過去の企画展

平成22年度

金沢湯涌夢二館開館10周年記念特別展
セノオ楽譜 夢二が描いた名曲の数々
期間:前期 平成22年9月25日(土)~平成22年12月12日(日)
後期 平成22年12月23日(木)~平成23年4月3日(日)

 「セノオ楽譜」とは妹尾幸陽(本名幸次郎:1891-1961)が明治末年から出版を手がけ、のち大正4年からは「セノオ音楽出版社」の名で発行したとされる楽譜の総称です。同社は、一般大衆に向けて古今東西の楽曲を紹介するために、現在確認されているだけでも、実に800点近い楽譜を出版したといわれます。同シリーズの楽譜は、楽曲の詳しい解説や訳詞の掲載に加え、表紙を見事に飾る、洗練されたイラストレーションと題字にも魅力がありました。当時流行画家として活躍していた夢二はそれらの表紙絵をおそらく誰よりも数多く手がけた代表的存在であり、30歳からのちの生涯をほとんどかけて取り組む中で、さらに作詞も24篇手がけています。

 会場では、当館が過去10年間で収集した貴重な「セノオ楽譜」の数々(当館初公開作品を含む)を一堂に展示いたします。

 「セノオ楽譜」における夢二の多様な表現を、4点ずつ11コーナーに分けて展示し、さらに後期展では流行歌が誕生し、大ブームになった時代と、当時欧米で流行し始めていた、表紙絵のある楽譜の、欧米と日本で刊行されたものを比較展示いたします。

金沢湯涌夢二館コレクション展
夢二と文学 装丁、挿絵から小説、短歌、童話、童謡まで
期間 平成22年7月3日(土)~平成22年9月19日(日)

 当館のコレクションには、夢二の絵画とともに文学作品も数多くふくまれています。彼は小説も書けば、詩や短歌も詠み、50冊あまりの著作をのこしました。それらの全てにおいて、装丁、挿絵を夢二自身で手がけており、そこには彼の感性がまるで宝石のように結晶しています。

 会場では、幅広い文筆活動をいまに伝える著作本、そしてまた、長田幹彦や吉井勇をはじめとする同時代の文士たちのために手がけた美しい装丁本(当館初公開作品を含む)、その両方を同時に展示します。

 これらの作品を通して、画家であり、文筆家であり、またデザイナーとしても才能を発揮した夢二の魅力をご紹介する機会になれば幸いです。多才な表現者が作りあげた、総合芸術の世界をお楽しみください。

金沢湯涌夢二館開館10周年記念特別展
「岸たまき」 夢二の妻とその郷里・金沢
期間 平成22年4月16日(金)~平成22年6月27日(日)

― 夢二を世に出した女性とは
 岸他万喜(たまき)は明治15年に金沢市味噌蔵町の旧加賀藩士・岸家の次女として生まれました。金沢で女学校時代までを過ごし、富山で一度目の結婚と死別を経験、そして数え年25歳で東京に出て夢二と巡り会います。

 明治末期に一世を風靡した「夢二式美人」の原型となったほど、その大きな瞳の容貌はたいそう美しいものでした。
 また、夢二における日本画の素養や聖書の教えなどは彼女自身の歩んできた道から受けた影響が大きいとされ、二人の関係には興味深い逸話も数多く伝わっています。

 上京後、独学で道をひらいた異色の青年画家・竹久茂次郎(夢二)、そしてやはり上京後に、出会った青年画家に翻弄されながらも彼の人気を築き上げる時代を共に生きた他万喜。この二人の関係には夫婦の情愛のみならず、時代を象徴する新しい男と女の生き様をみてとることができるのではないでしょうか。