寸々語

寸々語(すんすんご)とは、秋聲の随筆のタイトルで、「ちょっとした話」を意味します。
秋聲記念館でのできごとをお伝えしていきます。





二頭の熊
 2021.4.23

 前回記事の秋聲クイズ(中級)、偉人館さんの秋聲展チラシにおいて秋聲が手にしているものの正解は「くまのパイプ」でした! 当館にお越しになったことがおありの方にはお馴染みの、また当HPの「徳田秋聲」のページの左側にあらわれるお写真で秋聲が握りしめているソレです。『古里の雪』の口絵も飾ったこちらは写真家・渡辺義雄氏の作品で、秋聲長男一穂さんによれば、昭和9年秋、銀座裏のオリエンタル乾板の写場で撮られたのだそう。当時秋聲64歳。
 パイプ実物は徳田家よりお預かりして以来、当館1階再現書斎前のケースで主に展示させていただいておりましたが、現在は2階の企画展示室に一時的に移動いたしました。といいますのもこちら、実は父秋聲と子一穂のふたりがお揃いで購入したもので、さらにはこれと対になるもう一本が徳田家から新たに発見されたため。昨年刊行したオリジナル文庫『秋聲の家―徳田一穂作品集』の制作を通じてその事実が確認され、今回「家」をテーマとする企画展で初めて二本揃って展示をさせていただきました。
 〝発見〟と書きましたが、もちろん一穂さんご息女である徳田名誉館長はもう一本のパイプの存在自体はご存じであったところ、上記の文庫の編者である大木先生がどこにどれだけ載っているのかもわからぬ一穂作品をひたすらに収集してくださったうちの一篇「父の姿」でもって〝何故同じパイプが二本あるのか〟問題の答えが明らかになったというわけです。まさに記録と資料とが一致した瞬間でした。残念ながら今回初公開のもう一本は、熊のお顔の部分がポロッとれてしまってはいるのですが、二本並べることで二倍の意味と価値があるお品であり(厳密にどちらがどちらのものかは不明です…)「父の姿」も収録した文庫本後書きで名誉館長がこの件に触れてくださっています。
 思えば、秋聲亡き後その作品集『古里の雪』の後書きを子・一穂がしたため、さらに一穂亡き後、その作品集の後書きをお子さんである名誉館長がしたためる…これぞ徳田家三代、「家」「もの」「思い」の三つが繋がってこそなせる技。なお今更ながら、文庫のカバーに使わせていただいた一穂さん画による白木蓮の色紙も徳田家からお借りして今回初公開いたしております。「下手くそよね? でもなんだか好きなのよ。」という名誉館長のお言葉が、カバーデザイン採用の決め手となりました。
 


 

祝・「偉人館雑報」更新
  2021.4.20

 は、半年ぶりに更新されましたよ~ッ! 金沢ふるさと偉人館さんのブログ「偉人館雑報」、しかも内容が秋聲ですよ~~ッ!! ふァ~おめでたいことです、ありがとうございます。おかげさまで24日(土)から金沢ふるさと偉人館さんで開催予定の秋聲生誕150年記念企画展「『光を追うて』に見る金沢―徳田秋聲と桐生悠々―」に向け、先日、当館所蔵資料の貸出作業をおこないました。他館さんから資料をお借りすることはあっても、当館の資料がよそに借りられてゆくだなんていつぶりでしょうか…常設展にいつもお出ししている秋聲遺稿「古里の雪」(レプリカ)も旅の一味となりまして、秋聲没後に刊行された単行本『古里の雪』もろとも当館を旅立ってゆきました。ちなみに本書には中にピロリとした名刺大の紙片が挟まっており、こんな記述がございます。
「装幀は、玉井敬泉画伯の筆になる。表紙カバーは、北陸地方色豊かなカキ餅の図。見返しは、加賀友禅、遠く卯辰山、三十塔、五本松、近く天神橋、静明寺の甍を北都の冬、降りしきる雪景色の中に表わし、配するに、秋聲先生自筆の一句を以つて飾つた。 白山書房編輯部」
 玉井敬泉は金沢出身の日本画家。「カキ餅」柄とはちょっとお珍しいですね。もし古本屋さんなどで本書をお見かけになることあらば、この貴重な情報満載なピロリが挟まっているかどうかをご確認ください。カキ餅柄の本体のほか雪印柄の函・帯・ピロリの3点が揃っていればかなり良いお品といえるでしょう。なお後書きは秋聲長男一穂さん。この本が刊行にいたった経緯とご家族でしか知り得ない秋聲の〝古里の雪〟への思いが記録されており、編者の大木先生のご推薦により『秋聲の家―徳田一穂作品集』のいちばん最後に収められました。
 資料貸借の日、偉人館さんの企画展チラシもあわせて頂戴いたしまして、おおそのインパクトたるや! それぞれの道の先で貫禄あるお姿となった秋聲・悠々、その後方にはいまだ木造の四高校舎を前に語らう若く初々しいふたりの姿…偉人館さんのビジュアル担当としてお馴染み、イラストレーターの上出慎也さんの新作です。ご制作にあたり、ご丁寧にも改めて当館を訪ねてくださり、じっくりと展示をご覧くださった成果のひとつが秋聲の右手のソレ。
 ○○の○○○――秋聲クイズ、中級編です。






「ダンス」(昭和5年5月発表)
 2021.4.19

 ふんわり昨日の記事のつづきです。昭和5年、60歳になって社交ダンスを習い始めた秋聲はことのほかそれに熱中し、このころ新しく得た趣味としていろいろな媒体においてダンスを語ります。「私は社交ダンスなどやらうとは夢にも思つていなかつた」と語り出される随筆「ダンス」では、その他の趣味嗜好に関する所感がそれぞれ述べられており、以下にざっくりまとめるとこう。

 花札・マーヂヤン→一向うまくならない
 碁・将棋→数理的な観念を必要とするものは不得手(※幾何代数で落第経験あり) 
 野球→さう興味を惹かれない
 球撞き(ビリヤード)→角度の微妙な感覚が乏しいので遣(や)れさうにもない
 ゴルフ→少し堪へがたいかも知れない
 謡曲・義太夫→悪くはないかも知れない(が、やる気にはなり得ない)
 勝負事→感興が唆られない(勝敗観念をもつことができない)
 競馬→馬が可哀さうで見てゐられない
 散歩→砂塵の深い東京の町では、鼻の穴が黝(くろ)くなつて、弱い気管を悪くす
    るばかり

 …麻雀、将棋、囲碁、競馬、野球、水泳、さらにはダンスと、かなり多趣味で多才な菊池寛さんのいっぽう趣味に関して秋聲はかなり限定的です。基本虚弱ですし(現在の企画展パネルで新聞記者に「るい弱(羸弱)」と言われている秋聲…)ビリヤードで角度が云々と言っているのはくわえてどうも方向音痴らしく、「頭脳がわるいので、角度や方向の観念に乏しい。省線に乗つてゐても、時々反対の方向に逆進してゐるやうな錯覚に陥つたり駅の出口をよく間違へたり、乗換へを誤つたりする。何処かの帰りに自動車で銀座の真ン中へ引ツ張(ぱり)出されてもどつちが新橋でどつちが京橋だかはつきりしないことも珍しくない」とのことですので周囲のみなさま、いい大人ですけれども秋聲先生をどうかおひとりで銀座の真ン中へ置き去りにしないでください。帰ってこられなくなりますので、そこはくれぐれもお頼みもうします…!
 そんな秋聲がではどうしてダンスには関心を示したかといいますと、「私に最も不似合で、又最も不得手な機械的動作の練習であることが、多少の好奇心を唆つたに過ぎない」…らしいです。大丈夫です、ダンスホールも白いシューズもよくお似合いです。



 

「雨を聴きつゝ」(昭和3年6月発表)
 2021.4.17

  菊池寛記念館さんで現在展示されているという将棋に触発されて今日この記事を書いております。菊池寛さんが将棋ならば、秋聲は花札。開催中の企画展「秋聲の家」では徳田家から秋聲愛用の花札をお借りして初公開をさせていただいております。かなり年季が入っていてくたびれた感じの札がたくさん(展示品はその一部です)…ご提供くださった名誉館長(秋聲令孫)は申し訳なさげにこう仰せでした。「でもこれ汚いでしょ? ほんとに出す?」「ええ、出しますね(キリッ)」「じゃあどこか隅っこのほうに賑やかし程度にね?」「ええ、では賑やかし程度に(ニコッ)」としていそいそと持ち返らせていただき、秋聲ティーカップと秋聲シューズの間にいと堂々とお出しいたしました(長文キャプション付き)。名誉館長、あのとき一点の曇りもない良い笑顔でしっかりと嘘をつきまして申し訳ございません…しかしながらこの使い込まれた感こそ一朝一夕には演出できぬ味、そして歴史というものではございませんか。よくあるどなたかからいただいた献呈署名本があまりにもまっさらさらで、アッこれは確実に読んでないですね! といったパターンとは異なり(それはそれで愉快ですが)ハァ~~秋聲がこれで遊んでいたんですねぇ~~この感じだとけっこうな頻度ですねぇ~などと想像される非常に良い疲れ具合です。そして疲れてはいてもそこは花札ですから一枚一枚が華やかにてそれもまた良し。文字通り展示室の花。今回展の見どころのひとつです。
 花札は社交ダンスを始める以前の秋聲唯一の趣味でして、おそらく今日のような雨の或る日に、こんなことを語っております。「私の道楽は花くらゐのものだ。別に面白いとも思はないが、相手があれば時間潰しに引くのである。これは不健全だ。しかし花には不分明な領域があるので、私のやうな頭脳のわるいもので相当楽しむことができる。碁や将棋のやうに割り切れないところに多少の興味が繋(かか)つてゐる。若(も)し花に不分明な領域がなかつたら、私は嫌ひになるだらう。人生も隅から隅までわかつたら、私のやうな悧巧でない人間は生きてゐられないかも知れない。」…あ~…これは全文よまねばならぬやつですね…花札をきっかけとして思った以上に深い領域を語り出しております。このあと花札は引き方に個性が出ておもしろい、といったことにも触れており、たしかに秋聲作品には花札を引く場面が多く登場。たとえば『黴』と姉妹編『足迹(あしあと)』このふたつだけでも計30回くらいはありそうです。(つづく)



 

「三猿」の世界
  2021.4.14

 石川近代文学館さんご所蔵の「三猿」の書幅が金沢出身の画家・小原古邨の肉筆であることが判明したとのニュースが話題になっていますね! 他でもない桐生悠々が所持していたもの。実は当館でも10年前の悠々展でお借りしたことがございまして、恥ずかしながらそのときには「三猿」のメッセージ性ばかりに飛びつきその作者を追究するところにまで発想も手も及びませんでした。ご存じこの〝見ざる、言わざる、聞かざる〟の精神について、悠々は晩年名古屋でひとり発行していた「他山の石」第2年第3号(昭和10年2月)掲載の「三猿の世界と死の世界」という評論中、これを反語的に用いながら当時の内務省および陸軍省の二重の監督下における言論統制を痛烈に批判しています。「私たちは、今『三猿』の世界に棲む。何事も、見まい、聞くまい、喋舌(しゃべ)るまい。否、見てはならない、聞いてはならない、喋舌つてはならない『死の世界』に棲まされてゐるのだ。」…間もなくして、「他山の石」は相次ぐ発禁処分との戦いに突入するのです。
 同年同月、秋聲は文芸懇話会の例会に出席しておりました。ちょうど一年前に内務省が文学者たちを召集して開催した発会式で、「政府はちゃべちゃべと文学のことに口出すな!」(意訳)と秋聲がガツンと言い放ったうえ「口は出すな、金だけ出せ」(ひどい意訳)と畳みかけた島崎藤村の強烈な牽制により、同席した広津和郎曰く「文芸統制の目論見が崩れ、〝懇話会〟という単なるゆるゆるの懇親会になってしまった」(意訳)という例の会です。なお「ちゃべちゃべ」とはでしゃばって余計な口や手を出してくるさまを指す金沢弁。「いま『他山の石』っていうパンフレットを出して頑張ってる悠々のあの溌剌さったら鈍色の金沢とは縁遠いけども、あの奇矯性はやっぱり金沢人だよね~」(意訳)とは秋聲の回顧録『思ひ出るまゝ』に語られるところです。
 「三猿」書幅は今月24日~5月23日までは石近文さんの「北辰の青春―赤レンガ校舎で学んだ作家たち」展で、5月26日~6月27日までは調査にあたられた石川県立歴史博物館さんの「小原古邨」展で公開されるそうですので、この機に改めてぜひご覧ください。
 ちなみに古邨の師匠・鈴木華邨は某K花さんの『照葉狂言』その他の口絵を手がけているそうですね。秋聲でも調べてみたのですが、ざっと見たところ古邨も華邨も発見できず…いつものあわよくば精神で絡みにゆかれず残念至極です。





「生誕150年記念連続講座」開講!
  2021.4.11

 先日、北國新聞さんの150年記念事業記事でもご紹介をいただきましたとおり、来月から11月にかけて、秋聲とゆかりの四人衆をテーマにした連続講座(全4回)を開講いたします! 今ほどイベントページに情報をアップいたしました。〝連続〟講座とは言いながら、とくに内容は連続しておりませんしお受け付けも各回になりますのでご興味おありの回、あるいはご都合のよろしい回だけのお申し込みも可能です。本当は全回通しでお受け付けをしたかったのですが、このご時世、金沢ふるさと偉人館さんの通常100人キャパの会場をもってしても現状は半数以下の40名設定が、今後コロナの状況如何で80名にも20名にもなり…といった先の読めない定員数となっておりますので、ご面倒をおかけいたしますがその都度約一ヶ月前から募集をかけさせていただくこととしております。
 初回は他でもない紅葉先生にお出ましいただき、2回目は因縁の兄弟子・某K花さん、からの秋聲になくてはならない第3回川端康成氏を経て、最終回は今年ともに生誕150年を迎える花袋さん。とかく顔の広い秋聲につき〝○○と秋聲〟とやり始めると隔月どころか毎月でも足りなくなってしまいますので、断腸の思いでこの四名様に絞らせていただきました。初回は今月27日(火)朝9時半より電話受付開始です。
 初回講師の木谷喜美枝先生は昨秋刊行された『尾崎紅葉事典』(翰林書房)の編者のおひとり。作品編・人名編・事項編・解説編・資料編の全5編からなるなかなかの鈍器的なボリューム(12,000円也)にて、今後紅葉先生について調べるときにはまずこちらを引かねば話にならぬ、といった紅葉研究に必携の書となろうかと存じます。ちなみに「徳田秋声」の項は当館上田館長が執筆を担当しております。 
 紅葉先生と言いましたら、明日より通販を開始いたしますオリジナル文庫『秋聲翻案翻訳小説集 怪奇篇』の巻頭を飾るホーソン原作「楓の下蔭」には「尾崎紅葉補」と付され、その初出は明治31年(秋聲28歳)。秋聲はこの前後に「紅葉補」とくっついた作品をちょこちょこと発表しており、それらも含めて後に紅葉補による紅葉門下生たちの作品を集めた『楓の下蔭』が刊行される際の表題作および口絵のテーマとなった一篇です。





館報「夢香山」第13号発行
  2021.4.10

 毎年度末に発行している館報「夢香山」第13号をHPに掲載いたしました! 間もなくイベント登録をいただいているみなさまのお手元にもお届けいたします。今号では、昨年の秋聲忌内で開催された井口哲郎先生と上田館長による記念対談録「〝いちがい〟な金沢人 岡栄一郎と秋聲」を巻頭に、開館15周年記念刊行物である文庫本3冊のご紹介、事業報告、コロナにより縮小された事業一覧等々を記録として収めました。栄一郎を語るとどうしたって漱石、芥川龍之介がツルツルッと導き出されてまいります。おふたりの名も話題の区切りとして章立ていたしましたので、ぜひお読みいただけましたら幸いです。〝いちがいもん〟栄一郎に優しく寄り添った井口先生のお話は言うまでもなく、もうひとつの読みどころは上田館長による漱石の文学論に突入したあたりのくだりです(この続きがきっと文京アカデミア講座「秋聲文学の評価の揺れ―漱石から川端へ」でお話しされることでしょう。) 
 文京アカデミアさんに触れたついでに、この講座の第3回テーマは大木志門先生による「秋聲と一穂、父子作家の森川町の家」。文京区に現存する徳田家にまつわるお話をいただく予定にしており、ちょうど現在の企画展「秋聲の家」とも重なります。先日、例月のMROラジオさんでこの企画展のPRをさせていただいた際、徳田家の保存活動は同じ文京区にある森鷗外旧宅「観潮楼」跡の保存活動と時期的に重なっていて…とご紹介しようと頭のなかに用意はしていたのですが、例によって緊張がそれをすべて覆い尽くし結局鷗外のおの字も出せなかったことを思い出します。ついでに漱石の「猫の家」のこととか愛知県にある明治村のこととか「観潮楼」跡に建つ鷗外記念館さんのこととか同館で開催されている特別展「観潮楼の逸品―鴎外に愛されたものたち」に勝手にシンパシーを感じていることとか、いろいろいろいろ巡ってはいたのですけれども何もお出しできずに、では何を申し上げてきたかといいますと、主に展示中の秋聲の左手のデッサンの説明です。ラジオではおよそ伝わらない描かれた「手」の角度などなどの下手な説明に持てる時間のすべてを尽くし…文京アカデミアさんにお申し込みくださった方、そして当選された方、大木先生による確かなお話をお楽しみに。



 

「そらあるき」臨時号
 2021.4.8

 昨日の開館記念日は催しとしてはとくに何もしないのですが、ただいつもよりすっと背筋を伸ばして、館の床に落ちているゴミを昨日よりも素早く拾う、みたいな気持ちにはなる、そんな日です。
 
「よく晴れた冬の朝に高く積もった雪の上をそっと歩いてみます。雪の表面がカチンコチンに凍って『ゴボ』らずに歩けたらそれが『そらあるき』。
 ほんの少しだけ視線をかえてみるだけできっと心地よい浮遊感で金沢の街を歩けるはず。ちょっと得したような背筋をすっとのばしたくなるような、そんな『そらあるき』気分を楽しんでください。」

 上記は地元有志により発行されている小冊子「そらあるき」さんのご紹介文で、これまでに二度ほど秋聲に関する記事を載せていただいたことがあり、そんなご縁から今回すでに〝小冊子〟とは呼べないほどの分厚い『そらあるき Special Edition 2020』に学芸員が寄稿させていただきました。このコロナ禍において、これまで予想だにしなかったいろいろな制約を強いられるなか、イヤこんなときだからこそ書かねばならない、出さねばならない、との気概でもって発行された臨時号。さまざまな分野の方々によるのべ39篇のエッセイ、書評が収録されていますので、もしご興味ございましたらご購入いただけましたら幸いです。販売店および通信販売につきましては、公式HPからご確認願います。
 実はこの中でご紹介させていただきました秋聲の短編小説「生活のなかへ」こそ、6月の文京アカデミアで声優のうえだ星子さんにご朗読いただく作品なのでした。ある疫病により病室に集められた女たち。互いに身の上話をしつつ聴きつつ、やがて病気が治ってそれぞれの生活のなかへ帰ってゆく……そんな物語が、今の世の中にどう響くのか――朗読のあとうえださんと学芸員とで語り合います。といった概要が記されているのが文京アカデミーさんの広報誌「スクエア」3月号。ご案内が遅くなり恐縮ながら、文京アカデミーさんHPよりバックナンバーがPDFでご覧いただけます。あわせて第1回・第3回講座の概要も掲載されています。



 

秋聲生誕150年記念事業発表!
  2021.4.7

 本日4月7日は当館の開館記念日でございます。昨日で開館から丸16年、そして今日から17年目に入ります。毎年とりたてて何もお祝いはしていないこの日ながら、今年はタイミング良く地元の北國新聞さんに嬉しいお知らせを載せていただきました。
 題して「秋聲生誕150年記念事業」開催決定! 「開催」「決定!」というと何か大きなひとつのイベントのようですが、この一年を通じ中身はあれやこれやと多岐にわたって展開してまいります。5月~11月にかけて開催される連続講座や、秋のトークイベント、その他まだ不確定で公表できないもろもろもろもろ、しかしつい気が緩むとみんな教科書で一度は見たことのある空也上人像のようにぽろぽろぽろぽろ次々口から飛び出てきそうになるそのもろもろたちを両手でムンッと押さえつけて暮らす記念館一味です。もうすぐ中庭に穴を掘りそうです。たぶん脇腹を棒で突いたら出てきます。
 中でもメインは12月23日(木)、秋聲150歳のお誕生日当日に開催予定の朗読劇「赤い花」。平成から令和に変わるタイミングで生憎この日は祝日から平日に変わってしまいましたが、ここは日和るわけにはまいりますまい…や、やっぱり直近の土日に…と弱気になる気持ちをぐっと堪えて敢えての平日にぶつけてみました。だって二度と来ない秋聲の生誕150年のお誕生日その日をみんなでお祝いしたいから…!!(たぶん夜の公演になるとは思います) というわけで、まだすべての中身を詳しくご紹介できず恐縮ですが、秋聲の150歳をお祝いしたい、というお気持ちをもってくださる天使のようなみなみなさまにおかれましては是非とも殊に12月23日(木)の夜のご予定を空けておいてやってくださいませ。ハイ、4月に言いましたよ! 12月のことを4月に言いましたよ…! 
 ハ~~ようやく一部が公表され、少しすっきりいたしました。ここからは各所と調整調整の毎日です。今後一体二体三体と、館の口からぽろぽろと記念事業たちがその輪郭を露わにしてゆくことと存じますので、どうかどうかお見逃しなく。 





『翻案集』通販のご案内
  2021.4.4

 本日、遠く岡山県の吉備路文学館さんにおきまして、秋聲生誕150年記念ミニ展示「近松秋江と正宗白鳥」が開幕となりました! すぐすぐ飛んでゆかれず悔しい思いをしている記念館一味でございます。かえって、アラ金沢はちょっと遠いわ…という中国地方のみなみなさま、ぜひ吉備路さんへお運びください。しかも同館ではありがたいことに当館のオリジナルグッズも一部取り扱っていただいております。クリアファイルとつれづれ箋(一筆箋)と封筒です。このHPから通信販売もご利用いただけますが、どうしても送料・振込手数料がかかってきてしまいますので、こちらもお近くのほうでお買い求めいただけましたら幸いです。何から何までお世話になって…もう東にも西にも足を向けて寝られずこの2月から毎晩嬉し苦しいです…
 さて、グッズページを覗いていただくついでに、お待たせしております新刊『秋聲翻案翻訳小説集 怪奇篇』の通販の件、先ほどご案内をお出しいたしました。今月12日(月)よりお受け付けを開始いたします! 1日に意気揚々と発売したはよいものの、いざ通販をシミュレーションしだしてからアレッお送りする用の封筒がないよ!? 年度替わりのもろもろで手が足りないよ!? といつもながらの計画性のなさでもってぐずぐずさせており申し訳ございません。上記グッズページをご参照の上、12日(月)以降にメールくださいますようお願い申し上げます。こちらに収録作品7篇の作品名も掲載いたしました。『秋聲少年少女小説集』以上に秋聲らしからぬ怪奇的な物語たち…そりゃあそう! 秋聲オリジナルでないのだもの! というわけで、館職員もいまだ見慣れずよそよそしい感じで接してしまう新しい秋聲のお顔、そして『秋聲翻案翻訳小説集』のその名。「あの、翻訳…翻案集の件ですけど…」「あの、秋聲の翻訳作品しゅ…小説集の販売の件…」みたいな感じでまだ館内でも通称が決まっておらずモジモジフガフガしております。いっそここで決めてしまいましょうかしら…『翻案集』、『翻案集』といたします。なぜなら『翻案翻訳小説集』の収録作品の内訳が翻案6・翻訳1だから! 数の暴力!! 
 とはいえ『怪奇篇』とくっついているのでそのうち別の『○○篇』が出るのでしょう。すると無邪気に『翻案集』と呼べなくなるやも…そのときはそのとき、さっくり『怪奇篇』に変更です。





秋聲と悠々
 2021.4.3

 新年度に入りまして、金沢ふるさと偉人館さんのHPに秋聲のしゅの字が出ました~! 『光を追うて』は秋聲の『光を追うて』で間違いありませんでした! 次回企画展の正式名称は「徳田秋聲生誕150年記念『光を追うて』に見る金沢―徳田秋聲と桐生悠々」とのことで、しっかり生誕150年記念協力展示でございました。ありがとうございますありがとうございます。また秋聲と連れだって、サブタイトルに桐生悠々もご登場です。年齢こそ2つ下ですが秋聲の大事な〝竹馬の友〟〝文学の相棒〟。秋聲が作家を目指し歩き出すその背中を押してくれた人物です。どちらかというと自己評価が低く消極的な秋聲ですから(その頃いわゆる「若気の至り」といった謎の自信は人並みに持ち合わせていたようですが)、自分とは反対に活発で「紅葉なんてなんぼのもんじゃい!」と言い合える悠々の存在はとても大きかったことと思われます。当館の悠々展もきれいに10年前…と見るとそのときの冠が「没後70年記念」となっており、ちょっと待ってそれすなわち今年が没後80年!? …確かに昭和16〈1941〉年9月10日に亡くなっていて、その3日後の9月13日に秋聲最後の長篇小説『縮図』打ち切りが発表になり、3ヶ月には太平洋戦争開戦。それをラジオで知る秋聲の様子は、オリジナル文庫『秋聲の家―徳田一穂作品集』にご長男一穂さんの目線から繰り返し描かれています。
 悠々なくして作家「徳田秋聲」は存在しなかったかもしれません。金沢ふるさと偉人館らしく、同館の展示では金沢における若き末雄青年に出会えることと存じます。
 そして悠々つながりで、偉人館さんの協力展示と同日4月24日(土)から始まる石川近代文学館さんの企画展「旧制第四高等中学校校舎本館完成130周年記念 北辰の青春―赤レンガ校舎で学んだ作家たち」のメインビジュアルに、それこそ学生時代の悠々のお姿が…! はっはァ~あの校舎がつくられて今年で130年なのですかァ~…つまり明治24〈1891〉年7月に完成、そのとき秋聲と悠々はまだ四高に在学しておりますが同年10月に中退。この校舎が実際に使われだしたのは翌25年4月以降のようで、先立つ3月にふたりは一路東京へ…そして紅葉先生による例の「柿も青いうちは烏も突き不申候」をバチコーン! とくらって悠々は帰郷し四高に復学、秋聲は大阪の長兄直松のもとへ…ということで、無事四高を卒業した悠々の一方、秋聲はあの新築の赤レンガ校舎で学んではいないため、残念ながらこの企画展の仲間には入ってこないのでした。





『秋聲翻案翻訳小説集 怪奇篇』
  2021.3.31

 4月4日(日)から生誕150年記念協力ミニ展示をしてくださる吉備路文学館さんのメイン企画展のチラシに米川正夫氏のお名前がございます。岡山出身のロシア文学者で、今回は展示しておりませんが徳田家からお預かりしている秋聲蔵書の中に2冊ほど米川氏の訳書あり。いずれもツルゲーネフ作『父と子・処女地』(世界文学全集21、昭和2年、新潮社)、『初恋ひ』(昭和10年、岩波文庫)で、さらに〝ツルゲーネフの翻訳〟から思い出されるのは二葉亭四迷。「年少のをり『浮雲』(※四迷の代表作)やツルゲネフの翻訳『あひゞき』『片恋』『ルウヂン』などは一方ならぬ刺戟を受けた」(「二葉亭の印象」)また、「チェホフやツルゲネーフ、トルストイの作品は、早くから瀬沼夏葉、二葉亭四迷等の手で訳されて、青年達の間に大きい影響を及ぼしてゐた、あの頃の私達は、ツルゲネーフの思想を、最も強く受けてゐたやうに思はれる」(「私の『黴』が出た頃」)とは秋聲が語るところです。
 ツルゲーネフと秋聲…外国文学と秋聲…翻訳の仕事と秋聲…ツ、ツルゲーネフは入っていないがプーシキンは入っている…! というわけでたいそうな力技でこじつけました当館オリジナル文庫、今年度最後の一冊となる第13弾は『秋聲翻案翻訳小説集 怪奇篇』! ハァ~やっとこさこの文庫を手にすることができました。と言っている今日は3月も31日、文字通り年度末の最終日。おそろしいことです。なんとか今年度中に納品を間に合わせていただきましたので、明日4月1日より早速販売を開始いたします! 
 当館開館15周年記念出版として昨年7月にオリジナル文庫初の回顧録『思い出るまま』、12月に初の秋聲以外の作品集『秋聲の家―徳田一穂作品集』、そしてこのたび初の『〝翻案翻訳〟小説集』をもちましてこの企画の締め括りといたします。文字面を追いすぎてもはや目がチョロチョロ(3_3)になっておりますが、今回もまた前作の大木志門先生同様、館の外からロシア文学研究者の蓜島亘先生をお招きすることができ、本編の編集と作品の解題にくわえ超専門的な解説のご執筆を賜りました。恥ずかしながらこれは館の職員だけではとてもできないお仕事。蓜島先生におんぶに抱っこでなんとか刊行に漕ぎ着けました次第です。上述プーシキンのほかには『思い出るまま』にも頻出のナサニエル・ホーソンをはじめ、ウィルキー・コリンズ、マーガレット・オリファント、コナン・ドイルの原作作品計7編を収録して税込1,000円。この一冊が秋聲の翻訳・翻案作品分野における研究が進むひとつのきっかけとなれましたら幸いです。

 ※通信販売につきましては、取り扱い開始までに数日お時間いただきます。 
  手続きが完了いたしましたら、当HP・ツイッター等でご案内申し上げますので
  今しばらくお待ちくださいますようお願い申し上げます。
  上記記事中、言葉足らずで申し訳ございません…!    (4月1日追記)
  

 


定休日のご案内
 2021.3.28

 当HPトップページと、ツイッターのほうで先んじてご案内いたしましたとおり、当館の所属する金沢文化振興財団所属の各施設におきまして、このたび「定休日」なるものが設けられることになりました。16年前に生まれてこのかた、年末年始と展示替え休館以外「定休日」なるものを知らずに育った当館ですのでいまだ若干どぎまぎしておりますが、はやくも今年の7月から導入とのことで、なんと開催中の「秋聲の家」展会期が当の7月に食い込んでいる…! この舞台裏では、定休日導入なるかならぬかの段階で今回展のチラシ印刷決行という経緯があり、その結果、チラシに記載の企画展会期中における休館情報のあたりがごく歯切れのわるい文言になるという…。しかも同じ財団所属施設のなかで7月まで会期がかぶっているのは当館だけ…。間の悪いことでほんとうにすみません。とてもとても申し訳ないのですが、これにより6月30日(水)までは無休、そして企画展会期中でも7月に入りましたなら6・13・20日の毎週火曜は休館とさせていただきますことをどうかお許しください。ご来館をご計画の際にはどうかくれぐれもご注意ください。
 かつまたこの定休日はエリアごとに分けられており、当館を含む某K花館ら東山界隈および夢二館ら湯涌の施設は火曜休館(もともと火曜休館であった当館ご近所の金沢文芸館にあわせた形)、金沢ふるさと偉人館等のある広坂界隈は月曜休館(もともと月曜休館であった周辺の金沢21世紀美術館や大拙館にあわせた形)、しかしながらどっちかというと広坂寄りの犀星館さんは三文豪しばりで火曜休館のわれらの仲間。今後は何曜日に金沢を訪れるかが非常に重要となってまいります。
 ご観覧のみなさまにはたいへんご不便をおかけいたしますが、これにより資料が守られ、館内や収蔵品のメンテナンスもしやすくなり、よりよい展示空間を提供させていただけることと存じます。博物館の仕事は展示・収集・保存。後ろの方にゆくにつれ、どうしても表からは見えにくい部分にはなりますが、どうか長い目でもってご理解ご協力のほどよろしくお願いいたします。





[K5033]生誕150年記念コンサート
 
   2021.3.27

 記念展示のみならず記念コンサートをも開催しちゃう今年は秋聲生誕150年です! と、まるで自らの手柄かのように申し上げましたけれども実は毎年恒例、金沢で大々的に開催されております「いしかわ・金沢 風と緑の楽都音楽祭2021」中、5月3日(月・祝)14時~14時50分(開場13時半)、秋聲生誕150年記念のプログラムをねじ込んでいただけることになりました! ウワーありがとうございまーす!! 自分たちの主催でなく、かつこんなに大きな音楽祭の中でご開催いただけるだなんてまるで夢のようです。会場は石川県立音楽堂(金沢駅前です)交流ホール。主催者さまと何度か打ち合わせのうえ、秋聲が好んだ作曲家や作品の中に描かれている楽曲を中心に選曲していただき、とくに一昨年記念館で開催いたしました企画展「レコオドと私~秋聲の聴いた音楽~」をご観覧くださった方には、アッこれ! この曲! とご反応いただける構成となっているかと存じます。公演中、秋聲の人となり、また作品についてのご紹介があるかもないかも!? 全席自由で一般1,000円でございます。なんとすでにチケット購入受付が始まっておりまして、ご案内が遅くなり申し訳ございません。詳細は「いしかわ・金沢 風と緑の楽都音楽祭2021」公式サイトよりご確認ください。合い言葉は公演番号「K5033」、嬉しさがまわりまわって今後何かしらのパスワードを「K5033」に設定してしまう勢いです。貴重な枠をくださった楽都音楽祭実行委員会さまにこの場を借りて心よりお礼を申し上げます。当日、まるで仕事みたいな顔をして会場にお邪魔して、開始早々滂沱の涙で呼吸困難に陥っている人物がおりましたならそれが記念館一味です。できるだけ声を殺してまわりのお客さまにご迷惑をおかけすることのないようがんばりますので何卒ご容赦くださいませ。
 公式サイトの本イベントの紹介欄に「徳田秋聲はクラシックを愛した!」と潔すぎるキャッチコピーがついており、そうそうよく分からないながらにね…「音楽は己(おれ)には解らんが、しかし聴いてゐて何か知ら好い気持だよ。」「己は今夜の音楽会に酔はされてしまつたらしいよ。己のやうな音楽のおの字も知らないビヂネス・マンの頭を酔はせる音楽家の腕は大したもんぢやないか。かういふ気持は一体何と解釈したらいゝんだらう。」「してみると音楽には国境や人種はない訳だな。」(長篇小説『黄昏の薔薇』より)――まだ聴いてもいないのに、そう呟く準備だけはできました。
 
 



生誕150年記念協力展示③
  2021.3.23

 東京都文京区・竹久夢二美術館さん(開催中)からスタートして岡山は吉備路文学館さん(間もなく開幕)へ飛んだ展示のバトンがふたたび金沢へと帰ってまいりました! 秋聲生誕150年記念協力展示の第3弾は金沢ふるさと偉人館さん! 
 4月24日(土)~8月29日(日)の会期で、「『光を追うて』に見る金沢(仮)」という名の企画展を開催してくださるそう…(当館も所属する金沢文化振興財団所属館の催しが一覧できる「催しもの案内」なる刷り物で確認できます。当館HPトップページからもPDFで見られます)って…ぇっ…き、企画展レベル…!? いやおののくにはまだ早い…、(仮)ですから、蓋を開けたら「『光を求めて』に見る金沢」とかになっていて、『光を求めて』!? なにそれ知らない…!! と急に置いてけぼりにされるやもしれません。『光を追うて』ならば秋聲の自伝小説なのでよく知っています。が、文字面で早とちりして浮かれてしまってはきっときっと痛い目に……そんなわけで今後もふるさと偉人館さんの動向をよくよく注視してまいりたく存じます。そうでなくとも偉人館さんはちょっと目を離すとすぐに可愛いグッズを新発売されるのでまったく油断なりません。昨年会場をお借りしたイベントの際にもトートバッグやらスケッチブックやらノームハンカチやら可愛らしいものがたんとおありですなァ…! と眺めてきたものですが(そしてまんまとハンカチを買いました)、またちょっとぼんやりしている間にかの西田幾多郎も愛用した田井屋100年ノート復刻版、そして日本で最初のマッチを作った清水誠にちなんだレトロマッチがざくざくと増え…!(ちなみにこの清水誠氏は金沢市御歩町生まれだそうです。御歩町すなわち現東山、われわれ秋聲記念館のあるエリアです。画像は偉人館さんHPからお借りしました!)
 さらにこのたび北原白秋や柳田国男らとともに日本野鳥の会を創設した中西悟堂にちなむコースター、そして悟堂と天文学者・木村栄をモチーフにしたLEDルーペが新たに仲間入りして、その勢いとどまるところを知りません。ショップがあまりに楽しすぎて、ゆめゆめ秋聲協力展を見に行ったのにショップだけ見て満足して帰る、ということのございませんよう…また、もしあの『光を追うて』がわれわれの知っている『光を追うて』でなかったならば、こちらにて即座にお知らせします。





春来(きた)る
  2021.3.20

 2ヶ月半におよぶ長期工事休館も終わり、本日20日(土・祝)より新企画展「秋聲の家―徳田家所蔵品展」をひっさげ当館再始動をいたします! 最初にも最中にも最後にも言うてゆきましょう。徳田秋聲生誕150年の今年、改めまして何卒よろしくお願いいたします。
 記念の企画展ですからいつも以上に気合いが入っており、今回展では徳田家旧蔵の初公開なる秋聲遺愛品の数々を惜しげもなくドッと出品させていただきました。展示資料につきましては、今後こちらでもちょこまかとご紹介してまいります。またおさまりきらずに諦めた資料も数知れず…それらは次回、次々回、とにかく今年開催する記念企画展のすべてで順次お出ししてゆく予定ですのでゆるゆるとご期待ください。なにせ年が明けるまでずっと秋聲生誕150年です。
 企画展の始まりが終わり、そして次の準備期間の始まり……いつまでも余韻に浸っている暇はなく、スッと切り替えて次回企画展のことを考えねばなりません。次回は生誕150年記念企画展第二弾「秋聲を繋ぐ人々」(仮)。今回展ともすこぅし重なる部分がありながら、秋聲の名を、そして作品を後世に繋ぐ役割を果たしてくれた川端康成・広津和郎・野口冨士男らのはたらきについてご紹介する予定です。以前に開催いたしました「秋聲をめぐる人々」展の続編といいましょうか、スピンオフといいましょうか、ご観覧くださったみなさまにおかれましては主に後半でご紹介をしておりました秋聲の後進にあたる人々にとくにスポットを当てた内容を考え中です。昨年、茨木市立川端康成文学館さんとお約束いたしましたとおり、秋聲文学碑建設記念の川端康成オリジナルお湯呑みをふたたびお披露目しなくてはなりませんから…! 
 今回展でも秋聲愛用のかわいいお湯のみが出ておりますので展示室で探してみてください。あと当館図録の表紙に用いたティーカップもお隣に並んでいますし、秋聲が俳句を揮毫して制作した楽焼のお皿もお出ししました(こちらはめぐる人々展以来ですね)。なお、この楽焼の由来をお知りになりたい方は、販売中のオリジナル文庫『秋聲の家―徳田一穂作品集』をお買い求めください。急に商売ッ気を出してすみません。177頁です。
 なんだかんだと言いながら、今年は秋聲生誕150年ですってね!



 

「あつまれ! ハンジョー屋台」
 2021.3.18

 14日付記事で触れましたように、文京アカデミア講座に全力投球するため6月の展示解説はお休みにさせていただき、と先ほど改めてイベントのラインナップを眺めながらふと4月の展示解説を復活させるのを忘れたことに気がつきました。会期中のイベントを決める際、実は4月恒例のお茶会にひっかけて特別な催しを考えており、そのためにやはり展示解説をお休みの予定にしていたのですが結局お茶会もそれも中止にしてしまった上旬、イベントが取りやめになったのですから、せめて展示解説は実施すればよかったのでした。こいつぁうっかり…! HPだけならしれっと修正できますが、チラシにも開催日程をすべて載せてしまったものですから、すみません4月回はお休みのままとさせてくださいませ。そろそろイベント登録者のみなさま方のお手元に新企画展チラシが到着したころでしょうか(なお開催初日の展示解説は定員に達しましたので受付を締め切らせていただきました。お申し込みありがとうございました!)。 
 ただいま18日16時半、企画展の設営は8割方終了いたしまして、なかなかお賑やかな展示室となりました。あいかわらずギッチリミチミチに資料が詰まっておりますので、狭いお部屋ではありますがなかなか見応えがあろうかと存じます。なお開催初日のあさって20日(土)はそんなお賑やかな展示室の外でも、ご近所で愉快なイベントが開催されるようですよ! 「あつまれ! ハンジョー屋台」と書かれたかわいらしいチラシが先ほど館に届きました。
 この東山界隈のお店屋さんが協力して、10時~12時半、浅野川の河川敷にキッチンカーを出没させるもよう。淹れ立てコーヒーやサンドイッチ、メロンパンにその他スイーツ、雑貨、金魚すくいも……金魚すくい!? そうチラシに書いてございますのでいわゆるあの「金魚すくい」なのでしょう。午後からは屋台が近隣の古書店・あうん堂さんやカフェくわじまさんに移動されるとのこと。詳しくはこちらからご確認ください。雨天中止とも書き添えられていて、この日きっと晴れたらいいですね…(今のところは大丈夫そう)。川に臨む白木蓮もあさってにはもう咲きそうです。



  
 

気持ちを形に
  2021.3.17

 14日、地元の北陸中日新聞さんに、生誕150年記念協力展示のことを大きく記事にしていただきました。東京・竹久夢二美術館さんにはじまり、来月頭からは岡山・吉備路文学館さんで開幕する、平たく言うと「多かれ少なかれ徳田秋聲にちょっと触れるよ」展のご紹介です。実は紙面のほうは当館学芸員の言葉「秋聲は地味な作家じゃない。」(キリッ)で締められていて、言…いましたね、ハイ言いましたね…ご取材いただいた当時、いかに鼻息荒く興奮状態であったかを思い返しては今頃恥ずかしくなっております。これまでさんざ地味地味と誰よりも率先してまず記念館が「地味」を発信しておいて、急にこれまでの秋聲史および館の十数年をあっさり裏切りにかかる驚きの身の翻し方…。あの…地味は地味なのですけれども…決してそれだけじゃないと言いましょうか…「秋聲? 地味だよねぇ~(笑)」で終わらせてもらっては困ると言いましょうか…ちょっとあの…地味は滋味でね、あのほんと、それだけでないいろんな含みが…へへ、言葉足らずで…すみません……
 いずれにせよ秋聲の名のもと全国の施設さまがこうして動いてくださるのですから、そこは派手に誇ってよいところ。秋聲の人脈とあわせてこの機にぜひ色々な側面を知っていただけましたら幸いです。
 そんな気持ちでこの展示替え期間中に館の表のタペストリーもかけ替えまして、いつもなら企画展名を載せるところ今回ばかりは「徳田秋聲生誕150年」の文言に差し替えてみました。デザインの段階から「ちょっと文字おおきいですかねぇ…?」とびくびくしていたのですが、実際に設置してくださるさまを見守るうちにも「…ッやっぱりちょっとおおきかったですかねぇ…!?」と心臓がばくばくしはじめ、設営業者さんが「いいえ、これくらいでちょうどいいです!」ととてもいい笑顔で自信を持って言ってくださらなければ危うく心臓が爆発してしまうところでした。と、そこにいらした別の工事業者さんも(浅野川の土手に降りる階段を修理していただいています)ふと見上げて「生誕150年かぁ…」と小さく呟かれたので、これはこれ、大正解です。秋聲に関し、たとえ他に何の情報も関心もなくても通りがかられる方々に「徳田秋聲という人が生誕150年らしい」ととりいそぎそれだけインプットされれば万々歳です。
 地味に生きてきた当館ですが、今年ばかりは大人しくしている場合でなく、協力してくださる他館さんへの感謝の気持ちもこめて、慣れぬ精一杯の「派手」さでもってがんばってみたタペストリーです。





「浅野川の春」
 2021.3.15

 アッお茶会の依頼文…! とか、アッお茶会の広報締め切り…! とか、この時節柄おりおり白昼夢に脅かされておりますが、この春は毎年恒例のお茶会がないので準備する必要がないのでした…。昨年も泣く泣く中止といたしました「桜の季節のおもてなし」(呈茶会)、今年も春は開催を諦めましたのでお含みおきのほどよろしくお願いいたします。開館5周年記念事業として始まり、その翌年のうちに多くの再開催を望むお声をいただき、そんなら…と茶道裏千家 井奈宗孝社中のみなさまのご厚意に甘え7周年から春の恒例行事として復活をいたしましたこの催事。そこから毎年続けてきたものが、また1年2年と間があいて…10年後くらいにこの年はなんでやってないんだろう? と、きっと回数が飛んでいる謎について後継の人々が思いを巡らすことでしょう。「桜の」が無理でも「新緑の」とか「海開きの」とか「紅葉の」とか、ぜひどこかの季節には開催いたしたく、今は伏しその機をジッとはかっているのです。時季が変われば毎年この日にあわせ名店「吉はし」さんにオリジナルで作っていただいているお菓子の風情も変わりますのでそれはそれで楽しみですね。
 そしてまた、お茶会はないけれども朗読会はある! というわけで、4月24日(土)、生誕150年記念朗読会「浅野川の春」を開催いたします! 茶菓子なくとも桜は咲くし、川原に春はやってくるのでございます。以前に館内見学でお越しくださった金沢中日文化センターさんのご厚意により、そのお教室「心を繋ぐ朗読」メンバーのみなさまが秋聲作品を朗読しに来てくださることになりました。指導を担当されるのは大橋のり子先生(フリーアナウンサー)。金沢市民なら誰しもが知っている、長く地元の放送局で夕方ニュースの顔として活躍なさった御方です。お打ち合わせのなかで、春らしくほっこりとする作品を…(超難題)とのことで金沢とも微妙に絡む秋聲の短編「丸薬」をチョイスさせていただきました。無理想・無解決・無道徳・無常識・無感動で知られる基本淡泊な秋聲には珍しいご家族ほっこり感を味わっていただけることと存じます。また、秋聲のお人柄がわかるような作品もあったらいいなぁとの観点から、「秋聲会」を代表して室生犀星さんを強制出演させる目論見…! 犀星さんが郷里の先輩として某K花さん、そして秋聲を語る随筆「夢香山」もあわせてプログラムにイン! お茶もお菓子も出ませんが、記念館より「浅野川の春」をお届けします。



 


文京アカデミア講座~秋聲スペシャル~
 2021.3.14

 ご案内が遅くなり申し訳ございません! まさにまさに秋聲が人生の半分以上を暮らした文京区にて、金沢市連携講座「~生誕150年記念~文京区に生きた作家・徳田秋聲」の開催が決まりました! 三年前に一度お邪魔いたしました文京アカデミアさんの講座で、この機に再び秋聲回を当てていただいた次第です。文京区のみなさま、ありがとうございます。こちらに全力を傾けたく、6月の展示解説はお休みとさせていただきました。館の都合にて恐縮です。
 全3回講座で、内容といたしましては下記のとおりです。

 第1回:講座「秋聲文学の評価の揺れ―漱石から川端へ」
 日 時:5月29日(土)14時~15時30分
 講 師:上田正行(当館館長) 

 第2回:朗読&トーク「生活のなかへ」
 日 時:6月5日(土)14時~15時30分
 出 演:うえだ星子氏(声優)、薮田由梨(当館学芸員)

 第3回:講座「秋聲と一穂、父子作家の森川町の家」
 日 時:6月12日(土)14時~15時30分
 講 師:大木志門氏(東海大学教授、当館初代学芸員)
 
 会 場:(全回とも)アカデミー文京 学習室
     〔〒112-0003 東京都文京区春日1-16-21 文京シビックセンター内〕

 ご応募いただける条件が「文京区内在住・在勤・在学者(15歳以上、中学生を除く)」となっており、なかなかピンポイントなのですが、あてはまるという方、ご興味ございましたらすでにお申し込み受付開始されておりますのでこちらから詳細ご確認くださいませ。三年前には〝三文豪〟がテーマにつき当館館長が総括的に、学芸員が秋聲のお話をしに伺ったところ、今回はオール秋聲回! オリジナル文庫『秋聲の家―徳田一穂作品集』を編集していただいた大木先生による文庫にはとても収まりきらなかったお話や、YouTubeで秋聲作品を配信しつづけてくださっているうえださんのお声をじかにお聴きできるまたとないチャンスです。





「新 美の巨人たち」
 2021.3.13

 約二ヶ月半におよぶ工事等休館を経て、あれよあれよと開館まで残り一週間となりました。ウワァアア~~~なにもかもまにあわないよ~~~! と浅野川に向かって叫びつつ、積んだもろもろを横目に久しぶりに寸々語を書きにきております。テスト前にお部屋のお掃除をはじめる、同じ同じ、みんな同じ。
 さて、花袋秋聲生誕150年記念事業における東京・文京支部こと竹久夢二美術館さんおよび館林本部こと花袋記念文学館さんなど、諸方面よりお知らせをいただきました(ありがとうございます!)本日夜10時~10時半、みんなァ~テレビの前にあ~つま~れェ~~! テレビ東京系列「新 美の巨人たち」にて夢二さんの特集放送がおありだそうですよ!
 以前の記事でご案内申し上げました竹久夢二美術館さんや群馬県立館林美術館さんで開催中の夢二展についてもそれぞれご紹介があるとか。もちろん本題である夢二さんについての内容が楽しみであることは言わずもがな、いずれも展示室に潜む秋聲作品の映り込みのありやなしや、全国の秋聲会のみなみなさまにおかれましても固唾を呑んで見守る30分間となりそうですね(十中八九映らない)。
 オゥ…テレビ東京見られないよう…! とお嘆きの当館を含む関東圏外のみなさまもどうかご安心ください。BSテレビ東京さんにて3月20日(土)夜11時30分より再放送がございます。おそらく本日の放送後、ツイッター等で「夢二」「秋聲」などとこっそり検索してしまう未来も薄目に見えておりますが、それはそれとして北陸地方のわれわれは来週の放送をじりじりとお待ちすることといたします。ちなみにBSのほうの本日の特集テーマは「ウィリアム・メレル・ヴォーリズ『山の上ホテル』(東京/神田)」。とりいそぎのウィキペディアさま情報によりますと、昭和12年にその建物ができ、昭和29年にホテルとしての営業を開始したという山の上ホテルです。曰く、〝「文化人のホテル」として知られており、川端康成、三島由紀夫、池波正太郎、伊集院静らの作家が定宿としていた〟ほか、檀一雄の『火宅の人』の舞台ともなっているそうな。こちらはこちらで面白そうな内容となっておりますので、ご興味おありの方ぜひご覧ください。
 改めまして夢二さんBS放送のある20日は当館再オープンの日。すなわち新企画展「秋聲の家―徳田家所蔵品展」の開催初日。おかげさまで春らしく美しいチラシも納品されてまいりました。やりきった充実感とともに、心穏やかに放送を見られることを今はただ祈るばかり……(と、一瞬の現実逃避を終えスッと作業に戻ります)。





生誕150年記念協力展示②
 2021.3.7

 去る3月3日は、正宗白鳥、有本芳水のお誕生日であったということを吉備路文学館さんのツイッターで知りました。たいへん遅ればせながらお誕生日おめでとうございます! 白鳥さんにつきましては、いつでも当館で話題にのせてよいほどの秋聲との仲良し具合ですが、有本芳水さんにつきましては、ここ数日夢二さんづいている当館にとってハッとさせられるこのタイミング…竹久夢二美術館さんおよび群馬県立館林美術館さんでご紹介いただいている秋聲の『めぐりあひ』(実業之日本社刊)の担当編集者こそ有本芳水でございました。白鳥同様、岡山ゆかりの方だったのですね。
 さて、今度は急激に岡山へと傾きました当ブログ、実は秋聲生誕150年記念協力展示の第二弾は他でもない吉備路文学館さんなのでございます! ワーありがとうございまーーーす! 来る4月4日(日)より吉備路文学館さんでミニ展示「徳田秋聲生誕150年記念展 近松秋江と正宗白鳥」(~7月11日(日))をご開催いただけることになりました! 秋聲が金沢から東京、群馬、そして岡山へとポンと飛ぶ、これは痛快!!(メイン企画展は「吉備路の文学者となつかしの校歌」、芳水さんのご紹介あり。画像クリックでPDFが開きます。)
 そのバックヤードで「すみません、だけど秋聲さんの資料ぜんぜんなくって…!」と仰る吉備路文学館さん、いいんですいいんです、秋聲の資料でなくともこの記念の年に各地で秋聲の面影を浮かびあがらせていただけるのならそれだけで御の字なのです。題におわします、ともに岡山のご出身である白鳥さんと近松秋江さんとは最も交流の深い秋聲ですから当館における秋聲の秋聲(第一主義の当館)による秋聲のための展示でなく、かえって親友おふたりから見る新しい秋聲のお顔を、この春ぜひお近くのみなさま観におでかけくださいませ。
 当館の次回展では秋江さんは生憎出てこないのですが(すみません、ギャラリートークなどで補足します!)、白鳥さんは資料キャプションに二度三度ご登場です。展示にちょいとスパイスを利かせるのにちょうどいい白鳥さん…秋聲曰く「文壇では何といつても、正宗白鳥氏と私交上で尤も接触が多かつた。氏の言ふことは、ちよつとした芝居の批評でも、私には一番適切だし、又た一番私を知つてゐてくれるやうに思ふ」。また「あれほど親しくしてゐた秋江氏が、最近めきめき腕を上げて来たのは、私も尤も悦ぶところで、私交の上では忌憚なく口の利けるなかだと、今でも信じてゐる」(「交遊の広狭」)。



 


館林と金沢
 2021.3.3

 その親切ぶり天井知らずの竹久夢二美術館さんより教えていただきました…現在、群馬県立館林美術館さんで開催中の企画展「竹久夢二の美人画とモダンデザイン―美しいもの・可愛いもの―」(1月23日(土)〜3月21日(日))にも秋聲作×夢二さんご装幀による『めぐりあひ』が出品されているそうな…!?(実際の展示状況につきましては主催館さんにお問合せください) 立派な図録にも秋聲のしゅの字を載っけていただき、夢二美術館さんしかり、なかなか「美術館」さんでめぐりあふことの少ない秋聲ですのでちょっとドキドキしております。う、美しいもの・可愛いもの、に秋聲も入れてもろうたよ…! 美術畑に生きる夢二さん(のバーター秋聲)のおかげさま、その存在のありがたみ…。同館のHPを拝見すると、先月20日には当館と同じ金沢文化振興財団所属の金沢湯涌夢二館・太田館長さんによる記念講演会が開催されたとのこと。なんと、われわれのアンテナ、休館の間にすっかり錆びついておりました。館林と金沢、こんな形でしっかりと結びついていたというに…!
 館林と金沢といえば他でもない、それぞれともに今年生誕150年を迎える田山花袋さんと秋聲のホームグラウンド。同地の花袋記念文学館さんと当館とは、今年はよりいっそう両館でがんばってゆきまっしょい! と互いに鼓舞し合っている間柄です。前述の図録には秋聲の『めぐりあひ』のシリーズ本となる夢二さんご装幀による花袋さん作『小さな鳩』をはじめ、その他著作もたくさん掲載されていますので、花袋さんファンのみなさまもぜひチェックされてみてください。群馬県立館林美術館さま、このたびは花袋さんと生誕150年ハッピーセット・秋聲のご紹介までありがとうございました!
 ふたりは同い年ですし同じ自然主義作家として基本的に仲良しですが、正直なところ〝無二の友〟というほどには親しくないかもしれません(自然主義仲間の藤村とも)。秋聲とはどちらかというと、互いに遠くからその存在を意識し合い、困ったときにはそっと支え合い、気遣い合うような間柄――その距離感がちょうど館林と金沢、また花袋記念文学館さんと当館の関係性に反映されているような気がして、かえってとても頼もしくもあるのです。文京区、館林、金沢…意図せぬところに後乗りでもって図々しくもありながら、ふたりの生誕150年の輪が徐々に広がっている予感…!





生誕150年記念協力展示①
  2021.2.26

 肝心の記念館が休館中なばかりにすっかり影が薄くなってしまっておりますが、今年は秋聲(と同年生まれの田山花袋氏)の生誕150年記念イヤーでございます。口はもう酸っぱ酸っぱだけれどもいまだ設備改修工事の裏側でウズウズモダモダしているそんな当館に代わり、なんと東京は文京区・秋聲第二のホーム(実は金沢暮らしより長いのでもはや第一やも)において、かの竹久夢二美術館さんがその展示に秋聲を登場させてくださっておりますよ! 現在開催中の企画展「夢二デザイン19101930―千代紙から、銀座千疋屋の図案まで―」(211日(木・祝)~66日(日))中、夢二さんと秋聲の関係性をご紹介いただくほか夢二さんご装幀による秋聲著作をひとつならずふたつみっつ、贅沢にもどどんとワンコーナーおつくりいただいているのです! いつもありがとうございます!! ご紹介が遅くなり申し訳ございません!!! しかも秋聲のお隣には花袋さんもおわしまして、なんとも小粋な夢二美術館さんのおはからいではございませんか。  
 タイトルに協力展示「①」と入れましたように、実はこちらのご出品、昨年のうちよりふだんからお世話になっている関係施設さまにじわじわとお声がけをさせていただき、資料1点でもかまいませんから貴館にてどうか秋聲をご紹介いただけますまいか? とダメ元でお訊ねをしてまわった結果の形。夢二美術館さんにいたりましては「よっしゃこーーーい! どんとこーーーい!!」と二つ返事でご承諾をくださり、当館で想像するより遥かに大きく、パネルまでご作成いただく特別待遇にて秋聲を大事に取り扱ってくださいました。ウッウッなんたる懐の深さであろう…夢二さんとは微妙に恋のライバルなのに…いやそれはそれとして夢二×秋聲の作品たちは掛け値なしに美しいから…(作品はいずれも三角関係以前ですね)。ふたりの関係性およびその装幀本につきましては、ぜひ同館でご観覧ください。生誕150年協力展示の記念すべき第一弾! たくさんの施設のみなさまに支えられている果報者の秋聲記念館でございます。この場を借りて深くお礼を申し上げます。
 そのようなわけで、こちらの展示を皮切りに、全国津々浦々、思いもかけないところから秋聲が飛び出してくる可能性のある今年です。今後とも情報が固まり次第、ご協力くださったみなみなさまをどしどしご紹介させていただきます!





追悼
 2021.2.23

 3日、川端香男里先生が逝去されました。
 平成28年、御尊父にあたる川端康成と秋聲との関係性をご紹介した企画展「康成、秋聲を読む。」の展示準備のなかで初めてお目にかかり、他でもない秋聲さんのところだもの! と気さくにご対応くださったうえ展示に多大なるご協力を賜りました。また資料借用に伺った際の帰り時間、お宅のある鎌倉が急な大雨に見舞われ「この時間じゃタクシーもなかなか来ないでしょう」と人を頼んで駅まで車でお送りくださるというお心遣い…時代を超え、秋聲と康成の関係性に改めて思いを馳せるとともに、そうしたゆかりをもさらに超えたところで川端先生その人の、温かいお人柄に感激をいたしました。

 記念館一同、謹んでお悔やみを申し上げます。


 

ぴったりとした場所
  2021.2.22

 昨日、写真撮影のお話をいたしました。秋聲と写真に関しましては当館オリジナル文庫『秋聲の家―徳田一穂作品集』収録の随筆「父の姿」に、〝どの場所で写真を撮ってもしっくり来ない父秋聲〟のお話がございます(一穂さんは秋聲ご長男)。雑誌社の人に「お好きな場所で」と言われなんとなく浅草の瓢箪池の傍で撮影してみたはいいがどうも違う…。〈七十三年の生涯を、飄々として、浅草を歩き銀座を歩き何処をでも歩いたが、結構、四十年間、気に入らないままに、動くことの出来なかった日当りの悪い、冬は寒く夏は暑い森川町の家さえも父には余りぴったりとしたものではなかった〉とはご長男一穂さんの書き添えるところです。この同じ出来事について秋聲曰く〈私には特別好きと思ふところもなく嫌いなところもない。本郷通りだけは死んだ妻と二人の子供のことを想ひ出すのと、余り長く住んでゐるので何だか遣り切れない気持になり懐しいといふ感じは少しも起らない。過去がいつでも後から喰(くっ)ついて来るやうである〉(「灰皿」昭和12年12月17日)――もはや好き嫌いの次元を超え、「家」を含んだ本郷森川町一帯が秋聲の過去、そして人生そのものと不可分であるようです。
 あの暗い書斎を出て、どこか明るい海岸町で思うままに執筆させてやりたい、もし執筆すら重荷であるなら、居心地の良い部屋でただのんびりと暮らさせてやりたい、それが秋聲の晩年にもいちばん近くに寄り添った一穂さんの願いでした。しかし、秋聲の口癖は「書けなくなったら死んだ方がいい」。作家たる父はそうした生活を望まなかっただろう、とも記す一穂さんの一方、環境の良い大磯への転居を勧める川端康成さんらの誘いに揺れながらも最晩年の秋聲が選んだのはこの家で家族とともにあること(随筆「病床より」)。それを思うと、クッ…この親子…!! とゴロンゴロンに身悶えるほどの切なさに襲われるのです。
 と、しんみりしてしまったところでティーブレイク。これぞ秋聲記念館にぴったりとしたおやつかな(※写真では文字まで見えませんがたまたま見つけた市販品のチョコレートで緑が「秋声(しゅうせい)」、赤いのが「紅葉(こうよう)」。一般名詞で作家名と直接の関係はなさそうです。Facebookには別途お写真載せておきます。なおなんとかして柄をお見せしたかった秋声モチーフのティーカップは収蔵品で撮影用。永遠に未使用です)。



 


「夕方までテカリを抑える最強ファンデ」
  2021.2.21

 雪に降り込められたここ数日、館内では次回企画展で展示予定の資料撮影会が開催されておりました。今回は立体物が多く難易度が高いものですからプロのカメラマンさんにまるっとお願いすることに。設備工事の隙間を縫って、かつこの休館をよいことにガランとした企画展示室を一時的な撮影スタジオに仕立てていただき本格的な資料撮影をおこないました。
 カメラマンさんというのは撮影技術は言わずもがな、目の前の資料のいちばん良い表情を引き出す才能をもお持ちの選ばれし人々…秋聲遺品のお帽子をいくつか撮っていただくなかでも、こっちのコレは正面もあったらいいですネ、と瞬時に判断して複数のカットをご提案くださるのです。また額装のもの(秋聲自筆のデッサンも久々に展示予定です!)を大きな板を駆使しながらお撮りになるさまに「は~そうやってテカリを抑えるんですか~」と思わず漏らすと「あっハイこれで反射を防いでます~」とより折り目正しき言の葉でご返答いただき(※訂正ではなくナチュラルなリアクション)、(お人柄…)と感動すると同時にアッやだッ夕方の化粧品のコマーシャルみたいだった今…! と顧みてひとり照れくさくなったりしておりました文学館職員です(この場にふさわしかったかどうかはともかく、商品のコピーとしては頗る優秀なのだと思います)。池田紀幸さん、お忙しいところ長丁場のご撮影をありがとうございました! 超売れっ子さんにもかかわらず、奇跡的なスケジュールの合い方に心からの感謝を捧げます! こちらの池田作品は間もなく完成予定の次回企画展チラシでご覧いただけますのでどうぞお楽しみに。
 今回プロのカメラマンさんにお願いすることにいたしましたのは、先行するチラシのデザインが素敵だったから、ということもございます。毎回カッコイイチラシを作っているつもりではありますが(ひとえにデザイナーさん方と当館の好みを把握しきっている印刷会社さんたちのお力)今回もまた、こりゃ下手な写真は入れられないぞ!? との素晴らしい出来となっております。なにせ生誕150年記念企画展の一発目、当館の本気をご覧ください。



 
 

「ふとんの日」
 2021.2.16

 なんと先日「2(ふ)10(とん)の日」を華麗にスルーしてしまいました! これはいけない、秋聲と同じく今年生誕150年を迎える盟友・田山花袋氏の代表作こそ「蒲団(ふとん)」でございます。とはいえ、あの日(前回記事)花袋さんの弟子筋にあたる作次郎さんのことを一生懸命にご紹介していたと思えば、花袋さんをスルーしてしまったその罪も多少軽くなろうってぇもの…。
 それより何が罪深いといって「ふとんの日」すなわち「花袋の日」と言い換えても差し支えのないほどのこの日をわざわざ遡ってまで捕まえにいっておいて、ここからお話しし始めるのが花袋さんでなく秋聲のおふとんエピソード、というところです。その業、来世まで引き受けます。
 明治40年発表の「蒲団」のあとを追いかけるようにして発表されたのが秋聲の出世作「黴」(明治44年)。本作には、後に妻となるはま夫人をモデルとする「お銀」に主人公「笹村」が愛用の蒲団のあまりに汚いことを笑われるくだりが出てまいります。その汚さたるや、自分の持ちものでもないのになんだか申し訳ない気がしてお銀が笹村のために敷くのを躊躇うほど。やがてふたりは所帯をもち、お銀とともに新しい蒲団を買いに出かけると同時に彼の「べとべとになつた蒲団」は「襤褸屑(ぼろくず)のなかへ突つ込まれて」しまい…所帯をもつということはきっとそういうことなのでしょう、蒲団が変わる――新居に移る、よりももっとずっと皮膚に近いところの感覚です。
 実は同じエピソードが大正15年、はま夫人急死(享年46歳)直後に書かれた短編「過ぎゆく日」にも表れており、「融(とおる)は下宿屋から行李や蒲団や机やランプのやうなものを車に積んで、友人の建てた長屋風の家に入つて、初めて一箇の世帯主となつて間もなく妻と同棲することになつた当初に遡つて考へた。硬い蒲団や着物の汚ないのに驚いて、融が気味わるく思ふやうな綿のふかふかした蒲団を新調してくれたことや、裾の破けた着ものを釈いたり、汚れものを洗濯してくれた頃のことを思ひ出した」(ほほう、秋聲先生は好んでせんべい蒲団派…)。
 かつて「黴」の中で「十年もあんな蒲団に包(くる)まつてゐるなんて、痩せツぽちのくせによく辛抱が出来たもんですね。」と笑った妻はあっという間にこの世を去り、いま彼女の面影とともに秋聲の胸をよぎるものこそ、慣れないふかふかの蒲団の匂い…。





傍道(わきみち)
 2021.2.10

 去る8日にお邪魔いたしました例月のMROラジオ「あさダッシュ!」さんにて、今話題の加能作次郎さんのお話をさせていただきました。先般、大学入学共通テストにその作「羽織と時計」が出題されたことで注目を浴びる自然主義作家です。現石川県羽咋郡志賀町のご出身で、苦学して早稲田から博文館を経て、大正7年、苦しかった丁稚時代に材をとる長篇小説「世の中へ」で一躍文名をあげますが、そのころすでに自然主義も退潮の気配あり、ひとり取り残された〝自然主義の末流〟を自称した作次郎。
 明治18年生まれで秋聲より14歳下になりますので、少し乗り遅れた感はあったでしょうか。「小秋聲」とも呼ばれ、博文館発行「文章世界」の編集を通じ多くの作家たちに愛された一方、創作者としては不遇な境涯であったといえるかもしれません。
 大正9年の田山花袋徳田秋聲生誕50年記念祝賀会の発起人のひとりであり、大正15年に結成された秋聲を囲む「二日会」の一員でもあり、会には昭和3年から少なくとも10回以上の出席が認められます。当館で今からちょうど10年前に開催をいたしました企画展「加能作次郎―もうひとりの秋聲」でもご紹介のとおり、「二日会」では主に〝お賑やか〟担当としてしばしば得意の宴会芸が披露されたとか。会津の盆踊り歌を独自にアレンジした「チロリ節」に合わせ、リズミカルにヒジでお餅をつく、その名も「肱餅搗き(ひじもちつき)」は当時の文士たちの間にも有名であったようで、「二日会」の記録冊子に「加能チロリ作次郎」とさえ記されています。そういえば秋聲も負けじと後日の「二日会」で得意のダンスを披露したことがありましたね。そのとき出席していた後輩作家・牧野信一に「気障(きざ)だ」と嘲笑されたことを随筆に記し、ムーーーとなったりもしています。なおこの随筆、「通人」(昭和8年)との題で、秋聲の思う〝気障〟について分析されるのですが、紅葉先生のお話が出たり、洋装について語られたり、趣味である社交ダンスに言及して前述の牧野氏への反駁が記されたりしたその最後の最後に「あ、ちがうちがう全部傍道。久米氏の話がしたいんだったわ」と、本題はわずか3行でまとめられる「気障気のないインテレ通人」こと久米正雄氏のお話なのでした。



 

「お風呂の日」
 2021.2.6

 本日2月6日は「ふ(2)ろ(6)」の語呂合わせから「お風呂の日」だそうですね。お風呂といえば秋聲の名篇「風呂桶」! 当館オリジナル文庫の短編小説傑作集Ⅰに収録がございます。「改造」大正13年8月号に発表された短編小説で、文字通り徳田家の壊れた風呂桶を新調するお話です。実はこれと対になるのが「女性」昭和2年2月号に発表された短編小説「売り買ひ」。何を売って買うかといってまさに〝風呂桶〟なわけですが、はま夫人とともに風呂桶を新調したあの時からわずか2年半の間に徳田家に何が起こったのか…ご存じ、大正15年1月にはま夫人が脳溢血で急死したことにより徳田家は大混乱に陥ります。残された6人の子どもたちとともに途方に暮れる父秋聲…間もなくそこから心機一転を図るかのように秋聲は自宅の増改築を思い立ち、その一環としてお風呂もまたそれまで石炭で沸かしていたものから瓦斯(ガス)風呂に取り替えることになったもよう。もとは80円か85円で購入したというこの桶を、一体いくらで引き取ってもらえるか――35円なら? えっ25円? そんな駆け引きと、桶屋さんや瓦斯会社との慣れぬやりとりを描くのが後者の作品です。
 あの頃、新調された風呂桶に入り、まるで○○のようだ…と感じたそれを売ってしまった秋聲に、子どもたちは「おとうさん、あの○○をとうとう売っちゃったんだね」と笑いながら囃し立てる…どちらも結末部分に触れますのでちょいと伏せ字にさせていただきました。とくに前者は犀星さんや広津和郎らが高く評価した作品ですのでぜひ原文をお読みいただけましたら幸いです。
 なお、次回の「秋聲の家―徳田家所蔵品展」ではこの徳田家増改築計画の背景も少しご紹介する予定で、いつも常設展にお出ししている「風呂桶」原稿(レプリカ)のオリジナル(徳田家寄託品)も出品いたします。現在だいたいパネルのテキストを書き終え、残念ながら「売り買ひ」までご紹介する余裕がなかったものですからこちらにて補足、というかフライング、というか予告です。
 と、ここで書いてしまったらあさって8日(月)10時~のMROラジオ「あさダッシュ!」さんでお話しするネタがなくなってしまいました! えっ、あっ、2月8日は何の日か…!





「加賀の三たろう」展
 2021.2.4

 先日、石川近代文学館さんで開催中の「加賀の三たろう」展(~3月21日)を観覧させていただきました。「加賀の三たろう」すなわち西田幾多郎・鈴木貞太郎(大拙)・藤岡作太郎のお三方ですね! 三人揃って秋聲の一歳年上、明治3〈1870〉年のお生まれですので昨年2020年が生誕150年の年でした。それを記念した企画展で、毎度のことながらアーアー惜しげもなくまた全部だしましたねーーーー! と思わず溜息の出る展示資料の豪華さとともに、それらを収蔵する全国で2番目に歴史のある石川近代文学館という存在の大きさに改めて思いを馳せるのです。
 秋聲と同郷、わずか1歳差、そして同じ第四高等中学校の出身ということで、展示中、幾多郎と作太郎がアメリカ出身のベントン先生送別会に出席したときの集合写真が秋聲的な見所でした。ベントン先生といえば秋聲が嫌っていた雰囲気のある英語教師。秋聲こと末雄青年(18歳)入学当時の四高の名簿には「第一外国語(※英語)」と「地理」の欄に「オー、エン、ベントン」の記載があり、一方そのお隣に同じ「第一外国語」と「羅甸(ラテン)語」担当として「ヂー、アル、マクケンジー」とあるこちらのマッケンジー先生のほうはどうやら好いていたらしく、回顧録『思ひ出るまゝ』に〈二学年もかゝつて厳密に文法を教へてくれたカナダ人のマツケンヂイといふ教師の熱心で真面目な教授振(ぶり)は今でもはつきり思ひ出せるが、米人のベントンといふ男は、少し生徒に軽蔑されてゐた〉と記しています。
 展示写真の送別会は明治24年のこと。たしかに次年度の名簿にはすでにベントン先生の名の記載なし。あわせて秋聲が四高の同級生の思い出を綴った短編小説「郊外の聖」(大正11年)に「小山や佐々村たちのやうな旋毛(つむじ)の曲つた連中が、学校で幅を利かしすぎてゐた或(ある)外人教師を排斥したとき…」との記述があり、えっまさか…と思いながら主人公格の「佐々村」…ささむら…笹村…『黴』!! …こらァ末雄青年らの仕業であったかもしれません。三たろうはじめ四高の生徒たちは基本的に優秀なので、尊敬できない教師が赴任するとはけっこうやんちゃしたそうです。





徳田家所蔵品展
   2021.2.3

 内臓がわるいといえば秋聲、秋聲といえば基本病弱! 心臓も気管支も肺も胃も、あまつさえ頭脳(あたま)もわるいとは秋聲の口癖です(そして膝に古傷あり)。わりと病院好き、お薬好きで知られる秋聲さんの書斎のお机にはさまざまな種類の薬が常備され、その抽斗もお薬でいっぱいであったとか(それは某K花さんに「薬くさい」と言われてしまうというもの…)。この休館が明けたところの3月20日からの生誕150年記念企画展「秋聲の家―徳田家所蔵品展」では、徳田家に残る秋聲が服用していた件の漢方薬の箱を展示予定のほか、これまでちょこちょこと小出しにしてまいりました作家のお手回り品の数々を一挙公開いたします! 基本的にどうしたって紙資料の多い文学館の展示ですが、今回はいつになく立体物が多くなる予定です。ふだんケースからせいぜい5cmくらいの高さの視界で生きておりますもので不馴れも不馴れ、改めて秋聲先生遺品の二重回しの丈をはかりながら、アレッうちのケースに入る? 丈たりる…? 裾がぶつかる…!? とマネキンのサイズを調整したりしています。…そう、一昨年の夏、東京は弥生美術館さんで初公開され、ギエエ先をこされたァ~~~! と当館が大いに奥歯をギリギリ言わせました徳田家所蔵のあのコートと鞄、そしてステッキがこのたび金沢へと帰ってまいりました!
 おそらく東京で購入されたものですので、「帰る」という表現はあたらないかもしれません。が、それを着用のうえ帰省されたこともあったかもしれません。弥生美術館さんの素敵企画展「アンティーク着物万華鏡―大正~昭和の乙女に学ぶ着こなし―」(図録代わりの当該書籍にコート等のお写真載ってます!)をつい見逃されたみなさま、この春、当館でお会いいたしましょう。その当時、弥生美術館さんと徳田名誉館長(秋聲令孫)にさんざん気を遣わせ、あっじゃあ帽子は? ね、ホラ、お帽子もってく!? と名誉館長がご提供くださったフェルトの帽子は本邦初公開になろうかと存じます。
 7月末までの展示につき、見ためにも会期の途中で衣替えが必要でしょうか…なお、あわせて展示予定の件のダンスシューズは真っ白ですので夏でもさわやか!



 


ホームページ復活のお知らせ
  2021.1.31

 約一ヶ月間メンテナンスのため更新停止しておりました当HPがこのたび元気になって戻ってまいりました! パッと見た目には変わらないのですが、しっちゃかめっちゃか無理をさせ続けてきた内臓がすっかりきれいに…。心なしか顔色も良く見えてまいります。見えないところ大事大事。
 館は変わらず休館中ですが(見えないところの空調設備工事です)、ぼちぼちとリハビリを兼ね寸々語の更新もがんばってゆく所存です。改めまして今年もよろしくお願い申し上げます。
 そして復活と同時に新たに誕生いたしました当館Facebook! いつも親切にしてくださる関係施設の方からありがたいことにFacebookのススメを受け、今更ながらに始めてみることといたしました。基本的にはこちらの寸々語のコピペで運営してゆきますので目新しいことといって特にないのですが、何せ秋聲生誕150年の今年ですからTwitter、Facebookとさまざまな角度から秋聲情報にアプローチしやすい環境を整えてゆきたい、そんな心持ちでございます(ただしインスタグラムは今後もおそらく開設いたしません。だってご存じビジュアルに弱い当館だから…!)。Twitter、Facebookともにトップページにボタンを新設していただきましたのでよろしければご覧ください。
 さらに遅ればせながら「早稲田文学」2020年冬号におきまして、山岸郁子先生のご高論「文学館、文豪、そしてほんとうの『資源』とは」中、この寸々語のことをご紹介いただきました! ウワァ! 山岸先生ありがとうございます! 発行された途端に寸々語休業とはなんとも間の悪いこと…! 一月空いてようやくご紹介つかまつります。こちらでは三文豪館ほか全国の文学館とゲーム「文豪とアルケミスト」さんなどのコンテンツとのかかわり方、またコロナ禍における文学館の取り組みなどについて論じてくださっております。ぜひ秋聲のしゅの字、見つけてやってくださいませ!





ホームページ更新停止のお知らせ
 2021.1.8

 空調工事休館中でも寸々語の更新はできる限り!! と申し上げておりましたが、この期間を利用して当HPのメンテナンスも一緒にやってしまうことになりました。もののわからぬアナログ脳たちがあっちゃこっちゃといじり回し、ページを破壊しては素知らぬ顔をしてひとまず寝かせ、翌朝また根拠のないやれる気持ちで叩き起こしては適当に撫でつけ、なにをどうしたかはわからないけどもなんか直ったっぽい、みたようなことをさんざ繰り返した結果つぎはぎだらけになってしまった(もう手の施しようがない→)このHPを新年度を前にいったん綺麗にしようという試みです(館同様、リニューアルではございません)。
 そんなわけで、明日より今月末くらいまで寸々語をはじめとするすべてのページの更新がストップいたしますので、あらかじめご案内を申し上げます。その間のご連絡事項は主にツイッターにておこなうほか、あまりにも緊急! という事態が何かしら生じた場合には臨時に浮上することもあろうかと存じます。またオリジナルグッズの通販ページにつきましては期間中も通常通りご利用いただけますのでご遠慮なくメールくださいませ。秋聲生誕150年に突入した途端にどこもかしこも急に動きの鈍くなる記念館で恐縮です。
 決して前年のうちにはしゃぎすぎてエネルギー切れ、などというわけでなく、水面下では日々忙しく走り回っております(が、見た目にはデスクから一歩も動かざること山の如き学芸員、一方その処理速度の疾きこと風の如き通販担当職員。吹雪のなかを封筒を山盛り抱えて郵便局へと向かうその背を今日もあたたかく見送りました)。

 それではみなさましばらくの間こちらからはさようなら! 来月またお会いいたしましょう!



 


白木蓮の咲くころ
  2021.1.7

 4日に発売となりました新刊『秋聲の家―徳田一穂作品集』、HPとツイッターにご案内を掲載してからタタタタッとご注文をいただきまして、現在じゃんじゃん発送をさせていただいております! ありがとうございます!(図書館さん等への献本の手配にはもうしばらくお時間いただきます、申し訳ありません…!)
 編者の大木志門先生も折々にご紹介くださっているとおり、今回の一穂集の表紙には一穂自身が描いた白木蓮の絵を使わせていただきました。一穂さんのご次女である徳田名誉館長からご提供いただいたもので、表からは見えませんが表紙カバーの本体折り込み部分に一穂の署名が入っています。
 秋聲作品において、秋聲がその〝家〟について描写するときには必ず出てくるお庭の植栽のこと。白木蓮、柘榴、山吹、コブシなどなどに触れ、自らシャベルをもって(←)執筆の合間にせっせと手入れをする様子もしばしば描き込まれています。その庭の植栽が、秋聲没後、家を取り巻く周囲の環境の変化によりどんどんと枯れ落ちてゆくのをずっと見ていた一穂さん。何度となく、こんな家、取り壊してしまえ! と思われたことすらあったようですが、秋聲を愛する人々の支えもあり、どうにかこの〝家〟を残すというお気持ちを繋いできてくださったようです。そしてその思いが徳田名誉館長にも引き継がれ、今なお徳田家は文京区本郷に現存し、かつ単なる観光名所でなく〝家〟としての機能を果たし続けているのです。
 その〝家〟が守る秋聲の遺品等を一挙公開! と企図したのが前回の「思ひ出るまゝ」展同様、文庫本とリンクさせた形の次回「秋聲の家」展(仮)だったのですが、正直なところ首都圏の緊急事態宣言発令かといったこの状況下で公開のタイミングをつかみきれず…企画展ページに予告を出してしまったあとで恐縮ながら、もしかすると館の収蔵資料展に切り替えるかもしれません。とはいえ初公開でこそなくとも、当館の収蔵品の三分の一は徳田家からの寄贈・寄託品。一穂さんの思いや葛藤なくしては残らなかった貴重な品々に違いありません。



 

謹賀新年
 2021.1.4

 あけましておめでとうございます。いよいよ秋聲生誕150年の記念イヤーに突入いたしました! そんな勢いでヌォッッと年を越しておきながら、館はひきつづき休館中でございます……ウウウもてあます! このエネルギィー…ッ!!! そんな要エネルギーな展示撤去は年末のうちにやってしまったものですから、いまは設備工事の傍らガランと薄ら寒い館内で、新発売のオリジナル文庫第12弾『秋聲の家―徳田一穂作品集』を両手に持ってウロウロとしております。
 おかげさまで開館15周年記念に3冊出す! と無謀な宣言をしてしまったうちの2冊目がようやく完成いたしまして、今ほど通信販売用ページに概要をアップいたしました! 改めましてご紹介を申し上げます。今回は秋聲の作品でなく、秋聲ご長男で作家の徳田一穂による小説・随筆・秋聲著作の跋文から計20編を収録した作品集で、秋聲でない人物の著作はオリジナル文庫初のこと。またこちらも初めて館外より編者に当館初代学芸員・大木志門先生(現東海大学教授)をお招きし、作品の選定から校正から解説からなんと一穂さんの著作目録まで手がけていただいたという超豪華版です(その節はことごとくこちらの手配が遅くご迷惑をおかけいたしました…!)。いつかの一穂展でもご紹介のとおり、秋聲まわりでは絶対にお見かけする一穂さんのお名前ながら、一穂さんご自身の作品、また秋聲に関するお仕事の全貌となると一言でご紹介するのがなかなか難しかったところ、今後この一冊があればそのおおよその輪郭がつかめてくるのではないでしょうか。ご推薦いただいた中から作品数を欲張り(全350頁)、口絵まで入れたら(一穂さん肖像写真)ちょいとお高め(税込1,000円)にはなってしまいましたけれども、この機にぜひご注文(通販にて)をいただけましたら幸いです。 
 生誕150年没後77年を経てなお秋聲の名が今に在るのは、いわゆる〝二世〟であった一穂さんの苦悩と父秋聲に対する深い愛情の賜物なのです。
 


  

 

 

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