金沢蓄音器館

館長ブログ ほっと物語

2022年9月

その373「ナポレオン印の蓄音器針

「ナポレオン」と大きく書かれた針ケースが、1つ送られてきた。

「整理をしていたら蓄音器針ケース1つ出てきたので、寄贈します。たった1つですが、何かの参考になれば」と書き添えられていた。

梱包材の発泡シートで丁寧に包装され、針が入った空間にまでガタガタしないよう封入されていた。
ケースは傷もなく新品のようだった。針そのものもピカピカで、錆びていなかった。


ケースの表面に描かれたナポレオンの顔は、右向きだった。
これは制作した大蓄商会の蓄音器からすると、大蓄の初期のころに描かれたものに似ている。(館長ブログその240353に詳しい)
ただ、針はいつごろに作られたものか定かではない。

 数量は200本入りと書かれていたが、その200の下に「about」と記載があった。
「約」という意味と思うが本数を数えたのでなく、重さで計量したのでわざわざそう書いたのではないか。
正直なのか、良心的なのか,1本足りないとお客からの苦情防止だったのか?

 針を計ってみると、長さは16ミリ、径は1.35ミリ、針先は砲弾形ではなく、尖っていた。これでは細くて、大きな音は出ない。

ハーフトーンという中間くらいの音量だ。(針の太さについては館長ブログその286に詳しい)


当館所有の針コレクションに、新しいケースが1つ加わった。


ナポレオン鉄針「200」の下に「about]と記載


長さ16mm、径は1.35mm


2Fにあるいろんな針ケースのコーナー

その372「ジョン・ケージの聴いたことのない音楽



本年81314日、「STILLALIVE 国際芸術祭あいち2022」が名古屋・愛知県芸術劇場で開かれた。そのプログラムは、米国のジョン・ケージの「ユーロペラ3&4」という作品で日本初演だ。
演出は足立(あだち)智美(ともみ)さんである。

ジョン・ケージといえば,1952年ニューヨークでピアノを弾かない(無音の)「433秒」というピアノ曲を発表。注目を集めた20世紀を代表する作曲家、詩人、思想家、キノコ研究家である。

昨年10月,当館も協力して金沢21世紀美術館で足立さんがジョン・ケージ「ユーロペラ」のためのワークショップ&パフォーマンスを開いたが、それをさらに大きくしたもの。
21美の職員2名も休みをとって、わざわざ金沢から観客として参加していたが、この入場券はコロナ禍にもかかわらずチケット販売当日に完売したという人気だった。


「ユーロペラ」の「ユーロ」はヨーロッパを意味し、発音ではYour Operaはあなたのオペラを連想させ、「あなたのもの」へと転換するかもしれないと足立さんはリーフレットに書いている。

 
今回当館から予備のものを含めて15台の蓄音器、300枚以上に及ぶSPレコードを持参した。当日にはこの蓄音器のオペレーターとして楽器の奏者、音楽ダンサー、音楽大学生・院生等6名が当たった。


オペラ歌手の歌、会場のピアノ、蓄音器、音響、照明などの要素が、コンピューターから出された乱数に沿って演奏される。SPをかけるタイミングもプログラムによっている。

今回、オペラ歌手の一部に宝生流能楽師佐野登さん、松田若子さんの2名を起用したのが最大の特徴だ。


2時間、いろんな音楽・音が独立して奏でる聴いたことのない世界に浸ることが出来た貴重な体験だった。


会場の愛知県芸術劇場ホール

ビクター4-3型(右)、 コロムビア115B(左)

クレデンザ、コロムビア117、ニッポノホン50号(左から)

足立智美さんと記念写真を

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