金沢文芸館

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文芸館だより(ブログ)

文芸館だより R4年度

〇5月16日(月)第3回 出前講座 北陸学院中学校3年 

作った俳句(取り合わせ)で「句会」をしよう

講師: 竪畑 政行(石川県児童文化協会 理事長)

 

 竪畑先生が生徒作成の俳句から7句選出し、それを担任の玉作先生が毛筆で清書されて、みんなに紹介しました。
 まず竪畑先生から
  ・誰の俳句かわかっても、作者は最後まで秘密にしておくこと
  ・自分の俳句だということも秘密にしておくこと
 といった約束があり、学習をスタートしました。

 次に7句を提示し、その中から自分の「イチ押し」の句を選んで、理由も書く時間をとりました。7句をご覧ください。右は句会においての感想の一部です。
 1 春近し野菜スープとパンひとつ    …… 生き生きとした風景が見えるようだね
 2 父入院祈り合わせる春の月      …… 家族の気持ちが伝わる。私もそうするかと
 3 見たこともない漢字ばかりだ朧月  …… 朧月が漢字だからこそ光るんだよね
 4 新しいボールペン買う風光る    …… 使い古し-優しい作者の気持ちがある
 5 外耳炎激痛きたる入道雲      …… 入道雲が激痛と化学反応を起こしている
 6 余寒の夜まだかまだかと君のLINE  …… 竪畑先生お薦め。余寒や英語の表現さすが
 7 ミルクティー飲んでまったり春の雨 …… 雨の日のまったりとした気持ちが伝わる

 担任の玉作先生の心こもったきりりとした書と、竪畑先生の優しい促しもあり、自分の思いを素直に表現していく生徒の姿がありました。それぞれのイチ押しを挙手してもらい、
     ◎最優秀賞7句目(ミルクティー)  
     ○優秀賞2句目(父入院)  
     ○優秀賞3句目(みたことも)
 に決定しました。

 竪畑先生から、手作り賞状を授与された生徒たちは、本当に嬉しそうでした。
 北陸学院中三年生のみなさんは、とても友達を大切に想う生徒で、俳句の一句一句にもそれがよく表れていました。
「祈り合わせるとあって、家族みんなの様々な思いが伝わってきた」
「きっとみんな、祈ることしかできなかったんだと思う」
「入院した父にも春の月を見てもらいたいという思いがあった」
 など、ジーンと胸にくる言葉があふれ出た1時間でした。
 これからも素直な優しさあふれる北陸学院中の生徒は、俳句に親しみ、これからも俳句づくりに取り組んでくれることと思います。素敵な出会いに心から感謝いたします。ありがとうございました。


      



〇5月14日(土)第1回 小説入門講座 

人はなぜ小説を書きたくなるのか

講師: 小網 春美(『飢餓祭』同人)

 

 悪天候の中でしたが、13名の方にご参加いただきました。定員10名程度のところ、13名ぎりぎりで応募を締め切らせていただきました。当日朝も申込み願いがありましたが、お断りせざるをえず、申し訳ありませんでした。
 小網 春美(こあみ はるみ)先生の穏やかで優しく、しかし大変重みのある一言ひとことを逃さまいとする、凛とした空気の中で講座は進んでまいりました。一部、講座内容をご紹介いたします。


◆小説を書くにあたって
  ・小説とは「人間を描くこと」が大切
  ・幼年期の屈折した思い、挫折体験は、書く力へつながる
  ・上手な文でなくても心打たれることがある。それは作者が「人間を描いている」からだ
  ・書き言葉にこそ力がある
  ・小説を書くのはしんどい。でも楽しい。その楽しさに取りつかれてしまう時がある
  ・小説は100回読んだら100回直すところがあるもの
  ・小説は基礎が大切 基礎作りを大切に


 一時間半の講座はあっという間でした。ほかにも、小網先生のおすすめの本の紹介、小説を書くために普段の生活で心がけていかねばならないこと、誰の視点で書くかをしっかりと意識していくことが大切であること、長編小説と短編小説の違いと書き方の工夫、小説の書き出しと終末の大切さ、小説の最後の1行で作品の良し悪しが決まること、起承転結への思いなど……。落ち着いた中に噛みしめるような小網先生のお言葉、先生の豊かな経験に裏打ちされた貴重なお話を伺う、大変に充実した時となりました。
 小網先生からは受講者に
『「金沢創作工房」へ自作品を出すことを目標にしてください』との言葉もありました。これからの学び・小説づくりへの期待感あるスタートとなりました。

 第2回は6月11日(土)小説を書く力です。講師は 高山 敏先生です。申し込まれた皆様のご参加をお待ちしています。


      



〇5月13日(金)第2回 出前講座 浅野川中・西南部中学校 文芸部

金沢城公園を散策して俳句を作ろう

講師: 小西 護(金沢文芸館 前館長)

 

 金沢城内に両校文芸部員15名が訪れました。眩しいばかりの新緑の上を気持ちよさそうに駆け抜けていく燕たち、堀に凛と並び咲き誇る杜若等、素晴らしい景色の中で俳句創作活動が行われました。講師は、金沢文芸館の前館長 小西 護(こにし まもる)先生です。

◆主なプログラム
 1 金沢城公園を散策して俳句を作ろう。
 (1)グループごとに散策して、俳句作りの素材を見つける。
 (2)メモしながら俳句を作っていく。

 2 金沢城公園からの帰りも散策を楽しんでいく。

 3 金沢文芸館1F交流サロンにて俳句を作る。
 (1)一人一人が短冊に俳句を書き込む。
 (2)白板に完成した俳句の句会を行う。
 (3)小西先生が生徒たちと共に、俳句紹介、添削、アドバイスをしていく。
 (4)活動のふりかえり


◆吟味した俳句へと
 生徒たちの力作が白板にずらりと並びました。「オー」「いいね」と反応を交えながら、両校の子どもたちが仲睦まじく句会を楽しみました。小西先生のアドバイス後の俳句を一部だけご紹介します。(  )内は添削前の本人の俳句です。
  「白壁の 歴史の証 しみ一つ」(真っ白に 歴史の証 しみ一つ)
   ※白壁とはっきり書いたら、あなたの思いがより伝わるよね。

  「五月雨や 足音ひびく 夜明け前」(夜明け前 足音ひびく 五月雨(さつきあめ))
   ※五月雨を「さみだれ」と読ませると、よりすっきりした句になるね。

  「見上げれば 曇天の中 舞うトンビ」(見上げれば くもりの空に トンビ舞う)
   ※曇天としたり舞うトンビと体言止めにすると、より伝えたい気持ちが表現されるね。

 添削後の子どもたちの感嘆の声が、何度も会場に響きました。友達に対しての応援の気持ちがあふれた温かな句会となりました。両校の子どもたちの柔らかな雰囲気の中、お互いを大切に思い合っている姿が素敵でした。
 また、小西先生の「ここがいいね」「こんな表現がいいよね」と温かな声掛けいっぱいのご指導は、本当に素敵でした。鑑賞している子どもたちと共に、気持ちを盛り上げながら添削されていく小西先生の姿が、印象的な時間となりました。小西先生、ありがとうございました。

 中学生のみなさん。今回のような文芸部活動に限らずに、いつでも金沢文芸館に顔を出していただけたらと思います。いつでもお越しください。お待ちしています。


      



〇5月9日(月)第1回 出前講座 北陸学院中学校3年

取り合わせの俳句を創ろう

講師: 竪畑 政行(石川県児童文化協会 理事長)

 

 新緑の眩しい木々に囲まれた小立野台地に位置する、北陸学院中学校にお伺いしました。子どもたちが楽しそうに校舎内を行き来する中、中学3年生の国語「取り合わせの俳句を創ろう」の学習に取り組みました。講師は、石川県児童文化協会 理事長 竪畑 政行(たてはた まさゆき)先生です。


◆主なプログラム

 1 取り合わせの俳句を鑑賞しよう
 (1)取り合わせの俳句を鑑賞しよう
   ①新聞投句から2句提示
     「三軒のためのバス停つづみ草」
     「コーヒーにミルクたっぷり春炬燵」
     ※取り合わせをすると俳句が良き化学反応を起こすよ。

 2 次の2句の十二音と季語を取り合わせてみよう
 (1) ①(    )初めて君を呼び捨てに  ← 春の風、春の水、春の月
     ②さかあがりやっとできたよ(    )  ← 風光る、春の風、山笑う
     ※子どもたちは思い思いの季語を取り合わせて、
      一人一人が思い描いて楽しみ始めました。
      自分の心の中で化学反応を楽しみ始めたようでした。

 3 取り合わせの技法で俳句を創ろう
 (1)何気ない日常を十二音でつぶやいてみよう。
 (2)つぶやきに合う季語をみつけよう。
 
 一生懸命に俳句を創ろうとする子どもたちの意欲的な姿がありました。各々季語を吟味したり、長い時間、教科書の俳句を見つめたり、頭を悩ませる子どもたちの姿を見て、竪畑先生はこう続けられました。
「ちょっと先生が悪かったね。みんなに俳句を創るのを急がせ過ぎてしまったね。何気ないことでいいんだよ。例えばね」
「君は今日の朝、何を食べたかな?(ごはんとヨーグルトです)なるほどね」
「ごはんとヨーグルトと書いてみるよ。白いごはんとヨーグルトとして…そこに季語を入れてみよう。化学反応がおきるかもしれないよ」
 竪畑先生が次の季語を入れて俳句を詠まれました。

     衣がえ白いごはんとヨーグルト

 子どもたちはハッとして柔らかな表情になりました。何気ない朝ごはんのメニュー「白いごはんとヨーグルト」と「衣がえの白ワイシャツ」が、化学反応を起こすのを心に感じたようでした。取り合わせを楽しみ始めた子どもたちがそこにはいました。
 子どもたちは学習終了時間を迎えましたが、次から次へと俳句を手にして持ってくるようになりました。本来は一時間のみの出前講座の学習活動でしたが、日を改めてみんなで句会を行うこととなりました。竪畑先生も駆け付けてくださることとなりました。北陸学院中学校の子どもたちの一生懸命さと誠実さ、そして子どもたちの日常の言葉を宝の言葉に魔法のように変えていかれた、竪畑先生の愛情に心温まる一時間となりました。

 次回の句会は5月16日(月)に決まりました。また学習の様子をお伝えしていきますね。


      



〇5月8日(日)第1回 朗読会『青春の門 筑豊編』

思春期を迎え苦悩する信介の成長

朗読: 髙輪 眞知子(朗読小屋・浅野川倶楽部代表)

 

 五木寛之の小説『青春の門』第1部・筑豊編は、「週刊現代」に1969年から70年に連載された作品ですが、全面的な加筆を経て、1989年に改訂版としてまとめられました。
 筑豊で生まれた伊吹信介(いぶき しんすけ)が、幼い頃に死んだ父、女一人で家を守る母、情に厚い竜五郎らに見守られて、幼馴染である織江との愛を育みながら成長していく物語です。

 第1回朗読会が、朗読小屋・浅野川倶楽部の代表 髙輪 眞知子(たかなわ まちこ)さんにより行われました。誰もが悩む思春期の場面。髙輪さんには、若葉の香りいっぱい初夏の薫風のような朗読をいただきました。
 今年度は、昨年度の『青春の門』筑豊編 前半部分の朗読に引き続き、筑豊編 後半部分の朗読を、12月まで8回シリーズとしてお聴きいただきます。

      *     *     *     *     *     *     *

 

 伊吹信介は、恩師 早竹先生に会うために田川の街にやってきました。思春期を迎えた信介。彼自身、快楽の行為への誘惑と、それを止めようとする決心を貫き通せない自身への不快感。信介は早竹先生に、自身の心の葛藤を洗いざらいぶちまけて、どうすればいいかを聞きにやってきたのです。信介の悩みに真剣に答えていく早竹先生の体を張っての対応は、いろいろな誤解を生むこととなります。しかし信介自身、心の中が混乱しながらも早竹先生の力で、頭の中に鉛をつめたような重苦しさは、嘘のように消えていったのでした。

 いろいろな噂のなかで転入生である信介は孤立していました。そんな時、信介の中学校に東京の音楽大学を卒業した、若い女教師 梓旗江(あずさ はたえ)が赴任してきました。異性として強い印象を与える梓先生に、信介は心惹かれていきます。
 ある時、自転車が故障して困っていた梓先生を、オートバイに博多まで乗せて助けます。力いっぱいエンジンをふかせ、二人は八木峠に向けて爆音をひびかせながら疾走します。
 用事を終えて、梓先生は信介を誘って、海の見える西公園の丘の上へ連れていきます。夕日を見ながら自らの恋の悩みを信介に打ち明けて、体を震わせ泣く梓先生。そんな梓先生を好きになっていることに気づく信介でした。
 その晩、信介が梓先生を家まで送り届けて帰ると、塙竜五郎から「わしの息子にならないか」「信介の母親とわしが夫婦になるのはどうか」といった話がありました。「信介の母親を昔から好きで惚れていること」「信介のことも好きであること」を、まるで同年輩の友人のように熱心に身を入れて話す竜五郎でした。「大人の世界には自分の知らないことがたくさんあるのだ」と、信介は早く大人になりたいと、心の中でつぶやくのでした。
                              (「女の匂い」まで)


いよいよ、筑豊編の後半部分の物語が始まりました。第2回は6月12日(日)14時からです。「黒い犬の影に」からの朗読となります。ぜひ、ご参集ください。お待ちしております。


      



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