過去の企画展

平成20年度

コレクション展/夢二処女画集『春の巻』刊行百周年記念
新聞のなかの夢二式 コマ絵から小説挿絵まで
期間 平成21年3月28日(土)~平成21年6月7日(日)

 『夢二画集 春の巻』(明治42年)は夢二最初期の作風をとどめる記念すべき処女画集であり、2009年は出版百周年にあたります。

 夢二の画家人生の幕開けは明治38年、21歳の時でした。美術学校や画塾に入門経験のない夢二はその自由闊達な筆を持ち味とし、アマチュアとして新聞・雑誌に投稿したコマ絵が掲載の機会を得て、次第にその名を知られるようになります。コマ絵とは誌面に組まれる一コマの墨絵を言いました。その周囲の記事内容と結び付く挿絵と違い、コマ絵のみで独自の世界を完結させているところにおもしろさがあります。世間を諷刺するテーマも多く、墨一色のなかには若い夢二のメッセージが込められていました。コマ絵は夢二の原点です。それだけに現存例も多くありません。

 この展覧会は、その原点の作風をとどめた「画集」「新聞」「雑誌挿画」を展示します。なかでも当館の新聞コレクションの一挙公開はこれが初めての機会。当時コマ絵がどんなふうに掲載されていたかがそのまま伝わる貴重な資料です。

 そして、コマ絵の造形感覚は、後にどのように展開していったのでしょうか。絵手紙、挿絵原画、スケッチブック、次々に展開した彼の筆を追いかけます。

金沢市所蔵品展
『リトグラフのたのしみ』 夢二のデザイン・シャガールの色彩
期間 平成20年12月20日(土)~平成21年3月22日(日)

 リトグラフ(石版印刷)は18世紀末ドイツで発明された版画技法のひとつ。脂質と水の反発作用を利用し、筆で版に描いたままの絵を印刷できるようになりました。幕末の日本にも伝わり、明治には従来の木版印刷は生産性の高い石版へ移行してゆきます。

 新技法は夢二にも影響を与え、肉筆・木版画になかった造形も生まれました。平面的な装飾のレタリングもその一例。新聞コマ絵デビュー以来、彼は印刷技術に利便性以上の価値を見出してきました。

 海外でもマティスやピカソたち芸術家がやはりリトグラフに関心を示しており、この展覧会でも近代フランス美術を代表するおなじみシャガールを紹介します。夢二もシャガールも、印刷工房に足を運んでは仕上がりについて厳しい指示を繰り返したエピソードを持つ人。そのリトグラフは「絵画(下絵)のコピー」という考えとは無縁で、光のように変化に富む色や感覚的に配置された形から、自由に創作を楽しむ様子が伝わってきます。

 どうぞ芸術作品としてのリトグラフの魅力をご堪能ください。

特別展
NIPPONの美しい紙文化 —日本橋<はいばら>と夢二
期間 平成20年8月2日(土)~平成20年11月30日(日)

 本展では、斬新な造形感覚にすぐれた竹久夢二(1884-1934)を〈デザイナー〉としてクローズアップします。夢二デザインといえる独特の模様を配した千代紙、絵入り封筒・便箋・祝儀袋など、彼がプロデュースした生活雑貨は当時大変な人気があったとされます。そして現代でも、椿、どくだみ、桜草などのやさしい植物モティーフをちりばめたパターン模様は雑貨やブック・デザインに復刻されています。

 本展は、その版元・販売店のひとつであった日本橋の老舗紙商〈はいばら〉聚玉文庫の協力を得て、今も色あせない魅力をたたえた当時の商品をはじめとする貴重な資料をご紹介します。会場では〈はいばら〉の文具・千代紙にみられる日本の伝統的な美意識、そして他方では、その伝統に立脚しながらもモダンと言うべき新しい感覚を見事に調和させた夢二の美意識とを紹介し、その双方の出会いからもたらされた夢二デザインの魅力を伝えます。

 今回の企画展でご協力いただいた<日本橋はいばら>様の夢二デザインのご紹介は下記アドレスからご覧いただけます。

竹久夢二名品展(2)―リクエストによる当館コレクション公開
期間 平成20年6月26日(木)~平成20年7月27日(日)

 名品展第2弾はリクエスト投票でつくる展覧会です。当館では初の試みとなった館内でのリクエスト投票(4月19日~5月31日に実施)の結果をもとに人気の高い作品から、当館コレクションを一挙に公開します。

 お気に入りの作品、出会いを逃していた作品、写真でしか見たことのない作品、意中の名品に想いを伝えるまたとない機会です。

【同時開催】
ちいさな名品展「夢二の絵手紙」
期間 平成20年4月19日(土)~平成20年7月27日(日)

 好評発売中の新刊『竹久夢二の絵手紙』に多数収録された竹久夢二の絵手紙(実物)を展示します。等身大の夢二を伝える手紙文、軽妙洒脱な筆致、大画面の作品とはまた異なる趣をお楽しみいただけます。

特別展
竹久夢二名品展(1)―静岡市・志田コレクション公開
期間 平成20年4月19日(土)~6月22日(日)

 夢二作品の個人コレクションとして大規模かつ内容に富む「志田コレクション」は、熱心な愛好家であり資料研究にも尽力された志田喜代江氏(1924-)によって収集されました。

 数ある美人画のなかでもひときわユニークな魅力を持つ《草に憩う女》《合鏡》などはコレクターの熱意と美意識を反映した逸品であり、同コレクションを特徴づけています。

 昨年度は『竹久夢二展』とする大規模なお披露目が静岡アートギャラリーにおいて開催されました。

 このように全国的に注目度の高まる同コレクションを静岡市の全面的なご協力により北陸地方で初公開いたします。日本画、デザイン原画から日記、書簡まで、珠玉のコレクションにあふれだす夢二の才能を余すことなくご紹介します。