器の精
 2014.4.8

 6日、おかげさまで「第4回 桜の季節のおもてなし」無事終了することができました!なんと、秋聲令孫・徳田章子名誉館長が東京からこちらに到着されるころ、すなわちお昼過ぎには黒い雲がみるみる晴れて青空に!何かの折に「傘おもちですか?」「ううん、もってない」との会話もあり、あんなに降っていたのに…!降られてもないなんて…!!と名誉館長の相変わらずのサンシャイン振りに驚愕したのでした。

 というわけで多くのお客さまにお越しいただき、みなさまの笑顔と満開の桜、そして井奈宗孝社中さんの見事なお点前・美しい立ち居振る舞いを堪能させていただきました。
 途中、ふたたび細い雨が降る場面もありましたが、雨の梅ノ橋もいいんだね、すてきだね、と仰るお客さまもあり。和傘の似合う万能な梅ノ橋です。
 
 すべてのお客さまをお見送りしたのち、井奈先生のご厚意で職員も一服いただきまして、お花とお茶と甘いものが大好きな秋聲先生にも差し上げたい…今日はたくさんの方に…おいでいただきましたよ…とそんな気持ちを噛みしめながらサロンの椅子に腰かけていると、隣に座っていた職員からちょっとちょっと…と含み笑いの声がかかりました。何かとおもえば企画展タペストリーにいる例の体育座り秋聲が、その隣にむき出しで贅沢展示している蓄音器の展示台の縁に腰かけているように見える奇跡の角度を発見したというのです。こはいかに…!まるで蓄音器の妖精のようではありませんか…!!ガラスが反射して写真ではお伝えできませんが、サロンの壁際に添う長椅子のあるポイントに座ると、みるみる末雄がフチオになります。   


 


花見と黴 
   2014.4.6

 「私の手紫色……。」そんな嘆息が洩れもする、霧雨、気温7度、花冷えの朝9時でございます。
 さてもさても桜が好い感じに咲いてきたわい、とほくそ笑んでおりましたら、今度は雨雲との戦いとなりました。前日5日が雨降りで、当日6日は午後恢復…の見込みがどっこい、そんな勝手な心積もりだけが先走って昨日のギャラリートークの際「雨催いの空である…今日みたいな日…じゃないですね、今日…なんかすごく…晴れてますね…」と意味不明なことを悲し気に呟きだすどっこい、蓋を明ければ5日は快晴、6日朝から全然(まるで)恢復の見込みもない様な黒い雲が立ちこめて居ります。然うして只今、糸のような細かい雨が木造の梅ノ橋に音もなく降り灑いで居ります。

 さて午後1時、いったい如何なって居ることやら?此の結果報告はまた改めて…。
 
 今回の寸々後、なんだか何時(いつ)もよりアンニュイな装いでお送りして居ります。何故と云って、ここ数日『黴』の復刊作業に手を染めているからです。冒頭の嘆息も、心身ともに疲れ気味のヒロインお銀さんのセリフを引用して参りました。
 「私の手紫色……。」読みやすさを考慮すれば「私の手、紫色……。」と読点を付け足したりするのが善いのかも知れませんが、口にだしてみれば「私の手紫色……。」が一息でたいそう心持ちが好いのです。「私の手紫色……。」明日から暖かくなるようですが、隙を見てちょいちょい挟んでいく心算(つもり)です。
 
 



悩めるギャラリートーク
 
  2014.4.5

 昨日、NHKニュースで当館の悩める展をとりあげていただきました!秋聲のモダンな趣味生活とともに、春先のもんやりお悩み具合もしっかりご紹介いただきました。「雨催いの空である。僕は今日は何か仕事にかかろうかと思ったが、どうも気分が落ち着かない。」とは、この頃の秋聲のつぶやきですが、それをアナウンサーさんに朗々と読み上げていただけるこの上のない嬉しさ、そしてそれに反比例する内容のどうしようもなさ!
 仕事がすすまないことを天候のせいにするこのカメハメハ体質は、大家がいうからややもすれば高尚なようにも響きますがその実ちょっとくすりとしていいところです。そしてその次には書斎(環境)のせいにする感じにも口元がゆるみます。

 しかし何故笑ってしまうかといえば、それが「人としてどうしようもないから」でなく、「共感できるから」。あぁ、大家と言われるひとでもこんな日もあるんだな…一緒だな…と思われるひとにはきっと面白い展示かと存じます。本日、午前午後とギャラリートークを行いまして、くすくす笑ってくださった方にはきっとお心当たりがあるはず。

 逆に、日常生活からして5時起き、ラジオ体操当たり前、朝食をしっかり食べ、新聞はすみずみまで読み、7時には完全スイッチオン!!というストイックな方には受け容れられない展示かもしれません。秋聲先生、半世紀におよぶ作家生活を長い目でみれば非常にストイックといえますが、日々の生活はわりとゆるゆるスロースターターのようです。




祝!朗読小屋 浅野川倶楽部十周年
  2014.4.4

 いつもお世話になっております浅野川倶楽部さんがこの春めでたく創立十周年を迎えられます!おめでとうございます!当館の朗読イベントにもいつもご協力をいただいており、基本活字で読むところの秋聲作品にもっとも近い位置に寄り添う、耳で聴く秋聲作品を世に送り出してくださる有難いみなさまがたです。

 そんな浅野川倶楽部さん、本日4日より26日にかけて十周年記念公演が行われます。当館からいえば、鏡花記念館さんに行くちょいと手前の右手にお教室兼舞台がございまして、潔く「声」とただ一文字かかれた(秋聲の「声」…ウフフ…)素敵なのれんをくぐると急にそこは別世界。薄明かりのなかにまさしくおのおのがたの「声」がうかびあがる不思議空間が広がっています。三文豪作品もそこここに散りばめられておりますので、是非お運びください。秋聲でいえば名作「町の踊り場」、隠れた名作「牧師」やらにまじって迷作「えらがり鯛鮹」が!
 秋聲最初期のらしからぬ子ども向け作品にして、秋聲らしい無理想・無解決な筆のはこびっぷりがかえって清々しい一作です。今回の悩める展でお出ししている秋聲の「立退き」という作品、長い作家人生のなかに唯一の戯曲形式…とご紹介しておりますが、早いもので「えらがり鯛鮹」のなかに一部戯曲のようにして鮹のセリフ、鯛のセリフ、と分けて書かれていたりもするのでした。他の作品ももちろんのこと、秋聲作品を網羅して聴いていただければ、これ(「えらがり鯛鮹」)がこうなって(「牧師」)、こう(「町の踊り場」)という秋聲の作風の変遷までもたどることができます!そう、半世紀かけてたどりついたのが町の踊り場!


              


《今日の梅ノ橋⑮》
 2014.4.3

 ご覧ください川沿いの桜、順調に咲き始めています。木造の梅ノ橋とも相性ばっちり…
 
 と、エイプリルフールから2日過ぎ、ここへきてしょうもない嘘をついてしまいました。左にお目にかけているのは梅ノ橋でなく中の橋。上流から梅ノ橋→浅野川大橋→中の橋、でおなじみの中の橋。もうそこはすっかり鏡花さんのエリア、名作「化鳥」の舞台となったとも言われる中の橋…。

 気が付けば1日には本当のことしか書いていなかったため、その反動をやり過ごすのにまんまと失敗しました。梅ノ橋にしてはちょっと小新しいな、と思われた方、正解です。昨年の5月にお色直しをしてからだいぶん落ち着き、主計(かずえ)の街並みにも馴染んできましたが、焦げ茶どっしりの梅ノ橋にくらべ、まだ少し初々しさを残しています。
  
 さてそんなわれらが梅ノ橋のほう、先日より何やらドラマのロケに使われ賑わっております。こちらで大々的に発表さえいたしませんが、実は気が付けば梅ノ橋、よく使われております。サロンやロビーから俳優さんのお姿が見えたりもしますが、たいていの俳優さんは想像以上に小顔ですので的がちいさく(アレ…かな…?)とそっと眺めたりしております。もし、それらしきドラマの放送に遭遇されましたら、後ろの建物にもご注目ください。なにか深刻なことをお話しされている登場人物たちのずーっと後ろの窓ガラスに張り付いている職員の顔が発見されてしまうやも?


                                         


ユメジ・ミーツ・シュウセイ
 2014.4.1

 ちょ、調査だなんて…!29日付で金沢湯涌夢二館さんブログにお邪魔しております秋聲記念館ですが、お越しいただいたのは向こう様の調査のためでなくこちらからの依頼です!依頼でもまだ聞こえがよすぎる、展示替え前のご多忙時をつかまえて、夢二×秋聲本が数冊あるのですけどちょいと見に来てもらえませんかねえ?と半分拉致したような横暴ぶりでたいへんに恐縮しております!!
                    ザ・夢二装丁本①→

 おかげさまで貴重なご意見をたくさん伺うことができました。今後の調査の指針も立ちました。当館だけでは文学的にその作品をご紹介することができても、美術的、特に夢二をご専門とする方の見地にはまるで立ち入らぬ残念なキャプションになること必至。件の企画展は夢二さん生誕130年没後80年を記念して今夏開催予定です。
 と、気づけば本日4月1日。うっかりエイプリルフールに告知してしまいましたが夢二展は嘘ではありません。そして嘘といえば、最初はごく理性的に知的に話されていた夢二館学芸員さんの徐々に前のめりになっていくさまはたいそうすてきに愉快でした。(アッ「たまらんですね~」が出た!これは本気のやつ…!!)と思ったりしておりました。夢二さんへのまことの愛をひしひしと感じました。

 展示替え前でも夢二と聞けば湯涌の山から東山でもどこへでもとんできてくれる夢二愛あふるる学芸員さんの汗と涙の結晶、次回特別展「夢二と笠井彦乃」は12日(土)から開催です!すなわち今の展示「金沢湯涌夢二館名品展-後期 京都時代から最晩年まで」も6日まで、お急ぎください!





 自然愛
  2014.3.31

 ハクモクレンが全盛です。去年もちょうどこの頃に満開を迎え、4月5日が桜の満開…これはきたのではないでしょうか、先日の恨み節が桜前線に届いたものか、この調子でいけば5日後には満開をむかえ、6日にはOMOTENASHI…どんぴしゃです、しめしめ…!(もしかすると最初っから4月5日の黒文字は満開予測でこちらが勝手に読み違えただけの予感…)

 と、そんなふうについハクモクレンの開花を単なる指標に、桜の開花ばかりを待ち望んでしまう花見主催者の悪い癖ではございますが、ハクモクレンもそれはそれで美しく咲き誇っています。そして地面に散らばっている蟹の爪のようなつぼみの抜け殻はモサモサの毛皮でかわいいのです。

 ハクモクレンの花言葉は「自然愛」。秋聲のこの頃の目標は「趣味生活(庭いじり)からの脱却」、とはいえ「自然界の移り変わって行く時の状景には心を惹かれずにはいられません」とのこと。
 そんな秋聲にすこし似て、秋聲館の植栽の成長や変化に誰よりも敏感で、いつもロビーや書斎を美しい季節の草花で飾り、誰よりもあたたかなまなざしを注いでいたひとが今日をもって秋聲記念館を卒業することになりました。来年は「ハクモクレン、咲きましたよ。」と教えてもらわずとも、きっとかの木を見あげることにします。桜ではなく、その木だけを愛でることにいたします。





紀要発行
 2014.3.30

 当館が所属する金沢文化振興財団の「研究紀要」第11号が発行されました。先日その発送作業を行い、近隣図書館、博物館などに納本されたほか、間もなく各館ショップに登場することでしょう。
←デザインも今号からすこし変わりまして、表紙がちょっぴり目に痛い濃い柿色に。

 また各館の事業一覧に関連画像が入ったりなど、よりイメージしやすいふうになりました。消費税改正により、価格は700→720円とちょっぴり値上げ予定ですが、文学から美術から民俗から思想からなんでもありの濃ゆい冊子となっておりますので、是非お手にとってご覧いただけましたら幸いです。ちなみに当館学芸員も「正田順太郎と尾小屋鉱山」と題しましてちょっぴり執筆をさせていただいております。秋聲の二番目のお兄さまのお話、旧姓・徳田です。

 そうしてこちらが濃い柿色を無心に封筒に詰め、のり付けしているあいだに、安井が階段から落ちました。
 不定期連載に「わななき」第6話アップです。女性に誘われ浮かれた罰か、階段をふみはずし、あああ、あばらが折れた~と大げさに訴える安井。実際には何のこともないビッグマウス気味の安井。その胸にブゥッと酒を吹きかけるアッ外傷でなくてもそういうのするんだ!と思わせる勇ましいお君。いよいよ次回最終回です。





おもてなし
 2014.3.29

 「第4回 桜の季節のおもてなし」受付を開始いたしました!

←浅野川沿いもぼんぼりスタンバイ。
(これは当館主催物ではありませんが…)


 常連さんのほか、初めての方からもお問い合わせがあり、「おもてなし」のなかにどのくらいのもてなしが含まれているのか、どのくらいもてなされる覚悟で来ればよいのか、とのご質問をいただきます。そこで改めて、当催事のご案内。

 お抹茶を楽しむ会ですが、特に決まったお作法はございません。正装も正座も必要ございません。事前にお申込のうえ受付の時間内(1~3時)にご来館いただき、総合受付でお支払い(入館料+茶菓代200円)、引換券をおもちになって2階サロンの専用受付へ。ご案内にしたがい空いたお席(椅子席)に適当にご着席いただきましたら、頃合いを見計らって井奈宗孝社中さんがお菓子(吉はし製「花筺(はながたみ)」)とお茶(緑翠園(米沢茶店)詰「秋聲の白」)を運んでくださいますので、お受け取りになりご一服。桜と川の流れのコラボを堪能されたのち、お好きなタイミングでご退席いただければ結構です。時間の拘束は受付時間のそれのみとなっております。
 まだまだ受付中のうえ、余裕があれば当日もお受け付けいたします。満開ならずとも、呈茶のほうに金沢随一の職人技が集結しておりますので、この機会をお取り逃しなく。 




さんぶんこ
 2014.3.26

 東京で開花が宣言されたと聞きました。宣言自体は聞いておりませんが、宣言されたということを聞きました。金沢ではいつなのか?ぺこっと咲いた桜マークに輝く東京の左斜め上を見れば、金沢には4月5日との黒い文字が見えます。黒い、文字…。

 去年のこの時期の桜はどうだったかと寸々語を見直してみましたら、まさに去年の昨日3月25日、東京出張中満開の桜を観測したことが報じられておりました。そしてその3日後、去年の4月13日に「桜の季節のおもてなし」を設定したことを(遅すぎた…!)と悔いる記事がありました。そんな後悔の受けての「第4回 桜の季節のおもてなし」、今年は4月6日(日)、4月6日(日)でございます。早すぎた…!か…?
 なんでしょうか、毎年毎年桜のやつには振り回されてばかりです。1月頃に確認したときには開花が1日、満開が7日、とたしかになっていたのです。念のため開催要項の備考の欄にもそう記しておいたのです。
 それがふたを開けてみればまさかの早すぎる予感…なんでしょうか、毎回毎回天候のやつには振り回されてばかりです。しかし今更延期することはできません。準備だけは着々とすすんでおります。

 先日、かの名店「吉はし」さんより、生菓子の試作品が3つとどき、ちょうど出勤していた職員3人でさんぶんこだ!となりましたので、3つを3分の1ずつちいさく切って配ったら他の職員にちょっとひかれました。全部、食べてみたいかと…

 どれになるかは当日のおたのしみです!




ひさびさの営業部長
  2014.3.25

 急に暖かくなった今週、この冬中まるで姿を見せなかったシャー営業部長がふらりとやってきたのを見とがめた受付さんから歓声があがり、あわてて飛び出ていったらその勢いに驚いて逃げられました。

 遠巻きに館を見詰める営業部長。一冬を越え、なにか変わったところはないかとチェックしてまわる営業部長。変わったところどころではありません。企画展が大きく変わりました。
 が、そこの植栽はかわりません。ご存じのとおり、そこは3年前からヤブコウジです。西日にやられ、もうほぼその体毛と同系色のヤブコウジです。

 何故ヤブコウジかというと、秋聲のデビュー作が「薮かうじ」であるため。今回の企画展では、今からちょうど100年前の先月下旬にかの作について振り返り「浅薄な拵(こしら)え物」すなわち「ろくに実態を知りもせずに想像で描いた浅ーい薄ーいつくりものだよ」と、秋聲先生ご自身で分析されているさまについてご紹介しています。また一般的に出世作と言われている「黴」についても、自分では出世作とは思っておらず「変わろうとする芽を含んでいる」と述べており、それが正鵠を射ているかどうかは別として、同時代批評や現代における文学研究史を読むより先に押さえておかねばならないご自身による考察がたいそう興味深いものとなっています。
 とはいえそうして「いや!俺!もっと!できる!」との向上心だけ抱えて結果ブラブラしているのが件の3.5ヶ月間。わざわざ博覧会を見にでかけてどうもつまらぬ、と感じるのも仕方のないことでしょう。ずっと行動に移されぬままの向上心が頭の片隅でうずいていれば。


 


ひがし茶屋街の人力車
 2014.3.24

 先日より企画展チラシなどを小脇にかかえひがし茶屋街をうろちょろしております秋聲記念館でございます。と、いつぞや新聞紙面で拝見した人力車のおにいさんが防災広場で休憩されているのを発見!こ、これが噂の…!と内心テンションがあがりながらもチラチラ見るだけでいったん素通り…しかしいやいや休憩中の今こそ…!とくるりと踵を返し、勇気をふりしぼって話しかけてみました。「す、すみません!ご近所の秋聲記念館ですけども写真撮らせてもらっていいですか!?」とのかなり怪しいお声がけにも「いいですよぉ~」と気さくに応じてくださり、
その結果がこちら→

 勇気が指先までゆきとどかずぶれぶれに…

 秋聲記念館さんの前よく通りますよ!とかえって気を遣っていただき、あっほんとですか、なんだかすみません…えへへ…今後ともよろしく…と、舞い上がりに上がったあげく詳しいルートも料金設定も営業時間もなにもかも肝心なことはうかがわずに足早に立ち去ってしまい、いったい何をしたかったのやら…3月とはいえまだ頬を切る冷たい風に脳みそをひやされつつ帰館いたしました。

 新聞報じるところによると、浅野川沿いなどを巡る最短コースで1人1500円、ルート等応相談だそうです。時間の配分の関係で実際には難しいかもしれませんが、当館の駐車場に人力車が止まっていたらそれは二度見してしまうのではないでしょうか。





オープン記念のゼラニウム
  2014.3.22

 3月21日、企画展無事オープンいたしました!チラシにも入れておりますが、この頃徳田家のお庭を飾っていたゼラニウムの花をオープン記念として先着10名さまにプレゼントさせていただきました。雨のなかのご来館ありがとうございました。しかし雨に濡れたお庭もよいものだね、やらなきゃいけないこともあるしこんなことしてちゃいけないんだけどつい見ちゃうね(意訳)、と秋聲先生もつぶやいておられます。
 
 お花は橋場町の三叉路にある金子生花店さんにご手配いただきました。当初在庫がなく、感じが似ている他の花をご紹介いただいたりもしましたが、やはりゼラニウムでなくては…!!というと、そうか秋聲先生のゆかりか!なんとか手配するよ!といろいろな無理を通して取り寄せてくださいました。

 そして入館者プレゼントにする旨だけお伝えして外装のことにまでまったくもって気が回っておりませんでしたが、当日届いたお花はすべて可愛くラッピングされておりました。金子生花店さんありがとうございました。
 本来、お花名など書くところを両面つぶしてひそかに紛れ込ませている秋聲プラカードはまさかの館の手作り→


 


秋聲の歌
  2014.3.21

 馬場小学校の4年生が雨のなか「秋聲の歌」をうたいにきてくださいました!今年度の総仕上げということで、今年まぎれもなく彼ら自身の手により新たに生み出された「秋聲の歌」、そして馬場小さんの第2校歌として知られる「鏡花の歌」の豪華2本立てです。11月の創立記念集会のときに初めて聴かせていただき大きな感動を得て帰って参りましたが、またそのときより一段と上手になっている気がいたしました。高音のつづくなかなか難しい曲なのにもかかわらず、もうすっかりしっかり彼らのものになっていてふたたび涙が…堂々と立派にうたいあげてくださった生徒さんに対し、むしろお礼の言葉が涙声でヨロヨロでお恥ずかしい限りです。
 
 当館の前に金沢文芸館で披露されたということでしたので、むしろ当館職員がそちらへお邪魔すればご足労いただかずに済みましたね…などと申し上げれば、何を仰る、秋聲の魂宿るこの場所で歌うことに意味があるのです!と強く伝えていただき、かえってハッとさせられました。


 お姿なくとも生家跡でなくともお預かりさせていただいている遺品のひとつひとつ、原稿の文字ひとつひとつにその魂が宿っています。しかしせっかくですからせっかくですから、とその依り代にご登場いただき、秋聲先生のお耳に直接届くかたちにいたしました。滅多なことでは笑顔をみせない秋聲ですが、さすがにあの美しい歌声にはきっと心を動かされたことでしょう。
 4年生のみなさん、先生方ほんとうにありがとうございました。最後に生徒さんのお帽子をお借りして、泣きながらこんなこと→
をしてすみません。よくお似合いでいらっしゃいます。





手乗り秋聲
 2014.3.20

 さて展示替え最終日、いよいよ完成に近づいて参りました。設営のいっぽう事務室をふさいでいたチラシの発送を行い、さっそくお手にされたみなさまからちらほらとご感想をいただいたりしております。ありがとうございます。
 今回は春満開のピンク、「無」の白、ややアンニュイな水色のトリコロールのなかにちんまり膝を抱えた秋聲先生をあしらってみました。当館のチラシ類でも、ご肖像を使用するのは久しぶりです。レイアウトこそ館の恣意ですが、体育座りをした秋聲先生の人としてダメなつぶやきそれ自体は紛れもなくご本人のもの。春から梅雨、初夏にかけてのかえって物憂い感じ…共感していただければ幸いです。

 例によって展示室前にも同デザインの大きなタペストリーがかかりました。なかなかいいサイズに仕上がっている秋聲先生を前にして、


 てのひらに乗せるもよし、









     悩める頭をつまんでみるもよし、



 そんな衝動に駆られそして実践してしまった展示替え最終日でございます。しかしご覧ください、ものの5分クオリティです…!まさか20分も30分もこれに費やしてはおりませんのでお許しを…!!
 
 基本的に館内は撮影禁止ですが、ここのみ可とさせていただきます。ご来館の記念に肩に乗せるもよし、膝に乗せるもよし、みなさまと秋聲先生との新たなコラボ作品にご挑戦のうえ、さしつかえなければ館にメールで送ってください。




天井チーズ
 2014.3.19

 展示替え3日目でございます。本日はパネルもすべて打ち終え、展示物をちょこちょこ入れたりするための3日目です。

 ひとつ壁面にワイヤーで吊すものがあり、脚立のいちばん上にのぼって天井と壁面とで出来るコーナーあたりでぐりぐりフックをいじっておりましたら勢い余って天井に親指がズドンとぶつかりあわや穴を開けてしまったかとあわてて確認したら、案外さいしょから穴ぼこだらけの天井素材でした。恥ずかしながらこんなにまじまじとはじめて見ました。

←脚立最上階目線


 われらが天井素材のあまりの西洋チーズぶりにかなりの勢いでズドンとした跡すら発見できません。そのためのチーズ仕様なのでしょうか、とんだうっかりものの雑芸員がどんなにズドンとしても大丈夫なように、木を隠すなら森!とさいしょから計算されてのことなのでしょうか。おまけに意外とふかふかしており、指紋のない指のほうもわりと無傷でした。ありがたいことです。

 チーズ仕様は何かしらのきっかけで見あげればどなたさまにも確認していただけますが、残念ながらその素材に触れていただく機会ばかりは今後どう転んでも無いかと思われましたので、こちらでのご報告です。当館の天井はわりとふかふかしております。


 


指紋消滅
  2014.3.18

 さて、布をへんなふうにはがして遊んだりしていた罰でしょうか、昨日撤去中思いがけないハプニングに見舞われまだ二日目だというのに指先に大ダメージです。
 基本釘で固定しているひだひだたちですが、一番下の布は両面テープでケース内の金属製のフチのところに貼り付けてありました。釘をぬいてそれらをべりりと気持ちよく剥がし取ったところに驚くほどきれいに居残る両面テープ。いえそれも、ぺりりりり、と気持ちよくはがるるものだと思って端っこをつまみましたらなんということでしょう、びりっざくっと短く割け、あるいは薄く残り、妙な形となってフチにしがみついているではありませんか!
 いちおう貼る際に何度か貼りはがしを繰り返し、きれいにとれることを確認したつもりでおりました。が、それはほんの2~3秒の粘着時間のこと…3.5ヶ月という長きにわたる任務をこなし、己の役職に愛着がわいたものか自信がついたものかそれに伴い要らぬ義務感がわいたものか、ここへきて驚異のねばりを見せているのです。「もういいんだ、闘いはもう終わったんだよ…!」と語りかけつつ、しかたなく指先でこそげとることおよそ4メートル。道具を使うには狭すぎる幅約1.5センチ。すべてこそげとる頃には指先が死亡、指紋が消滅しておりました。指先が摩耗してテラテラしています。

        
        4メートル分の両面テープボール→

 数分まえにしましまにしてやったり!とはしゃいでいたことが激しく後悔されました。いえ、大丈夫です。本日巻き返しをはかります。間に合います。
 

 


しましまにしました。
   2014.3.17

 おかげさまで昨日をもちまして、「木村荘八『爛』挿絵原画展」全会期が終了となりました!ご観覧いただいたみなさまに心よりお礼申し上げます。
 本日より4日間休館をいただきまして、次回謎の企画展「悩める文士の3.5ヶ月」設営に入ります。今日は朝からがつがつ撤去を行っており、原画をそろそろと収納、全面ガラスケース内のひだひだもはがしはがし…

 そして現在(AM11:00)企画展示室の感じは←こう。

 あっちを1枚、こっちを1枚、へんなふうにはがしまして、しましまにしてみました。



 企画展第1期は真っ白、第2期は真っ黒、第3期は真っ黒のうえに真っ白、でお届けしたガラスケースですが、第2期が終わった段階で「えっ次はしましまですよね?」と期待を込めたきらきらとしたまなざしで職員から言われたそのひとことをさくっと却下したことを若干、ほんの若干ですが気に病んでおりましたので、もう誰の目にも触れないこんなところへ来て叶えてみました。なるほど、これで第3期およそ一ヶ月…いやいやいや、やっぱり無理な相談でした。不安定な感じはものすごく出ていますが、『爛』の作品世界の不安定さを感じていただくより前に、秋聲記念館職員の精神状態の不安定さを疑われてしまう出来映えです。
 はい、ちょっとはがす順番であそんでみただけで、撤去さくさくと進めております。21日には間違いなく新たな装いでお目にかかります。はい、すみません大丈夫です間に合います。


 


チラシの海
  2014.3.12

 無事次回企画展のポスター・チラシが納品され、現在館内をあげて発送作業中につき事務室内がゴッタゴタしております!

 座席の後ろ、それすなわち収納スペース、という本来正しい方程式でないところをみな一様に目をつぶってゴリゴリまかり通しているためのゴッタゴタ。椅子の後ろって椅子のための可動領域であって決して空いているわけじゃないんですけど…!などとひとりでもこの状態に異を唱えようものなら、だったら正しい置き場所ってどこなんですかそんな場所あるんですかあるんだったら教えてくれますか椅子を後ろにぐんとできないくらいなんだっていうんですかそれはみんな同じじゃないですかもう一週間の辛抱です一週間ぐらいなんですか一週間後の解放感を想像したらこれくらいなんですか…と終わらないお説教が誰ともなしに始まりそうなのでみな一様にガツンゴツンと躓きながらけれども大事なチラシにぶつかったことをむしろ謝罪しつつそっと自らの傷ついた脛を撫で伏し目がちに暮らす日々です。

 そういえばもう一週間で荘八展も終わりなのでした。一週間もないのでした、今日をふくめあと6日です是非お早目に。
 爛れに爛れたこの冬から一転、次回は春満開なお色味をまもなくお届けできるかと存じます。が、実のところ春満開な空のもとしゃがみこむ秋聲先生とひとり膝をかかえる秋聲先生のひととしてまるでダメなつぶやきが対照的なチラシとなりました。





おやつレポート その13
   2014.3.11

 さて3月にもなって金沢は不意打ちの雪模様ですが、そろそろ季節の和菓子・桜餅が店頭に出回っています。当館でも先日さっそく心優しい方からの差し入れにていただきました!

 おひなさまを出す頃になるといつもお内裏さまとお雛さまの立ち位置の左右が話題にのぼるように、桜餅が出回るとざっくり関西風・関東風その2種類についてがいつも話題にのぼります。

 ご覧のようにいただいた桜餅はつぶつぶ仕様。これを見た職員の口から衝撃のひとこと、

「これって〝じょうみょうじ〟でしたっけ?」

 ええ、そうそうじょうみょうじ…って、えっ、いやっ、違います、それ徳田家の菩提寺です…!


 なんたるマニアックな間違え方、しかし秋聲記念館らしいハプニングです。言いたかったのは〝道明寺(どうみょうじ)〟、徳田家の菩提寺は〝静明寺(じょうみょうじ)〟。言われてみて今年はじめて気が付きました。とてもよく似ています。
 ちなみに関東風の表面がつるっとしたタイプのものは〝長命寺(ちょうめいじ)〟、先日東京の徳田家にうかがったときにちゃっかりごちそうになったのはこちらでした。どちらにしても響きとしてはわりと同じグループに所属のようです。
 秋聲記念館あるある、もしくは静明寺周辺の材木町あるある…来年もこの季節になるときっと思い出すことでしょう。





犀星記念館リニューアルオープン
  2014.3.10

 8日、はりきって潜入して参りました、新しくなった犀星記念館さん。午後いちばん、噂の黄色いタペストリー①(犀星記念館ブログ「犀星つうしん」2月26日付記事参照)横の入口へと続々ひとが吸い込まれてゆきます。と自動ドアをくぐった瞬間から人波で前に進めません。室生洲々子名誉館長と俳優の篠井英介さん、そして司会の辰巳平一アナ(元MRO)が入口附近で何やら展示物の解説をされている模様。なんと豪華な、イベント前のおもてなしがさっそく豪華に過ぎます。遠巻きにそれを見つめる秋聲一派。人垣の間に噂の看板火鉢猫・ジイノ②を発見する秋聲一派。たいそうかわいらしいので是非会いにゆかれることをおすすめします。
 
 受付がおそろしくごったがえしていたので遠くからバチコン!と目配せをしてそろりと展示室へ忍び込む秋聲一派。噂の青壁③に心身ともに染まっているところをあわや新聞社さんにインタビューされそうになる秋聲一派。アッすいません半分身内なもので…!と逃げだし二階へと踏み込みます。と、そこにあったのは雑誌の山でなく宝の山でした。とにかく噂の本多浩コレクション④の質量ともにすさまじいこと!経年のため酸化して茶色くなった紙の山が、けれどもこんなに眩しく見えたことはありません。そしてそんな中にいつぞやコレクション内から新発見されたことをこちらでもお伝えしました犀星さん宛秋聲先生自筆ハガキが慎ましく佇んでおられました。自分ちで開催予定の秋聲を囲む会(二日会)をご自分が幹事となってその出欠について執り仕切る秋聲先生…「場所:自宅」と書いておいての署名「幹事」って…何故伏せる!もう秋聲よりって書けばいいのになんですかその役職優先の生真面目さ…!と軽くツッコミをいれつついつかのお約束どおりガラスケースを鼻息で曇らせて参りました。(ちなみに差出人も含め「秋聲」の名はひとつも出て来ません。が、あのヒョロヒョロ文字は紛れもなく秋聲のもの…)
 新生犀星記念館さん、初めての方はもちろん一度行ったことのある方こそ是非足をお運びください。





焼け野原に一茎の花
 2014.3.7

 来る15日、秋聲入門講座の最終回が開催されます。次回のテーマは短編小説「紫陽花(あじさい)の窓」。

             これは「ふきのとうと窓」→

 ん?聞いたことないぞ?と思われた方、ずいぶんな秋聲マニアとの称号をほしいままにされて構いません。そう、当館のオリジナル文庫〈短編小説傑作集〉にも収録されておらず、ましてや現在秋聲研究の頂きをなす八木書店版『徳田秋聲全集』にも収録されていないという超レアな作品なのです!
 そもそも昨年度~今年度は既刊の〈短編小説傑作集Ⅰ・Ⅱ〉の2冊から傑作短編小説を読む、というテーマで開催して参りました。が、ここへ来て突然の文庫本圏外からのテーマチョイスが行われましたのにはたいそう複雑な事情が…特にありはせず、ただ単純にまさかのネタ切れ…。収録作品をやり尽くし、見渡す限り一面の焼け野原から「館長…!こ…今年度もちません…!!!」と力いっぱい叫ぶといういたってシンプルな事情によります。
 しかしさすがは館長、そんな息もたえだえな戦士を前にしてもまったく動じず「そうなの?文庫にないならコピーをお渡しすればいいじゃない。」との驚くほど寛大なアントワネット対応をいただきました。というわけで、先般館長の調査により新発見された「紫陽花の窓」を新鮮なうちにお届けすることに相成りました。発見の経緯などについてもお話があるかと思います。焼け野原に咲いた一茎の花、そんな紫陽花の窓を是非のぞきにきてください。申し込みはお電話等にて、テキスト無料配布中です!





パワーアップ研修
   2014.3.6

 4日、市内施設の学芸員やら職員やらのためのパワーアップ研修が開催されました。今回の講師は(株)MUSB代表取締役・東北芸術工科大学教授の関橋栄作氏。と聞くとまぶしすぎて失礼ながら一瞬ウッとなりますが、ご本人はいたって気さくで地方都市・金沢に住まうわれわれの立場にたってとてもわかりやすくお話しくださいました。
 キットカットを受験生の必需品にのしあげた御方、今でこそ国民的おやつですが数限りなく存在する「チョコレート」部門のなかから頭ひとつ抜けるには「おいしい」だけではダメなのです。対象そのものの魅力はそれとして、そのうえに「これでなくちゃ」と思わせるための付加価値をつけていくのが館の仕事。それぞれを唯一とする武器をいかに見つけていくか、ワークショップなども交えながら多くのヒントをいただいたように思います。関橋先生ありがとうございました。このご恩返しは今後の活動にて替えさせていただきたく存じます。

 パワーアップと言えば、犀星さんに先立ち1日ついにパワーアップしてリニューアルオープンを遂げた中村記念美術館さんにお邪魔してきました(研修会場となりだったもので…ついでですみません…)。

←勇んで写真をあげておいてなんですが外観はたぶん変わ っておらず…中が色味からしてさまがわりです。



 現在の企画展におけるパリ帰りの茶道具さんたちの存在感たるや!当館とはまったく異なる展示方法に憧れもふくめ、溜息の出る思いがいたしました。詳細は是非ご自分の目でお確かめください。また、いかんせん研修前だったもので体験できませんでしたが、大注目はコレ→「2.名碗による呈茶の実施ご希望の方には呈茶席のケースに陳列した作家の茶碗の中からお好きなものを選んでいただき、その茶碗で呈茶をいたします。」(中村HP掲載リニューアル項目より)…爪を切り、手を洗ってからうかがいましょう。 



 
 
金魚の日
  2014.3.4

 さて、昨日は3月3日、桃の節句・おひな祭りでした。茶屋街のほっこりポストもすっかりおひなさま仕様です。

 と同時に、例の日めくりカレンダーには「金魚の日」とも記してあります。ものの辞書によると、江戸時代後期頃、3月3日に雛壇に金魚を飾る風習があったことに由来するとのこと。金沢でいえば金菓糖(困ったときの金沢湯涌江戸村さま日記2月29日付参照)のなかに金魚がいたでしょうか、あれは鯛でしたか…。

 ともかく金魚といえばで連想されるのはやはり室生の犀星さん。金魚と老作家が会話する『蜜のあはれ』が思い出されます。そんなわけで今後3月3日は犀星さんの日に認定することにいたしました。そして今年は3月8日も犀星さんの日、3月26日も犀星さんの日です。それすなわち8日は室生犀星記念館リニューアルオープンの日、26日は犀星忌というもりだくさん具合…どこにもここにも一方的に絡みにゆき隙あらばずるりと潜り込んでゆこうとする当館ではございますがどこをとっても3月は犀星マンス、まったく隙がありません。

 ひねり出せば当館にも今月15日は入門講座の日、21日は新企画展オープンの日、という浮いた話題がございますが、だからといって3月を秋聲の手に取り戻すにはいたりません。そういえば去年だかおととしだか一昨昨年だか「あらくれ」展を開催中に本日3月4日は「ミシンの日」、つまり明治末期にマイミシンにてお洋服やさんを始めた「あらくれ」ヒロイン「お島さん」の日です!と宣言したことがあるような気もしますが、日めくりカレンダーの主な行事の欄に「サッシの日」とも書かれており、なんだか相殺された気分…結局3月は犀星さんの月ということでとりあえず8日がたのしみな今日この頃なのでした。





距離的に見にくいけれど決して醜くはない
 2014.3.2

 月替わりの刺激によって、書斎の掛け軸も替わりました。春のものはあまり所蔵がなく、現在は毎年お馴染み「春雨の草履ぬらしぬ芝居茶屋」をお出ししております。
 現在までに197句確認されている秋聲の俳句ですが、自筆で揮毫されたものには割と偏りがあり、これはよく書いている、よく見る句、といった数種類が存在します。金沢での少年時代の思い出を詠んだものといわれるこの句もよく書いていたほうで、早いもので去年の今頃となる企画展「ひがし茶屋街と秋聲」では、この掛け軸をはじめ同じ句を揮毫した扇子、短冊のバリエーションでお届けいたしました。おそらくその都度思い出しつつ書いているのでしょう、「ぬらしぬ」と「ぬらしつ」があったりします。いえ、そのときの気分で、といったほうが適切でしょうか。
 しかし悪筆を自称する秋聲先生、こういった揮毫は苦手だったようです。

 宴会の席などへ出ると、よく画帖や短冊などを附きつけられて揮毫を強いられている人がある。僕なども幸いに(?)そんな光栄を 担うことがたまにある。田舎から絹の片や短冊を送りつけられることも希(まれ)ではない。初めは何の気なしに因襲的に書いたものだが、自分の書いたものが方々へ拡布していることと思うと慄然(ぞっ)とする。そして以来そんな醜いものは作らないことに決心したのだが、矢張りそうも行かない場合もある。
           
             (「読売新聞」コラム「一日一信」より)

 劣等感のような気持ちから揮毫を断ったのだけれど相手に激怒されたこともあるから気を付けよう…と他の文章にも書いていらっしゃいます。有名人、かつ文筆家、なのに(自称)悪筆家はたいへんです。
 そしてそんなぼやきを洩らしているのが、今からちょうど100年前の4月25日。次回企画展パネルから洩れましたので、ちょいとこちらでご紹介。


 

館報校正中からのわなゝき
  2014.3.1

 毎年度末に発行しております当館館報「夢香山」。最新号である第6号を現在制作中です。今月初め頃、職員おのおの持ち場の執筆を終え入稿、先日初校が届き館内で校正作業などしているところです。
 今回は秋聲忌でもご講演いただいた八木書店版『徳田秋聲全集』の装丁者・大貫伸樹氏に特別寄稿をいただきました。ひがし茶屋街を描いた秋聲『挿話』装丁についての裏話満載ではやくみなさまのお手元にお届けしたい気持ちでいっぱいですが、発行は3月中旬か下旬か…もうしばらくお待ちいただければ幸いです。

 さて、校正の傍ら、月替わりという刺激を受けて不定期連載に「わななき」第5話をアップしました!今回の読みどころは“ザ・男の友情”といったところでしょうか。美しいのか美しくないのか、あの女はお前の妻にふさわしくないよ、という気持ちを態度にまで表してしまう友人S-と、それに応じてうん、きっと別れるよ!とS-に誓う主人公・安井。安井には男の意地なのか見栄なのか、今のところ妻・田鶴子にはどうにも不利な状況のようです。
 しかしそんな内心とは別に日常生活はそれとそれとして続行してしまうのが安井のずるいところ。ずるい、というよりそれも「無精」の一環というべき?あるいは「安易」?S-はそれを「其の本質が何であろうと、其処へ出逢ったものに動かされて行くような安井の心や、愚痴をこぼしこぼし醜いものに執着して、ずるずる引き摺られて行く腑効なさ」と表現します。この見識、お見事というほかありません。
 彼を見透かし、それを嘲るでもなく「憫れ」むS-の心にあるのは長きにわたり育んできた「友情」に他ならず、それがたとえ田鶴子に非情であっても、かたいっぽうで情は情…という筋書きは外面こそ単調だけれど内面でおそろしく人々の感情の入り組んだ第5回なのです。




FUN×FUN Museum
 2014.2.27

 先日、エフエム石川さんの生放送番組「Wannahappiness!!(ワナハピネス!!)」のうち全国の博物館美術館をご紹介するという上記コーナーに当館学芸員が電話出演させていただきました!
 ああいうものはどうなっているのやら?と思われる方も多いかと存じますが、コーナーの5分ほど前にスタッフの方から館に電話がかかってきて、今流れているラジオ音声を電話口で一緒に聞きながら待機、そして時間になるとプツッと何かが切り替わってそのままパーソナリティーの方と繋がる、という仕組みになっております。ただ言いたいことを用意して万全!と思って受話器をとっても松岡アナの流麗なお話しぶりを聴いている5分の間にその気持ちのしぼむことしぼむこと!プロのお声の心地よいことといったらありません。
 「え、ええ~こんなきれいな声の人(そして美人)と、か、会話を~…!?」と怖じ気づきながら気を取り直し当館のアピールをさせていただき、10分ほどの放送を終え事務室に降りてくると、「今ラジオで秋聲記念館って言ってるよ!!」と職員に連絡をくれたご友人があったといい…。ありがたいことです。さすがラジオさま、言ってるそばからさっそく誰かに届いています。

 ちなみにお電話は誰もいない会議室で受けさせていただきました。ふだんは事務室に職員みんなしておりますが、そんな職員のにやにや顔を目の前にして生電話など…!!という心の弱さから、横でばさばさされては困りますから~!という大義名分のもと2階に避難いたしました次第です。

←こちらは荘八挿絵第42番。現在原画展示中です。


 エフエム石川さんありがとうございました!CDに焼いて送りますね~というデキるスタッフさんに、えへへ…そんな…えへへ…と気持ちの悪いお返事をしてすみません。





挿画展コラボ企画終了のお知らせ
  2014.2.26

 おかげさまで昨日をもちまして標題企画、終了いたしました!本来3月16日、当館の荘八展会期終了をもって終了、と見積もっていたのですが、昨日鏡花記念館さんから記念グッズ出し切りましたのご連絡をいただき、間もなく当館でも在庫切れとなりました。すなわち開始からわずか20日間のうちに先着300名さまが両館を訪れてくださったというわけです。これは快挙です。
 本日以降の来館を予定されていた方には本当に申し訳ありません。記念グッズこそございませんが、あくまでメインはお互いの挿画展。鏡花と秋聲、雪岱と荘八を比較して見るのが面白いことに変わりはありませんので、是非ご観覧いただけましたら幸いです。
 そもそも平成の「黴」戦争勃発から始まったこのコラボ企画、別名「和解」記念企画、みなみなさまに両館を繋いでいただいたおかげさまで今のところは仲良しですが、ほうっておくとまたすぐに新たな「黴」戦争が勃発するに違いありません。何故なら鏡花と秋聲はどうしたって真逆、不倶戴天、水と油、きつねとたぬき、鏡太郎と末雄なのです。そんなわけで、またすぐにみなさまのお力をお借りすることになるでしょう。是非、両館の行く末をお見守りください。

 葉門の四天王(鏡花・秋聲・小栗風葉・柳川春葉)…
  かと思いきや鏡花さんの代わりに小峰大羽(後列左)→

 いつになっても無自覚でやらかす秋聲、に怒る鏡花、これぞ正しき構図。
 


事実は小説より
   2014.2.25

 6年生を送った日の午後、泣きはらした目で輪読会を開催いたしました!「え~はやいもので今回3回目となる…4回目ですかね、あ、いや5回、6回目ですね!最終回です!」と適当かつ混乱しすぎなご挨拶から始まりましたが偶数月の基本第3土曜に開催しておりますもので、4・6・8・10・12・2月の今回で第6回を数えます。
 最終回のテーマは「ある夜」、開催中の企画展テーマである「爛」の後日談のようなお話です。なんと秋聲先生をモデルとする主人公が登場し、「爛」のヒロイン「お増さん」にあたる人物(作中「おすみさん」)からその後の生活振りを聞く、という構図。といいつつ、「爛」の発表は大正2年、「ある夜」は明治44年ですから、前回の「リボン」(明治42年)とあわせて「爛」発表の前段階の作品となります。
 「爛」には実際にモデルがあったということなので、はっは~んこうやって取材しているのだなァ?という物語の外側の部分が垣間見られる、「爛」という作品にとってはバックステージ特典映像のような存在の作品なのです。
 
 もちろん、登場人物が重なるとはいえ別の作品。すべてが「爛」に符合するわけではありません。「爛」の結末とはまったく違った道が用意されていて、モデルとなった人から抗議の手紙を受け後半は創作で補ったという「爛」より、もしかすると事実に近いのかもしれません。そしてそうであるならば「爛」の結末よりずっとヘビーで、「おすみさん」の背負うこどもの重さがよりずっしりとのしかかるような内容となっております。
 こども?「爛」には4歳になる静子ちゃんが登場しておりましたが、その子ではありません。

←静子……じゃない!!となっている書き込みのさま。

 ではハテ誰の子なのやら…?気になってしまった方は当館までお越しください。輪読会は終わっても、「ある夜」のもたらすざわざわはそう簡単にはおさまらないのです。





かつての4年生、そして今はや6年生を送る会
  2014.2.23

 秋聲の母校・馬場小学校さんの「6年生を送る会」にお邪魔して参りました!事前に生徒さんから手書きのすてきなおハガキをいただき、ドキドキワクワクしながらうかがった次第です。

 会では各学年がそれぞれに趣向を凝らした出し物で6年生に感謝の気持ちを伝えます。なかでも4年生はやってくれました!秋聲先生の再登場です!「四年生レンジャー7」という戦隊もの、まさかここで!?という流れのなかで完全に油断しており、またほんの数秒のご登場であったためカメラが間に合いませんでした。しかし確かに目に焼き付けました「徳田秋聲」とたすきをかけたその人が舞台を横切っていくのを…!秋聲にロックオンしすぎて見そびれてしまいましたが、どうも3人連れだったようです。隣は鏡花さんと尾山篤二郎さんだったでしょうか?えっ!しゅっ秋聲!?しゅ…!カメラッ!しゅ…ッッ!!!といった具合に体育館の片隅でひとり慌てすぎました。
 
   こちらは3年生の創作劇、
    「ゴン一(イチ)だけの一本の刀」→



   何故かパンダ頭の正義の味方・ゴン一。



←サボテンモチーフの敵とたたかい倒れこむゴン一。
 がんばれゴン一。




 1年生に微笑み、2年生に感動し、3年生に笑い、4年生に慌てふためき、5年生に驚嘆し、6年生に感銘を受けるそんな素晴らしい会でした。

 いつか秋聲学び隊として来館してくれていた4年生(偉人学習は毎年4年生の課題)が立派な6年生となり、早いものでもうすぐ卒業…冒頭ひとりひとり名を呼ばれ壇上に上がるその勇姿を見守る段階ですでにだいぶ涙目でしたが、最後の合唱にいたっては滂沱。とうにぬぐうことさえ諦めました。またもやどの子かの親御さん感をびしばし放っていたことでしょう。
 馬場小のみなさん、ご招待ありがとうございました。中学生になってもいつまでも、ご来館をおまちしております!
 


 


元気が出る研修
  2014.2.22

 20日、学芸員研修会が開催されました。江戸東京たてもの園園長・小林克氏を講師にお招きして「これからの博物館経営」についてお話を聴かせていただきました。中ではいろいろ動いていてもなかなか情報が表に出ていきにくい博物館。いかに館を知ってもらい広く開いていくか、そのための広報戦略や魅力的な企画展、にともなう魅力的なイベントの企画立案、地域との連携などテーマは多岐にわたり、そのアグレッシブな姿勢に終始圧倒されつつ、規模や対象はちがえどおなじ博物館を守る同志としてたいそう鼓舞された一日でした。

 何か刺激にぶつかると人は「よし、明日から心を入れ替えよう」、「良い人間になろう」、「人生を仕切り直そう」、と強く心に決めて充実した気持ちで眠りにつき、さて明日になればまた元の自分のままのんべんたらりと生きてしまうものだよね…とは秋聲先生の言ですが(だいぶん意訳ですが、そんなネガティブ発言で出鼻をくじこうとするわれらが大家…。原文は次回企画展にて!)いえいえ、すべてにおいて無精、というシュウセイズムまで当館継承するわけには参りません。のしかかってくる悩める文士オーラをはねのけて、いただいた刺激を明日、いえ今日の活力に変換して参ります。
 小林先生ありがとうございました!われわれ秋聲先生の無精には負けません!
 
 会場は金沢ふるさと偉人館さんでした。何故かは知らぬが見れば元気になれるこどもたちによる「名前一文字展」を開催中!

「なわとび」と「けまり」を発見…

 

 





まじめなひと
 2014.2.17

 先日よりやや茶屋街づいておりますが、昨日もちょこちょことお邪魔して新年度の事業についてのもろもろ、とあるお店の方にご相談させていただいておりました。当館の図録をパラパラしつつ、何かおもしろいことはないかねぇ?とお話ししていると、やはり一度通り過ぎて戻ってくるのは秋聲先生のダンス写真のページ。真っ白いスーツを着てホールのうら若き娘さんと踊っています。何かと女性の影のつきまとう秋聲のこと、アッと思い、でもですね?べつに女性の手を握りたいわけではなくてですね?本人はことのほか健全なスポーツとして真摯に取り組んでおりまして…!と頼まれもしない言い訳を始めましたら御主人が優しく笑って一言「ええ、お顔を見ればわかります。真面目そうだもの」…さ、さすが…ひがし茶屋街に暮らす人々は…見る目が…見る目が違います…。ともすれば茶化されがちな秋聲のダンス、これまでたくさんの方にご紹介してきましたが、正直なところこんな反応をいただいたのは初めてのことでした。
 あっハイあのひと真面目なんです…とへんなフレーズでほっこりしてしまった瞬間でした。あるいは長期的計画になるやもしれませんが、茶屋街さんとの新事業、鋭意すすめていきたい所存ですのでどうかご期待ください。
 
 帰りにザ・金沢の風習、コーヒーに添えたお菓子を持っておかえんなさい、と包んでくださったのがこちら→

 おしゃれなウィスキーボンボン、どことなしか御主人に似ていてほっこりです。
 


まいどさんの金沢クイズ
  2014.2.16

 昨日、テレビ金沢さんの上記の番組収録を行いました!5分間のミニ番組で、金沢の歴史文化のスペシャリスト・伝説のまいどさんが各所から観光客の方に郷土クイズを出題するという内容。今回はひがし茶屋街と当館から、秋聲にまつわるクイズを出していただきました!

 しかし残念ながら生憎の雨…カメラをかばいつつ雨にぬれてやや早足気味の観光客の方をつかまえます。無事茶屋街での撮影が済み、今度は館内へ。クイズの内容にあわせ、荘八展開催中の企画展示室で撮影を行いました。寒い外から帰ってきてあたたかい館内に入ったため、カメラが曇るというハプニングもありつつ、館内撮影も終了。正解の解説のためちょこっとだけ当館学芸員も出演させていただいておりますが、やはりカメラのほうは見られず、金沢マイスター・伝説のまいどさんのお顔を最初から最後までたいそう熱心に見つめております。

 特に何事もなければ、放送日時は下記のとおり。

  第1回 2月22日(土)11時40分~45分
  第2回 3月 8日(土)11時40分~45分
 
 ふだん40分50分しゃべくりたおしているものが解説20秒では到底おさまらず、「巻きで…!!」と言われながらそんな早口の解説も含め、秋聲のなんたるかを5分+5分、賞味10分でお届けする予定です。

 
 


“白”の恐怖。(偽)
 2014.2.15

 東山のタイトル泥棒、どこかかしらから盗んで参りましたこちらのかっこいいタイトル。元気いっぱいに鼻息のことをお伝えしている当館とは対照的すぎてやや恥じ入りつつ、日々“白”に追われる某K記念館の学芸員さんに追い打ちをかけるように、えへへ荘八展第3期タペストリーも実は白に戻しているんですよ~、という要らぬご報告です。
 第1期から通してご覧になった方にはすこしがっかりされるかもしれません。すでに身内であるところの職員に「あっまた白なんですね…!」と一瞬がっかりされております。しかしそれも手玉が尽きたわけでなく、ちゃんと故あってのことなのです。

 なんでもない日常を色にすると白、爛れに爛れておりますなぁを色にすると黒、そしてそんな爛れた現実に覆いをして知らぬが仏・必死に取り繕ってなんでもない日常を取り戻そうとした結果の白、なのでございます。
それが人を裏切り、裏切られたヒロインお増さんの最終的な決断のさま…お増さんの、たいしたことを何でもないことにする強さ、と同時に目を背ける心の弱さ、背けざるを得ない社会的立場の弱さを表現したつもりのしわくちゃな白布です。

        そしてヘルニアは確実に悪化→ 

 先日のギャラリートークで、お増さんがいろいろな選択肢のなかからそうすることを選んだ、と申し上げた記憶がございますが、実は選択肢など最初からなかったのかもしれません。道は他にもあるのに!と思うのは現代の感覚であり恵まれた社会に育まれた無意識の傲慢さ――お増さんには選択肢があるとかないとかいう意識すらなく、ただそこに見える道をひたむきに進んでいるだけなのかもしれません。爛れきった道にも一枚布をかけてやれば、案外とひとは進めるものです。
 
 と、そんなことを語っていれば当然30分でおわるはずもなく、先日のギャラリートーク、たぶん40分50分しゃべりますので中座上等!ご覚悟のほど!と冒頭に宣言するという何の解決にもならぬ方向性でいつも通りやらせていただきました。 





しるし
   2014.2.13

 荘八展第3期、無事開幕いたしました!常に初日を何よりの大事といたします当館、張り切ってギャラリートークを行いました。第2期のギャラリートークの際、第3期はいつだって?と手帳にしるしをつけて帰ってくださったお客さまもばっちりお見えになり、秘密裏に行われた「転」からの「結」、あるいは「決」、秘密に気づいたお増さんの決断のさまをともに見届けることができました。そのほかわざわざ電話予約してくださったお客さまもあり、今日ご来館くださった皆々さまに心からお礼申し上げます。感謝のしるしにフライングで「爛」バッジをさしあげたいところですが、そこは是非鏡花記念館におでかけのうえ…。

 さて「しるし」といえばで思い出された残念なお知らせその2。荘八展全会期をとおして、全面ガラスケース内には毎度9枚の原画が展示されます。ひとしく10cm間隔で並べるため、ちょっと楽をしようと第2期のキャプションの位置をテープで記録しておいて撤去。そののちに壁面タペストリーを設置し、完了、よし第3期のキャプションをいれるぞ、と見ればところどころテープのしるしがありません。あれっと思い足元を見ると残念な結果に…






←自らの足でテープをこそげとったもよう  

  
 お見苦しい画像で恐縮です。そして地の色と靴下の色とがまさかの一致…いったいなにから身を守ろうとしているのか保護色とはこういうことです。自らもテープをくっつけ展示台とまったく同化しようと偽装したものか、おかげさまでところどころ配置を計算し直すはめになりました。ひだひだを制作しながらずりずり展示台を這った揚げ句のテープ泥棒。鼻息の荒い東山のテープ泥棒。
  




残念なお知らせ
  2014.2.12

 本日休館いただきまして、第3期への展示替えをいたしました荘八展でございます。鏡花記念館さんとのコラボ企画にご参加中のみなさまにはたいへん申し訳ございません。明日9時半より、企画終了のその日までもう両館ともに休館ございませんので、明日以降にどうぞお越しください。
 
 さて、今回も相変わらず全面ケースの中にひきこもり、例のひだひだとの死闘を繰り広げました。明日より迎えるのは最終会期ということで、これまでのひだひだもすべて使ってよりいっそう織り込まれ織り合わされる登場人物たちの感情をそこに再現しようと苦心いたしましたが、1枚が2枚に、2枚が3枚に増えたところで正直なところパッと見た目にはそう変わりません。
 しかし第3期には登場しない、第2期にご活躍であった助演男優賞受賞者・小林弁護士をひそかに紛れ込ませられたことには手前勝手ながらたいへん満足しております。

 全面ケース内にこもってみて、ああ長いお付き合いなのにそのお顔をよく見たことがなかったな…とふと気づいてしまった火災報知器。このすぐ下あたりの壁面に釘をうちつけるもので、まさに鼻と鼻をつきあわせて右のような驚くべき至近距離から初めてこの方のお顔を拝見しました。狭いケース内、妙な姿勢で釘をうちますとその負荷がけっこうな鼻息となってあらわれ、至近距離からのフーフーによってよもや警報がなってしまいはしまいか…とばかなことを考えながら「爛」のタペストリーは設置されたのだという残念なお知らせです。





大人の相槌
 2014.2.11

 いよいよ荘八展第2期も本日をもって終了です。明日一日休館をいただきまして、第3期へと展示替えをいたします。さきほどお客さまから「するってぇと常設展にある挿絵は複製ってわけですか??」との問い合わせをいただきました。仰るとおり、常設展示室に掛かっております右の挿絵は精巧なるレプリカ、本物は企画展示室に出ているそれです。決して2枚あるわけではないのです。正真正銘唯一無二であるところの第25番原画のお披露目も本日まで、となっております。

 さて、のんべんたらりとした日常に何かしらの刺激あるいは切欠がないとまるでアップされない館の気まぐれ不定期連載、アッ展示替えですな!というよくわからないスイッチにより「わななき」第4話を公開です。
 今回の見どころは場末の玄人女性と彼女を往診する安井との大人な会話っぷり↓

 「苦労するのならまだ可(い)いんですけれども、別れて了(しま)ったんじゃ為様
 (しよう)がないじゃありませんか。」
 「おやおや。」

 「とかく浮き世はそうしたものさ。」
 「真実(ほんと)にそうだわ。」
 「お察ししますよ。」

 内容も内容ですが、「おやおや。」「お察ししますよ。」これら相づちの大人仕様なこと!今後機を見計らって使ってみようと思います。どんな内容であれ、これさえ使えばなんだか急に大人な会話の雰囲気に!世間のいろんなしがらみをわかっているふう!
(本当の読みどころは帰りの遅い安井を迎えた妻・田鶴子の態度と一言です。最終回並みの高クオリティに動悸息切れが止まりません。)





「雪のある春」
   2014.2.10

 ちょっと一山越えたでしょうか、「雪のない春」が一転、雪が降ったりやんだり融けたり固まったりした結果、足元にくわえ頭上にも注意!とんだ凶器!
 さて、攻撃力こそつららの比ではありませんが無限に生成可能、手にする武器はそのへんで拾いかためた雪の玉それのみ、でお馴染みの雪合戦。秋聲先生が少年時代に経験した雪合戦はわりと本気のいくさのようです。「三四尺(1m前後)は優にある雪のマットは畳の上よりも安全で、一人でも相手さえあれば、火花を散らして源平合戦をやったものだ」ということで、どちらかというと引っ込み思案な方の末雄少年が援軍なし、かつ転倒することさえ承知のうえで熱中した模様。
 雪といえばでもうひとつ語られるのが四高時代に全校生徒で行ったという兎狩りの思い出です(中に西田幾多郎先輩もいたとかいないとか?)。やはり体の丈夫でない秋聲のこと、「行軍中に熱を出して、肝心の兎よりも先に倒れて了った(中略)火照る顔をそっと雪に埋めたその時の火のような感触が今でも頬に残っていて、懐かしい兎狩りは却って心持ちよい雪の肌触りとして思い出に上って来る」と、アンチ故郷を公言することの多い秋聲にしては珍しく美しい思い出のひとつとして往事に浸っています。極寒のなかに遊び回り、極寒なのに走り回ってすっかり熱くなった体を雪の中に投げ出す感覚は、北国育ちなら誰しもに共感できるものではないでしょうか。
 もっとも身近な北国育ちの御方にもきいてみたいところですが「鏡花さんも兎狩りされましたァ?」だなんて、ええ口が裂けても…。そのへんも徳田=無頓着・秋聲ならあるいは…。





25階からでも緑モサッとして見える奇跡の徳田邸
   2014.2.9

 次回企画展のため東京の徳田家に資料を借りにお邪魔している間にさくっと始まっております鏡花記念館さんとの和解コラボ企画、幸先よく7日のスタートと同時にどしどし和解して帰られるお客さまが相次いでおります。ありがとうございます。そのへんは浅野川をはさんであっちとこっち、ものの10分ほどで行き来できる距離が効いております。かたいっぽうを今日、もうかたいっぽうを会期中の後日(3月16日まで)にしていただいてもルール的に問題はないのですがせっかく出たついで、「和解」は早めに済ませておかれたほうがよろしいかと存じます。雪降るなかではございますが、両館にてご来館をお待ちしております。

 さて、東京も雪降るギリギリ前日にすべりこんですべり帰って参りました。

   東京23区役所中最高を誇るらしい文京区役所
      25階展望室よりスカイツリー(PM6:00)→

 そして徳田家より、秋聲先生のお使いになったティーカップやらネクタイやら何やらを持ち帰ることに成功しました!原稿でもそれはそれは緊張するのですが、陶器となるや、この心臓をつつむ肉のすべてをそちらの梱包にまわしたいくらいのスリルです。
 ご覧の通り東京はちょっと雲があるくらいでよいお天気でしたが、想像する金沢の雪のなか、館を目の前にして車から降りた瞬間つるりとすべってカション!となったらどうしよう、どうしようカションとなったら…!!とたいそう怯えながら帰って参りましたが、意外とギリギリ地面は乾いておりました。ありがとうございます。そんなわけで今回の戦利品もとい貴重な借用品は3月21日よりご披露する予定です。どうぞお楽しみに。と、その前に荘八展第3期、間もなくです!
 

 


むかで様降臨
  2014.2.4

 3日、宇多須神社さんで節分祭が行われました。毎年職員の誰かしらが参戦して芸妓さんの手から放たれるマメをとったかとらぬかのご報告をこちらでもあげておりますが、今年はなんだかんだで誰も行かれず…あーあ、今年はマメなしか…と沈んでいたところに、参加されたというお客さまから一袋おすそわけをいただきました!ありがたいことです!

 恭しく押し戴き、ビニールのなかを覗き込むと、去年にはなかったミニ絵馬根付けを発見。もしかすると去年にもあったのかもしれませんが、当館が目にした限りのマメ袋には入っておりませんでした。

 そのミニ絵馬、よく見るとちいさなムカデが掘られています。古来よりムカデは毘沙門天のお使いだそうで、秋聲も幼少期より親しみしばしば作品に登場させている「毘沙門さん」それすなわち宇多須神社さんの愛称!ということで厄除けのため混ぜ込まれているもよう。
 くだすったお客さま…ご自分のムカデ様は確保されたのかしらどうかしら、と若干心配になりつつ、有難く今年の守り神とさせていただきます。お心遣いに感謝です!

 ↑あわやファミリーパックのようにみえますが、手のひらの3分の2ほどのサイズ。

 さてそんな節分から一夜あけまして本日「立春」、と言いながら本日より金沢は雪。遅れてきた降雪がどこまで冬を取り戻すつもりなのやら?もうわりと忘却の彼方ですが、そろそろ「雪のない春」(1月16日記事参照)の話のつづきができるでしょうか。


 


長すぎるトーク
  2014.2.1

 本日、荘八展第2期としては2回目となるギャラリートークを行いました!午前の部、ひととおり解説を終え時計を見ると11時50分…11時からはじまって50分…完全にしゃべりすぎです。何が「30分程度」でしょうか、これは閻魔さまに舌を抜かれてしまうレベルです。
 
 反省しつつ(よしっそこそこに!!)とのもうすでにパラドクスを孕む逆気合いを入れて午後の部に臨み、お客さまと歓談しながら階段をおりてくると受付さんから一言「長かったですね!」えっ!となって時計を見ると15時…14時からはじまってジャスト1時間。しゃべりすぎどころではありません。もうたのまれてもいない講演レベルです。いえ、お客さまの後半ちょっと椅子をさがすその目線に気が付かなかったわけではないのです。が、お今ちゃんとお増さんと浅井のかみ合っているようでかみ合っていない各ベクトルの織りなす不謹慎ながらしかし面白いとしかいいようのない三角関係を前にしてはこの抜かれるべき舌のまわりが止まりませんでした。そう、この舌が…。参加者の皆さまの足腰と次の待ち合わせ相手の方に心からお詫び申し上げます。
 
 次回展示解説は第3期のはじまる13日(木)。それまでに「程度」のもつ意味を館をあげて問い直し、もういっそのこと妙なボカシをやめ「1時間」と宣言してしまうか、いやそれでは参加者の負担が多かろう、とどのつまりはええいその舌め!!との侃々諤々を経ておくことにいたします。
                      これもらえます!→


 


起承転結
  2014.1.31

 次回企画展の進捗状況を「起承転結」で言うならば、ただ今「承」といったところでしょうか、開催要項をまとめ、テキストを書き、画像をあつめ、間もなくチラシ・パネルといった形にしてゆく段階です。頭のなかだけにあったものが、目にみえる形となる過程でさまざまな人の手が加わり思わぬ方向にころがってゆくのがまさに「転」、そして展示設営終了が「結」、かと思いきや、おそらく「転」は「展」、観覧者のさまざまな反応を乗っけて最終的に迎える会期終了のその日にようやく「結」となるのかもしれません。
 と、そんなことを思うのは、先日のラジオ収録で荘八展第二期三期の印象をきかれ『爛』という作品における「起承転結」でいうなら「承」からの「転」でいちばん盛り上がるところです~、第三期はその「結」、ぜひ最後まで~」などとふわふわ申し上げたことによります。これからの編集作業の結果、実際に放送されるかはわかりませんが、改めて第二期三期と向き合ってみると第二期はまだまだ「承」、起こるぞ起こるぞという予感だけ匂わせ第三期になるとすでに「結」、アッ「転」がなかった…!と今更ながらにあの結果的な嘘を胸中で反芻しているのです。

 「転」は「転」としてたしかに存在するのですが、そこに起こった何かしらは二期と三期のはざまにあり、というより物語自体、本文の行間のうち秘密裏に落とし込まれており、おそらく第二期を見て第三期を見に来られた方は「アッもうそんなことに…!?」との印象を受けられることでしょう。

←たぶん黒布と黒布のはざま、ヘルニアのようにずる
 りとはみでているあのへんですでに胎動する何かし
 らが…


 堂々たるわかりやすい「転」がないのが秋聲作品の特徴かもしれず、しかしまた秘密裏の「転」ほど衝撃的なものはないのです。
  

 


ラジオ収録
 2014.1.28

 本日、ラジオかなざわの宮林アナにご来館いただき、荘八展についてのインタビュー収録をさせていただきました!
 毎度各メディア方面の方々の頭の回転の早さには度肝を抜かれ、またたくまにその背中を見失います。何故なら自分のいる場所を必要以上に繰り返し行ったり来たりするからです。
 あっ…さっき言ったな…、とまさにその言葉をリアルタイムで言いながら10秒前の自分をなぞっているこの感じ…言いながら気持ちがしぼんでゆきあからさまに語尾がちいさくなるのを自覚すると同時に、語尾の始末のつけ方を忘れあの回答もその回答も平坦な日記のような作文になるこの感じ…わずか30秒の中に追憶、焦燥、後悔、など普通に生活していてそう出会うことのない貴重な体験が詰まっております。
 
 あまり入念なリハーサルをせず、初めて展示を見る方に初めて解説をさせていただく形式で行われる収録により、特に宮林アナの語り口は臨場感にあふれています。展示室に入って目についたものをレポートされるもので、こちらとしても、オッそれにくいつきましたな?と嬉しくもあり、絵面のないぶん即座に言葉に変換するのに手間どりもし。
 すべて自らの引きだしに収めていると思っているととんでもないところに見知らぬ取っ手を発見されるなど、比較的同じ内容になりがちな毎月のギャラリートークを反省するよい機会ともなりました。宮林アナありがとうございました。
       おや、こんなところにも引き出しが…?→

 放送は前後編で2月8日(土)と15日(土)の10時~(予定)。秋聲、荘八への不器用な愛と宮林アナの匠の話術、お聴きいただければ幸いです。



 


「和解」とは
  2014.1.27

 争っていたもの、反発しあっていたものが仲直りすること。

 イベントページに先日こっそりアップいたしましたが、ここ2週間ほどいがみあっていた、もとい気がつけば当館が嫌われていた鏡花記念館さんとの「黴」戦争からの「和解」記念企画、スタートまであと10日ほどとなりました。いえ名目といたしましては両館における「挿画展コラボ記念企画」であって、そこに見え隠れする大人の事情、それが「和解」記念企画なのでございます。
 とか言いつつもはや隠す気もない感じに最前列に出張っております「和解」の文字。そうこの戦争の発端が「黴」にあるならば、その終幕の名は「和解」でなくてはなりません。「和睦」でも「和議」でもいけません。81年前からそこは「和解」と決まっているのです。

 というのも代表作「黴」において鏡花さんに〝ボイコット〟された秋聲先生、そこからおよそ20年を経て、昭和8年、二人が和解にいたったことをその名も「和解」なる作品としてお書きになっているのです。

       でました、それ以上でも以下でもない「和解」→


 そう聞くと、やはり(この人タイトルのつけ方適当なのでは…?)という疑いがもんやり胸のうちに広がるのですが実際にこの短編を読んでみると(これが「和解」か!やられた!)と膝をうつやら肩をすかされるやらかえって腑に落ちるやらいろいろした結果ちょっと笑ってしまうこと必至。鏡花も鏡花なら秋聲も秋聲。もういい大人(互いに60代)な二人のなんというおとなげなさ。二人に関して「和解」とは、やっぱりぼくたちムリなんだね!とその平行線ぶりを認識して互いの軌道に戻ることのようです。

 鏡花好き、秋聲好きなら必ず読んでいただきたい一編、この「和解」企画を機会に是非…ええ当館のオリジナル文庫にて…2館めぐりのついでに是非。 





徳田家のゼラニウム
   2014.1.24

 不定期連載に「わななき」第3話をアップしました!まだ離縁だの結婚だのごやごや言っている安井ですが、そんなごやごやのさなかに早くも嫁姑問題勃発!さすがお姑さんの息子びいきはたいそうシンプルな形となっております。無言を貫く嫁・田鶴子、それに腹をたてる姑。田鶴子さんのほんとうの心もちはわかりませんが、もし何か言ったら言ったでそれもまた姑の気に入らないのであろうことは明白です。前門の姑、後門の姑、右門に頼りない夫、左門に姑の味方らしい夫の兄、そして身のうちには赤ん坊…さて次回どうなるのやら…?
 また今回の話中に「ゼラニウム」が登場していますが、次回企画展準備をするなかにもしばしば登場してきて手前勝手にデジャブを感じております。どうやら作家本人がお好きであったようで、大正3年の徳田家のお庭だか縁側だかに実際に咲いていたもよう。ゼラニウムの鉢に秋聲手ずから水をやったりされています。
 そんなこともあり、先日駄目もとで秋聲令孫・章子名誉館長にゼラニウムがまだ健在かどうかおたずねしてみました。案の定、見たことないわ~とのお返事にそっと受話器を置きながらすこし冷静になり、そりゃあそう、100年も経っているのですからさすがに咲き継いではいないでしょうよ、えへへ…と数秒はにかみました。そう考えるとタイプが異なるとはいえ今ももっさもさしている犀星さんから贈られた竹やら羊歯(シダ)やらの生命力のすさまじいこと!

 「ゼラニウム、今から生やそうか?」と仰ってくださる章子さん…そうですね…もし企画展にその鉢を展示したとして「秋聲の育てたゼラニウム」と書くと嘘になりますが「徳田家のゼラニウム」なら間違いではありません。

←徳田家のお庭から書斎。野田宇太郎撮影!





《今日の梅ノ橋⑭》
  2014.1.23

 午前9時の光景、橋の上にもようやくうっすら雪がつもりました。が、日がのぼるとやはり事務室の小窓から見えるのは細切れの青空…2月にまとめて降るつもりなのでしょうか、かえって戦々恐々です。昼過ぎ、もうすっかり橋の上の雪は融け、あいかわらずの木造っぷりを発揮しておられます。

 さて、せっかくの好天ですので本日は太陽にかかわるちょっとした話をご紹介。とあるところから秋聲本の所蔵について照会の依頼を受け、さっそくリストを拝見したところ、おや?と思う資料名がいくつかございました。

 まずは徳田秋聲『冬の薔薇』、はい『寒の薔薇』ですね!文脈文脈、これは想像の及ぶ範囲です。つづきまして徳田秋聲『誘拐』…誘拐?そんなクライムサスペンス的な小説があったろうか?とこちらは思考が一時停止。そしてハッと気づけば『誘惑』でした。一字ちがいで大違い、初期の作品には誘拐したりされたり激しめのものもありますが、はたして『誘惑』のもつ秋聲らしさには及びません。秋聲にばちんと来すぎていてかえって新鮮な驚きを味わいました。
 そして極めつきが徳田秋聲『悩める日輪』、これは一時停止するまでもなくその言わんとするところが即座に思い出されました。正解は『病める日輪』です。『冬の薔薇』同様、たしかに想像、連想の範囲内にはありますが、一文字違えただけで急にその世界観が地球規模から隣のクラスのできごとほどにちいさくなってしまったことに脱力したのちフと笑ってしまうあたらしい書名!

 金沢における1月の好天が悩める日輪による何かしらの影響ならばかわいいものですが、病める日輪のせいだったらばほら急に恐怖…!たまに秋聲の作品タイトルのつけ方に(もしやこの人適当なのでは…?)と疑いを抱いてしまうこともあるのですが、なかなかどうして、さすがのセンスでした。


 
 

「和解」
   2014.1.22

 みなみなさまに朗報です!このたび某K記念館さんと当館との「和解」が成立いたしました!

 荘八さんを立ち会いとする当館での第一次協議、雪岱さんを立ち会いとするK記念館での第二次協議を経て、示談のもと平和的、建設的解決にいたりました。その証明とご心配をおかけした関係各位への謝意を形に、ということで、このたび両館コラボ企画を立ち上げる運びとなりましたので慎んでご報告申し上げます。
 
 はからずして同じ〝挿画展〟を開催する両館におきまして、その名(というより概要)も〝「雪岱挿絵で読む『山海評判記』―特別編」&「木村荘八『爛』挿絵原画展」をご覧になった方に素敵な「和解」記念グッズプレゼント!〟企画です。間もなくすべての情報が解禁になるかと存じますが、ただいま両館にて粛々と記念グッズの制作が行われております。
 
 しかしそもそもこの『黴』戦争の発端は当館で制作した『黴』バッジ…。今度こそK氏に嫌われないグッズ作りを心掛けたいところですが、その基準がゆるゆるの当館、今回もまた失敗してしまうかもしれません。いえ、そこは荘八さんで中和です。荘八さんの深すぎる秋聲理解に学びつつ、今年の目標は〝おもいやりとデリカシーを育む〟に決定です。

 そういえばK記念館ブログにも言及のある両館のちょっと似た色チラシ。届いた瞬間、あっ似てますね!となって当館ではシックな黒い面のほうを表にして置かせていただいております。
 えっ裏返しのつもりではないです、リバーシブルとうかがったもので…! 






第2回 入門講座
   2014.1.21

 18日(土)、志賀紀雄初代館長を講師に、入門講座を開催いたしました!

 「北国産」とは新潟出身のヒロインのこと。発表当時、ストーリー的にどこの女性でもいいんじゃないか、との批判もあったようですが、読み込めば広く北陸の女性らしさが滲みでているようで職員おしなべて北国産の当館といたしましてもむず痒い時間となりました。また今回薄毛でこそありませんが、相変わらず秋聲の女性の容姿に関する描写のこと細かいこと!女性ならぜったい秋聲の身の回りにいたくないですよねえ、と男性の講師に言わしめるほど欠点を包み隠さず、むしろ本人にも自覚がないかもしれない特徴をハイここ欠点ー!とこれでもかと書き出すのです。鼻がどうだ、顎がどうだ、指がどうだ、歯茎がどうだ…その筆の勢いたるや!
 ちょっともうやめてあげてお内儀(かみ)さんがかわいそう…!と横から庇いたくなるほど挙げ連ねるのですが、しかしそれによって彼女と彼女をとりまく空気感が伝わるのもまた事実…。そしてあーあ、また欠点を…と思った次の瞬間、それを「愛嬌がある」などと急に誉め出したりもするのでおっとそこは好みであったか…!とつんのめったりするのです。美人不美人も結局最後は個人の好みの問題、〝秋聲にハマッた〟と自認される講師にかかればその好みのタイプまでしっかり把握されているのでした。

 志賀初代館長、ありがとうございました!そしておみやげにと「辻占(つじうら)」(江戸村さま日記 元日記事参照)と食糧を分け与えてくださった参加者の方にも心からの感謝を!

←みんなでひとつずつ引いて、金銭と愛とをトレードしてもらいました。






頭髪の日
  2014.1.18

 本日「頭髪の日」だそうです。というより1(とう)8(はつ)ということで毎月18日が「頭髪の日」だそうです。なんだったら10月20日も10(とう)20(はつ)、「頭髪の日」だそうです。

 頭髪に関しましては秋聲先生うるさいほうです。というとご自分の薄毛を気にされていたかのように響きますが、秋聲の場合、男性よりも女性の薄毛に厳しい模様。年老いた女性の表現としてよく登場いたします。『爛』にもお増・お雪が髪結いさんに結ってもらいながら、ずいぶん薄くなったわ~と言って笑い合う場面があり、そしてこれ以降、髪の黒々したほうがお増さん、白く地肌が透けているほうがお雪さん、という容赦ない荘八の描き分けがより顕著に…。
 そして駄目押しのようにその名も「髪」との作品もございます。とある夫婦が終始禿(はげ)について論じあうというなかなかシュールな短編です。
 
「わたし随分禿げましたよ。」「禿げたっていいじゃないか。」

「成る程少し禿げて来たね。」「禿げてるでしょう。」

「禿と白髪と孰(どっち)がいいかな。」
「禿の方がいいね。さっぱりしていて、愛嬌があって。」

「肉食すると早く禿げるんじゃないか。」
「しかし禿げるものは、何うしたって禿げますね。」

 ずっとこんな調子…ちょっと読んでみたくなったでしょうか?そして軽妙な禿談義のなかに深い人生観あり。たまに講座や何かで取りあげようと頭をよぎることがあるのですが、いや待てよ!もし万が一いやな気持ちになる方がおられては…!といつも保留に。読むも読まぬも自由な枠内にある不定期連載にでもそのうちこっそりあげているかもしれません。ええ、いつかの18日に…。


  


文士の生活
 2014.1.17

 ぽちぽちと次回企画展のパネルテキストを書きはじめています。タイトルは「悩める文士の3.5ヶ月」、これまた内容の見えない薄ら暗さ。いつぞやにすこし触れましたように、今からちょうど100年前の今日、秋聲が何をして過ごしていたのかをご紹介する企画展です。
 大正3〈1914〉年の春から初夏まで、結果的にあまり何もしておらず、一瞬おおお~…と気が遠くなりかけましたがそれはそれとして開き直り、何もしていないことをそのままご紹介することにいたしました。厳密には「何もしていない」との表現は小説家として、という範疇のうちのことであり、ただこの時期に「小説を書いていない」というだけで当然他の何かしら、すなわち生活をしておられます。
 特にプライベートの見えにくい小説家という生き物は小説を書かないときいったい何をしているのか?ちょうどこの頃、スランプなのか五月病なのか、とにかくやる気のないひとりの成人男性(数えで44歳、職業・作家)のブラブラした日々がおよそ3ヶ月半展開されるのです。依頼されている原稿のこともちらちら頭をよぎる…でも無理!出かける!という秋聲の姿は非常に人間くさく、身近に感じられるのではないでしょうか。

 多作で知られる秋聲が小説を書かないということがいかに珍しいことか、解説パネルの余白に他の期間の主な著作をすべて列挙してやれ!と思いたち、明治30年代から書き出しはじめたはよいものの、解説自体が明治40年代に突入しているのにまったく終わりが見えず、全部は無理!出かける!と投げ出すまでの早かったこと…。
 
 あれやこれやとまわりくどくご説明申し上げましたが、つまるところ「お休みの日って何されてるんですか?」というお見合いのような質問を秋聲先生にぶつけてみる企画展です。




「雪のない春」
 2014.1.16

 次回企画展を小脇に抱えつつ、館報やらの原稿を書きつつ奇跡のような青空をブラインド越しに眺めておる今日この頃です。どうしたことでしょう、この青空。細切れにされても青空。今が北陸の1月であることを忘れるほどです。

←あ、いえ、閉じ込められてなどいません。みんな元 気です。ドアもちゃんとありますし開きます。

 けれどもそんな雪のない春を秋聲先生はお嫌いだそう。標題のエッセイにて「(病気がちの自身にとって)雪の無い春は此の上も無く恵まれた贈り物だが、また雪のない春ほど不調和でうとましいものはない」と語っています。そうか…雪降らないと楽だねえ!などいうのは凡人の所業、さすが作家はもののあはれで生きておられる…としみじみした次の瞬間、スケーター達やスキーヤー達に満腔の同情を献げだす秋聲先生。満腔(まんこう)…からだじゅう、全身の意。
 その華奢な背中を一心に見詰めていたら急にしゃがまれるのについていかれず一瞬見失った感じです。執筆の頃、昭和7年1月は30年ぶりの暖冬だったようで「ウヰンタースポーツに大いに関心を持つてゐる」(原文通り)らしい秋聲先生は文学を語るより先に湖に氷張る待ち、あるいは山に雪降る待ちをしている彼らへの同情を口にされるのです。いえ、回路としてはまっとうですが「徳田秋聲」のその口からスキーヤー達の悲嘆が代弁されるなど誰が想像できたでしょうか。ウィンタースポーツに興味がおありだなんて何のギャップを狙いにきておられるのかと、毎度この大家(当時62歳)には驚かされることしきりです。
 結局もう少し若かったらねー、ということで少年時代のウィンタースポーツ=雪合戦へと話題が移ってゆくのですが、続きは件の小窓から降る雪を眺め暮らす頃にまた。




それみたことか
  2014.1.15

 不定期連載に「わななき」第2回をアップしました!今回の読みどころは、妻・田鶴子のお腹にできた子をほんとうに自分の子だろうか、と疑う主人公・安井に向け親戚筋の細君がでも奥さん悪い噂ありましたよ~と混ぜ返す際に添えた一言です。

「今だから言っても可いでしょうけれどね、」

――いやいやいや!どこがどうして!いつ言っていいその「今」を迎えたのだかわかりません。告げ口をするのは自由ですが、安井はまだ疑っている段階、産まれてみないとわからないんだ~、と言っているのに今だったでしょうか、本当に今?案の定、安井の反応は「それみたことか!」でなく「然うかな。」頼りないことこの上なし、全然「今」でなかった証拠です。
 しかしおそらく自分でも思った以上にこれに強く背中を押され、離縁をシミュレーションしてみる浅井ですが寂しさと同時に物足りなさを感じはじめます。なにが物足りないか?「それみたことか!」この一言に他なりません。
 もやもやとした自分の臓腑を気持ちよく落としこむため、そして悲劇=「妻に裏切られた可哀想な男」の感じを味わってみるため安井は妻に罠を仕掛けます。が、ひっかからない妻、暖簾に腕押し、糠に釘、このあたりの駆け引き、恐ろしく秀逸…!

 これに共感してしまえることの善し悪しはちょっと脇へ置かせていただきたいところですが、これに共感してしまえる感情をお持ちの方、きっと心臓がどくどくしてしばらくたいへんなことになりますのでご注意ください。秋聲という作家の人間を見透かす目は本当におそろしいのです。

←執筆当時、ご家族と。
 おそろしい目線を秋聲だけはずしてくるふう。





黴侵入成功
  2014.1.12

 こっそりばらまいてきたはずが気付かれてしまいました。しかし時すでに遅し、鏡花記念館さんに秋聲の黴菌を侵入させることに成功です。ふふ…畳と黴のよくお似合いなこと…!真っ青になってブルブルわなないている鏡花さんファミリーの姿が目に浮かぶようです。

 いえ決していやがらせのつもりでなく、秋聲の代表作『黴』発表にいちばん反応されたのがほかでもない鏡花さん、かつ作品の主要キャストであるからして、これはご挨拶しておかねばなるまいよ…という配慮、配慮なのでございます。結果畳を汚すことになってしまったことについては想定外、想定外のアクシデントなのでございます。

              赤バッジは『黴』初版本色→

 館にまったく悪気がないのと同様、当時の秋聲もまったく悪気なくけろりとしたもので、鏡花さんが『黴』の内容に激怒しているさまを見て「えっなんで?」と思っていたと後年回想しています。
 いやいや秋聲先生、イニシャルで勝手に登場させられ、書かれたくもないこと(主に紅葉先生)をあれやこれやと書かれた上にその作品名がよりにもよって最も忌み嫌うところの『黴(カビ)』だなんてそれは怒りたくもなるでしょう?…と理解を示す傍ら、といっても出世作ですからね、といそいそバッジなぞつくってよければどうぞ~と持ってくる館のその神経…!というお話でしょうか。およそ100年を経て『黴』戦争ふたたび勃発の予感…

 そういえば鏡花さんのところの“べろべろ”も拝見して参りましたが、噂にたがわずべろべろとしてどことも言われぬ異界に巻きこみ誘う空気を醸しつつしかしそれ本体にはしわひとつなく清廉な存在感を放っており、やはり当館のだらりとした“ひだひだ”とは似て非なる!むしろ非なる!結果的に「(鏡花と自分とは)何等抵触する筈のない、異なった二つの存在であった」といういつかの秋聲先生の言葉が思い出されました。

 アッわれらが宇多須神社さんの左義長は明日13日8時~15時だそうです!



郷土愛
   2014.1.11

 いよいよ本格的な冬到来です!次回企画展の調べ物のため、吹きっさらす雪のなか図書館まで向かうバス(鏡花号)車内から撮影してみました。

 なんだか窓ガラスの曇りの範疇のようにも見えますが、雪がつもって白くなった金沢城の光景です。お向かいの兼六園も名物の雪吊りと相まみえ、さぞや見応えあることでしょう。


 等(=秋聲)は又脛(すね)の細長い、雪沓(ゆきぐつ)ばきの父につれられて、本願寺別院の門のところで軽業を見せられたこともあったし、公園に日本武尊(やまとたけるのみこと)の銅像が建ち、誰も見たことのない像が観覧に供せられたとき、公園へもつれて行かれたものだ…
                                           (自伝小説『光を追うて』より)


 この文脈などから、秋聲、雪の兼六園にもよく通っています!!…と元気いっぱいにご紹介したいところですが、大和武尊の像が建立されたのは明治13年の10月だそうで、すぐさま見に行ったとすれば当然まだ雪景色ではありません。雪景色にこだわらず公園そのものに視野を広げたところで「旅客のみんながみんなあの公園が解るわけではない、私などもそのひとり」などとさらっと書いてくれており、その正直さにウフフやっぱり秋聲、と好感を抱く反面、郷土の文豪として顕彰する館の性質からすれば、若干その正直さに対しておのれ…!と心の奥歯を噛みしめてしまう部分もございます。
 お城を含め、さして良い好き素敵と語っている文章はお見かけしないのですが、大正はじめにお濠が埋められたり公園の整備がなされたりしたことに対して「おせっかい」と言ってもいるので少なからず愛着はあるのでしょう。
 
 あらゆるものに対してその愛着のわかりにくいのが秋聲、自分のエリアにあるものは特に誉めないのが秋聲。すなわち金沢は秋聲のエリアに違いない方程式の成立です。



 

入門講座のお知らせ
  2014.1.9

 18日(土)、秋聲入門講座の第2回を開催いたします!

 入門講座は開館の翌年からはじめ、早いもので今年度第8期に突入。ひとりでは挫折してしまいがちな癖のある秋聲の文章を、専門家が専門家なのにとてもわかりやすく、熱く解説してくださいます。偶数の月に開催している学芸員主催の輪読会は別名「お菓子の家」すなわち甘いものと罠にあふれ謎が謎のまま終了することもままありますが、入門講座はしっかりと準備されておりますので「はーん、なるほどねー!」という感慨をもってお帰りいただけるかと存じます(その代わりお菓子はでません)。
 次回とりあげる「北国産」(当館オリジナル文庫『短編小説傑作集2』収録)はちょっと朗読したい欲求にかられつつ大きな声で読み上げるにはデリケートなひとりの私娼のお話。デリケートを文字にさせては秋聲の右に出るものなし、作家本人はわりと無頓着でデリカシーに欠けるところがありますが、何故こうも繊細な心理描写に秀でているのか…秋聲のなかは一体どうなっているのか…射手座の何型なのか…何型なのか…三文豪は…

  執筆の頃、40歳手前。なにか悲しいことがあった男ふう→

 「北国産」に血液型は描かれておりませんが、作品をいろいろ読んでみれば判断の材料になるかもしれません。ちなみに来年年男、趣味は庭いじり、旅行はシミュレーションだけで充分、字はちいさくて華奢、比較的夜型、押しに弱いところがある、めんどうくさがり、食事は雰囲気で味わうタイプです。
 まだお席に余裕ございます、今すぐお電話くださいませ!

 



ゆるふわ
  2014.1.8

 遅ればせながら昨日ようやく鏡花記念館さんの「雪岱挿絵で読む『山海評判記』―特別展」を観覧して参りました。雪岱挿絵に描きこまれている直線のそれはそれは美しいこと!角は見事に角、キュッ、キュッと鋭角に折れ、そこから伸びる線は迷いなくここと決めたゴールへとまっしぐら。終点にてピタッと急停止するのです。

 それにひきかえ荘八さんの描線のゆるゆるなこと!雪岱さんの描く机の端に足の小指をぶつけた日には大惨事を免れませんが、荘八さんの描くふわふわの火鉢の端にならぶつけてもその衝撃はなにだかよくわからない素材に吸収されて大丈夫そうです。

←ふわふわな火鉢


 そして荘八の線にはここと決まったゴールなどありません。どこからともなく始まり、どこへともなく消えてゆく…平行という名の2本の線がゆるゆるよろよろと交わったり離れたり途中でいなくなったり現れたり…しかし決して迷っているのではない、確信をもった筆致が最後にはひとつの形をつくりだす――やはり職人技です。
                   しょわしょわな箪笥→

 観覧者としては不純やもしれず恐縮ですが、強烈なセッタイズムに触れ改めてショウハチズムのなんたるかが浮き彫りにされたようです。荘八…ゆるふわ…と呟きながら帰館いたしました。





わなゝき
 2014.1.7

 新しい年を迎えましたので、新しく連載を始めることにいたします。本日より不定期連載にて「わななき」(原題「わなゝき」)ちょっぴり長めの全8回のスタートです。
 昨年の平成25〈2013〉年は木村荘八さんの生誕120年、また『爛』成立(大正2〈1913〉年)から100年というダブル記念イヤーでしたが、年がかわって堂々と120年記念・100年記念を謳うことができなくなってしまいました。今後、展示解説などの折にそのあたりちょっとモゴモゴすることが予想されますがどうか見逃してやってください。前後の企画展等々の兼ね合いのなか、どうしてもダブル命日11月18日を含みたい形で設定した結果の年またぎです。
 おそらく展示や催事の企画者あるあるとして常に意識されていることがらではないでしょうか。この年何の年?は、企画のきっかけのひとつとしてどの館にも君臨しているに違いありません。というわけで、「わななき」も、ちょうど100年前の1月1日に発表された作品をもって参りました。
 ちなみに、3月からの次回企画展(~6月)もまさにそんな目線から企画されております。当初、「秋聲の描く金沢」(仮)を予定しておりましたが、具体的に組めば組むほど、衣食住なににつけても「冬」がメインとなりすぎましたので今秋に先送りすることにいたしました。
 思いがけず横から衣服を剥ぎ取られ、丸裸の状態でとりあえず確認してみたのがこの日なんの日。目先を変え、ちょうど100年前=大正3年の3月~6月に秋聲が何をして過ごしていたのかを考える企画展にしてみました。が、結果的にあまり何もしていませんでした。多作の鬼・秋聲先生にだって手ぶらの時期もあるのです。
 すなわち現状はだかんぼうの手ぶら同士で戦慄くばかり。

        第二期に登場!はだかんぼうのお増さん→
             (お風呂でリラックスタイム)





初春のおよろこび                    
 2014.1.4

 あけましておめでとうございます。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

 さて年明けまして初春、こういうものはスタートダッシュが肝心とばかりに本日さっそく荘八展第2期展示解説を行いました。
 解説はいつも心もち毎月第1土曜に設定しており、企画展チラシ製作にあたっていた9月頃にカレンダーから1月は仕事始めの4日がはりきって第1土曜にあたっていることを確認。そうか年明け早々……けれども例外なく!と真夏のテンションにまかせ意気込んでチラシに開催を刷り込んでしまいましたが、やがて10月になり朝晩冷え11月になり葉も落ち12月になり霙も混じりだし徐々に省エネモードの冬のテンションに落ち着いたころ迎えた1月も当日になってみてようやく、いやいや正月早々展示解説をやろうだなんてやる気の空回りもはなはだしい、4日はふつうお買い初めでしょうか、はたまた正月疲れを癒す休息・休肝日?うちは開館日ですけどね…フフ…休館と休肝、なんつってね……と変な方向に朝からモヤモヤしておりましたら11時5分前、受付からそのモヤモヤを吹き飛ばす元気なお声が聞こえました。

 いつもイベントに参加してくださる常連さんにくわえ、解説にあわせて来館し初めて参加してみるよ、というお客さまがいらっしゃいました。後光がさして見えました。
 おかげさまで予告のとおり、しかも午前午後とも盛況のうちに展示解説を開催することができました!

 ただ、内容は予告のとおり正月の浮かれ気分に鉄槌です。ダークホースお今ちゃんの台頭、半襟を掻き合わせつつ出る杭を打たんと動き出すお増さんの思惑、おかげさまで順調に爛れだしてきています。



 

 

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