金沢蓄音器館

館長ブログ ほっと物語

2019年7月

その297鳴らなかった蓄音器

 
201965日、室生犀星記念館の室生洲々子(むろおすずこ)名誉館長と一緒に郊外にある金沢市立()王山(おうざん)小学校へ出向いた。2010年から市内の小学校へこの出前は続けている。

室生犀星の生きた時代の音楽をバックに、童話や詩の読み聞かせ朗読会、電気を使わなくとも音が出る蓄音器のしくみの講座だ。

 実は、今回この講座に持参した蓄音器が開始前に突然動かなくなったのである。
蓄音器は電気を使わずゼンマイで動くのだが、どうしたことかそのゼンマイを巻いている時、「バン!」といって、切れてしまったのだ。

 これでは授業が出来ない。授業開始まで45分ほどある。
蓄音器を取り換えるしかない。急ぎ街中にある蓄音器館へ車を走らせた。
代わりの蓄音器を持って、ようやく5分ほどの遅れで間に合った。

ホッとした。

こうして授業は滞りなく進み、子供たちも動物や虫の好きな犀星の一面を知り、柔らかな音色の体験をした。

翌日の新聞を飾った写真はひときわ大きく見えた。

 後日談がある。

動かなかった蓄音器は、昭和8年の日本コロムビア製でポータブル型NO.164だった。
価格は100円した。この年の東京帝大の授業料は120円したというから高級機といっていい。

 611日、修理に取り掛かった。やはりゼンマイケースの中の芯棒近く34㎝あたりでゼンマイは切れていた。
刃金のゼンマイは飛び出したりすると指など簡単に切れる。蓄音器の天谷貞夫マエストロと共同で慎重な作業だ。
「新コロムビアB」という新品のゼンマイと取り換えた。

修理し終えたゼンマイをゆっくりと回した。テストでかけたナット・キング・コールの「プリテンド」はバッチリだった。

 



翌日の朝刊に掲載 
小生、時計を見て時間を気にしている

ゼンマイが切れていた

新品の「新コロムビアB」を取り付ける

修理の終わった164型ポータブル蓄音器

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