寸々語

寸々語(すんすんご)とは、秋聲の随筆のタイトルで、「ちょっとした話」を意味します。
秋聲記念館でのできごとをお伝えしていきます。





名人芸 
  2020.1.23

 やっとこさ三味線イベントの詳細をイベントページにアップいたしました! そういえば先日の千本先生の三味線和ライブ終了後、「アッ秋聲記念館さんでのイベント告知するの忘れちゃった、ごめんなさい!」と仰る千本先生と「記念館さんスックと立って告知すればよかったのに!」と仰ってくださるお弟子さん、「いやいやいや! みなさん余韻に浸っていらっしゃるところとてもしゃしゃり出る勇気は…!!」と、そんなやりとりがございました。今となってはしゃしゃり出ていって告知すればよかったナ、とちょっと後悔したりしております。次の機会はいつかしら? ときっとみなさま思っていらしたはず。秋聲先生ならスックとお立ちになって言うべきことを言ってのけてしれっと帰ったに違いありません(「文芸懇話会 秋聲 庶民」で検索!)。
 そんなわけで3月1日のイベント「秋聲と三味線・金沢昔語り」、何卒よろしくお願いいたします。三味線パートではそれぞれ秋聲ゆかりの端唄「春雨」や「奴さん」など、昔語りパートでは秋聲が幼少期に聞いていた金沢の民話「お銀小金」(犀川が舞台です)ほかをお送りする予定です。
 秋聲はとかく浄瑠璃における三味線を高く評価しており、「日本人は一体かう云う技巧に器用なんだらうと思ふが、勿論今の洋楽のバイオリンやピアノを、学校で教はるのとは、修業の仕方がまるで違ふのだと思はれる。名人から名人へ伝はつてゐて、洋楽のやうにテクニツクは或ひはなかつたにしても、づゐぶん全身的に霊を打ちこんだものにちがひない。もともと芸術は学校なんかで教はるべき性質のものではないので、名人から名人へ吹きこまるべきものだらうと思ふ。日本の芸事で何が尤も真剣かといへば、太棹なぞは確かに其の一つで、その稀薄に至つては西洋の一流の提琴家(※ヴァイオリニスト)や洋琴家(※ピアニスト)におさおさ劣らないものだと思ふ。」(「人形浄瑠璃の運命」昭和3年7月)と述べています。千本先生もお祖母さまが三味線のお師匠さんであったとのこと。名人から名人へ、ぜひご体感ください。

 ↑端唄「からかさ」にちなみ解説中。これも名人(金沢和傘)×名人の図!


 


雪不足
  2020.1.22

 大寒を過ぎてようやく冬らしくなってまいりました。今朝は「秋聲のみち」沿いの水たまりも表面が凍って、隣の緑地の芝には霜柱がさくさくと。きのう当館の所属する金沢文化振興財団のホームページを見ていて、トップに「金沢湯涌江戸村の雪遊びイベント(1/26)は雪不足のため中止になりました。」と書いてあるのを発見し、おぉ…! となったりしたところであったので、この冬の暖かさがいかに例にないことかと改めて感じます。
 さてそんな大寒の発売「月刊金澤」さま2月号、毎度空気の読めないことで恐縮ながら秋聲と雪にまつわるエピソードについて書かせていただきました。だってホラ2月って…いっつも大雪なんだから…! 受付さんによると昨日はちらほらと雪が舞ったそう。来月にはしっかり雪が降るのでしょうか(いま事務室の窓から青空が見えています…)。
 秋聲と雪といえば、全42巻を誇る八木書店版『徳田秋聲全集』第1巻のいちばん最初の収録作品が「ふゞき」と申します。明治26年1月、大阪の雑誌「葦分船」に掲載されたもので、大阪を舞台に支え合いながら暮らす貧しい一家の涙涙の物語です。まさにこの頃、尾崎紅葉への弟子入りに失敗し、長兄直松のいる大阪に身を寄せていた秋聲23歳。現在確認されるうち、活字になった最も早いもの、と全集の解説に記されています。
 この大阪時代に「文楽」に触れていた、とは現在のレコオド展でご紹介するところで、人形浄瑠璃、すなわち「文楽」の名が生まれた本場ですからこりゃ耳も肥えるわけですね! もひとつちなみに、当時直松の家にちょこちょこ遊びに来ていたというのが次回企画展でとりあげるのちの劇作家・岡栄一郎少年。各所から概要をだせーだせーとせっつかれているのですが、まだタイトルも構成も会期の終わりすら決まりません!! 


 


秋聲と三味線 
 2020.1.19

 昨日はご近所の尾張町老舗交流館で開催された「歴史と伝統文化講演会」の第8回に潜入してまいりました。9月に当館学芸員も第4回講座を担当させていただいたシリーズで、今回のテーマは「気軽に聞こう~三味線和ライブ~」。端唄千本流金沢分家師範 金沢千扇会会主・千本民枝先生のご出演により、1時間半たっぷりと三味線と端唄の音色を聴かせていただきました(写真は展示されていたかっこいい手作り三味線。段ボール製。音、鳴ります)。と、とても遊びにいっているような雰囲気ですが、一応打ち合わせ兼…といいますのも、開催中の企画展「レコオドと私~秋聲の聴いた音楽~」にちなみ、当館でもこの千本先生による三味線ライブの開催が決まりました! 
 お日にちは3月1日(日)14時~。詳細は近日中にイベントページに掲載いたしますので、ぜひぜひチェックしてみてください。また、当館では千本先生ともうお一方、ともにユニット「縁音(えんね)」として活動していらっしゃる昔話の語り手・荒木明日子さんとおふたりのご出演です。イベントタイトルは「秋聲と三味線・金沢昔語り」。荒木さんには秋聲が幼少期に聞いていた金沢の民話の語り(金沢弁でなさるのです、これはレア!)と秋聲の子ども向け作品からひとつふたつ朗読を、千本さんには秋聲の作品に登場する端唄をいくつかご披露いただく予定です。
 今回の展示では出し切れませんでしたが、秋聲さん年齢を重ねるにつれ何か音楽にまつわる習い事をしたくなったようで、「暇があつたら自分で何かをやりたい。義太夫でも清元でも常磐津でもいゝ。三味線か提琴(※ヴァイオリン)も亦(また)いゝ。」(「あらくれ会」昭和9年8月)とお書きでいらっしゃいます(ただし謡はイヤ)。
 ヴァイオリンも似合うし三味線も似合う! えーーおやりになったらよかったのに…!! と、秋聲の趣味? ええ、お三味線を少々…とか言いたくてもぞもぞしている記念館がここにいます。



 


最先端のくらし
 
 2020.1.18
 派手に寸々語はさぼりましたが、中ではしっかり活動をおこなっております! ありがたいことに雑誌社さまの取材を受けたり(追ってお知らせいたします)、MROラジオさんに出演させていただいたり、学芸会議に出席したりなどなんとなくせわしく過ごしております。今回の会議の会場は金沢くらしの博物館さん(写真が驚くほどへたくそですが、くらしといったらくらしです!→)。全世代においていつも問答無用で己の幼少期の記憶を引きずり出されてしまう恐ろしい館です。そんなくらしさまにこのほど時代の最先端技術が導入されました。それすなわち「AR」=Augmented Reality(拡張現実)なるものだそうで、貸し出し型のタブレットを持って館内を巡り、番号が振られたパネルや展示品にそれを翳すと関連する映像や音声が流れるという内容です。たとえば柱時計に翳せばボーンボーンという時報が聞けたり、昭和初期のお櫃に翳せば炊きたてのご飯が画面上に現れたり、古民具の使い方の映像が見られたりいたします。会議では出席した学芸員仲間全員でキャッキャしながら体験して回らせていただきました。
 今では使い方のわからなくなったものなど、こうして実際に映像としてそれが見られることで俄然展示物が生き生きしてまいります。と、今は最先端のタブレットも、今後50年もすればくらしさまの展示ケースに収まっていたりするのでしょうね…。あぁ~なつかしい~このこれなんだっけ、タ…タブ…?? みたいなことになって、時代の流れすべてを丸呑みにしてゆく館、それがくらしの博物館。あ、あの館は生きている…!
 当館が丸呑みしているのは「徳田秋聲」という作家ですが、ヌルヌルしているかといえばトゲトゲしていますし、柔らかいかと思えば急に歯が折れるほど固かったりするので全然胃のほうに落ちてゆきませんで、喉のあたりにいたり、はたまたいなかったりいたします。「羮(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く」と言うように、熱いかもと思ってかかるとすごく冷たいのが秋聲(逆もあり)…そう、ラジオで「鶫の羹」のお話をしてまいりました。





謹賀新年
  2020.1.8

 あけましておめでとうございます。とかいって本日すでに1月8日。記念館は4日から開館しております。本年も何卒よろしくお願いいたします。
 年末に縁起でもないお別れのご挨拶などしてしまったからでしょうか、4日にお会いいたしょう! と言っておいての学芸員インフルエンザに罹患。4日にお会いできませんでした…面目ございません…
 新年早々たくさんの方がその日のギャラリートークに合わせてご来館くださったと聞きました。館全体でもって4日から仕事初めにつき、当日の催事中止の周知が行き届かず、みなさまには大いなる無駄道を歩ませましたこと心よりお詫び申し上げます。こんなことなら第一土曜にこだわらず、せめて中止のご連絡ができるゆとりをもった日程にすればよかった…いや、そういうことでなく、そもそも体調管理の不徹底が諸悪の根源、いやいや記念館のHPを一気に消耗させた文アルさんたちのビッグニュースがいけないのさ…と目を逸らしつつ責任を転嫁させつつ、今後、わがところのイベントを何より大事に、そこのみに焦点を定め、万障繰り合わせて生きてゆくことを心に決めた2020年の始まりです。いかにベタでも大事は大事。「健康第一」、これが今年の目標です。
 さて、弱った身体にまたも大きなニュースがぶつかってきて、こちとら満身創痍でございます。つい先日、「東京新聞」および系列紙の「北陸中日新聞」に秋聲の『縮図』を用いたグッズ制作についての発表が大きく載りました。『縮図』が「東京新聞」の前身紙である「都新聞」に連載されたというゆかりによるもの。こちらは記念館の制作物でなく、地元の会社「ロカワークショップ」さんによる企画でして、館が仕掛けずとも秋聲と名のつくプロジェクトが外側で進行する、といった事態に極めて不慣れなわれわれは動悸息切れが止まりません(しかも中身も攻めている)。思いのほかの大きな記事にさらにワッ…!! となって一回記事を閉じました。はやく「ふーーん、けっこう大きく載ったんだね~~?」みたいな感じで見られるようになりたいです。




 

 

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