過去の企画展

平成21年度

金沢湯涌夢二館コレクション展
「春を待つ」 夢二の描く動物・植物
期間 平成22年2月5日(金)~平成22年3月28日(日)

 ― はるのみそらのあけがたの
      はるのかねなる らん らん らん

(「春の鐘」童話集『凧』より)

 歴のうえで春を迎える二月、やがて芽吹く草花、野にあそぶ動物の姿に寄せる想いもいよいよふくらみます。そこで、今回のコレクション展では夢二の描写した動物・植物モチーフをテーマに作品を集めました。

 まずは美人画を思い浮かべる夢二ですが、四季折々の花鳥、あるいは季節も問わないモダンな図案まで、動植物のモチーフは、実はとても頻繁に登場しているのです。なかでも幼い読者のために描いた動植物はとても愛らしい物でした。軽やかに跳ねる小動物や、ふわりと飛ぶたんぽぽの綿毛に、眺めている者の気持ちまで温かくなるようです。こうした絵は夢二から読者への贈り物とも呼べるような魅力に満ちたものでした。

 新しい四季の訪れとともに命を輝かせる者たちの姿をゆったりとご堪能下さい。

金沢湯涌夢二館コレクション展
「無声の詩」 夢二の詩と絵画
期間 平成21年12月12日(土)~平成22年1月31日(日)

 ―画は無声の詩、詩は有声の画。

 かつて詩人に憧れた文学青年は、詩情を描線に託すことに興味を持ちました。これが処女画集『春の巻』序文(明治42年)に記された竹久夢二の絵画事始です。人気画家になって以降も『どんたく』(大正2年)、『山へよする』(大正8年)などの絵入り詩集・歌集が次々に発表され、ジャンルを問わない活躍が目立ちました。

 実は、古く東洋画の歴史に「詩書画三絶」 「詩画一致」 「無声詩、有声画」という考えがみられます。本質的にも共通点の多い書画、そして詩が融合し、人間性が表現されることを理想とした考えと言えるでしょうか。ここにみられる芸術のあり方には、夢二作品を味わうヒントがあるかもしれません。

 この展覧会では、筆による芸術的な書画の趣をもつ作例とともに、彼のユニークな個性を象徴する挿絵作品を陳列します。挿絵の数々は、新しい印刷技術を介した一種の版画作品でした。つまり書画とは異なる技法で表現されたものですが、興味深いことに、夢二自身は挿絵を〈無声詩〉と呼び、むしろ同じ理想が根底にあることをほのめかしていたのです。新時代の出版文化に育まれた夢二の〈無声詩〉は見どころです。

 多彩な収蔵品の魅力を発信するコレクション展。今回は詩と絵画の融合をテーマにお楽しみください。

金沢湯涌夢二館特別展
「月刊夢二エハガキ」展 レトロ絵はがきコレクションとともに
期間 平成21年9月9日(水)~平成21年11月30日(月)

 明治44年から、東京九段・つるや画房より販売された絵はがき集「月刊夢二エハガキ」。その主題はバラエティに富み、美人画、愛らしい子ども絵、流行曲の歌詞付きカード、江戸風の粋な役者絵などが揃う、楽しい絵はがき集です。本展では、当時発行された全102集(408種)の図柄のうち、計79集を展示します(途中展示入替あり)。

 会場では、夢二の絵はがきとともに明治・大正・昭和のレトロ絵はがきコレクションもお楽しみください。小さな画面には驚くようなデザイン・センスとアイディアが凝縮され、有名無名の画家・図案家の才能が今も色あせない魅力を放っています。明治末の絵はがきブームをきっかけとし、以降人気を博して発行された種々の絵はがき図像を通じて、大衆芸術の変幻自在なおもしろさを紹介します。

特別展
DISCOVER YUMEJI ―夢二の旅と風景画
期間 平成21年6月13日(土)~平成21年8月30日(日)

「ああ、すべてに別れたい。そうして旅人の心ですべてをみなおしたい。」

 西は九州・長崎、東は房総から東北・青森まで、夢二は全国各地を旅しました。一つの場所にとどまることをせず、自身と向き合おうとした漂泊の旅路は、彼の人生そのものだったと言えるかもしれません。

 風景に寄せた作品には、旅先での記録らしき早描きのスケッチもあれば、改めて画室に入り心の景色を形にしたような山水画も含まれます。描かれた風景をたどっているうちに、夢二自身の心を近くに感じられるのではないでしょうか。

 会場には絵画のほか、詩や短歌、旅先からの便り、そして当時の旅を彷彿させる広告資料が並び、夢二のたどった旅路へと私たちを誘います。