寸々語

寸々語(すんすんご)とは、秋聲の随筆のタイトルで、「ちょっとした話」を意味します。
秋聲記念館でのできごとをお伝えしていきます。


 

蟹のあはれ
 2015.12.28

 ちらほらと雪が降り始めました。今年はさほど降らないのかな?と思っていると2月あたりにドカッと降ってくるのが金沢の雪。秋聲の絶筆は「古里の雪」。これはまた別の随筆ですが、自分が幼少のころには屋根くらいまで平気で降った、と書いていらっしゃる雰囲気を味わっていただこうと、風土展では昭和15年(秋聲先生晩年)の大雪を記録した絵葉書をメインビジュアルとして使っています。

 これは武蔵が辻(近江町いちばのあるところ)の様子。たしかにすごい。
 そしてこれをご覧になる方の多くが三八豪雪ですか?とお尋ねになります。昭和38年の大雪は伝説的で、以前に館でお招きした作家・古井由吉先生もその作品「雪の下の蟹」に、ご自身の体験として書かれています。

 さて、蟹。風土展開催以来、いまだ館の話題の中心にございます蟹。噂の短歌館長から新作が届きましたので謹んでご紹介いたします。

 かにかくに
 蟹といふ字は哀しけれ
 泡吹く汝(なれ)の生(いき)の寂しさ

 秋聲先生の問題作・蟹色紙が与えるインスピレーションが止まりません。蟹という文字のうえにシャッと線をひいたり、小さく丸を付したりしているのを、文字の良し悪しに対する自己評価くらいにしか思っておりませんでしたが、短歌館長の目には蟹が海底で泡吹く様子に見えたもよう。たしかに秋聲先生は地味に絵もお上手でいらっしゃるので(次回企画展でご紹介します!)漢字を絵にみたてて遊んだ可能性も大です。
 これ(色紙)は完全に楽しんでるでしょう~秋聲だったらこんな感傷的な歌は書かないよね、といいながら、サラサラリとデスクに新作を置いてゆく館長が今年もすてきだったことをご報告して本年最後の寸々語とさせていただきます。ご清聴ありがとございました。
 
 みなさま、どうぞ良いお年を!
 

 
 

秋聲生誕祭
  2015.12.23

 秋聲先生、ことしもお誕生日おめでとうございます~!!去年はリニューアル休館のためお客さまとともにお祝いができませんでしたが、今年はあの鳩サ○レー贈呈の儀式復活です!そう、名誉館長から今年も鳩サ○レー、箱いっぱいにとどきましてございます!ありがとうございます!
         まずは主役の秋聲先生に→

 「なんで鳩サ○レーなんですか?」と訊かれても答えられる者はおりません。思い返せばはや5年前…職員による「秋聲先生お誕生日23日ってすごいですねー祝日ですねーそこからのクリスマスイブ、クリスマスってすごいですねー全体的にめでたいですねーぜひお祝いしたいですねーなんか配りますかー!」から、「今年も鳩サ○レー送るわね!」との名誉館長のお言葉のあいだ…そのあいだの記憶がスポーンと抜けており、何故鳩サ○レーになったのか、まったく覚えちゃございません。「え?ああ、秋聲先生が小鳥、お好きだったものですから。」とさも当たり前のような顔をしてお配りすべし、と職員に周知してはいるものの、おしなべてあんまり好きじゃない動物のなかから強いていうなら、という程度で、小鳥10羽も飼ってたんですよぉ~!というほどのエピソードとてございません(秋聲次兄・順太郎さんは鶫(つぐみ)などそこそこ飼っていたようです)。そして、鳩って小鳥…?鶫って食用として…?とのいろいろなモヤモヤをぜんぶ見ぬふりして最終的にまあいいよね、おいしいもんね、でウヤムヤにするところまでが毎年ワンセット…。 
 ですので、何故コレかと職員の誰かが思い出すまではぜひ訊かないでいてください。経緯こそ不透明ですが、お祝いしたい気持ちには一点の曇りもないのです。
  




金沢大学人社学域共通科目「文学概論」
  2015.12.21

 なんだかとても頭のよさそうな科目に呼んでいただきました。ざっくり秋聲の母校・金沢大学さんの講義にて、秋聲の魅力について語らせていただけるという有り難き幸せ…!
 思い返せば去年のいまごろにもお招きいただいたのでした。寸々語にはそのタイトルに「ゲレンデのごときキャンパス」(昨年12月9日記事参照)。そう、去年は雪が早かったのです。今年が遅いというべきでしょうか。

 今年のキャンパスはこんな感じ↓
 講義室のある二号棟の四階から眺めた図です。この絵面からふと頭によぎったのは風土展にて展示中の随筆「加賀」より、「実際金沢には京都式の処がある。力が無い細い処がある、しかし京都よりも冷たく、暗く、どこかに北国特有の野蛮〈サバエジ〉な処がある。」という一文でした。冷たく、暗く、野蛮な北国…

(金沢大学さんをいうのではありません。あくまで、このお天気の感じ!どんよりして寒々しい感じのことを…!)
 
 おかげさまで講義室はあたたかく、学生さんの発表にも学ぶところありいろいろと勉強になりました。いつも話しっぱなしであまりご感想をうかがう機会がないものですから、前回同様みなさまの感想など送ってくださるそうでたのしみです。

 ここに書くんでしたでしょうか?
 学生さんに混じって座っていたら、先生が「出席カード」を配ってくれました!新鮮!!



 

 


蟹色紙の影響力
  2015.12.20

 朝出勤いたしましたら、デスクにこんな紙が置いてありました。

 「秋聲の色紙を見て読める戯哥 倣啄木」として、

 かにかくに
 蟹といふ字は哀しけれ(面白し)
 蟹書く吾も
 悲しかりけり
    (解体されし大いなる虫)

 ………か、館長~~~!蟹色紙からの館長~~~…!!展示中の蟹色紙が館長の歌心を刺激した模様です。おそらくはお客さまの隙間を縫って展示室でこれを眺め、そしてサラサラリと手元の紙に書きつけ、そっと学芸員デスクに置いて帰られる館長の素敵さ。館長の素敵さ!!(大事なことなので大きな声で二回言いました。)
 そして何より館長の歌心をくすぐった蟹色紙のやんごとなさです。みんなこれを見て思うところを自由に書いて帰ったらいいです。ふと、当HPのトップページにいらっしゃる秋聲先生、小説家らしくて当館では何かと使いまわしているお写真ですが、その筆の先から繰り出されるのが小説の一節でなく、よもや「蟹、蟹、蟹」だったら?と想像してひとりクスクスしてしまった次第です。ほら、その筆の先…そこから「蟹」と…(別窓でトップページを表示しながらこの文章を書いています)。
 そういえば、風土展でフードをご紹介しているのははじめからこちらの発案でなく、現在合同企画をさせていただいている犀星記念館さんと以前お話ししていたおり、「秋聲さん次回なにするの?」「うち風土展です」「あ、フード展?じゃあうちと一緒だ!(「金沢の料亭・食と犀星」展開催中)」「ん?アッそっちじゃ……まいっか!そっちでも!」といったやりとりの結果です。誤解から生まれた合同企画です。
 
  



あらくれ終演
  2015.12.18

 はやいものであの熱気から一週間…おかげさまをもちまして、開館十周年記念朗読劇「あらくれ」、両日とも満席のうちに無事終演いたしました。ありがとうございました。こういった大きなイベントが近くなると、それそのものの夢を見たりなんだりするものですから、アレ?これまだ夢のつづき?日めくりさまはすでに18日を示しているけれども、実際にはまだ8日とかだったりする…?と若干びくびくしております。

←「こうしちゃいられないんだから!」

 ようやく終わった!!という気持ちとともに、もうこの舞台、見ることがないのか、という寂しい気持ちもあり。とにもかくにも、キャスト・スタッフのみなさんは五周年に負けぬ力強い素晴らしい舞台を見せてくれました。これまでほんとうにおつかれさまでした。

 12・13日と開催したうち、13日には東京から徳田章子名誉館長も駆けつけてくださったのですが、感動のカーテンコールののち司会がご挨拶に呼び込む前に演出さんよりちょいちょいと舞台に誘い出される名誉館長。ん?アレ?段取りがちがうぞ…?と見ていると、とつぜん袖からかわいらしいおねえさんとともに大きなくす玉がやってきて、促されるままにくす玉を割る名誉館長。大量の紙吹雪のなかに「祝10周年」と「章子LOVE」の垂れ幕が…! とんだサプライズでございました。これまで密にお稽古に入り込んでいたつもりがまるで気がついておりませんでした。
       前列、左端から揉み手四兄弟→

 そうして「ぼんどうにあでぃがどうございばしだぁぁ~」とぐずぐずになりながら十周年の幕を閉じたのでした。いや、十周年はまだあと三ヶ月残っているのでした。まだ幕を閉じてやいないのでした。あとアレとアレをやらねばならぬのでした。

 この感動と感謝のきもちはとても寸々語にはおさまりません。キャスト、スタッフ、そしてお客さまのひとりひとりにご挨拶してまわりたいところですが、優先順位がつけられませんので、とりいそぎバルーンアートの巨匠たちに心からの感謝を捧げます。

←終演直後、「あきちゃん」はじめ、特別出演の子役のみ  
 なさまの楽屋シャワー室。

 待ち時間長かったですね!ほんとにありがとうね…!


 



いつか見た蟹
  2015.12.10

 きのう新聞社さんから「いま風土展で初公開されている秋聲自筆色紙というのはどんな内容ですか?」とお問い合わせいただき、「え~蟹って書いてあるんですけどぉ~…とにかく蟹って…ちょっとよくわからないんですけど~なんかいっぱい蟹って~…」とふがふがしたお返事をしてしまいましたこと、今更ながらに反省をしております。が、それ以上説明する言葉をもたなかったのです。なんせ、とにかく、蟹。

 ね!とにかく、蟹!

 制作時期、目的ともに不明のこの色紙、実は発見されたのは去年の夏のことでした。別の企画展の資料借用に徳田家にうかがった際、名誉館長からそういえばこんな色紙も出てきたのよ~とお見せいただいたのがコレ(写真は逆にレアかもしれない、まさに徳田家書斎にて)。

 アッ蟹ですね!?なんだろう!?蟹かァ!!と一頻り盛り上がったのですが、どういった脈絡でご紹介したらよいものやら、考えあぐねてはや一年…。やがて忘却のかなたに葬られんとしつつ、別途この企画展の内容を詰めていながら、金沢の風土…フード…郷里の味覚でもご紹介しようかい……アッ!?ココダーッ!!!とそのとき鮮やかに蘇った蟹色紙の記憶!すぐさま名誉館長にお電話をして、あのときの蟹貸してください!!とお願いしたのでした。
 そんなわけで本邦初公開となるこちら、堂々、全面ガラスケースの中央に陣取っておりますのでぜひ見にきてください(しかもこれ2枚あるという…!)。





あらくれ稽古vol.4〈といいつつ最終回スペシャル〉
  2015.12.9

 決して4回ぽっちで!お稽古たった4回ぽっちでここまで辿りついたわけではございません!!それこさ回数にして軽く二桁…毎週末には通し稽古、その合間を縫っては部分稽古、そうしてここまでやってきたものをレポートにしてわずか4回…申し訳ないかぎりです…。

 今回は当館より館長もお邪魔いたしまして、そうして石川テレビさんの取材も入っていただきまして、良い緊張感のなかで行われたように思います。泣いても笑ってもこれっきり、最後の通し稽古となりました。

←演出さんよりご挨拶が行われているところ。
 繰り返しますが総勢約40名、壮観です! 

 今年も大活躍の日めくりカレンダー様によると、本日「漱石忌」。「あらくれ」に「ごもっともで」はあっても「おかげさまで」はない、と批判したのは他でもない漱石先生でいらっしゃいました。今からちょうど百年前の出来事です。
 と言いながら、こちとらこの公演準備に際しましては「ごもっともで」と「おかげさまで」のオンパレードでございました。行き届かぬことばかりで出演者・スタッフのみなさまに多大なるご迷惑をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます。技術はないが、気持ちだけ!秋聲先生に対する気持ちだけが当館の推進力!すみません!!

 あとはつつがなく公演の日を迎え、そして終えることをただただ願うばかりです。結果たった4回しかしちゃおりませんが、ネタバレできないレポートもなかなかにつらいものでした。

     この日は演出さんのお誕生日!
   とりまいて回るひとびと!→


 ←お島さんといい感じの(インバネスが似合いすぎる)左の男性、石川県民ならみな知っているかの御方の友情出演…!!
 
 
 は~~~もうみっつ寝ると本番です!!








雨にはじまる
  2015.12.5

 
 「前回のキャプションどうします?」
 「あ、こっちで破棄しますから置いといてください」
 「じゃあ適当にまとめておきますね」
 「お願いしまーす」

           という会話からのコレ→

 うわぁ盛り塩みたぁい!

 いつも細部まで気遣いの行き届く設営業者さんの手により、館長室の前に盛りキャプションができておりました。ちなみにこの日は館長ご出勤のうえ、ご在室。出た瞬間、アレッ?盛り塩かな?と一瞬思われるかしらどうかしら…とウヒウヒしながらなんとなくそのままにしており、はっとして慌てて片付けましたつい今朝ほど。

 この盛りキャプのおかげさまかどうだか展示替えぶじ間に合いました!が、よーし来い!と展示室を出てサロンからふと外を見ましたらものっすごい土砂降り!何コレ!いじめ!?初日なのに!?風土!?これが金沢の風土!?くそう金沢っぽい!!しごく金沢っぽい…!!!と、全身でもがもがしております開催初日の朝9時半です。
  




おじさんも
 2015.12.3




   (チラッ・・・)










サンタが
  2015.12.2

 


   (チラッ・・・)










あらくれの季節
 2015.12.1

 「芙美子と秋聲」、11月末日をもちまして無事会期を終了いたしました!ご協力くださった北九州市立文学館、新宿歴史博物館、林芙美子記念館のみなさま、ご観覧くださったすべてのみなさまに深く感謝申し上げます。
 本日1日より休館いただきまして展示替えを行い、5日(土)から新しい企画展「秋聲の描く風土、金沢」を開催いたします。そんなわけで4日間ほど、さようなら。今週末にまたお会いいたしましょう。
 午前中に資料の撤去を行い、この昼下がりにはガイドペーパーの作成にかかっております。そんなおり、パソコンの画面をみながらブフォッと噴き出してしまうことがらがございました。
  
←こちら…

 おわかりいただけるでしょうか、「霰」に「あらくれ」とルビ…


 秋聲先生が金沢の冬の景色をご説明くださっているそのくだり。あられ、とルビうつべきところ、「あらくれ」とくっきり書いてございます。

 これを打ち込んだのは10月末頃のことだったでしょうか。このデータをパネルに使い、そして今ガイドペーパーに使おうとして発見いたしました。
 かわいそうに、このころ「あらくれ」のことで頭がいっぱいだった様子…。そしてハッとなってすぐにパネルの校正紙を確認いたしましたら、それはきちんと直っておりました。手を入れた記憶はありません。例のランチョンマットのデザイナーさんが何も言わずにそっと直してくれたようです。ありがたいことです。

 そんなあらくれ、改め霰が先日金沢の町に降りました。そういえばこの企画展、今年の春夏に予定されていたものを今頃までズズッとずらしてきたのでした。秋聲の描く金沢は、霰に始まり雪解けに終わるパターンが多いのです。





あらくれ稽古vol.3〈満員御礼の巻〉
 2015.11.29

 おかげさまで!!来月に控えました朗読劇「あらくれ」、両日ともに満席となりました!!ありがとうございます!!!
 「すみません、すでに満席なんですよ…」いっかい言ってみたいセリフの堂々1位に君臨しつづけたこのセリフ…言えるようになったらなったで、こんなに心苦しいものなのか、とはじめて自分のなかに芽生えたまだ名前のない新しい感情に戸惑うロボットのような顔をして受話器を置くここ数日です。お電話くださった方申し訳ありません。そして周知に奔走してくだったみなさま、お申し込みくださったみなさまに心より感謝申し上げます。かくなるは、十周年に恥じぬすばらしい舞台をお届けするのみ…!!

 といって記念館組は毎度のことながらもうじっと見守るほかないのです。昨日もお稽古にお邪魔して、段々と完成に近づく舞台を見守る演出さんの後ろ姿を見守ってまいりました。

 (お稽古場の都合で、
       柱がちょっとお邪魔な舞台上→)

 きのうは音響照明さんのご不在につき、そのあたりちょこっとお手伝いをさせていただいたわけですが、このタイミングひとつで役者さんの動きが左右されるかと思うと緊張で手が震えます。いや台本何ページ前からスタンバイする気??というほどに準備すればするほど肝心の今!というタイミングでスイッチを押しそこねてアッアッとなったりしておりました。すみません…。毎度毎度こんな緊張感のなかでお仕事されているかと思うと舞台関係者ったらとんだ強心臓です。尊敬します。

 舞台にメリハリをつけるため、あえて退場した側と反対の側から登場、といった演出もあり、
さいしょはワチャワチャとしていた舞台裏ですが、ここ最近ではそのあたりも実に落ち着いてきて、出番前にはスッとしかるべき場所に立ち、その心、澄み切った湖面の如く候…といった風情の黒子さん(右端)。すべて見逃せません。

 
  
  
 


ランチョンマット
  2015.11.26

 次回企画展のもろもろ、無事校了となりました!何度デザイナーさんとの長電話を繰り返したことでしょう。FAXをA3で11枚も送りつけるだなんてちょっとえええーとなってしまう事態です。一般的な職場では意外と普通のことでしょうか。送っておいてなんですが、受け取るほうとしてはA3で11枚も来てはおそらくえええーとなる平素の記念館事務室です。

 芙美子展制作のおりには「真夏のおしるこ談義」がちょいツボだったわけですが、今回のツボは「ランチョンマット」。どうにも食に関するワードばかりでちょっぴりお恥ずかしく…。以前の荘八展でやってみました資料の下に敷くシート、キャプションを置かず全部予めシートに印字してしまう方式のソレで今回は全面的にやってみよう、と思い立ち、便宜上ケース内シートとかケースのほうのタペとか適当に呼んでいたのですが、今回壁面パネルもほとんどやめてしまってすべてタペストリー仕様で制作しているためシートとかタペとかとにかく布類がややこしく、校正をお伝えしようとしてもどの布のことだか非常にわかりにくかったところ、デザイナーさんから飛び出したのが「あのランチョンマットのほう!」というワード。あっわっかりやすい…!
 そのマットのうえに置かれるのは食べ物でなく秋聲先生の貴重資料なものでなんだか申し訳ない気持ちもしつつ、もうその奇跡の一瞬ののちはランチョンマットで統一です。
 仕様書には「ケース内シート」と書いてございます。が、要はランチョンマットです。来月5日、オープンのおりには、これがかのランチョンマットか…と資料とあわせてご覧いただけましたら幸いです。
 


 


輪読会 最終回
 2015.11.23

 今年も奇数月に開催します~!全6回です~!と高らかに宣言していた輪読会、先日の土曜をもちまして早々にその幕を閉じましてございます…。申し訳ありません、十周年のあれやこれやにかまけ、この先じっくり作品を輪読する心の余裕をまるで失ってしまったのでございます。2回…いえ3回は開催したでしょうか、こちらの勝手な都合でまことに申し訳ございません。来年晴れて十一周年を迎えましたなら、その春かならず戻ってまいります。もうあんまりこうした宣言のたぐいしなきゃいいのに!ということばかりで恐縮しつつ、輪読会このままフェードアウトさせる気はないんですよ!との気概だけ、お伝えしておきます。

 さて、最終回のつもりではなかったけれど結果的に最終回になってしまったその日のテーマは「死に親しむ」。今となってはなんだか予言的な匂いも感じながら、その結末は〈涼しい風のやうに〉〈永久に何処かへけし飛んでしまつた〉というからご存じ秋聲作品はとても一筋縄にゆきません。人ひとりの存在が涼しい風のようにけし飛ぶだなんて…しかも涼しいって…参加者の方がご持参くださった軽快なダンス音楽のBGMもあいまって(秋聲先生のダンス仲間が主人公ゆえ)、おかげさまでテーマの割に会は重苦しくなく涼やかに締められましたけれども、帰ってからなんだかちょっとモヤモヤしてしまうそんなお話です。

 またそうして涼やかに締めたつもりでおりますのはこちらばかり、参加者のみなみなさまにはいつにも増してあまりに段取りの悪かった件、心よりお詫び申し上げます。(そして思いのほか写真のみんなが重そう!このバックに軽快なダンス音楽が流れているかと思うととってもシュール!)



 


赤字でイケメン
  2015.11.22

 金沢文芸館さんのコーディネートで、金沢市立額小学校さんへ出前授業に行ってまいりました!
 以前に金沢ふるさと偉人館さんに赴いて金沢の偉人について広く学習済みだという4年生の生徒さんたち。ただ、偉人館さんで三文豪についてはさらっと見てきただけなので…と心配そうに仰っていた先生でしたが、蓋をあけてみれば三人の顔を見ただけでその名前がきちんと飛び出てくる驚きの吸収力でした。さすが9歳だか10歳…脳がとてもすぐれたスポンジ…。
 そんな9歳だか10歳は、干支にすると酉年か戌年だそうでなんと向かい干支の話の早いこと!鏡花さんは酉年ゆえ兎のコレクター。すなわちみなさんも兎か辰、集めるといいですよ!ホラおぼえやすいね!もうおぼえたね!とその優れたスポンジに注入してまいりました(そういえば未年の秋聲さん、年男ももう終わりに近いですね…丑柄のグッズつくりませんでしたね…)。

 授業を終え、最後に先生から三文豪の誰に興味をもったかアンケートが実施され、犀星さんのひと~!鏡花さんのひと~!秋聲さんのひと~!と挙手システムがとられた結果、うつくしいほどに4・4・2!アッなんかもう!子どもさんって正直!!しかたがないので誰よりも迷いなく、高くまっすぐに手を挙げて帰ってまいりました。

       その淀みなさ、校庭の彼といい勝負…→

 年齢と体のサイズで子どもさん3人分くらいには数えてもらって許されるかと思います。

 休み時間、有難いことに何人かの生徒さんに囲まれ、犀星一派だという女の子から一言「でも秋聲さんがいちばんイケメンと思うよ!」何のフォローだか、でもありがとうございます。赤字でイケメンって書いといて、とお願いすると、隣の男の子が持参したプリントの秋聲プロフィールの脇にほんとに書いてくれました。赤字でイケメン。





金沢マラソン2015
 2015.11.15

 生憎の雨となりました。
←こちら金沢文芸館前にて。
 
 金沢マラソンに合わせてきのう今日と行われたナイトミュージアム対応のためすこし遅れて出勤いたしましたら(夜シフトにつき)、ちょうどランナーたちが兼六園下からやってきて橋場町の交差点を通過するところに遭遇。某K記念館さんテリトリーである下新町と、当館のテリトリーである東山一丁目とのあいだを通って浅野川大橋をわたってゆくコースなのでした。

 雨のなかたくさんの方が続々と目の前を通り過ぎ、下新町サイドから(アッわたれない…!)と内心思ってはしまったのですがそのあたりはきちんと計算されておりまして、いったん道路の真ん中の島にわたりたい人たちをギュウギュウに集め、ある一定の時間ごとにランナーたちの走る車線が交代するようになっているという…。すなわちさっきまで前を走っていたランナー集団が気がつくと後ろを走っているという…言葉で伝える訓練いまだ初級も初級のようで恐縮ですが、とにかくうまいこと考えられているよ、そう思ったよ、という気持ちだけ伝わりましたら幸いです。
 慣れぬ交通規制やらでいろいろの混乱もあり、お客さまにはご迷惑をおかけしたことと思いますが、午後図書館に出かけましたらはやいもので町はすでに平常運転に戻っており、秋声号もすぐにやってきてくれました。何度でも申し上げますが、ランダムでやってくる鏡花号(赤)・犀星号(青)・秋声号(緑)なるレトロバスに乗車の際、それぞれわがとこの先生のに乗れたらちょっとうれしいよ!というのは三文豪館あるあるとして上位にくいこむであろうことを確信しております。
 金沢の町は狭いので、体力自慢の方はあらゆる場所へ走ってでもいけますがそうでない方にはそんなバスをお勧めします。



 


最近では水門の神様と化す
  2015.11.11




    罰当たりな…!


(ブーバとキキの立ち位置が変わりました。)





あらくれ稽古vol.2
  2015.11.10

 さぁ~て今週の「あらくれ」はぁ~?
 「有能な音響照明さん・順吉の衣装がカワイイ・館職員、写真を撮るのをわすれる」の三本です!

 先日もお稽古にお邪魔いたしまして、全体の流れをみつつ今回は音響照明の仕組みを後ろから観察させていただいておりました。
(なんとなくきっかけをメモってみた台本→)
 キャストの動きがだんだん定まってきますと今度は音響照明との絡みで場面がつくられてゆきます。暗転してから退場するのか、それともしょぼくれて去るその後ろ姿をまで見せるのか、そんなことを細かく調整しながら一つの場面の完成を目指していくわけですが、今の音楽もうちょっと聴かせようか、照明消えきってから動いて、などいう演出さんの指示を聞きながら、はぁ舞台って総合芸術なんですね、と今更ながら感嘆したりもするのでした。
 
 役者さんのほうも全体が把握できてくるとおのおのの微調整ができるようになり、失礼ながらいままでは自分のとこだけで精一杯、という感じもありつつだったものが全体のトーンにあわせて調子を変えてきたり、オッと思うようなパターンが生まれてきたりしています。秋聲作品の場合、決定的に目立つ場面やわかりやすいメインがさほど用意されておりませんので、人と人とのちょっとしたやりとり、その醸す空気感が何より大事になってきます。もうちょっとセリフ受けて、とはよく発される演出さんのお言葉で、先の決まった台本を離れたところで生み出される感情・言葉をこそお見せしたいという心意気。衣装の準備も着々と進めていただいており、それを纏ってそこに立たれたならもう出演者の名は呼ばれません。「作さんどこにいる?おとっつぁんとこもう一回!」そんなお声にニヤニヤしていたら写真を撮るのを忘れました。 



 


秋聲忌2015
 2015.11.8

 今年も滞りなく執り行いました秋聲忌。ほんとうのご命日は18日ですが、今月は何かとイベントもりだくさんの金沢につき、前倒しの前倒しで昨日開催いたしました次第です。気候といってはちょうどよく、すこし肌寒い空気のなか時折ふってくる日差しがとてもやさしく暖かい好いお日和でした。石川近代文学館さんの仕切りにて徳田家菩提寺・静明寺さんにたくさんの方がお集まりくださり、参列者ひとりひとり墓碑に白菊を献花してゆきます。

 最後のご住職の読経ののち一際強い風が落ち葉を跳ね上げながらザァッと吹いたその瞬間(おや秋聲先生のお出ましだ…!)と思ったのは当館だけではなかったはず。リアリズムの権化・秋聲先生をして怒られるかもしれませんが、なんとも絶妙なタイミングであった今年の墓前祭でございました。
 その後記念館に移動して、尾形明子先生による記念講演「林芙美子と徳田秋聲〈作家・林芙美子〉」を開催いたしました。昨年のシンポジウムにもご登壇いただいた尾形先生、おひとりおひとりの持ち時間が少なく、それぞれのお話もっと聞きたい!!と思われた方も多かったのではないかとモヤモヤしていたところ、今年林芙美子展開催ということで芙美子研究の第一人者である尾形先生に再びご登場いただいたのでした。会場はいつになく満員で、尾形先生が芙美子研究を始められたきっかけからその思い、そして芙美子の独自性など二時間たっぷり聞かせていただきました。内容も去ることながらその語り口のお美しいこと!
 
         遠目にもわかるお美しさ→

 展示ではいっそ出てこない芙美子のパーソナルな部分がお聞きいただけたかと思います。尾形先生ありがとうございました。そして徳田章子名誉館長、石川近代文学館さん、何より参加者のみなさまに厚く御礼申し上げます。秋聲忌が終わるとなんだか寂しい秋聲記念館より。





机上雑然
 2015.11.6

 いつかもそんなタイトルがあったかと思います。秋聲先生の随筆のタイトルで、自分の机のうえがいかにゴチャゴチャしているかと書いているもの。
(←たしかにこのへんゴチャゴチャしてますね)
 年に数回、主に企画展の前ごとにはこの四字熟語が頭に浮かんでくるのです。

 いままさに机上雑然、必要な書類が見つからぬ事件が頻発のうえ、最下の地層からハテこれはいつの…?と一瞬ヒヤッとするような書類が見つかったりして案の定ヒヤッとしたり、電話に出るため無理な体勢をとったら豪快に書類のなだれが起こり、お隣の職員をヒヤッとさせたりしています。 
 右も左も紙の山となり、いよいよ置き場所がなくなった全集を六冊ひざのうえに載せて企画展のテキストなど書いているとき、オヤこの図はなにかの拷問に似ている…とふと頭をよぎったりするのですが、おかげさまでクッション張りの椅子に、秋聲全集は上品なクロス装ですので上下ともさして痛くはないのです。が、ある程度は重いです。秋聲文学の重みです。その重みを抱えながら次の企画展の準備をしているわけです。こいつは責任重大です。
 次回企画展は「秋聲の描く風土、金沢」。雑然を極めた机の上からいつになくクラシカルにお届けする予定です。先日、チラシの校了祭がごく秘めやかに催され、今はや納品を待つばかりなのですが、今回どうにも開催初日の5日(土)を5日(月)と思い込んでいるフシがあり、最後の最後までそれの殲滅に追われたほんとうは責了祭なのでした。新しい企画展の月曜始まりというのはあまり一般的でないかと思われますのに何故でしょう?と言いつつ、完全シフト制で出勤している館職員にとって曜日の感覚などすでに皆無、という説はナントカ館あるあるとして上位に食い込む自信があります。ましてテレビ番組の改編時期にもなればもう曜日を知る手がかりゼロです。


 


あらくれ稽古vol.1
  2015.11.4

 今後もちょくちょく、と言っておいての寸々語をさぼっておいての、もうさっそくなのかそうでもないのかよくわからないレポート開始です!
 さて、先日もあらくれにあらくれてまいりました。と言いつつ、記念館は主催者として後方よりじっとみつめるだけ。プロデューサーのような顔をしてどっかり座って、いただいたお茶をちみちみ啜っているだけ…。
 その間キャスト・スタッフは大忙しです。特に主演のお島さんなど酸欠になるほどのセリフ量、そしてその剣幕。出ずっぱりのうえ何かにつけ憤っては小野田やら鶴さんやらと取っ組み合いのケンカをしているもので、これは相当に体力を消耗します。さすが頭より先に体が動くタイプの女性…。の周りを固めるひとびとも個性満載で、ちょっとこれスピンオフつくります??来年??というくらいに濃ゆいメンツが揃い踏みです。そのあたりがシュウセイズム、主役のための脇役などいないのです。
 それぞれお忙しいなか集まってくださるもので、集まった人数で出来る場面を効率的にお稽古してゆきます(その調整だけでもたいへん!制作班さんありがとうございます!)

 そうして限られた時間のなか、ソフトに、しかし的確に指示を飛ばす演出さんの頼もしい後ろ姿を見守りながら、二杯目のお茶をいただく記念館(カーディガンはなかったので肩からコートをかけておきました!)
 総勢50名、思いをひとつに来月へ向けてがむしゃらに走っております。そう合言葉は「私たちはぼんやりしちゃいられない」!
 
 

 


情報解禁!
  2015.10.27

 きのう映画「放浪記」の舞台挨拶にうかがいまして、一緒になって映画を観て、ふ、ふ、ふみ子~~~…!!とおそらくあの会場でひとり涙して変な空気にしてきた当館学芸員(いちおう主催者)。ふみ子に最後まで親切にしてくれる安岡さん役(ほんとにいい人)を演じていたのが「あらくれ」における小野田(加東大介)だったものでなんとなくその親切がスッと入ってこない当館学芸員。うおう!見逃したよう!という方、次回29日(木)12時半~、これにてほんとうに最後ですのでよろしくお願いいたします。
 
 さて、映画のつぎは舞台です。いつだって〝私たちはぼんやりしちゃいられない〟ものですから今度こそ秋聲原作「あらくれ」を舞台化したりなんかしております!!きのうチラシが納品されましていよいよ情報解禁でございます。
 開館十周年記念の集大成となるこの企画、いまからちょうど100年前に連載された本作を、12月12日・13日、館オリジナル脚本の朗読劇として上演することが決まりました。主演はおなじみ朗読小屋 浅野川倶楽部さん。周年事業+朗読劇+浅野川倶楽部とくればふと思い出される方も多いのではないでしょうか。五年前、開館五周年記念企画として開催いたしました朗読劇「縮図」の大好評を得て、こんどは「あらくれ」に挑戦です!五年!早い!
 
 もういつから始まったのやら覚えちゃおりませんが現在鋭意お稽古中→
(出演者、スタッフのみなさまお忙しいなかありがとうございます!)
 
 今後もちょくちょくお稽古風景レポートしてまいります。



 


三文豪映画祭
 2015.10.25

 いつも終わってから気づく、それが寸々語…。きのうお問い合わせのお電話をいただきハッといたしましたが、昨日より三文豪映画祭開幕しております!毎年この季節は三文豪月間といたしまして三館+文芸館さん、石川近文さんと仲良くスタンプラリーなど行うほか、市民の方がおそらくもっとも楽しみにされているであろう三文豪原作映画の上映会がございます。今年はK花さん「陽炎座」、犀星さん「麦笛」(原作「性に目覚める頃」)、そして当館は「放浪記」というラインナップでお送り……ん?放浪記? そんなわけで、きのういただいたお問い合わせも秋聲記念館でなぜ『放浪記』ですか?といったものでした。

 もういい加減しつこく恐縮ながら当館にて開催中の「芙美子と秋聲」展にちなみ、今年は秋聲映画をちょっとお休みして、芙美子さんの『放浪記』を上映していただくこととしております。何度か映画化されているうちの昭和37年バージョン、成瀬巳喜男監督・高峰秀子主演のものです。このチョイスも故なきことでなく、この監督主演組といえば去年上映していただいた秋聲原作映画『あらくれ』(昭和32年、東宝)とまるまる同じ。そんなご縁もあるし、なんせ『放浪記』の原作には秋聲も出てくるし出てくるし出てくるし、ということで、今回は特別なのでした。 
 
 ↑複製ポスター展示中!(東宝提供)

 きのうはK花さんのターン、そして今日は犀星さん、明日26日秋聲改め芙美子さんのターンがやってきます。そんな順番でさらにもう一周+αいたしますので今月いっぱい30日まで、12時半~香林坊109・4階シネモンドさんにご集合ください!



 


「まちの踊り場」オープン!!
 2015.10.24

 市内瓢箪町にある秋聲次兄・正田順太郎旧宅がレンタル&シェアスペース「まちの踊り場」として生まれ変わりました!23日、そのオープニングセレモニーにお招きいただき、一足はやく踊り場参りをさせていただきました。
 場所は金沢駅近く、といっても大通りから一本奥まった閑静な住宅街のなかほどです。地図を片手にゆかねばとても見つけられないような狭い路地の奥に突然現れる「まちの踊り場」。

 以前にはトタンが張られていた土蔵の本来の姿をはじめて拝見いたしました。中に入ると順太郎さんが家族写真など撮られている10畳の奥座敷(秋聲曰く「兄の広い家の客間」および「庭の見える座敷」/現名称「晴れの間」)で結婚式の準備がなされ(本物)、そこから見渡せる広いお庭には、順太郎さんのころからあるであろう大きな楓の木が君臨しておりました。秋聲の言う「裏庭の柿、柘榴が見える」状況こそ確認できませんでしたが、あの広さ、そして植栽の美しさはお茶会などにもってこいです。ついでに順太郎さんご使用の茶室もそのまま残していただいてございます。
 それから秋聲が帰省のおり寝泊りしていた「二階座敷」は「和みの間」という名で打ち合わせやら講習会やらに使えるスペースに。と言いつつ、打ち合わせやら講習会やらに使うか、ここで秋聲の寝泊りごっこをするかは使用者の自由かと存じます。また、その下の蔵はカフェスペースになっていて、喉が渇けばここからケータリングなど…(できるはず)。いろいろと夢が広がります。

 なにせ広い町家ですので各お部屋ごとに借りられるそうで、イベントあるいは会議あるいは結婚式、はたまたその二次会、など、市民の憩いの場となれば当館といたしましても嬉しい限りです。が、あんまりハメをはずすと厳格な順太郎さんにこっぴどく叱られますのでご注意。



 


秋星×秋聲 十周年記念セレモニー
  2015.10.20

 半年前から待ち侘びて、そうしてあっというまに過ぎてゆきました17日のその日…。りんごの「秋星」と秋聲記念館の十周年をお祝いするセレモニー、たくさんの方のあたたかい祝福のなかに無事執り行うことができました。関係各位に深く感謝申し上げます。
 当日、浦野部会長より納品された秋聲のお顔入りりんごと対面したときには不覚にも涙が…その後、見るひと見るひとから「いや顔!食べにくッ!!」とのリアクションをいただいてようやく涙こそ引きましたけれども、いやいやナイフどういれるー?こうするー?いっそかじっちゃうー??とそこでもうひとキャッキャしていただければよいのではないでしょうか。脇で見ているひとが秋聲っぽい声で「痛い痛い痛い!」とはしゃいでくださればもう何も言うことはありません。秋聲先生のお声、残っていたらモノマネのしがいがありましたものを…残念です。

 セレモニーでは、「秋星」の生みの親である野畠重典石川県農業総合研究センター前所長と浦野部会長とをお招きして「秋星」誕生秘話をうかがいました。おふたりから上田館長にカゴいっぱいの「秋星」をご贈呈いただいたのち、さっそく参加者のみなさまおひとりにひとつプレゼント。生みの親、育ての親からいただける、こんな光栄なことはございません。

 構想から約一年、そしてりんごの生長を待ってようやく実現したこの企画、改めましてかかわってくださったすべての方々にこの場を借りて厚くお礼申し上げます。

 末筆ながら「秋星」とジイノ、夢のコラボを実現してくださった犀星記念館さんにも心からの感謝を(焼きりんごですね…!)。

 
 
 

《今日の梅ノ橋⑱(とむきだしの奥歯神)》
  2015.10.16



 縷紅草が取り払われ、無防備になった奥歯。
 
  と言いつつ日差しの加減でどうしたって
 神々しい東山の奥歯神。





秋の味覚
 2015.10.13

 浅野川倶楽部さんにうかがう際、梅ノ橋をわたったあたりでカツーン!と鋭い音が聞こえましたので周囲を見回すと、カラスのベンジャミンが栗だかくるみだかをくわえてヒョコヒョコ歩いておりました。アッこれはもしや噂の…!と思ってその動向を見守っておりましたなら、案の定、ベンジャミンが空中高く舞い上がり、そこから栗だかくるみだかを力いっぱい地面に投げ落としたのです。テレビやなんかでは見聞きしておりましたが、アレってばほんとうにやるのですね!そうして外殻を壊して中身を食べるというあの噂の…

 ベンジャミン(ほんとうは尾っぽ白くなかったですが、もうこのあたりでカラスを見ればベンジャミンです。全部ベンジャミンです。)はすっかりカラスらしい生き方を身に着けて力強く暮しておりました。7年後、王子様に戻ったとき、かえって混乱するのではないでしょうか。あらあらベンジャミン、ひとは栗だかくるみだかをたべるときに床に叩きつけたりしないんですよ……お后さまの戸惑いっぷりも目に浮かぶようです。
 さて、このひとはいったい何を言っているのか秋聲記念館大丈夫なのかしら、と不安になられた方、ぜひ秋聲訳グリム童話「十二王子」をお読みください。オリジナル文庫『秋聲少年少女小説集』に収録されております。

 その後、ほっこりポストにお手紙を投函しにゆきましたら、こちらはこちらで秋の味覚仕様になっておりました。柿もあればトマトも栗も…栗…?

    ベ、ベンジャミン、まさかおまえ……!!





浅野川倶楽部 第19回定期公演
 2015.10.12

 今年もはじまりました「朗読で彩る三文豪の世界」!
 某K記念館さん通りの斜め向かいにございますお教室で、朗読小屋 浅野川倶楽部さんの定期公演が10日より開幕いたしました。今回秋聲作品ではかの自伝小説『光を追うて』を倶楽部員さん全員で通読されるとのこと聞きつけまして、その初回に潜入してまいりました。
 「向山等がこの世へ出てきたのは明治新政のようやっと緒につきはじめた頃で…」当館入って冒頭の冒頭のパネルにあるこの書き出し…いつも展示解説をさせていただく際、さらっと読み上げますもので、原文の仮名/漢字遣いのほどは不確かですが音としては頭に叩き込まれてございます。そんなあの書き出しが、倶楽部員さんの口から朗々と語りあげられた瞬間、おそらくあの空間で誰よりも興奮していたことでしょう。
 そして聞けば聞くほど、アレッこんなこと書いてあったかな??と思う音にする不思議…この書き出し以降朗読することはほとんどないため、アレッ思っていたよりけっこうドラマチック…!と原作を読み返したくなるのでした。浅野川倶楽部さん毎度ありがとうございます。

 ご公演は17日(土)まで毎日ございます。『光を追うて』もどんどん進んでまいります。時間と演目、こちらよりご確認ください!





或る娼婦
 2015.10.11

 今年も岡本紋弥さん、杉浦千弥さんにお越しいただき、毎年恒例となりました新内流しを開催いたしました!今回のテーマはたいへんしつこく恐縮ながら「或売笑婦の話」。これだけ押せば、アッすごくオススメなんだな!と、こちらの気持ちも伝わるというものでしょうか。いつも演目に関してはお任せなのですが、今回ばかりは当館のほうより春先にこのテーマで、と無茶なリクエストをさせていただき、それに鮮やかに応えてくだすったおふたりの手により「或る娼婦」と形を変え、こちら紋弥さんのお言葉によれば〝実験作〟、新しい新内節として生まれ変わりました。
 〝勘違い〟――「ああ、わたし勘違いしてしまった」と、自分で言うのはよしとして、ひとから言われるとつらい言葉です。「あなたの勘違いですよ」「何か勘違いされているのでは?」つらい、つらい言葉です。上演が終わり「…勘違いしちゃったのね」と小さく呟かれる千弥さんのお言葉も本編とともに突き刺さりましてございます。

 今年は両日とも好いお日和にめぐまれ、たくさんの方においでいただきました。

      デッキから「お二階さん!」と
           お声がけいただいているところ→

 朝からけっこう問い合わせのお電話などいただき、また終わってからも、これ毎年って仰ってましたけど来年もこの日付??と確認してくださるお客さまもあり。
 日程は毎年毎年変わるんです~とお伝えしながら、イベント登録してくださるとチラシなど事前に送らせていただくんです~と宣伝いたしましたら、さっき受付で用紙もらいました!とのこと。さすが当館職員、思いの先はひとつです。

 

 


神話作り
 2015.10.10

 

    
   あ~あ~お賽銭~…!!







りんご観察日記
   2015.10.9

 勇気をだして、浦野果樹園さんに行ってまいりました!
 「ここだよ~」とモサモサのりんごの森の向こうから聞こえる浦野部会長ご夫妻の声だけを頼りに分け入ってゆきましたら、おふたりはちょうどりんご(お隣の畝のフジのほう)をまわす作業中。先日ワークショップでうかがった際、今年はやや成長が早いそうで、もう若干色づいてきてしまっているりんごの裏っ側のまだ白い部分を選んでシールを貼ってきたわけですが、館に帰って、あれっでも裏っ側だとどうするの?まわすの?全部?えっアレ全部?まわすの??と思っていたまさにその作業中でございました。またもや無知をさらけ出して恥ずかしながら、陽にあたるほうから赤く色づいてくるりんごをアレ全部まわすのだという…大きな声であたりまえのことを言ってしまっているのかもしれません。いやしかしこれはたいした作業量です…!

 さて、本題の秋星りんご、ずいぶんと全体的に色づいてきておりました。そこに黒で書かれたシールが貼られているわけですが、これを剥がしてもなんだか全部赤くなってそう………という感想しか正直なところ湧いて来ず、無言でりんごを見つめていたところ「これ落ちちゃったやつだけど…」と部会長が差し出してくだすったりんごにはキレイな模様が…!ウワーちゃんと模様のとこだけ白くなってる、ウワー!!とようやく声が上がりました。落ちちゃったやつでさえキレイに模様が浮き出ているのですからこれは期待できるのではないでしょうか。あの日栗と勇気とをくださったやさしいお方と部会長ならびにJAさんのおかげさまで、ようやくぐっすり眠ることができます。ありがとうございます。
 さっそく写真を載せたいのはやまやまですが、これこそ当日までのおたのしみ。17日10時より、ひとりに一個りんごもらえます!ぜひ!

 
 


おやつレポート その14
  2015.10.4

 た、たいへんです…過去の寸々語をくりましたら最後におやつを食べたのは昨年の3月…その13で更新がストップしたままおよそ1年半、おやつを食べずにやってきたことに…!そんな無茶な…!!
 いいえご心配無用です。当館何がなくとも3時のおやつだけは毎日しっかりいただいております。そして当館の自慢として、いつもいただきもので賄っており購入したこととてございません。ありがたやありがたや…。

 さて、久方ぶりのおやつレポート、今回は栗の生菓子をちょうだいいたしました!柿の話題をすれば栗が届く、そんな記念館バンザイです!栗が届けばコーヒーに代わって緑茶が入る、記念館職員バンザイです!
 柿の話を書きつつ栗のお菓子をむしゃむしゃいただきながら考えるのはりんごのこと…。きのう芙美子展最後のギャラリートークを行った際、お客さまより「このりんごのイベントというのはひとりに一個りんごがもらえるというのは確かですか?」とのお尋ねがあり、「ハイ入館料は頂戴しますけれども先着50名さままでりんごをひとつ差し上げる予定です。」とお答えしながら秋星りんごがうまく色づいているのがどうだか少し心配になりました。近いうち様子をみにいこういこうと思いながらなかなか電話をかけられないでおりますのは、りんごの絵うまくつかなかったよ!とりんご部会会長の口から聞くのが怖いから…。栗を食べて勇気をためて、近いうち様子を見に行ってまいります。栗あと14個くらい食べたらりんご1個分の勇気でしょうか。そうすると館用50個、ワークショップ参加者用40個、すなわち栗1350個を食べねば全体を確認する勇気がもてません。6人の職員で手分けをしてもひとり225個。こりゃたいへんです。
 
 
 


ご意見ノート
 2015.10.3

 
 
 しばらくお休みをしておりましたが、ロビーに当館へのご意見・ご感想、あるいは秋聲先生への熱い思いを書きつけるノートを設置いたしました。以前にここに記しました「しゅうせいのせいち」事件が起こったあのノート…直接言うのは照れくさいや気まずいや、というお客さまからの正直なご感想は、当館をよりよくするうえで貴重です。館内でノートをご発見のおりには是非ひとこといただけましたら幸いです。
 
 
 職員によりノートそれ自体のデザインを生かしたタイトル文字が貼り付けられ、扉には館長の揮毫→

 ちゃんと木の色を選んでくるあたり我が職員ながら行き届いております。

 先日、印刷会社さんと何か刷り物の打ち合わせをしておりました際、「ん~秋聲館だったら柿色ですよねぇ~」と何気なく呟かれたその一言に歓喜いたしました。そうそう、ちょっとずつ浸透してきたようです。秋聲館だったら柿色です。正解です。なぜ柿色なのかはこれまで口をすっぱくしてお伝えしてまいりましたのでもうこれ以上言いません。そんな柿色コンセプト、実は常設展示室でもひそかに押し出しております。
 秋聲の生涯を6期にわけて6枚のパネルでご紹介しているこのお部屋。最初鮮やかな緑であったパネルがだんだんと色づき、最終的に濃い完熟柿色になってゆくのだという隠れ設定…お気づきの方がいらっしゃるかどうか、職員もみな知っているかどうか…。柿が熟しましたなら、いよいよ鴉も突き申し候。


 


同一人物疑惑
 2015.10.2

  はい某K記念館さん、今年もきれいに咲いておりますよ~~という気持ちで川のほうへソソソと近寄っていきましたらばドキーンです…!縷紅草のなかにひそむ奥歯たち…!!↓↓↓

 あれには見覚えがあります。たしか、去年の夏…いやちがう、もうすでにおととしになりました7月のあのとても暑い日、ほっこりポストのうえにいた奥歯たちです!
 いいえ奥歯かどうかは知りません。どこかの島の守り神かもしれません。が、もう臼歯にしか見えませんのでただそう勝手に呼んでおります(2013年7月18日記事参照)。

 ほっこり主のテリトリーが拡大しているのか、それともこの見事な縷紅草のカーテンをつくっている謎の川庭師がほっこり主と同一人物であるのか、それともそれとも謎の川庭師とほっこり主が大の仲良しであるのか、あるいは東山一帯で知らぬうち奥歯オブジェが流行っているのか…なんにせよ、やはり東山にはそっとモノを置きたい、あるいは栽培したいひとたちが溢れています。と言いつつもしかすると、そっとモノを置きたいひと=栽培したいひと、最初からひとりなのかもしれません。
 ちなみにここへ来て初登場の謎の川庭師ですが、こちら春夏秋冬さまざまなお花で浅野川の土手を彩り、見事なグリーンカーテンをつくり、そしてよりにもよって秋聲のみち沿いに縷紅草を咲かせる粋なお人…。K花のみちは対岸ですがそれについてはよしとします。植物に国境はないのです。





於 五十間長屋
 2015.10.1

 先日、金沢市医師会さんの懇親会にゲストスピーカーとして学芸員がお呼ばれいたしました。会場はなんと金沢城内五十間長屋!19時からの開催につきライトアップされた長屋におそるおそる入ってゆくと、そこはもうパーティー会場でした。ワイングラスの置かれた丸テーブルがいくつも設置され、すっかり晩餐会仕様です。
      (↑このへんにおりました。)

 長い長屋の片方の端っこには講演用の座席がズラズラ並び、そちらにて秋聲文学についてすこしお話をさせていただきました。これまでもいろいろな会場に呼んでいただきましたがさすがにこれは初めてです。秋聲先生、いままさに金沢の中心で秋聲愛を叫んでおります…!と心のなかで報告しながら、金沢市中のお医者さまの心に『黴』の胞子を飛ばしてまいりました。
 その後、懇親会の席にもちゃっかり混ぜていただき、李彩霞さんによる二胡と清水史津さんによるピアノ演奏をど真ん中で堪能させていただきました。なんと贅沢な…!正直なところ(こ、懇親会だって!?完全なるアウェイ空間…!!)と当初怯えておりましたが、両隣の先生方をはじめ、たくさんの先生方が温かいお言葉をかけてくださり、いまとなってはこんなに有難い機会は滅多にあるものではないと大手町の方向にただひたすら感謝の念を捧げております。金沢市医師会さんほんとうにありがとうございました。もしもこの先、そのお心にて『黴』がむくむくと発芽いたしましたなら、今度は館にて全力でお待ちしております。
 
 

 

MRO公開収録
 2015.9.25

 秋分の日、それすなわち秋聲の日。去年かおととしにそう勝手に決めてはその後毎年秋聲の日と呼んで憚らない10月23日、MROの川瀬裕子アナ、前原智子アナ、そしてギター奏者の太田真佐代さんにお越しいただき、当館で公開収録を行いました!この日程を決める際にも「23日の秋分の日で~」「あ、秋聲の日ですね。ちょうどいいですね」「えっそうなんですか?」「あっ勝手に決めました!」というやりとりを川瀬アナと繰り広げたことを思い出します。
 当日、たくさんの方においでいただき、披露されましたのは例によって芙美子一押し「或売笑婦の話」。先日の輪読会にひきつづき、当館今月のオススメ作品でございます。おかげさまで本作収録のオリジナル文庫『短編小説傑作集Ⅰ』よく売れております。ありがとうございます。ちなみにいまショップで一押し二押ししておりますのは本書と芙美子が登場する『仮装人物』ですが、このペアとともにやたらと『黴』がバカ売れした日があり、何故!?となったりしています。いや、いいのですありがたいことなのですが、何故急に『黴』が!?と不安になったりもするのです。
 
 さて、MROさん。さすがはプロの方々、切ない切ない…!!
 太田さんの奏でるギターの音色とあいまって揺れる女心が十二分に表現され、先日から何度も読んでいる作品であるにもかかわらず新鮮に胸が締め付けられました。「そう」という相槌がこんなに悲しい作品、ほかにあるでしょうか?
 バカッ!彼女に「そう」とか言わせて!!もうバカッ!無神経!!と、体育館裏で無邪気な学生さんを複数の女ともだちで責め立てたくもなるというものです。そんな「或売笑婦の話」、10月4日(日)18時より、MROラジオさんで放送予定とのこと。ぜひお聴きください!→同日15時~に変更となりました!申し訳ございません!
 




金沢文芸館十周年記念講演会
 2015.9.22

 二十日、ご近所の金沢文芸館さんの記念講演会にお邪魔してまいりました。当館も10歳なら文芸館さんも今年で満10歳。お互いにおめでとうございます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。さて、こちらはちょっと先輩になります某K記念館(16歳)秋山館長さんによるご講演です。
 「金沢三文豪と路地の文学」と題して、三文豪それぞれの描く“路地”とそこに込められた思いが語られました。たしかに戦災を免れた金沢は古い路地の多く残る町。当館受付にはひがし茶屋街への道のりをお尋ねになるひとが多く訪れ、それ以上迷われないよういっちばんわかりやすい道をお教えするようにしておりますが、おそらく当館職員はその道を使わず、裏通りの路地を駆使して毎度茶屋街まで赴きます。ただそれを口で説明しようとするととても難しく、いつも近くて遠い茶屋街を思うのです。

 もし時間がおありなら、狭い路地を選んで歩かれるのも一興かと存じます。その先に不意にほっこりポストがあったりします。
 また、いまも事務室の窓を開け放っておりましたら風にのってお三味線の音が聞こえます。車のたくさん通る大きな道ではきっと掻き消されてしまうでしょう。


 今回、秋聲では短篇小説「感傷的の事」がご講演の中心となっており、姉・かをりの嫁ぎ先である味噌蔵町界隈のことがお話しされましたが、いつかの月金講座でお招きいただいたのが味噌蔵公民館さん。あのとき館から味噌蔵さんへ行こうとして狭い路地を入っていったら行き止まりでウワッとなったこと、今では良い思い出です。



 


輪読会
 2015.9.21

 りんごの後は輪読会です!前回都合により中止にしてしまったため、実質今年度第2回の輪読会、テーマは「或売笑婦の話」です。
 企画展示室でもパネルでご紹介しておりますとおり、本作は芙美子絶賛の一篇。それにちなみ、あさって23日(水・祝)に当館で開催いたしますMROさんの公開収録でも本作を朗読していただく予定です。

 冒頭、恒例の参加者による輪読の途中「裏の果樹園」というワードが出てきて、りんごワークショップの同日午後だったものですから、へんなアドレナリンが出ている学芸員のツボに入り「ちょっとコレ…!うらの果樹園ですって!ヤダうまいこと!!」とひとりテンションがあがってしまったこと、今更ながら恥ずかしく思っております。おひとりだけワークショップと輪読会両方にご参加いただいた方があり、そのお方が苦笑いしながら「ああ、さっき行きましたね…浦野果樹園ね…」とフォローをしてくださったこと、かさねて申し訳なく…。
 そんなことでクスクスしている主催者のいっぽう、前回同様参加者のおひとりが立派なレジュメをつくってきてくださり、それを見ながらホウホウ、秋聲の書き癖ったらそうなんですねフムフム、とおかげさまでたいへん深い会になりました。ありがとうございました。
 ひとりの娼妓の淡い夢、勝手な期待を見事に裏切ってゆく若さ・無邪気さがなんともうまいこと出来ていて、これはもううらの果樹園どころではないうまさです。作品の前後半における内と外との対比というのも作品の胆となっているわけですが(受け売りです!!)、そこでもやはり午前は果樹園、午後は館内、内と外、内と外、いいバランス、とほくほくしてしまっているあたり、ちょっとまだしばらくりんご熱が冷めやらない予感です。





秋星りんご絵付け体験
   2015.9.20

 この日だけは何故か永久にやってこないものと思っておりましたがフツウにやってまいりました。われらが「秋星」にイラストをつけるその日が!!!

 先日からお伝えしておりましたとおり、親切な偉人館さんでのやんちゃなシールデザインワークショップを経た一行は浦野果樹園さんに向います。りんご部会浦野部会長のご指導のもと、おのおのりんごにシールを貼ってゆく参加者たち…ご自分でデザインされたシールとともに10月記念館セレモニーに使う用のシールもついでに貼ってもらおうとする記念館一味…。
 
 打ち合わせのため何度か訪れた果樹園さんですが、毎回想像するよりりんごの木も実もずっと多く、さっきシールを貼ったりんごがなかなか見つけられないという事態が起こるほどの密度です。また、りんごの曲面に平面のシールを貼るのが予想以上に難しく、参加者職員ともどもずいぶんと苦戦いたしました。しかしながらそんな今を適当にしてしまうと10月、お客さまに何やらわけのわからない文様の入ったりんごをお渡ししてお互い気まずくなる十周年記念セレモニーを敢行せねばならなくなることをシミュレーションしてはゾッとして、懸命にシワを伸ばして参りました。どれだけうまく日焼けしてくれることやら…。
 
 と言いつつ10月のそれはそれとして、まずはワークショップが無事開催できたことを喜ばねばなりません。前日からの大雨が奇跡的に上がってくれたこと、とりいそぎカバンに忍ばせたてるてる秋聲(二度目のご登場)と毎度バタバタなイベントにご参加くださったみなさま、そして浦野部会長はじめ立ち会ってくださったJAのみなさまに感謝です。




 


何も見せる気がない
  2015.9.19

 ちょうどいいはずのナイトミュージアム、大雨に見舞われましてツアー参加者の方はずぶ濡れになっておいでくださいました。雨のなかのご来館、まことにありがとうございます。今年のナイトミュージアムのテーマが「グレートビューティカナザワ」ということで、ツアーのみなさまには「美」にまつわる秋聲話をさせていただきました。基本的に「美」とは無縁の作家と思っているのですが「美」の定義を広く捉えればいろいろと出てくるものですね。
 そのうちのひとつ「美庭」というテーマでは、秋聲とその庭友・犀星さんのお話を当館坪庭を眺めながらさせていただこうと勇んでご案内したところ、あんまり夜に見ることがないものでうっかりとしておりましたが当館のお庭ってライトアップの設備なかったっす…!それもそう、基本的に外からは見えないものなので、ナイト仕様にはつくられていないのでした。雪見障子のむこうの真っ暗な空間を指差しながら、あのへんがどう、と見えざるものを説明するひとの気持ち悪さといったら…。

 結局お昼間にまた来てくださ~い、という本末転倒な、よく言えば余白を残したツアーとなりました。

←あかるくとも伝わりづらい秋聲のお庭。



そしてツアー二組目のみなさまには秋聲と「美人」。これは得意分野かもしれません。当館自慢の和紙人形シアターにて、タイプの違う5人のヒロインたちを比較しながらお話しさせていただきました。と、ここでも何の不具合かシアター始まらず…夜間のタイマー設定がうまくいっていなかったのか、結局シアターは流れずじまいで終了しました。再び得意の、ぜひお昼間に見に来てください!!が飛び出し、出し惜しみ極まりない演出となってしまいましたが、今日からシルバーウィークとのこと、“燻し銀”秋聲の魅力満載のシアター、朝から軽く20回は全力で流れております。



 


置きたいひとびと
  2015.9.18

 お昼間にもいらしたのでしょうか、暗くなるまで気がつきませんでした。
 ふとした繁みに東山の守り神のようななにか神々しい生き物を発見…→
 
 定期清掃で帰りが遅くなったためでしょうか、すっかり日も暮れた記念館界隈ではじめて出会うことが許されました。一般のお宅の玄関脇でなにやらぼんやり光るもの。近づいてみると輝く球を手にしたちいさい神様です。モアイかもしれません。いやモアイにしては随分と長い足を華麗に組んでいらっしゃいます。

 いつからいたのかわかりません。そういえば当館入り口脇にいる夫婦蛙(めおとかどうだか知りませんが二匹いるのでそう呼ぶことにしています。置き物です)もいつからいるのかわかりません。気がついたらそこにいて、いつのまにやら館の守り神的なマスコット的なキャラクターの座を占めています。ほっこりポストといい、ホスピタリティトマトといい、東山には何かをこっそり置きたいひとが溢れています。

 当館のこっそり蛙はいつでも見られますし、ほっこりポストも何かしら常時乗せてはいますし、ホスピタリティトマトはちょっとその日の収穫量によってなんとも言われませんが、なんせ光る東山の守り神が光るのは夜限定。これは今日のナイトミュージアムにおいでになったらよいのではないでしょうか。これをちょうどいいと言わずして何と言いましょう。17時現在ものっすごい雨が降っておりますが、素知らぬ顔して何度でも申し上げましょう、ちょうどよいのだと。

  

 


東山花街かもしツアー
 2015.9.15

 18日の金曜日、ナイトミュージアムの第二弾が行われます!館は夜9時まで開館のうえ(入館は8時半まで)、ナイト特別企画「夜のミュージアムツアー」が開催されます。前回は前田土佐守家資料館と室生犀星記念館をめぐるコース、今回は金沢市立安江金箔工芸館さんと当館をめぐるコースとなっており、安江さんで解説を受けたあと、コーディネーターにくっついて茶屋街周辺を散策しながら当館まで。

 北陸新幹線効果のためか、さいきんの茶屋街の人の入りにはものすごいものがありまして、お昼間などとても真っ直ぐには歩けません。誰かの記念写真に必ず写りこんでしまっているであろうことを申し訳なく思いつつ、しかし変にかがんで出来のわるい忍者のように奇妙に中腰で写りこむよりは、たくさん人がいたね~の一部としてフツウの観光客ぽく自然な背景と化していたほうがあとあとよろしかろうか、と、せっかくのご旅行中、地元のひとのお仕事感をなくすべく館職員を示すストラップをはずしお茶屋さんを見るふりなどしながらフフフ~ンと散策するさまを自意識過剰気味に演出などしてしまうそんなお昼間と違って、夜の茶屋街こそ、ザ・茶屋街。もれいずる三味線とお太鼓の音に耳を澄ませながら薄くライトアップされた道をあるくこそ一興…と思いきや、コーディネーターの方から頂戴した仮ルートを拝見したところ、なんと茶屋街二番丁(メインストリート)は通らないというからこりゃなんだかマニアックなコースですよ…!
 ご自身のマップにはない道のりかもしれません。それこそミュージアムツアーの醍醐味、まだいっぱいになったという報は届いておりませんのでお申し込みぜひこちらからどうぞ。
 




りんごシール
 2015.9.14

 試作品その4、くらいです。コップに貼られているのはシール。オリジナル「秋星」づくりに使うシールです。
 いよいよ今週末に迫って参りました。お天気予報を見ましたら、雨雨雨からの曇りのち晴れ。ヨーシこのまま、このまま、土曜までなんとかがんばっておくれ…と祈り祈る今週です。

 この企画の開催が決まってから、りんごに貼るべきシールの素材などいろいろと試しておりまして、マイカップに貼って毎日使ってみては水への耐性、白濁の具合、気泡の出来やすさなどいろいろと実験しております。これまでに何枚か貼っては剥がれ、本日新しく貼ってみましたあの透明シールこそが実験のすえにたどり着いた最良のシール!本番を目前にして、もしアレがはがれてきたり曇ってきたりしたら、もう当日は雨だっていっこうかまわないのです…あるいは最悪りんごに直接書き込むかたちになりますが、館と果樹園さんがおたがいにもやもやとした気持ちになること必至ですので最良のシールであるはずのこの方にはどうにかふんばっていただきたいものです。
 ちなみにシールに書かれている絵はふつうの油性ペンによるもの。すなわち、当日ふるさと偉人館さんの広いお部屋をお借りして行う自称「ワークショップ」とは、とくに下書きもトレースも許されないフェルトペンによるフリーハンド一発勝負!シール渡す→ペン渡す→はーい、スタート!!という世にも乱暴な時間になる予定です。いいえ大丈夫です、間違っても消しゴムで消せます。だって最良のシールですから…!!
 「寿」とか「御礼」とか、きっちり活字でいれたい方にはたいへん申し訳ない限りです。いたしかたなし当日までもうすこしお日数ございますので、フリーハンドでがっちり活字を再現できるようトレーニングを積んでいただけましたら幸いです。


 


これ、と言われても
  2015.9.6

 先日、ケーブルテレビさんの夕方の情報番組「まちスタ530」さんに呼んでいただきました。期せずしてちょうど9月2日、10万人達成の日です。下記報道陣のなかにケーブルさんがいらっしゃるのを発見し、このあとスタジオうかがうんですよ~なんて会話をするくらいには偶然の出来事で、学芸員出演のうえイベント告知をさせていただいたのち、ニュース枠で10万人達成も報じていただいた模様です。ありがとうございました。

 芙美子展のPRのため、芙美子と秋聲が一緒に写っている徳田家蔵写真(昭和10年『牡蠣』出版記念会での集合写真)を事前にデータで送付していたのですが、遠くのモニターに写し出されるその写真を見ながらこれが秋聲で~これが芙美子で~のなかにある「これ」という言葉の不確かさを痛感いたしましたあの日…。

 ちゃんと事前にお伝えすべきところ、こちらはわかりすぎていてうっかりしておりました。これが芙美子で~…という言葉の後ろに写っていたのが『放浪記』が連載された雑誌「女人芸術」主宰の長谷川時雨であることに気づいてはいたのですが(右から3番目)、あの、その、その隣の…えっと~…となって何から何番目とか容姿の形容だとか気の利いたものが一切出てこず、ちょっと距離のあるモニターでずいぶんと長く長谷川時雨をみんなで見つめる時間があってしまったこと…それはそれで「いまのは長谷川時雨ですね!」とも言われず、えっと、あの…その隣の…となってしまった生放送…どこへいった己のなかの臨機応変という概念…。
 きのう、芙美子展2回目の展示解説を行いまして、こちらはパネルやら展示品やらが近いもので「これですね!」とバスーンと指をさして説明する悪い癖を自覚いたしましてございます。このやり方に慣れすぎたがゆえに、きっと言葉で説明するという能力がどんどん退化してゆくのです。言葉だけで伝える練習をしなくてはなりません。



 


祝・10万人達成!!
 2015.9.3

 開館より10年、1年1万人の来館者を着実に積み重ね、昨日めでたく10万人目の入館者をお迎えすることができました!!おめでとうございます!ありがとうございます!!
 晴れて10万人目となったのは、北海道は藤女子大学ご一行さまのうちのおひとり・田村愛美さん。報道陣に取り囲まれるそのお姿を隙間から撮影いたしましてございます。

 副館長より記念品を贈呈いたしまして、その後館内をご案内させていただきました。藤女子大さんはみなさまリアクションよく、こちらの解説に相槌をうちながら熱心に聴いてくださいました。奇遇にも10万人目となった田村さんは各所をめぐるこの旅の事前学習で秋聲を担当してくださったとのこと。解説ののち「まだ人物像がつかみきれずにいましたが、ここへ来てちょっとわかった気がします」と仰ってくださり、オーイ山田くん!記念品もうちょっと包もうか!!と袖にむかって叫びたい気持ちになりました。お若いかたが…ありがたいことです…。
 ショップ前でクリアファイルかわいいかわいい!と沸く女子大生たちにまざってそうでしょうそうでしょう!ツイッターに載せてくれたっていいんですよ!!とイヤラシイ営業をいたしましてすみません。解説おもしろかったです、と気を遣ってくださる学生さんにその去り際まで、ええ是非ツイッターでね!ちょいとつぶやいていただければ…!!とあくどい営業をかけたこと、今となっては反省しております。
 ではまた4年後くらいに~とオリンピック宣言をしていかれた引率の先生、そして学生のみなさま、ご入館ありがとうございました!
 


 


ボランティア大学校さん
  2015.9.2

 毎年この時期にはボラ大さんが当館へもおいでくださいます。「秋聲の世界」と題して上田館長が講座を行いました。
 「代表作『黴』を中心に」と題しつつ、いつもながらの丁寧な解説ぶりでなかなか『黴』に到らず、しかし最後の最後にムギュッと詰め込んだ『黴』のインパクトがかえって強かったものか、おかげさまでオリジナル文庫『黴』が売れました。ありがとうございます。
 講座のなかで「いま岩波文庫から出ているのは『新世帯』だけになってしまって~」との解説があり、作品の魅力について力いっぱい語る一幕がございましたが、その『新世帯』もなんだったらピンチです。先日、当館で10冊追加発注したところ、納品されたのは6冊…かき集めても6冊…まさかの事態です。岩波さんHPで「在庫僅少」となってるな、とはこれまで見ぬふりをしてきたわけですが、このたびガツンと目の前に突きつけられ途方に暮れております。この6冊が売れてしまったらどうなるものか…迷わず行けよ、行けばわかるさ…
 
 途切れぬうちに、という気持ちはありますが、もうすでに途切れて久しいものが今年こそはと期待に満ちた目で待機しておりますもので、『新世帯』には行列のいちばん後ろに並んでいただくほかありません。「順番前後いたしますが~…」というパターンでいくかどうするか、いつしかすでに「品切」となっている画面とにらめっこしながら、オリジナル文庫第9弾あるいは10弾枠争奪戦勃発の予感です。
 

 
 


せいち違い
 2015.9.1

 思いあまって作家にお手紙書いちゃうことってありますよね!
こんなふうにね!↓
 当館へもごくまれに「徳田秋聲様」と書いてお手紙が届くことがあります。と言って中身はまるで秋聲宛てでない展覧会のお知らせであったり請求書であったりです。要は「徳田秋聲記念館」宛てとすべきところ筆がすべって秋聲宛てとしてしまったもよう。
 こちらも新宿にある林芙美子記念館さん宛てにお手紙を出したかったところ、思いあまってうっかり芙美子様宛てとしてしまったのでした。芙美子さんの場合、もともと芙美子邸であるところをまるまる記念館さんにしていらっしゃるので、あながち間違いでないかもしれません。ちょっとタイムスリップだけした感じです。

 先日当館へいただいたご感想メッセージをみんなして読んでいたところ、ある職員が「ここがしゅうせいのせいちとはしらなかったです、と書いてありますよ~」と読み上げてくれたその中身に「えっ聖地!?記念館を聖地と!?ヒャッホウ!!」となってその紙面を横取り見いたしましたら「秋聲の生地」と書いてありました。…となってくると微妙!記念館は生家からちょっと離れてる…!!
 しばらくその文字面と見つめあい、(生地…記念館…いや生地…金沢ってこと…ですよね…?このニュアンス?)と心のなかで会話をしました。ふつうに考えれば特に問題はないのですが、某K記念館さんと犀星記念館さんがそれぞれ生家跡に建っているため、当館もそうであろうと誤解されることが多いのです。厳密に言うと生家からはちょっと離れているけどちいさいころ住んでいたお家のすぐそばにあるところの記念館。言葉にするととても微妙!



 


バトルトーク
  2015.8.31

 きのう金沢文芸館さんの開館10周年記念イベント、三文豪館学芸員によるバトルトークが開催されました。レフリーとして金沢学院大学の蔀際子先生のご進行で、バトルとは言いつつ終始なごやかに三文豪それぞれの特徴と関係性が語られました。

 当日は三文豪を象った等身大パネルも会場に出現!台に乗せられているためちょっと大きくみえますが、身長もだいたい合わせてあるそうです。そんな先生方を背負ってお話ししている本人たちにはわかりませんが、お客さまからは各学芸員の後ろに立つ先生方がどんなお顔をして見えていらっしゃるやら…。
 真っ直ぐにお顔を見られない怯えから撮影する手が震えた結果の一枚→

 そして当日は徳田章子名誉館長もおいでくださっており、犀星さんからいただいた秋聲宅の竹にお話が及んだ際、急にマイクを振るという暴挙に出る学芸員。館職員の口から聞くより、そのお宅に現在もお住まいかつその竹を大事に守っていらっしゃるお孫さんの口から聞きたかろうて!!との配慮のつもりでしたが、不躾に申し訳ありませんでした。しかしわれらが名誉館長、相変わらずの凛としたうつくしい語り口で観客を魅了しておられました。ついでに言うと、その竹、現在犀星記念館さんで開催中の「犀星と田端文士村」にて徳田家に渡った由来が語られております。

 おとついは当館兼犀星館の上田館長が某K記念館さんで鏡花と秋聲を語り、9月20日(日)には某K記念館の秋山館長さんが文芸館さんにて「金沢三文豪と路地の文学」を語るというこの手厚さ。バトルの冒頭に蔀先生より、県外では「三文豪」といっても通じません、とご紹介があり、それはそう、そのとおりなのですけれどもこの「三文豪」の結束によりじわじわとテリトリーを広げていきたいところです。





ナイトミュージアム
 2015.8.30

 28・29と東山一帯で開催された燈涼会にあわせて夜間開館を行いました。周辺館それぞれイベントを行うなか、当館ではきのう芝山佳範先生の指導による沈金体験ワークショップを開催。浅野川をのぞむ当館2階会場で、秋聲本の装丁をモチーフに参加者がおのおのお好きなデザインで作品を制作しました。

 モチーフを線画にしたものを漆の面に転写し、ちょっとずつ彫ってゆきます。最初こそキャッキャいいながら取り組んでいた参加者のみなさんですが、彫る作業が始まると次第に無言に…カリカリカリカリ、というひっかき音だけが妙に響く館内の様子はなんともシュールで、その空間に耐えられなくなり、こそっと秋聲の好んだ音楽をBGMに流したりなどしてみましたが参加者の耳に届いたかどうか…。
 みな一様に職人の横顔で、ひたすら彫りに彫る2時間でした。

 秋聲本は比較的地味なものが多く、某K花本や、ご自身でもデザインしてしまうという犀星本ほど語る部分が少ないように思っておりましたが、こうしてみると瀟洒でモダンなデザインが光って感じられます。それぞれ取り組んでいただいた作品の装丁デザインを通して、また中身の小説部分にも触れていただけると幸いです。驚くほど内容と絡みませんよ!!それもそれ、秋聲本のおもしろいところです。

 今回、講師を引き受けてくださった芝山先生のギャラリー「コロニー」さんは、市内広坂の金沢能楽美術館さんの並びにございます。ご興味のある方は足を運んでみてください。





なにか赤いものをプレゼント
 2015.8.29

←こちら記念館前「秋聲のみち」沿いの一般のお宅の玄関先でみつけました。
 「金沢へようこそ。冷たい甘いミニトマト食べまっし」と書いてあります。繰り返し申し上げます。一般のお宅の玄関先です。なんというサービス精神、なんというホスピタリティ。ちょっと敷地で栽培していないものでトマトこそ差し上げられませんが、館とてもそういう心でありたいものです。そんな館から差し上げられるといえばりんご。「秋星りんご」です。

 イベントページにしれっとアップしておりますが、開館十周年の当館と出荷十周年の「秋星りんご」、このたび初のコラボレーションが実現いたしました!
 去年の秋からじわじわと種を蒔き、そっと育てておりましたこの企画が「秋星」生産元であるりんご部会さんの多大なるご協力を得てようやく始動です。
 まずは9月、十周年記念セレモニーのプレイベントとして、オリジナル「秋星りんご作り」を行います。参加者の方がお好きなデザインをシールに描いて、それをりんごに貼り付けて帰ってくるというワークショップ。陽射しを浴び、りんごが赤く色づく頃にはその文様が浮かび上がるというなんともドキドキワクワク、しかもけっこう高価な「秋星」さんにおそろしく贅沢なイベントでございます。こちら定員までまさかの若干空席ございます。ひとり二個までデザインできますので、ひとつは自分用、もうひとつはお友達・恋人・ご家族・親戚へのプレゼントとされてはいかがでしょうか。ただしお手元に届くのは10月中旬になりますので、張り切って告知されませんよう…。
 また10月には本イベント、りんご部会さんと共催で、当館にて記念セレモニーを執り行います。その際には先着50名さまに館オリジナルデザイン入りの特製「秋星」をプレゼントする予定にしておりますので、今よりは台風を全念力で遠ざける準備をいたします所存です。



 


小諸からの館林
   2015.8.28

 前回展資料の返却のため、長野県にある小諸市立藤村記念館さんと、群馬県は館林・田山花袋記念文学館さんへ行って参りました。台風の影響が心配されましたが、当日はなんとか台風一過、名残の強風と戦いながら(美術専用車の運転手さんが)、一路小諸へと向いました。 金沢から車で4時間、小諸に降りたった瞬間の感想は「寒ッ!」さすが避暑地です、石垣を吹き抜ける風の涼しいこと…なんとなく、あのち~へい~せ~ん~♪と心のなかでうたいだしたくなる庭園の色味と風情にまったりしたい気持ちを抑え、『破戒』初版本とお別れをしてすぐさま館林へ。

 そこからおよそ2時間半、着いた館林にての感想は「小雨!!」。あれだけ灼熱のまち灼熱のまちとこのブログでもうたっておいて、返却時にはまさかの28度でした。わ~フツウ~!

       この夏ニュースでよく見たたぬき時計→

 駅には熱中症予防に冷たいミストを浴びられるお部屋がありましたが、この日は無用…自然のミストでいたって快適…。お住まいの方には怒られるかもしれませんが、8月の館林にうかがうならば日本一の暑さを体験したかったというのが正直なところです。そんな物見遊山の気持ちを見透かされたのか、無事返却をすませ館林駅にて美術専用業者さんとお別れする際、何だかよくわからない大きな石に足首を強打し、大自然の大いなる意思を感じながら帰途についたのでした。
 さようなら自然主義文学展、開館20周年の日にきっとまた。  



 


反比例する文字サイズ
  2015.8.25

 そういえばガイドペーパーにも魚の謎の答えは記してあるのでした。いつもは8ページ綴りですが、今回は思いあまって12ページ綴り。その厚みのちがいからなんだか減りが異常に早いや!!と職員を毎回戦かせているとの噂です。
 きのうお世話になったところへガイドペーパーを送らんと張り切って出力しましたら設定を間違えてA5サイズの小さなガイドペーパーが出来上がりました。かわいいかわいい!

 かわいいけど字ちっさい!!飛び遊ばせている小鳥がもはやミジンコの域。最後に添えている展示資料目録などお米に書ける文字サイズ。持ち運びには便利ですが、これは読むに不親切な仕上がりです。そういえば他館さんの文庫などを見ましても、当館のオリジナル文庫の字ちっさいんだな…と先日改めて反省などしておりました。


←こちら北九州市立文学館さん刊行
    『林芙美子短編集』。

 詩のページを開いておいて比較にちょっとアレですが(後半小説が収録されています)、文字が大きくすっきり読みやすい…


 今回展示室でも久し振りに「ぬおおお壁が足りぬぞーいッッ!!!」と天にむかって盛大なる雄叫びをあげたことを思い出します。ゆえにパネルがぎゅうぎゅう、さらには小さな文字ぎゅうぎゅうです。単純に力不足、工夫不足であることを棚に上げておいての、思いの丈が大きくなればなるほど文字が小さくなる不可思議…。しぼりこむ技術を身につけねばなりません。





魚の謎
 2015.8.16

 なんだかんだでお盆休みも最終日。この間、ご旅行やご帰省のおかげさまで来館者もじんわり増えていたもよう。ありがたいことです。おいでくださったみなさま、どうぞお気をつけてお帰りください。そして今回こられなかったみなさま、記念館はこの次12月まで休館ございませんのでいつでもどうぞお越しください。
 
 さてオープンからはや一週間の芙美子展。美しい線画がなんとも涼しげな今回チラシでございますが、いつぞやこちらで書いたふたつのモチーフとはお花とお魚のことでした。お花のほうは芙美子の芙からの「芙蓉」です。先日とある打ち合わせのため訪れた土地に芙蓉がたくさん咲いており、おお、芙美子さんに呼ばれておるわい!!とウキウキ撮影して帰って有識者に自慢しましたら「これは木槿(むくげ)。」と一蹴されてしまいました。調べてみると同じフヨウ属だけれど似て非なるもの。葉っぱの感じが大きく違いました。なんと恥ずかしや…。

 ↑どこで何をしているのやら感と緑あふるる一枚。 

 お魚のほうも実はちゃんと由縁があり種類まで決まっているのですがさてお分かりいただけるでしょうか?芙美子さんが秋聲先生につけたあだ名で「魚の○○。」と書いているところに由来し、その正解はチラシと同デザインの館内タペストリーに刷り込んでありますのでご来館の際にはぜひご注目ください。真ん中のテキストをまるっと差し替えており、はいはいチラシと同じね、とスルーされると何の魚だったのか見逃すことになりますので是非ともこの小賢しい細工にお付き合いくださいませ。
 
 

 
 

芙美子展オープン
 2015.8.8

 いよいよその全貌が明らかとなりましたバナーとともに、本日「芙美子と秋聲」展無事オープンです!ありがとうございます!
 今回は(わりといつもですが)秋聲と芙美子との関係に特化しておりますので芙美子さんの生涯、作品、業績について詳しく知りたい!という方には物足りないかもしれません。とにかく全コーナーに秋聲が顔をだし、というより秋聲が絡む部分しか出しません!!という強気の仕様になっているものでその実芙美子さんに申し訳ないという気持ちが胸のうちをもやもやと漂っており、きのうほぼほぼ設営が済んだ展示室で館長とお話しながら「あんまり芙美子に踏み込めなくて…」としょんぼり語ったその言葉がうっかりダジャレになっていてほんとうに反省しているのかどうだかはなはだ疑問な感じになりました。すぐに気がつき、アッダジャレになっちゃいました…!ふみこにふみこめないですって、ププー!としてしまったことが悪かったといえば悪かったです。

 ただ芙美子に踏み込めた場合にも語幹は変わらずダジャレ成立なので、どうせなら踏み込んだうえで新たなダジャレを繰り出せたらよかったのに、となおのこともやもやしていたりする初日ですが、とりいそぎ今日この日だけはオープンできたことを喜びたいと思います。

       例によって初日の展示解説中→

 展示替え休館中、遠くから来たのでリーフレットだけでも…と仰るお客さまがいらしたこと、わすれません。芙美子展、11月末までのロングランですので、ぜひ芙美子と秋聲とのかかわり、資料をとおしてご覧いただけましたら幸いです。
 




壁ドン
 2015.8.5

 無事燻蒸おわりまして、本日より設営作業を開始いたしました。前回分パネルをはがし今回分パネルの設置がなされ、トップのバナーもまたすこし出てきたようです。
 作業工程といたしましては、学芸員から設営業者さんにここはこう設置してくださいと指示がなされそれにしたがって作業してくださるわけですが、今日なるほどこれはこういうのですか、という愉快な用語がとびだしましたのでこちらにてご紹介です。

 「このパネルはこの壁の角っこまで詰めてもらって…」
 「了解しました。おーい、これ壁ドン!」
 「(壁ドン…!)」

 それ壁ドンっていうんですね!!ロマンチック!!この展示室の三ヵ所でひそかに壁ドン!!

←これが壁ドン!!

と、ひとりニヤニヤしておりましたら、パネルのデザイナーさんも様子を見にやってきて、おーいい感じですねーなどと言いながらしばし先日の校了前夜、怒涛の校正祭りのことをしみじみ回顧……電話とFAXを駆使して何度も何度もやりとりをしている本人たちは必死ですが傍目にはへんなふうにも映っていたようです。
 
 「これなんて書いてあるんですか!?FAXで見切れてて…!」
 『あっそれ「おしるこ」です!おしる粉の「粉」!』
 「あっ、おしるこ!おしる粉かぁ!!了解です!!」

 必死の形相でこのひとたちは何の話をしているのか、何おしるこって…。と回りに思われていたとのこと。真夏に白熱のおしるこ談義、いったいなんだったのかは是非展示にて。 



 

展示替え休館中
 2015.8.2

 職員一同元気です!暑いですね!お元気ですか!!

 校了祭りにうつつをぬかしておりましたら気がつけば8月も2日!きのう「日本の自然主義文学展」最後の展示解説を行いました。展示解説も最後なら展示も最後。1日をもちまして、上記企画展全会期を無事終了いたしました。改めまして、ご協力くださった全国各館のみなさま、ご来場いただいたみなみなさまに厚くお礼申し上げます。

 本日より7日まで休館させていただき展示替えを行います。次回「芙美子と秋聲」展。さきほど展示室の資料がすべて撤去され、これから新規に設営をしてまいります。(いま空っぽです!→)
トップページのバナーを見る限り、作業の進捗状況いまだ2割といったところでしょうか。8日の初日を迎えるころにはその全貌が明らかになることと思われますが、うっかり引っ込んでいきましたら、あっなんかあったんだな…!と察していただけましたら幸いです。パネル間に合わなかったんだな!とか、展示資料そろわなかったんだな!とか、職員が風邪ひいたんだな!とか…そんなことだってあるじゃないか、にんげんだもの…。
 いいえ万が一にもそんなことのないよう、鋭意すすめてまいります。と、決意を新たにしたそばから、明日あさっては館内燻蒸を行いますので展示替え作業はいったんストップ。電話も不通となりますのでご迷惑をおかけしますが何卒ご海容くださいませ。
 そういえばクイズラリー中の方にも申し訳のないことです。8日9時半より開館いたしますので、その際にはまた当館のほうへもめぐっていただけましたら幸いです。
 
 
 
 


まちめぐりはじめました
 2015.7.25

 18日よりさりげなく始めております毎年恒例まちめぐり。東山一帯をめぐっていただき、各館から出題されるクイズに答えると景品がもらえるというもの。今年もはりきってクイズ初級中級上級をつくってみましたが、様子をみていると正答率はなかなか低めのようです。と言いつつなになにどうして!?と思うことこそこちらの傲慢であって、他館さんのクイズを覗きにゆくとアッむずかしい…!!となったりしましたので、あんまり同じ田んぼで長く生きているといけませんね…
 まさに井の中の蛙大海を知らず…
     
          かわず…

                 かわず…→

 まったく反省の色の見えない話の流れで恐縮です。こうして連想の糸でもって急に違う話をし始めるのもシュウセイズムでございます。本日のほっこりポスト、いまだ梅雨を抜け切れていないご様子…

 ハテ、そもそも梅雨ってあけたのかしら?と調べてみると北陸地方は21日に梅雨明けを迎えておりました。館のなかの蛙、天気をも知らず…おかげさまで頑丈なつくりとなっております記念館、なかにいると外の暑さも寒さも雨も雪も気がつきません。それに目をつけたのが石川県、9月末までクールシェアというのもやっております。「クールシェアとは、ご家庭のエアコンなどを消して、図書館や飲食店などのクールシェアスポットに出かけることにより、節電につなげる取り組み」(公式HPより)とのことで、

←黄色いコレの貼ってある施設でポイントを集めれば、素敵な商品懸賞に応募していただけます。いわゆるナントカ館をはじめとする公共施設のみならず、レストランや温泉・プールなどにも設置されておりますのでお出かけの際にはちょっとキョロッとしてみてください。意外なところにひょっこり貼ってあったりいたします。


 
 


ありがたい柄
   2015.7.20

 本日三連休最終日、海の日でございます。みなさま連休を謳歌されておりますでしょうか。当館は本日も元気いっぱい開館しております。そろそろ暑くるしく響く「蒲団」展ですが、花袋に宛てたヒロインのモデル 岡田美知代さんからの2m70cmに及ぶ本展の目玉書簡が有難いことにきれいな朝顔柄…目にも涼しく、ちょいと鬱陶しいくらいの黄色いメインパネルのまえで清涼感を放っています。とはいえ内容は熱くるしいのです。
 いつぞやあれ全部で何文字ですか?と訊いてくださった方があり、そのときはまるで把握しておらず是非数えてみてください…と無責任にほっちらかしてしまいましたが、このたびふとそれを思い出して数えてみたら(文字カウントさまです、すみません…)ざっと1600字ほどでした。400字詰め原稿用紙4枚ですね。夏休みの作文や読書感想文の相場が4~5枚程度のようですから早くも課題ひとつ終了ですね。これは花袋先生でなくとも「数多い感情ずくめの手紙――」と言いたくなるというものです(『蒲団』冒頭)。

 文章をかきても思ふやうにハかゝれず 想は平凡 実にかなしくてかなしくて
 何故かくまでの馬鹿にて何故かくまで文才なきにやと泣き出し度く候
 然りなからいかにもがき候て出来ず 此上ハ心ながく勉強するつもりにて
 あまりじれぬやうつとめ居り候――


 書中でもちょうど夏休みを控えたころ、いったん地元に帰りますがまたすぐに出てきますから!!!と師に告げるそんな文系女子の情熱あふるる貴重なお手紙も、あと10日で展示終了。間もなく日本一暑い街、館林へお返しいたしますので今のうちに是非ご覧いただけましたら幸いです。

 



校了祭
  2015.7.19

 いつのころからか祭りと化したこの瞬間。次回「芙美子と秋聲」展のチラシが無事校了いたしました。ちょいと前に世間で話題のトピックとして、校了を告げた瞬間に校正能力がぐんと上がる不思議というのを目にしましたがまったくもってそのとおりです。岡目八目現象とでも言ったらよいのでしょうか、だから信用しないでくださいって言ったでしょう!?と周りの職員にあたりちらして責任逃れをしようとするそんな小ずるい人間をすら、そこに生きとし生けるものとして秋聲は描いてくれるでしょうか。
 そして、またひとつ小さな嘘を重ねました。実は今回校了祭でなくほんとうは責了祭であったこと…。責任校了、最後の修正確認は印刷会社さんにお任せします、ということ。時間が…時間がなかったのです…。責了祭の場合、校了祭よりすこし盛り上がりに欠けます。なぜならまずそこにともに戦ってきた印刷会社さんがいないですし(祭り開催中、最終確認のお仕事をしてくれているからです)、意をつくしたけれどほんとうにちゃんと伝わっただろうか、赤字で書いたあの矢印、ちゃんと正しい場所を指していただろうか、などと一抹の不安を抱えながら踊らなくてはならないからです。とあるデザイナーさんに聞いたところ、「責了です」といわれることが何より心苦しいとのこと。ようやく手放してくれたか!と思うひともいるのでしょうが(そしてそれは決して責められないこちらの執拗さ…)、きれいに校了にいたれなかったこれまでの運びを反省せざるを得ないというのです。しかしながらこちとら勝手なもので、何度「いまさらすみません」という魔法の言葉を繰り返したか知れません。

 くわえて頻出「ちなみにですけど」。ちなみにですけど、これ青から緑にできますか…?ちなみにですけど、これ右と左いれかえたりってしていただけます…?チラシのもつ最大限の可能性を探る魔法の言葉「ちなみにですけど」、(いまそれ言うー!?)と思われているんだろうな、という申し訳なさを滲ませつつ言いながらちゃんとドキドキはしています。



 


片町2-10-17
 2015.7.18

 前回の学芸員会議では桐生悠々展開催中の金沢ふるさと偉人館さんにお邪魔しました。そしてつい先日、その展示をご覧になるため東京から悠々ご令孫・桐生浩三さんがお越しになり、お帰り際に当館へも足を運んでくださいました。すでに3年前になりましょうか、当館で悠々展を開催したおりにもたいへんお世話になった方です。まったくお変わりなくシャンとした姿勢で、館長と会談して帰ってゆかれましたが惜しむらくはその1時間ほど前に徳田章子名誉館長も来館されていたということ…なんと桐生家徳田家のお孫さん同士の対面がまさかのニアミスにより果たされませんでした…!もちろん双方東京にお住まいでいらっしゃるのでそこで会えば早いは早いというものですが、金沢での邂逅ってのがなんともドラマチックではありませんか…当館リニューアル後のエントランス入ってすぐのところには、お互いの『思ひ出るまま』(ふたりとも同名の回顧録を書いています。悠々が秋聲を真似っこ)が同じケース内で展示されてございます。あああそのまえで記念写真など~~~と思ってみたりもしたのですが、またいつか機会があればそんなことが実現できればうれしいです。いや本気になればすぐに実現できるかと思いますが、計画づくの招聘でなく、今回偶然が重なったものでそれをそのまま生かしたかった心持ちです。

 さて、先日行われた今回の学芸員会議は前田土佐守家資料館さんが会場でした。徳田家は加賀八家中 横山家の家臣でしたが、桐生家は前田土佐守家の家臣。金沢…狭い町…。たしか、悠々のとこの寿々夫人のご実家 藤江家は本多家家臣のお家柄だったのではないでしょうか。本多家由来で命名された本多町にあるのがふるさと偉人館。おお、金沢、狭い町!

 もうひとつついでに、土佐守家資料館のある長町の由来となった長家の家臣に秋聲次兄・順太郎が養子に行った先の正田家があるでないの!とひとり盛り上がったわけですけれども、ちゃんと見たら土佐守家資料館の住所って片町なんですね…!つい長町武家屋敷のとこの~と言ってしまいますが道いっぽん挟んでそこはもう片町2丁目でした、すみません。
 
 

 


受付のチャンス
  2015.7.16

 きのう書きそびれてしまったのですが、慣れぬテレビ局にしどろもどろと現れた不審人物にも、MROさんの受付の方はたいへん感じよくすばらしいご対応をくださりとても感動したことを申し添えておきます。
 受付は局の顔、館の顔。

 当館では学芸員職は基本受付に出ませんが、先日受付担当職員と雑談していたおり、とても感動した出来事がございましたのでこちらにてこそっとご報告です。受付に出ない学芸員はイベントに参加してくださる方々、すなわち比較的秋聲にご興味がある方々としかなかなか接する機会がありません。興味の大小を問わず、日々館を訪れ展示を観覧してくださるお客さまの大多数に接するのは主に受付担当職員。そして受付にはいろいろとこちらからご案内せねばならぬことがたくさんございまして、観覧券の種類、割引制度、カルチャーポイントシステム、クイズラリー等々…と、必要最低限のことをお話しするだけでも結構なボリュームになりお客さまの貴重なお時間をいただいてしまうことになりますもので何より迅速にスムーズにご案内するのに必死な様子…。そんななかで、名言が飛び出しました。

「お客さまのほうから話しかけてくださったらそれはチャンスなんです。」
 
 秋聲のことでも、館のことでも、金沢のことでも、近くのお店のことでも、何でもいいから話しかけてくれたら、そこでどれだけ気持ちのいい対応が出来るか、お客さまと良い関係が築けるか、受付の職にあるものとしての技量が試されるというのです。もちろん内容によっては満足にお答えできないときもございます。が、どれだけ真摯に向き合えるか、その姿勢というのはお客さまに伝わるもの。そして館の印象というのは案外とそこに左右されるもの。展示の良し悪しより、受付の対応というのがその館の印象を決めてしまうこともあるのです。感じわるかったから二度と行かない、そう思われてしまってはどんなに良い展示をしていてもその館は終わりです。
 「秋聲のためにできることはそれくらい」とはにかみながら言う職員、言わずとも日々そう思って働く職員もまた、サンタのお面並みに当館の財産です。





「げつきんワイドおいね☆どいね」
 2015.7.15

  本日午前中、MROラジオさんの表題の番組に学芸員が出演させていただきました!あのいわゆるラジオのブースにひょこひょことお邪魔して、たまにみるあの丸く平べったい形をしたマイクのまえで、上坂アナの巧みなリードに引っ張られ、10分というわずかな時間ながら秋聲周辺を余すところなくご紹介させていただきました。いいえ10分、貴重な時間です。MROさんありがとうございました。あいかわらずの事後報告ですみません。うっかり聴かれた方、またご感想お寄せいただけましたら幸いです。
 MROさんにうかがったあと、秋聲忌の打ち合わせをかねて石川近代文学館さんにも顔を出してまいりました。同館では「妖怪えほん原画展」の後期展を開催中。小道具として展示室の片隅に置いてあるランドセルの何故これほど怖いものか…持ち主を離れたリコーダーの不気味なこと…どこから入手するのやらと思われるような小道具満載の相変わらず文学館の枠を超えたこだわりぶりにウチも立体物ほしいな…とちょっと顧みたりもするのでした。当館の立体物といえばやはりサンタのお面。ふとその顔が頭をよぎり、石川近文さんに展示されているサンタのお面(別バージョン)にも久方ぶりに対面してきました。ひとさまの館の収蔵品をつかまえて失礼ながら、やっぱりちょっと不気味なつくり…現企画展に参画してもよいほどの…いやいやよく観察すれば帽子のポンポン部分がカワイイといえばカワイイ、か…。

 これと当館のサンタを見比べて、当館蔵のもののほうがカワイイな、と思っている時点ですでに大事な何かを失ってしまっているのかもしれません。

←「カワイイ」というのはこちら。
 石川近代文学館さんオリジナルシール
 (北村紗希デザイン)
 三文豪その他石川県にゆかりの作家たちの作品がモチーフになっており、なんと100円で販売中です!


 



続・TBSラジオ「ラジオシアター~文学の扉」
 2015.7.12

 本日21:00~21:30、秋聲『仮装人物』後編です!

 パーソナリティーの中島朋子さんとゲストの中江有里さん(女優、作家)とでラジオドラマ化された『仮装人物』をお聴きいただけます。前編を拝聴したところ、思いのほか新脚本で、まったく新しい作品となっておりました。「先生のお顔が怖いんですもの!サンタのお面のほうがよっぽど優しいわ!」

                これですね!!→
 
(ちなみに石川近代文学館さんで展示されている秋聲遺品のサンタのお面はまったく違うつくりをしていて、当館蔵サンタよりちょっと怖い…かもしれないお顔立ちをされています。常設展示されておりますのでこちらもぜひあわせてご覧いただけましたら幸いです。サンタ面のコレクター秋聲…)

 ラジオドラマ版『仮装人物』は現代的でそして濃厚でした。またいっちばん気になるところで前編が終了しておりますので、後編もたのしみです。「もっといやらしいおじさん」(番組HPブログより)にされてしまった庸三の運命やいかに…。前編お聞き逃しの方はYouTubeからどうぞ!





月金講座
 2015.7.11

 昨日ご近所の味噌蔵町公民館さんにお呼ばれしまして、同館の月金講座にて秋聲のお話をさせていただきました。お招きありがとうございます。月曜と金曜に開催されるから月金講座です。味噌蔵町といえば秋聲が14~15歳のころ住んでいたお家があったところ(現兼六元町)。さすが司会の方がそのあたりも冒頭でご紹介くださり、参加者の方も急に秋聲を身近に感じられたのではないでしょうか。
 1時間強のお話ののち、質疑の時間を~という時間には往々にしてなかなか手があがらないものですが、終わってから参加者のみなさまからいろいろと話しかけていただき、あぁみんなの前ではアレだけど、おのおの何か心に引っかかってくださったことがあったろうか…と手前勝手に嬉しくなりました。中でも印象に残ったのが、とあるおじさまとの会話で「秋聲さんの作品で光のナントカってあったかね?」「ああ、『光を追うて』」「あれって登場人物いっぱいでてくる?」「出てきます出てきます」「主語と述語、けっこうめちゃめちゃじゃない?」「めちゃめちゃですめちゃめちゃです」「ああ、やっぱり。たしか昔読んだけどわっかりにくかったわぁ~」「わっかりにくいですよね~」と、妙なところで意気投合してしまった件…。わっかりにくいかどうかは個人の感想として、秋聲が世に出るまでを記した自伝小説『光を追うて』はとにかくいろいろな情報がこれでもかと詰め込まれているもので、何を求めて読むかによって得るところが毎回変わるという不思議な書物なのでございます。と言いつつ、大きくはこちらの把握能力の問題かもしれませんが、毎度「えっ書いてありましたっけ??」「アッ書いてある…!!」というハメになり、何か調べものの際には必ず、“帰るところは『光を追うて』”と呪文のように唱えるのです。





沈金体験
  2015.7.10

 来月28・29日、当館を含め東山一帯、夜間開館をいたします。ここら一帯で毎年恒例「かなざわ燈涼会」が開催されるからです。
 そんな両日のうちとくに29日は大忙しです。日中、当館上田館長が某K記念館さんで講演を行い、夜には夜で18時半~20時半、沈金体験ワークショップを当館にて開催することになっております。
 ハテ、沈金とは?金箔生産量99%シェアを誇る金沢の人間がそんなことを言っていてはいけません。蒔絵の一種で漆塗りの上をちいさく彫り、そこに金箔を埋め込む技法、金沢の伝統工芸です。もちろん当館の人々ではそんなご指導できませんので、広坂のギャラリー&ワークショップ コロニーさんから芝山先生をお招きいたします。先日、開催にあたり打ち合わせを行い、ありがたいことに秋聲作品の装丁をモチーフにしていただけるとのことで作品の選定を行いました。展示室で目を光らせる先生、メモ帳片手についてゆく学芸員。アレと、アレと…アレとアレとアレ。と仰る先生の言葉を必死にメモする学芸員。そんなわけで当日は厳しい選抜を勝ち抜いた5冊の秋聲本から、お好きな装丁を選んでいただくというシステムとなりました。期せずしてあまりにもバランスの良すぎる先生のチョイスです。

 そうしてニヤニヤしておりましたら早速チラシが出来てきました。お仕事の早いこと。
 『過ぎゆく日』がものすごく主張をしているオシャレチラシです。これはチラシと言っては駄目なヤツかもしれません、こいつがフライヤーという生き物でしょうか。『過ぎゆく日』も先生のお眼鏡にかなった選抜組のうえ、次回林芙美子展でもたぶんいちばん大きなケースに展示されます勝ち組です。すばらしい短編小説がたくさん詰まっている優れもの、芙美子さんもこのあたりの作品がお好きだそう。 

 こちら来週16日(木)より予約受付開始、そしてお申し込み先は当館でなくコロニーさん(070-5061-9633)となっておりますのでご注意ください。定員10名、参加費は1,000円です!
 




ありがとう梅澤先生、山田先生、そして某Kの博物館さん
  2015.7.7

 連続講座最終回 田山花袋「蒲団」、おかげさまで盛況のうちに幕を閉じました。なんとなくオオトリのような心持ちで、最後にどんと「蒲団」を据えたつもりでしたが最後だなんてとんでもない、これから「蒲団」の可能性がどんどん開けてゆくかのようなお話に、参加者もぐいぐいに聞き入っておられました。
 またちょこちょこ展示に絡めてお話しくださるもので、ご講演後もたくさんの方が展示室に吸い込まれてゆき、最後まで熱心に資料をご覧くださった模様。梅澤先生、ありがとうございました。 
 これで企画展にかかわるイベントは残すところ来月1日の展示解説のみとなりました。もう一ヶ月弱、最後までどうぞよろしくお願い申し上げます(18日に予定しておりました輪読会は諸事情により中止とさせていただきます。ご参加申し込みいただいた皆様方には心よりお詫び申し上げます。)
 
 さて本日七日、七夕です。が、七夕の話題は先日使いきってしまったため、七夕らしからぬ傘の話題を…。
 おとといから当館に新しい金沢和傘が仲間入りしました!といいますのも、当館のお仲間である金沢くらしの博物館さんが今月より平成28年9月(予定)まで建物の耐震工事およびリニューアル工事のため長期休館に入られまして、そこで記念撮影用に展示されていた和傘をその間お預かりすることになったのです。当館にはいつぞやの和傘制作実演会の折、講師の山田ひろみ先生のご厚意で制作・寄贈いただきました徳田家家紋入りの和傘がおり、その彼に晴れておともだちが出来たというわけです(同じ山田先生作なので、兄弟姉妹かもしれません)。

 和傘の展示台ごとお預かりして玄関先に設置しておりますので、和傘の似合う東山でどうぞお気軽にご利用ください。なお、あくまでも記念撮影用で、急な夕立用にはお貸しできませんので何卒ご理解のほど…!





ありがとうK記念館さん
  2015.7.5

 昨日はシンプルにお知らせのみにしてみました。今日の今日、21時からラジオ前に待機です。
 さて、今日の今日といえば、14時から連続講座最終回、大正大学准教授 梅澤亜由美先生による田山花袋「蒲団」の開催です。きのう閉館後、その会場準備をしておりました折、プロジェクタに不具合が発覚。慌てに慌ててすぐさま某K記念館さんに助けを求め、毎度ながら懐の深いK記念館さんは快くお貸しくださり、そのコンパクトなカバンを受け取った瞬間からウム…さすがK記念館さんのやつは黒いであるな…と思っていたのですが、開けてみてもやっぱりさすがでした。

 この白黒のきっぱりとしたコントラスト…
 こんなところですらもしっかりとK記念館カラー…!

 ちなみに当館のプロジェクタはカバンもグレーなら本体もぬるっとしたグレーです。

 ↓いやシルバーかな…燻し銀かな…。
 
 そんなわけで時に助け合うこともある某K記念館さんのおかげさまで、このあと無事講座が開催できそうです。もつべきものは川向こうの兄弟弟子…今となっては花袋展で花袋と相性のよろしくなかった作家としてK先生をご紹介していることを心苦しく存じおります…
 





TBSラジオ「ラジオシアター~文学の扉」
 2015.7.4

 明日の21:00~21:30、表題の番組で秋聲の『仮装人物』が取り上げられるとか!
(以下、番組HPより)

 パーソナリティ:中嶋朋子

 小説には、名作と呼ばれる作品が数多くありますが、タイトルは知っていても
 読む機会のないままに、これまで過ごしてきた人も多いのではないでしょうか?

 そんな小説の名作から、1冊の「本」を選びます。
 その中の名シーンを「ラジオドラマ化」し、中嶋朋子とゲストが演じます。
後半は、「本」の感想や、作者について、対談します。
読書への扉を開くのがこの番組です。  
 
 ★7月5日(日) 放送内容

  ゲスト:中江有里(女優、作家)
  ラジオドラマ:徳田秋声/仮装人物

 ……これは聞かねば!聞かねばですよ!!





王手
 2015.7.3

 何度言われても言われてもちょいと厄介なことはすぐに後回しにして結局忘れてしまい、アアッ!?そうでした!!と締め切り直前になって毎度あたふたする学芸員をみかねてか、お隣の職員が小さいけれど強力な攻撃を仕掛けてきました。

            出勤するとマウスにチビメモ→



 ああ~これはわすれません…。コイツをやっつけてしまわないうちには他のどんなことにもオッケー!のクリックができないようになっています。何度言っても言っても後回しにしおってからに…!!!と地を這うような低い唸り声が聞こえてくるようです。ものすごい懐への飛び込みかたです。目立つようにと何でも大きく書けばいいってものじゃあないんですね…またパソコンにべたべた貼られもうこれ生きているか死んでいるのかもわからないメモ紙たちとの差異化をはかりつつ、小さい体に決して見逃させまいとする意思のみなぎるこのチビメモを見た瞬間、今年いちばん(アッ…すいません…!!)という気持ちになりました。山椒は小粒でぴりりと辛い、ってか…。

 そんなわけで大事なことを後回しに何をしていたかと申しますと館内にも七夕飾りを設置などしておりました。
 1階「光を追うて」コーナーにうまいことつくりものの笹がモサモサしておりますもので、これはここに飾れってことかな?と閉館後脚立にのぼって星やらなにやらを飾りつけておりましたらその下を館長が通りかかられ「へえ…こんなところにね…」とつぶやかれるものでハッとして「す、すいません!ご了解得てませんでしたけどもこんなことしてもいいですか…!!」と脚立から下りもせず、なんだったら輪飾りをファサッと掛け渡しながらお尋ねしましたところ「別にいんじゃない」とクールなお返事いただきました。館長、好きです。
 
 
  


林芙美子邸
  2015.6.30

 新宿歴史博物館さんにて、林芙美子さん資料もろもろを見せていただくほか、28日が芙美子さんのご命日ということで、なんと同じく新宿にある林芙美子邸の内部公開にちゃっかり混ぜていただきました!普段は外観と一部展示室のみが林芙美子記念館(←写真は門構え)として公開されておりますが、この日はそのお宅に入ることができるという特別なツアーを開催。ベテラン解説ボランティアさんにご案内いただき「はい、じゃあどうぞ上がってくださ~い」と言われても言われても、えっいいんですか!?ほんとに!?ここから!?芙美子さんちに!?あっあっあとつまってる…!あっじゃあお邪魔しまぁす!!!と意を決して上がりこんだそのお宅の居心地のいいこと…。とても暑い日でしたが、さすが日本家屋、中は涼しくて快適です。また隅々まで芙美子さんのこだわりが行き届いたつくりになんだか胸が熱くなります。ツアーが終わり、お部屋を出ると同時に学芸員さんがススッと扉を閉め、「立ち入り禁止」の看板をススッと設置…ああ…ほんとうに特別なことなのでした。
 また七夕が近いということで、記念館さん入り口には笹が飾られており、秋聲記念館さんもどうぞ~と仰ってくださるもので、こちらもちゃっかり参加をさせていただきました。もうここへくると願いはひとつ、「芙美子と秋聲」展の盛況を祈願して参りましたが、それもわりかし気が早く、ここで勉強したもろもろを生かしてとにかく無事開催できますように、というのが正解だったかもしれません。いやそれはそっちでがんばれ…と織り姫だか彦星だかも苦笑いです。

 その後、徳田家のほうにお邪魔し、芙美子さん関連資料をお借りして参りました。今回おもしろかったのは、先日より北九州から新宿、そして文京区は本郷の徳田家とあっちこっちして拝見したその資料がすべて繋がっているということ。北九州に残る手紙の返事が徳田家に保管されていたり、その手紙について書かれた日記が新宿に残されていたりと、その一連の流れが当時の交流のさまを再現してくれてとてもドラマチックです。芙美子と秋聲の邂逅は、七夕以上にドラマチックなのです。



 

まちの踊り場
  2015.6.25

 瓢箪町に現存する秋聲の異母兄・順太郎さんのお宅がいよいよ新装オープンです!ずっと売り物件となっていたこのお宅にて、金澤町家研究会さんの主催でその来歴を紹介するイベントに参加させていただいたのは昨年9月のこと。その際、このまま買い手がつかなければあわや解体か!?と新聞に大きく載ったことをきっかけに、なんと東京の町家保存団体さんが手を上げてくださいました。
 その後、改築整備を進め、ついに28日(日)プレオープンするそうです。今月はとりいそぎカフェ部分が公開され、いろいろの集いに利用できるコミュニティスペースなどを備え、秋に本格オープンされるとのこと。秋聲が作品中にこのお宅に言及していることもあり、愛称は作品名にちなんで「まちの踊り場」となりました(秋聲が訪れた本当の町の踊り場(水野ダンスホール)は某K記念館さんの並び、下新町にありました。残念ながら現在は有料駐車場です)。まだ中を拝見してはおりませんが、たぶん踊ってもよいのでしょう。そういえば階段の途中を「踊り場」と名づけたひとのセンスったらすごいですね。規模にもよりますが、あそこでは基本踊っていけない気がします。

 今後館でも何かのイベントに活用させていただければ…と目論んでおります。順太郎さん、またお邪魔いたします。

←自室でくつろぐ順太郎さん。

 そんな「まちの踊り場」オープンに引っ掛けて、明日MROラジオさんが当館からも生中継してくださることになりました。当館の出番は15時頃からになりそうですが、その前から秋聲文学碑のご紹介などもしてくださる予定だそうです。ありがたいことです。

 ちなみに昭和22年の秋聲文学碑の除幕式には林芙美子さんも駆けつけており、発起人の宮川靖氏ご遺族からまさにその時の写真を当館にご寄贈いただいたのですが、生憎の雨でみな傘をさしており、目を皿のようにして芙美子さんのお姿を探しましたがみつからず…残念…。





雨中緑竹
 2015.6.24

 竹で思い出しましたが、書斎のお軸、変わっております。ここ数ヶ月、月半ばで変則的にお届けしております書斎のお軸、企画展第三期開催を祝し藤村先生自筆から花袋先生自筆へとバトンタッチいたしました。
 
 この記事表題をそのままタイトルに「いろかへぬ/青葉の竹のうきふしに/身をしる雨のあはれ世の中 花袋生」と揮毫されております。すなわち、……花袋…おまえもか…。花袋先生も竹、お好きのようです(Ⓒ藤原定家)。思えば「蒲団」の主人公も竹中時雄でしたか…竹、お好きなんですね。そしてきっと今晩は花袋先生をおまえ呼ばわりしたことに悶々として眠れぬ夜を過ごすのでしょう。なんと学ばない!それを押してでもなんと使いたくなるフレーズ…!!

 雨中ときて竹中ときて、そういえば山中。北九州にダッシュする前に山中に行ってきたことを遅ればせながらレポートさせていただきます。先日、福井県境近く、山中温泉郷にございます森光子一座記念館にご挨拶にうかがいました。林芙美子→放浪記→森光子→ラジオで山中節絶賛→町長さん六顧の礼→遺品託される→記念館設立!!ということで、記念館さんでは森光子さんの遺品から『放浪記』の舞台での小道具からお衣裳から何から贅沢展示をされております。解説をうかがいつつ展示を拝見しながら、あ~このカツラいいですね~頭ちいさいですね~見栄えがしますね~……うちの展示に…?いやいや違う、小さいのは森光子さんの頭≠林芙美子さんの頭!アラ美しいお着物ですね~華やかですね~……うちの展示に…?いやいや違う、着用されたのは森光子さん≠林芙美子さん!!と何度となくゴッチャになり、森光子さんと林芙美子さんの間を行ったりきたりいたしました。
 たとえば「放浪記」という言葉を正解とする連想ゲームのヒントとして、「林芙美子!」というとちょっとど真ん中すぎてイヤラシイ感じもありますが、「森光子のでんぐり返し!」と言うとど真ん中のくせにイヤラシクなく、しかも正解率100パーセントを叩き出すのではないでしょうか。それくらいに山中以来、森光子さんにぐいぐい引っ張られつつありますが、改めまして次回「林芙美子展」です。
 




花のいのちは生うに丼 林ライスも多かりき
 2015.6.23

 漱石先生をおまえ呼ばわりしてしまったことに思いのほかダメージをくらっております。言ったら最後、取り返しのつかぬのが言葉というものです。ぜんぶブルータスが悪いのです。
 さて、小倉を後にしまして翌日の門司です。門司港駅ほど近く、旧門司三井倶楽部という建物があり、その2階に林芙美子記念室がございます。大正10年に建てられたというレトロなこの建物にはアインシュタインが宿泊したこともあるそうで、当時使用された調度品などがそのままの形で残されています。

 記念室では芙美子の生い立ちからその生涯、業績が丁寧に解説されており、実際の資料のほか、芙美子の終の棲家となった新宿に記念館として現存する旧宅書斎の再現コーナーなどもありました。芙美子がこだわり抜いたというそのお宅は植栽から何から芙美子の指示で作られているそうで、そこで流れている映像中、竹を愛し書斎から眺めていた芙美子…とナレーションがあり、ふと当館2階の映像コーナーで秋聲令孫・徳田章子名誉館長が本郷に現存する秋聲旧宅の縁側から「秋聲は竹を好みまして…」と語っているのを思い出しました。秋聲宅の竹(ちなみに犀星さんからいただいた)も今でも元気いっぱい、アスファルトを突き破るほどです。

 こうして北九州でのんきにシーザーごっこをしている間にも、プロの手によりチラシのデザイン制作は進行中。今回芙美子と秋聲両者のイメージからふたつのモチーフを発注しておりますが、あれ竹も?竹もだったかな?と今さら竹の入るスペースのありやなしやを気にしつつ記念室を後にいたしました。

 写真は旧門司三井倶楽部前交差点にて見かけた「喫茶 放浪記」。ほうらね!やっぱり黄緑なんだ!という点では気が合ったものとして、このキャッチコピーはなかなかどうして…

 



小倉日記
 2015.6.22

 ミニカーであそんでばかりはおりません。寸々語空白の合間に北九州は小倉を訪れておりました。花袋展が開幕したいま、次回企画展「芙美子と秋聲」じわりじわりと始動しております。いいやもうじわりじわりでは遅いくらいです。ダッシュです。ダッシュで北九州です。
  
 そんなわけで、芙美子の里・北九州市立文学館で徳田家関連資料を拝見、翌日は門司の林芙美子資料館を訪れました(芙美子さんは下関生まれ説もありますが、最近では門司生まれ説が有力だそう)。資料閲覧後、北九州市立文学館さんで館長さんと学芸員さんとお話をさせていただいた際、すみません…こんな急な話で…恐縮です…と肩を竦めておりましたら「大丈夫です、お察しします。ご事情はよくわかりますから協力していきましょう!こちらで何か出来ることあらば何なりと…!」と温かすぎる頼もしすぎるお言葉をいただき、うわあ小倉城ばんざい!!となりました。何から何までご親切にご対応くださりほんとうにありがとうございました。そしてまたすぐにお世話になります。すみません…。ちなみに訪問時、かの館では夏目漱石展を開催中。没後99年記念ということで、広い展示室にところせましと貴重な資料が並んでおりました。この機会にぜひ、と言いたいところですが毎度寸々語の短所として、載せるころには終了…という謎の鉄則に基づき、21日で終了しております!自分ばっかりすみません!
 行かれなかった方のために、いちばんへへえ!となった漱石豆知識をご紹介。「卯年生まれの漱石は兎を象った印鑑とともに向かい干支の酉にちなんで鳳凰の印鑑も作らせた。」(現物展示あり)……漱石…おまえもか…。と展示室にてひとりつぶやきましてございます。某K先生と逆パターンでございました。
 来月からはピーターラビット展の開幕です!これはこれで!たのしそう…!!
 
 ※そんなタイトルのくせに次回展示に鴎外先生のご出演はございません。
  キャッチーだったもので、思わせぶりで申し訳ありません。




或る試み
 2015.6.18

 まるでわざとひねりだしたかのようなお手紙を携え、〈或る試み〉をもって例のポストへと向いました。ほっこりポストです。

 と、駐車形態が変わっていました。この間見たときはどこかのサービスエリア然として並んでいたものが、今日はサークルを描いているではないですか!!おそろしい、なんておそろしいんだほっこりポスト!!
 あれだけのオリジナリティをもってなお、日々進化を遂げてやみません。
  
 そんな脅威のほっこりポストに対し、こちらも攻撃をしかけるべく、右手の手紙を投函し、左手にこっそり握り締めてきた緑のものをそっとサークルの中心に置いてみました。

 フフフ…このサークル…支配したり…!!

 観音通りの向こうからやってくる観光客の姿を気にしつつ、さっと写真を撮って、すっと緑のものを中心から退け、振り返らず息を切らして館へと走り帰って参りました。

 そう、置いてきたのはいつも受付に飾っている金沢周遊バスミニカー「秋聲号」です。事務室で急にコンビニと化したほっこりポストの話をしていたおり、うちのアレもあそこに…?と職員がふと言い出してからいつやろうとそればかり気にしておりました。が、ついにやってやりました。〈或る試み〉の成功です…!
 といいつつ基本的に胆がちいさく出来ておりますもので、一時的に記念写真を撮っただけですぐに引き上げてきてしまいました。ほっこり主が二度見するさまを影ながら見守りたい気もいたしますが、あれはあれで館にとって大事な受付要員ですからコンビニで一晩過ごさせるわけにはいきません。
 
 ちなみに〈或る試み〉とは藤村先生が「破戒」をさして言ったもの。こんなところで乱用しまして恐縮です。それらを記したパネルもおとといすべて撤去され、今は無事「蒲団」展が始まっております。

  

 


ちょっと展示替え
  2015.6.15

 ひそやかに展示替え休館をしております。某K記念館さんとまるかぶりで恐縮です。当館明日まで休館いただき、17日より「日本の自然主義文学展」第三期 田山花袋「蒲団」展のスタートとなります。満を持して、です。

 本日、展示パネルの設営が終了し、なんだか思いのほかおめでたい感じになりました。パーツの全部にスポットをあてたらよりめでたい感じになってしまったので、どこに光をあてるか検討中です。展示室のすみっこには赤い『黴』と緑の『破戒』。『蒲団』のイメージカラー(勝手に決めました)である黄色いバックパネルと相俟ってようやく三色展開が完成いたしました。
 そういえば先日、第二期の展示解説を行っていた際、なんで花袋は黄色なの?とお客さまにまっすぐな目で尋ねられ、ね!なんででしょうね!!とひどい解説を行ってしまったことを今更ながら申し訳なく思っております。たいして理由はないのだと、言えなかったことを心よりお詫び申し上げます。
 さてそれはそれとして、第二期の見所といたしましては何といっても『蒲団』のモデルとなった女性・岡田美知代と花袋との往復書簡です。群馬県は田山花袋記念文学館さんからお借りして参りました。なにが面白いったってまず長い!その長さ、ざっと2メートル70センチ!秋聲先生の身長が150センチほどですからおよそ1.8倍です。
 展示ケースのなかでくるくると広げていきながら、アレッこれケースの長さ足りないんじゃ…!?と不安になったくらいです(お借りするときにサイズは確かめているのでほんとうはそんなことないのです。気持ちの問題です)。そんな長いお手紙、綴られている状況、花袋の謝罪、基本的には群馬でしか見られない貴重資料ですので、どっちかっていうと金沢のほうが近いわ!という方ぜひこの機会に。 





なんなら桐生も黄緑
 2015.6.14

 6月の学芸員会議が金沢ふるさと偉人館さんで開催されました。偉人館さんといえば!ということで、ご迷惑にも開館前にぬらりと現れ、開催中の「反骨のジャーナリスト 桐生悠々」展、観覧させていただきました。
 3年前に当館で開催した悠々展と重なる資料もありますが、半分以上が新しくご遺族より寄託された超貴重な資料たち。中には「他山の石」発行の頃に使っていたという文机など大きな遺品もあり、これはとても当館の狭い展示室では展示できない一級品だぁ…となめるように見て参りました。

 また、秋聲ともゆかり深いということで、パネルに何度も秋聲の名が登場し、秋聲!いました!とはしゃぎにはしゃいで申し訳ありません。当館からお貸しした『思ひ出るまゝ』初版本などもちゃんと展示されており嬉しくなりました。それから四高時代の成績表も展示されており、何の大サービスだか秋聲のページも。偉人館学芸員さんによると、ご覧になったお客さまから「秋聲、国語の成績あんまり良くないね(笑)」と言われたよ~とのことで、なるほど国語の成績と小説の巧拙とはまた別なんですね~、じゃあ歴史は?数学は?とずいぶん長い間そのケース前を陣取っていた気がいたします(リニューアル前の常設展パネルにはその情報入れておりましたが、現在は無くしてしまいました。今となってはもったいないことを…)。偉人館さんで原本を見られるチャンスですので是非お早めにどうぞ。
 いつ行こうかな~と思っている間に終わってしまうのが展覧会というもので、今いつ行こうかな~とタイミングをはかられているお客さま、20日(土)はいかがでしょうか。その日13時半より、当館館長による記念講演会「桐生悠々と徳田秋聲」が開催されます。いつぞや当館で開催したときには「徳田秋聲と桐生悠々」でしたが、今回は悠々メイン。いま館でも資料の準備にてんてこまいされていますので、絶対に同じ話にはなりません。偉人館さんにて申し込み受付中です!





山・森・林
  2015.6.11

 コンビニまで遠いのが東山ですが、ここさいきん電話までの道のりが異常に遠いです。
    まんなかへんの白灰色のが電話→

 それもそう、机の上に一山二山、お隣の職員がお休みのときにはここぞとばかりにデスクを侵食し最悪三山、資料を積んでいるからです。山のあなたの空遠く、受話器の住むとひとの言ふ…。

 電話がかかってきたら椅子のキャスターを駆使して山をぐるんと迂回してゆき、打ち合わせなど思わぬ長電話になるとその姿勢もしんどいのでついには立ち上がってしゃべりだす、事務室に聳え立つひときわ高い山。そんななか、事務で使うとある小冊子が行方不明になるという事件が起こり、もしかしてこの山の一部をなしているのやもしれん、と疑い疑われつつ、いいやこの山の構成員はすべて把握しております、こっち見ないでください、という凛とした姿勢を貫いております。が、わりと前科があるのでうっかり出てきてもらっては困るという後ろ暗さから、みんなが帰ったタイミングでこっそりこの山に分け入ろうと目論んでもいます。ええ、ですからこっちを見ないでください。
 そういえば、ずっと以前にこちらでご紹介した覚えのある事務室に貼ってあるカレンダーには、企画展の会期をそれぞれのイメージカラーで帯状に示してあり、当然藤村展は緑、花袋展は黄色になっているわけですが、じわじわと動きだしております次回林芙美子展のイメージカラーも黄緑になりそうでアチャッとなっております。何故黄緑か?そりゃ「林」は黄緑でしょうよ!という勝手な思い込みによります。ちなみに「森」になると濃い緑になります。それは密度の問題です。「山」になると緑と茶色とついでに青がチラチラいったりきたりしますが、それは季節と語感の問題です。写真の山の手前にいらっしゃるのは舞台「放浪記」主演で知られる大女優・森光子さんです。





コンビニ出現
  2015.6.9

 東山に小さいコンビニができました。と、書くといつぞやの誰かしらの出産予定日以上にこのあたりの住民をぬか喜びさせてしまうかもしれません。結果的には嘘コンビニ。コンビニ風のポスト。ポストのうえのミニコンビニ。そう、ほっこりポストがやってくれました。


 ←ポストのうえにセブ○イレブン。
  
  しかもすごく流行っている…。

  同じ敷地になんだかおだんごやさん 
  っぽい建物もある…


 おととい職員がポスティングから帰って「…ねえ、コンビニ出来とった…」と躊躇いがちに小声で発言したときには一瞬意味がわからず(いま橋のたもとで工事中のアレはお寿司屋さんになるそうです)、ほっこりポストのことだと聞いたうえでもまったくイメージができませんでしたが、実際見にいってみるとほんとにコンビニができておりました!ほっこり主はいったいどこまでゆくのやら、つい先日の先日みにいったときには動植物オールスターズによるこう言ってはアレですがいたってオーソドックスな梅雨の演出だったものがいつのまに…!?

 ちなみにこの梅雨バージョンも今年はじめての展示形態です。もうなんだかんだほっこり主との付き合いも長いもので(正体は謎のまま)これをオーソドックスと呼んでしまいますが、冷静にみるとけっこうなんだこれ感…このカエルを中心として広がる整然としてかつ華やかな感じ、あとからじわじわやってくるやつ…

 先日の三太郎にせよ、そんなちょっと季節の風物詩からはずれたところのモノを最初に目撃するのが何故かいつも決まった職員でして、しかもこういうモノは必ず展示会期も短いものでレア感満載、他の職員が確認するまで、もしかして幻を見ているんじゃないか、東山のぐにゃぐにゃ路次をぬける間に異次元に迷いこんでいるんじゃないか、ほんとうはそんなものないんじゃないか、だって今は梅雨のアレのはずですけど??とつい狼少年扱いしてしまうのですが、いつだってあとでゴメンと謝るはめになるのです。



  


自然主義宣言
 2015.6.7

 百万石まつりのことを嬉々として書いていながら、その実金沢市民としてやってはならぬことをしでかしました秋聲記念館です。きのう百万石行列の真裏で、こっそりと藤村展のギャラリートークを開催しておりました。
 去年は去年で金沢和傘制作実演会を開催しており、これはまあ行列ともゆかりある和傘のイベントですからよしとして、ギャラリートークだなんて学芸員の身ひとつあればいつでも出来るものを第一土曜ですからね、ヨイショ、と機械的にスケジュールに組み込んでしまった今年2月下旬の非市民ぶり…!
 あーあー百万石まつりのちょうちんも玄関に飾っておきながらー…と、いまさら仕方が無いのでさも協賛事業かのような顔をして祭りとは対極にあるところの自然主義文学について語らせていただきました。前田家および当館でいえば特に横山家の方々に申し訳ないマイペースっぷりで恐縮でございます。そんななかでも、ばかっ行列がはじまっちゃうじゃないか、もうっ!!と言いつつトークを聞きにきてくださったお客さまには心からお礼申し上げます。

 さいきんではすっかり「自然主義」を都合よく使いたおす悪いくせがついており、失敗を失敗のまま開きなおって「えへへ、でも自然主義ですからね」、見苦しい場面を見苦しいままに「まぁでも自然主義ですからね」と言って悪びれもせずありのままをさらけだして平気な顔をしてみたりすることが館内の一部で大流行です。ありの~ままの~姿みせるのよ~♪が流行るのならばありのままを描く自然主義文学とて流行ってもよいのではないでしょうか。何らかの醜態をさらした際に、雪の平原ならまだしも会社や学校でいきなり歌いだしてはやっぱりちょっと変ですから、その代わりに「自分、自然主義ですから。」とキリッとして言ってみてはいかがでしょうか。小賢しいと思われる危険性はお含みおきください。



 
  

しみじみ

  2015.6.6

 本日、金沢市民が一年間待ちに待った「第64回金沢百万石まつり」のメインイベント、百万石行列が開催されます。街中多く交通規制がかかっておりますので、ご来沢の際にはご注意ください。

 きのう、その前夜祭として当館目の前の浅野川にて「加賀友禅燈ろう流し」が行われました。朝から生憎の雨で、やるのかねどうかね、と職員も雲行きを見守っておりましたが、スタッフのみなさんカッパを着てがんばっておられました。この人出を逃す手はない!と当館もこれにあわせて夜間開館をしたわけですが、さすがに去年よりも入館者はぐんと減りました。と言いつつ、入ってくださったお客さまには、より優雅な時間を提供できたようにも思います。

 きのう夜にもなると肌寒く、そこを館内からなら濡れずに、座れて、ゆっくり観覧することが可能です。そして2階からという高さがあるので、ちょっと中空に浮いたような不思議空間をたのしむことができます。ここ数年でさすがにもう噂の的かしら?あらあら口コミランキング1位?とニヤニヤあぐらをかいておりましたら今年また急に穴場に帰りました記念館、ぜひ来年ご利用ください。
 しかしながらそんなまったり空間であることの長所のひとつとして、サロンの電気消すかな?消さんかな?テレビ消すかな?見るかな?と無駄に館内をうろうろしておりましたら、帰りがけのお客さまがいったん戻ってこられて、秋聲ってあんまり読んだことないんですけどおすすめ作品ってなんですか??と尋ねてくださいました。これはチャンス!!とばかりに受付前にて全力のプレゼンをさせていただき、最終的にお客さまと受付さんと3人で人生ってほんとそうですよね~…としみじみするに到りました。たくさんのお客さまにご来館いただきたいという願いとともに、おひとりおひとりとともにしみじみしたい、という願いもあり…。そうしみじみ語りながら、しみじみ…?しみじみする…?しみじみしたい…?えっしみじみ?しみじみって何!?とゲシュタルト崩壊を起こしつつ「ゲシュタルト崩壊」と調べると真っ先に漱石先生が作中にその現象を記した用例が出てきて思わぬところでさすが漱石…!!となったりしています。



 


箱におさめる
 2015.6.4

 ひとんちのグッズにかまけている間に、当館グッズがレッドリストに載りそうです。今年度に入り、あらくれメモ帳が絶滅し、落款シールにつづき、今度は爛ポストカードまで…。どんどんと寂しくなってゆくグッズ紹介ページに、クリアファイルがんばれ!みんなの分も超がんばれ!!とエールを送る日々です。そのうちマグネット全4種がそれぞれ4項目つくって紹介されだしたならいよいよか、とお察しください。どれを増刷するか、新しく制作するか、など、よりよい未来を検討中です。あるいはリクエスト等ございましたらどしどしお寄せいただければ幸いです。
 そんな絶滅危惧種ばかりをかかえる当館、現在ノアの箱舟のような保存用グッズが整理されております。このひとたちだけでも次の世代へ…いつかまた繁栄するその日のために…という願いが込められているかどうだかわかりませんが、秋聲のしゅの字がつくものはことごとく保存、と問答無用で当館職員のDNAには刻まれておりますもので、そこに「何故?」は禁句です。粛々と揃いの部数を箱に収めてゆくその姿を見ながら誰かが「タイムカプセルみたい」とポエティックに呟いたその瞬間はあまりピンと来ませんでしたが、後日改めて箱を見て(タイムカプセルみたいだな…)とさも自分発信かのように改めて脳がそう思ってしまったのを自覚し、うわあかっこいいやつ横取り~…とちょっとだけ照れてもぞもぞしました。結局タイムカプセルみたいでした。この間のあなたの感想、正解でした。
 さて、これを次にあけるのはいつなのか、新しいグッズが出来ればわりとすぐに開けるんでしょうけれどもちょっとそれはいったん置いておいて、数十年後の職員たちがこれをこの箱なんだろう?と開けてみて、あっなんか昔のグッズっぽいのありますよ!となってその次に思うところが気になります。平たくいえば賛か否か、ということなのですが、いやいやそれより前に数十年後の職員が見たときにもすぐに何だかわかるようにしておかなくてはね、というところであんまり成り立たないお話でした。
 
 
 
 


箱をひらけ
 2015.6.3

 先日ようやく藤村カルタであそんでくださるご夫婦の姿を柱の影から目撃しました。なんとうれしやありがたや…畳を敷いた冥利に尽きるというものです。そうしてしばらく遊ばれてお帰りになり、閉館時間になって職員による館内見回りののちカルタがきちんと箱にしまわれている旨事務室に報告がありました。この場合「ならばよし!」ということにはならず「では出したまえ散らかしたまえ。」という応答になります。
 当初、カルタは畳横の台のうえに箱ごと設置し、その隣の解説のペーパーには「あそんだあとは箱にもどしてね」と書き添えておりました。しかし数日柱の影から観察していたところそれではどうにも気づかれないのかちょっと薄気味がわるいのか誰も触ってくれなかったため、思い切ってカルタを箱から出し、さも遊んでいるふうに散らばしておいて解説から「もどしてね」の文言も削除しました。
 すると何よりも前面に押し出してある西瓜丸裸男に引き寄せられたものか、遊んでくださる(罠にかかったとも言う)方々がちらほら現れ、そうして遊んだあとは誰に言われずともきれいに箱にしまってお帰りになるというこの現象…グッドマナー、グッド来たときよりも美しくスピリッツ…!そうしてきれいにしまってお帰りになるのを見送ったあと、それを散らかしにゆくのが職員です。散らかしにゆくときの気持ちといったら、また出たな!妖怪カルタ散らかし!!と心のなかで黄の黒のチョッキを着た少年に言われながら「えへへ、散らかすぞぉ~い」とひょこひょこ近寄っていくようなそんな心持ちですが、あれを散らかしているときの気持ちといったら雀っこをつかまえるためお米を撒き散らしている村人のようなそんな心持ちです。

 というわけでいつ見てもカルタが散らかっているのは完全なるヤラセですので、けっして前に遊んだ方のモラルを疑う必要はないのです。

←本日おすすめの一枚。
 
 読み札は「胸をひらけ」。

 




《今日の梅ノ橋⑰》
 2015.6.1

 ちなみに⑯は去年の4月です。なんと長らく放置したものか、と手前の仕業ながらいま新鮮な驚きでいっぱいです。
 さて、ここ数日の梅ノ橋、すこしものものしい空気となっております。ご近所のおじさまによれば、カラスが渡る人を襲うとのこと。食べ物をもっていなくても襲い掛かってくるのだそうです。これはいけません、とりいそぎ市の環境部署にSOSを出しましたらさっそく担当の方が見にきてくださり、当館の対岸たもとの松の木に巣があり中にヒナがいることを教えてくれました。なるほど、この時期、親として子を守ろうとしているわけでした。ヒナがいてしまうと巣の撤去はできないそうで、いまは渡る人に注意を喚起する張り紙が設置されております。
 それを見ながら、…この橋わたるべからず、ですか…そうですね…真ん中を通ったら大丈夫なやつですね…いや…大丈夫じゃないですね…とかつて一休さんに育ててもらった世代の職員たちでお約束の会話を楽しんだあと、粛々と館内にも注意喚起の張り紙をいたしました。
 そういえば、去年…いやもうおととしの夏の「らしからぬ」展の際、尾っぽの先が白くなっているご近所のカラスをベンジャミンと名づけ(秋聲の子ども向け作品「十二王子」にちなみます)、彼がもとの王子さまの姿に戻れるまで見届けよう、と心ひそかに決めたりなんだりした覚えがありますが、いま人を襲っているのがまさかのベンジャミンだったらどうしよう…いやベンジャミンの奥さん…?えっお嫁さんもらった…?カラスとして生きる決意を…??などとしょうもないことを考えながら、電信柱のてっぺんで地上を睨み付けているカラスの姿を眺めています。梅ノ橋の張り紙、ちょっと景観を損ねている感じもありますが、ベンジャミン夫妻も必死ですのでぜひご確認のうえ上空に注意してお渡りください。体が大事です。

 



フトンを販売
 2015.5.31

  「ついたちからフトン販売ってできます??」とグッズ担当に何気なく言ってからハッとしました。ふ、ふとんを売るだって!?プークスクス!!と内心大爆笑でしたが、言われたほうのグッズ担当職員はいたってクールに「できますよ。」とお返事してくれました。し、仕事がはやい~…と同時にかの人のなかではもうすでにカッコ付きの『蒲団』になっていることに妙な感慨を覚えたものです。

 おかげさまで、『破戒』とあわせて『蒲団』の文庫本も実は入荷しております。が、まだ店頭には出しておりません。きのう大東文化大学の下山先生による連続講座『破戒』が無事終了し、7月の最終回は満を持して花袋さんの『蒲団』がテーマですからその予習のためになんならもう店頭にだしておけばいいのに、と誰しもが考えそうなところをそうできないのが短所です。だっていまは『破戒』月間だもの!!という無駄な主張のわりに『黴』はずっとベスポジに出しつづけているという矛盾と盛大なるえこひいきを抱えてそれでも元気に生きています。単なる出し惜しみです。
 目覚めたものの哀しみというやつでしょうか、そんな意固地な生活にちょっと疑問を抱き始め、というより6月に入ったらアラもう第三期がはじまるではないですか、とようやくそこに目が開きよろよろと『蒲団』販売準備を言い出しておるわけですが、きっとそれでも『黴』は下がりません。三冊揃い踏みでーす、という体にして、いつまでたってもこのひいきだおしは終わりません。それが秋聲記念館。藤村展にも花袋展にもどうにかして『黴』をねじこもうとするおれたち秋聲記念館。





畳をあげる
  2015.5.30

 サロンの畳、朝イチで撤去いたしました。不評だからではありません。とくに良いも悪いも何アレどうして?も耳に届きやしませんが、とりあえず真ん中に転がしてある藤村いろは歌留多に関しては「どこで買えるんですか?」と受付に聞いてくださった方があったそうですので、いまのところこれ一票ながら好評ということにしております。なにせ受付に、というのがミソです。ギャラリートークやらイベントやらでサロンに職員が出張っているときのついででなく、2階サロンから離れた1階受付にてわざわざ、それも自発的に、おそらくは「あの、すみません…」とお声がけなすったうえでお尋ねになる、というのはこれはもう本気のしるし。事務室から「まごめでーす!」ととりあえず発声したのち「まごめでーす!!」と改めて受付に言いに行ったらもうお帰りでした。アッそこは早い…!受付さんがお伝えしてくだすって、お礼を言って帰られたそうです。まごめでーす…。
 そんな大好評の藤村カルタを載せた畳、大好評にもかかわらず非常にざんねんですが、本日午後からのイベントのため一時的に撤去です。そう、あのサロンは寛ぎ空間であると同時に、時に講座室となり演奏ホールとなりの引っ張りだこでして、今日の一日は連続講座第2回会場として使用されます。前回第1回が当館館長による秋聲「黴」講座でしたので、今回はとうぜん藤村「破戒」講座。大東文化大学より下山孃子先生をお招きし、展示に洩れに洩れた部分を解説していただきます。

 と、ご報告をうっかりしておりましたが、『破戒』文庫本販売、間に合いました!いまは『黴』と仲良くショップ店頭に並んでおります。講座を聞くまえに買って読み直すもよし、聞いたあとでやっぱり買って読み直すもよし。
 たぶん一定の世代からうえのご家庭にはお家の本棚に必ず一冊あるんじゃないかという気もしておりますが、ちょっとすぐみつからないや、という方、当館ショップのいちばん目立つところにございますのでぜひ(ものすごく保護色ですけども…!)。 






「好い客は後から。」
 2015.5.26

 お座敷あそびで畳を手配したついでに、それをサロンに敷いてみました。ふだんはモダンな椅子が配置されておりますが、せっかくの風情ですから和の感じで寛いでもらったらいいかしら?と、そんなことをしてみました。が、柱の影から観察していたところ誰ひとりとして上がってくださらない様子なので、今日こっそり座布団も置いてみました。
 それでも駄目ならそのうちおせんべいを出してみるかもしれません。あるいは冷凍みかんなど転がしておくかもしれません。そのあまりの生活感にうっかりここも秋聲旧宅のどこかしらの再現なのかな…と思われてしまうほどの完成度になる前に、どなたか上がってみてほしいのです。
 いまのところ真ん中に転がしてあるのはみかんでなく「藤村いろは歌留多」です。こちら昭和2年に実業之日本社から発売されたカルタで、藤村がその読み札の文言を制作したというもの。馬籠の藤村記念館さんにて購入して参りました(馬籠さんの情報はタイムリーなこちらから!ふるさと偉人館さんありがとうございます!)中身はけっこうシュールでして、岡本一平氏(岡本太郎父)による絵柄もポップでユニーク。藤村先生といえば何かにつけ生真面目なひとだなぁというのがその印象でしたが、そんな生真面目な小説家が生真面目な顔をして考えているかと思うとよりいっそう面白く、何ならときおり噴き出してしまうほどのクオリティです。

       いちばん気になるのはこちら→
 
 読み札は「西瓜丸裸(すいかまるはだか)」。
 藤村先生…どうしてこんなことに…?

 かと思えば、心が震える金言もあり。「なんにも知らない馬鹿、何もかも知つてゐる馬鹿。」…痛い、よくわからないけど心が痛い。

 そんな面白カルタ、そのうちひとりでぼそぼそ遊びだしている子がいたらどうかあたたかい心で混ざってやってください。大丈夫なんですよ!怖くないんですよ!
 




第3回 秋聲とお座敷あそび
 2015.5.24

 19日(土)、今年で3回目となるお座敷あそびを開催いたしました。秋聲も遊び、その文学性を育んだ土地としてのひがし茶屋街。当館とはものの3分ほどの距離、との地縁を生かし、おととしから始まったイベントです。
 今年はお茶屋の中むらさんにご協力をお願いし、小千代さん、江利加さん、亜希さん、萌美路さん、美月さんの5名の芸妓さんに初出演いただきました。
 開会前、会場を改めてご覧になりながら、来年はこうしたほうがいいですね~というさりげないお言葉のなんとも有難いこと!(ら、来年ありきで…!)と隣で鼻息を荒くしつつ、なるほどなるほどと素知らぬ顔して来年のためにいろいろと書き留めました。
 今回は「潮来(いたこ)」「金沢小唄」の二曲とお座敷太鼓のご披露あり。第1回ではお客さまも参加型のお座敷太鼓を見せていただき、それでもホウッとなったものですが、芸妓さんのソロ、あるいはデュオにて演奏される本気のお太鼓はそれより断然スピーディーで力強く圧巻でした。あんな細腕からなんとまぁ…。また、演奏準備のためお着物にタスキをかける仕草にもただただ見惚れるばかりです。毎度狭い会場で恐縮ながら、今年も素敵な舞台をありがとうございました。当館きっての贅沢イベント、今後とも継続してゆきたいところです。
 またこのたび第3回目にして初めて徳田章子名誉館長のご参加がかないました。こちらも毎度毎度で恐縮ながら、やはり名誉館長がいらっしゃると不思議と晴れるこの有難さ…。最近ではもう、名誉館長が来た→晴れた、というより、あ、晴れてきた→名誉館長ご到着かな?という感じに職員間でもこなれてきました。お太鼓の運搬などございますもので、今後とも絶対に晴れてほしい日には名誉館長のスケジュールを先に押さえておくことにいたします(さいきんでは職員の期待が若干プレッシャーだそうな…!なんかすいません!!)。


 


輪読会
  2015.5.19

 16日(土)、今年度第1回の輪読会を開催いたしました。昨年度は下半期になんやらもろもろございまして早々にお休みにしてしまった輪読会ですが、今年度は張り切って奇数月第3土曜の全6回と開催してゆくつもりでおりますので何卒よろしくお願い申し上げます。しつこいようですが、学芸員と参加者の方とでお菓子などつまみながらキャッキャ秋聲作品について語り合う会です。先日そうしてキャッキャしておりましたら急に山野市長のご訪問があり、ギョエーッとなりました。あっあっじゃあ作品読みます?読まれます…??とおそるおそるお尋ねしましたところ、ハイッここからですか?とご快諾のうえ、張りのあるたいそう良いお声で朗読までしてくださいました。今回「背負揚(しょいあげ)」というテーマにて、背負揚(帯揚げ)に隠しておいたラブレターを夫が漁るというなんとも微妙な場面があたってしまいちょっともぞもぞいたしましたが、ご参加ありがとうございました。
 また、いつもお菓子を選ぶくらいでろくに準備もせず逆に参加者の方に教えていただく気まんまんで参加しております学芸員ですが、今回は秋聲作品にたいそう明るい参加者のおひとりより、これはもう講演レベルといったレジュメをご用意いただき、作品の背景と受容についてご解説をいただけるという幸甚に与りました。
なんと、ありがたいこと…!あとはもうお茶を注ぐくらいしか仕事をせずに申し訳ありません…!たいへん助かりましたしほんとにもう講演レベルでございました…!
 そんなこんなでみなさんの支えあってなんとか続いております当館きってのゆるゆる行事「輪読会」、次回は7月の開催です。
 ちなみに先ほど世界のEDOMURAさまのブログを見にゆき「結婚します。」(5月13日付)とのタイトルに一瞬ギョエーッ!!となったわけですが(結果かかしの嫁入りでした。コラッ!!)、当館輪読会の告知ページにて、しばらく《今後の予定》7月18日(土)「出産」、となっていたのもたいがいでした。間いろいろすっとばして何故か急に出産予定日だけ告知した感じになっておりましたが、職員は誰も出産しません。作品名です。

 



高砂大学校
  2015.5.16

 14日、高砂大学校さんの講座に呼んでいただき、学芸員が90分ほどお話しをさせていただきました。毎年ありがとうございます~今年も呼んでいただけて~ありがたいことです~と拝み倒す勢いでご挨拶をいたしましたら、指導員の先生やらご案内くだすった方やらが「今年秋聲さん人気ですよ!去年より申し込みちょっと多いですよ!!」とたいそう気を遣ってくださいました。すみません、エレベータという密室で嫌な圧を発しましたことお詫び申し上げます。そういわざるを得ない環境をつくった自覚はございますが、ほんとうにそうであったならたいへん喜ばしい限りです。
 そうして講座がはじまり、40分ほどお話ししたところで途中休憩。すると、最前列に座ってらした参加者のグループが秋聲やら記念館やらについてすこしお話しになっているのが聞こえたため、講師席より身を乗り出してその会話に参加させていただきました。「ね!ね!そうなんですよねえ!ちょっと駐車場がね!少ないんですけどねえ!」とまるでお友達ででもあるかのように加わりまして恐縮です。そして誰よりも盛り上がってしまった自覚がございます。何ならほんとうのお友達のみなさまがすこし黙ってしまった気さえいたします。また「こちらの班は1日に秋聲さん行く予定ですよ~」との係の方からの補足にさっそくスケジュール帳を出して「オッケーついたちですね!」とその場でシャッと丸をつけましたけれども特に解説を頼まれているわけでもなく、なんだか勝手に都合をあわせにかかってすみません。来月の各館訪問、お待ちしております、というよりももう待ち構えております、の域です。「注文の多い料理店」並みの罠がありそうですが別段これといってございません。あっこないだはどうも!と中腰の照れの混じった半笑いでご挨拶に出てゆく程度ですのでご安心ください。


 
 

梅派
 2015.5.15

 秋聲記念館の目の前を流れる川は浅野川。にかかる目の前の橋は梅ノ橋。の袂にお住まいの住民たちで構成されるグループは「梅の会」。入館お申し込みを受けた際、「の」はひらがなですか、カタカナですか、とお尋ねしたくなるくらいには梅ノ橋の界隈にお住まいのみなさま方です。蛇足ながら犀川のほうには桜橋がありますが、秋聲先生は桜より梅がお好きのよう。思えば桜の季節には難儀いたしました。桜でいい文章ないですか?とは新聞社さんやら雑誌社さんからよく訊かれるところ。しかし秋聲先生ったらいつも桜をアッ褒めた!と思わせては貶し、なんだったら梅のがいいけど~…とフイッと横を向いてしまわれるのです。あ、天邪鬼の秋聲先生め…!と何度思ったことでしょう。そんなわけで、そうは言いつつ桜の季節には桜の恩恵を全力で受けに参りますが、普段は梅(ノ橋)のほうの恩恵にあずかっております記念館です。

 13日、「梅の会」ご一行さまが秋聲の勉強会を開いてくださり、2階のサロンで学芸員がすこしお話をさせていただきました。主に秋聲幼少期からの川沿いの出来事をお話ししていたおり(写真は川沿いの秋聲旧宅にあった梅の枝の一部)、ふとみなさまの集中力が急に途切れてしまった気配を感じ、そぞろに窓の外をご覧になる方続出だったため、「はい集中~!」と手を叩きかけて「花嫁さんや…」という呟きを聞きとがめました。あっなるほど花嫁さんが撮影にいらしてるんですね!はい納得~!じゃあ仕方ない~!と叩きかけた手を引っ込めるほどには、梅ノ橋、絶好の撮影スポットとなっております。
 それはそれとして、昨日まったく別のイベントの打ち合わせをしておりましたら、そこの女性の担当者の方から、おとつい結婚式の前撮りに行ったんですよ~梅ノ橋からサロンになんかたくさんの人が見えました~との衝撃の報告があり、アッあなただったんですか!?学芸員の話の腰を折ったのは…!!と、ひとしきり責めておきました。ご結婚おめでとうございます。天邪鬼ですみません。
 




専門家つよい
  2015.5.8

 本日今年度第1回学芸員会議を当館にて行いました。当館開催はもしかして久しぶりかもしれません。昨日の記事に言う一覧の館が持ち回りで会場となり、おおむね毎月開催しております。
 今回の内容は主に8月に行われる学芸員実習のカリキュラムについてです。こちらも一週間ほど学生さんをお預かりして、各館が毎日持ち回りでその得意分野を伝授するというシステム。
 今年は応募してくれた学生さんたち美術系が多いのでしょうか、当館が出る幕はあまりなさそうですが、せっかくなので美術と文学では見せ方からまったく異なってくることなどどこかでお伝えできたらよいのかもしれません。
 文学館最大の苦労といえばまず文章を文章で紹介する難しさ…。現在、田山花袋記念文学館さん蔵 藤村先生自筆の超貴重書簡など展示させていただいておりますが、明治末期の藤村先生の崩し字は現代の感覚からしてもうすでに読みにくく、そこに翻刻をつけ、キャプションをつけ、となってくるとこれはもう三重苦!文字ばっかりやないかーい!!となってしまうところ、いかに工夫してゆくかということがおそらく全国の文学館共通の悩みであり腕の見せ所となってくるように思います。そもそも読むものなのか見るものか、考えるな感じろ!としておきたいものなのか、その資料を展覧会のなかでどう位置づけるかによっても展示の仕方が変わってきます。そういった意味でも、美術・歴史・民俗・文学のそろった当財団での実習はなかなか他にはないかたち。向こうのほうから、あのね!文学ではね!と折々に茶々を入れてゆきたく存じます。
 そして各施設の技師やら学芸員やらが集まると、本日会議前の雑談のなかですらそんな各専門性が発揮され、ふとした折に雛祭りの由来の話になったところ世界のEDOMURAさまからあがるパスをくらしさまが華麗に決めるという、アッぜんぜん知らんかったけどもよりによってこの2施設が言うならそうなんだ!へえ!という安心と信頼の連携プレーが見事でした。
  




GWにNM
 2015.5.7

 4日(月・祝)、世間はGWということで、当館とご近所のKYGLMさんとでNMを行いました。ゴールデンウィークに金沢市立安江金箔工芸館さんとナイトミュージアムです。当初、安易にKYKKとして、念のため記念館さんHPを見にゆきましたらKanazawa Yasue Gold Leaf Museumとかっこよく書いてあったので慌てて修正いたしました。なるほどゴールドリーフ…GWにGLとNM…。ちなみに当館はTSKM。Tokuda Shusei Kinenkan Museum…さも英語のような顔をして間にはさまるキネンカン…!!
 ちょっと面白くなってきました。反対側ご近所の寺島蔵人邸さんはThe Old Site of Mr.KURANDO TERASHIMA'S House… ほうほう、ミスタークランドテラシマズハウス。そうですよね、お家ですものね。と言いつつそんなワクワクは大して長続きいたしませんで、あとはだいたい一定の法則通りに英訳されておりました。しかしそんな法則からも元気いっぱいにはみだす当財団施設2強がこちら↓

 Kanazawa Yuwaku Edomura
 Kanazawa Bungeikan

 なんと潔い…!英訳する気ZERO…!!おれたちが唯一、という世界に向けたその気概、キネンカンミュージアムといたしましては実に眩しい限りです。そんなたのしい施設名英訳一覧、当財団HPより各館のイメージカラーとともにご覧いただけます。

 さて脱線もはなはだしい本題なるNM、当館の担当した4日はひどい大雨に見舞われトホホな結果に…。そんななかにも来館してくださったみなさまには心よりお礼申し上げます。
 次回は来月、百万石まつりのころに夜間開館いたします。そう、TORO流しのころにきっとまた。
       夕方くらいもキレイなのです→

 




ギャラリートークという名の
 2015.5.4

 そういえば第一土曜の2日、第二期破戒展のギャラリートークを行いました。と言いつつ、ギャラリートークという名のプチ講座です。
 当館のギャラリートークは基本的に学芸=40分しゃべる・員が行いますが、今回は特別に館長のご登場です。当財団に所属するよその館さまのイベントなどをスパイしていたおり、わりと館長学芸員交代制のように解説を展開されているところもあったため、そうだ!うちも館長におねがいしてみよう!!と思い立ちちょっとご相談してみました。と、ふだんは展示室で40分くらいお話ししてるんですけどーという学芸員に館長が改めてドン引きされ、いいや凝縮した20分でいい+展示室で立ちっぱなしではお客さまもつらかろう=館長室にお通ししたまえ、ということになり、当日ふだんの展示解説に慣れた健脚のお客さまもはじめてのお客さまも館長室という名の講座室に問答無用で押し込まれ椅子に掛けさせられ、ギャラリートークという名の、しかし展示室では行わない謎のプチ講座開催の運びとなりました。

←いったい中で何が行われているのやら…

 そうして20分でいい、との当初の宣言に反し、椅子というシンプルながら最強の装備のおかげさまで丸一時間降りてこない館長…。これを午前午後の2回繰り広げるタフな館長…。なかなかレアな回となりました。

 来月のギャラリートークは通常通り学芸=調子がよければ50分しゃべる・員が行います。また時折、館=結局一時間しゃべる・長によるプチ講座もはさんで参ります。

 
 
 


間に合ってない
   2015.5.3

 またやらかしました。今日こそ川のなかを泳ぐ鯉流しだったものを、今朝、あ、今日こそ鯉流しか、と思って横目に見てきたものを現在17時写真を撮りにいきましたらすでに一匹もおらず…なんてこと…。
 
           ここにいた模様→


 明日もやるのかやらないのか、このいろいろ間に合わない病はいつまで続くのか、5月病とともに間に合わない病を季節のやまいのひとつとして数えたいくらいの侵されっぷりです。
 流れる鯉の姿は撮影できませんでしたが、今日も暑い日だったもので川に足を浸す人の姿がたくさん見られました(川中でツンツクしている棒状のものはヒト)。そうしてふと先日何気なく撮った写真を思い出しては、ああ浅野川大橋のあっち側とこっち側では雰囲気がぜんぜん違うな…と言いだしてみることにより鯉がいなかったことをなんとかカバーしようとフル回転している脳みその健気さ。先日ちょいと所用ありて某K記念館さんのテリトリーに侵入したおり、ああおんなじ川であるのに浅野川大橋を越え中の橋あたりまで来るともうなんだかK先生の雰囲気であるよ…と思わず写真を撮ってみたりしたのでした。

 というのもわれらが梅ノ橋~浅野川大橋までのあいだでは8歳9歳の少年はきっと溺れやしないであろう。いや万が一溺れたとしても〈どぶんどぶん〉とは沈まないであろう、なぜならとっても浅いもの!と、当時と今の川の深さを知らぬまま適当な所感を述べることにより今日の寸々語とさせていただきます。おやすみなさい。

 


 


あたらしき言葉はすなはち新しき生涯なり
  2015.5.2

 きのうは朔日だったので、書斎の掛け軸をかけかえました。この「かけかえました」記事を書くのはひさしぶりな気がしますが、書かずとも地味に毎月かけかえております。今月は例によって第二期「破戒」展につき藤村先生自筆掛け軸のご登場です。とすると先月は第一期につき秋聲先生のターンかな?と思わせておいての正宗白鳥先生でした。
 というのも第一期は3月頭からはじまっており、3月こそ秋聲先生のターンにしてしまったため4月もとなるとちょっとしつこいかな?と秋聲のための秋聲記念館であるくせに変に気を遣ってしまい、でもどうしよう藤村には早いしかといって秋聲旧蔵品もなんかちがう…と悩んだ挙句、アッ白鳥先生につないでいただこう!となったのでした。ものの辞書には自然主義文学の四大家とまで評される秋聲・藤村・花袋・白鳥の四個イチにもかかわらず三人展にしてしまった後ろめたさのためでもありましょう。二年だか三年だか前に白鳥展はそれとして開催してしまったことと、白鳥さんがお三方に比べひとり心持ちお若いこととにより今回仲間はずれにしたその贖罪の意味も込めて、掛け軸解説のなかでご紹介させていただいた次第です。

 そして5月。お軸の中身といたしましては、『藤村詩集』(明治37年刊)序文の揮毫です。けっこうな長文です。企画展におきまして同詩集についてもまるで触れておりませんので、良く言えばここでカバー、悪く言えばはみだした、あるいはもてあました結果、ということになるのかもしれません。つまるところの懺悔のきもち…

 ちなみに藤村先生の愛読書がルソーの『懺悔録』であることは企画展示室にいる小さい秋聲先生が語ってくれています。
 


 
 

金沢ウォーク
 2015.5.1

 29日、かつてのみどりの日改め今や昭和の日に、金沢ウォークが開催されました。と書きながらどこか物足りない感を噛み締めております。何が物足らないか、グリーンの四文字です。「29日グリーンウォーク?」「あっ金沢ウォーク?」という具合にここ数日職員みんなでぎこちない会話をさぐりさぐり繰り広げてきましたが、ちゃんと調べればすぐにわかることでした。毎年「金沢グリーンウォーク」として開催されていたものが、「金沢ウォーク」に改名されたとのこと。そして驚くべきことに、改名は昨年度からでした。昨年度にはまるで気がついておりませんでした。びっくりです。

 今年は破戒グリーンに引っ掛けたいという下心からその名の変化に気がついたようです。でももう一年前からグリーンウォークじゃなかったです。びっくりです。 

      これは今年も変わらず「鯉流し」→
    GW中はずっと流れていそうな予感。

 そんなこんなで多方面にいろいろと間に合っていないここ最近ですが、その最たるものとして「破戒」の納品が間に合わなかったということが何より致命的です。「破戒」展ですから「破戒」を店頭に置かなきゃね!という気持ちだけは痛いほどにあるものの蓋を開けてみればなんとまぁ納品が間に合いませんでした。「破戒」を実際に手にとるきっかけになれれば…という気持ちで展示室ではいっそもどかしいほど「破戒」の内容に触れておらず、外濠をできるだけ固めて、気になるところだけ小出しにして、で??結局「破戒」とは~~!?といういやらしい構成にしているくせに肝心の「破戒」がショップで販売されていないというこれやこの大失態。もうちょっとこれはとにかく申し訳ないの一言にて、初日金沢ウォーク効果で400名を超える入館者をはじめ昨日今日明日のみなさまがたに心よりお詫び申し上げます。
 「蒲団」は第三期だからまだいいや、などと思っているから失敗するのであって、不幸中の幸いといえば「破戒」と「蒲団」の文庫本をともに発注していること…。まさか「破戒」が第二期中に間に合わないことはあるまいよ!すなわち「蒲団」は問答無用で第三期には間に合うのさ!きっとそうさ!と、涙がこぼれないように上を向いて歩いています。



 


かつてのみどりの日に
  2015.4.29

 ここ数日口をつぐんだまま何をしていたかというと、もそもそと展示替えを行っておりました。昨日おとついと休館させていただき、おかげさまで本日無事第二期のオープンです。
 第一期は「黴」の赤だった展示室、いまやすっかり破戒グリーンに変わりました。第一期には復刻版を展示していた『破戒』の初版本(明治39年刊)を小諸は藤村記念館さんからお借りしてまいりましたので、満を持して差し替えを行いました。自費出版ということもあり、この表紙の緑、藤村自身のこだわりによるものだそう。曰く〈青色のうすい処は緑葉の日向の色で、枠の濃いところは其の日蔭の色を現した〉とのこと。ちょっとこだわりすぎたかな?どうかな?と後日とても照れくさげに語っておられます。しかしなるほど、われらが秋聲の師・紅葉先生も、自然主義の祖ゾラの作品を褒めて傍にあった扇を取って開いて見せ『この影と日向とを巧く書きわけてあるからね。』と仰ったとのこと(花袋談)。自然主義…そういうこと…かな…??と非常に雰囲気だけで分かった気になってしまう興味深いエピソードです。復刻からの初版本、是非その微妙なお色のちがいも含めてお楽しみください。

 また、それにともないバックパネルも前面緑にいたしました。パネル制作にあたり、次回は破戒グリーンにつきすべて真緑に~と死んだ魚の目でごく機械的に打ち合わせをしておりましたら、デザイナーさんから「黒板ってことでいいんですよね!」ととてもキラキラした目で言われてハッとしてグッとなりました。目から鱗とはまさにこのこと。

 『破戒』ですもんね!丑松ったら教員ですもんね!当然そうですよね!と、そのキラキラな目の奥にいろいろと書いてあるのが見えた瞬間「あっはい、そうでーーーす。もちろんでーーーーす。」と完全にそれその場で乗っかってしまったこと、この場を借りてお詫び申し上げます。おかげさまで優秀なデザイナーさんにより、黒板感満載、白抜き文字は白墨感満載です。
 




つかいみちは自由
 2015.4.24

 リニューアル後もうかうかと今までどおりの館内クイズラリー用紙をお出ししていたところ展示順が変わっていたり、展示資料が変わっていたりで答えられない問題があることに気づき慌てていったん下げたまま、改訂もせぬままうかうかと日々をすごしているうちあわやもう4月も終わろうとしています。リピーターのお客さまに、クイズどしたの?やめたの?と訊かれるたび、えへへ…ちょっといったん…とふがふがした回答をしながら何も乗せていない机だけがいまだ放置されているこのありさま…。本来ならばこども編・初級編・中級編・上級編・金沢初級編・中・上級編とうるさいくらいのバリエーションがわんさかしており筆先ケンケンの鉛筆も設置され「ご自由にお使いください」とシールで呼びかけているその机から乗せるべきものが奪われたため、何も乗せてはいないくせにやたらと自由な使用を呼びかけているだけの机…。
 先日、そんな机がまさかの有効活用される一幕があったとのこと、受付さんよりうかがいましてまたもクスクスしてしまったのでご報告いたします。
 
 館にはお荷物の多いお客さまのためロッカーが備え付けられており、使用に必要な100円がお帰りの際に戻る仕組みになっています。受付にてお荷物の多そうなお客さまにはロッカーの存在あるいは受付でお預かりする旨お声がけさせていただいているのですが、100円をだしたりなんだりちょっと面倒くさい部分もあり「軽いから大丈夫でーす」とお断りになるお客さまも多いようです。そんななか、先日ご来館のおじさまもちょっと面倒くさく思われたのか、ロッカーいいや、と歩みだし、例の机のところにいたって「アッこれご自由にお使いくださいって書いてあるね!ちょうどいいや!ここ置かせて!!」と空席の机を活用していただいたとのこと。貴重品ないから平気さ~!と大らかにお荷物を置いていかれるその自由さ、とっても素敵…!受付の目の届く範囲でもあり、何より「ご自由に」と書いてある以上お止めする理由がありません。はじめて机それそのものが主役になった日のことを心ひそかに喜びつつ、いやいやちがう早くクイズラリーを復活させないからそんなことに…!!とようやく重い腰をあげてクイズのデータをうろうろと探し始めたりしています。



 


おかえり三太郎
 2015.4.22

 ひがし茶屋街のほっこりポストに伝説の三太郎が帰ってきました!と思ったのもつかのま、もうすでに姿なく、現在は端午の節句に向け鯉のぼり仕様だそうです!さよなら三太郎!
 おかげさまで、桃の節句のおわりごろポスティングに立ち寄りましたらつかのまの三太郎に間に合いました。見逃した方のために、こちらがCMで噂の三太郎→

 この人形自体、何シリーズなのだか存じ上げませんがお揃いでまぁ見事です。集めてきたのかあったのか。つねにほっこりポストを頭の片隅に置いて生きていると自然集まってくるのか。そうなってくるとかぐや姫はいつ出てくるのかと期待してしまうわけですが、この御伽噺人形シリーズがどこまでフォローしているのかも気になるところです。

 ちなみに「三太郎」の出典といたしまして、当館ではそれこそ金沢ふるさと偉人館さんでフォローしている「加賀の三太郎」こと、西田幾多郎、鈴木大拙(貞太郎)、藤岡作太郎が意識されていたわけですが、いま「三太郎」で検索するとCMのほうの彼らがいちばんに出てきてアッ三太郎呼びは公式であるのかとハッとしました。そこをちょっと張り合って、夜ごとひとりずつ幾多郎、貞太郎、作太郎人形にそっと差し替えていってはどうでしょう。ほっこり主の二度見するさまが想像されて一瞬愉快でしたが、そこはほっこり主のほうが一枚上手、そもそも加賀の三太郎人形をこちとら持ってはいないのでした。
 もうひとつちなみに、当館の三太郎こと、秋聲・藤村・花袋のそれぞれ本名は「末雄」「春樹」「録彌」・・・太郎関係ないばかりか、おもいのほかかっこよかったです。
  




いってらっしゃい秋聲先生
 2015.4.21

 お借りすることもあればお貸しすることもある、ということで、昨日金沢ふるさと偉人館さんに秋聲の資料をすこしお貸しする作業を行いました。館蔵資料が借りられてゆき、他館さまに展示されるというのはたいへんうれしい名誉なことでございます。秋聲先生が他館さまのスポットライトを浴び、秋聲記念館にはそりゃ秋聲のものがあるでしょうよ、という概念から飛び出したところで、おや?こんなところに秋聲が?というように注目を浴びるかと思えばワクワクが止まりません。偉人館さんのお許しなしにフライング気味で宣伝をさせていただきますが、今週末25日(土)より、偉人館さんにて「反骨のジャーナリスト桐生悠々」展がはじまるのです!悠々といえば秋聲、秋聲といえば悠々、そうふたりは竹馬の友、お友達って少ないんだけどね・・・と時に嘯いてみせる秋聲先生がそれでもアイツはともだち、とわれわれに紹介してくださるそんな桐生悠々展ですから、そりゃ秋聲先生出張して行かれないと!!ぼんやりしちゃいられない!!

 そんなわけで、偉人館さん、ちゃんと秋聲先生をはずすことなく、資料を借りていってくださいました。ありがとうございます。ほんとうにたのしみです。悠々がいなければ秋聲は小説家になっていなかったかもしれません。

←秋聲と悠々と悠々の知人 小島の3人で上京の途の図。
 『光を追うて』(小寺健吉挿絵)より。


 大阪と金沢、東京と長野、そして東京と名古屋、となにかにつけて距離のある二人ですが、遠くからいつも互いの仕事を認めあい、それぞれの道を歩んでいる様子は非常にかっこいい大人の付き合い方であり、他の企画展に失礼ながら過去当館で開催した悠々展のパネルだけはなんとなく破棄せず収蔵庫に保管してあります。偉人館さんに、ねえねえこのパネルは??要りません??ねえこれ使いません??と詰め寄るのをわすれましたが、要らないのに~~と変に気を揉ませてしまうのも悪いのでゴリゴリ訊かなくてよかったのかもしれません。人さまに乗っかることを得意とする当館ですので、そのうちプチ桐生悠々展こっそり始めてしまうやも。
 
 
 
  


集製造所
   2015.4.18

 今月末より、第二期藤村展が始まります。そのパネルの校正をしつつ、第三期の花袋展のパネルテキストをポチポチと書いております。なぜ三期にもしてしまったやら、前年度における「来年ってばホラ十周年だからネ!!」との謎のハイテンションを今更ながら恨みつつ、そうはいっても書くものは書かねばといまだ慣れぬパソコンでもってポチポチと文字を打ち込んでおります。

 そう、慣れぬパソコン。携帯電話を変えたときとパソコンを変えたときの不慣れがもたらすイライラというのは毎度予想を上回るものがございます。新規参入のテンキーの存在には多少慣れてきて常に両手はちょっと左寄り、逆にテンキーのないパソコンを借りた際に右側がちょっと物足りなく、あれっこのキーボードなんか短くないです??というくらいには人間の適応能力すごい、となっておりますが、今度は変換におけるこれまでの学習の蓄積のなさに毎度ムキーッ!!となっております。「集製造所」とはいったい何であるか。何を集めて造ろうというのか。すみませんけどちょっと聞かせていただけますか??と真顔で詰め寄りたくなる「秋聲蔵書」の誤変換。
 たしかに「集製造所」と「秋聲蔵書」、どちらが一般的かと言われれば「集製造所」のほうがなんかあるっぽいし、それっぽいし、検索でも引っかかるっぽいですが、秋聲記念館に勤務するパソコンとして、それはちょっと想像力が足りないんじゃないですか~?とネチネチ嫌味のひとつでも言いたくなるというものです。

 えっこんなじゃなかったっすー?とどうにも雰囲気だけで仕事をして別段平気な顔をしている感じにもなんだか腹が立って、このワード頻出につき今覚えなさい二度と教えませんのでメモしなさい、いいですかここでは何も製造しません、とひときわ強い圧でタンッタンッと覚え込ませている今日この頃です。単語登録をしたらなんとなく負けだと思っています。

 お借りしております藤村蔵書(一発変換)も展示します→
       
 
 
  


お茶ですか?いいえ黴です。
  2015.4.15

 ありがたいことに読売新聞さんで当館オリジナル文庫の紹介をしていただいたところ早速通信販売の申し込みが相次ぎ、滅多にないラッシュのなかで「黴と風呂桶、来てまーす!」と申し送りをするそのさまがちょっとおもしろかったのでここに記録しておきます。
 「黴と風呂桶」すなわちオリジナル文庫のうち『黴』と短編集『風呂桶・和解・チビの魂』のご注文いただきました、の意。黴と風呂桶だなんて絶妙のマッチングではないでしょうか。たぶん住んでいる地域は近く、近いがゆえに天敵なのであろうそのふたつの組み合わせにちょっとクスクスしてしまったまったくツボの浅い当館なわけですが、そこからさらに思い出された表題のちょっとシュールな会話が交わされたのは4月もはじめのことでした。

 イベント各種、申し込み制のものにはそれぞれ受付用の名簿バインダーが準備され、同じところに重ねて置いてございます。先日、事務室にふたつある電話に同時にイベント申し込みがあり、お受けした内容をとりいそぎ手元のメモに書き留め、その後名簿に転記しようとバインダーを探して手をうろうろさせておりましたら、向こうの電話でお受けした内容を同じく転記していた職員から「お茶ですか?」と尋ねられ「いいえ、黴です」と咄嗟に答えたというただそれだけのお話・・・。
 要は「12日開催の桜の季節のおもてなし(呈茶会)の名簿をお探しですか?」「いいえ、18日開催の連続講座第1回 徳田秋聲著「黴」の名簿を探しています。」との意を含んだあまりに端的な会話と、その響きの孕むものすごい落差にちょっと笑ってしまいました、というお話なのですが、これを書いているときはまだお腹の底がクスクスしていたものが書きながらだんだんと冷静になり、書き上げた今では、お茶からの黴ってすごくないですか!お茶と黴ですって…!とケラケラしている当館、えっもしかしてすごく平和なんじゃないかしら・・・?とすこし不安になりさえしています。


←住んでいる地域が近いがゆえに当館と天敵同士でお馴染みの某K記念館さんが当該記事のFAXを…!!

 春の「和解」まつり開催中です!!!



 



桜のみなさまがたに陳謝
 2015.4.13

 一夜明けまして、まずは桜のかたがたにお詫びを申し述べねばなりません。空気を読まないだなどと公の場でまるで見当違いの批判をいたしましたこと、今となっては心の底より申し訳なく思っております。かくも偉大なるかな自然のちから・・・きのうのおもてなしイベントまで見事に咲き誇ってくだすった桜のかたがた・・・半世紀も生きていない人間の分際で、とんだ生意気をいってほんとうにすみませんでした。おかげさまでおもてなしイベント大盛況のうちに幕を閉じましたこと、ここにご報告させていただきます。
 あんなかたやこんなかたも来てくださり、お湯をじゃんじゃん運ばねばならないところついついさぼっては隣に居座り一緒になって桜を愛でる・・・おっと、こっちは職員かい!とお茶を運んでくださる井奈宗孝社中さんを何度も騙くらかしてしまいました。それくらいに見事な桜でございました。そして何のサービスやら、向こうの広場で雅楽の演奏が始まり、人力車がぐるぐる巡り、花嫁御寮のお出ましあっての、川の中では友禅流し・・・どうだこれでもか!!とばかりに諸桜先輩がたの本気を見せつけられた気がいたします。ほんとうにすみません。そしてありがとうございました。
 
 それからなんといっても我らが名誉館長です。今年もなんとか都合をつけてくださり、そして太陽とともにやって来られました。この日だけ晴れ!毎度どうも!!名誉館長のサンシャインぶりにはいつも助けられます。それから某K記念館さん。川向こうさまのハイテクな情報拡散ツールにより何度となく宣伝をしていただきありがとうございました。当館ひそかに涙しております。

 そしてそして井奈宗孝社中さん。行き届かぬ運営のすべてをフォローしてくださる懐の深さとお茶の美味しさ、そして所作と心の美しさ。毎年頭が上がりません。
 すべて後片付けを終え、じゃあまた来年~と美しく去っていかれるその後ろ姿に頭をさげつつ、ウフフ来年もだってウフフ・・・とまたもニヤニヤしてすみません。





十周年記念
 2015.4.12

 ここ最近のうれしいことは何でも十周年に引っ掛ければよいと思っている秋聲記念館です、こんにちは。先日、新潮社さんよりうれしいプレゼントが届きました。

 
  北村薫著『太宰治の辞書』

   なんと…うれしや…ありがたや…



 1月24日付でこの欄でもお伝えした「小説新潮」掲載、北村先生の「女生徒」が早くも単行本化です。そしてそれを早速お送りくださった新潮社さん…『謹呈』の文字がまぶしく、印籠のごとき威光でもって目に突き刺さりましてなんだかもうひれ伏したい心持ちです。
 あまりに恐れ多く、ちょっと開くのがはばかられ、むしろそれこそ失礼ながらしばらくデスクの左脇に寝かせておきましたら翌日メールが入っており、「秋聲記念館載ってるじゃん!!」と連絡をくださった方がありました。ありがとうございます!!やっぱり載っているんですね!!!恐れ多いことには変わりないけれどもとりいそぎの開く勇気をありがとうございます!!!
 そんなわけで「徳田秋聲記念館」も載せていただいている本書、1620円(税込)にて好評販売中!これはさっそく開館十周年記念のうれしい出来事に認定です。刊行日は3月30日で完全に前年度ですが、そんなことはもう大事のまえの小事ということでよろしいでしょうか。ちらっと左を見てはニヤニヤする一連の動作が癖になるまえに、しかるべき配架をしたいと思います。改めまして、北村先生と新潮社さんに深く深く感謝を申し上げます。

 

 


三城下町めぐり
  2015.4.11

 花袋の里・群馬県は館林から「破戒」の里・長野県は小諸を経て、秋聲と「黴」の里・金沢へと帰って参りました。第二期三期のための資料借用の旅です。あくまでも北陸新幹線のざっくり沿線なんですよ、と言い張ってはばからないこの旅。しかし新幹線には頼り切らない自由!そう、おれたちは自由!というわけで行きはおかげさまで初「かがやき」、帰りは美術品輸送車にてえっちらおっちら大事な資料を運搬してきた次第です。
 新幹線「かがやき」、さすがに早い気がいたしました。コンセントが全席についておりました。館林を目指し大宮で降りたためより早い気がいたしましたうえ、そうか、大宮でおりるのか…TOKYOまでいかないのか…と若干の不完全燃焼感も残しつつ、いいやなぜそれを不完全と言おうか、早く大宮へ着くことがこの旅の主眼でありそれを果たせたことでこれはもう完全燃焼、ありがとう「かがやき」、さようなら「かがやき」、また会う日まで!!と、小雨の降りしきる寒の戻りもはなはだしい大宮駅にて浅はかな心を叱咤したのでした。

 おかげさまで翌日の借用作業の際にはどちらもお天気に恵まれ、花袋記念館さんのある館林城下、そして藤村記念館さんのある小諸の懐古園(小諸城址公園)はどちらもなんだかのんびりしたい空気…青空がまぶしい…。せかせかと借用だけして去るにはもったいない趣でした。

 しかしゆっくりしてはいられません。石垣にも桜にも目もくれず、一心不乱に資料を抱えて走り去ったのでした。返却のころにふたたび…。夏、灼熱の館林にふたたび…!

 夜、金沢に到着し、館を目指す「秋聲のみち」沿いの桜のうつくしかったこと。明日までなんとか、がんばってほしいところです。

 

 


開館10周年記念日
 2015.4.10

 先月7日のリニューアルオープン前後にはちょうど一ヵ月後が10周年記念日、ちょうど一ヶ月後なんですよ!!とうるさいほどに喧伝してまわった記憶がございますが、いざ当日を迎えてみると、えっ今日?あっ今日7日!?というくらいにうっかりただの日常として開館してしまったもう二度とはこない開館10周年記念日の4月7日。当日になって、あっ今日7日!?と思い出させてくれたのは、いつも館を見守ってくださる心優しい方からのサプライズケーキでした。

 自分の誕生日をわすれて「なにこのケーキ…アッアタシ今日誕生日…!」なんていうドラマティックな展開は漫画のなかだけかと思っておりましたが現実にございました。というより、この10年をひたむきに歩んできた記念館に全力でごめん、です。
 天井の火災報知機におびえつつ、ちゃんと10本添えられたろうそくに一瞬だけ火をともしすぐに消しましたけれどもその一瞬のうちに、館を見守ってくださる方々への感謝と館の明るい前途への願い、そうして職員たゆまぬ努力の誓いをどどんと込めに込めました。重荷なくらいに詰めました。ほんとうにありがとうございます。
 
 うきうきとろうそくの火を吹き消したり記念プレートを館長のお皿に添えてみたり苺のとりあいをしているうちに7日のその日はあっという間に過ぎてゆきました。そんなあっという間の一日を積み重ねて3650日を歩んできた記念館……10年って何日だろう?365×10…と、手元の電卓に打ち込んでしまったことを今はただ恥ずかしいと思っております。指示のとおり、忠実に弾き出された3650という数字があまりに恥ずかしく直視できずにおりますが、そうして目をそむけている間にも本日すでに3653を数え、週末のお茶会の日ともなればあっという間に3655。つい展示替えと展示替えの間の日々、イベントとイベントの間の日々、として名すら与えずなんとなく過ごしてしまいがちなこの日々もまた、記念館の歴史として積み重なっているんだね…としみじみしている今日の日です。
 
 



桜が空気を読まない
   2015.4.5

 きのう、企画展の第2回ギャラリートークを行いました。申し込み不要にしているもので、時間になって2階を覗くとサロンに集っているお客さま。しかしそのすべてがギャラリートーク待ちの人々と思い上がってはいけません。なぜならサロンから望む浅野川沿いの桜は満開。ただ桜をたのしんでいらっしゃるだけかもしれない人々に、勇気をだして「あ、あの…もしや…ギャラリートークをお待ちだったり…?」とお尋ねしましたら「そーよー!」と快活に返ってきて一安心です。
 そう、桜が満開なのです。毎年この季節になるとここへ来てその憂鬱を吐き出しているような気がいたします。12日に「桜の季節のおもてなし」を控えながらすでに満開の桜のもと、日々館へ通ってくるそのつらさといったら…。出勤退勤のつど、だんだんと色づいてくる幹にかけつづけた呪いは届きませんでした。“誰も咲いてはならぬ”、何度となえたかわかりません。そう、桜は満開です。
 ギャラリートークにお見えになったお客さまともそんな呪いの話をしつつ、「一週間くらい大丈夫よ~もつよ~」と仰ってくださったそのお言葉を今度は新たな呪いの言葉として桜に唱え続けたいと思います。“誰も散ってはならぬ”。もしや呪いの言葉とするから届かないのでしょうか。祈りの言葉と言い換えてもよかったところ、その心の歪みからうっかり呪いとしてしまったために桜が反発したのでしょうか。底力を見せてきた感じもあります。

 ここ最近の職員間での合言葉、あくまでも「桜の季節のおもてなし」であって桜なんか咲いてなくたって「桜の季節」なのだからまぁ良しとしよう、そうし~よう!は唱えるたび悲しくなる呪文です。

←これは桜でなくポップコーン。






街角の秋聲
  2015.4.2

 館報の第7号が発行となりました!このたびはリニューアルオープンと北陸新幹線開業のテンションにまかせ、当館のイメージカラー・柿色のデザインとさせていただいております。この年に使ってしまって、いざ昨日より始まった新年度かつ10周年の年にはどうするんだろうね!と頭の片隅で小さい秋聲先生が呟いておられますが、そのときはそのとき。思い切って鮮やかな緑としたうえで10年ひとまわり、初心にかえりました青柿でーす!!とまるで悪びれもせず高らかに宣言することでしょう。

 さて館報が納品されましたのでご近所に配りに出かけ、目が吸い寄せられたこちら→
 
   街角に小さい秋聲先生を発見です!
   (左の方の紙の右側の紫のところ…)



 どの街角かといえば橋場の交差点。金沢文芸館さんのお向かいにございます金子生花店さんの店先です。横断歩道のこっち側は材木町につき、材木公民館さんで毎月発行しているという地域のお知らせ「材木かわら版」が貼られておりました。そこに地元の偉人として秋聲先生のご紹介が!しかも最新号の4月号!!秋聲の幼なじみでもある文人・細野燕台とセットで掲載されておりました。は~これはありがたいことです。金子生花店さんに伺うと、ここに貼っとくとみんなよく見てくよ~きっかけになればいいよね~とのこと。なんとありがたいお言葉・・・そしてありがとう材木公民館さん。そしてありがとう信号付き横断歩道。みんなみんなありがとう・・・。

 よそさまで見ると一段とカッコイイ秋聲先生です。





悩める文士の。
 2015.3.28

 このところどうしたことか、寸々語を書く手が進みません。書くことがないわけではないのです。しかし書く手が進みません。パソコンを新調したせいでしょうか、テンキーのないものからあるものに変わったせいで指の位置が落ち着きません。エンターを押したつもりで張り切って6!と打ち込んでいるこの虚しさ・・・。そん¥srpでしょうか・・・ええい!そのせいでしょうか、と書きたかったのに謎の文字列を打ち込んでいるこのもどかしさ・・・!そんなモヤモヤに浸りにゆき、さも物憂げな顔をして「さいきんスランプなんですよねー」とお隣の職員に相談しましたら「悩める文士の?」と返ってきました。・・・アッほんとうですね!今年も悩める文士期間の到来ですね・・・!

 というわけで去年の今頃開催の、なんか最近文章書く気が起こらないや!という秋聲先生の状態をそのままお見せしたゆるい企画展「悩める文士の3.5ヶ月」期間の再来を言い訳に、だからかー!とほがらかに寸々語をさぼっている事実を隠匿しようとしているわけですが、そもそもこちとら文士じゃなかったですし、昨年の悩める展は昨年からちょうど100年前、大正3年春先の秋聲先生の状態をご紹介したものであって、今年からちょうど100年前、大正4年の今頃はかの名作「あらくれ」をガッツガツ連載しておられるのでした。改めまして、「あらくれ」連載からちょうど100年の今年です。

 さて、こうしちゃいられない(←「あらくれ」ヒロインお島さんの口癖)、お島さんに「こののろま野郎!」(←これも原文通り)と罵られながら今年もちまちまと記念館の日々をお伝えして参ります。





ギャラリートーク
  2015.3.22

 主に月イチで開催しているギャラリートークを再開いたしました!昨日、黴展になって初めてのギャラリートーク。これまで30分程度とチラシ等に記していたところ、毎回どうしたって30分で終われない問題を抱えていた当館、ついに今回から40分程度に改めることにいたしました。長丁場ですみません。黴について40分も語るだなんて狂気の沙汰。そんな狂気に付き合わせるイベントこそより狂気。40分も付き合ってきて締めの言葉は「『黴』ね、おもしろいんですよ!」大損です。

 そんな大損な解説に、昨日午前午後ともたくさんのお客さまにご参加いただきましたこと、心よりお礼申し上げます。午前中は主に常連さんたち、午後はなんと花袋の里・群馬からお越しだという学生さんたちが参加してくださいました。10数名いらしたでしょうか。始まる前に例によって「たぶん40分以上しゃべりますから中座自由ですよ!」と、まるでしゃべるのをやめる気のない無責任な発言を飛ばしつつ「あっでも群馬組がごっそり抜ける、か…ずいぶん寂しくなりますね…!」と嫌な圧をかけてしまったこと、この場を借りて深くお詫び申し上げます。第一期なので花袋さんのお話もそれほど出て来ないのに結局最後までお付き合いくださった心優しい学生さんたち…たのしい金沢旅行のうち結構な時間を費やさせてしまい申し訳ありませんでした…。

 あまつさえ、ショップにて当館オリジナル文庫『黴』をパラパラご覧になるさままで横でじっと見ていて申し訳ありませんでした。「それここにしか置いてないんですよね!」と元気にお声がけしたことも今にして思えば嫌な圧以外の何ものでもありませんでした。
 お買い上げ、ありがとうございます。

 ↑レジ横のオシメン。『足迹』と『黴』(と、見切れる縮図マグネット)。


 


3色のこと
 2015.3.21

 秋聲さんとこのはどんどん情報がなくなっていくね!でお馴染みの「日本の自然主義文学展」チラシ、キャッチコピーもちょっとしたリード文すらなく、裏面はイベント情報のみ満載というつれない様相でお送りしております。

 そのぶん無駄に目を引く表の3色、ゆえないことでなく、以前にもすこし触れましたとおりそのボックスに入っている各人、各作品のイメージカラーとさせていただいております。秋聲の赤は『黴』初版本表紙の赤、藤村さんの緑は『破戒』初版本表紙の緑、花袋さんだけちょっと苦しく「蒲団」が『蒲団』として刊行されておらず、『花袋集』という短編集に収録されてしまっているうえ、その『花袋集』がなんともいえない茶色の表紙…。

 茶色かぁ……赤→緑→茶色かぁ………茶色ってもしかして黄色の仲間?黄色の親分?黄色が熟していったら茶色?茶色を浅くしていったら黄色?それはもう黄色?ということで強引に赤→緑→黄、になりました。あとは「蒲団」の初出誌「新小説」の表紙がちょっと黄色っぽかった、ということもあるかもしれません。それから昨年開催の企画展「藤村と花袋」にて田山花袋記念文学館さんが発行されたありがたい図録装丁の黄色に引っ張られている部分もあるかもしれません。図録の表紙写真あるかしら?とのぞきにいった花袋記念文学館さんのホームページにて表紙写真こそなかったものの、入った瞬間にページの背景が黄色だったのでアッもうそういうことでいいのかもしれない!ということにしてしまいました。


 


謎の一週間は365日にカウントしないこととする
 2015.3.19

 オープンにかまけ日々えへらえへらと過ごしておりましたら3月もはや下旬に突入しようとしております。驚きです。   

             名誉館長にいただいたおはな♥→

 昨日、開催中の第一期「黴」展の取材にとラジオかなざわ・宮林アナがご来館くださり「黴」の魅力について学芸員がそれはそれは長々と語らせていただきました。放送日は21日(土)と28日(土)の10時~10時半「ちょっときいてたいま!」内にて前後半で…と仰っていたかと思います。お時間合うかた、是非ご試聴いただけましたら幸いです。

 宮林さんにもすこしお話ししておりましたが、3月から4月への移りかわりがちょっとさりげなさすぎるのではないかとここ数年いつも考えさせられています。年度末から新年度への移行が他の月とあまりに同じテイストにてふわっとしすぎているように思われてなりません。もっと新年並みにカウントダウンなどしてみても良いのではないでしょうか。そうしてまわりから気分を高めてもらわないがために、3月も下旬になって、えっあっもう4月!?これあお茶会の準備がまるでまにあわないや!!!と大慌てするはめになるのではないでしょうか。もしも国をあげてのカウントダウンが難しいのであれば、移行期間として一週間くらい謎の日々がはさまっていて欲しいものです。衣替えでいうところの合い服期間。3月31日と4月1日の間に名もなき一週間(たぶん地方ごとに呼び名も変わるのでしょう)。そこにおいて年度制で動いているひとびとは一呼吸おき、次なる態勢を整え、もろもろをいったんリセットして新しい年度に臨むのです。どうでしょうか。そんな空想をあそばせている間にさくさくお茶会の準備をしたほうがよいでしょうか。





リニューアルオープンいたしました!
 2015.3.15

 かるーく1週間が過ぎてしまいましたが、7日、無事リニューアルオープンいたしました!おかげさまで!ようやく帰って参りました!

 オープンの日には開館前からたくさんの方にお待ちいただき、ご用意した先着100名様限定クリアファイル(非売品)も早々に底をつくという嬉しい悲鳴!現場混乱しておりご迷惑をおかけしたかと存じます。ご来場いただきましたみなみなさまに、改めまして心よりお礼申し上げます。
 
 
     これが↓こう
 
「なんか…変わった…広くなった…!」というのが最も多い反応でしたでしょうか。以前の姿を思い出そうとするお客さまの背後からスススと現れ「ここね…壁があったんですよ…」と囁く妖怪ビフォアアフター。「えっ?あっ、そうだったかも!そうだ!壁があった…!」とのやりとりを幾度となく繰り返し楽しみましてすみません。何度でも楽しかったものですみません。壁をぶちぬきましたら、新たな空間が生まれました。今後イベントなんかも出来そうです。

←左端には本棚を設置。全集ほか、オリジナル文庫を 排架。下部は机になっていて、秋聲作品の朗読をタブレットで試聴できます(音源提供:朗読小屋 浅野川倶楽部)。

 10時半からは記念イベントの開催です。山野之義市長挨拶、上田正行館長挨拶につづき、秋聲の後輩・金沢市立馬場小学校4年生による合唱が披露されました。新作「秋聲の歌」、そして同日午後にオープンとなった鏡花記念館さんへの祝福を込めて第二校歌「鏡花の歌」。歌うほどうまくなる、聴くほど涙がでる、そんな美しい合唱でした。そしてご挨拶もとても立派…!日本の未来は明るいぜよ!!馬場小さんほんとうにありがとうございました。
 その後、秋聲ご令孫である徳田章子名誉館長、志賀紀雄初代館長、大木志門初代学芸員のお三方をお招きして、館の10年の歩みを振り返るトークイベントへ。徳田秋聲記念館がここにあること、その存在に対するお三方それぞれのいろいろな思いをうかがうことが出来ました。終わったあと「話ゆるすぎたかな?大丈夫?」と気遣ってくださるお三方…いいえゆるすぎたのは司会だけ。あとは素晴らしい、ほんとうに素晴らしいお話でございました。こんなにあたたかく優しい時間を他に知りません。
 ここに集ったみなさまのお心ひとつひとつを推進力に、徳田秋聲記念館これからも邁進して参ります!あと新作グッズ、縮図マグネットをひそかに押して参ります!





あわや大惨事
 2015.3.4

 本日は企画展の設営日です。設置してみるといろいろなハプニングも起こりつつ、なんやかんや収めつつ、少しずつ完成へと近づいています。

 こちらにはこちらで常設展ほどの規模ではないながら壁面いっぱいを使った全面ガラスケースがございます。そしてやはりここにこもって展示台のうえにその企画展ごとのイメージカラーの布を敷いたりパネルを貼ったり資料を入れたりするわけですが、立ったひとが覗くにちょうどいい高さというのはヨイショと昇るにはちょいと高すぎるというわけで、ケース内に入るときには犀星記念館さんとオソロのオシャンな椅子を台として使わせていただいたりしております。

 今回のイメージカラー、特に第一期の秋聲「黴」色は初版本を意識した「赤」です。ゆえに赤い布を敷くのかと思いきや、前回の菊池寛賞展で受賞式のレッドカーペットを意識した赤い布を使ってしまったため、今回はいっそはがしてしまうことにいたしました。そうそう、そもそも自然主義文学展じゃないか、虚飾なくありのままをお見せするんじゃないか、というひどいこじつけのもと、今回は何も敷かない生のままの展示台をご覧いただけます(見るべきはそのうえの資料です)。

 そうして前回の赤布をはがしはがして、さていったん降りようかとふと椅子を見ましたら、そこにとんだイジメ勃発…。靴下に覆われただけの無防備な足を下ろすべき椅子に無数にきらめく画鋲たち…(丸い盆のうえにみえるツブツブ→)。見えないところで布を留めていた画鋲をとりあえずそこに集めて置いていたのでした。自らの仕業ながらうっかりものすごい罠が仕掛けられていたものだと、降りる前にちゃんと足下を確認した自分を自分で褒めてあげたい気持ちです。

 あわやキナリの展示台に赤い足跡…、『黴』の前作『足迹(あしあと)』の初版本(青表紙)も展示します!





かろうじて
  2015.3.3

 生きております!

 といいつつ、展示ケースはまだからっぽです。
 企画展も常設展もからっぽです。

 午前中、大型展示ケースにこもってとりいそぎホコリ取りのコロコロをかけておりましたら、朝から入っておられる定期清掃の業者さんに今からこの前の通路にワックスかけるので出られなくなりますけど大丈夫ですか!?いまのうち出ますか!?とお声がけいただき、作業を中断したくない心持ちからこのままワックスが乾くまでコロコロし続けるべきか、いやいったん出てお昼ごはんをいただくべきか、と逡巡のすえお昼ごはんをとりました。腹が減っては作業効率が落ちたりしますし(大きなホコリを見逃したり)、思わぬケガをしたりしますし(コロコロに躓いてガラスに頭をぶつけたり)、たぶんろくなことがないので正しい選択であったと午後コロコロのつづきを終え今やすっかりきれいになった展示ケース(でもからっぽ)を見て満足しています。

 そんな調子のせいだか正直なところ館内はまだお見せできる状態ではないので、そのかわりに3月3日、本日のほっこりポストの様子をお伝えします。

 あいかわらずのいい仕事っぷりです。
 そしてこのおひな様、昨日の夜か今日の早朝に設置されたものであることを当館は知っています。何故ならきのう夕方職員がポスティングに訪れたさい、そこに鎮座していたのは桃太郎・金太郎・浦島太郎といういまCMで話題の御伽噺三太郎であったというのです。

 えっそれは見ねばですね!では明日にでも…、いや明日になったらおひな様になってるかもよ(笑)との会話のカッコ笑いの部分が現実のものに…!そう、ほっこりポストはほっこりと見せかけてそのあたりひどく厳密なのです。3日になってもまだ金太郎でいっか…などというズルズルとした甘えを許さないのです。見習うべきは、この姿勢…。幻の三太郎、おひな祭りが終われば復活するかもしれません。


 


さようなら2日半
 2015.2.20

 ふらりと現われ残念なお知らせです。
 
 本日午後より当館は燻蒸休館に入ります。改装休館中の燻蒸休館につき特にお伝えする必要もなさそうな雰囲気もありつつ、休館のなかのさらなる休館期間におきましては電話すら不通となりますので念のためお知らせです。ご迷惑をおかけいたしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

 なお、23日(月)より、通常の改装休館にもどります。けっきょく休館は休館で恐縮ですが電話が通じます。またその際にはよろしくお願い申し上げます。





さようなら3時間半
  2015.2.14

 じわりとアップいたしました、次回企画展タイトル。開館10周年記念「日本の自然主義文学展」です。大きく出すぎた感は否めません。リニューアルオープンからちょうど一ヶ月後の4月7日に開館10周年を迎える当館、いちど初心に帰って〝自然主義文学の大家〟と称される秋聲の原点を見つめ直すことにいたしました。
 会期自体は8月1日までと長いのですが、中を三期に分け、第一期が秋聲の「黴」、第二期が島崎藤村「破戒」、第三期が田山花袋「蒲団」を主にご紹介する内訳となっております。金沢を思わせる描写も出てくる「黴」から、長野県は小諸時代に書き起こされた「破戒」、「蒲団」それ自体とはちょっとアレだけれども群馬県出身の花袋さん…と、新幹線開業にあわせてじわりじわりとTOKYOへ近づいてゆく感じのチラシも間もなく納品。苦しいのは承知のうえです。TOKYOまで2時間半というのが話題の最前線ということも承知のうえですがそこを敢えて途中下車する自由!そう、おれたちは自由!

 そんなわけで「黴」に絡む資料をこのたび東京の徳田家からお借りしてくるほか、次に控える藤村さんの周辺調査のため、小諸時代を中心に扱うといいながら藤村生家跡で知られる岐阜県は馬籠、藤村記念館さんへ行って参りました。
 藤村関係記念館は前回伺った小諸とそして馬籠にございます。

 藤村記念館と隣接する藤村記念堂を追いかけるように同年(昭和22年)に建てられたのが卯辰山の秋聲文学碑。同じ谷口吉郎氏の設計で、どちらも荘厳な雰囲気が漂います。藤村さんのものものをお出しするのは第二期(4月下旬)からになりますが、作品の発表された順から言えば破戒→蒲団→黴ですので、パイオニアたちのもろもろを踏まえて第一期「黴」展、つくって参ります。

 今日からちょうど一ヶ月後の3月14日にはいよいよ新幹線が開業。帰途、あぁこれに乗るのももう最後だね…と感傷的な気分に浸りながら金沢駅にて撮影した車体に刻まれた「SHIRASAGI」。
 アッ「はくたか」じゃなかった、今回米原回りでした!またお世話になります!!





きちんとしている
 2015.2.11

 4月からの事業の準備のため、茶屋街へてくてく〈当館より、てくてく3分〉。
 の、途中のほっこりポスト〈当館より、てくてく2分半〉(©某K記念館)。

                そしてこれ→
 
 館ではさぼってしまった節分を、何よりも季節の風物を大事にするほっこりポストさんはきちんと迎えておりました。しかもこちら、いつかのひゃくまんさん行列のちょうどお顔の部分にかぶせてあるではないですか。鬼の面を面として、きちんと使っているではないですか。さすがです。
 そしてこの面をめくればひゃくまんさん。と思えばなんだか福感も満載。鬼と福、表裏一体ってか…!と雨に打たれるポストの前でこの世の摂理を知りました。
 
 ご覧のとおり、訪問する時間が遅かったためもう随分と暗いなかに浮かび上がる赤鬼青鬼の迫力満点なこと(しかし内向き加減の寄り添いかたがちょっと切なくもあり)。
 豆まきは魔の出る夜にやらねばならぬと聞きました。豆を持参すべきでした。この方々にぶつけて無言で走って帰ればそれなりの豆まきができました。かなり的がちいさいですが、プチッと投げたらそのミニマムな体できっと受け止めてくれるはずでした。
 それすらもできなかった館に、そして他館さまからすてきなフレーズを盗んでくるような紅顔な、あらため厚顔な館に残念ながら春はまだ訪れません。休館と知らずにお越しくださったお客さまを追い返さねばならないこの日々のつらいこと…。ちょっとなら、そのへんだけなら、とふとゆるむ心を鬼にして、すみません3月7日以降にまたきてください、と青い顔をしてお伝えせねばならぬこの苦行。解放まであと一ヶ月…。

 館にほんとうの春がやってくるのはもうすこし先のようです。





ばら色の
 2015.2.3

 とあるお願いごとのため、秋聲母校・馬場小学校さんへお邪魔して参りました。

←行くみちの途中で見つけたオブジェ。見つけたというより、いつも視界の端には映っていたけれども初めてまじまじと観察したオブジェ。
 タイトル「ばら色の人生」。

 さて、本日は節分です。宇多須神社さんでは恒例の芸妓さんによる豆まきが行われておりました。しかし今回館からは誰も行かれず、アッでもどうせ馬場小さんに行くんだったらちょいと引っかけて出ればよかった!!と少なからぬ後悔をしながら祭りのあとの茶屋街を横目に歩くみち。信号待ちで団体さんに吸収されるの巻。しかし率いる方の解説が異国語でしたので、おそらく茶屋街の説明をしているのだろうけれどもちょっとわからず、しかししごく熱心に真っ直ぐこちらに向かって語りかけてくるのでとりあえずニコニコしてみるの巻。

 そんなこんなでどうせ夕方には出かけたんでしたが、本日これと決めた作業は基本的に常設展の全面ケースにこもってするもろもろです。パネルもすべて新しくするため現在デザイン調整中。これがここに吊られるからして、これはこう…とシミュレーションしてみるものの、決定的なイマジネーションの欠如によりイメージしきれずケース内の展示台のうえにいつしか無言で座り込んでいる自分自身を発見しては、へへ…いま展示品みたいだった…と薄ら笑ってよろりと立ち上がることの繰り返し…監視カメラに映っていたなら、あるいはそこに工事のひとが出入りしていたならさぞ気持ちのわるい光景だったかと思われます。
 
 ちなみにパネルでは金沢の街をモデルに描かれた秋聲作品を示す地図も制作中ですが、浅野川周辺に「鏡花のみち」「秋聲のみち」「無駄道」(←秋聲作品タイトル)と三つ並んでいて面白いです。なんか!せっかく名付けてもらったみちを!





締め切りの日
 2015.1.30

 本日、3月末発行予定の館報第7号の原稿締め切り日です。次号は11月のシンポジウム報告がメイン記事となる予定でして、ご参加いただけなかった方にもあの熱気を感じていただけるよう、8頁綴りの館報のまるまる半分を使って先生方のありがたいお言葉のひとつひとつを腕いっぱいに拾い集めているところです。どうぞお楽しみに。

←まだとてもゆるゆるな構成案。 
  
 また、館の職員にもそれぞれ執筆担当箇所がありまして、進行度合いは人それぞれ。学芸員は全体の割付を考えなければならないためざっくりと一度全部書いてしまい、内容がかぶらないよう参考のためそれを回覧したうえで職員に割り振ります。誰よりも早い仕事と見せかけて、校正段階であとから何とでもしてやろう…という小ずるさを秘めた陣頭指揮。館長は朝依頼してその日の夕方入稿、さすがです。小ずるい指揮官が小躍りです。
 いっぽう締め切り数日前、そろそろですけども~と発破をかけたそのタイミングで「できてます!」と原稿をくれる職員もいれば、本日、いままさに、唸りながらパソコンに向かっている職員もおり。どんなですか?と横から茶々を入れると、険しい顔でため息をつきながら「すぐかける人ってすごいね…いや、すぐかかれる人、か…」と、床に向かっておそろしくよく出来た金言を繰り出しておりました。そう、原稿依頼はおよそ一ヶ月も前のこと。書ける書けないでなく、取りかかる取りかからない、の問題だということに今まさに気が付き悟りの境地に入ったもよう。二字違いで大違いです。

 あまりにうまいこと言い過ぎて、これをそのままネタにして書かせてあげたい気持ちもありましたがまんまとこちらにて横取りをしてやりました。
 険しい表情から段々と色が抜け眉間のしわが抜け、仏さまのような悟り顔になってゆく職員をとっつかまえて、いやいや!いま要るのは悟りでなく活字!!お戻りあれ!!ディスプレーにお向かいあれ!!!と厳しい現実を突きつけたい所存です。
 




長期だけれど一時休館
 2015.1.27

 先月には名誉館長から、今月に入り坪内先生、北村先生に引き続き、菊池寛記念館さんからもありがたい差し入れをいただきました!
 本日付けで同館にて「菊池寛記念館'15コレクション展 『菊池寛と徳田秋聲』」の開幕です!おめでとうございます!ありがとうございます!
 
 昨秋の当館での菊池寛賞展を受け、高松の方々にそのご報告も兼ねてのコレクション展。秋聲先生いよいよ四国に上陸でございます。つい先ほど同館学芸員の方よりお知らせのメールをいただき、喜びのあまりそれまでもろもろ作業していた数多なる書類をすべて押しのけ(各所にすみません)何ならお返事をするよりも先に勇んでこちら寸々語編集用ページを開いております。そう、寸々語は当館の感情に直結!興奮すると妙なテンションになってしまうため、とりいそぎここに吐き出し、すこし頭を冷やしたうえで丁重にお礼を申し述べたいと思います。

 当館、勝手に長期休館をいただきながら、それをカバーするかのようにいのちを繋いでくださる方々のありがたいこと…。こうしてなりを潜めている間に、みなさまの頭のなかから館の存在が葬り去られてしまうのではないだろうか、と時に怯え、「(しばらく)閉館ですか?」「ええ、館なんですよ!(ニコッ)」という、本来何の含みとてない表面だけとればどちらでも良さそうなご近所さんとのささいな会話にも神経をとがらす日々です。
 思えば年間のスケジューリングがへたくそなのか、11月の熱気あふるるシンポジウム、当館といたしましては「しばらくさよなら記念館セレモニー」のつもりでしたが、もしや「いままでありがとう記念館ファイナル」と思われているのではあるまいか…!最後は確か「またお会いしましょう」で締めたけれども、つくり笑顔の詩的なフェアウェルととられてはいまいか…!!と、急にハッとしてから動悸息切れが止まりません。





5の押しにくさなど
 2015.1.24

 1月22日付けで電話の5が押しにくいという非常にどうでもいい情報をこちらで申し述べたこと、ただいま全力で後悔をしております。1月22日、それすなわち当館にとって歴史的な一日…文芸誌「小説新潮」さん2月号の発売日…!!

 1月22日をもちまして、当館、小説内デビューを果たしました!!!
 2月号巻頭には、以前にもこちらでご紹介をさせていただきました北村薫先生の小説「女生徒」が掲載されており、なんとそのなかに当館の名前および秋聲「黴」の名が出て来るのです。これはどうしたことか、もはや身悶えるほかありません。マッチの火に浮かぶ都合のいい幻想が止まりません。このままではほわほわとしたあたたかい夢に抱かれたまま昇天してしまう……いいやちがう、そうじゃない。生き延びたのだ…これは夢でない糧だ、われわれは生きてゆける!!

 そんなわけでちょっと混乱も甚だしく、でもやっぱり口に出すとなんだか急に嘘になって霧となって消えてしまいそうですので詳しくは述べませんが、ビビッドな黄色からうってかわってシックなこちら→、是非チェックしてみてください。太宰治好きさんも必見です。「円紫さんと私」シリーズファンの方も必見です。当館職員はページを開いた瞬間、アッとなって、ウッとなって、「あの、あの、これ、あの、ここ…!」とひとさまにものごとを伝達する方法、それすなわち秋聲とともに館で顕彰するべき言葉の使い方をわすれました。
 でも大丈夫です。活字になってはっきりくっきり印刷をしていただいておりますので下手な説明を聞かずとも見ればわかります。

 北村先生、「小説新潮」さんありがとうございました。おかげさまでわれわれは生きてゆかれます。
 

 


5が押しにくい
 2015.1.22

 本日のお葬儀執行は凶!まだ初詣に行けておりませんが今年もデスクにやってきた日めくりカレンダー様の心強いこと!
 さて、今日も今日とて館内工事すすめております。今朝ほど次回企画展準備のため引きこもっていた収蔵庫から出る際、無遠慮に扉を押しあけましたらちょうどお道具をもって通りかかられた工事の方とどっちーん!と衝突してしまい、思いもかけず恋が芽生えるところでした。危ない危ない。
 「き、気をつけろよな!」「な、何よそっちこそ…!」との甘酸っぱい展開を薄く期待しましたが、そこは良い大人同士…「えへへタイミングぴったりでしたね…」「ほんとですね、えへへ…」と互いにえへえへ、ペコペコしながら大人らしくその場を去ったものです。そんな淡い今日の空は雨催いです。

 さて、展示室では大きな設備が撤去されたり、聳え立つ壁がなくなったりと大掛かりな工事が着々と進む傍らで、事務室では、電話の5のプッシュボタンが急に硬くなるという事件が発生しました。地味ながらこれはたいへんな事件です。 
 何故かはまったくわかりませんが、ある日突然5だけが硬く押しにくくなっており、それと知らずに普通にぴっぽぴっぽ電話番号を押していて5にいたって急にアッ!カタァッッ!!となったときに指が受けるダメージといったら…。予想しない硬さというのはこんなにも人を驚かせるのだと初めて知りました。

 「5が硬い!!」とお隣の職員に訴え、しばらくガコガコ慣らしましたら少しスムーズになりましたが、一晩寝るとまた元の黙阿弥(そう今日は黙阿弥忌)、再び硬くなっていて指へと奇襲攻撃を仕掛けてきます。5に自覚があるのかないのか、守りを固くすることがちょっともうそれ攻撃になっているよ!なに急にどうしたの!?とプッシュボタン12人兄弟の真ん中っ子に突然やってきた反抗期にこちらはあたふたするばかり。

 あたふたしすぎて、ネットの検索欄に「5 押しにくい」と入れかけてハッと我に返りました。そんな、そんな。さすがに。
 
 



とてもうれしかったので
 2015.1.16

 「本の雑誌」増刊号「おすすめ文庫王国2015」にて、文芸評論家の坪内祐三先生が当館オリジナル文庫のことをご紹介くださっています!!
 タイトルもずばり「今年 私は徳田秋聲記念館文庫に出会えた」………感慨無量です。こちらこそはじめましてこんにちは…!!!
 
 なかには文庫との出会いから、印象深い作品のことまで4ページにもわたって、しかも文庫本の写真まで付いて…なんでしょうかこれは都合のいい夢なのでしょうか。リニューアル中の寒々しい館のなかで次第に意識が遠のき慌てて摺ったマッチの青白い炎と白い吐息のなかに僅かに浮かんだはかない夢なのでしょうか。いやいや、夢のわりに表紙がポップ!ビビッドな黄色にユメジ式紅蕈に謎のミーアキャット(左上)!
 
 そんなわけで、みなさま本屋さんでこのビビッドな黄色をお見かけになりましたら是非お手にとってご覧ください。P36~39、しつこくも堂々の4ページです。この本に出会えたことが嬉しい、と締めてくださっている坪内先生…記念館一同におきましては今年の嬉しいことをまだ1月も中旬だというのに早くもすっかりすべて使い果たしてエッこれからどうする!?どうする!!?ヤダもうかえって怖い!!!と惑い戦きつつもやはり喜びを抑えきれず、手に手をとりあい歌えや踊れ、歓喜の涙を流しております。
 ご推察のとおり、年刊を心掛けておりますもので今年も何かしら刊行する予定です。といいつつ、現在品切れとなっている第一弾『爛』の増刷もしなければなりませんし、出したいものが列をついて待っているというこの状態。何から手をつけてよいのやら…と、いまだアレコレしていてタイトルこそ未定ですが、必ずや、今年のタスキも繋いで参ります。
  

 
 


左義長だったので
   2015.1.12

 当館が初詣に行くなら秋聲もよく通った毘沙門さんこと宇多須神社。その宇多須神社さん本日左義長やってます。

 今朝ほど宇多須神社の左義長はいつだったかね?とお問い合わせがあり、館報原稿依頼をほっこりポストに投函ついでに見にいきましたらもくもく煙があがっておりました。アッ今日だ!!と思って飛んで帰って連絡することに夢中になってうっかりお詣りをわすれました。
←そして何故か柱の陰からこっそり撮影。

 この距離から遠目に見ただけだなんて罰当たりな…。今年は休館中のためお正月飾りをしませんでしたので燃やすものもなく油断しました。またポストに投函すべきお手紙が出来たら詣りたいと思います。寒いからってついでだなんて罰当たりな…。

 ついでついでで本日のほっこりポストはプレーンでした。すなわち何も載せておらずただのポスト。いえ、ただの、と言ってはいけませんそれが本来の姿なのであり、赤いだけで充分、充分見栄えのするかっこいいポストなのです。でもなんだかほっこらないポスト。
 てっきりお正月飾りがあるものと思っておりましたが、左義長で燃されてしまったのでしょうか。続く行事は2月3日の節分祭、それに向けて準備をしているのかもしれません。

 そういえば昨年クリスマスシーズンのいつかに行ったときにはちゃんとクリスマスしていたのですが、そのときばかりはポスト上より投函口のこの仕様が気になりました。…年賀状どこ入れる??
 こちらは年賀状じゃなかったためいつもの指示のとおりに投函しましたが、たまたま来合わせたおそらくは年賀状を投函したかったおばさまと、こっち(てがみ・はがき)…ですかねえ…?と目で会話したことを思い出します。きっと年賀状指示をフライングしてしまいちょっといったん伏せといて!!となったのだろうと推測しています。


  
 

普通の家感                               
  2015.1.5

 あけましておめでとうございます。年男の秋聲先生が羊に乗ってやってきます。向かい干支は丑です。
 今年もし館で急に牛柄のグッズが発売されたらそれはそういうことですし、真っ向から羊でもそれはそういうことですのでご承知おきのうえ、今年もよろしくお願いいたします!

 ↑こちらめでたき初日の出のように見せかけて、なんでもない本日5日朝8時半の浅野川の様子。この左岸の奥に当館がございます。

 いつも企画展ごとにチラシをアレンジしたタペストリーを館の外壁に掲示しているそれが、リニューアル休館に入りはずされ何も無い状態のはだかんぼうの記念館→
 タペシステムが出来てから今日まで職員とて未だかつていちども見たことがなかったはだかんぼうのときの館の普通の家感のすごいこと。

 「東山の伝統的な建物群の一角に位置するため、黒瓦屋根の採用、格子を取り入れた外観、土塀など、周辺の環境に調和し、金沢の街並みに似合う建物としました。」とは、当館ホームページ「館の概要」にある解説ですが、にしても、にしてもの街並みへの大胆な溶け込み方!「徳田秋聲記念館」とある渋めの看板をこっそり「徳田」の表札に差し替えても平気そう…へえよく見ると自動ドアだなんてハイカラなおうちだね…ということくらいで通りがかりの人も騙せそう…そんなことすら思わせる風情で、館は今日もご近所さんと同じだけ瓦屋根に雪をかぶって静かに佇んでおります。

 そういう館かもしれません。お菓子を自由にたべたり、寝転んだりこそしていただけませんが、普通の家のように気軽に遊びにきて寛いでいただけましたら幸いです。チャンネルはひとつしかありませんがテレビもあります。トイレもあります。




 

 

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