ホーム > 常設展 > 鈴木大拙

常設展

近代日本を支えた偉人たち 【鈴木 大拙

禅仏教の研究を通じ仏教を世界に紹介
鈴木 大拙 (すずき だいせつ)
明治3(1870)年~昭和41(1966)年
石川県金沢市下本多町生まれ
業績

 鈴木大拙は鎌倉の円覚寺で今北洪川(いまきたこうせん)、釈宗演(しゃくそうえん)に師事、その後アメリカでポール・ケーラスのもとで仏教関係の書籍の出版に携わりました。
 帰国後は学習院や大谷大学で教鞭をとり、仏教学者として世界に仏教や東洋思想を発信し続けました。また、欧米の大学からも招かれ、仏教や東洋思想の講義をしました。
 さらに英語や日本語の数多くの著作は世界各国において出版されています。

四高時代
 大拙は石川県専門学校に進学し、この学校で生涯の友となる藤岡作太郎山本良吉と出会い、仲間とともに『明治余滴(よてき)』という雑誌を発行しました。
 第四高等中学校に進学し、西田幾多郎とも友人になりますが、大拙は学費が払えず、わずか3ヵ月あまりで退学し、能登の飯田小学校や美川小学校で英語の代用教員をします。
 母が亡くなった翌年、友人たちのいる東京へ上京し、東京専門学校(現・早稲田大学)や帝国大学選科に学びますが、ここも中退し、鎌倉の円覚寺に参禅しました。

苦悩のアメリカ時代
 大拙は明治30年、27歳のとき、釈宗演(しゃくそうえん)の紹介でアメリカ・イリノイ州ラサールに渡り、ポール・ケーラスが経営するオープンコート社の一員になりました。
 39歳で帰国するまでの12年間、大拙はここで仏教関係の書籍の出版に携わります。親友の山本良吉に宛てた手紙には、周りの皆が活躍する中、自分だけが取り残された感じがすると綴っています。
 大拙はこのアメリカ時代に出会ったビアトリスと帰国後に結婚しました。二人の墓は金沢の野田山、鎌倉の東慶寺、高野山にあります。

松ヶ岡文庫
 松ヶ岡文庫は昭和19年、大拙の所蔵する膨大な内外仏教書の収蔵と、世界に向けての仏教文化の独自性を発信する施設として、鎌倉東慶寺の裏山に建てられました。
 松ヶ岡文庫の建設には、安宅彌吉の多大な資金援助がありました。完成後、大拙は文庫に住み、ここを拠点として世界各地に禅仏教を語り歩きました。
 文庫は現在も大拙の意志を継承し、活動を続けています。

豆知識
 大拙の本名は「貞太郎(ていたろう)」といいます。姉1人、兄3人がいる末っ子です。小さいときから兄たちをまねて素読という声を出して漢文を読む勉強をしていました。また、父が子供たちのために作った本を教科書にして、兄弟みんなで勉強していました。

展示品
ゆかりの地
鈴木大拙生誕地記念碑
鈴木大拙は1870(明治3)年、金沢市下本多町で生まれました。生誕地には生誕地碑とともに、銭亀賢治氏が製作した胸像も建っています。
鈴木大拙胸像/(旧)石川県立図書館
1966(昭和41)年、仏像彫刻家の西川宗舟氏が制作し石川県に寄贈、石川県立図書館閲覧室に設置されたものです。
※2022(令和4)年の図書館移転に際し、金沢ふるさと偉人館に移動。現在は1階学習コーナーに展示しています。
鈴木大拙の墓/野田山墓地
野田山墓地には大拙夫妻、両親、兄(利太郎)、ビアトリスの母、お手伝いの関口このの墓が並んでいます。大拙夫妻の墓の側面にはビアトリスの略歴が大拙によって英語で記されています。
第四高等中学校(現・石川四高記念文化交流館)
鈴木大拙が通っていた第四高等中学校は、石川四高記念文化交流館として公開され、当時の四高の様子を知ることができます。
四高校庭趾
鈴木大拙が通っていた第四高等中学校の跡地(いしかわ四高記念公園)にある記念碑です。四高同窓会によって建てられました。
参考文献
『大拙と幾多郎』 森清、1991、朝日選書
『鈴木大拙の原風景』 西村恵信、1993、大蔵出版
『鈴木大拙』 古田紹欽、1993、春秋社
『大叔父 鈴木大拙からの手紙』 林田久美野、1995、法蔵館
『思い出の小箱から』 岡村美穂子・上田閑照、1997、燈影選書
『大拙の風景』 岡村美穂子・上田閑照、1999、燈影選書
『かなざわ偉人物語』第2巻 金沢こども読書研究会、1999、金沢市立泉野図書館
『鈴木大拙とは誰か』 岡村美穂子・上田閑照、2002、岩波現代文庫
『二人称の死』 浅見洋、2003、春風社
『鈴木大拙』 秋月龍珉、2004、講談社学術文庫
『大拙の言葉』 大熊玄、2005、金沢市
『鈴木大拙研究基礎資料』 桐田清秀編、2005、松ヶ岡文庫
『禅 鈴木大拙』 北國新聞社編集局編、2006、時鐘舎新書
『鈴木大拙 没後40年』 松ヶ岡文庫編、2006、河出書房新社
『思想のレクイエム』 浅見洋、2006、春風社
『長生きをした貞太郎』 ふるさと偉人絵本館編集委員会、2007、北國新聞社
『鈴木大拙の言葉』 大熊玄、2007、朝文社
 『はじめての大拙』 大熊玄、2019、ディスカバートウェンティーワン
リンク

PAGE TOP