金箔の性質

金について

金(きん)

英語:gold
ドイツ語:das Gold
元素記号:Au (ラテン語のAurumが語源)

金の密度

19.32g/cm3

金の密度は、日常私たちが手にする鉄の密度(7.86g/cm3)の約2.5倍、アルミニウムの密度(2.699g/cm3)の約7.2倍である。金の密度は69種類の金属元素の中で5番目であるから、想像以上に重い金属といえる。ちなみに密度の高い金属は、上から順に、オスミウム22.57、イリジウム22.5、白金21.37、レニウム21.04、金19.32g/cm3である。最も密度の小さい金属はリチウムであり、0.53g/cm3しかない。

金の融点

1064.4ºC

銅の融点1083.4ºCに近い。金に銀や銅を合金にすると、融点(固体から液体に変わる温度)は下がり、鋳造(溶けた金属を型に流し込む加工法)性はよくなる。同時に硬さが上昇する。銅に亜鉛を加えて真ちゅうとして使用する場合や、銅にスズを加えて青銅として使用する場合も同様である。

金の熱伝導率

319W/m・K

この値が大きいほど熱伝導性が良い物質であることを意味している。最も熱伝導性が良い金属は銀(428W/m・K)であり、次に銅(403W/m・K)で、金は銅に次いで良い。合金にすると熱伝導率は低下する。

金の電気抵抗率

2.05Ω・m

この値が小さいほど電気伝導性が良い物質であることを意味している。最も電気伝導性が良い金属は銀(1.47Ω・m)であり、次に銅(1.55Ω・m)で、金は銅に次いで良い。細線に加工してIC素子など、電子機器の配線に利用されている。耐食性が良いので工業用としての利用価値は大きい。合金にすると電気抵抗率は大きくなる。

金の結晶構造

面心立方構造

原子を球と仮定した場合、金の結晶構造は単位体積中に最も多く原子を詰めることができる原子配列をしている。同じ結晶構造の金属には、銀、銅、アルミニウム、白金などがある。面心立方構造を持つ金属の特徴の一つとして、外力が加わると塑性変形しやすいことであり、打って箔に加工することもでき、引抜き(線引き)加工によって、細線を作ることもできる。

金の地殻中の存在度

0.0000004%

地殻の埋蔵量は、推定で約26000トン。ところで、海水中にも金は溶けている。海洋全体では約550万トンもの金が溶けていると推定される。しかし採取方法は容易でなく、経済性を考えると現実的ではない。

金の光学的性質

光は波の性質をもっており、人間が視覚できる範囲の波長を持つ光を可視光線と呼んでいる。可視光線の波長は、波長の短い青系の色から波長の長い赤系の色まで、およそ380~780nm(ナノメータ)の範囲である。金属に光を入射すると、入射光は数nmの深さしか入り込めず、すぐに電子によってはじき出される。そのために金属光沢を示す。光の反射率は、金属の種類によって異なるし、光の波長によっても異なる。一般に波長が短くなると反射率は低下する。例えば、銀の場合、波長が約400nmより長い範囲の光の反射率は高いので、可視光線のほとんどは反射し、銀白色を示す。なお、可視光線の反射率は金属の中で最高(91%)である。波長の長い赤外線に対する反射率も金に次いで高いという特徴がある。
一方、金の場合、波長がおよそ600nmより長いと反射率は高いが、それより短くなると反射率は急減する。黄色の波長は560nmであるから、600nmより短い波長を持つ緑青紫系の光は吸収され、それ以上の波長を持つ黄、橙、赤系の光は反射される。黄金色はちょうどこれらの波長の光が混在した色として、私たちの目に見えるのである。0.1μm(=100nm)程度の厚さに加工した金箔を光にかざすと青緑色に透けて見える。これは約600nm以下の波長の青緑系の光が吸収され、その一部が金箔を通過しているためである。

【参考文献】

  • 小原嗣朗:金属材料概論、朝倉書店、(2002), 280.
  • 田中貴金属工業:貴金属のおはなし、日本規格協会、(2000), 40.
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