本展は、昭和22年、金沢市出身の建築家・谷口吉郎の手で設計された卯辰山望湖台に建つ「徳田秋聲文学碑」が建立にいたるまでの経緯をご紹介するものです。谷口によれば、「徳田秋聲文学碑」は、「日本で最初の文学碑」だといいます。碑の建立は、戦後間もない時代であり、秋聲長男の徳田一穂、谷口を紹介した詩人・野田宇太郎をはじめ多くの文壇人の助力を得るとともに、地元総力を挙げての一大プロジェクトでした。また、秋聲賛の最たるものとして現在よく知られている「日本の小説は源氏に始まって西鶴に飛び、西鶴から秋聲に飛ぶ」との川端康成の言は、この碑の除幕式前夜に行なわれた記念講演におけるものでした。
この文学碑をめぐる物語を、その建立まで加藤勝代(北國毎日新聞 現・北國新聞)とともに実務を担った宮川靖(金沢市文化課 現・文化交流部)の旧蔵資料とともに紹介いたします。
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秋聲自筆陶板 (改修前のもの) | 徳田秋聲『古里の雪』 (文学碑建設記念出版) |