金沢蓄音器館

館長ブログ ほっと物語

2023年2月

その383「両刀使いのエジソンダイヤモンドディスク蓄音器


エジソンのダイヤモンドディスク蓄音器が1台寄贈されてきた。
モデルL35 で、ロンドンNO,1型と呼ばれるものだ。当館でも同型の蓄音器を聴き比べの際使っている。

ベルリナーは、針を横に振動させる横振動方式で円盤型のレコード音の再生をしたが、エジソンは縦に振動させる方式のほうが横振動より再生音が優れていると考えていた。

元々エジソンのろう管型の蓄音器は縦振動だった。
そこで横振動のベルリナーの円盤式の普及に対抗して、彼は縦振動の円盤式レコードを作った。

だが、縦振動では盤が反ると演奏できなくなる。
そこで反らないよう6㎜もの厚さにしたこと、針が減らぬようダイヤモンド針を使用したので価格は高かったこと、有名なアーティストが少なかったことなどで、エジソンは縦横の振動方式の競争に敗れた。

寄贈されたL35型の蓄音器には、トーン・アーム部分になんと横振動のマイカ(雲母板)製のサウンドボックスが取り付けられていたのだ。
縦振動のサウンドボックス(エジソンは、これをリプロデューサーと呼んでいたが)が、付属品の形で箱に収められていた。

これは縦横どちらの振動のレコード盤でも演奏でき、楽しめるいわば両刀使いの蓄音器だった。

こんなエジソンのダイヤモンド蓄音器に初めて小生はお目にかかった。エジソンは競争相手を随分気にかけていた(あかし)

 横振動のサウンドボックスが奏でる音色は、マイカのためか随分おとなしく聞こえた。トーン・アームは硬く取り付けられており、蓄音器マエストロの浅井百生さんと一緒に難儀しながらようやく取り外した。

近いうちにエジソンのダイヤモンドディスク蓄音器で横振動の曲を聴く機会を持ちたいと思っている。



L35 ロンドンNO.1 高さ47.5 幅45 奥行50
 1重ゼンマイ
価格:1922(大正11)年$60 USA、£22 UK

L35のサウンドボックス(リプロデューサー)

裏面:ダイヤ針(左部)

取り付けられていた横振動のサウンドボックス

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