徳田秋聲記念館では、東京都文京区の徳田秋聲遺族より寄贈・寄託を受けた品を中心に、多くの遺品・直筆原稿・筆跡・初版本などを収蔵しております。
ここでは、その一部をご紹介いたします。
愛用の万年筆。
英語力堪能であった秋聲が愛用していた英和辞典。裏表紙見返しに「Tokuda 明治四十四年十二月一日求之(これをもとむ)」との書き込みが見られる。
「二日会」は大正15年1月2日に妻を病で失った秋聲を慰めるため、知友たちにより結成。毎月2日に秋聲を囲んで会合をもち、幹事がその様子を記録した。これは、二分冊の内の一冊で、昭和3年5月2日より同5年12月26日までのもの。
秋聲遺品。
小説『仮装人物』冒頭に、秋聲をモデルとする主人公が仮装舞踏会でサンタクロース面を被って登場する場面がある。石川近代文学館に秋聲遺品としてもうひとつ別のサンタ面が収蔵されており、秋聲が実際に着用したのはそちらか。
昭和14年、『仮装人物』で第1回菊池寛賞受賞の際に正賞として貰ったもの。置き時計と花瓶のどちらが良いかと問われ、秋聲が懐中時計が良いと答えたことから以後もこの品が贈られることとなった。
未完の傑作『縮図』には、連載時に新聞に掲載されなかったもの、未定稿をあわせて40枚ほどの原稿が遺されている。