金沢文芸館2階では、作家・五木寛之の全著作などの常設のほか、年に一度テーマを持って展示替えを行っています。
只今、1969年より刊行中の『青春の門』について展示中。
『青春の門』は、第一部「筑豊篇」から、第九部「漂流篇」が刊行され、累計2200万部を超えるロングセラー作品となりました。
目下、完結編・第十部の開始に向けて構想中。
これまで映画、ドラマ、舞台、楽曲、漫画化され、海外で翻訳もされました。
第六部までの挿絵は、風間完画伯によるものです。
連載第一回の誌面にある、ボタ山を背にタエが信介を抱いた挿絵は、その後の映像化でタエを演じた女優たちに再現されたことが展示品から見えてきます。
また、七〇年代の終わりには、五木作詞の『青春の門』にちなんだ歌詞に、曲を募集するコンテストが開催されたことなど、のちにヒットした『織江の唄』の歌詞とともに紹介。
そのほか生原稿、主人公・伊吹信介の故郷である筑豊で撮影された写真パネルなどが展示されています。
第九部までのあらすじや、昭和の風景が描かれた風間画伯の挿絵で信介の青春を振り返ります。
PROFILE
1932年福岡県に生まれる。戦後、北朝鮮より引揚げ。早稲田大学文学部ロシア文学科中退。1966年、『さらばモスクワ愚連隊』で小説現代新人賞を受賞し作家デビュー。翌年『蒼ざめた馬を見よ』で直木賞。以後、吉川英治文学賞、菊池寛賞、NHK放送文化賞、毎日出版文化賞当別賞などを受賞。小説以外にも幅広い活動を続ける。代表作に『青春の門』『風に吹かれて』『大河の一滴』『親鸞』『TARIKI』(英文版)などがある。現在、泉鏡花文学賞他の文学賞選考委員、日本藝術院会員。