金沢蓄音器館

館長ブログ ほっと物語

2021年10月

その355私家盤レコードの扱い方


私家盤としてわずかの枚数のレコードが作られたことは何度か館長ブログに書いた。
NO.201「玉音放送が入ったLPレコード」,NO.233 「小林幸子の父の『声の遺書』」,NO.248 「声の郵便というレコード」,NO.285 63年前の自分との出会い」,NO.322 「兼六園の水を称えたレコード」)


私家盤とは販売目的でなく資料、記録のために数枚録音されたレコードのことでプライベート盤ともいわれる。戦前からも需要があった。


そんなアルミ板にアセテートなどの塗料、樹脂を塗り、声や歌を直接入力するダイレクト・カッティングレコードを入れておくスリーブ(袋)に出あった。

そこに記載されていた注意書きには、

「この録音盤は一般のレコードと異なり表面が軟らかいので丁寧に扱えば数百回使えます。

1, 普通の鉄針使用では早く盤を損傷しますので(付属でついている)差し上げた針(注:先が丸みをおびた針)若しくはサファイヤ針を使用してください。つけ方は図のとおり。コロムビアの10回針は盤を余り損傷しないのでお勧めです。

2, なるべく電蓄をご使用ください。ピックアップが軽いので音溝が痛まず、盤の寿命が延びます。

3, 通常の蓄音器で掛けて盤が回らず止まってしまうのは、サウンドボックスが重すぎるためです。図のように矢印方向に適当な角度に寝かせて頭を軽くすると廻るようになります」

と、書かれている。


このレコードの需要は戦後も昭和30年代まで続いた。

しかし、音の歴史を垣間見ることが出来る貴重な音が残されていても、今では劣化しレコード表面の樹脂が剥離して音を聞くことが出来なくなったものも多い。

当館にある盤では、昭和35年ごろの金沢駅での列車到着アナウンス、駅乗車センターでの電話模様など停車時間の案内や上野までの販売枚数などが金沢弁のアクセントで録音されている。

今の新幹線時代とは隔世の感がある。


スリーブに印刷された注意書き

アセテートがめくれた盤(写真の上部)

金沢駅の乗車センターの音が録音された盤

ページ